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Bank of JapanPress conferenceSep 18, 2026Kazuo Ueda, Governor

総裁定例記者会見(2026年9月18日)

Original in Japanese

Transcript

○ No timestamps

The Bank publishes a written summary of questions and answers; it carries no timestamps.

Q
Reporter

本日の金融政策決定会合の内容について、ご説明をお願いします。

A
Kazuo Ueda

今日の決定会合ですが、まず金融市場調節方針について、政策金利であります、無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標を、従来の 1.0%程度から 1.25%程度へと変更することを賛成多数で決定しました。これに伴いまして、補完当座預金制度の適用利率および基準貸付利率の変更も決定しました。なお、浅田委員は、足元の生鮮食品を除く消費者物価の上昇率が 2%を下回る中、経済の状況も必ずしも強いとはいえない点を踏まえると、金融市場調節方針を据え置くことが望ましいとして、また、佐藤委員は、経済・物価情勢が、現時点ではこれまでと比べて、大きく加速している状態にあるわけではないと考えられるもとで、このタイミングでの利上げは適切でないとして反対されました。このほか、今日の会合では、気候変動対応オペについて、金融調節の円滑な運営を確保しつつ、民間における気候変動対応を安定的に支援するという観点から、貸付金利を変動金利にすることなどを全員一致で決定しました。続いて、今回の金融市場調節方針の変更の背後にある、経済・物価・金融情勢についてご説明します。わが国の景気ですが、中東情勢の影響もあって、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復しています。

先行きも、中東情勢の影響が下押し要因となるものの、グローバルな AI関連需要の増加に加え、政府による各種施策等が経済を下支えすると考えられますため、緩やかな成長を続けるとみています。物価面ですが、原油高や為替円安に加え、 AI関連需要拡大の影響から、国内企業物価は前年比で高い伸びが続いています。生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、企業間取引における価格上昇圧力が消費者段階にも波及し始めているほか、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きも続いており、このところプラス幅が緩やかに拡大しています。こうした中、中長期の予想物価上昇率は引き続き上昇しており、消費者物価の基調的な上昇率は 2%に近づいています。以上のように、わが国の経済・物価は、展望レポートで示してきた中心的な見通しに概ね沿って推移しています。中心的な見通しに対するリスク要因としては様々なものがありますが、中東情勢や AI関連需要の拡大、為替相場の変動が、わが国経済・物価に及ぼす影響には引き続き留意が必要です。基調的な物価上昇率については、企業の賃金・価格設定行動の積極化や、中長期的な予想物価上昇率の上昇などを踏まえますと、2%の物価安定の目標を超えて上振れていくリスクがあります。この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にあります。実質金利は、短中期ゾーンを中心に、なお低い水準となっています。

企業等の資金需要は増加しており、金融機関の貸出態度も引き続き積極的です。CP・社債市場でも良好な発行環境が続いています。以上の経済・物価動向やリスク要因、金融環境を踏まえ、本日の会合では、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断しました。政策金利の変更後も、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えています。今後の金融政策運営については、基調的な物価上昇率が 2%に近づいている中、現在の金融環境が緩和的であることを踏まえますと、経済・物価・金融情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。そのうえで、調整のタイミングやペースについては、中東情勢や AI関連需要の拡大、為替相場の変動の影響を含め、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら検討していく方針です。特に、基調的な物価上昇率が 2%の物価安定の目標を超えて上振れていくリスクが顕在化し、それがその後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、基調的な物価上昇率を 2%程度の水準で安定させていくという観点が重要になると考えています。日本銀行は、2%の物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営していく方針です。

Q
Reporter

質問は二問です。一問目は米国とイランを巡る中東情勢の不透明な状況が続いています。7月に公表した展望レポートでは、中東情勢を経済・物価のリスク要因の一つに挙げられたものの、経済の大きな下振れリスクや物価の大きな上振れリスクは低下していると評価されました。 7月と比べ、現状の中東情勢による経済・物価の影響に変化があったのかどうか、どう政策決定に反映させたのかお聞かせください。二問目は 2024年3月にマイナス金利を解除して以降、市場では半年に 1 回のペースでの利上げが織り込まれてきました。今回は 6月に利上げをして 3 か月で再び利上げをすることになりました。利上げを早めなければインフレが加速すると判断されたのか、利上げペースが速まった理由と今後のペースについてお聞かせください。

A
Kazuo Ueda

まず、中東情勢を巡るご質問ですけれども、 7月の展望レポートでは、中心的な見通しに対するリスク要因として、ご指摘の中東情勢に加え、 AI関連需要の拡大や為替相場の変動の影響を挙げましたが、本日の公表文でも、こうしたリスク要因がわが国の経済・物価に及ぼす影響には引き続き留意が必要であることを指摘しています。このうち、中東情勢ですが、なお不透明な状況が続いています。もっとも、こうした情勢に伴う下押し圧力にもかかわらず、わが国の景気は、AI関連需要の増加や政府による各種施策等が経済を下支えする方向に作用しており、緩やかに回復しているとみています。一方、物価面では、原油価格は足元再び上昇してます。原油高等を起点とする物価上昇圧力が、今後とも、幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性が高いと考えられます。このほか、AI関連需要の拡大や、これまでの為替円安の進行が、企業間取引における価格転嫁を通じて、今後、消費者段階における、様々な品目の価格上昇につながる可能性があります。そのうえで、今日の決定会合では、経済・物価が中心的な見通しに概ね沿って推移し、基調的な物価上昇率が 2%に近づいている中、ご指摘の中東情勢の影響を含め、物価の上振れリスクに留意する必要があることなどを踏まえて、政策金利を引き上げることが適切であると判断しました。

