雨宮副総裁記者会見(2021年7月21日)要旨
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§1Question
二点お伺いします。一点目は、今日の懇談会で出席者の方からどんな声がありましたでしょうか。また、副総裁としてはそういった声をどのように受け止められましたでしょうか。もう一点は、今日の懇談会を踏まえまして、副総裁としては、この金融緩和政策の新潟県における効果、または金融機関の収益等に対するいわゆる副作用の程度というのをどのようにご評価されていますでしょうか。よろしくお願いします。
§2Masayoshi Amamiya
まず、本日の懇談会では、行政や経済、金融面で新潟県を代表する方々から新潟県経済の現状に関する大変貴重なお話を伺うとともに、日本銀行に関するご意見もいくつか頂きました。全てを網羅して紹介することはなかなか難しいので、話題をいくつか整理してお話ししたいと思います。まず、県内景気の現状については、個人消費面ではやはり新型コロナウイルス感染症の影響から、宿泊、飲食を中心とする対面型サービス業で引き続き厳しい状況が続いています。一方、個人消費の中でも消費財の一部については、巣ごもり需要等もあって持ち直しの動きが続いているとの声が聞かれました。生産面では、半導体不足や資源価格高騰の影響を懸念する声はありましたが、全体としては、海外需要の回復を背景に持ち直しているとの話を伺いました。全体としては、対面型サービス業を中心に厳しい状況が続いているものの、製造業を中心に持ち直しの動きもあるということで、これは私どもの新潟支店の判断と軌を一にするものでしたし、おそらく、私どもが判断している日本全体の状況とも軌を一にする状況ではないかと思いながら伺いました。同時に、大変印象的だったのは、この足もとの経済状況と並び、むしろ先行きのポストコロナを見据えた取り組みについて、行政や企業の方からも熱心にお話があったことです。
§3Masayoshi Amamiya
例えば、ポストコロナに向けた企業体質の強化、創業支援、デジタル化、高付加価値化支援、脱炭素の取り組み、新商品・サービス開発支援、そして、これは新潟らしいと思いましたのは、食と農のスマート化です。あるいは、首都圏に近いことを反映して、在宅勤務の機会をとらえた――地方移住も含めたということでしょうか― ―まちづくり体制の整備など、ポストコロナに向けた色々な試みのご紹介がありました。行政や金融界の皆様方からは、ワクチン接種の加速や、企業の資金繰り、消費喚起の面で、様々な施策を通じて今後とも企業や家計を強力にサポートしていきたいとのお話がありました。全体として、新型コロナウイルス感染症の影響が続いているもとで、今申し上げたような当地関係者の短期、中長期の様々な取り組み、また、ポストコロナも見据えた新潟県経済の発展に向けた各種の施策やご意見を伺い、非常に心強く感じたところです。それから金融緩和の関連ですが、これはやはり相当色々ご意見が出ました。冒頭申し上げた通り、対面型の非製造業を中心に依然厳しい状況が続き、金融面でも厳しい状況が続いているということでした。
§4Masayoshi Amamiya
もっとも、同時に、金融緩和の効果という点では、私どもの新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペが機能しているということもあり、運転資金、設備資金ともに十分な金額を低利で調達できている、あるいは資金繰りの助けになっているといった声は私どもの新潟支店からも聞いていますし、本日も企業の方々から随分そうした声は伺いました。全体としては、私どもの大規模な金融緩和が、資金調達環境の安定などを通じて経済を支えている、との声が聞かれたと思います。ただ、冒頭申し上げた通り、対面型サービス業を中心に引き続き厳しい――非常に厳しいところは非常に厳しい、というと当たり前ですけれども――という指摘もありました。やはり、対面型のサービス業が中心ですが、企業金融にストレスがかかる状況が続いていることを改めて認識しましたので、私どもとしても、こうした認識を踏まえ、「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」の期限を半年間延長し、引き続き企業金融を支援していく構えであることを、私からもご説明しました。それから、本日の席上、日本銀行に対していくつかご意見等はありましたが、金融機関から、ご指摘の金融機関収益の話はありませんでした。
§5Masayoshi Amamiya
