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Bank of JapanPress conferenceDec 4, 2013Takehiro Sato, Board Member

佐藤審議委員記者会見(2013年12月4日)要旨

Original in Japanese

Full text

§1Question

3 点伺います。1 点目は、午前中の懇談会においては、出席者の方々とどのような意見が交わされたのでしょうか。2 点目は、北海道新幹線の開業が 2年半後に迫っており、自治体や経済界から、開業による経済効果に大きな期待が寄せられていますが、それを踏まえて、道南地域の成長戦略についてご意見をお聞かせ下さい。3 点目は、当地の個人消費が依然伸び悩んでいますが、政府の経済対策による好影響が地方に及んでくるのはいつ頃になるのでしょうか。

§2Takehiro Sato

本日は、当地を代表される行政や経済界の方々との意見交換会を開催しまして、様々なお話を伺いました。道南地域の金融経済情勢のほか、日本銀行の金融政策についても、有意義な意見交換ができたと感じています。改めて、ご多忙な中、本日ご出席頂きました皆様に、感謝を申し上げたいと思います。意見交換の内容を全てご紹介することは時間的に難しいですが、頂いたご意見のいくつかを踏まえて、印象を述べさせて頂きます。まず、当地の個人消費は、所得環境が依然厳しい状況にある中、力強さに欠ける状態を脱しているとは言えないと感じました。主力産業の 1 つである水産加工業は、原料となる水産物の不漁に伴い仕入れコストが嵩んでいるほか、燃料価格高騰の影響などもあって、厳しい収益環境に置かれているようです。一方、建設業では、公共工事の増加や震災復興への応援などから、人手不足感が強い点が気掛かりですが、総じてみれば、地元建設業の方々の景況感は改善している様子が窺われました。さらに、もう 1 つの主力産業である観光業は、明確に回復しているようです。都市部の景気回復や各種イベント効果もあって、国内観光客の入込みが好調なほか、円高修正、定期便の就航等の渡航環境の改善に加えて、市長をはじめとしたトップセールスによる観光客誘致も奏功して、主力の台湾に加え、タイなど東南アジアからの旅行客も増加しているとのお話がありました。

§3Takehiro Sato

こうした動きを裏付けるように、金融機関における民間法人向け貸出にも明るい動きがみられ始めているとのお話も伺いました。以上の金融経済懇談会での皆様方からのお話や、当行函館支店の分析を総合すると、道南経済については、個人消費や生産など厳しい面が残るものの、公共工事の増加や観光業の回復などを背景にして、着実に持ち直しているとみています。強弱双方の要因はありますが、今後も持ち直しの動きが続くと考えられます。先行きについては、2015年度末に北海道新幹線の開業が予定されており、道南圏のみならず、青森県の主要都市とも連携して、観光客の誘致や滞在長期化を目指しているとの話を伺いました。また、当地の特徴である豊富な農水産物を利用した「6 次産業化」への取組みを推進しているという動きもあります。さらに、地元の食材を地元で消費することを促すべく、学校給食に地元産の食材を使うという地産地消の試みも行われています。こうした大小様々な 1 つ 1 つの取組みが着実に実を結び、道南経済の息の長い成長につながることを期待しています。2 点目は、成長戦略に関するアドバイスということですが、道南経済も、他の多くの地方経済と同様に、高齢化と人口の域外流出という構造的な課題を抱えています。一方、当地は他の地域と比較しても、豊富な水産資源や日本有数の観光資源に恵まれています。

§4Takehiro Sato

こうした当地の潜在力を活かした具体的な成長戦略の構築と、その着実な実現が鍵を握ると思います。この点、当地では、2015年度末の北海道新幹線開業を控えて、アクセス列車も含めた交通インフラの整備を好機と捉え、官民一体となって当地の成長に向けて協働していくことが重要だと思います。道南圏での連携や青函連携など、広域観光振興に取り組む際には、鉄道、バス、フェリーなどの効率的な組合わせによって、港湾や海峡を有効に活用するという考え方が大切になります。また、水産・海洋関連産業が数多く集積し、関連する学術研究機関が多く立地している特徴を活かし、「函館国際水産・海洋都市構想」が産学官連携のもとで進められていると伺っています。当地は、観光地として高い知名度があります。こうした強みを活かして、国内外に向けて質の高い水産物を積極的に宣伝・販売していく取組みも有効であるように思われます。このような前向きな取組みが、当地の関係者 1人 1 人のご努力と相まって、地元経済の活性化につながることを期待しています。3 点目のご質問は、政府の経済対策の地方への波及に関してです。わが国全体の景気は、緩やかに回復しており、先行きも、2 度の消費税率引上げの影響を受けつつも、基調的には日本の潜在成長率を上回る緩やかな成長パスを描くとみています。

