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Bank of JapanPress conferenceNov 25, 2015Sayuri Shirai, Board Member

白井審議委員記者会見(2015年11月25日)要旨

Original in Japanese

Full text

§1Question

今回、金融経済懇談会で地元の企業の代表もしくは行政の方からどのような要望、意見が出されたか、また、それについて白井委員自身はどのように受け止められたかお伺いします。

§2Sayuri Shirai

本日の金融経済懇談会では、島根県の各界を代表する方々から、地域の金融・経済の現状や課題のほか、日本銀行の金融政策運営に関する率直なご意見を数多く頂き、極めて有意義な意見交換ができました。こうした機会を頂き、ご出席頂いた方々や関係者の皆様に御礼を申し上げます。懇談会にご出席して頂いた方々からは、多岐にわたるご意見を伺いましたので、全てを網羅してご紹介することはできませんが、私なりに席上で伺った点を整理して申し述べたいと思います。まず、全国の景気が緩やかに回復する中で、当地経済にも徐々に好影響が波及しているとの話を伺いました。特に観光業では、7月の松江城の国宝化もあって、観光客数が増加しており、それが小売、旅館、サービス業などの非製造業にも好影響を与えているとのことでした。また、産業の集積がしがたい地理的制約がある中で、IT産業の集積がかなり進みつつあるとも伺いました。その一方で、中山間地域の中小・零細企業では回復感に乏しいとの声が聞かれたほか、全国に先駆けて人口減少に直面してきた中で、人材の確保や後継者育成など地方創生に向けた取り組みが中期的な大きな課題となっているとのことでした。こうした中、行政・地域金融機関などが連携した複数事業者のマッチング支援などの継続を要請する声が聞かれました。

§3Sayuri Shirai

このほか、子育て支援の強化による人口減少抑制策や、労働力人口の社会減を食い止めるため、県境を挟んだ地域での複数の行政、経済団体等が一体となって、地域の活性化や発展に向けて取り組んでおられることなどを知り、大変心強く思いました。私どもとしましては、松江支店を通じて、引き続ききめ細かくご意見などを伺いながら、当地関係者による島根県経済の発展に向けた取り組みを、中央銀行の立場から、しっかりとサポートしていきたいと思っています。島根県では、中国横断自動車道・尾道松江線の全通開通に伴うアクセス面の改善、先進的な子育て支援や、先端的・先進的な産業振興など、地域経済の活性化につながる取組みがみられています。また、地域金融機関も創業・新事業支援やビジネスマッチングなどの取引先の販路拡大等、地方創生に向けた取組みを行っています。こうした行政、企業、金融機関による前向きな取組みが、私どもの量的・質的金融緩和による極めて緩和的な金融環境のもとで、さらに島根県経済の発展につながっていくことを望んでいます。また、島根県ではITの集積化を非常に頑張っているということで、松江市、そしてその周辺を跨いで、商工会議所も通じてみんなで連携して、そのITの集積化をさらに進めようと努力していると伺い、感銘を受けました。

§4Sayuri Shirai

Ruby(ルビー)を軸としたソフト系IT産業が集積しておりますし、同一産業に属する企業が、特定地域に一定程度集積するとその当該産業に必要な特殊技能を持った技術者や専門家が集まり、知的土壌が形成されてイノベーションが触発されます。こうしたイノベーションが様々な他業種にも広がって地域全体の生産性の改善につながっていくことが重要であり、またそういう認識を皆様がお持ちだということを知り、心強く感じました。

§5Question

物価目標 2%への道筋について、先日サンフランシスコで討論会に参加されたときに、そこに近づいていくに従って、家計の抵抗感みたいなものも出てくるからゆっくり進めていくべきではないか、日本銀行もそういう緩やかな達成を目指しているという理解を得ていくべきだということをお話されまして、今回の挨拶要旨にもそのエッセンスが入っていると思います。さらに今回の挨拶要旨の中で、2%の物価目標で、「2%程度」という言葉を意識的に使われているのかと思います。これまでおっしゃってきた「2年で 2%」、何が何でも達成するという日本銀行の姿勢が変化しつつあるということなのか、あるいは変化させた方が良いと委員自身がお考えなのでしょうか。