続いて次のご質問ですけれども、私どもは従来から、金融緩和度合いを調整するタイミングやペースについては、経済・物価の中心的見通しが実現する確度やリスクを点検しながら検討していく方針を示してきました。前回決定会合以降の経済・物価動向をみますと、景気は中東情勢の影響もあって、一部に弱めの動きがみられますが、緩やかに回復しています。物価面では、国内企業物価は前年比で高い伸びが続いており、消費者物価の前年比も、ここのところプラス幅が緩やかに拡大しています。こうした中、中長期の予想物価上昇率が引き続き上昇しており、基調的な物価上昇率は 2%に近づいています。このように、わが国の経済・物価は、展望レポートで示してきた中心的な見通しに概ね沿って推移しています。加えて、先ほど申し上げた通り、金融環境が緩和的な状態にあること、各種の物価上振れリスクに留意する必要があることなどを踏まえ、本日の決定会合において、政策金利を引き上げることが適切であると判断しました。そのうえで、今後の金融緩和度合いの調整のタイミングやペースですが、これまでと同様、中東情勢や AI関連需要の拡大、為替相場の変動の影響を含め、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら検討していきます。これまでは、基調的な物価上昇率が 2%より低いとみられる中で、それを上昇させることが、ある意味、短期的な政策の狙いでした。

これに対して、現在、基調的な物価上昇率が 2%に接近しつつありますので、それが、基調的な物価上昇率が 2%の物価安定の目標を超えて上振れていくリスクが顕在化し、その後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、基調物価上昇率を2%程度の水準で安定させていくという観点が重要になっています。そういう意味で、政策の局面が変化したと考えています。こうした基本的な考え方に立って、今後とも、経済・物価・金融情勢をしっかりと分析し、2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営してまいります。

Q
Reporter

今しがたですね、政策の局面が変化したというふうにおっしゃられまして、その意味では今回利上げペースをちょっと速めたわけですが、日銀の見通しに沿って経済・物価が進み 2%に基調が近づく中で、緩和環境が維持され、なおかつ物価上振れリスクがありますと。そういう状況になれば、引き続きやっぱり 3 か月とか、ちょっと月数は具体的にはあれですが、従来よりも速めの利上げペースということはあり得るということで考えてよろしいのでしょうか。もう一点目なんですが、利上げぺースをですね今回ちょっと速めるじゃないかという憶測の中で、実際にターミナルレートもマーケットでは一緒に上がっているような状況があったと思うんですけども、総裁はペースとですね、ターミナルレートの関係、ペースが速まればターミナルレートも高まるのか、それとも分けて考えるのか、この辺の考え方について、以上二点お願いします。

A
Kazuo Ueda

さっき申し上げたように、政策の短期的な狙いというか考え方は少し大きく変化したということですけれども、それでは今後の、例えば利上げのペースがどうなるのか、それについて 3 か月に 1 回とか何か特定のものを念頭に置いてるかと言われれば、それはないということでございます。基調物価を今後は 2%に定着させていくという観点から、経済・物価の見通しを点検し、そのリスクを考え、適切に毎回の決定会合でしっかり分析して政策を決めていくということでございます。それから二番目はターミナルレートに関するご質問ですけれども、一部のターミナルレートに近いような金利というのは市場でみえるわけですけれども、短期的なそういう市場の動きにコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、考え方としては、ターミナルレートはおそらく、中長期の名目の中立金利に、より短期的に経済・物価を考えて、どれくらいそこからずらすのが適切かということに関する判断と、あと海外の金利等の影響を受けて決まってくるものと考えます。特にその中でも、中立金利については、また後でご質問が出るかもしれませんけれども、これまで申し上げているように、なかなか特定するのが難しい概念、変数ですので、よってどういうところがターミナルレートとしてあるべき姿かっていうのも、なかなか特定しがたいと思ってます。

私どもの考えとしては、先ほど申し上げたような基調物価を 2[%]に定着させるという政策をする中で、その中で常にしっかりと様々なデータをみていかないといけないわけですが、適宜、政策変更を必要に応じてする中で、事後的にターミナルレートがどれくらいだったのかということも決まってくるというふうに考えております。

Q
Reporter

総裁、今月のG20後の記者会見で、基調物価につきましてかなり 2%に近くなっているという見方を示しておられました。日銀は、26年度の後半から27年度にかけて基調物価が 2%目標と概ね整合的な水準になるとしていますけれども、距離感としてはもう来月も含めて早い段階で達成するとみられるのか、それとも 27年度まではかかりそうなのか、現在の手応えをお聞かせ頂けますでしょうか。もう一問お願い致します。今後利上げのペースやタイミングを判断していくうえで、総裁はどのようなデータをですね重視して、判断していかれるお考えでしょうか。昨年の 12月の利上げ局面ですと、例えば春闘の初動のモメンタムというのを重視しておられましたけれども、来年の春闘の動向というのは今後の利上げを判断していくうえでもかなり重要な要素になってくると考えておられますでしょうか。