§5Takehiro Sato

一方で、地方や中小企業の方などからは、「まだ回復している実感はない」との声が聞かれているのも事実です。こうした景気回復の動きが、全ての地方に満遍なく波及していくのはいつ頃なのかという点を明確にお答えするのはなかなか難しいですが、先行きは、内需が堅調さを維持する中で、外需も緩やかながら増加していくと見込まれており、生産・所得・支出の好循環が日本全体として持続する中で、現在は回復の実感が得られていない地方にも、徐々にそうした好循環の影響が波及していくとみています。こうした状況下、道南地域の経済は、着実に持ち直してきていますが、本日聞かれたお話にもあった通り、個人消費の回復感はまだ弱いように見受けられます。所得環境が依然厳しい状況にある中で、日用品の購入に対する財布の紐が固いと嘆く声が強いのが実態とのことです。また、当地にも富裕層が少なくなく、相応に株高等による資産効果の恩恵を受けているはずですが、品揃えなどの点から、とりわけ高額商品の支出の多くが大都市で行われる「消費の流出」が起きていることも、弱めの個人消費の一因になっている可能性があります。道南経済が回復に向かっていくためには、富裕層だけでなく、所得環境の全般的な回復を通じて、個人消費が盛り上がっていくことが重要です。

§6Takehiro Sato

この点、足許好調な観光業や建設業では、冬季賞与を増額するといった話を伺っていますので、こうした動きがさらに拡がり、域内の幅広い層で消費活動が活発化することをきっかけにして、生産・所得・支出の好循環につながっていくことを期待しています。

§7Question

本日の講演に関していくつか質問します。まず 1 点目は、講演の中で、「追加的な緩和手段は仮にあるとしても期待の転換を図るという点においては逆効果となりかねない」とおっしゃっています。「あるとしても」という言い方で、何となくニュアンスは伝わってくるのですが、佐藤委員ご自身は、仮に手段があっても限定的で、しかも効果も限定的だとお考えなのか、それとも 2年で 2%の物価目標の実現を確かなものにするために、有効な追加的な手段があるとお考えなのか、教えて下さい。2 点目は、「上下双方向のリスクを点検し、必要な調整を行う」とおっしゃった点です。黒田総裁もこれを何度も繰り返しておられますが、佐藤委員の想定する下振れリスクというのは、リーマン・ショック級のショックであって、経済物価見通しが小幅修正されるといった些細な話ではないとおっしゃっています。つまりこれは、リーマン級のショックでなければ追加緩和は想定できないし、仮にそういうショックでない時に追加緩和が提案された場合には、反対するというお考えなのかどうかというのが 2 点目です。3 点目は、「マネタリー・ベースの積み上げには相応の不確実性がある」とおっしゃった点です。マネタリー・ベースの積み上げが困難になった時には、どのように対応するのでしょうか。

§8Question

黒田総裁は、2日前の名古屋での講演で、マネタリー・ベースの本年末、来年末の見通しというのは期限ではないと、先行きもこのペースで増やしていくということを示唆されています。マネタリー・ベースを積み上げていく上で、長期国債の買入れで札割れが起こって資金供給が難しくなる可能性は低いと思いますが、短期国債の買入れで資金供給が困難になる可能性は十分あると思います。その場合に、短期国債でマイナス金利での買入れを行うとか、長期国債の買入れを今以上のペースで増やすとか、あるいは量的・質的金融緩和の枠組みそのものを見直すとか、いくつかの対応があると思いますが、その点をどのようにお考えか、教えて下さい。