§6Sayuri Shirai

私は 2013年の 4月に量的・質的金融緩和を始めたときから、できるだけ早く 2%の物価安定目標を実現したいという気持ちを持っておりまして、今もその気持ちは変わっておりません。その一方で、2%の物価安定目標というのは、今まで長い間、マイルドなデフレが続いてきましたので、家計や企業が調整していくのに負担があるかもしれませんので、そうした負担も配慮しながら、大きな負担とならないように、持続可能な成長と賃金上昇を伴いながら、物価目標を実現していくことが大事だということを当初から申しております。ですので、2013年の初めから、もう少し時間がかかるということは申し上げてきました。その考えは今も変わっておりません。できるだけ早くというのは、これはどこの中央銀行も同じ思いだと思います。もちろんそうしたいと思いますが、同時に、家計はどちらかというと、米国や欧州よりも、公式のデータが示す以上に物価が高いと感じてしまう傾向が日本の特徴です。その背景には、長い間、名目賃金がずっと伸び悩んできたということがあると思います。つまり、物価が高く感じてしまう、あるいは物価が高くなると予想してしまう背景には、賃金があまり伸びていかないという状況があったと思います。今それが少しずつ変わりつつあると思います。

§7Sayuri Shirai

まず名目賃金は、去年から上昇していますし、実質賃金に関しては今年の 7月からプラスに転じていますし、少しずつ家計も、賃金の上昇を享受している方もいて、それは一部の業種では消費の拡大ということを伴っておりますので、徐々にプラスの、前向きの状況がでてきていると思います。そうした状況を金融政策として支えていくのが重要だと思っています。スピード感を持っていますけれども、家計が物価が高いと感じること、それがあるからこそ企業も慎重になりますので、企業も少しずつ物価を上げる時に、より質の高い財・サービスを提供するという努力をしています。そういう前向きな動きが出てきましたので、そういった動きを支えていきたいですし、最終的には 2%の物価安定目標を実現したいと思っています。「程度」と言っているのは、ピンポイントというのは普通あまり考えにくいので、2%程度と言い換えているだけで、2%の物価安定目標を実現したいという気持ちには変わりはありません。

§8Question

今の点について私もお聞きしたいのですが、本日公表された 10月30日の決定会合の議事要旨をみると、2%の達成時期が後ずれすることと、2%の物価目標を2年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現するというコミットメントとの関係について、議論が行われたようです。その中で 2年にこだわるとおっしゃっている方が複数いらっしゃって、その後の黒田総裁の会見でも、2年を念頭にという考えは変わっていないということをおっしゃいました。この議事要旨によると、そういった考えに対して反対されている方が複数いらっしゃいました。ただ、この複数の方というのは、展望レポートにも反対をした佐藤委員と木内委員だと思われます。見通し期間中には物価上昇率は2%程度に達しないという認識を示した複数の委員となっていますので、これは佐藤委員と木内委員に間違いないと思います。つまり、この中には白井委員は入っていないわけです。サンフランシスコで行われた講演でも、2%に対して家計が受け入れ難いと感じられる可能性もあるというふうにおっしゃっています。また 1年前に白井委員が広島で行った講演でも、2年よりも長い期間をかける経路が望ましいというようにもおっしゃっています。

§9Question

これらは黒田総裁を始め執行部の2年にこだわる考え方とは真っ向から違っているのではないかと思うのですが、この議事要旨によると、全く反論されていらっしゃらない、議論もされていない。つまり、これは 2年にこだわる黒田総裁の考えを追認しているというふうにしか受け取れないのですが、その点はどうお考えでしょうか。

§10Sayuri Shirai

まず、私の考えは、一部繰り返しになりますが、2013年に量的・質的金融緩和を始めた時から、企業、家計に無理なく 2%程度を達成するには 2年以上かかるということで、2年程度を、幅を持って解釈すべきだということを2013年から申し上げています。現在は 1.7~1.8%程度、2%程度に近づくのが2016年度の末から 2017年度の初めになるとの見通しを立てています。その上で、2年程度にコミットする方たちがいるということについて、私が受けている理解を申し上げますと、確かに既に開始した時から2年が過ぎていますので、まだ「2年程度」にこだわることに違和感がある方は対外的にもいらっしゃると思います。海外の中央銀行はどうしているかと言うと、一般的には、例えば2%の目標を掲げている場合にできるだけ早期にという気持ちはあるのですが、2年程度と明記している中央銀行は今はあまり多くはないです。原油価格とかコモディティ価格とか、為替の変動が大きいものですから、不確実性が高いので、どちらかというと見通しを示すという形が多いと思います。その上でなぜ日本銀行が2年程度ということにこだわっているかについて私なりに理解したところを申し上げますと、結局「できるだけ早く」という日本語の持つ意味と、英語で言う“at earliest possible time” という表現のニュアンスが、同じではないということなのです。

