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Bank of JapanPress conferenceDec 12, 2019Masayoshi Amamiya, Deputy Governor

雨宮副総裁記者会見(2019年12月12日)要旨

Original in Japanese

Full text

§1Question

先程の懇談会で地元側の出席者とどのようなやり取りが行われたのかについてお答え頂ければと思います。また、冒頭の挨拶でもございましたが、岡山県経済の印象について、産業構造ですとか、現在の岡山の景況感について印象をお答え頂ければと思います。

§2Masayoshi Amamiya

本日の懇談会では、地元の行政や産業界、金融界を代表する方々から、地域経済の現状や課題に関する貴重なお話や、日本銀行の金融政策運営へのご意見などを数多く頂きました。大変有意義な意見交換ができたことについて、懇談会にご出席頂いた皆様方に感謝を申し上げたいと思います。多様な話題が出ましたので全てを網羅することはできませんが、いくつか席上で聞かれた話を整理して申し上げます。まず、岡山県の景気については、やはり海外経済減速の影響が出ており、製造業を中心に企業マインドが幾分慎重化しているという声がありました。ただ一方で、設備投資、個人消費は底堅く推移しているのではないかという見方が多く示されました。それから、10月の消費税率引き上げの影響については、現時点では、さほど大きくはみられていないという声が多かったと思いますが、一部では、むしろキャッシュレス決済にかかるポイント還元終了後の個人消費の動向が気がかりであるという声もありました。それから、平成 30年7月豪雨では、大変大きな被害が生じたわけですが、既に多くの事業所が再開を果たすなど、復旧・復興が着実に進んでいるという声が多かったと思います。直面する課題としては、やはり何といっても、人手不足への対応を挙げる声が広く聞かれました。

§3Masayoshi Amamiya

これに対しては、若年層の県内就職の支援や、女性・高齢者および外国人労働者の更なる活用、積極的なIT投資を通じた生産性向上といった多面的な取組みが必要であるという声が多く聞かれました。金融機関の方々からは、低金利環境の長期化などの影響で、厳しい経営環境が続いているという声が聞かれました。ただ、こうした中でも、地域の金融機関の方々からは、創業支援の強化ですとか、地元中小企業のM&Aの仲介といった様々なビジネスを通じて地域経済の活性化に積極的に取り組んでおられるというお話を伺い、大変心強く感じたところです。それから岡山県経済の印象について、この間、見聞きしたり勉強したことも含めて申し上げますと、岡山県は昨年、大きな豪雨被害に見舞われましたが、全国に比べれば自然災害が少なくて古くから交通の結節点でもあるという恵まれた立地条件にもあります。こうした強みも活かしながら、起業家精神が大変豊かな土壌が地域の成長力を高めてきたという印象を持ちました。古くから繊維産業の地として知られていますし、明治期には、先進的技術だけではなく、いってみれば、現在のワーク・ライフ・バランスにつながるような思想も取り入れて、大原孫三郎氏が紡績工場を設立されました。また、戦争の爪痕がまだ残る 1950年代に水島コンビナートを立ち上げて、日本の産業の復興をリードされたといったこともあります。

§4Masayoshi Amamiya

そうした製造業に強みを有するという面だけではなく、サービス業においても近年は大型商業施設や物流施設、データセンターなどの新設の動きも盛んで、いわばサービス業の拠点としても存在感を高めていると思いました。また、申し上げるまでもなく、一次産業では豊かな環境や日照量を活かして、桃やマスカットなどフルーツのブランド化に成功しているほか、県北では林業に軸を置いた地域活性化の先進事例もあるというお話が今日の懇談会でもありました。観光面でも、後楽園や倉敷美観地区など歴史的な魅力のある名所に富んでいますし、自然豊かな行楽地も豊富です。今年は3年に一度の「岡山芸術交流」や「瀬戸内国際芸術祭」が開催され、外国人観光客も含めて賑わいをみせたと伺っております。こうした魅力を一層高めながら、岡山県の経済・文化が更に強みや厚みを増していくことを期待しています。

