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Bank of JapanPress conferenceDec 7, 2011Koji Ishida, Board Member

石田審議委員記者会見(2011年12月7日)要旨

Original in Japanese

Full text

§1Question

まず初めに、午前中に開催された金融経済懇談会でどのような意見交換が行われたのか教えて下さい。

§2Koji Ishida

本日の懇談会では、静岡県の各界を代表する方々から、地域経済の現状や課題のほか、日本銀行の金融政策運営に関する率直なご意見、ご要望などを数多く頂き、極めて有意義な懇談、意見交換ができました。こうした機会に恵まれ、ご出席頂いた方々や関係者の皆様に感謝を申し上げたいと思います。懇談会の場では、ご意見が多岐にわたったため、全てを網羅してご紹介することはできませんが、私なりに席上で聞かれた話題等を整理して申し上げます。当地は輸出型産業のウエイトが高いこともあって、足許の海外経済の減速や円高の影響を受け、地方経済の現状は厳しいというご意見を多く承りました。特に、中小企業においては、より厳しい状況にあるとのお話を伺いました。一方、来年6月頃に新東名高速が部分開通するもとで、富士山静岡空港などの既存のインフラも活用し、観光や流通、新産業の育成などを促進していくとか、海外需要の取込み・海外展開に向け、海外でも通用する人材の育成・確保を目指していく、といったご意見も伺いました。産業の集積が進み、経済の懐の深いご当地ならではの、厳しい中にあっても将来の成長に向けて前向きに取り組む姿勢を強く感じ、大変心強く思った次第です。

§3Koji Ishida

私どもとしては、静岡県内の金融経済情勢について、静岡支店を通じ、今後もきめ細かいモニタリングを続け、中央銀行の立場から経済の持続的成長の実現や金融システムの安定性確保を図りながら、静岡県経済を支える関係者のご努力がより大きな成果へ繋がっていくようサポートして参りたいと思っています。

§4Question

先程のお話では、海外経済の減速や円高などで厳しい声が聞かれたとのことですが、金融経済懇談会での意見交換を踏まえた静岡県経済に対する認識を教えて下さい。

§5Koji Ishida

静岡県経済は、東日本大震災により部材調達難が起きましたが、これがほぼ解消する中で、持ち直している状況にあるとみています。自動車関連を中心とする海外在庫の復元や、積み上がった受注残の消化に向けた挽回生産の動きにより、輸出や生産が増加しています。こうしたもとで、雇用・所得環境も震災後からの厳しさが和らいできているとみていますが、二輪車関連等では、欧州等の海外経済減速の影響が出始めているほか、自動車関連、一般機械、楽器等で円高による輸出採算の悪化がみられています。また、タイの洪水被害の影響も、短期的には当地の輸出や生産を押し下げる要因になると考えられます。静岡県経済については、当面、持ち直しの基調が続く可能性が高いと思いますが、今申し上げた通り、海外経済の減速、円高、タイの洪水被害の影響等から、先行き不透明感が一段と強まっており、これらの不確実性が当地経済に与える影響を引き続き注視していく必要があると考えています。

§6Question

石田審議委員は、昨日と本日、企業を訪問され、特に製造業中心に訪問されたとお聞きしていますが、現場からどのような声が聞かれたのかお聞かせ下さい。

§7Koji Ishida

本日は記者会見が終わってから参りますが、昨日訪問したところでは、仕入値が上がっている一方で、なかなか売値が上がらない中で、色々なご努力を続けてご商売を伸ばされている。一方で、海外にも展開を図っていますが、やはり人材の確保等についてはなかなか難しい点もあり、そういう面も含めた色々なご努力の中で、ご商売を大きくしていくという、非常に前向きな姿勢が窺われました。私としては非常に心強いという印象を受けました。

