総裁定例記者会見(2016年9月21日)要旨
Full text
§1Question
本日の「総括的な検証」の結果、そして本日決定の新しい政策枠組みについて――そこにフリップがありますが――ご説明下さい。
§2Haruhiko Kuroda
本日の決定会合では、「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果について「総括的な検証」を行いました。その検証結果を踏まえて、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、金融緩和強化のための新しい枠組みである、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定しました。新しい政策枠組みは、2 つの要素から成り立っています。第 1 に、金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、第 2 に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に 2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」です。まず、「イールドカーブ・コントロール」です。「総括的な検証」で示した通り、「量的・質的金融緩和」は、経済・物価の好転をもたらし、その結果、日本経済は、物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなりました。その主たるメカニズムは、実質金利低下の効果です。これを長短金利の操作によって追求する「イールドカーブ・コントロール」を、新たな政策枠組みの中心に据えることとしました。今後は、毎回の決定会合で決定・公表する「金融市場調節方針」において、日本銀行当座預金に適用する短期金利、および 10年物国債金利の操作目標、の2 つの金利水準を示します。
§3Haruhiko Kuroda
日本銀行の国債買入れは、買入れ額の「めど」を示したうえで、長期金利の操作方針を実現するように運営いたします。なお、買入対象については、引き続き幅広い銘柄とし、平均残存期間の定めは廃止しました。今回の決定会合では、概ね現状程度のイールドカーブをイメージして、短期政策金利を-0.1%とするとともに、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう長期国債の買入れを行うこととしました。また、買入れ額は、年間増加額約80 兆円をめどとしました。「イールドカーブ・コントロール」を実現する手段としては、主として「政策金利残高に対するマイナス金利の適用」と「長期国債の買入れ」を使っていきます。この2 つの組み合わせがイールドカーブ全般に影響を与えるうえで有効であることは、マイナス金利導入以降の経験で明らかになっています。加えて、金利操作を円滑に行うため、新しいオペレーション手段を導入しました。すなわち、日本銀行が指定する利回りによる国債買入れ、いわゆる「指値オペ」を導入するほか、固定金利の資金供給オペレーションを行うことができる期間を現在の 1年から 10年に延長します。金利が現状程度のイールドカーブの水準から大きく変動することを防止するため、金利が上昇した場合などには、10年金利、20年金利などを対象とした指値オペを直ちに実施する用意があります。
§4Haruhiko Kuroda
「イールドカーブ・コントロール」を中心とする新しい枠組みでは、マネタリーベースや国債保有残高の増加ペースを操作目標とする従来の枠組みに比べて、経済・物価・金融情勢の変化に応じてより柔軟に対応することが可能です。結果として、政策の持続性も高まるものと考えています。次に、「オーバーシュート型コミットメント」について説明します。日本銀行は、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に 2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続するという新しいコミットメントを導入しました。2%の「物価安定の目標」を実現するためには、人々のデフレマインドを抜本的に転換し、予想物価上昇率を引き上げる必要があります。この点、「総括的な検証」でも示したように、わが国における予想物価上昇率の形成は依然としてかなりの程度「適合的」であり、足許の物価上昇率に強く引きずられる傾向があります。こうしたことを踏まえ、予想物価上昇率をさらに引き上げていくためには、金融緩和の継続に関する極めて強力なコミットメントを導入することによって、「物価安定の目標」の実現に向けた日本銀行の揺るぎない姿勢を改めて示すことが必要であると判断しました。もともと 2%の目標を実現するということは、景気変動などを均して平均的に 2%を実現するということですから、2%をオーバーシュートする局面は想定されています。
§5Haruhiko Kuroda