§5Question

外需が弱めの一方で、国内需要は底堅いということを講演でお話しされていますが、内需の底堅さ、とりわけ個人消費について、その根拠を教えて頂けますか。消費増税の影響は、前回の増税時よりは限定的ではないかということですが、消費マインドも弱いままですし、ボーナスも前年比若干のマイナスなのではないかという報道もあります。また、製造業の業績が世界経済の悪化の影響を受けて少し下がってくると、いずれはそれが所得・賃金を通じてサービス業など非製造業にも悪影響を及ぼしてくると思いますので、そうしたリスクをどれくらい高いとみていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。また、先般、政府が発表した経済対策の大まかな規模等が出てきているのですが、これが日本経済に今後いつ頃どの程度影響を及ぼし得るのか、現時点でどう見ていらっしゃるのか、かつ12月、1月の決定会合でその辺りをどういうふうに見通しに反映されるお考えなのか教えてください。

§6Masayoshi Amamiya

個人消費や内需をどう読むかというご質問ですが、まず念頭に置いておかなければいけないことは、10月以降の個人消費関連の計数は、台風の影響といった特殊要因もあり、基調を読むには、少し時間をかけてデータの蓄積を待つ必要があるかと思っています。10月以降、個人消費関連指標は確かに弱いものが多いわけですが、特殊要因の影響もありますし、そうした影響を除き、かつ今のところ私どもが得ているヒアリングを通じた産業界の情報を踏まえると、基本的には駆け込みの反動は前回の引き上げ時ほど大きくないという判断を大きく変えるところまでは至っていません。むしろ、経済の大枠という議論をしますと、輸出・生産が弱めなのに対して底堅い内需という構図は基本的には変わっていませんが、やはりこの輸出・生産の弱さが、内需の一部にも影響を及ぼし始めていることは事実です。端的には、例えば、設備投資のうち製造業の機械投資のようなものは、輸出・生産の弱さが影響を与えていることは事実だと思います。しかも、短期的には、消費税率引き上げの影響もあって内需も当面は幾分鈍化する可能性はあると思いますが、来年を展望しますと、そうはいっても、設備投資については全体として中長期的な視点に立つ投資、例えば省力化ですとか研究開発といった投資需要は根強いです。

§7Masayoshi Amamiya

また、振れを均してみれば、人手不足、労働需給の引き締まりを背景とする良好な雇用・所得環境、あるいは政府の様々な施策を背景に、個人所得の底固さは維持されるでしょうし、公的需要、政府支出については、後の質問にありますが、経済対策の効果も出ますので、全体としては、内需の堅調さは何とか維持されるのではないかとみています。それから、政府の経済対策については、今回は三つの柱があります。自然災害対応と下方リスクを乗り越える対応、それから中長期的な生産性や成長力の強化という観点から対応は講じられたわけであり、時宜を得た適切な対応だと思います。当然、短期的にみても、政府支出が内需を支える効果がありますし、中長期的な成長力の強化の支援という観点から、家計や企業の成長期待が強化されることを期待しています。一般的に、金融緩和と財政支出は、景気刺激の適切なポリシーミックスですので、そうした対応を取られていると思います。従って、来年の経済見通しにどうかということは、これから分析が進む中で、金融政策決定会合で議論していくことになると思いますが、基本的には成長率見通し等にはプラスに作用するものだと思っています。

§8Question

本日の講演で言われていたように、経済指標の基調を読むのはなかなか難しいかと思います。特に物価とか生産の基調をみるには、それなりのデータの蓄積が必要ということですが、そうすると 10~12月、1~3月という感じで時間がかかるかと思います。そのデータの蓄積の前にも、それぞれの指標の基調を変えるような状況というのは、どういう状況が想定できるのか、お伺いできますでしょうか。

