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Bank of JapanPress conferenceFeb 19, 2025Hajime Takata, Board Member

高田審議委員記者会見(2025年2月19日)

Original in Japanese

Full text

§1Question

二点質問させてください。本日午前中にありました懇談会でお話した内容、そしてもう一点が、宮城県の金融経済情勢に対する認識についてお伺いしたいです。

§2Hajime Takata

今日の懇談会の内容ですけれども、こちらの行政、経済界、金融界を代表する方々から、こちらの経済の現状、それから直面する課題に関するお話をお伺いするとともに日本銀行の金融政策運営に関する貴重なご意見を多数承りました。とても有意義な意見交換ができたと私は思っておりまして、そういう意味で懇談会に出席された皆さま方にこの場を借りて厚く御礼申し上げたいと思います。今日の懇談会ですけれども、意見が非常に多岐にわたっているために、なかなか全部網羅してご紹介することはできないのですけれども、私なりに話題を整理していったん申し上げたいと思います。まず足元の宮城県の景気については、個人消費の緩やかな回復などを背景にして持ち直しているとの見方が大勢であったと思います。ただ一方で、宮城県の大きな特徴とも言える人口減少、これはどこの県も同じですけれども、それから人手不足とその強まり、これも本当に多くの方から聞かれました。それからインバウンド客の獲得余地の存在、エネルギー価格の上昇に伴ういろんなコストの上昇、そういう意味での経営環境というんでしょうか、なかなか厳しいという声も多数伺いました。

§3Hajime Takata

それから、やはり重要な人手不足の対応としては、多くの先が賃上げの取り組みに言及されておられましたけれども、ただ、企業の皆さまの経営努力に加えて、行政によるいろんな施策というんでしょうか、進捗はみられているけれども、一方で、引き続き厳しい価格転嫁の状況で、確かに賃上げはするのだけれど防衛的な状況であるという声が多いというご指摘も頂いたわけです。この点、持続的な賃上げには一層の価格転嫁 [が重要 ]だとか、そういったお話も承りましたし、また一方で、やはりこの賃上げを行うことで経営者の経営力が試されているんじゃないか、というご意見を伺ったのも非常に印象に残りました。それから金融界の皆さま方からは、やはり金利が出てきたことで金利の変動に対する対応をこれからどうしようか、それから厳しい経営環境を通じて倒産の増加もみられておりますので、今後、地元の企業に寄り添った支援、資金繰りのサポート、それから地域活性化に向けたいろんな取り組みをしていくというような声が聞かれたということであります。また、地域創生、産業力強化ということについては、これも行政の方も含めていろんなご意見がありました。

§4Hajime Takata

特に昨年4月に稼働開始した次世代の放射光施設「 NanoTerasu (ナノテラス)」といった、当地独自、非常に心強い試みというものもあったものですから、実は私も昨日これを見学させて頂いたのですけれども、やはりこうした取り組みが宮城県の潜在力の発揮につながることを私としても期待したいなと思っています。日本銀行としては、こうした実体経済の状況を踏まえたうえで、経済、それから物価・金融情勢に応じた適切な金融政策運営をすることで、宮城県経済の発展に貢献したいなと思っているところです。それから二番目にご指摘頂いた宮城県の経済に対する私なりの認識ということですけれども、宮城県はもう言うまでもありませんが、東北唯一の政令指定都市である仙台を中心に、一次産業、それから三次産業のウエイトが高くて豊富な観光資源を有しているわけです。この点、やはり足元にかけてはインバウンドの増加もあって、サービス消費を中心とした個人消費が緩やかに回復しております。ただ、インバウンド [の人数 ]については、まだ 1% [台]なんです、全国の。そういう意味からすると私はもう一段、潜在力があるんじゃないかと思っているところです。それから、製造業については近年、半導体、それから自動車関連の集積が進んでいるというのが印象的だと思います。