ただ、ご指摘という点で申し上げておくと、今はきわめて一般的なお話ということだと思いますが、借りても低利、運用しても低利、という低金利環境が、前向きな企業努力に却って水を差すという面はあるのではないかというご指摘もありました。私からは二つお答えして、一つは日本銀行としては、経済活動が活発化し、それに伴って賃金も物価も上がるという好循環を反映して金利が上がっていく、という姿を想定してそのために色々努力をしているので、やはり何といっても、経済の実力を強くしてそれに応じて自然な格好で金利が上昇していくことが大事だろうと思うということを申し上げました。もう一つは、低金利の問題については、やはり私どもも色々な副作用があることはよく承知しているので、金融緩和政策の効果と副作用の両方を比較衡量しながら、適切な運営をしていく、ということは申し上げました。金融機関収益の話自体は出ませんでしたが、当然、私どもは効果と副作用を比較衡量しながら適切な判断をしていくということですし、本年3月には、金融仲介機能への影響といった副作用も抑制しながら、より効果的で持続的な金融緩和を実施するとの観点から、「貸出促進付利制度」を創設するといった必要な政策対応を行ってきています。
§6Question
脱炭素経済・脱炭素社会への今後の移行が、新潟県の経済にどのような影響を与えるのかという点につきまして、ご意見・ご所見をお伺いさせて頂きたいと思います。
§7Masayoshi Amamiya
本日の懇談でも、ポストコロナを見据えた中長期的な課題との観点からの発言が多くあり、その中にはDX化や創業支援などもありましたが、やはりサステナビリティや脱炭素の取り組みに関するご指摘もたくさんありました。もちろん新潟県の企業が脱炭素化に取り組むことは、温室効果ガスの排出規制や消費者行動の変化といった低炭素社会への移行に伴うリスクに備えるということもありますし、地域資源を用いた再生可能エネルギーの商業化や、脱炭素化による地域の魅力向上といったメリットもあるのだろうと思います。広く気候変動問題への対応ということを考えると、新潟は古くから自然災害への対応が大きな課題になってきた土地柄ですので、この間、様々な対応の知恵、あるいは施策の方法もある程度蓄積されてきていると思います。そうした点からも、新潟県の行政や経済がこの点で取り組みをリードしていくのは良いことだろうと思います。本日も脱炭素の話題はたくさん出ましたが、私どもの新潟支店からも事前に随分勉強させてもらいました。付け焼き刃で恐縮ですが、例えば、新潟港のカーボンニュートラルに向けた検討、あるいはブルー水素プラントなど、色々な新潟県の取り組みを勉強させてもらいました。
§8Masayoshi Amamiya
新潟港の取り組みも、日本海側を代表する取り組みとして注目が集まっていますし、様々な企業毎の取り組み、使用電力を再生可能エネルギーに切り替える、プラスチックの調達を減らすといった個別企業の努力もあるということも新潟支店から聞いています。是非、こうした取り組みでリードしていってほしいと思いました。
§9Question
気候変動のためのスキームを、先日、日銀として骨子を公表されまして、これまでの金融政策から裾野が拡がっているようにもみえますが、政府はグリーンのほかにデジタルも成長戦略に入れています。今日公表された6月決定会合の議事要旨では、一人の委員が、ポストコロナ時代に向けた経済社会構造の変化を踏まえて、日銀としても様々な工夫を検討していく必要があるのではと指摘されていました。日銀が、ちょっと気が早いですが、気候変動以外にこういった構造変化に対応できる措置について、新たな分野に踏み込んだ措置をとる可能性があるのか、漠然とした質問で恐縮ですが、その辺についての考え方を教えてください。また、これに関連しているのですが、最近「貸出促進付利制度」、また、今回の気候変動への取り組みと、日銀の政策がどんどん多様化・複雑化してきているように思います。その理由や背景について、副総裁ご自身はどうみていらっしゃるでしょうか。
§10Masayoshi Amamiya
まず一つ目ですが、マクロ経済政策主体として中央銀行が行うべき金融政策ということについて、基本的なあり方を考えた場合、いくつか重要な要件があると思います。一つは、それぞれ国毎に多少違いますし――だいぶ共通しているところはありますが――、それぞれの中央銀行に課せられたマンデートの範囲内で、あるいはマンデートとの整合性を保ちながら行うということです。もう一つが、マクロ経済政策主体として、政府・国会から独立性を付与されている以上、個別の資源配分への介入はできるだけ控えるような対応を取るべきということが基本原則になると思います。ただそのうえで、この原則で綺麗な万古不易の線引きができるかというと、そう話は単純ではないです。例えば中立性といっても、ぴったり中立かというと、例えば世界の中央銀行も、国民経済に存在するあらゆる全ての金融資産を全部比例的に買っているわけではなく、色々な理由で応用を利かせながら買っています。今申し上げたようなマンデートの範囲内で、マンデートと整合的という条件のもとで、それぞれ必要な経済政策の対応は、時代とともに変わっていきますので、今あるやり方が全てということではないと思います。
§11Masayoshi Amamiya
