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Bank of JapanPress conferenceFeb 6, 2026Kazuyuki Masu, Board Member

増審議委員記者会見(2026年2月6日)

Original in Japanese

Full text

§1Question

審議委員に二点お伺いします。一点目で、本日の懇談会の意見交換の内容についてお教えください。二点目です。愛媛県内の金融経済情勢について、審議委員のご見解をお示しください。

§2Kazuyuki Masu

まず、今日の先ほどの金融経済懇談会ですけれども、まず愛媛県の景気ですけれども、業種や企業規模によってばらつきはあるものの、総じて持ち直しているとの見方が聞かれました。例えば、主要産業である造船業は、好調な受注環境を背景に高操業となっているほか、外国人観光客の増加もあって、観光業も回復傾向にあるといった話題がありました。他方で、中小企業や小規模事業者については、原材料費やエネルギーコストの高騰、人手不足の中での賃金上昇が続くもと、価格転嫁が十分に進まず、経営環境は厳しい状態が続いているとの声も広く聞かれました。また、人口が減少するもとで、多くの企業にとって人材確保が喫緊の課題とされています。こうした課題に対処するうえで、企業による前向きな動きとしてデジタル化の推進や省力化投資、新製品開発への取り組みは広がっているとの声がありました。行政からは、海外への営業活動支援など、県内産業の持続的な発展・振興に向けた取り組みや、少子化と人口減少が進むもとでの各種取り組みについて、金融機関からは、地域の発展に貢献すべく取引先に寄り添った支援を継続していく、とのお話がありました。こうした愛媛県における前向きな動きが着実に成果につながっていくことを期待しています。

§3Kazuyuki Masu

最後に、日本銀行に対しては、地域における中小企業の実情にも目を配りつつ、物価安定に向けて適切に金融政策を運営してほしいとの声が寄せられたところです。日本銀行としては、本日お伺いしたご意見なども踏まえつつ、2%の物価安定目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営していく方針です。続きまして、県の金融経済情勢ですけれども、愛媛県経済は、一部に弱めの動きがみられるものの、基調としては持ち直しの動きが続いています。個人消費は物価上昇の影響を受けつつも、百貨店を中心に時計などの宝飾品や催事等が堅調であり、全体としては底堅く推移しています。また、設備投資も、省人化・効率化を目的としたソフトウェア投資や、企業の競争力を高めるための研究開発投資など、県内企業による前向きな設備投資スタンスも維持されています。やや長い目でみますと、愛媛県では地域活性化に向けた様々な取り組みを進められています。今朝の挨拶の中でも申し上げましたけれども、観光業では、松山市の観光名所の一つである道後温泉の本館が、約 5年にわたる保存修理工事を経て、24年7月に営業再開致しました。創業当時の風情を残した新しい本館は国内外から多くの観光客を引き寄せています。

§4Kazuyuki Masu

風光明媚な瀬戸内海の島々を巡るしまなみ海道も、多くの観光客や自転車愛好家を魅了しており、来年5月には、自転車国際会議、Velo-cityが国内初で開催されるなど、自転車先進県愛媛の認知度が国内外ともに一段と向上することが見込まれます。また、本年秋頃には、松山市駅前広場の整備が完成すると聞いております。公共交通の乗り継ぎ利便性が高まることで、交流人口が拡大し、中心市街地が更に活性化することが期待されます。更に第一次産業、とりわけ当県が全国に誇る柑橘業において、昨年3月に高級柑橘を掛け合わせた新品種である紅プリンセスの出荷が始まりました。紅プリンセスは、平成 17年に愛媛県みかん研究所で育成が開始されたオリジナル品種であり、甘みの強い濃厚な味わいと滑らかな食感が特徴となっています。平成 30年に発生した西日本豪雨での苦難を乗り越え、力強く実った紅プリンセスが、柑橘王国愛媛の更なるブランド向上に貢献することを期待しています。このほかにも、愛媛県今治市には国内最大の海事クラスターを形成しています。今後 10年間に国内船舶建造量を倍増するという政府目標の達成に向けた当地海事関連企業の取り組みが注目されるところです。他方で、愛媛県の人口減少は深刻な状況にあり、先行きも全国平均を上回るスピードでの人口減少が見込まれるなど、人手不足は共通の課題です。

§5Kazuyuki Masu

こうした中、県内企業は、省人化投資、合理化投資に加え、デジタル技術の活用、働き方の見直し、外国人労働者の活用など、人手不足の克服に向けた様々な施策を講じています。愛媛県も、中期的な課題・施策を示した愛媛県総合計画の中で、県内企業の生産性向上の支援やDXを支える人材の育成・誘致、移住・定住の促進を通じた労働力人口の確保など、市町や金融機関等と連携したオール愛媛体制で後押ししており、重点的に取り組まれています。私どもとしては、松山支店を通じて情報収集や意見交換を行い、地域活性化に向けた様々な取り組みに少しでも貢献できるよう努めてまいりたいと考えています。