§5Hajime Takata

足元にかけては半導体関連の需要の持ち直しや堅調な生成AI 関連の需要もあって、生産の持ち直しの動きが出てきているかなと思っています。また、中長期的な目線に基づく能力増強投資、それから新規出店、それから生産性向上を企図した省力化投資といった企業の設備投資が増加している点も宮城県の経済を下支えすると思っていますし、そういう点を踏まえたうえで、持ち直しているということだろうと思います。ただ、これまでの [東日本大 ]震災からの復興、そうした中で今後も、より行政も含めた支援をどうするかといった点も聞かれたのも印象的でありました。また、こうした動きの中には、先ほどの繰り返しになっちゃうのですけれども、賃上げもある中で、今後の宮城県の経済を占ううえで、どのぐらい[の水準]の賃上げになってくるのか、先ほど防衛的という話もありましたけれども、こうした人手不足、それから賃金と物価の好循環が実現するかどうか、こうしたところがやはり今後の持続性を占ううえでも重要になってくるんじゃないかなと思います。そういう意味で私自身、宮城県についてみると、やはりいろんな意味でまだまだ潜在力はあるわけですから、それをどういうふうに活かしていけるか、それを企業と一体となってどうできるかというところがポイントになるんじゃないかと思っております。

§6Question

まず一点お伺いしたいんですけれども、今回の要旨の中でですね、ギアシフトという言葉、もう一段ギアシフトというお話ありましたけれども、これは前回の 9月の時にも確か使っていたかなと思いまして、例えばその 9月から 2月になりまして、そのギアシフトの意味合いであったりとか、例えばもう少し利上げのペースを早めるとか、何かそういう意味合いについて少しお伺いできますでしょうか。

§7Hajime Takata

ギアシフトという言葉は、実は去年の 2月(注 1)から使っていまして、昨年の 9月も使いましたし、そういう意味でいうと金融緩和の度合いをどう調節していくかという言葉の中で使わせて頂いたということです。これはこの 1年間私も一貫して申し上げているのが、結局企業の前向きな動き、今日の報告の中でも、やはりバランスシートとそれから損益計算書というんでしょうか、バランスシートでみれば、バランスシートを拡大させる、これまで縮小していましたから、そういうところを拡大させる動き、設備投資に代表される [動きです ]。また一方で、損益計算書でみると、お金を使っていく、そういう意味からすると、賃上げであるとか、価格転嫁であるとか、そういったところの前向きな動き、好循環というものが続いていくのであれば、だんだんギアシフトしていくということで使ってきましたので、そういう意味では、昨年の 2月(注 1)も、それから去年の 9月のときも、そんな思いで使わせて頂いていますし、また一方で、そういう企業の動きが、この 1年間も含めて私は前向きな動きが続いていると思っておりますので、そういう観点からすれば、今回においても、もうちょっとギアシフト、ある面、企業の前向きな動きに沿って、その動きの中でだんだんと緩和の度合い、それを調節していくというかたちで使っています。

§8Hajime Takata

ですから、そういう言葉を使わせて頂いたということは、そういう企業の前向きな動きが、依然続いているということを前提にしておりますので、それが急に早まったとか、別に遅くなったという思いは特にありません。ただ、ある程度持続的というのでしょうか、少なくともこの 1年間そういう動きが続いている、振り返ればそういう動きを背景として、昨年の 3月であり、また昨年の夏であり、また今年にもそれなりの変革が行われているし、また一方で、これからもそういう動きをみながら、調節をどうしようかということを当然考えていきたいなと思っています。

§9Question

もう一点なんですけれども、トランプ大統領が就任してからちょうど 1 か月くらいになります。要旨の中でもですね、不確実性という言葉がありましたけれども、 1か月経ってみてまだちょっと分からないところもあると思うんですけれども、どういった不確実性があるというふうに高田審議委員は思うというか、考えていらっしゃいますか。

§10Hajime Takata

不確実性はもういくらでもあります。だからそれを言い出したらキリがないということだと思います。ただ、私自身トランプ政権のところをどう評価するかというのは、なかなか難しいわけですけれども、少なくともアメリカの実体経済をみておりますと、例えば今年の 1月のIMFの見通しも随分上方修正されていますし、雇用環境も結構堅調な状況が続いているということを考えますと、そういう意味での、これまで昨年からずっと利下げをしていて、その背景には雇用の減速があったわけですけれども、そういう意味での先行きに対する経済の不確実性は低下していると考えていいんじゃないかなと思います。ですから、私自身、今日の午前中の講演なんかでもそうなのですけれども、場合によっては、ソフトランディングというよりは、タッチ・アンド・ゴーの可能性もと申し上げたということでもありますし、また一方で、トランプ政権が 1 か月経って、そういう意味では、もちろん不確実性は続いてはいるわけですけれども、少なくとも金融市場、また実体経済、そうした中の大きな不確実性が増しているということではないのかなと思っています。

