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Bank of JapanPress conferenceJun 22, 2017Kikuo Iwata, Deputy Governor

岩田副総裁記者会見(2017年6月22日)要旨

Original in Japanese

Full text

§1Question

質問は 2 点あります。まず、本日の金融経済懇談会で話題になった主な内容をご説明下さい。

§2Kikuo Iwata

本日の金融経済懇談会では、青森県の行政や経済界、金融界を代表される方々から、地域経済の現状や課題のほか、日本銀行の金融政策の運営に関して色々なご意見を賜りました。極めて有意義な意見交換ができたと認識しています。まずはこの場を借りて、ご出席頂いた方々に御礼を申し上げます。ご意見が多岐にわたりましたので、全てを網羅してご紹介することはできませんが、私なりに整理して申し上げます。まず、青森県は輸出産業のウェイトが相対的に低い内需型の産業構造であり、海外経済の成長の好影響が全国に比べて及びにくいことなどから、依然として景況感に厳しい面がみられているということですが、全体としては、景気回復の傾向にあるというご意見が多く聞かれました。この辺りについて企業経営者のお立場からは、どなたも人手不足感が強いということをおっしゃっていたのが強く印象に残っています。当地の経済問題に関しては、全国に比べて速いスピードで進行している人口減少が大きな課題であり、これに対応するために民間・行政一体となって、仕事づくり、産業振興に取り組んでおられるというお話を伺いました。具体的にはインバウンドを含めた観光業の振興、豊かな自然を活かした農林水産業の活性化や販路拡大等への積極的な取組みに関するお話が聞かれ、大変心強く思いました。

§3Kikuo Iwata

昨日の個別金融機関とのお話の中では、従来の「資金の借り手が来るのを待っている」という金融機関の姿勢から、むしろ積極的に大学に眠っている技術等を企業に紹介したり、企業と企業とを連携させて色々な情報を与えることで新しいビジネスを掘り起こしていき、それによって貸出に結び付けるというような積極的な動きがみられ、私が来る前の予想よりも随分前向きな取組みを進められていると感じました。私どもとしては支店の経済調査機能を活かし、中央銀行としての立場から地域経済の発展に向けて、皆様の取組みを今後とも積極的にサポートしてまいりたいと思っています。

§4Question

次に、今のお話も踏まえて、県内の経済状況について、現状と今後の見通し、また、課題などあればお聞かせ下さい。

§5Kikuo Iwata

青森県は豊かな自然に恵まれており、農林水産業が非常に盛んなほか、自然、歴史、文化と多種多様な豊かな観光資源を有しているという大きな強みを持っていると思います。近年はこれらの資源を活かして、農林水産業や観光業の振興に取り組んでいると伺っています。農林水産業では、6次産業化の推進や、運輸会社と連携して県産品の販路拡大を物流面から支援する仕組みの構築など、成長産業化を目指して「攻めの農林水産業」を推進されています。観光面では、北海道新幹線開業を契機とした函館地区との連携強化や、国際航空便を組み合わせた「立体観光」の推進など、インバウンド需要の獲得にも熱心に取り組まれており、本年入り後の外国人宿泊者数の伸び率は全国トップクラスと聞いています。私としては、そうした取組みによって、青森県経済が今後とも益々発展し、ひいては日本経済全体の成長力強化につながっていくことを期待しています。

§6Question

21日のニューヨーク市場では、原油の先物価格が 1 バレル 42 ドル台まで下落し、去年8月以来の安値の水準となっています。今回の原油価格の下落はアメリカのオイル供給過剰懸念が主因とも言われていますが、金融市場や国内の物価動向にどのような影響があるとお考えでしょうか。また、懇談会のご挨拶で、副総裁は「物価上昇率の高まり方が緩慢だ」と認めていますが、原油価格の下落でエネルギー価格の押し上げ寄与が減少すると考えると、来年度頃としている 2%を達成する時期がさらに遠のく懸念も出るのでしょうか。