§11Sayuri Shirai

英語では、“at earliest possible time”というのはかなり迅速にという気持ちがあって文字通りそうなのですけれども、日本語で「できるだけ早く」というと、それは 10年ということでも「できるだけ早く」ということにもなると思っています。ですから、日本語の持っている「できるだけ早く」が英語と同じ意味ではないために、執行部を中心に、確かに2013年4月に始めてから時間が掛っていますけれども、それは色々な理由──原油価格の急落とか、消費税の予想以上の反動とか、新興諸国の減速とか──がありましたので、当初に思っていた、「できるだけ早く」という気持ちを伝えたいということで、その 2年程度という表現を外さなかったと理解しています。ただ、英語では、なかなかそこをわかって頂くのが難しい点と、もうひとつは、サンフランシスコ連銀での私の講演要旨に書きましたように、物価が上がっていくというのは、賃金の上昇が一緒に伴うと良いのですけれども、必ずしも同時進行にならない時に、あまり「早く、早く」と言ってしまうと、家計の方は、自分の実質所得が目減りしたなと思われてしまうところがあるので、日本銀行の対外説明は、より丁寧にしていく必要があると思います。これが、私が当初から家計、企業に向けて、理解して頂けるように丁寧な説明・対外広報戦略を工夫する必要があるのではないかと申し上げてきた背景です。

§12Sayuri Shirai

先程指摘した執行部の思いが分かるので、個人的には、特にそこに強く反対はしておりません。また、私自身は 2016年度末から 2017年度初めに 2%程度に近づくと申していますし、 2%程度を柔軟に解釈すれば、執行部を中心とする方々の 2016年度後半頃に 2年程度を達成していると見込まれるというのと大きく違いはないということもあり、賛同しています。

§13Question

午前中の挨拶の中で、白井委員は物価 2%を安定的に持続する時期について、もう少し長いスパンでみていく必要があるとお話しされていますが、具体的にはどの程度の期間を念頭に置いておっしゃられているのか伺えますか。併せて、現行の緩和政策がかなり長期化するということを意味するかと思うのですが、これ以上の長期化が持続可能なのかどうか、そのあたりも伺えますでしょうか。

§14Sayuri Shirai

2%を安定的に持続する時期について、私の挨拶要旨で「少し長い目でみる必要がある」と申し上げたのは、挨拶要旨にも書いていますが、2017年度に 2 回目の消費税の引き上げがあり、それとともにオリンピックに向けた公的・民間の固定資産投資もでてきますが、それがどのくらいになるのかというのは、まだはっきり分からないわけです。量がどのぐらい出るのか、あるいは人手不足や資材の高騰があって価格がどうなるのか、そういったこともまだはっきりしないわけです。それから、予想インフレ率はいずれ上がってくるとは思っていますけれども、それがどのくらいのペースで起きるのかというのは、現時点では横ばい圏内の動きですから、まだはっきり分からないわけです。ですから、来年から私どもは物価が上がってくるとみていますので、それをみながら──そうしますと家計や企業の予想物価上昇率がどのように変化しつつあるのかということが分かりますので──、その段階で判断すれば良いと思っています。今の段階では、ちょっとまだ時期が早いと思います。ですから、まず物価が上がってきた段階で、予想物価上昇率、インフレ予想がどうなっているかを判断した方が良いと思いますので、今の段階ではそういう表現にしています。

§15Sayuri Shirai

ただ、消費税の引き上げもあることを考えますと、それを少し越えた形での判断が必要かもしれないということは今の段階では思っていますが、まだ明確にそこは評価する時期ではないと思っています。それから、もし緩和が長期化した場合の持続性はどうかということですが、当然のことながら、私たちは、この量的・質的金融緩和をしているときに、経済・物価の上下双方向のリスクをみながら継続を判断していくと申し上げています。そこには、金融不均衡とか現在の量的・質的金融緩和の持続性の問題も当然入ってくるわけです。あるいは国債市場の流動性ということもあります。そうしたものをみながら判断しておりまして、現時点では、日本銀行のオペ担当者によりますと、問題なく買えているということです。今まで、市場の多くの方が「とても持続は無理だ」と言われていましたけれども、それ以上に今のところは持続していますし、順調に買えているわけです。今のところ、今後もその持続性に特に問題があるということは聞いておりませんので、その限りにおいては、続けていくことが大事だと思っています。仮に、その持続性の問題が出てきたら、それはそれで諦めるということではなく、持続的なやり方で 2%の物価安定目標の実現を目指せばよいと思っています。