§6Question

午前の講演の中で、過度な利上げによってようやく回り始めた物価と賃金の緩やかな上昇の循環を壊さないことも必要で、慎重に取り進めていくことになるというふうにおっしゃっていました。利上げの経済への影響を慎重に見極めることはもちろん重要だと思いますけれども、一方で慎重になり過ぎると政策運営が後手に回ってしまうリスクというのもあろうかと思います。増委員はこのバランスをどのように取っていかれるお考えでしょうか。またですね、今後の利上げのペースについても、どのように考えておられるか、併せてお聞かせください。

§7Kazuyuki Masu

あくまで当然のこととして過度な利上げで経済の腰を折ってはいけないというのは、もう当然のこととしてみているということで申し上げたまででして、今の段階で決して後手に回っているとは私も思っていませんし、当然のことでバランスを両方みながら慎重に進めていくということをやっていきたいということで、言ったまででございます。そういう意味では、別にペースというものを考えているものではありませんので、そのときそのときで一番ふさわしいかたち、いろいろなデータをみながら経済の情勢、物価の情勢、金融の情勢と、こういうものを全部組み合わせて、その都度その都度判断していくことになるかなと思っております。

§8Question

講演のところで、食料品価格の高騰に関して米価格さえ落ち着けば良いという見通しはやや甘いのではないかというふうにおっしゃっておられました。これはその食品の価格が下がらないというところの可能性がこれまで見通されていたよりも、足元で高まってきているというふうにみていらっしゃるのか、その場合、この食品の価格の高止まりが仮に続くのであれば、それは利上げを急ぐ理由になり得るのか。この辺りの食品周りの考え方のところをお伺いできればと思います。

§9Kazuyuki Masu

この食品、米以外の食品についてっていう見方はちょっと私が特に気にしていて、個人的に作っている数字っていうところもあるんですけれども、やっぱり指摘したかったのは、ここはみておいてくださいと、ほとんどの人が米の話をしてて、米はなかなか下がりきってないですけど、少なくとも上がる状態にはなくなっているという意味で、これで止まればですね、物価上昇率はそこは止まるのかっていうふうにあまり思うと、それ以外のものも上がっているということをちゃんとみていかなきゃいけないということを中でも言い続けていましたし、こういう機会ですので外の方にも申し上げたというのが実情です。そういう意味で、割と高いところにあるのは事実ですけど、これが下がらないと思っているというんではなくて、下がらないと困るねということを分かって頂こうと思って、もう少し米以外のところ、米については何となくもう、下がってないですからいいわけじゃないんですけど、少なくとも横ばいには入ってきてるという意味ではこれからみなきゃいけないのは米だけじゃないですよ、ということの警鐘を鳴らしたいっていう趣旨で入れているものでございます。従って急いで対応するとかそういう状態だとは思っているものではございません。

§10Question

二点お伺いしたいんですけども、講演の中で、基調的な物価上昇率が 2%を超えないように抑えることが大切というふうに指摘しておられまして、ちょっと考え方でお聞きしたいんですけども、ここからは、緩和環境を維持して基調を押し上げてというよりもですね、場合によっては引き締めに転じるということもですね、視野に入れながら、金融政策を行っていく必要があるのかということをまず一点ですね。二点目、中立金利にも言及しておられまして、政策金利がですね、推定の下限に近づいているということで、今後は物価、雇用、金融環境などをより細かく点検していくのが必要であるというふうにおっしゃられまして、こっからの利上げはですね、これまでと比べて、時間軸的な観点も含めてですね、より慎重にですね、判断していかなきゃならないと、そういうふうにお考えか、二点お願いします。

§11Kazuyuki Masu

基調的な物価上昇率を 2%に抑えるというのは、別に引き締めという意味で言っているんではなくて、2%より高いとこに止まるのは別に望ましいわけじゃないですから、そういう事態になれば、引き締めにいかなきゃいけないということに、そのまま取って頂ければいいと思います。今はまだまだ緩和的ですから、そこに向かって物価を押し上げるというより、今は緩和的ですから上がっていくでしょうから、ただそれが綺麗に 2.0[%]とはいくかどうか別として、2%周辺にちゃんと収まるようにみていかなきゃいけないという趣旨で書いたものでございます。それから中立金利ですけども、まだまだ下限に近づいてるだけなんですけれども、これもですね、別に時間軸を意識してやる必要はあると思ってなくってですね、その時々の状況をみながら、一番適切なかたちで、ちゃんとしたかたちで収めていくのが必要だと言っているだけなので、これが急ぐとか急がないということはあんまり意識の中にはないとこですね。