§9Masayoshi Amamiya

ある程度時間をかけてデータの蓄積を待つ必要があると申し上げたのは、いくつか意味があります。一つは、今、焦点になっている消費税率引き上げの影響という観点で申し上げると、元々この消費税率引き上げが消費あるいは経済に与える影響を考えるときには、短期的な消費税率引き上げ前の駆け込みとその反動は“行って来い”の話であるわけです。むしろ重要なのは、実質所得の減少を通じた、より中長期的な効果です。それがどういう影響を及ぼすかについては、単なる駆け込みとその反動というものを超えた時間軸で判定していく必要があります。もう一つは、10月以降は天候不順、自然災害という特殊要因が影響していますので、これを除いて考える必要があります。基本的には私どものシナリオは、内需については、先程挙げたいくつかの理由、個人消費については良好な雇用・所得環境と政策的な下支え、設備投資については中長期的な観点からのいわば戦略的な投資、そして政府支出については経済対策を含めた効果といったものが基調の堅調さを支えるとみています。今申し上げたそれぞれの内需項目に関するメカニズムに何か支障が生じるかどうか、あるいはそのメカニズムを大きく打ち消す要因が出てくるかどうかという観点から点検していくことになろうかと思います。

§10Question

今週、久しぶりに、10年物金利が、短い期間ではありましたが、プラス圏内を付けました。これについてどのように受け止めていらっしゃるのか教えてください。日銀の金融政策、イールドカーブ・コントロール(YCC)にどのような影響があるのか教えてください。また、全体としてイールドカーブについて、一時期、9月頃だと思いますが、少しフラット化し過ぎているという見方があったと思いますが、現在どのように考えているのか教えてください。

§11Masayoshi Amamiya

いつも申し上げていることですが、長期金利も含めて市況や市場金利の短期的な日々の動きについてのコメントは差し控えたいと思います。そのうえで、ここ暫くの全体的な長期金利、あるいはイールドカーブ全体の動きについて申し上げれば、大きくいえばYCCという枠組みのもとでの現在の調節方針と整合的な、あるいは、調節方針の範囲内での動きである、と理解しています。

§12Question

中長期的な話ですが、今年から来年にかけて、FedだけではなくECBも金融政策のレビューに着手するという話があります。日銀の場合は2016年の総括検証から 3年経ちますが、その後、より緩和の長期化が見込まれるという状況の変化はあったと思います。今後、より国内外の情勢が安定する局面で、日銀として再びレビューの機会を検討するようなお考えというのはあるでしょうか。それに関連して、特に 2%の物価安定目標と直結したオーバーシュート型コミットメントは、現在、マネタリーベースと結びつけていますが、YCCに移行してから、実質的に金利を重視している中で、このコミットメントの再検討が論点になる可能性というのは今後ありますでしょうか。

§13Masayoshi Amamiya

ご指摘の通り、私どもが大きな規模で金融政策の枠組みのレビューを最後に行ったのは 2016年でしたが、それに対してFRBやECBは、ある程度、非伝統的金融政策の正常化を意識したうえで、正常化のプロセスで、あるいは場合によっては、正常化の後の金融政策のフレームワークを研究・検討するという考え方で検討を始めたわけです。それに対して、私どもは、2016年の「総括的な検証」をもとにYCCを導入した後、「物価安定の目標」を実現するために、 YCCのもとで粘り強く金融緩和を進めるという対応を進めてきている最中です。その意味でFRBやECBが大きく金融政策のレビューをする必要があった、あるいは、することが適切と判断された状況とは違うと思います。従って、現在は、YCCという枠組みに何か大きな問題が生じているとは思っていませんので、この枠組みのもとで、粘り強く緩和を続けるということが基本となると思います。ただし、そのうえで、金融政策の枠組み、あるいは、金融政策運営の基本的な考え方については、数年に一度の乾坤一擲の大きなレビューをしないと見直さないというわけではなく、極端に言えば、毎回毎回の金融政策決定会合で、あるべき金融政策運営のあり方について議論しているわけですので、そうした議論の中では色々な選択肢を排除せずに検討していくということだと思います。