しかし、金融政策には効果が現れるまでにラグがあることを踏まえると、実際に 2%を超えるまで金融緩和を続ける、というのは極めて強いコミットメントです。日本銀行が供給しているマネタリーベースの対名目GDP比率は既に 80%程度に達しています。新しいコミットメントのもとで、現在の調節方針に沿って金融緩和政策を継続すれば、あと1年強で100%を超える見込みです。この水準は、米国や欧州の20%程度をはるかに上回っており、日本銀行の金融緩和がいかに大規模なものであるかをご理解頂けると思います。日本銀行は、今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、 2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要と判断すれば、躊躇なく、政策の調整を行います。具体的な追加緩和手段としては、「イールドカーブ・コントロール」における短期政策金利や長期金利操作目標の引下げのほか、「量的・質的金融緩和」以来実施してきた資産買入れの拡大が考えられます。また、状況に応じて、マネタリーベースの拡大ペースを加速させることを手段とすることもあります。その場合には長期金利の大幅な低下を伴うと考えられますが、そうした強力な緩和が必要となる状況もあり得るということです。日本銀行は、新たな政策枠組みのもとで、 2%の「物価安定の目標」の実現に向けて、従来よりも一段と強力な金融緩和を推進してまいります。
§6Question
新たな政策枠組みの導入の考え方についてですが、先程、予想物価上昇率の引上げには時間がかかる可能性があるとおっしゃられました。一方で、2%の「物価安定の目標」は、できるだけ早期に実現するというコミットメントを維持しています。そこで、今日の政策枠組みの変更で目標を達成するまで続けるという意思は伝わるのですが、2013年4月に表明された「2年程度の期間を念頭に」ということ、そして、いま現在の政策委員の見通しの中心値である「17年度中」との整合性について、つまり、「できるだけ早期に」というのはどの程度の期間を念頭に置いているのかについてお伺いします。
§7Haruhiko Kuroda
「量的・質的金融緩和」の導入後、既に3年以上が経過していることは事実でありますけれども、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するとの方針に全く変化はありません。
§8Question
まず、今回の政策の枠組みの変更によって 2%を達成できるのかという市場の懸念は残ると思いますので、どのような道筋を描いていらっしゃるのかをご説明頂きたいと思います。特に、適合的なインフレ期待という話もありましたが、賃上げなどの要因もあると思いますので、政府との連携、財政面なども含めて、ご所見を伺いたいのが 1 点目です。2 点目ですが、今回の一連の「総括的な検証」に関しては、市場との対話を重視されてきたと思います。ただし、今回新しく長期金利目標が加わることによって、いわゆる政策反応関数は複雑になると思うのですが、今後そうした面での対話について、どういった姿勢をとっていかれるのか、お伺いします。
§9Haruhiko Kuroda
2%達成に向けた道筋についてですが、従来申し上げているように、実質金利の引下げによって、景気を刺激し、失業率を引き下げる、あるいはGDPギャップを縮小することを通じて賃金や物価が上昇していくというメカニズムは基本的に変わっていません。むしろ、そういったメカニズムをより明確にしっかりと働かせるためにも、今回の「イールドカーブ・コントロール」という形で適正なイールドカーブを実現し、経済に最も望ましい実質金利の引下げを実現していくとともに、新しく「オーバーシュート型コミットメント」によって予想物価上昇率の引上げを図る、この両面で従来の政策の枠組みをさらに強化したということです。なお、政府の様々な政策との関連については、公表文の最後にも述べていますが、2013年1月の共同声明を引用しながら、日本銀行はこの「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進して、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現し、政府の財政運営、成長力強化の取組みとの相乗的な効果によって、日本経済をデフレからの脱却と持続的な成長に導くことを考えています。2 番目のご質問の市場との対話ですが、これは従来常に心がけているところでして、様々なチャネルを通じて市場との対話を続けています。
§10Haruhiko Kuroda
今回の新しい枠組み、これは従来の「量的・質的金融緩和」あるいは「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」といった政策枠組みを強化する形で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」にしたわけですので、当然その内容等については、引き続き市場との対話を強化し、その趣旨、効果をよく理解してもらうように努めていきたいと思っています。
§11Question
2 点お伺いします。1 点目は、今の市場との対話とも関わるのですが、できるだけ早く 2%の「物価安定の目標」の達成を目指すという姿勢は変えないとおっしゃいました。これまで決定会合が近づいて、特に展望レポートで2%の達成時期を先送りするタイミングで、マーケットで過度な金融緩和期待が高まり、金融市場を不安定化させる状況を招いてきたと思います。今後、そういった状況を再び招いてしまうおそれがあるのではないか、何かそこで対話の工夫というものを考えていらっしゃるのか、というのが 1 点目の質問です。もう 1 点目は、マイナス金利の深掘りです。マイナス金利については金融機関の反発が非常に強く、また心理面への悪影響も指摘されています。今後もマイナス金利の深掘りを進めるお考えはあるのか、その点についてもお聞かせ下さい。
§12Haruhiko Kuroda