§16Question

先程の質問と絡みますが、サンフランシスコにおける講演の中で家計には長期的な予想インフレ率に関して上方バイアスがあるということを言われていて、ここでも言われている日本銀行が目指す 2%に関して家計がついていけないというか受け入れ難いと感じる可能性があると言われています。賃上げに関して、日本銀行が指示するとかそういったことはできないので、現状までのところでみると来年度の賃金は今年度よりも上がらないような感じの数字が出ていますけれど、なかなか物価上昇に賃金がついてこない段階で家計がやはり受け入れ難いと判断された場合には日銀の 2%の目標にどういうふうに影響するのでしょうか。

§17Sayuri Shirai

家計のインフレ予想に、上方バイアスがある背景は、名目賃金が長く上がってこなかったことの裏返しのように思います。実際、アメリカの消費者調査をみますと、低所得者の方ほど収入の先行きの見通しが慎重ですので、物価が高いと感じやすいのと同じ傾向があるのですけれども、日本の方が総じてみれば上方バイアスが高いです。ですから、この 2%の物価目標を安定的に実現するためには、名目賃金が上がっていくこと、そしてそれが持続することが非常に重要です。現在は、企業が大企業を中心に企業収益が非常に高い状態にありますし、それから日本では人手不足になっていますので、より人を大事に、職業訓練を含めて質の高い人材をこの国で供給していき、質の高い財やサービスを生産できるような国にしていく必要があるわけですから、そういう人材育成とか人材を大事にしていくという思いは共有されていると思います。そこで、徐々に賃金が上昇していくことが予想されると思います。今日、明日ということではなくて、この国をみたときに、やはり人は大事で、その人手が不足しているわけですから、その人がより質の高いものを作れるような人材形成が行われていますので、そうした生産性の高さに見合う賃金を払うという社会が徐々にできてきつつあると思いますし、これからも起きていくと思います。

§18Sayuri Shirai

そうなると家計は、公的な CPI の統計データとの大きなずれがだんだん縮小してくる可能性があると思います。今のところそれができないとの見通しは全く立っておりませんし、むしろ徐々にそういう好循環が出てきていると思いますので、今はそれを見守りたいと思っています。

§19Question

2 点お伺いしたいのですが、1 点目が先程の質問にもあった物価 2%安定持続する部分なのですが、そこでのご回答で「消費税を少し越えた段階」での判断が必要になるかもしれないとおっしゃられました。 17年度の 2 回目の消費増税を行われると影響一巡するのは、見極めるのはやはり 2018年度以降くらいになると思うのですが、具体的に 2018年度以降まで今現在の量的・質的金融緩和を継続する可能性があるとお考えでおられるのでしょうか。もう 1 点は、午前の挨拶で、「仮に想定通りの物価上昇パスが全くみられない場合、金融政策の調整を検討するのが良い」とおっしゃられているのですが、その上昇パスというのが、挨拶の中で金融政策運営の中に出てくる 5 つのポイントを挙げられておられますけれども、これが変調するケース、つまりメカニズムのことを指しておられるのか、それとも物価上昇のペースなど達成時期を含めておっしゃられているのか、追加緩和が必要となるケースについて、白井委員がどのような状況を想定しておられるのか、もう少し具体的に教えて下さい。

§20Sayuri Shirai

今の段階では、2017年度はどのくらい予想物価上昇率が上がってくるのか──今は横ばいの状況ですから──、まだ不確実性が高いです。繰り返しになりますが、オリンピックに向けた公的・民間の設備投資やインフラ投資がどのくらい出てくるのか、あるいは、家計の消費税に対する対応力は──一度2014年に経験していますので──どのように反応するのか、少なくとも名目賃金は上がってきますから、そこは 2014年とは同じではないと思います。やはりそれは見極めなければなりませんので、今の段階では、消費税の引き上げによる直接的な影響は 1年ほど出ますから、そのあとも含めて安定的な実現というのを分析した方が良いとは思っていますけれども、それはこれからどのように家計や企業の物価観、企業の価格設定行動が変わってくるのかにもよりますので、変わり得るとは思いますけれども、今の段階ではその程度のタイムスパンでみていく必要があるかもしれないと思っています。また、日本銀行も公式見解としては 2%を安定的に実現するのに必要な時期まで量的・質的金融緩和を継続すると申し上げていますので、その限りは続けるということだと思います。私もそう思っています。