§7Kikuo Iwata

原油価格は一昨年頃に急落して、その後一旦立ち直ってからまた下がるというようなことが起き、最近では少し上昇トレンドに入ったかと思うと、おっしゃったようなことも起こっています。今後も原油価格が一本調子で上がっていくということはなく、上がったり下がったりしながら、トレンドとしてはある程度上昇ではないかと思いますが、一時的な下落といったことは起こってくると思っています。ただ、原油価格が急落したような時には、日本の物価に大きな影響を与えるわけですが、一時的な下落といったことは、それほど長期にわたって日本の物価に影響するということはあまり考えられません。原油価格が一時的に下がったり上がったりすることで、物価の見通しをそれほど変えていく必要はないと感じています。

§8Question

本日の講演で、2%の物価上昇率の必要性について、景気後退の局面に入った時に必要とおっしゃっていましたが、物価の伸び率が低いまま、景気後退局面に入った場合、どのようなことが起こるとお考えでしょうか。また、今の緩和策を続けても、なかなか物価が上がらないまま、また景気後退局面を迎える可能性もあると思いますが、そのようなリスクについて、お考えをお聞かせ下さい。

§9Kikuo Iwata

世界経済は、昨年の前半頃に底を打ち、そのような状況で、先進国は良かったわけですが、新興国はあまり良くなかったところ、ここにきて新興国も良くなってきています。一つの要因はやはり貿易が拡大し始めたことです。これは在庫調整がほぼ終わったことなど、色々な要因があると思います。また、先進国の経済が引っ張ってきた影響がようやく新興国に波及したこともあると思いますが、いずれにしても貿易を中心に経済活動が復活してきました。貿易が復活し、生産活動も増えて、それが設備投資にも結び付くという循環に入ってきています。今年は、一昨年から昨年の前半までが非常に悪くて、そこから底を打って景気回復過程にあるので、差し当たり景気が悪くなることはなかなか考えられません。ようやく上昇トレンドに入ったということです。むしろ今年は非常に良くなる年ではないかというのが私の考えです。ただ、今おっしゃったようなリスクは、特に海外面から起こる可能性はあると思っています。米国経済政策がどうなるのか依然として不透明ですし、ブレグジットがどういう影響を与えるのか、欧州の債務問題もありますし、中国でも過剰生産の問題が完全に解決したわけではありません。さらに地政学的リスクが非常に増しているということがあります。

§10Kikuo Iwata

これまではヨーロッパあるいは中東が主でしたが、最近では、日本のそばでも地政学的リスクが多くなりましたので、そのようなことが顕在化して大きくなると、人々のマインド面から、景気回復のモメンタムが削がれる可能性があると思います。ただ、それがそれほど大きいかというと、やはり地政学的リスクがあまり大きくならないよう、なんとか歯止めが掛かるように政治は運営されるだろうと期待しています。従って、そういう意味では、日本の回復が始まったばかりなのに、もう景気が悪くなるという蓋然性は少ないと思っています。

§11Question

物価が低いまま景気後退局面に入っていったらどうなるのでしょうか。

§12Kikuo Iwata

万が一のことはあまりお答えしたくありませんが、そのような場合には、やはり金融の一層の緩和ということと、もう一つは財政面での協力ということで、よほど悪いショックの場合は対応していくことになると思います。

§13Question

ETFの買入れに関して 2 点お伺いします。今、景気の認識についてお伺いしたところですが、昨年の7月に年間の買入れ額を6 兆円に倍増させて、まもなく 1年になります。当時の海外経済を含めたリスク要因等と現状は変わってきていると思いますが、今、買入れ額を改めて見直す必要性についてどうお考えでしょうか。また、それに関連して、年間の買入れ額を大きいまま続けていくと、個別銘柄の株価を左右するなど、市場の機能を歪めるのではないかという懸念の声も聞かれています。そのような声に対してどのようなご意見をお持ちでしょうか。

§14Kikuo Iwata

ETFの買入れは、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みの一つの要素として、株式市場におけるリスク・プレミアムに働きかけることを目的にしていますので、特定の株価水準を念頭に置いていません。従って、そうした水準を実現するという目的でやっているのではありません。つまるところETFの買入れは、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために必要な政策であると考えてやっていますので、先行きについては経済・物価・金融情勢を踏まえて、毎回の金融政策決定会合で、適切に判断していくということに尽きると思います。