A
Kazuo Ueda

基調物価の動きの全般的な姿ですけれども、先ほど、近づきつつあるとか、G20ではかなり近くなっているとか表現致しましたけれども、基本的には従来からの見通し、つまり26年度後半から27年度にかけて2%に到達するという見通しに沿って動いてるかなというふうに思います。2%に現在の認識としてかなり近いところにあるというのは、なかなか難しいわけですけれども、それを一つの指標でみることができるとすれば、大体 2[%]に近いところにきている。しかし、われわれがみたいのが、それが 2[%]でかなりの期間定着していくかどうか、そういうことを含めて確認するのには暫く時間がかかるだろうというような意味で使っております。それから後半は、今後の政策運営に際してどういう指標をみていくのか、そういう中で、来年の春闘ですか、が重要かどうかというご質問だったと思いますが、これは先ほどの問 1 といいますか、今日の決定のご説明で申し上げた通り、特に重要な点としましては、一方で物価の上振れリスクとなりそうな、なっているわけですけれども、中東情勢、AI周り、それから為替相場の変動、この辺りを詳しくみていきますが、それも含めて経済・物価の中心的な見通しの確度、それからリスクを決めるような変数の動きを点検していくという姿勢に変わりはありません。

ただ、基調的な物価の動きが重要なわけですが、現在 2[%]に大体ヒットしつつあるというところですけれども、これが定着していくかどうかという際には、一つの大きなポイントとして27年度の春闘もあるということは私どももよく認識しています。

Q
Reporter

二問お伺いします。まず、緩和的な金融環境についてお伺いします。銀行の貸出残高は前年比で 5、6%の高い伸びを示しており、金融環境はきわめて緩和的なようにみえます。確かに政策金利の引き上げというものの効果は、累積的に時間がかかるものと言われますが、現時点でみると、これまでの利上げがなかなか効果を発揮していないようにみえるのですが、総裁の受け止めはいかがでしょうか。また、中心的な見通しの実現がまもなく視野に入るような時期に入るところで、こうした金融環境、緩和的な環境を放置していれば、物価上昇率が 2%を超えていくリスクがいよいよ顕在化する恐れがあると思います。こうした緩和的な環境の修正のために早期に追加利上げをする必要があるかどうか、総裁のお考えを伺います。もう一点は、今回二名の反対者が出たことについてお伺いします。浅田、佐藤両審議委員が決定に反対を致しました。お二人は高市政権が指名して、新たにボードに入られたお二人です。この反対者二人が、総裁が提案された議案に反対された事実について受け止めをお伺いします。併せて、来年7月には、これまで利上げにきわめて積極的な発言をしてきた高田、田村両審議委員が退任されます。この両審議委員の退任後、利上げが難しくなるのではないかという見方もマーケットにはございますが、来年7月までに必要な利上げを終えなければならないというような考えはあるでしょうか。

A
Kazuo Ueda

一つ目は金融環境についてのご質問ですけれども、おっしゃるように全体の私どもの評価としてはまだ緩和的であるということでございます。インフレーションをコントロールするという観点からは、もう少し引き締まっていかないといけないのではないかという趣旨のご質問だったと思いますが、これは緩和的ではありますが、その度合いは政策金利を引き上げることによって少しずつ縮まっているというふうに考えております。特に、金融環境は大別しますと、二つ、三つの面からみております。一つは金利周り、それから二つ目は銀行貸出の周りがどういうふうに機能しているかと、三番目は資産市場、株価とか為替でございます。そのうちの金利周り、特に長期とか超長期のところはかなり引き締まってきている。残りの二つのチャネルが少しまだ緩和的であるということでありますが、引き続きこれがどうなるかというのは丁寧にみていきたいと思いますが、あまり急激に政策金利を引き上げて、financial conditions が、特に銀行貸出周りとか、資産価格周り、大幅な調整が起こるということ、それによるマイナスを避けるという観点もある程度は重要かというふうに思っております。

それから、今日二人の委員が利上げに反対したことについての評価というご質問だったと思いますが、おそらく二人、例えば指摘された中にあった点は、GDP統計とかをみると、内需が必ずしもそんなに強くないような、私どもも注意してみているような弱さを指摘して、それらを根拠に利上げに反対であるという結論を出されたと認識しています。他の論点もいろいろあったわけですが、こうした論点は他の利上げに賛成した委員の人たちも認識しているうえで、もう少し違う側面の強さ、あるいは弱いとみられるところが一時的な要因、技術的な要因であるというようなことを根拠に利上げが適切であるというふうに判断されたということで、ある種、適切な議論が行われた結果、今日のような結論に至ったというふうに思っております。そのうえで来年の夏にまた委員の交代があるわけですが、どういう委員が着任されるか、現在予想のしようもありませんので、そこを心配して、金融政策のそこまでの経路、決定のペース等を左右させるということは基本的にないというふうに考えております。

Q
Reporter

今の質問とちょっと関係するんですけれども、マクロでみてなかなか金融の引き締めとか景気減速がみれない中で、今回 1.25%に上げてどういう影響が表れるか分かりませんけれども、今後景気が減速すれば、需給ギャップは悪化するし、物価には下押しとして働くんですけども、一方で、基調インフレ率それからトレンドインフレ率、合成予想物価上昇率も 2%に近づいている中で、やはり金利の引き上げが必要かと思うんですけど、植田総裁が前から言われてるリスクマネジメントの観点から、現状ではどのようにこれから出てくる金利引き上げの影響の大きさ、タイミング含めてお伺いしたいんですけど、よろしくお願いします。

A
Kazuo Ueda

ざっくり申し上げれば、リスクには上振れリスクも下振れリスクもあります。リスクマネジメント的な政策運営という観点から申し上げれば、さっき三番目のと言ってお答えした点ですけれども、これまではたまたまそういうリスクをみていなかったけれども結果的に上振れリスクが顕現化して、結果的に基調物価が上に行ってしまっても、2[%]より下の段階で上に行くんだからそれはOKであるということになったかと思います。今後はそれは困るということになる。ただし、当然下振れして、景気が予想外に悪化して、それが基調に影響して、下振れするということも困るわけで、そういう意味ではリスクマネジメントを対称的に行う。これまでは下振れリスク量は厚く、その結果としてですが、やや gradual な利上げのペースだったのが、ここからはリスクを対称的にみつつ、金利変更のタイミング、ペースを決めていくというアプローチになるというふうに考えています。

