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Bank of JapanPress conferenceSep 1, 2026Kazuo Ueda, Governor

総裁記者会見(2026年9月1日)

Original in Japanese

Full text

§1Kazuo Ueda

G20での議論の内容については片山大臣からご説明があった通りですので、私からは詳しくは申し上げませんが、一言だけ、私どもに関係します金融政策について、詳細は申し上げられないですけれども、世界経済を取り巻く環境が変化するもとで物価安定の確保に向けた適切なコミュニケーションの重要性などについて各国間で議論を交わしたということについてだけご報告しておきます。

§2Question

植田総裁にお尋ねをしたいんですけれども、30日に米国のベッセント長官と会談をされているかと思うんですが、その場でどのようなお話をされたのかというのと総裁からどのような発言があったのかということ、あと米国側からベッセント長官がインフレ期待を安定させて過度な為替レートの変動を避けるには適切な金融政策の策定とコミュニケーションが重要だというような発言があったというふうに発表がされているんですけれども、こういったご発言、どのように受け止められたのかということと、あと今の現時点での日本国内の物価・経済情勢の局面において健全な金融政策の策定とコミュニケーションというのはどういったものというふうにお考えかというのをお伺いできますでしょうか。

§3Kazuo Ueda

ベッセント長官に確かにおとといですかね、お会いしました。様々なテーマについて有益な議論を行うことができたんですが、残念ですが詳細についてはノーコメントとさせて頂きます。それから先ほど申し上げた、われわれ中央銀行の金融政策について、世界環境が変化する中で適切なコミュニケーションのあり方、あるいは重要性ということですが、これは非常に一般的・抽象的な話で、現在例えば日本でどういうことだというところについて議論したというわけではないということだけ申し上げておきます。

§4Question

総裁においては今回、9月の決定会合前のおそらく最後の予定されている公の場での発言となると思いますので、9月会合について市場の注目が非常に高まっていて、7月会合以来いろいろなデータや今回のG20も含めて、いろいろな情報交換をされていると思います。物価の上振れリスクを以前よりも意識しなければいけないとか、9月会合を含めてしっかり議論が必要だという、こういったところについてどういうふうにお考えになっているか。それと、市場で今OISをみると大体90%以上の確率で 9月の利上げというのが見込まれています。その点について何か総裁あればお願いします。

§5Kazuo Ueda

私からはまず、次回会合における利上げの可能性についての市場の織り込みについてどう考えるか、これは日々の短期の市場の動きについてはノーコメントということで通してきていますので、今日もそういうことにさせて頂きます。そのうえでですけれども、7月の会合の後いろいろご説明させて頂いたわけですけれども、まずその後のデータをみてどうかということで申し上げれば、そのときに展望レポートでお示しした経済見通し、また記者会見でお話ししたような見通しの姿に大体沿ったような経済データが出ているというふうに思っています。それから、そのときご説明した今後の金融政策の基本的な考え方、これについてそれからの期間、あるいは今回の会合の議論を踏まえて何か大きく変えたということは特にございません。そのうえで、もう一度そのときお話ししたような基本的な考え方を繰り返させて頂きますと、そのとき申し上げた通りですが、金融緩和度合いの調整のタイミング、あるいはペースについては、そのとき申し上げた三つのポイント、中東情勢とそれからAI関連の動き、そして為替相場の変動の影響、これらを特に重視しつつ、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度、あるいはその周りのリスクを点検しながら検討していくという基本的な考え方です。

§6Kazuo Ueda

そうした基本的な考え方に沿って経済・物価・金融情勢を点検し、次回会合を含め毎回の決定会合においてしっかりと議論してまいりたいと考えております。

§7Question

片山大臣と植田総裁、お二人それぞれにお伺いしたいんですが、先ほどベッセント財務長官が議長国会見の中で日本のアベノミクスについてリフレ政策だったというような認識を示したうえで、それは成功したと。そのうえで日本は成功したとすれば、次の consequence、成功がもたらす結果について考えなければいけないのではないかというご発言をされたんですが、この発言について、要するにアベノミクスの次の段階、タカイチノミクスというのはどういうものかということを日本政府として、あるいは日本銀行としてどのようにお考えかということをお聞かせください。

§8Kazuo Ueda

私の立場からさっきのご質問にお答えするとしますと、私どもは一貫して物価の上昇率を持続的・安定的に 2%で維持するということを目標にして政策を運営してきています。そのうえで、私はその当時担当していなかったですけれども、アベノミクスの時代と今を比較すると、当時は現実の物価の上昇率はすごい低いところにあった。従って 2%を目標にするという中では、それを持ち上げていくということが現実的には最大の当面の課題であったということだと思います。これに対して現状では、私どもはよく、基調的な物価上昇率、物価上昇のトレンドのようなものですが、と言ったりしていますが、これがかなり 2%に近くなってきているという判断をしております。ですから現在の当面の目標としては、これをスムーズに 2%に着地させ、そこで維持するということが非常に重要になってくる、そういうふうに考えております。

§9Question

植田総裁に質問お願いします。先ほどおっしゃったシナリオの蓋然性と確度なんですけれども、それぞれ今日までの議論で確度が高まっているのか、リスクについて特に物価の上振れリスクは高まっているのか、これは今回の会合の一つの争点が世界的なインフレの上昇であったり、 AIの強い需要というものが今後物価にどう影響を及ぼすかというところだったので、その観点から物価の上振れリスクについてどうみていらっしゃるのか、お願いします。また、金融政策運営ではそういう経済・物価だけでなく、だんだん政策金利が中立金利に近づいていく中で、より慎重な状況把握が必要となると思います。物価の上振れリスクに対応するために早めに利上げすべきという点と、中立金利に近づくにつれより慎重に状況をみながら利上げを進めなければいけない、このバランスについてもこれまでのいろいろな議論を経てどうお考えになっているのか、お願いします。