先程申し上げたように、日本銀行は2013年1月に 2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するということを決定し、さらに政府との共同声明でもそれを明示しました。それを踏まえて、「量的・質的金融緩和」、あるいは「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」、そして今回の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」というように、次第に金融緩和の枠組みを強化してきました。そういう意味で、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するというコミットメントは一貫していますし、変わっていません。なお、展望レポートで 2%の達成時期の見通しというものを毎回示しているわけですが、これはあくまでも見通しであり、その変化と政策変更が機械的に結びついているわけではありません。見通しの後ずれによって政策変更を行った場合も行っていない場合もあります。私どものコミットメントは、できるだけ早期に 2%の「物価安定の目標」を達成することです。そしてさらに今回、「オーバーシュート型コミットメント」によって、そのコミットメントをより明確に強いものにしたということです。マイナス金利につきましては、この公表文でも示している通り、必要に応じて追加緩和をするということです。
§13Haruhiko Kuroda
追加緩和の手段として、この短期政策金利の引下げ、あるいは長期金利操作目標の引下げ、さらには資産買入れの拡大、または状況に応じてマネタリーベース拡大ペースの加速を手段とすることもあります。当然のことながら、「量」・「質」・「金利」の面で追加緩和の余地はありますし、必要に応じてそういうことを行うということです。
§14Question
2%への道筋について、改めてお伺いします。金融機関からは、マイナス金利になっても資金需要が伸びていかないとか、企業あるいは家計においてもイールドカーブがフラット化し過ぎてマインド面での不安感があったという話が聞かれます。今後、ターゲットを金利にした場合、イールドカーブがより尐しスティープ化することによって、予想物価上昇率が、例えば日本の場合、適合的なところからフォワード・ルッキングなところへの転換が図れるのか、どういうメカニズムなのか、金利を主軸にしたことによって 2%への道筋がより描かれやすくなるとみているのかどうか、もう一度、教えて下さい。
§15Haruhiko Kuroda
「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」については、「総括的な検証」の中で、かなり詳しくその効果と影響を述べています。特に、金融機関への影響については、かなり詳しく述べています。そこで、今ご指摘になった点につきましては、まず、イールドカーブが全体として非常に下がった結果として、貸出金利あるいは社債の金利等も明確に低下しています。そうした中で、社債の発行等は増えていますし、銀行の貸出も引き続き 2%台で伸びており、伸びが止まったとか効果がないということではないと思いますが、他方で、ご指摘のイールドカーブが過度にフラット化することになると、広い意味での金融機能の持続性に対する不安感をもたらしたり、マインド面を通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性があることは、「総括的な検証」の中でも述べられているところです。そうしたことも踏まえて、さらに柔軟性、持続性を確保するためにも、従来の緩和の枠組みをさらに強化して、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」によって、一方で経済に引き続き刺激効果を与えるような実質金利の低下を確保しつつ、他方でイールドカーブが過度にフラット化したり、マインド面の影響が出る可能性を排除するために、適切なイールドカーブの確保を図る「イールドカーブ・コントロール」という形にしたわけです。
§16Haruhiko Kuroda
「量的・質的金融緩和」に加えて今年の1月にマイナス金利導入を決定して以来、イールドカーブが非常に低下しフラット化しているという形で影響が非常に大きく出ていることからも、マイナス金利と国債の大幅な買入れという組み合わせが、イールドカーブ全体に十分大きな影響を与え得ることが分かったので、そうしたことも踏まえて「イールドカーブ・コントロール」を決めたわけです。加えて、もう1 つの重要な要素である「オーバーシュート型のコミットメント」によって、この両者が相俟って、2%の「物価安定の目標」の早期実現に向かって金融緩和を強化したと考えています。
§17Question
1 点だけお伺いします。これまで、2%の「物価安定の目標」に向けて、黒田総裁は強気の政策を進めてこられたと思いますが、今回大きく舵を切られたということは、量を重視した金融緩和策に手詰まり感があったということでしょうか。
§18Haruhiko Kuroda