§15Question

当時の状況として判断したリスク要因等が今も継続している、それが必要な状況には変わりないという認識でしょうか。

§16Kikuo Iwata

先日の決定会合で、そのように判断したということです。また、次回どのように判断されるかは議論の過程で決まってくると思います。

§17Question

物価動向について 2 点伺います。4月の消費者物価指数が力強さに欠けていて、本日の副総裁の講演でも緩慢というお話がありました。2017年度の見通しも 1.4%ですが、足許の動向と比べるとだいぶ距離が離れている実感がありますが、これをどう受け止めていらっしゃいますでしょうか。もう一つは、日銀の物価見通しですが、市場からすると、常に期待を織り込んでしまっており、高すぎるという懐疑的な見方があります。結果として、その物価見通しを引き下げることが多く、そうなると日銀がせっかくパスを示しても、その信頼が揺らぎかねないということもあると思うのですが、そういった声についてお考えをお聞かせ下さい。

§18Kikuo Iwata

一番最初に「量的・質的金融緩和」を始めた頃には、レジーム・チェンジということが大きく働いて、人々の期待形成が変わり、予想物価上昇率も上がり、物価も順調に上がっていました。そういう時にはむしろ、マーケットとの関係では、マーケットのほうが遅れて日本銀行についてきている状況でした。それが少し崩れてくるのは、消費税増税後の需要の弱さ等に加えて、原油価格が最大で 4 分の 1 まで下がるという想定外のことが起こり、予想物価上昇率がこれと同じように下がってしまうことを、日本銀行としては、十分には織り込めなかったからだと思います。そのためにマーケットや実態との差が開いていったと思いますので、そういう面を捉えて「総括的な検証」を行いました。予想物価上昇率は日本ではどのように形成されるのかを検証した結果、足許の物価が上がらないと、なかなか上がらない。2013年に「量的・質的金融緩和」を実施した時には、レジーム・チェンジの効果が働いたため、足許の物価が上がらなくても予想物価上昇率はそれ以上に上がる状況が続きましたが、今はまた元に戻ってしまい、足許の物価が原油価格等で下がると、予想物価上昇率も下がるという、いわゆる適合的期待に変わってきました。そうなると、日本銀行は少しフォワードルッキングな要素を織り込んで予想していましたので、物価に関する展望について、マーケットと日本銀行に乖離が生じ始めた。

§19Kikuo Iwata

そういうことで「総括的な検証」をした結果、今後は、需給ギャップの改善もありますので、足許の物価が上がり、予想物価上昇率も上がる、ということを繰り返しながら、次第に皆さんが、物価が実際に上がってくることを期待することによって、予想物価上昇率も、足許だけではなく、もう少し先をみながら予想するようになると私どもは考えています。適合的期待だけではなく、もう少し先行きをみた予想物価上昇率の形成の要素も加わってくると予想していますので、徐々にまた一番最初の「量的・質的金融緩和」を始めた頃と同じように、民間の予想物価上昇率も日銀に近づいてくるということが、今年から来年にかけて始まるのではないかと私は判断しています。

§20Question

1.4%と予想されていますが、足許の物価の動向が鈍いことに関して、どのようにお考えでしょうか。

§21Kikuo Iwata

足許は鈍いですが、労働市場をみますと、労働需給の逼迫度を反映するパートの賃金はすでに前年比 2%台後半まで上がっています。正社員の有効求人倍率も 0.97 倍と、1 倍が視野に入ってきている段階です。さらに今年は実体経済も良いということであれば、次第にパートだけではなく、正社員の賃金も上がってくると思います。むしろ、足許の物価が少し弱いのは、一昨年から去年くらいまでの状況が尾を引いているほか、原油価格が大きく下がったために実際の物価が下がったことが効いています。今後はそれが反転していく局面に入っていくと理解していますので、足許は弱くても徐々に物価は 2%に近づく軌道に入っていくと思っています。

§22Question

2015年に木内審議委員がいらして、その時の講演で、金融緩和の長期化によるいわゆる副作用のマイナス面は、都会よりも、青森のような地方に出やすいとおっしゃっています。それについてどのようにお考えでしょうか。