§11Hajime Takata

ただ一方で、これからも、経済は生き物でありますから、変動することがあるし、また一方で、新しい政権、アメリカも変わったわけでありますから、そういう中での、これから政策がどう出てくるかというところもありますから、その辺は予断なくみてかなきゃいけないなとみています。少なくとも言えるのは、昨年までみえていたような経済の減速、もしくはそれに伴う政策の変更、そういうものは随分変わったんじゃないかなとみているということです。

§12Question

二問お伺いします。足元ですね、日銀の追加利上げ観測の強まりなどを背景に長期金利が 1.4%を超えて上昇しております。緩和的な環境を維持するという観点でちょっとお伺いしたいんですけども、本日の講演の図表 10 をみますと、実質長期金利のところがですね、引き続きマイナスにはなっているんですけれども、 1.5%を長期金利が超えてくるとプラスの領域に入ってくるような感じにもみえます。こういったプラスの領域に近づくというか、入ってくるというか、そういう場合、緩和的な環境の観点で問題はないのか、高田委員のご自身のスタンスをお願いします。

§13Hajime Takata

長期金利に関してですけれども、私、基本的には長期金利の動きというのは市場の中の動きでありますから、それについてあんまりコメントするものでもないのかなと思っております。ただ一方で、昨年の 3月にイールドカーブ・コントロール、YCCをやめているわけでありますから、こういう意味からして、経済の実態に沿ったいろんな思惑、その中で長期金利も動いているということなんじゃないかと思いますので、そういう意味では、ある面でそういう政策の変更に関する動きが出てきたのかなと思っているところです。また一方で、図表 10 のところでつけさせて頂いた実質長期金利ですけれども、こちらにありますように、確かに長期金利のところが上がってくれば、物価のところを一定とすれば、そこのところでそれが縮まってくるということはあろうかとは思いますけれども、ただ、まだ幅はあると思っていますので、そういう意味からしますと、先ほどから繰り返しのように、YCCをやめた後の先行きに対する経済ですとか、それから物価に対する見通しですとか、そういったものを普通に反映したものじゃないかなと私は思っています。

§14Question

二点目なのですが、ちょっと本日の講演で特に言及はなかったんですけれども、保有ETFの処分についてお伺いしたいと思います。過去に銀行から買い取った株式の売却についてですね、少額で売っていたので今年の夏頃にも終わりそうだという状況だと思うんですけれども、そういった少額でですね、ETFを処分していく、まず一つ考え方としてあり得ると思うんですが、ETFの処分につきまして基本的な考え方を、ちょっと今、タイミングも含めて高田委員にご見解をお伺いします。

§15Hajime Takata

いろんな見方はあるのかも知れませんけど、私自身としては、ETFの売却、すぐの議論ではないのかなと思っております。これについてはある程度時間をかけた対応がやはり必要なのかなと思っておりますので、今の時点で、これをどういう方向にするという意識を持っているということではなく、時間をかけながら、これ自体もこれが政策の対応でということではなく、もう少し時間をかけて対応したいと思っております。

§16Question

本日の講演で言及はなかったですけれども、 6月の国債買入れ減額の中間評価について、どういった要素を判断材料として、計画、考えていくべきとお考えかお聞かせ頂ければと思います。

§17Hajime Takata

こちらに関しては、昨年の 7月から減額ということで対応を [決定 ]しているわけで、また 6月のところで中間評価をということになろうかと思います。こちらについては、私は先ほども繰り返しておりますように、もう既にイールドカーブ・コントロールを実際にやめているという意味で市場に任せたというような状況であります。ただ一方で、日銀がかなりの金額の国債を保有しているということもある中で、そういうこともあって減額をしていく中で、例えば市場のボラティリティであったりとか、それから流動性の状況であるとか、市場機能、それから年限のところによってはいろんな需給みたいなところを左右することもあると思いますから、そういうことを念頭に置きながら、ただ一方で、先ほど申し上げたように、YCCをしている状況ではもうないわけですから、市場の動向に自由に任せていくという状況の中で、ただ一方で、あんまりこちらの変動、ボラティリティが高まったりということは避けながら安定的に対応していきたいなと思っております。ただ、まだ先の状況でもありますので、これからいろんな状況をみながら考えていきたいなと思っているところで、まだ依然として、この段階で私自身、何か方向性を決めているということではありません。