先程来申し上げている通り、今回の新しい枠組みは、従来の「量的・質的金融緩和」あるいは「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」、この 2 つの枠組みを踏まえて、それをさらに強化したものです。「量」の面でも「質」の面でも、また「金利」の面でも今後とも十分対応できると思っており、なにか手詰まりになったということはないと考えています。金融調節方針として、マネタリーベースをターゲットにして行ってきたことについては、一定の効果があったと認めているわけですし、特に長期的な意味では非常に効果があると思います。他方で、短期的にマネタリーベースの増加とインフレ期待、物価上昇期待といったものが密接にリンクしているわけでもありません。むしろ「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という形にして、より柔軟にその時々の経済・物価・金融情勢に対応できるようにすることによって、この緩和政策が、持続性があって、 2%の「物価安定の目標」を必ず実現する、そのための手段が十分あることをはっきりと示すことができるという意味で、操作目標を変更したわけです。フレームワークが徐々に強化されていますが、前の政策を捨てたというわけではなくて、それをさらに強化してこういった形にしているとご理解頂ければと思います。
§19Question
「総括的な検証」について 2 点お伺いします。まず 1 点目ですが、外的要因を主因に持ってきていますが、責任転嫁とも受け取れます。もし外的要因がなければ、既に 2%を達成していたとお考えでしょうか。もう1 点は、「適合的な期待形成」という言葉をお使いですが、要はデフレマインドが思ったより根強くて、なかなか先々まで物価が上がらないと人々が思うということだと思いますが、総裁は就任会見でもデフレマインドを払拭するという強い意志を掲げて「量的・質的金融緩和」を導入したわけで、それができなかったことについて、結果を出せなかったと考えていらっしゃるかどうかコメントをお願いします。
§20Haruhiko Kuroda
前段の問いについては、原油価格の大幅な下落や消費税率引上げ後の消費が弱かったこと、昨年末以来の新興国経済の不透明さ、それを巡って国際金融市場が大きく変動したといったことは、金融政策でコントロールできない外的な要因です。そういったことがなければ、 2%に近付いていたということは、「総括的な検証」の中ではっきりと計量的な手法を使って示しています。従って、そういったことがなければ 2%に達していただろうということは言えると思います。「適合的な期待形成」については、これも「総括的な検証」の中で、各国と比較すると日本は予想物価上昇率が足許の実際のインフレ率により強く引きずられる傾向があることを、計量的な分析で示しています。これはおそらく、15年以上続いたデフレのもとで――色々な計算があると思いますが、1998年から 2013年までデフレが続いて―─、デフレマインドがかなり企業や家計の間に染み付いているということがあるとは思いますが、予想物価上昇率の形成について適合的なものが多いということは、計量分析が示している通りです。もちろんその場合でも、大幅な原油価格の下落などの外的要因で実際の物価上昇率が下がるということがなければ、順調に予想物価上昇率も上がっていったと思います。現に、「量的・質的金融緩和」を導入して、2014年には物価上昇率が 1.5%までいったわけです。
§21Haruhiko Kuroda
その後、原油価格の下落その他によって、実際の物価上昇率が下がっていくという過程で、「適合的な期待形成」が大きく影響したということは否めないと思います。足許では、潜在成長率を上回る成長が基調として続き、失業率はどんどん下がって 3%まできていますし、GDPギャップもどんどん縮小しています。そうしたもとで、物価の基調は上昇していくと思いますし、原油価格もいつまでも下がるわけではなくて、その影響は次第に剥落していくと思います。実際の物価上昇率が次第に上昇していけば、「適合的な期待形成」のもとで予想物価上昇率も次第に上がっていくと思いますが、やはりこの際、フォワード・ルッキングな予想物価上昇率の形成を後押しするために、「オーバーシュート型コミットメント」によって、より強く日本銀行として 2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するという決意を示したわけです。フォワード・ルッキング型と適合型の予想物価上昇率の形成が、双方相俟って、予想物価上昇率が次第に上がっていくことは、是非とも必要なことです。これは展望レポートでも、2%の「物価安定の目標」を実現することにより、予想物価上昇率自体も 2%に向けて押し上げられると言っています。それは 2%の「物価安定の目標」を持続的に実現するために不可欠であると思っています。
§22Question
金融緩和というのは、人々に、将来物価が上がっていくという予測を持ってもらって、物価が上がる前にモノを買おうという動機づけをするという狙いがあると思いますが、今後、2%の目標が実現し、安定するまで金融緩和を続けるということになると、緩和の長期化ということも視野に入ってくると思います。人々からしますと、物価が上がるまでの時間が長くなる、つまり「今買わなくては」という動機づけができなくなってしまう、人々の物価観を変えるという効果が薄くなってしまうのではないかと思われますが、そのあたりをどうお考えかという質問が 1 つです。そして金融政策が新たな局面に入ったわけですが、日銀はあらゆる手段を尽くしているように見えます。この「総括的な検証」は、アベノミクスを成功させるために、両輪のもう一方である政府に向けた、「私たちはもう十分にやっていますから、次はあなたたちの番ですよ」という強いメッセージとも感じられますが、政府に対してどのようなことを望まれるのか、お願いします。
§23Haruhiko Kuroda