§23Kikuo Iwata

どのような意味で青森県のほうが副作用が強いのか、それについてどのようにおっしゃったかわからないのでコメントできませんが、金融緩和によってどのような影響を受けるかは、その地域によって違うということは確かにあると思います。例えば、輸出型であるか、内需型であるかなど、色々あると思います。あるいは、中小企業が多いところかどうか、人口減少のスピードがどのくらいかということでも、金融緩和の効果は違ってくると思いますが、その副作用がどこかで非常に大きい、ということはないのではないかと思います。

§24Question

1 点目は、日銀は今の「イールドカーブ・コントロール」のもとで、金利をターゲットにしていますが、80 兆円をめどに国債の保有残高を増やしていくガイダンスも残しています。このガイダンスは引き続き維持すべきだとお考えでしょうか。また、仮に将来これを変える、あるいは取り除く場合、どのような条件のもとであればそれが可能なのかをお聞かせ下さい。2 点目は、日銀が金融緩和の出口を検討する場合、日本の財政政策にどのような影響を及ぼすかについてお考えをお聞かせ下さい。

§25Kikuo Iwata

「イールドカーブ・コントロール」では、短期金利を-0.1%、長期の 10年物国債の金利をゼロ%程度という目標を持ってやっています。金利の裏には量があるわけで、金利の下がり方あるいは上がり方によって、国債の買入れ額は自動的に変動せざるを得ません。そのうえで、なぜ 80 兆円のめどが同時にあるかですが、それを外さないほうが柔軟性があると考えられることが1 つあります。例えば、先程、景気後退があったらどうなるのかというお話がありました。蓋然性はないかもしれませんが、万が一、非常に大きなリスクやショックが生じた時に、ゼロ%程度を維持するために、国債買入れ額のめどを外してしまった後に、やはり国債買入れ額は 80 兆円必要ということになるかもしれません。そういう意味で、国債買入れの 80 兆円はめどとして柔軟に残しておいたほうが、金融政策の運営が上手くいくのではないか。いったん外したのにまた 80 兆円をめどにするといった、市場に余計な混乱を予想させる必要はないのではないか。それよりも、80 兆円をめどにして、フレキシブルに買入れ額や、イールドカーブの形状を現状程度に維持する方法を考えたほうがよいのではないかということで、80 兆円というめどを残しているわけです。

§26Kikuo Iwata

出口が財政政策に与える影響については、出口に入っている頃というのは、かなり 2%のインフレに近付いてきている、あるいは達成して安定的になっている状況と思います。そういう時には、名目成長率も非常に上がっていますので、税収も相当増えていると思います。名目GDPも大きくなっていますから、国債残高の名目GDPの割合はむしろ下がっている状況になっていると思っています。そういう状況になれば、デフレの状態よりも、財政の健全化は私は容易になっていると思います。金利は確かに上がりますが、経済全体は良いので、全体としては、むしろ財政の持続性を可能にすることは容易になってくると思います。

§27Question

岩田副総裁は、就任会見で、2%のインフレを達成するためには 2 つの条件が必要だとおっしゃっています。そのうち 2 つ目として、「2年くらいで責任をもって達成するとコミットしているわけですが、達成できなかった時に、『自分たちのせいではない。他の要因によるものだ』と、あまり言い訳をしないということです。そういう立場に立っていないと、市場が、金融政策を信用しないということになってしまいます。市場が金融政策を信用しない状況で、いくら金利を下げたり、量的緩和をしても、あまり効き目がないというのが私の立場です」とおっしゃっています。もう 4年以上経っても目標を達成できていないわけですが、その理由として先程も、原油が下がった、消費税増税の影響があった、想定外のことが起こった、といったことをおっしゃっています。本日の講演の中では、もう 1 つ大きな要因として、リーマン・ショック後、わが国の予想物価上昇率が低位にとどまり、あるいは大きく低下したために、名目金利を引き下げても実質金利が十分に下がらなかったことにある点は否定できない、とおっしゃっています。