§9Takehiro Sato

1 点目の質問は、講演の中で、「追加的な緩和手段は仮にあるとしても期待の転換を図るという点では逆効果になりかねない」と申し上げた点に関してですが、若干補足させて頂きたいと思います。まず、私どもとしては、そもそも4月4日に「量的・質的金融緩和」を打ち出すことによって、相当思い切った措置をとったつもりです。よく知られているように、日本銀行は国債の新規発行量の 7 割超を買入れるということを行っていますが、その際、ある程度のフィージビリティーを確認し、これ以上買えるかどうかというギリギリの判断をした上で、今の買入れ額を決めています。そういう点では、総裁も申し上げている通り、打つべき手は全て打ったというのが、4月4日時点の判断です。その時点での判断は、足許も特に変わっているとは思いません。追加緩和手段ということが、最近マーケットでよく取り沙汰されていますが、ここから先、例えば 4月4日に打ち出したような政策を新たに打ち出すことによって、マーケットや経済全般、あるいは人々の予想形成に与えたものと同規模のショック、ないしはそれを凌駕するようなショックを与えることができるかというと、それはやはり、私としては難しいのではないかと思っています。そういう意味で、追加緩和手段の効果は限られるのではないかと申し上げたわけです。

§10Takehiro Sato

もちろん、これは、効果が限られるからといって、あらゆる追加緩和手段を排除するということを申し上げているわけではありませんので、念のため付言します。2 点目のご質問は、必要な調整を行う際の下振れリスクの程度に関して、この下振れリスクというのは、例えばリーマン・ショックや欧州債務危機に匹敵する、国際金融資本市場を揺るがすような大きなショックでなければならないかという点についてです。もちろん、下方リスクの大きさや波及の程度をどう評価するかということは重要な問題だと思いますが、それ以上に重要なことは、2年程度で 2%の「物価安定の目標」を実現していく上で障害になるような下振れリスクが出てくれば、何らかの対応を行う必要が出てくる可能性はあるということです。重要なことは、2年程度で 2%が見通せる状態になるかということを判断基準にしたいということであって、そこが揺るがされるような事態になれば、何かを考えなければいけないということです。3 番目のご質問は、マネタリー・ベースの積み上げに関して、不確実性があるのではないかということです。これはその通りだと思います。本年に関しては、年末の見通しである 200 兆円はほぼ射程圏内に入ってきていますが、来年に関しては、年末に向けて 270 兆円を積み上げるわけです。

§11Takehiro Sato

これは、講演でも述べたように、マネタリー・ベースの規模が大きくなればなるほど、その時々の金利情勢や応札する金融機関の金利観などによって色々と影響は出てくるので、積み上げの不確実性は高まるだろうと思います。そういう点で、マネタリー・ベースの水準が高まれば高まるほど、この達成に向けた不確実性は出てくると思いますが、ご指摘のように、短期の資金供給は、9月に一時期、期末要因ということもあって短期金利が急低下した際、持続性が危ぶまれるような局面もありました。今後の対応方針について、マイナス金利で買い入れることや、長期と短期の資金供給のアロケーションを変えることがあり得るかというご質問だったと思いますが、私どもとしては、先行きの金利情勢等々を睨みつつ、その場その場で柔軟にオペレーションを考えていくということに尽きるのではないかと思います。既に、執行部には、ある程度のオペレーションの柔軟性を授権していますので、とりあえずは、その柔軟性の範囲内で執行部に考えてもらうということですし、もしその柔軟性を超えるような範疇のことが出てくれば、政策委員会の中で何らかの議論が必要になってくる可能性もあると思います。まずは、オペレーション面における色々な工夫の中で対応していけばよいのではないかと思います。

§12Question

日本銀行は4月4日に2年程度で 2%という目標を掲げましたが、その後も、2%を達成するのはなかなか難しいという見方が多いと思います。佐藤委員も、前回の金融経済懇談会で、2%の上下のアローアンスについて、委員によってそれぞれレンジが違うということを言われていましたが、4月4日の時点で2%というあれだけ大きな目標を宣言して、それによってインフレ期待を高めようということからすると、2%の上下のアローアンスを認めるということは、目標の修正を意味するのでしょうか。また、仮に修正だとすれば、期待インフレ率にマイナスの影響が出ないのか、その辺をお伺いします。