Q
Reporter

日本の中央銀行の独立性について伺います。ちょっと 7月会合の前なんですけれども、片山財務大臣に財政政策と金融政策の関係性について聞いて、高市政権が推し進めてる責任ある積極財政と日銀の段階的利上げは逆行するものかって聞いたんですけれども、今の日銀法の制定過程に触れられてまして、特に日銀の自主性を重んじる 3 条と、金融政策は経済政策の一環であるっていう 4 条について、過去の日本の味わった苦い経験や反省、教訓を踏まえて今の日銀法の建て付けになったと。あと当時、政策新人類として名が通っていた元首相の安倍さんも法律の制定に関与をし、安倍さんと非常に近かった高市首相、今の高市政権もアコードを通じてそうした思想を引き継いでいるとおっしゃっていました。これちょっとどこで線引きするかですけど、ここ最近少なくとも 6、7月以降の日銀の発信や今回の利上げを含む政策判断、そうした政策の思想と考え方に辻褄が合うので確認になってしまうかもしれないんですけど、総裁の任期もあと 1年半ということで、金融政策の正常化も非常に重要な局面になってきてると思いますので、改めて中央銀行の独立性について総裁のご認識を伺えればと思います。

A
Kazuo Ueda

特に、日銀法でいえば[第]4 条にあるような内容との関係で、独立性をどう考えるかというご質問だと思いますけれども、そこに書かれていますように、政府との意思疎通を密にするということは他の国でも、法律に書かれてるかどうかは別にして、きわめて重要なことだと思います。財政政策が例えばどういう方向に行っているのかということを知らずに金融政策を運営することはできないので、そういうことを密接な意思疎通のもとで確認したうえで、私どもは適切な金融政策を決定すべきであるというのが[第]3 条の趣旨であると思いますし、それに沿って運営してきましたし、今後もしていきたいと思っております。

Q
Reporter

二問あります。一問目は中東情勢の緊迫化で原油の価格がまた上がっている中で、今回の声明文でも企業間取引価格の上昇が消費者物価に波及する動きについて言及がありました。この最近の原油価格の上昇というのが、先行きのコアCPIがピークを迎える時期にどう影響を与えるのか。また、2%、コアが明確に超えた状態っていうのが、7月展望レポート時点でみていたより長引いてしまう可能性をどうみるのか、今後、10月の展望レポートに向けた議論する中で、現時点でその先行きについてどうみていらっしゃるか伺いたいのが一点目です。あと、先ほど二点目なんですが、金融環境についてあまり急激な利上げをすることによって資産価格に大きな調整が起こることは避けなければならないとの発言でした。市場では今、例えば 50bps の利上げあるいは連続利上げといった見方が一部であるんですけれども、こういう金融環境の大幅な調整を避けるべきという考え方であれば、こうした 50bps の利上げ、連続利上げっていうのは考えづらいのか、それとも物価の状況次第ではあり得るのか、その辺りの考えをお願いします。

A
Kazuo Ueda

中東情勢のCPIへの影響ですけれども、おっしゃるように3月、4月の原油関連の価格上昇を第一波としますと、その第一波が企業物価に影響を及ぼして、そこはやや下火になりつつある中で、一方でCPIにだんだん転嫁されつつある。そういうところに第二波の足元、原油関連の燃料その他の価格上昇が起こってるということで、その先がご指摘のように懸念されるわけですけれども、その原因であります、サウジアラビア関係の事態がずっと続くかどうかは非常に不確実で、パイプラインが早めに再開されるという可能性あるいは代替ルートが使われるという可能性も十分ありますので、そこは注意してみていきたいとは思いますけれども、長引いた場合に、企業物価にもう 1 回影響して更にCPIに影響するという可能性があることはご指摘の通りで、そこは注意してみていきたいと思います。それから、利上げと金融環境の関係、それとの関係で、 25bps を上回るような利上げがあり得るのかあり得ないのかというご質問ですけれども、これは一言で申し上げれば、物価情勢次第でいろんな可能性があると思いますので、特定のやり方を排除するということを前もって決めるということはできないと思います。

Q
Reporter

先日、審議委員の高田委員が講演で海外の中央銀行が利上げに転じたことが局面の変化の一つの要因だというご指摘をされました。実際にECBやFRBは直近の会合で利上げを決めています。植田総裁はこうした海外が利上げに転じた動きが、日銀の利上げのタイミングやペースにどのような影響を与えると考えているでしょうか。また金利差が縮まりづらい状況になったという意味では、三つのリスクに挙げている為替において円安を是正しにくいという状況もあるかと思いますが、その辺りの考えについても教えてください。二点目がですね、前回の 7月会合の主な意見で、ある一人の委員から待つことのリスクが小さいとは言えないという意見がありました。これはかつての植田総裁の言い回しを引用したものとみられますけれども、植田総裁ご自身はですね、今の環境での待つことのリスクについてどのようにご認識されているでしょうか。