第1 点につきましては、公表文でも説明している通り、「オーバーシュート型コミットメント」というのはむしろ、 2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するということをより確実にするためのものであり、 2%の達成がより遠のくということではありません。むしろ、 2%を超えていてもマネタリーベースの拡大を続けるということにより、より強いコミットメントをして、物価上昇率あるいは物価上昇期待を 2%に引き付けていくということであり、ご指摘のようなことではなくまさに逆で、こういうことによってできるだけ早期に 2%の「物価安定の目標」を実現し、それを安定的に維持することを狙っています。日本銀行と政府の役割分担は、先程も述べた通り、2013年1月の、政府と日本銀行の共同声明ではっきりうたわれておりまして、日本銀行は大胆な金融緩和をすることによって、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現すること、他方で政府は財政政策、構造改革といったことを通じて持続的な経済成長を達成し、財政については景気刺激も必要ですし、中長期的な財政構造の健全化、持続可能性を高めるということもうたっています。
§24Haruhiko Kuroda
私自身は、日本銀行がこれだけやっているのだから政府もやりなさい、というようなことよりもむしろ、まさに政府と日本銀行の共同声明でうたわれている通り、財政運営、特に成長力を高めるための構造改革を引き続きしっかり行って頂きたいと思っています。
§25Question
今回新たに長期金利を操作目標とされたわけですが、長期金利は様々な要因によって動くと思います。例えば、米国の利上げとか、日本の財政に対する懸念とか、日銀ではどうしようもないことが起きて長期金利が上昇するようなケースでも誘導目標に向かって長期金利を確実に抑えていく方針なのか、それが可能なのかということが 1 つです。もう1 つは「総括的な検証」について、今回物価が上がらなかった要因として予想物価上昇率について様々な分析を出されていますが、もう1 つの重要な要素である需給ギャップについて言及が尐ないように思います。需給ギャップの改善について、金融政策でできることは限られるのか、難しいというお考えなのかお聞かせ下さい。
§26Haruhiko Kuroda
第1 点ですが、伝統的に中央銀行は短期金利はコントロールできるが、長期金利は、期待やその他様々な要因によって決まるので中央銀行が完全にコントロールするのは難しいと言われていました。ただ、ご承知のように、リーマンショック後、FRBであれECBであれ日本銀行であれ、長期債券の買入れを行ってダイレクトに長期金利を下げようとして、現に下げているわけです。短期金利と同じように完全にコントロールできるかという議論であれば、それは短期金利と全く同じようにできるとは言っていませんが、現に、リーマンショック後の世界の中央銀行は直接的に長期国債を――あるいは米国の場合は、民間の長期金利に直接影響を与えるようなものを――購入しており、その効果が出ています。日本銀行の場合は、「量的・質的金融緩和」で明らかにその効果が出ていますし、マイナス金利の導入後、長期金利まで含めて「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が非常に大きな効果をもったことは明らかですので、ここに示すような「イールドカーブ・コントロール」は十分できると思っています。しかも、新たに国債の指値での買入れや長期のオペなど、色々な形でそれを補強するような措置も講じていますので、私はここで示している「イールドカーブ・コントロール」は十分できると思っています。ご指摘の点ですが、需給ギャップがこの3年間目立って縮小してきたことは明らかです。
§27Haruhiko Kuroda
失業率が 3%まできて完全雇用に近い状況になっていますし、設備の稼働状況も非常に高くなっていますので、需給ギャップが縮んできて物価の押し上げ効果があったことは確かだと思います。ただそれにもかかわらず、現実の消費者物価の上昇率が今、足許で若干マイナスにまでまた落ちています。その背景には、もちろん原油価格の大幅な下落などがありますが、それとともに予想物価上昇率自体も昨年の夏以降弱まってきており、やはりこれが消費者物価の基調を引き上げていく上で十分な効果を上げていない理由の大きなものであることは間違いないと思います。原油価格そのものについては一国がどうこうできるものでもありませんので、それを与件として見ながら我々としてどうしていくかといえば、あくまでも一方で需給ギャップを縮めていくことだと思います。すなわち、実質金利を低位にすることによって景気を刺激し、需給ギャップを縮小していくことと、予想物価上昇率にプラスの影響をどう及ぼしていくかという、この2 つになると思われます。需給ギャップの縮小は誰もが認めるところですので、予想物価上昇率という面で、特に原油価格の下落やその他によって足許の物価上昇率が下がってきた時に予想物価上昇率も弱くなってきてしまったことについて、詳しく分析したということです。
§28Question
今回、従来の枠組みをさらに強化したということで、当然総裁任期中のデフレ脱却が十分可能だと考えるのか、これが 1 点です。もう 1 つは、今回の「イールドカーブ・コントロール」導入の背景に、金融機関の収益圧迫、個人の資産運用への懸念の高まり、あるいは批判の声もあったと考えてよいのでしょうか。
§29Haruhiko Kuroda