§18Question

午前中の講演で言及されてました物価の上振れリスクについて伺いたいんですけれども、講演の中でですね、米国の経済の上振れに伴うアメリカ金利上昇や円安の進展に合わせて、今年の春闘で大幅な賃上げがまた実現した場合には、物価が上振れるリスクに注意する必要があるというふうに言及されてますが、こうしたリスクが顕在化する可能性というのがどの程度高まってきて、どういったタイミングでこう、出てくるというふうにみていらっしゃるのかというのをまず伺えますでしょうか。それと併せてですね、関連してなんですけど、ちょっと別のところで物価の上振れ、金融過熱のリスクが顕在化しないように今後も段階的にギアシフトしていかなければならないというような趣旨の話もされてますけれども、こういう物価上振れのリスクに対して先取りして追加利上げで対応しなければならないような可能性が高まってきているというふうにご認識されているのかどうか、その辺りも二つ。

§19Hajime Takata

物価の上振れというか物価の見方と言った方がいいかもしれません。これについては今日の午前中のところでは、私、三段階の視点からということで図表もつけさせて頂いています。こちらはこれまでの 2022年以降の物価、それから賃金動向ということですけれども、第一段階として原材料価格の上昇という第一のビッグ・プッシュという言い方をしています。それから第二段階として、賃上げ、 2022[年 ]、23[年 ]、 24[年 ]、それから 25[年 ]という、今年もそれなりのという思いも込めてということですけれども、そういう中での賃金上昇の価格転嫁への [波及 ]、それから第三段階として、私はこのサービス [価格 ]、今年の春闘も受けたうえで、 25年度以降、例えばサービス価格に予想物価上昇率の底上げも含めて、国内要因のところでの上昇、こういった要因が今出てきているんじゃないかなと。ですから、それぞれについて、もし上振れ・下振れ両方もちろんあるとは思うんですけれども、どちらかというと第一段階、第二段階のところはもう終わった状況でありますから、どちらかといえば上振れのところにかかってきたと思います。

§20Hajime Takata

そういう意味では今後のところも両方の部分があるのだろうと思いますが、私はどちらかといえば上振れのリスク、変動があるとすればということにはなるのですけれども、一つ目のところは原材料価格、場合によっては国際商品市況であるとか、為替の影響もあるかもしれません。それから二段階目のところでいえば、賃上げ、特に、最近については人手不足が結構大きなところになっていますので、上振れというほどじゃないかもしれませんけれども、そういうものに牽引された動きが、特にそれが 25年度以降ということになれば、要は国内全体の底上げの中でということなんだろうと思います。もちろんこれを上振れというほどではないのかもしれませんけれども、少なくとも、これまでみていた要因としてそういうような影響が働きやすい、ですからそういう中で、これは期待を込めてということではあるんですけれども、物価安定の目標実現に向けた動きにどこまで近づくことができるのかなと、そんな状況だと思います。ですから、もちろん上振れとかなんとかという次元ではないと思うのですけれども、そういういくつかの変動要因、こうしたものがどちらかといえば上昇の方向に各項目ともに要因としては存在していると言っていいんじゃないかなと思っております。

§21Hajime Takata

それからもう一つ、金融、こうしたところで言えば、いわゆる資産価格も結構、最近は、これは逆に言うとこれまでの資産デフレからの改善でもありますので、そういう面からすると、私も今日はファイナンシャル・アクセラレーターという言葉を使わせて頂きました。これが随分マイナスになっていた、これが随分下押しする要因になっていたと思うのですけれども、そうした要因というものが、従来から比べればようやく正常化してきたということになるんですね。ですから、そうしたところが逆に上振れするところまではまだいってないわけでありますけれども、正常化する中でこうした要因も踏まえたうえで、いろんな金融の度合い、引き締まりの度合いであったりとか、もしくはそうしたものが、あまりに緩和的過ぎる、それが続いてしまうということになり過ぎないように、先ほどからギアシフトという言葉を申し上げておりましたけれども、そういう度合いに合わせながら調節をどうするかというのを考えていく局面というご回答でございます。

§22Question

冒頭、宮城県の経済状況について伺わせてもらったのですけれども、宮城県を含みまして、東北全体を見渡したときに東北の経済状況をどのようにみていらっしゃるのかということと、今後注視するポイントを踏まえまして、考えをお聞かせ頂きたいと思います。

§23Hajime Takata

正直申し上げて、私も東北全体といってもそんなに知識があるわけでもないのですけれども、宮城県全体として、一つの例としてとらえながらということで言えば、ようやく緩やかながらも、 [経済は ]全体的に回復してきていると思っています。私も、先ほど最初にご質問頂いたところの中でも言っていまして、また一方で、午前中の懇談会の中で、どんなところが課題になっているのかという点で私なりに申し上げた点がいくつかあるのですけれども、やはり一つはインバウンドが、こちら日本全体で相当伸びているのですけれども、その中で比べると東北の伸びというのが、そんなに大きくないなと。どちらかといえばやや西の方が良いという状況でありますから、生産であるとか、先ほど申しました全体の状況は緩やかに、というところですけれども、インバウンドのところが潜在力をもうちょっと有している、にもかかわらず、もうちょっと伸びていいんじゃないかなということを申し上げました。