§14Masayoshi Amamiya

今ご指摘のあった、例えばオーバーシュート型コミットメントについては、私自身は今の段階で何かYCCのもとでの金利コントロールとオーバーシュート型コミットメントで不都合が生じている、あるいは、政策運営上問題が生じているとは思っていませんが、ご案内の通り、金融政策決定会合でも、コミットメント政策やフォワードガイダンスのあり方については、色々な意見が出ています。引き続きそうした点も含めて、毎回の決定会合で議論していくというのが私どもの現在の基本的なスタンスです。

§15Question

IMFは、先の対日審査で物価目標のレンジ化やYCCの誘導対象の短期化に言及しましたが、そうした見方に対する副総裁のご見解をお願いします。

§16Masayoshi Amamiya

IMFの今回の 4 条協議での提案については、基本的な問題意識としては、やはり日本は物価安定目標の達成のために粘り強く金融緩和を続ける必要があるという基本認識があります。そのもとで金融緩和政策の持続性を高めるためには、どういう工夫が必要かという問題意識であり、そういう問題意識は私どもも共有するところです。今ご質問のあった、2%の「物価安定の目標」をレンジにするとか、操作目標を短くするといった個々の具体的な手法についてのコメントは差し控えますが、私どもとしても、金融緩和の持続性を強化するためにはどういう対応が必要かという問題意識は共有しています。むしろ、私どもがそういう問題意識で 2016年以来、色々な検討と措置を行ってきたわけですので、そうした問題意識の中で、色々検討はしていきたいと思っています。ただ、現段階で今の私どもが掲げている 2%の「物価安定の目標」の設定ですとか、そのもとでのYCCという金融政策のフレームワークについて、何か金融政策運営上、あるいは、金融緩和の持続性を確保するうえで、大きな問題が生じているとは思っていません。

§17Question

本日の懇談会でもおそらく出た話題だと思いますが、長引く低金利環境で地銀の基礎的収益力の低下はずっと続いていると思います。そうした中、追加緩和を行う場合、金融機関の経営に配慮した副作用対策にどの程度留意するのか、例えばマイナス金利の深掘りといった政策オプションをとる場合には、副作用対策をセットで打ち出すという見解はあるのか、この辺りのお考えをお聞かせください。また、先程経済対策の質問があったと思いますが、ポリシーミックスという観点で、今、日銀として金融政策で何かしら歩調を合わせるタイミングか、どのようにお考えかをお聞かせください。

§18Masayoshi Amamiya

まず副作用、とりわけ金融機関経営に対する影響については、いつも申し上げている通り、私どもは金融政策運営を考える際にはその金融緩和の効果と副作用のバランスをどうやって取っていくか、金融緩和の効果を最大限発揮させるためにはどうしたらよいかという問題意識で、色々取り組んでいるわけです。金融緩和や低金利の副作用の中には、金融機関収益に対するマイナスの影響が強くなり過ぎて、いずれ金融仲介機能にマイナスの影響を及ぼすリスク、あるいはリスクテイクを促し過ぎて将来の金融システムの不安定化につながるリスクなど、いわば金融仲介を通じたルートもあると思いますし、そうした狭い意味の金融機関行動ではなく、長期金利の低下が行き過ぎて、例えば年金や保険の持続性に関する懸念などをきっかけに消費者マインドにマイナスの影響を与えるリスクも含め、総合的に判断する必要があると思います。金融機関収益だけ単独で取り出してというよりは、あくまで様々な効果や副作用を総合的に判断したうえで、最適な政策対応を取っていくということになろうかと思います。金融機関経営が非常に厳しい状況にあるというのはご指摘の通りですが、これは長引く低金利環境に加え、地域の人口減少、企業数の減少、それらを背景とする借入需要の減少など、いわば構造的な要因が背景にあります。