2%の「物価安定の目標」がいつ達成されるかということは、展望レポートで毎四半期示しており、最新の展望レポートでは、2017年度中ということになっていますが、同時に様々な不確実性が大きいということも示しています。2 点目については、半分当たっており、半分当たっていないというところでしょうか。この「総括的な検証」の中でも、マイナス金利の効果と影響について示しています。先程来申し上げている通り、イールドカーブ全体が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとで非常に大きく低下し、それが貸出や社債の金利などの低下にしっかりとつながったということが挙げられます。それから、金融機関の貸出態度は引き続き積極的であり、これまでのところマイナス金利のもとで金融環境は一段と緩和的になっており、はっきりポジティブに効果があったと言っています。もっとも、貸出金利の低下は金融機関の利ざやを縮小させることで実現しているため、更なる金利低下に伴う貸出金利への波及については、金融機関の貸出運営方針にも依存しますので、金融機関の収益への影響について留意しています。また、先程申し上げたように、イールドカーブの過度な低下・フラット化は、広い意味での金融機能の持続性に対する不安感をもたらし、マインド面等を通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性があると、「総括的な検証」で言及しています。
§30Haruhiko Kuroda
そういったことも考慮したのは事実ですが、だからといって金利がこれ以上下げられないとか、「量的・質的金融緩和」がこれ以上拡大できないということは全く言っておりません。
§31Question
総裁の任期中にデフレ脱却ができるかどうかについては、不透明と言うか、はっきり分からないということでしょうか。
§32Haruhiko Kuroda
現在の展望レポートでは、2017年度中に 2%程度に達する見通しであると書いています。ただ、不確実性が大きいということは言っています。
§33Question
今の点にも関連するのですが、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入された直後、総裁はこれは世界の中銀史上で最も強力な枠組みであるとおっしゃっていたと思います。今回の枠組み修正は、半年強経って、今おっしゃったような悪影響がみえてきた中で、それを踏まえて修正を図るということですので、もともと最強の枠組みでもなかったということなのかというのが1 点です。外債購入についてですが、今回市場で一部観測が出ましたが、改めて、今後「質」の強化の中で検討対象となり得るのかどうかお考えを聞かせて下さい。
§34Haruhiko Kuroda
まず第 1 点につきましては、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が「量的・質的金融緩和」を超えて、金利という次元を追加して3 次元の極めて強力な金融緩和の枠組みであるということはその通りであると今でも思っております。その上で、先程来申し上げている通り、経済に対する最も大きな刺激効果というのは実質金利の引下げであることは事実なわけです。そういった面では、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は強力な効果を持ったわけです。ただ、その一方で、先程来申し上げているような論点もあるのは事実であり、従って今回の「イールドカーブ・コントロール」、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」によって、これをさらに強化したということです。2 番目の点につきましては、ご案内の通り、日本銀行法上、外国為替相場の安定を目的とする外国為替の売買は、国の事務の取り扱いをする者として行うものとされています。従ってそうした外国為替の売買については、法律上、財務大臣が一元的に所管されていると理解しています。
§35Question
量の部分で 1 点だけなのですが、今後金利調節をしながら、柔軟に量を増減させるということになると思うのですが、それを考えると、今まで機械的に年間 80 兆円ずつ増やしてきたということ自体が無駄玉だったというか、やりすぎたのではないかと、そのような思いはありますでしょうか。
§36Haruhiko Kuroda
そういう思いは全くありません。国債を大量に購入してきましたが、市中に残っている国債は総発行高の 3 分の 2 くらいあり、そういう意味ではまだまだ量的に限界に達しているということは全くありません。他方で、どんどん市中の国債が減っていって、その中で80 兆円を、毎月――その 12 分の 1 というわけではないのですが――購入していきますと、いわば1 単位の国債を買入れることによる金利の引下げ効果というのは、より強くなってくる可能性はあると思います。ですから、そういう意味では、適切なイールドカーブ、まさに経済にとって成長を促すための最も適切なイールドカーブの実現のために必要な国債の買入れというのは、経済や金融市場の状況に変わってくるわけですので、80 兆円をまず固定するよりも、むしろ経済にとって1 番好ましいイールドカーブを考え、それを実現できるような国債買入れをするということだと思います。現時点においては、現時点のイールドカーブは概ね妥当ではないかと考えています。80 兆円という国債買入れをめどとして維持しています。
§37Haruhiko Kuroda
しかし、将来こういったイールドカーブを実現するために必要な国債の額は、その時々の経済、物価あるいは金融情勢によって上下すると思いますので、あくまでも「イールドカーブ・コントロール」、「長短金利付き量的・質的金融緩和」というフレームワークに則して、イールドカーブが最も適切な形になるように、国債の買入れを続けていきます。その場合には、柔軟にしかし幅広く国債を買って、適切なイールドカーブを実現していくということだと思います。