§28Question

これはつまり、異次元緩和を始める前の白川総裁時代のことをおっしゃっていると思いますが、もともと黒田総裁、岩田副総裁、新しい執行部というのは、前の白川総裁の政策を否定して異次元緩和をされたわけで、その政策が 4年以上経っても上手くいっていないからといって、前の白川総裁の時代のせいにするのは、あまりフェアではないと思うのですが、いかがでしょうか。

§29Kikuo Iwata

白川総裁時代のせいにするということではありません。率直に説明しますと、2年くらいをめどにして達成するという時に言い訳をしない、という時の言い訳としては、合理的な説明になっていないことを言い訳と私は申し上げました。例えば、安い中国からの輸入品が多いから日本はデフレになる、ということが、合理的な説明になるかということです。世界でデフレになっているのは日本だけだったわけですが、中国からはアメリカでもどこでも大量に輸入しています。従って、中国から大量に安いものを輸入しているからデフレになるというのは合理的な説明にはなりません。日本だけがなぜそうなっているのかを示さなければならないので、こうした合理的な説明でないことを私は言い訳と言っています。国会ではそれは言葉の遊びだと言われてしまいましたが、言い訳とはそういうことだと思います。合理的な説明であれば言い訳ではありません。原油価格がこれだけ急落した場合、物価が下がるというのは、ある期間はどうしても起こります。なぜならば、原油価格が急に4 分の1 にまで下がった場合、交易条件が良くなり、例えば地方で自動車を運転して外出したり、モノを買ったりする時の輸送コストが大きく下がります。その分、他に購買する力が出てきます。他のモノを消費する購買力が生じますが、他の物価は上がるのに時間がかかります。これを物価の粘着性と言います。

§30Kikuo Iwata

生鮮食品などはわりあい簡単に上がることはありますが、簡単には上がってこないモノがありますので、原油価格の下がり方を相殺してなかなか物価は上がりません。決して言い訳ではなく、時間が掛かるという意味です。原油価格が永遠に下がり続ければ、さらに金融緩和をしなければならないことになりますが、そうでない限りは、物価はどこかで底を打って反転してきますので、金融政策は最終的には効きます。金融政策で物価が上げられないということではなく、一時的にどうしても物価が下がることは、どのような金融政策であっても致し方ありません。「量的・質的金融緩和」を始める前の日本銀行は、どんなことをしても金融政策では物価は上がらないと言いながら、量的緩和をしました。そこに矛盾がありました。その矛盾について、合理的な理由にならないことを言っていました。例えば、人口減少は必ずデフレになるかと言えば、必ずしもそうではありません。ドイツでも人口は減少していますが、物価はむしろ上がっています。世界では色々なことが起こっていますが、日本だけでデフレが起こっている原因を探らなければいけません。

§31Kikuo Iwata

探ってみると、結局、金融政策が本当の物価安定を目指して粘り強くやっているか、コミットしてやっているか、色々と物価を下げる圧力があっても、それを跳ね返す努力をしているかということについて、日本銀行は常に努力をしてきたかと言えば、少し違うのではないかと思います。

§32Question

80 兆円の話に戻ります。量から金利に緩和の重点を移して 9 か月ほど経ちます。金利重視は市場にも浸透し、量のめどとして国債の 80 兆円を掲げなくてもよいという意見があることは先程出ましたが、IMFも先日の 4 条協議において、取りやめを提言したと思います。これに対してのご意見をお願いします。

§33Kikuo Iwata

答えは基本的に先程と同じですが、一つは、「イールドカーブ・コントロール」のもとで、経済の状況やアメリカの金利など、様々なものが日本の金利に影響しますので、その影響を相殺するために買入れ額は変動します。また、先程のような万が一のことが起こった際には、80 兆円あるいは80 兆円より多く買い入れなければ、今のようにイールドカーブをコントロールできなくなる可能性もあります。従って、80 兆円は外さないほうがよいと思います。80 兆円を掲げながら「イールドカーブ・コントロール」を行うことで、市場が非常に混乱しているかと言えば、混乱していません。従って、それで問題はないということで、80 兆円を今のところ残しているということです。以上