§8Question

本日のスピーチの中で今後の日本経済の見通しについて言及された部分ですが、「わが国経済は、海外経済の減速や円高の影響などから当面減速するものの、その後は海外経済の成長率が新興国・資源国に牽引されて再び高まり、震災復興関連の需要が徐々に顕現化していくことから、緩やかな回復経路に復していける」という表現をされています。一方、11月の金融政策決定会合のポリシーステートメントでは、「当面、海外経済の減速や円高に加えて、タイの洪水の影響を受けるとみられる」となっており、「減速」という表現を使っていなかったほか、「回復経路に復していける」という表現は使っていなかったと思います。こうした違う表現を使われているのは、リスク認識の違いが出てきているということなのかお聞かせ下さい。特に、白川総裁は、11月の記者会見の時、ボードメンバーの中でも、リスクの認識に対するニュアンスの違い、あるいはリスクが高まったと認識する方もいらっしゃったと説明されていましたが、この点を含めて判断を変えられたのかお聞かせ下さい。

§9Koji Ishida

言葉の使い方については、言葉自体が若干違っているとしても、含むところは同じです。言葉が違ったことによって、判断に変更があったということではありません。

§10Question

先日、日米欧の 6 中銀で外貨融通を強化する協調策を打ち出し、昨日、実際に日本銀行のドル資金供給オペに対して2,500 万ドルの応札がありましたが、協調策の効果について、どのようにみているのか教えて頂ければと思います。

§11Koji Ishida

昨日の入札では、落札が 2,500 万ドルで 1 週間物と聞いていますが、基本的には、オペレーションについての試行ということではないかと思います。もう一つ、今回は、レート自体が0.5%下がったため、マーケットにおける金利上昇に対する一つのバックストップになるように働くのではないかと思います。

§12Question

LIBOR3 か月物の金利をみていると、じわじわ上がり続けている状況だと思いますが、それについてはどのようにみていますか。

§13Koji Ishida

LIBORは、まだドルオペの基準レートに達していないのではないかと思います。LIBORが基準レートを超えていくのであれば色々と問題がありますが、ドルオペの基準レート自体は、一つのバックストップになっていると思います。

§14Question

わが国経済は、基本的には緩やかな景気回復に復するということですが、輸出をみると、10月は減少しており、日本銀行が公表している実質輸出もマイナス幅が拡大しています。先行きについても、挨拶の中で、欧州債務問題が新興国にも影響が及んでおり、そこからの日本への影響も懸念されるという趣旨のことを言われていますが、それらを含め、足許の下振れリスクに関してどのような認識を持っているのかお聞かせ下さい。

§15Koji Ishida

下振れリスクについては、従来から申し上げているものと大きく変わっているとは思いません。欧州に非常に大きなイベントリスクが発生しない限り、今までみていた範囲内で動いていくとみています。ただ、色々な数字の月毎の動きは、ある程度均してみていかなければいけないと思いますので、10月の数字だけで判断するわけにはいかないと思います。

§16Question

下振れリスクについて、「今までみていた範囲内」ということは、やはり下振れリスクの方が大きく、日本銀行として下振れに対して注意しなければならないという認識ですか。

§17Koji Ishida

それは従来から変わっていないと思います。やはり、今のような経済の状況では、下振れリスクについて非常に警戒すべきところがあると私は考えています。

§18Question

挨拶でも指摘されていました欧州債務問題の新興国経済への波及についてお伺いします。新興国経済が先行きの日本経済を支えていくと思いますが、欧州問題を受けて、そのルートがやや弱まっているのではないかと思います。新興国経済に与える欧州の経済・貿易のルートと金融面のルートを改めて整理し、それが日本経済に与える影響を教えて下さい。

§19Koji Ishida

新興国、特に中国は、ユーロ圏に対する輸出の比率が大きく、また、米国も大きい状況です。これらは、日本のユーロ圏に対する輸出比率をかなり上回っており、ユーロ圏経済が減速すれば、新興国や米国の経済は減速し、その兆候が既に一部に出ているかもしれないとみています。一方、新興国経済については、従来、インフレの関係から金融引締めを行っており、上手くソフトランディングできるのかという問題もあったかと記憶しており、そういうものと打ち消し合っていく部分もあると思います。そういう意味では、オール・イン・オールでどうなっていくのか、もう少しみていかないと確たる意見は言えないと思います。人口の多い新興国は、内需の力がかなり強く、金融引締めにより、ある程度ブレーキをかけてきた過熱感が、ユーロ圏経済の減速と打ち消し合うのか、それともユーロ圏経済減速の影響の方が大きいのか、それは今の段階でははっきり言えないと思います。