§38Question
このところ政策の変更が相次いでいますけれども、総裁は、戦力の逐次投入はしないとおっしゃっていて、その手法は、これまで、いわゆる「黒田バズーカ」とか「サプライズ」というように言われていました。今回、政策の枠組みがこれだけ変わって、金利という生き物をまさにターゲットにするとなると、これもうほとんど「ファイン・チューニング」に近いと思います。これからもう「サプライズ」は起きなくなるのではないかという感じがしますが、そのあたりについてどうお考えでしょうか。それからその際、金利が動いている状況の中で、政策委員なり、日銀の方から、これからの金利見通しについて自ら発信をする、各国やっているところはあると思いますが、そういったことも尐し考えた方がいいとお考えかどうか、その点をお伺いします。
§39Haruhiko Kuroda
戦力の逐次投入を行わないという考え方は一貫しており、これはその時その時で最も適切と思われることを行うということでして、とりあえず部分的にやって様子をみて必要になったらまた追加するとか、そういう考えでは全くありません。今回の見直しはかなり本格的な大きなものでして、ここでご説明した通り、「イールドカーブ・コントロール」にせよ、それから「オーバーシュート型コミットメント」にせよ、いずれもかなり思い切って政策の枠組みを強化したものであると言ってよいと思います。従って、ファイン・チューニングということではないと思いますが、もともと従来の「量的・質的金融緩和」にせよ、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」にせよ、例えば 80 兆円とかいうことにせよ、毎回、金融政策決定会合で見直すことにはなっていましたので、今後、毎回、ファイン・チューニングが必要というものではないと思います。あくまでも、毎回の金融政策決定会合でその時までに得られた情報をもとに、次回の金融政策決定会合までに何が必要かということを考えるわけですけれども、別に毎回変える必要があるということでもないと思います。それから、FOMCは、ドット・チャートと称する各委員の金利の見通しを示しています。
§40Haruhiko Kuroda
そういうものが論理的にあり得ないとは思いませんけれども、特に「イールドカーブ・コントロール」という「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」においては、金融機関の日銀における当座預金に対する政策金利と、それから 10年物国債の金利というものが金融調節方針の要になっていますので、それはあくまでも政策委員会で決定していくものであると考えています。
§41Question
「イールドカーブ・コントロール」ということですが、総裁は、最近政策の予見性の重要性ということも指摘されていて、今月の講演でも細かくそのコストとベネフィットを説明されています。今までは物価 2%に到達するかどうかがマーケットが追加緩和するかどうかということの指針だったと思います。ただ、今回「イールドカーブ・コントロール」が加わることによって、先程もあったように、イールドカーブが他の要因で動くことも十分あり得ると思います。逆に何か政策の予見性が分かり難くなってしまうのではないかということについて、もう尐しご見解を頂ければと思います。あともう 1 つ、先程ちょっとおっしゃったのですが、この政策はイールドカーブを適切なものに作っていくということですので、可能性としては国債の買入れを十分減らすということもあり得るということでよろしいのでしょうか。
§42Haruhiko Kuroda
まず、第 1 点は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するという「量的・質的金融緩和」が始まって以来の金融緩和の考え方は変わっておりません。今回、金融調節方針を、マネタリーベース・コントロールというものから「イールドカーブ・コントロール」に変えたということはその通りですが、実際のところ経済に影響があるのは実質金利ですので、マネタリーベース・コントロール、その裏側での国債等の買入れ額について、もし何かの事情で実質金利が変動したときに、それが好ましくないということであれば、当然量を変えたでしょうし、あるいは質も変えたでしょうから、マネタリーベース・コントロールから「イールドカーブ・コントロール」になったことで予見可能性が低下したということではないと思います。毎回の金融政策決定会合でそれまでの経済・金融情勢を点検して、次回の会合までの適切な金融政策の調節方針を決めるという枠組みは変わっていませんので、これによって予見可能性が上下するというものではないと思います。むしろある意味では、「オーバーシュート型コミットメント」によって、 2%の「物価安定の目標」の実現に向けたコミットメントを強化したということは言えると思います。
§43Haruhiko Kuroda
国債買入れの額については、「イールドカーブ・コントロール」ですので、増減することはあり得ると思いますが、当面、次回までの金融調節方針としては、短期政策金利-0.1%、それから10年物国債を現状程度(ゼロ%程度)ということですので、80 兆円というのもそのままめどとしていますが、いずれにせよ増減はあり得ると思います。
§44Question