§24Hajime Takata

それから、私もいろんな地域にこうやってお邪魔させて頂きながら思うのが、今日も宮城県というところではあるのですけれども、やはりその地域の中の連携という部分が重要だと思いますので、そういう意味からすると、やはり課題としては、先ほど東北地方とおっしゃいましたけれども、東北地方全体の連携、こうしたものをどういうふうにとっていくのかというところは重要だと思いますし、私は他の地域と比べると地域が広いということで難しさはあると思うのですけれども、やはり多少課題がある部分なのではないのかなと感じるところでもあります。それから、こちらの地域のところを考えてまいりますと、どうしてもやはりいろんな意味で支店が中心になっているということからしますと、これからの課題ということでいえば、いかに企業を育成していくか、こうしたところがやはり重要になってくる。そうした点を踏まえて、人口の減少、これは日本の中でも東北の地域は大きな課題になっていると思うのですけども、特にやはり若者、そうしたところをどういうかたちでつなぎ止めておくのか、といったところですとか、またそういうものの一つの舞台になるというか、雇用、そうしたものをいかに企業を育成するか、ベンチャーも含めてということになると思うのですけれども、そういう中で対応していくことが必要になるのかなと思いました。

§25Hajime Takata

ですから、そんな点を含めて東北地方全体、潜在力を活かすことができれば、われわれ日本銀行としても、またこちらの仙台支店の方としても、非常に嬉しいことと思った次第です。

§26Question

午前中の講演では、もう一段のギアシフトということに触れた際に価格転嫁や賃上げの中小企業への拡大、地方への拡大というのに触れられておりました。大企業の賃上げについては春闘の結果などで傾向がみえてくるかと思いますけれども、地方についてはどういうふうに確認していくか、またその継続性というのはどれくらいの期間が継続していれば良いか、どのくらいの期間が必要かというふうに考えられているかお考えをお聞かせください。

§27Hajime Takata

先ほどからギアシフトということで申し上げると、企業の前向きな動き、それを私は今回も以前もそうだったのですけれども、バランスシートでみれば投資であったりとか、また一方で、損益計算書のところであるとすれば賃上げであるとか、それから価格転嫁であるということで申し上げてきたわけです。実は、今日、午前中の懇談会の中で使った絵が図表 22 としてあるのですけれども、この中で書かせて頂いたのは、マクロ面でみると企業収益は相当な水準で上がってきている。ただ一方で、ミクロのところにはまだ課題が残っていると申し上げました。その課題というのは、賃金のところでいえば、なかなか思ったほど伸びにくい、また一方で、価格転嫁のところも、それが家計であるとか、それから中小、それから地域の企業のところになかなか均霑していかないという部分が残っている。そういう中で、その辺のところをいかに対応していくかという工夫、もしくは政策がなされてきているということだと思いますので、好循環をつかむうえでは、マクロ面だけではなくて、このミクロのところも含めて、この好循環の行き渡りが重要になってくると。特に、今ご指摘があった中小のところになるのですけれども、もちろんいろんなこれから春季の労使交渉なんかもあるわけですから、その中で中小のところがどうなっているのかという部分があります。

§28Hajime Takata

それから一方で、私ども、今日もそうなのですけれども、こういうかたちで東京以外のところにも、お邪魔させてもらって様々なご意見を伺うこともやはり必要だと思いますし、また、継続的にこちらの仙台支店の方でも、いろんな方々を通じていろんな意見を聴取させて頂いているということでもありますので、こうした努力、こうした動きを、今後も続けながら、こうした動きがどのようになっているのかをつかみながら対応していくというのが、これから重要な課題なんじゃないかと。特に、日本銀行の場合は、これまで非常に長い期間の、非常に厳しい状況がバブル崩壊後、続いておりました。今日の私の懇談会の中でもそういうご説明をさせて頂いたのですけど、これはこの 25年の多角的レビューも含めて、非常にストレスがかかった状態が、歴史的にみても続いていたという、その中でノルム、なかなか賃金、それから価格が変わりにくいという状況が続いた中での変化というのは、時間がかかるということだったと思うのですけれども、そういう課題に対してやや意図的に対応すること、それは地域の中でもそうだと思いますし、また、とりわけ中小企業のところを通じて必要となってきていると思います。