A
Kazuo Ueda

待つというのは何を待つという。

Q
Reporter

すいません。これ公表文そのまま引用しているので、現在の金利を据え置くという意味での待つことというふうに私は認識しております。

A
Kazuo Ueda

まず、海外中銀の利上げの影響というご質問ですけれども、利上げ後、ECBやFedの総裁と話をしたわけではないので、利上げの本当の理由がどこだったのかということは、今後聞いてみたいとは思いますけれども、例えば中東情勢からくるインフレ懸念だったり、一方でAIの需要の強さのインフレへの影響という可能性はあるわけで、そういうことはわれわれもリスクとして、あるいは中心見通しを形成する際の一要素として入れているし、リスク要因としても評価しているということであります。ただそのうえで海外中銀が動くということは、為替チャネルを含めて様々なルートで日本の物価に影響がありますから、そこは注意してみていきたいというふうに思っております。利上げをするかどうかということを考えるべき局面において、利上げをしないで分析を続ける、そういう意味で待つことのコストとかリスクが大きいか小さいかというご質問だと思いますけれども、それは物価情勢、物価がどれくらい目標 2%から、特に基調物価が上振れていくリスクがあるかどうかということが一方にありますし、もう一方では待つことっていうのは単に座って待ってるわけではなくて、データ・情報を分析するということをするわけで、常にそれは大事なことですが、きめ細かな分析がどれくらい必要かという、特に必要な微妙な局面かどうかということに依存するんだと思います。

両方が待つことのコスト、ベネフィットを決定していくんだと思います。私どもの今の姿勢としては、いろいろ丁寧に分析しないといけない局面であるというふうには思っていますが、だからといってゆっくりやればいいということでも必ずしもない。しっかりと分析する、そして適切なタイミングで反応する、あるいは政策変更するということが求められる局面であるというふうに思っております。

Q
Reporter

公表文拝見しますと、現状認識でいいますとですね、 7月から変わっていないと思うんですが、7月の利上げだと確かに連続利上げになってしまうという部分もあるかと思うんですけれども、7月ではなくて今回の利上げになった明確な理由、判断の要素などがあれば、総裁のご見解をお聞かせください。あともう一点、1.25%の政策金利になってですね、金融環境、依然緩和的という、維持されているという状況かと思うんですけれども、中立金利の把握が難しいという前提のうえで、次、仮に 1.5%になった場合、それでもなお、金融環境は緩和的といえると総裁お考えでしょうか。

A
Kazuo Ueda

前半は 7月から何が変わったのかっていうご質問だと思いますけれども、最初に少し申し上げましたように、物価の上振れリスクとして挙げていた中で、中東情勢は先ほど来ご質問もあったように、やや悪化しているといいますか、インフレを上振れさせる方向に少し動いているということだと思います。それから、AI周りはここ数か月で、私が海外の実務家、あるいは政策担当者と話をしていた感じでは、好調さが予想以上に続いているという情報を得ているという感じがございます。どんどんどんどん加速していってるということでは必ずしもないですけれども、好調さが続いているということだと思います。更に申し上げれば、基調物価に関連して、これはどちらかといえば第 2 四半期になりますが、一部の中長期のインフレ予想の指標が上昇した。それがその後、そういうレベルを保っているということ。それから、毎勤統計に代表されますような賃金のデータが春の春闘の結果を反映して、かなりしっかりとしたデータが数か月続いて、やはり春闘に表されたような姿が、経済全体に広がっているなということも確認できつつある。これは基調物価が強い、あるいはどんどん上振れていくということではないんですが、2%周辺にだんだん収束しつつあるという、すごい重要なポイントであるかなと思ってみておりました。

それから二番目の金融環境について、仮に次に 1.5%に金利が上がったときに、それでもまだ、緩和的と判断するのかどうかということですが、それは定型的で申し訳ないですが、1.5%に仮に上げるときが来たとしますと、そのときまでの経済・金融変数の動きをみて、しっかり判断して、改めてそのときに評価を申し上げたいと思います。

Q
Reporter

政権との関係についてお伺いします。高市政権なってからですね、日銀利上げする場合、25年の12月とこないだの6月、いずれも1 か月ほど前にですね、植田総裁と高市さんが直接面会をしていましたが、今回そうした面会はなく、利上げに至りました。これはコミュニケーションの仕方に変化が起きてるのか、それとも利上げに慎重といわれている政権側に考え方の変化があったのか、どちらなんでしょうか。

A
Kazuo Ueda

高市政権とは、様々なレベルで、密接な連絡を続けております。

Q
Reporter

今回の利上げで政策金利は1.25%と、またあの31年ぶりの高い水準を進むことになりました。日本経済が長く経験しなかったゾーンにまた深く入っていくということになって、総裁も先ほど政策の局面が変化したとおっしゃいました。こういう中で、ほどよい金利水準を探りながらも利上げを続けて物価安定を目指すことの難しさと、総裁の理想としては、中央銀行としてこういう局面の変化にどういう考え方や姿勢で向き合うべきとお考えでしょうか。

A
Kazuo Ueda

局面が変化したポイントは、政策金利は 1.25%になったということよりは、基調物価が 2[%]より下にいたのが大体 2[%]に近づきつつあるということで、先ほど来議論がありましたような上下のリスクに対称的に反応しないといけないという意味で、局面変化だということです。これからの難しさとしましては、 1.25%になって、今後普通に考えれば一つは中立金利まで、一方で基調物価、大体 2[%]ですから、中立金利まで金利を引き上げていくということを丁寧にやっていかないといけないわけですが、同時に、上振れリスクもあるというふうに申し上げている通りで、それへの対応も考えながらやっていかないといけない。更に、中立金利がどこにあるか分からないという中で進んでいかないといけないという辺りは、なかなか難しいなと思っております。