§13Takehiro Sato

「物価安定の目標」の枠組みですが、これは諸外国のインフレ目標の枠組みと同じように、柔軟な枠組みであると考えています。そういう柔軟な枠組みのもとで、2%をリジッドに、ピンポイントで達成するということは、一般論として、中央銀行の政策効果、あるいは政策効果の波及ラグといったものを考えた場合には、現実的ではありません。すなわち、物価をピンポイントで 2%に張りつけておくことは、どの中央銀行でもおそらく不可能だと思います。そういう点で、この 2%の「物価安定の目標」の枠組みというのは、当然に上下に一定のアローアンスがあるものだと思います。具体的なレンジとしてここでお示しするのは適当でないと思いますが、一定の柔軟性のある枠組みだということです。もともとそういうものとして理解されていると思いますし、政策委員の間でも、ある程度そういった共通認識があると私は思います。そういう点で、上下にアローアンスのある枠組みというのは、特に 2%の「物価安定の目標」の修正とは考えていません。

§14Takehiro Sato

また、もともとそういったアローアンスのある枠組みということであれば、それを目指すということ、あるいは実際に物価が 2%を目指すパスにあるということが重要であり、政策評価を行う上での価値判断としては、単に機械的に 2%を達成するかどうかというよりは、経済全体、これは労働市場等も含めて、経済全体の動きがそういったパスに乗っているかどうかというところが、重要な基準ではないかと考えています。

§15Question

講演の中で、欧米のディスインフレ傾向への懸念について、量を割いて述べられていますが、ディスインフレ傾向というのは、日本の経済や物価動向にどのような影響を及ぼすとお考えでしょうか。例えば、日本の物価の下押し要因になり得るのかどうか。もし影響があるとすれば、どのようなメカニズムで影響を及ぼすと想定されていらっしゃるのかお伺いします。

§16Takehiro Sato

欧米、特にユーロ圏については、ディスインフレの傾向が明確に認識され出してきていると思います。講演でも申し上げましたが、基本的には、金融の仲介機能が低下したり、資産価格デフレが起こったりと、メカニズムとしては日本のデフレに似たような側面があると感じています。こういったディスインフレの状況が、果たして日本のようなデフレに陥るかという点ですが、中長期的な予想インフレ率をみると、欧州・米国ともに、一応 2%前後でアンカーされており、景気自体も、欧州では春から夏にかけて底を打った後、緩やかに持ち直している状況です。従って、ユーロ圏が日本のようなデフレに直ちに陥るという可能性はまだ小さいとみていますが、その動向には着目していきたいと思います。また、こういった先進国におけるディスインフレ的な状況が、日本の物価にどういう影響を及ぼすかについてですが、世界的に財・サービスの価格が収斂していく傾向があるとすれば、欧米におけるディスインフレ傾向の中で、日本の物価だけが、日本独自の要因で果たしてどんどん上がっていくかという問題はあると思います。そういった意味で、仮に、欧米のディスインフレ傾向がより深刻化していくとなると――あるいは長期化してくるということになると――、日本国内の物価情勢にも、財・サービスの価格の収斂メカニズムを通じて、一定の影響は及ぼし得ると考えています。

§17Question

「現在の金融政策は、様子をみる段階である」というご見解と、先日の展望レポートについて、「目標設定は正しいけれども、見通しとして 2%というのは難しい」というご見解との整合性ですが、佐藤委員は、端的に言って「政策効果の波及には、もうちょっと時間がかかるだろう」というお考えなのでしょうか。