§12Question

一点お願いします。講演の中のお話で、海外の中央銀行が利下げの方向で、日銀の方は利上げの方向で逆の方向で金融政策を採らなければならない状況からの脱却っていうものをご指摘されました。この海外と日銀で逆の方向を向いてるっていうことが、何か弊害といいますか、何か問題意識があるのだと思うんですけれども、その辺りをちょっとご解説、より詳しくお話頂けたらなと思います。

§13Kazuyuki Masu

弊害っていうかたちでご質問頂くと、ちょっとそれはあるかな、ないかなというとこだと思うんですけど。割と思ったそのままをここではお書きしていまして、そういう意味で書いたことの繰り返しになりますけど、 4月以降、世界中で心配していたのは、関税による景気の腰折れをみんなが心配してたと。もちろんインフレの状況もありますけれども、それを心配して、各国が利下げをやっている中で、日本だけはそれでも上げられるかということを探りながら上げてきたわけですね。それはもともと、資料にも入れときましたけど、もともと立ってた位置が、中立金利っていうのはあんまり使っちゃいけないんですけど、中立金利で比べると分かりやすいのでおみせしてるわけですけど、上にいた人たちが [中立金利の]レンジ(注)へ入ってきて、日本は下にいるのでそこより遠ざかるわけにはいかないから、上げられるかどうかを探ってきたっていうこと自体が、グローバルで経済をやってる中で日本だけが違うことやってるっていうことについては、やっぱりそれなりの違和感を感じてたので、そこについてはちゃんとしたかたちに、もう早く同じ場所に立つべきではないかという意見で書いたものでございます。

§14Question

二点お願いします。一点目、為替がもたらす影響についてどうお考えかというところで、物価の部分、コメントされてるところ多いですけども、円安による物価上昇の要因というのが、利上げの判断にどういった影響を与えると考えてらっしゃるのかっていうのが一点。二点目、総選挙近いですけれども、消費減税を訴える政党が多い中で、まだ仮定の話という域を抜けないかもしれませんが、大きく需要を喚起するような流れになると思う中で、委員の想定として、消費減税というのをどう考えていらっしゃるのか、二つお願いします。

§15Kazuyuki Masu

為替はですね、もうご承知のように、政府が管掌してるものですので、どういうふうにということは申し上げることはちょっとご容赦頂きたいですけれども、これが以前よりも物価への影響っていうのがですね、大きくなってることも事実ですし、この影響の持ち方によって、基調的な物価上昇率に影響を与えることもあるので、この辺は注意深くみていくと、これだけだと思ってます。それから、消費税はですね、これも財政の話ですし、もう時期が時期ですので、選挙ど真ん中ですので、ちょっとこれはもう、是非ご容赦頂ければと思います。

§16Question

二点お願いします。ご講演なんかで、基調的な物価上昇率はかなり 2[%]に近づきつつあるというお考えでした。そうなると超えないようにしなければいけないと考えた場合、次の利上げの判断までに、あまり時間を置かない方がいいというお考えなのか、もちろんいろいろみてということであると思うんですけれども、市場では4月にも日銀が再度利上げするのではっていう観測もあるので、その辺りについてもお願いします。これが一点目です。二点目は、最近、不動産価格の上昇、資産価格の上昇について、いろいろ社会的な問題として意識されて報道でも取り上げられることが増えてるんですが、こちらについて、金融政策との関連でどうみていらっしゃるのか。まだバブルというふうには思わないと思うんですけれども、一方で日銀の低金利が長く続いたことによるものではないかという指摘もあると思うので、その辺りご見解をお願いします。

§17Kazuyuki Masu

基調的物価[上昇率]が 2%に近づいているのは、もうおっしゃる通りです。私どもがそう思ってるのはその通りなんですけど、間を置かないっていう時間の軸についてはですね、時間と言ったときの取り方がいろいろあると思いますので、今のところ言えることは、いつなのかって話ではやっぱりないので、ちゃんとそのときそのときの、今からかなり慎重にデータをみてやっていくことになりますから、みていって、そのときにこうだと思えば逡巡しないという程度の意味だと思って頂いて、何月とかこういうイメージを持っている、予断を持って臨むのが一番よくないと思ってますから、そうじゃなく、ちゃんとしたものをみて、気がついたら、ちゃんとやると、そういう意味で考えてることだと思って頂ければ一番いいかなと思います。不動産に関してはですね、バブルかどうかという話ではなくて、これ自体を金融政策で対応すべきかどうかっていうのは、これはもう経済の世界でもいろいろな議論があって分かれてる話ですんで、これが今起きているから何かしなきゃっていうことにはならないと思うんですけども、この今の不動産価格が、実質金利がマイナスであるっていうことから起きているということは、どうしても認めざるを得ないかなとは思います。