§10Kazuo Ueda

前半は物価見通しの確度やリスクについて、おそらく7月から変化したかどうかというご質問だと思うんですけれども、そこは先ほど申し上げましたようにデータがどういうものが出たかという次元で申し上げれば、大体見通し通りのデータがその後の2 か月ぐらいですかね、1 か月強ですか、出ているという中で、これは見通しの確度が上がったととらえるかどうかについては、取りあえず次回のMPMでボードメンバーの人たちと議論して判断したいというところでございます。物価の上振れリスクの度合いがここのところのデータでどういうふうに動いたかという点についても同じでございます。それから、基調物価が 2%に近づく中で一つは金利の調整を今までよりも慎重にやっていくのかどうか、一方で上振れリスクがあるかもしれない中で、それとのバランスをどうするかというご質問ですけれども、金融環境が依然として一応緩和的であるというふうにみておりますので、政策金利を引き続き引き上げつつ緩和度合いを調整していくということはしていきたいと思いますけれども、その際にもちろん近づいているというよりは、過去もう 5 回ほど利上げをしていますし、7月の記者会見でも申し上げたように、その利上げの影響は常に少しずつ累積的に出てくるという面がありますので、それは慎重にみていきたいと思います。

§11Kazuo Ueda

ということを申し上げたうえで、上振れリスクのことも考慮しながら政策運営を判断していきたいと思います。

§12Question

一問目は片山大臣と植田総裁それぞれお伺いさせてください。まず一問目なんですが、長期金利の水準が 3%に達しました。この 3%という水準の率直な受け止め、評価、日本経済に与える影響を、現時点で考えられることがございましたらお伺いさせてください。

§13Kazuo Ueda

私から前半の部分について手短に補足させて頂きますと、まず長期金利の特定のレベルについてコメントするのは差し控えさせて頂きます。一般論として、市場で形成される長期金利の動きですけれども、これは一般論としてですが、先行きの経済・物価情勢、あるいは金融・財政政策に対する市場の見方、あるいは更に海外金利の動向などを反映して動くものだというふうに認識しています。そのうえで、わりと最近の長期金利の上昇についてですけれども、市場の見方をわれわれなりにまとめてみますと、中東情勢に起因するインフレ圧力の高まりであったり、AI関連の動きが強い中で大型の資金調達が続いているということであったり、あるいはいろいろな国における財政政策に対する市場の見方、こういうものを反映したグローバルな金利の上昇につれた動きであるかなというふうにみております。そのうえで経済への影響ということですが、これは今申し上げたような様々な要因で長期金利が動いている、あるいは動いている可能性があって、そのどの要因で動いたかによって、長期金利が上がったことによってどういう影響が経済に出るかというのは両方足し算してみないと分からないので要因次第である、それを全部出さないといけないので、なかなか難しい作業であるかなとは思います。いずれにせよ、金利動向についてはしっかりみていきたいと思っております。

§14Question

植田総裁にもお聞きしたいんですが、植田総裁はFRBのウォーシュ議長と議論されるタイミングがあったのかというところと、今回ベッセント財務長官と総裁の会談内容についてアメリカの財務省側からリリースがされたと思いますが、こういった日本の金融政策に関するある意味要求があったという内容をアメリカの財務省側から発表されるというのはなかなかないことかなと思うんですけれども、発表に関して事前に説明はあったんでしょうか。

§15Kazuo Ueda

ウォーシュ議長とは面談とか立ち話でいろいろ有益な議論をさせて頂きました。中身については説明は差し控えさせて頂きます。それからベッセント長官とのやりとり、中身、あるいは米国財務省側から発表された文言について、その中身と経緯についてはやはりコメントを差し控えさせて頂きたいと思います。

§16Question

総裁に一問お尋ねします。また同じくベッセント長官との会談について、アメリカ側の声明をみると為替動向と金融政策というものを強く結びつけるような表現があったように思います。総裁もこの為替動向をこれまで以上に注視した金融政策運営が必要だと考えているのかということと、あと今回のように他国の政府関係者が日銀の金融政策について言及することについて、このこと自体について植田さんはどうお考えでしょうか。

§17Kazuo Ueda

まず前半ですけれども、為替レートを取り出して、それに対して、昔よりも、前よりも強く反応しなくてはいけないというふうな変化があったというふうには考えておりません。私どもは申し上げてきたように、7月以降、基調的な物価上昇率が 2%に近づく中で、リスクマネジメント的な政策の運営の考え方からしますと、これまでよりも上振れリスクと下振れリスクに、両方に気を配って、あるいはこれまで以上に上振れリスクに気を配って政策を運営していかないといけないというふうに考え方をもって進めてきております。その中で7月に申し上げたのは、上振れリスクの一つの要因として為替レートの動きも注視していく必要があるということでございます。それから、海外の政策担当者が私どもの政策についてコメントされるということについてどう考えるかということですが、これはコメントをなさる、あるいはなさらない、それはその人それぞれのご判断だと思いますが、それに対してコメントするということは以前より差し控えさせて頂いております。以上