ただし、何度も言いますが、中央銀行制度という民主主義の中で決まった、付託されたマンデートを実現するうえで、かつその独立性、自主性を持ちながらやるという範囲の中で、やるべき原則というのは維持すべきだろうと思います。その中で、例えば日本銀行も、最近では成長基盤強化という、おそらく普通の考え方では、潜在成長力の強化そのものは、伝統的な中央銀行の金融政策の目的には入らないわけですが、日本の場合は「デフレ脱却」という、大きな日本銀行の目的を達成するためには、潜在成長率を引き上げ、それで自然利子率を引き上げ、金融緩和の力を強めることが大切だというマンデートの中でこれが必要だということでやっているので、そうした政策はあり得るのだろうと思います。ただ繰り返し言いますが、マンデートとの整合性と、できるだけ資源配分に対しては中立であるべきとの原則のもとで考えていく、ということになろうかと思います。これは世界の中央銀行でも同じだろうと思います。それから、多様化・複雑化している背景ですが、それに対しての答えは、やや矛盾するかもしれない二つの面が思いつきます。一つは、経済がこれだけ複雑化し、難しくなり、従って経済政策に求められる要請も、それだけ複雑に、難しくなっているのだと思います。
§12Masayoshi Amamiya
一時期、中央銀行は「物価の安定」のみを目的に、例えば資産価格への影響や、金融システムへの影響、あるいはバブルの可能性などとはいったん切り離して、狭い意味での「物価の安定」のみに専念すべきだという議論もありました。もっとも、ここ数十年、経済や金融の動き、現実の動きを踏まえると、おそらく中央銀行が持てる金融政策手段で対処すべき対象は、より複雑で多様であることが明らかになってきていることがあると思います。それに加えて、実は、皆様方の世代的にはあまりご存知ないかもしれませんが、日本銀行も 1990年くらいまで、例えば、輸出促進の割引手形制度や、中小企業向けの特別な割引制度などを結構持っていました。中央銀行の目的規定は実は昔から結構色々な議論があり、先ほどの話と繰り返しになりますが、守らなければならない原則は絶対あると思いますが、そのもとではある程度範囲は広いわけで、その意味では実はこれを非常に狭くとらえるという考え方自身が、ここ数十年の特徴的な考え方だったかもしれないという気もします。
§13Question
今日の副総裁のご挨拶の中にも、気候変動のバックファイナンスに関するご説明があったと思うのですけれども、懇談の中でこれに関して何か質問とか意見はありましたでしょうか。
§14Masayoshi Amamiya
懇談の中では、一般論として気候変動対応やサステナビリティに対する対応は重要であるということで、引き続き日本銀行にも支援を、というような話はありましたが、より具体的な話としては、この政策運営と並び、気候変動対応やサステナビリティに対する取り組みの方法、あるいは日本や海外の企業の事例や、政策対応の事例など、サステナビリティ、気候変動対応に関する企業経営や政策対応に関する知見を、研修、セミナーや論文など色々な形があり得ると思いますが、そうした形で民間企業や金融機関とも是非共有してほしいとの要望がありました。具体的な制度の運用というよりは、むしろそういうことでした。これはとても大事なご指摘だと思いますし、私どもも実は、今回の「気候変動に関する日本銀行の取り組み方針」の中で、金融システムや金融政策と並び、調査研究を挙げています。これはまだこれから深めていくべき分野ですので、調査研究を色々な分野で深めていきながら、民間の企業の皆様や金融機関と知見を共有していくことは当然でありますし、そうしていきたいと思っており、貴重な指摘を頂いたと思いました。
§15Question
財政との協調みたいなテーマで少し伺いたいのですけれども、最近、安倍前首相が、コロナ対応で政府・日銀の連合軍で対応してきたし、今後も対応できるのではないかという主旨のご発言をされていると思いますが、秋に補正予算を組むかもしれないという話もあって、まだここは流動的だとは思いますが、政府が動いたときに日銀も更に追加的な政策対応を取られる用意はあるのかどうかということと、日銀としてまだ何か追加でできる余地はあるのかどうかというところについて、現時点の副総裁のご見解を伺えればと思います。
§16Masayoshi Amamiya
まず、二つご質問があったと思います。三つぐらいお答えすると、一つ目は、まず一般論として特にこのような経済に対するショックが非常に大きい時期については、政府と中央銀行が協調しながら対応するということは当然重要であると思っています。二つ目は、そうはいっても、──政府の補正予算の検討について私がコメントする立場にありませんが ──何か特定の政府の政策と日本銀行の政策を一対一で紐付けて考えるのではなく、全体として政策の運営を、例えばコロナの対応であれば、企業等の資金繰りを円滑にして経済の回復を支援する、という共通の考え方のもとで政策を企画・立案していくということなので、何か特定の政策と特定の政策を一対一対応させるということではないと思います。それから三つ目で、追加緩和の余地についてはいつも同じことを言いますが、世の中に色々な議論があることは承知しておりますけれども、まだまだ私どもは長期金利も短期金利も下げる、あるいは、何か具体的なということではないですが、この間行ったような様々な企業金融面の支援措置等々も含めて、状況と必要性に応じて検討していくということになろうと思います。