§18Kazuyuki Masu

それが日銀のっていう紐付けされると、これは別のことを目的として、金融政策をやってきてるわけですから、その繋がりでちょっと言われるとどうかなっていうところもあるんですけれども、マイナスの実質金利が一番影響が出てくるとこは不動産かな、というのは私も常々思っているところです。

§19Question

次回の利上げの判断のタイミングについて、ちょっと重ねてで恐縮なんですがお伺いしたいんですけれども、今日の午前中の講演の方でも、利上げに関する考え方いくつか言及があったかと思うんですが、これは一般的に前回の追加の利上げが昨年の 12月に行われていて、過去のケースというかここまでのケースをみると、半年以上、一度利上げしてからその次の利上げまでは半年から 1年ぐらいのレンジで判断をされてきてると思うんですけども、必ずしもそういったレンジに囚われない、つまり、もっと短いレンジでの判断も十分にあり得るということなのかということと、それに関連して、前回のその利上げが物価に対して影響を及ぼしてきていると足元でご覧になってるのか。もし出てきてないのだとしたらば、どのぐらいの期間がやはりみて判断する必要があるのかについてお伺いしたいというのが一点です。次にですね、今の、ちょっと選挙の話になってしまって恐縮ですけども、衆院選で、各党で拡張的な財政政策について公約に掲げてる政党が多いと思うんですけども、この辺りちょっとコメントしづらいかもしれませんが、各党こういうふうに消費税の関係もあったりしての状況に対して、どのようにご覧になっているか、もしコメントできることがあればお願いできればと思います。

§20Kazuyuki Masu

今まで、確かに最初半年に 1 回で、去年1月から今度、随分空いてたっていうこともあって、その別に定期的なものではないと思いますから、過去の実績みてどれぐらいのタイミングでっていうことは私はもう全然ないと思ってるんですね。適正な期間っていうのは別に急激にやるのはよくないですけど、そのときその都度、考えていけばいいことですから、あまりもともとこういうペースっていうとらえ方をして頂く必要はないとは思うんですけど、それが短いのか長いのかというとどちらもある話ですので、これも先ほどと一緒になっちゃうんですけど、きわめて予断を持たずにその都度その都度で一番適切な判断をしていければいいかなと思います。物価への影響は、そこになかなかすぐ出てくるものではないので、だいぶ先になると思いますから、これすぐに出てくればわれわれもやりやすいんですけど、なかなか時間はかかるかなと思ってます。それから、財政に関しては、コメントしづらいどころか、もう全くコメントできませんので、これはご容赦頂ければと思います。

§21Question

二点ありまして、一つ目が、先ほどの質問について基調的な物価の上昇率について確認させて頂きたいんですけれども、講演で、かなり 2%に近づきつつあるというご発言だったかと思うんですが、確認なんですが、これはあくまで日銀の見通し通りに来ているというご認識なのか、それとも何らかの要因で予想よりも早まっているという認識なのかの確認が一点。もう一つの質問はまた別で、長期金利が今かなり高い水準になっていて、あの国債の買い入れのペースについても言及を講演でされてたと思うんですけれども、マーケットの状況を見極めながらしっかりと検討していく必要があるというご発言でしたが、例えば金利の上昇を抑えるためにその臨時に買入れを増やすだとか、そういうお考えがあるのかないのか、お聞かせください。

§22Kazuyuki Masu

基調的物価が 2%に近づいてるところは、これはもう本当に私が少なくとも入行してからは、このペースが早まってるとか遅くなってるということは全くなくって、きわめて予定通り近づいているなというのが、たくさんのデータ、ものすごくたくさんデータがあるので、その中でみた印象としてはそう思ってますから、ここはもう全くそのままだと思います。それから、国債の買入れについても、ペースについては、ある意味責任を持って慎重にやるということを申し上げているわけですので、ここまで持っている以上は責任を持ったかたちで減らしていくということを、あくまで進めていくだけですから、金利の操作はオーバーナイトだけでありますので、国債の買入れは、金融政策としてやるということにはもうならない、金利の政策でやるということにはならないと思います。あくまでも例外的な事態になったときには緊急的に対応しますっていうような、かねがね申し上げているそれ以上のものは何もないと思います。(注)会見ではマーカーと発言しましたが、正しくはレンジです。以上