Q
Reporter

総裁、本日のやり取りの中でですね、急激に引き締めて経済にマイナスを与えることを避けることも重要だとする一方で、連続利上げとあと 50bps の利上げについては、特定のやり方を排除しないとおっしゃられました。この趣旨について確認させて頂きたいんですけども、連続利上げや 50bps の選択をとったとしても、経済にマイナスを与えないということが可能だということなのか、それとも経済に多少のマイナスを与えても連続利上げや 50bps の利上げをとり得るという趣旨なのか。またあの総裁、経済について、物価見通しについて、一定の見通しを持ってらっしゃると思うんで、現時点で連続利上げの可能性についてどの程度お考えなのか教えてください。

A
Kazuo Ueda

大きな幅の利上げとか何回も連続して利上げするというようなことは、端的に申し上げれば、物価が目標を超えてものすごい上がっていくというリスクが高いか、あるいは既に目標を超えちゃっているかというようなことに依存するんだと思います。いい例が、22年、23年のアメリカやヨーロッパです。私どもの方針としては、そういうことを避けるように、現在からよく考えて、基調物価でいえば、2[%]をはっきり超えているという状態では、今ないとみていますけれども、今後もそういうことはないように前もって pre-emptive にいろいろな調整をしていく、そういうことで結果として、場合によっては経済あるいはマーケットに不測の事態を発生させるような大幅な利上げ等に追い込まれる可能性も減らすことができるというふうに思っております。

Q
Reporter

ちょっとテーマが変わって恐縮なんですけれども、日銀の国債の買入れ減額計画についてちょっとお聞きしたいと思います。日銀が国債の保有残高を圧縮している一方で、市場には大量に国債が供給されて、日銀以外のサイドで買入れを積み増す額が増えていると思います。足元の長期金利の上昇の遠因というか一因にもなってると思うんですけども、総裁のご所感をお願いします。

A
Kazuo Ueda

いわゆる需要と供給の大きさ、最終的には需要イコール供給なんですけれども、マッチする前の需要と供給の動き、これが長期金利にどういう影響を与えているかということについては、昔からいろんな分析があって、現在もそこそこあると思いますが、需給要因がここのところの長期金利の動きにすごい大きな影響を与えたという分析は、ちょっと近い過去は記憶にございません。

Q
Reporter

8月30日のベッセント長官との会談をされて、それについては翌日、米国の財務省の方から大幅な円安を修正していくために断固たる金融政策をとってほしいということを指示したというふうな発表がありまして、これ余計なお世話だなという気もするんですけれども、ただ内容的にはもっともな面があるように思います。総裁も会談自体については非常に有意義だったとおっしゃっておられる。しかるに本日0.25%利上げをした後、その直後から円相場は 1 円 50 銭程度円安に振れてますね。あるいは報道ベースで先行した時点でも、円高にはほとんど振れなかった。つまり0.25 ではちょっと力不足だったのではないかと、先ほど 50bps の利上げがないのかと、それに対しても非常に慎重なご発言であったと思いますけれども、今回 50bpsでない理由をやっぱり円相場の面からも聞かせて頂きたいのと、連続利上げにも慎重な理由をもう一度聞かせて頂けないでしょうか。

A
Kazuo Ueda

まず、ベッセント長官との会談の内容についてはノーコメントとさせて頂きます。それから、私どもの金融政策は、為替変動のわが国の物価に与える影響を考慮したうえで金利政策をどうするかというふうには動きますけれども、為替をコントロールする、為替をある領域、範囲に安定化させようとかそういう政策として行っているものではないということを改めて申し上げておきます。それから連続利上げがあるかないか、こういうことについては先ほど来申し上げておりますように、私どもの政策を決める経済の見通し、リスクに対する評価次第であって、前もってある、ないということをお約束できるものではございません。

Q
Reporter

6月、7月と今回何が変わったという観点からお聞きしたいんですけれども、特に物価についてですね、6月利上げをした段階では、企業間取引における価格転嫁が速いスピードで進んでいって消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性があるというふうに記述されてます。今回その部分みますと、消費者段階に波及し始めてるということで、かなり踏み込んだというか、段階が進んだというふうな表現に変わっているんですけども、具体的にどのデータがそんなにいつの段階で変わったのかなという気持ちでこの文章をみていたんですが、どこがこの表現の変化の根拠なんでしょうか。

A
Kazuo Ueda

企業物価の消費者物価への波及については、様々な情報、あるいは過去のパターンから波及していくなというふうにみていたわけですけれども、その後、6月、7月、8月分について、今日も全国消費者物価指数のデータの公表がありましたけれども、これをみますと、予想されたような品目について、細かい内容はちょっと省かせて頂きますが、ある程度の転嫁が進みつつあるというふうに認識していますし、そういう意味で多少の大きさの上下はありますけれども、予想していたような方向に消費者物価が動いてるなというふうにみております。

Q
Reporter

総裁、G20の財務大臣会合・中央銀行総裁会合で、この前アメリカで行ったときにですね、ベッセント財務長官はその会議後の会見で日本側に話をしたこととして、I've talked to the Japanese, I 've said they had a tremendous success inAbenomics and now they should actually let that run and stop the reflation.という言い方をして、彼らに対してリフレ政策やめるべきだと言ったんだという言い方をしました。総裁、そのやり取りについてお話にならないのは分かってるのでそこはいいんですけれども、これ国際的な見方としてリフレ政策をやめるべきだという話がある中で、ここで私、12月に総裁にアベノミクスについてお聞きしたときに、総仕上げの段階ということをおっしゃってました。今ですね、総裁としてアベノミクス以来のリフレ的な政策、主体的に考えたときに、日本が財政政策、金融政策どうすべきだと考えていらっしゃるでしょうか。先ほど財政政策知らずして金融政策ができないという発言もあったので、その両面で伺いたいと思います。