§29Hajime Takata

特に、ちょっと前までであれば、このマクロ面のところというのがそんなに完全ではなかった状況だと思うのですが、今回の [懇談会の ]全体の中の資料にも入れているのですけれども、企業収益は相当伸びている状況ですので、ある面ではそれなりの余裕もマクロ面でみればあるわけですから、それをいかに中小であり、地域のところに均霑させていくということは非常に重要なところでもあるので、その辺もやはりみていきながら、われわれも注目しながらみていきたいなと思っているところです。

§30Question

先ほどの質問にもありました物価の上振れリスクについて伺います。今朝の講演の中で、ベアを背景とした国内要因にインフレ圧力を一つ挙げていらっしゃったと思いますが、衆議院の財務金融委員会の中で日銀の植田総裁が食料品の価格上昇について人々のマインドや期待物価上昇率などに影響を与えるというリスクはゼロではないというような発言をされていました。今後の金融政策にもこういった生鮮食品を含めた物価の見通しを考慮していくという考えは高田委員自身ありますでしょうか。また、今後の利上げ判断について関連して、物価の上振れと金融過熱リスクについて、物価上振れリスクをお話しされていましたけれども、一方で1月の追加利上げ以降の経済・物価・金融情勢への影響を検証しながら慎重に対応すると話しておりますが、それは次の利上げまでは時間的な余裕があるというふうな見方なのでしょうか。

§31Hajime Takata

物価は何を取るかでなかなか難しいというか、いろんな広がりがあるということだと思います。その中でわれわれ言うまでもありませんけれども、物価安定の目標について言えば、生鮮食品含む総合ベース(注 2)ということで、その目標は持続的・安定的に実現するということを申し上げております。その中でご指摘がありました生鮮食品の価格は、天候要因によって結構一時的にも大きな変動がありますので、こうした直接的な影響を除いた基調的な状況でやっぱりみていきたい。そんなこともあって直接的にこの生鮮食品のところをわれわれターゲットにしていないわけです。ただ、当然のことながら、一方で家計の方々からすれば、普通に消費をする中で生鮮食品も入っているわけですし、そういう面からすると家計の方々のマインドであったりとか、それから物価予想であったりとか、こういったところには当然影響もありますし、それからそうしたものの上昇が生活面、そういった面にそれなりに家計にとって影響が及んでいるという点も当然あるわけなので、その辺はわれわれも認識していかざるを得ないだろうなと思っています。ただ、あくまでも持続的ということからすると、こうしたものではないものでわれわれはみてはおりますけれども、ただ一方で、影響が及ぶものでもありますので、その辺のところは当然のことながら注意しながらみていきたいなと思っているところです。

§32Hajime Takata

それから、今後についてですけれども、利上げの判断でギアシフトをということで申し上げたわけですけれども、当然その物価の上振れのところであったりとか、また物価の動向、そのようなところはこうしたものだけではなくて、例えば金融面のところの安定度合いというか、今日は午前中、先ほど申し上げましたファイナンシャル・アクセラレーターを申し上げましたけれども、そういうようなところの影響がどういうふうに出ているのかということも含めながら、その状況に合わせながらギアシフトをしていくということだと思っています。その中で申し上げると、予断を持ってどういう期間があるからとか、どういうような時間のタイミングだとか、もしくはどういう水準だとか、ということで何か申し上げているところでは私はないと思っております。

§33Hajime Takata

特に最近、中立金利の議論がありますけれども、私はどちらかというと虹みたいなもので、近づいていくとなんかわかんなくなっちゃうというところもあるので、そういう直接的にターゲットであったりとか、期間をということではなく、あくまでも先ほどから繰り返しになっていますけれども、企業を中心とした前向きな動き、こうしたものが物価であるとか、人件費であったりとか、そういうものに [影響を ]与えながら、それが経済実態とか短期金融市場であるとか、そういうものに影響を与えて、その動きをみながら対応をしていくと思いますので、あまり予断をもって期間であるとか水準であったりとか、そうしたことを対応するということではないと思っています。そういう意味では、期間のところについては、われわれも今の段階で何か特定のものを描いているということではありません。(注 1)会見では「 3月」と発言しましたが、正しくは「 2月」です。(注 2)会見では「除く」と発言しましたが、正しくは「含む」です。以上