§19Masayoshi Amamiya

こうした問題に対応するためには、金融サービスの多様化やリスクに見合った金利の確保、経費見直しを含めた経営効率改善の取組みが必要であり、こうした課題については引き続き金融機関との対話を深めながら議論していきたいと思っています。本日の懇談会でもそういう話題は出ましたが、既に地域金融機関は色々な意味で地域経済の実情を踏まえた金融サービスの多様化といったことに取り組んでおられると思います。それから、経済対策についてですが、現段階では私どもとしては、現在の強力な金融緩和をYCCの枠組みのもとで進めることが最適と判断しており、一方で政府は今般の経済対策を講じました。今は、こうした財政・金融政策の効果の発現を注意深く見ていく段階であると考えています。

§20Question

本日、FRBがFOMCで利上げも利下げも 2020年は行わないというシナリオを示しました。これによる来年の世界景気の動向をどうみているかということ、併せて日銀の金融政策を来年どのように展開していくことが望ましいと考えられるか、教えてください。

§21Masayoshi Amamiya

今朝方、FOMCが政策の現状維持を決定しました。私もまだ公表文やパウエル議長の会見を詳しく見たわけではありませんが、 FRBの公表によれば、これまでの利下げが経済をサポートしてきた結果、米国経済は――確かに設備投資や輸出・生産は弱いけれども――経済全体は緩やかに拡大しており、この緩やかな拡大が今後も続くと判断して、現状維持を決められたと理解しています。FRBはこの半年、米中貿易摩擦が長引いたこと等に伴う世界経済、ひいては米国経済に対するリスクに保険を掛ける格好で利下げをしたわけですが、その利下げの効果により経済がサポートされており、今の金融政策運営のスタンスは適切であるという判断をしたわけですので、言い換えれば米国経済の底堅さがFRBの政策運営判断という点からも裏打ちされたと思っています。今回のFRBの政策判断の背景にある米国経済の底堅さは、当然、世界経済ひいては日本経済にとっても好材料です。IMFは成長率が今年+3.0%まで低下した後、来年は+3.4%にピックアップする見通しとしていますが、そうしたピックアップする見通しを補強する重要な要素として米国経済の底堅さが続くことは日本経済にとってもプラスだろうと思っています。

§22Question

懇談会の冒頭でもお話がありましたが、昨日、西日本豪雨の被災地の一つである倉敷市真備町地区に入られ視察等をされたと伺っています。現地をご覧になった感想と、懇談会でもお話があった復興に向けての動きについての感想を伺えますか。また、今日の懇談会で、地元の財界、金融界の皆様のお話を聞いて、岡山県経済の現状についてもお聞きになったうえで、副総裁から岡山県経済がもう少し元気になるためのアドバイスを伺いたいと思います。

§23Masayoshi Amamiya

まず、被災地について、昨日、平成 30年7月豪雨で大きな被害に見舞われた真備町地区を拝見しました。川の付け替えの工事現場、山を崩している箇所、支流の末政川堤防の補強工事、仮設住宅を2 か所――一つはトレーラー住宅でした――を拝見しました。まずは、この場をお借りして被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。被災地で堤防の決壊現場や街を拝見しますと、住宅が取り壊されて更地のままになっている地域も目の当たりにし、やはり被害の大きさや自然の猛威を改めて実感したという思いです。一方で、工事現場では色々説明も伺い、インフラの復旧工事や被災企業への補助金交付は概ね順調と聞きましたし、河川や道路、商業施設など復旧・復興に向けて、着実に歩みが進んでいる様子も拝見しました。これらは大変心強い動きだと思いました。一方で、住み慣れた地域に戻ることができない方がいまだに多く、住民の生活再建は道半ばであり、被災地が1日も早く復旧・復興することを心よりお祈り申し上げたいと思います。それと同時に、昨年は当地が大きな災害に見舞われたわけですが、ご案内の通り今年は台風15 号と 19 号で、関東、千葉県、長野県、東北が大きな被害に見舞われました。