A
Kazuo Ueda

財政政策について直接コメントをするのは中央銀行の立場として差し控えます。ただし、金融政策、私どもの政策の面で、ご質問にお答えするとしますと、確か、G20のときも近いご質問があったと思うんですけれども、私ども先ほど申し上げましたように、ここまでは長い間、基調物価を上昇させるという、もちろん長期的には 2%で持続的・安定的に維持するということが目標なわけですが、そこに達していなかったので、上昇させるということが狙いで政策を運営してきました。先ほど申し上げましたように、大体 2[%]に近づいてきてますので、今後の政策の狙いはそこで定着させるということになります。

Q
Reporter

昔は日銀の利上げといえば即日実施が原則でしたけども、今回の利上げ局面では、制度的な理由等で翌営業日実施でずっとやっておられます。今回の場合はですね、土日だけじゃなくて、連休も挟むので、この実施が 24日ですから 6日もかかるという、これだけインターバルある利上げってあんまり私記憶ないんですが、これだけ、特に土日は海外も休んでますが、日本の連休中は海外も開いているということもあると、何かしら何か問題が生じるということはないのか、あるいは全くそういう問題は生じる懸念はないということなのか、ちょっとその辺りについてのご認識をご説明頂けますでしょうか。

A
Kazuo Ueda

問題が起こるとすると予期せぬことが起こるということだと思いますが、おっしゃるように、金利変更からそれが取引に影響するまで、かなり長い期間が空いてしまうというのは場合によってはリスクがあるかと思いますので、今後のMPMのスケジューリングのところで、そういう点を考慮するか、必要があるかどうか検討したいと思います。

Q
Reporter

ベッセント長官との会談の内容についてお話できないということは理解したんですけれども、ベッセント長官は記者会見とか、あるいはメディアのインタビューに対してかなりおおっぴらに、あからさまにですね、日本の長期金利の上昇とか円安を非常に心配して懸念を示しています。この懸念は正しいんでしょうか、それとも過剰な心配なんでしょうか。あるいは長期金利 3%、超長期金利 4%という状態は、これは金利ある世界への正常化の一つの一段目の動きに過ぎないのか、それとも何かやっぱり問題があってそういう上昇をしているのかということについて総裁の見解をお聞かせください。

A
Kazuo Ueda

ベッセント長官がアメリカについてどういうことをお考えになって、米国の長期金利の動向あるいは日本の長期金利の動向がアメリカに影響するかもしれないというようなことについて懸念されているのかについてはよく分かりません。一般論として申し上げれば、長期金利の水準はインフレ率の動向、そして経済の強さはどれくらいのものであるかということとの基本的には相対で評価するべきものであると思っています。取りあえずそれくらいのコメントにとどめさせて頂きます。

Q
Reporter

ベッセント財務長官の発言なんですけれども、今回ご発言が市場にとっては日銀に利上げを求めているというふうに受け止められて、結果、9月の会合前に、今回の 9月の利上げが、織り込みがかなり進んだ状態だったと思うんですけれども、こうしたマーケットとのコミュニケーションの取り方において何か難しいと感じられた点などございましたらお願い致します。

A
Kazuo Ueda

いろんな方がいろんなことをおっしゃって、それが市場に影響するっていうことは私どもとしては与件としてとらえるしかないんで、常にいろいろな発言等にマーケットが反応したその理由を考えたり、それがポジションに少し中期的な影響を及ぼして次にわれわれが何かアクションをとったときに何か思わぬ大きな影響が出る、そういう可能性があるかないかという、そういう辺りを考えつつ進みたいと思います。

Q
Reporter

総裁、先ほど、局面変化という言葉を使われたと思います。これまでの記者会見で、局面変化というような、かなり強いお言葉を使われていた記憶がないので、改めてこの局面が変化というのは、利上げペースとかにどういう影響があるのか。あと、似たような言葉として、この前の高田審議委員の講演のときに、高田審議委員も新たな局面というようなことで、機動的な利上げが必要になるというようなお話をされていました。総裁と高田さんでは認識が違うとこもあるかもしれないんですが、高田さんの言ってたような、機動的な利上げが必要という認識が総裁にもあるのかお聞かせください。

A
Kazuo Ueda

局面変化ですけれども、高田委員はおそらく、米国においてここ暫く利下げ局面であったのが、経済の強さもあって、利上げ局面に移るんではないかなという考えのもとで使われてるんだと思います。私が先ほど局面変化と申し上げたのは、日本の基調物価が 2%より低いゾーンから大体 2%に近づいてきて、そこで定着させるのが金融政策の狙いになるという意味での局面変化です。これは、今、その取っ掛かり口についたところで、定量的にみてどうかということは、来月の展望レポートで確認したいと思いますし、定着していくかどうかをみていくには、暫く時間がかかるわけですけれども、それをずっとみないと次の政策ができないというわけでももちろんなくて、その中で、当面は、そこから基調物価が上振れていくリスクを指摘してきているわけですけれども、それがどの程度の展開をみせるかということを考えつつ、金融環境は緩和的であるということを考えれば、次は基本的には利上げということだと思いますが、そのペースや大きさを判断していきたいと思っています。

Q
Reporter

7月の決定会合後の会見で、植田総裁は、物価動向をみながら金融環境が緩和的に過ぎると思えば利上げペースの加速ということも十分考えられるとお話になりましたけれども、今日の利上げを経て、金融環境というのは引き続き緩和的に過ぎるというふうに総裁ご自身お考えでしょうか。よろしくお願いします。