§18Takehiro Sato

私は展望レポートの物価の見通しの記述には反対票を投じましたが、その一方で、政策に関しては、とりあえず足許は wait&see のスタンスで、現状の「量的・質的金融緩和」の効果波及・浸透を見守っていくべきだと考えています。両者は特に矛盾するとは考えていません。なぜならば、2%の「物価安定の目標」は、私自身の理解としては、先程も申し上げたように、リジッドに目指すのではなくて、ある程度の幅をもってみるべきだということです。また、もう 1 つは、2%という「物価安定の目標」を、実際の統計の結果で評価するのか、あるいは、そういった状況が見通せるという状況であればよい、すなわち「フォーキャスト・ターゲティング」の考え方で評価するのかという問題もあります。私としては、リジッドに、実際の統計の結果として 2%がピンポイントで出てくるということが、政策の究極の目標であるとは考えていません。実際、仮に 2%がピンポイントで出たとしても、それを持続させることは不可能です。そういう点では、何よりまず、全般的な経済状況として 2%を見通せるかどうか、あるいは 2%のパスに乗っているかどうか、というところの見極めが重要であって、今はその見極めをしている段階ということです。

§19Takehiro Sato

展望レポートについては、確かに物価に関してより慎重な見方であるということで反対票を投じましたが、それと現在の私どもの政策スタンスとは、特に矛盾するものとは考えていません。

§20Question

2 点お聞きします。先程、2%の物価目標の上下に一定のアローアンスがあるということについて、「政策委員の間でもある程度の共通認識がある」とおっしゃいました。ただ、アローアンスの幅についても共通認識があるのかどうか。想像するに、岩田副総裁などは極めて狭いレンジで、広くてもプラスマイナス 0.5%ぐらいであれば許容範囲ではないかと思っているのではないかと想像するのですが、佐藤委員はその程度なのか、それともちょっと大きいとお考えなのか、それから他の方はどうなのか、これが最初の質問です。もう 1 つは、欧米のディスインフレの話ですが、もし欧米でも、2%を下回る低い水準の物価が定着したような場合には、それでもなお日本だけが 2%を目指すということが正しいのかどうか。これは大きな議論になってくると思いますが、その点はどうお考えでしょうか。

§21Takehiro Sato

まず、1 点目の質問は、アローアンスについての共通認識があるかどうかということですが、アローアンスの幅に関して、現時点で政策委員会の中で認識の擦り合わせを行っているということはありません。ただ、それ以上に重要なことですが、実際に統計として観測されたインフレ率に基づいて政策を評価していくのか、あるいは 2%を目指すパスに乗っていればよいと判断するのかどうかというところは、委員によって意見の違いがあると感じています。これはやはり、アローアンスの議論と密接に関連してくると思いますが、今は敢えてそうしたコンセンサスを形成する必要はないと考えています。すなわち、4月4日の「量的・質的金融緩和」が始まってから、そもそもまだ 8 か月ということで、政策を評価するにはまだ早すぎるということです。将来的には、こういった物価安定目標の考え方を――それぞれの委員でおそらく幅を持って同意していることだと思いますので――、擦り合わせることが必要になってくる、あるいは違いが表面化してくるという可能性はあると思います。次に2点目の質問は、欧米諸国のディスインフレ傾向が持続した場合には、ということですが、これは仮定のご質問ですので、なかなかお答えするのは難しいと思います。

§22Takehiro Sato

ただ、私としては――これは就任会見でも申し上げたことですが――、まずは 1%を目指すということが基本であって、1%を目指せばその上で 2%を目指すかどうかということを改めて考えればよいのではないかと思っています。足許は、消費者物価指数のコアが前年比で既に 0.9%まできており、おそらく 1%台乗せは時間の問題となってきているのではないかという状況です。そういう意味では、1%というのは、理由はともあれ十分見通せるようになってきている状況です。そういう中で、さらに上を目指していくと、先程も申し上げたように、基本的にはリジッドに 2%ということではなく、2%を目指すパスに乗っているのかどうか、つまり先行きの物価の経路が望ましいパスに乗っているのかどうかということを判断していけばよいのではないかと思っています。その際、欧米のディスインフレ傾向というのは、当然考慮に入れるべき変数の 1 つです。ただ、FRBもさることながら、特にECBに関して、先行きの物価見通しを引き下げた上で一段の金融緩和を行っていますので、こうした物価の下落を長期化させないという意思が感じられます。仮定の質問にお答えするのは難しいですが、いずれにしても、日本銀行としては、引き続き、2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、邁進していくということに尽きるのではないかと思います。以上