§24Masayoshi Amamiya

これは気候変動のためなのかどうか、私は専門家でないので分かりませんが、こうした被害が相当増加していますので、本日の懇談会でも議論したところですが、それぞれの地域が、それぞれの経験で得た知見や教訓を、是非各地域間で共有することに努め、進めて頂きたいと思いました。自然災害に対しては、金融の安定を守るという観点から日本銀行も大きな使命、責任を負っていますので、私どももそういう観点から知見の共有という点で貢献してまいりたいと思いました。それから、経済の活性化に向けてということですが、今日の懇談会で話題の中心になったのは、やはり人口減少の問題でした。もちろん、女性や高齢者が働き易い環境を作っていくことも大事ですし、同時に生産性・成長率を上げるためには、イノベーションを生み出しやすい経済・社会環境を整備することが大事だと思います。そのうえで、地域ならではの強みを伸ばすことが大切だと思いますが、この点、岡山は非常にやはり恵まれた立ち位置にあると思いました。「晴れの国」と呼ばれる気候の良さや、交通の要衝としての地理的な優位性、それから豊かな自然資源や歴史・文化の厚みがあります。ただ、やや地元の方には耳障りなことを申し上げるかもしれませんが、これほど恵まれた環境、人的・物的資源や歴史資源があるのですから、それについて発信力を強めていくことが大きな課題ではないかなと思いました。

§25Question

今朝の講演の中で追加的な金融緩和を躊躇なくされるとおっしゃり、その際に、副作用も考慮するという話をされていました。今後リスクが発現した場合は、しそうになった場合も含めて、副作用対策を単独であるいは先行してやっていくという可能性は選択肢としてあるのか、お聞かせください。また、為替についてお伺いします。最近は、目立って安定しているような状況で、ボラティリティに乏しい状況が続いています。これについて、様々な分析がありますが、副総裁はどのようにお考えなのかお聞かせ頂ければと思います。

§26Masayoshi Amamiya

今私どもは政策運営を考えるうえでは、効果と副作用のバランスを取りながら金融緩和の効果を最大限発揮できるような政策の組み合わせ、対応を考えていくというのが基本です。その中で、例えば、どれだけを取り上げてとか、あるいは特別にどれとどれを組み合わせてというようなものが事前に固まっているわけではありませんので、色々な可能性は排除せずに検討していくということだと思います。ただし、今ご指摘のような点を何か具体的に検討しているということではなくて、あくまで効果と副作用のバランスを取りながら効果を最大限発揮させるような政策手段は何かということを検討する中で、色々な可能性を排除せずに検討していくということに尽きると思います。それから為替の安定につきましては、ご指摘のあった通り、色々な分析があることは承知しています。例えば、最近、日本の資本流出の中で、短期的には大きく動くことが比較的少ない直接投資が増えているといった需給要因に着目する見方もあれば、全体として不確実性要因の最大のものである米中貿易摩擦の問題について、やや楽観的な見通しが出てきて悲観的な見方が後退しているとか、米国経済の底堅さが確認される中でドルに対する需要が強まっているという要因など、様々な見方があることは承知しています。

§27Masayoshi Amamiya

もう一つ付け加えておくと、長い目でみると、やはり為替レートのトレンドは、両国の物価情勢に大きく影響されますので、かつてのアメリカが 2~3%のインフレで、日本はデフレという状況と比べると、両国の物価情勢がまだ 2%と 1%以下という差はありますが、だいぶ似通ってきたことも背景にあるかなと思います。いずれにしましても、為替市場というのは色々な要因で大きく動きますし、今ちょっと触れたその米中の問題についてもまだ先行きの不確実性が大きいわけですので、あまり予断を持つことなく、慎重に市場動向を点検していきたいと思っています。以上