A
Kazuo Ueda

緩和的でありますし、少しずつその緩和の度合いは縮まってるんだと思いますけれども、それが過度な状態かどうかというのはきわめて判断が難しいと思います。そもそも、一番こっち側に政策金利があって、こっち側に物価であったり基調物価がある。こっちをコントロールするために政策金利を動かしてるわけですが、時間がかかって影響するんで、その間でもっといろんなことをみたいという中で出てきてる一つのものが金融環境ということであります。しかし、政策金利が動いて金融環境がどう動くかということにも、ここにもラグがある。例えば、貸出のかなりの部分が固定金利貸出で、政策金利や市場金利が動いてもその金利が動くまでには時間がかかるというようなことがあって、なかなか判断が難しいものであります。従って、かなりの有用性がある概念ではありますが、気をつけてしっかりと分析していく、過去の利上げの累積的な効果の影響も含めて、 financial conditions 、金融環境については、注意してみていきたいと思います。

Q
Reporter

今回の利上げに当たって、二人の政策委員の方が反対されたことに関連して伺います。更なる利上げをするに当たっては、特にその金融環境は中立的かっていう判断を巡ってですね、委員間の意見が割れる局面も今後想定されると思います。そもそもそのボードメンバーの間で意見が割れることっていうのをどうとらえていいのか、更にそのうえで、議長としてどうやって合意形成するのが大事になるとお考えでしょうか。

A
Kazuo Ueda

意見が割れること自体は自然といいますか、全くいつも意見が割れないのであれば議論する必要もないくらいだと思いますので、意見が割れてて、議論して意見の違いを少しでも縮めて、それでも残るところで投票して決めるという、通常のこうした会議のあり方は健全なものだと思いますし、われわれもそれに沿ってやっています。ですので、反対票が出たから、これはきわめて困ることだとか、そういうふうには考えておりません。

Q
Reporter

気候変動対応オペの件でお伺いしたいんですけれども、今回、変動金利化と 50 兆円の上限というものに変更したと。銀行によっては借換えがもう終了している貸増オペの代替になっていたりという面もあったかと思いますが、この今回変更に至った問題意識について、50 兆円との設定理由、その変更の可能性等お伺いできますでしょうか。

A
Kazuo Ueda

これは最初にちらっと申し上げましたように、この気候変動対応オペの見直しですけれども、一方で金融調節の円滑な運営を確保するということで、一方では気候変動対応を安定的に支援するという観点から、貸付金利を政策金利に連動した変動金利にするっていう決定をしたものです。その際に、貸付けの限度額、あるいは貸付総額の上限を設定したわけですが、これは、ここまでのこの制度の利用のされ方をみた場合に、それを外挿して延長していった場合に、無理のない上限であるというふうに考えておりますので、何か気候変動対応オペあるいはそのもとにあります気候変動[対応]融資、そういうところにすごいブレーキをかけたいという趣旨のものではないですし、そういう作りにはなっていないというふうに考えております。

Q
Reporter

今月、Fed、ECB、日銀が利上げをした、要するに同一の月に利上げをした初めてのことになると思うんですけれども、もちろんそれぞれ自国の経済・物価を考えて適切にやっているということであると思うんですけれど、この事象について総裁どういうふうにお考えになりますでしょうか。

A
Kazuo Ueda

おそらく最大のポイントとしては、わりと共通の要因に反応してるという面があるかなと。つまり、中東情勢から来るインフレ圧力、それからAI周りの支出の強さ、これが長期的には経済の供給サイドに影響するかもしれませんが、これまでのところ需要サイドに影響している。若干のインフレ圧力でありますし、経済には強い力を与えているという辺り、いろいろな国に濃淡はありますけれども、わりと共通に働いているということが、いくつかの中央銀行がわりと近い時期に動いたということの要因かなと思っております。

Q
Reporter

局面が変わった重要な会見の多分最後の質問だと思うので、角度を変えた質問をさせて頂きます。総裁にお伺いしたいのは、通貨の信用というのは何によって確保されるものだというふうにお考えになられているのか。ご就任されて 3年半経って、金融政策の反応ですとか市場の反応ですとか、そうしたものをみながらどのようにお感じになられているか、ご自身の就任後 3年半で円の信用っていうのは高まってきたという手応えがあるのかどうか、また、短期と長期の視点からお伺いしたいんですが、短期では年内 3 か月ぐらいの間に、通貨、円の信用を高めるためには何が中央銀行として、あるいは中央銀行総裁として必要とお考えになられているか、長期的にはどのようにお考えになられているのか、よろしくお願いします。

A
Kazuo Ueda

通貨の信用ということで申し上げれば、昔から通貨の信用を維持するための最大のポイントは、その通貨を発行してる国の通貨を使って取引が行われて物価が決まってくるわけですけれども、その物価が安定しているかどうかという点だと思います。ですから、その国の中央銀行が物価を適切な水準、あるいはインフレ率を適切な水準にコントロールしているか、あるいは一時的に乖離していてもきちっとした戦略を持って元に戻すということをしているかどうかという点が最大の通貨の信認の決定要因だと思います。それに加えて、最近では決済に関する技術進歩等が進んでいますので、そこのところについてどういう対応をしてるかっていうこともだんだん重要な要因になりつつあるかと思います。そのうえで、為替レートの話はやや別で、信認の高い通貨であっても一時的に様々な要因で、例えば金利を低くしないといけないという場合に、その通貨が収益率格差の観点から売られるということは十分にあるんだと思います。以上