§21Sayuri Shirai

2 つ目の、金融政策の調整を検討する可能性について触れた際の、「物価上昇パス」の意味については、まず確認しておきたいのですが、私たちの 2%の物価安定目標というのは、総合消費者物価指数でみています。総合消費者物価指数が長い目でみたときに平均して 2%であるというのが私どもの政策が成功したということになります。ところが、今トレンドでみるときには、色々なエネルギーとか、為替の影響もあって、変動が大きいので、この間、調査統計局等から物価の基調を判断する際に注目する指標として5つの指標が示されましたけれども、そうしたものをみながら、しっかり上がっているかをみていくということです。ですから、当然、私たちが今やっている金融政策の調整が必要かどうかを考える時には、そうした物価の基調を判断するいくつかの指標をみながら、予想インフレ率がどのような形で変化してきているのか、実際の需給ギャップ等もみながら、総合的に判断していくということになると思います。それが全く改善がみられないということになれば、それは金融政策の緩和の度合いが足りないのか、あるいは金融政策対応を工夫した方が良いのか、という判断になってきますので、それは原油価格の動向等にもよりますけれども、必要があれば検討する必要があるのではないかと申し上げています。

§22Question

挨拶要旨の中で物価達成時期について、2017年1月~3月期、4月~6月期にかけて 1.7~1.8%程度に達する可能性が高く、すなわち 2%程度に近づくとおっしゃっています。日本銀行の見方としては 2016年後半頃に 2%程度に達すると書いています。白井委員の 2%程度という認識は 1.7~1.8%程度ということで、2%に必ずしもタッチしなくて良いとお考えなのでしょうか。

§23Sayuri Shirai

今の私の中心的な見通しは、2016年度の末から 2017年の初めに 1.7~1.8%程度に達すると見込んでいます。それは日本銀行の公式見解である 2%程度に達する時期が 2016年度後半とするところと違うのではないかという質問だったかと思いますけれども、その 2%程度というのは、──私は 2%程度に近づくと申し上げていますが──柔軟に解釈すべきだと思います。私自身、挨拶要旨で、物価見通しに関するリスク、上振れも下振れ要因もあるというところで、為替の動向と原油価格をはじめとするコモディティ価格については、非常に不確実性が高いと述べています。それは、私の見通しを上振れさせる可能性もあるし、下振れさせる可能性もあるわけです。そういった中で、柔軟に解釈をすれば日本銀行の基本的見解としての2016年度後半頃に2%程度に達している可能性が高い、ということと、さほど大差がないということで、賛成しているわけです。

§24Question

先程、国債買入れの持続性について、仮に問題が出たら、持続的なやり方で 2%を目指せば良いとおっしゃいました。この「持続的なやり方で」というのは、具体的に言えば、現在ネットで年間 80 兆円増えるようなペースで国債、長期国債を買い入れているわけですけれども、持続性に問題が出た場合は、持続的なやり方でということは、つまりこの 80 兆円ペースというのを削減する・縮小するという解釈で良いのかどうかを教えて下さい。

§25Sayuri Shirai

今の量的・質的金融緩和の枠組みというのは、もともと、金利・イールドカーブが 7~8年ぐらいまでの中期ゾーンまでかなり下がり、その下げ余地がかなり乏しくなっている中で、より多くの金融緩和効果を狙って、大量に、最長 40年までの国債を中心に資産買入れをすることを始めたわけです。ですから通常は、その枠組みで調整を考えるならば、国債を中心に買っていますので、その国債の量なのか、あるいはその買い入れの平均残存期間の変化、長期化なのか、あるいは他のリスク性資産も買っていますので、そことの組み合わせになるのか、そういったことが通常調整というときに意味することだと思います。それが量的・質的金融緩和の枠組みだと思っています。基本的にはそういうことだと思いますが、それ以外の金融政策ということもあり得るとは思います。あらゆる手段に対してオープンに、選択肢として排除する必要はないと思いますけども、量的・質的金融緩和を持続できるという判断の中では、今申し上げたような中での調整がまず考えられることではないかと思います。以上