先程、総裁からマネタリーベースのグラフで説明を頂き、現状がGDPの約 80%で、米国等を上回る緩和を日銀はしてきたというお話でした。そもそも 3年半前に「量的・質的金融緩和」を始めたときには、総裁ご自身が、2年でマネタリーベースを 2 倍にしてデフレマインドを払拭していくと力強くおっしゃっていたと思いますが、それが結局、ここまでの緩和を続けてマネタリーベースを増やしていても、現実としては色々な外的要因があったとして達成できておりません。このマネタリーベースの量と物価目標の関係を、現時点でどのようにお考えなのか教えて下さい。
§45Haruhiko Kuroda
「量的・質的金融緩和」を導入した際にも申し上げた通り、マネタリーベースの拡大ということ、その裏腹で国債を幅広く――長期のものも含めて――買っていくことによってイールドカーブ全体を引き下げ、実質金利を下げ、経済・物価に好影響をもたらすことが 1 つ指摘できます。もう1 つは、そうした強いコミットメントによって、予想物価上昇率を押し上げていくという2 つのメカニズムをご説明しました。それはその通りで、今回の「総括的な検証」の中でもかなり詳しく示されている通り、2013年4月に導入して、2014年の夏頃まで順調に機能し、予想物価上昇率も上がりましたし、需給ギャップも縮んで物価上昇率も 1.5%まで上昇しましたが、ご案内の通り、2014年の夏頃から原油価格が急速に下落を始めたということです。そうした中で、「適合的な期待形成」があることを踏まえて、モメンタムを維持するという観点から「量的・質的金融緩和」を 2014年10月に大幅に拡大したわけです。そのもとで、これも「総括的な検証」の中でかなり詳しく分析していますが、予想物価上昇率自体は比較的維持されました。足許の物価上昇率は、原油価格の下落に従って下がっていったのですが、そのもとでも、比較的、予想物価上昇率自体は維持されていました。
§46Haruhiko Kuroda
それが昨年の夏あたりから、新興国の経済減速あるいはその不透明性やそれを巡る市場の変動等があって、予想物価上昇率が弱くなっていきました。そうしたもとで、今年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入したのですが、これによって予想物価上昇率の低下を押しとどめるには至らなかったことはその通りです。従って、まさにご指摘の点が今回の「総括的な検証」のポイントなのですが、経済・物価について好循環に結び付くような改善がみられましたが、それがその後の色々な状況によって、物価上昇率 2%という目標が達成されていないことも事実です。そのうえで何が必要かということを「総括的な検証」から得られるものとして、「総括的な検証」の「基本的見解」の「示唆される政策の方向性」に書いてあることが議論され、今回の決定に至ったということです。
§47Question
2 つ伺います。イールドカーブの適切な水準については、口頭で毎回説明するだけなのか、均衡イールドカーブのようなものを見せるのか、均衡イールドカーブより若干下めのレンジを示されるのか、教えて下さい。2 つ目は、国債買入れの量ですが、増減すると思いますが、毎回のディレクティブで 80 兆円とか 70 兆円とか書くのか、おそらくそんなにたくさん買わなくても維持できると思いますが、30、40 兆円と書くと厳しい見方をされ藪蛇になるような気もしますが、その辺りのご見解をお願いします。
§48Haruhiko Kuroda
イールドカーブについては、公表文にも書いてある通り、あくまでも金融市場調節方針としては、当座預金に対する政策金利― ―今回は-0.1%――と10年物国債金利――今回は現状程度、0%程度――をイールドカーブの2 つの起点として示しています。その間にどういうイールドカーブの具体的な形が出るかは、バランスよく短期・中期・長期・超長期と買っていくので、今のイールドカーブと非常にかけ離れたものになるとは思っていませんが、イールドカーブの形状を、2年・3年・4年・5年とずっと曲線を決めていく必要もないですし、2 つの起点を決めることによって全体として適切なイールドカーブになるように国債買入れを進めていくということです。国債の買入れ額については、経済・物価あるいは金融市場との関係もありますので増減すると思いますが、今のところ、80 兆円のペースで買っているもとで、今のようなイールドカーブで適切ではないかと考えています。大きく増加したり減尐したりすることは見込んでいませんが、今後ずっと固定するということではなく、実際の買入れ額は上下に変動することになると思います。
§49Question
国債買入れのペースに増減があるということですが、これはテーパリングに向けた動きなのでしょうか。2 点目は、テーパリングと受け止められないために、資産買入れの拡大をするのだと思いますが、地方債や財投機関債といったところも選択肢から外していないということでよろしいでしょうか。
§50Haruhiko Kuroda
テーパリングではありません。テーパリングの定義は色々あると思いますが、米国での議論を踏まえれば、QEの目的が果たされて 2%の物価安定目標が実現されるのであれば、国債の買入れを次第に減らしていくという話だったと思います。私どもはまだ 2%が達成されていませんし、公表文にもある通り「オーバーシュート型コミットメント」のもとで消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に 2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続すると言っていますので、テーパリングでは全くありません。なお、ご指摘のような可能性は論理的にあると思いますが、今そういうことを具体的に考えていることはありません。国債の買入れもまだまだ十分可能ですし、スムーズに入札等も行われています。以上