§20Question

静岡県経済について、先程、持ち直してはきているものの、先行きは不透明で、今後も注視していくほか、日本銀行としてもサポートしていくとのことでしたが、本日の金融経済懇談会では、具体的にどのような要望が出たのか、それに対して具体的にどういったサポートをしていこうと考えているのか教えて下さい。

§21Koji Ishida

日本銀行は、やはり金融面でしっかりと支えを続けて欲しいというご意見が一番多かったと思います。その他にも、情報発信に関するものなど、色々なご意見がありましたが、一番多かったのは、金融面でしっかり支えてほしいということであり、それをしっかりやっていきたいと思います。

§22Question

金融面での「支え」というと、具体的にはどういうことですか。

§23Koji Ishida

金融環境の緩和的な状況を全国ベースで維持するとともに、例えば静岡県の金融機関の健全性の維持や、金融機関が資金を産業部門に回す時に問題のないような環境の整備といったことと思います。<秋山静岡支店長>ただ今、審議委員から申し上げた通りであり、やはり金融面でしっかりと支えるということです。経済の先行き不透明感が強まっている中で、何とか経済全体を支えていく役割を担ってほしいというご意見が一番多く聞かれました。静岡支店としても、地域経済の実情を今後とも調査し、本部に情報を繋ぐことで、政策の誤りなきを期したいと思っています。

§24Question

先程、ドルオペについて、オペレーションの「試行」と言われましたが、応札側が、テスト的に行ったものということですか。

§25Koji Ishida

「試行」の意味ですが、オペレーションというのは、基本的に、いざという時に色々な手続きが必要ですから、手続き・実務――伝票も作成します――を一回やっておくという意味で「試行」という言葉を使いました。

§26Question

挨拶の中で、「欧州金融機関では、ドル資産を圧縮する動き ――いわゆるデレバレッジング――もみられており」と言われていますが、こうした動きの背景と、これがドルオペによってどれくらい緩和できるものか教えて下さい。

§27Koji Ishida

ボリュームは分かりませんが、よく言われていますのは、欧州金融機関のドル調達については、なかなか環境が厳しくなっているということです。一方、全体的にみて、金融機関の自己資本比率を引き上げていくなど、欧州がそうした方向にありますから、まず本国よりも海外でのドル資産を落としていく動きがマーケットにあり、それをリファーしました。

§28Question

ドルオペで状況を緩和するのは難しいのでしょうか。

§29Koji Ishida

全ての資金調達をドルオペで行うわけではないとみられますし、調達環境の厳しいものについて、資産面あるいは調達面への圧力を少なくしていきたいというのは自然な姿と思います。

§30Question

日本の金融環境は今のところ安定しており、金融システムも特に問題ないと言われています。また、今のところ、欧州の債務問題経由のショックが日本の市場を直撃することも起こっていませんが、マネーマーケット経由でそうしたストレスがかかるとしたら、どういう経路があるのか教えて下さい。

§31Koji Ishida

金融機関同士の資金の流れが非常に円滑を欠くという状態は、例えばリーマンショック時においても、日本経済には最初は影響がないと考えた人も多かったのですが、金融環境が急速に引き締まったこと、また実体経済でも、海外の経済が混乱することによって輸出が急速に減少したという 2 つのルートでわが国に大きな影響が出ました。こうしたことから、海外の国際金融マーケットが混乱すれば、日本の金融にかなりの影響があると思います。また、そういうことがあっても、ショックあるいは悪影響が少しでも軽減されるような金融政策が必要と思います。

§32Question

静岡県内で一部開通される新東名高速道路の開通時期について、国等は「来年初夏」と言っていますが、挨拶では「来年6月頃」としており、これをどのように捉えればよろしいですか。

§33Koji Ishida

支店を通じて「6月頃」と聞いております。<秋山静岡支店長>新東名高速道路の一部開通時期はまだ決まっていないと思いますが、私どもの聞いたところでは「6月頃」というお話でしたので、そう記載しましたが、そうした予定は、今後も変わり得るものだと思います。以上