§17Question
冒頭お話がありました「貸出促進付利制度」でお伺いしたいのですが、現在、「貸出促進付利制度」ではコロナオペがですね、プラスの付利が適用されておりますが、コロナオペは期限がございまして、期限を迎えたらプラス付利の適用されている資金供給はなくなるということになると思います。同付利制度は、利下げ時の副作用を軽減したり、機動的な利下げを行うことを可能とする狙いもありますが、プラスの付利の資金供給がなくなることによって、機動的な利下げというものに対して支障をきたす可能性があるのかどうかについてのお考えをお願いします。
§18Masayoshi Amamiya
まず基本的な枠組みをご説明申し上げると、金融政策として運営している付利制度と、前回のコロナ対応オペや今回の気候変動対応は、別の政策としてやっていますので、何か両方セットにしてこちらがへこんだらこっちを増やしますといった考え方はとっていないということです。コロナもそうですし、気候変動もそうですし、あるいは成長基盤もそうだったわけですが、これらは別の政策として考えるということです。従って、例えばコロナオペがいずれ期限が来て減少したらどうなるかということは、その時の状況次第で、やはり金融政策上、何か手当てが必要であるということであれば、おそらく考えることになると思いますが、何かその両方をリンクさせて考えるということはありません。
§19Question
気候変動への対応にも絡みますが、最近、金融庁との連携をより意識されているように思うのですけれども、以前は大手行のストレステストですとか、検査・考査も含めて、あと最近ですとマネロン対策の話題とかも出ていると思います。改めて金融庁との連携ですとか協力の必要性、また、そのような関係の中での日銀の立ち位置、役割を副総裁は現状どのように認識されているか伺いたいと思います。
§20Masayoshi Amamiya
もちろん金融庁とは、以前から色々連携を深めてきています。それは、立場はそれぞれで、行政面での責任をお持ちの金融庁は、いわば規制主体であり行政面で責任を持っている官庁である一方、私どもは中央銀行としてマクロの物価と金融システムの安定に責務を持ち、かつLLRの主体として実際に貸出を行う立場でのチェック機能が必要という面もあります。それぞれ機能が違うわけですが、金融システムの安定を確保するためにという共通の目的を違う角度から点検し、モニタリングを実施していくので、当然協調は必要かと思います。規制監督当局と中央銀行の関係は、それぞれの国によって歴史的な経緯もあって、制度が大きく異なります。ご案内の通り欧州を中心に完全に中央銀行が監督権限を持っている国もあれば、米国のように分かれていて、しかも監督当局の中で非常に細かく分かれているようなところもあり、それぞれ、国によってだいぶ仕組みが違います。もちろん違う仕組みを持つのは、歴史的な経緯があるわけで、違う機能を求められているわけですが、それぞれの主体が協調しながら対応することが必要という点については、基本的な考え方は一緒だと思います。そのうえで大事なことは、協調はしつつも、それぞれの求められている機能や、得意分野があるわけですから、そういうところは大事にしながら協調していくということだろうと思います。
§21Question
午前中の講演でワクチン接種が加速すれば経済が想定以上に上振れる可能性というか、活性化される可能性があるというような言及がありましたけれども、改めましてちょっと現況の感染拡大状況と、今後ワクチン接種のスケジュール等も政府から発言がありますけれども、ワクチン接種の加速した場合の上振れ、活性化の結果の影響といいますか、それによってどういうことが起こるのかということを想定されながら午前中の講演で話されていたのか、その辺りの認識をお伺いできればと思います。
§22Masayoshi Amamiya
諸外国の例をみても、ワクチン接種の進捗度合いと、特に先ほどから話題になっていますが、対面型サービス業の復調とは非常に密接な関連があります。今はワクチン接種の進捗は、経済を回復軌道に戻すための非常に大きな要素になっているというのが、内外共通だと思います。ただ、そう申し上げたうえで、私どもの経済の基本的な見方をもう一度申し上げますと、ワクチン接種や経済の正常化に伴って徐々に回復していくというのが基本シナリオですが、それには不確実性が非常に大きいです。不確実性の中には当然、下方・上方両方あるわけで、先日の展望レポートでも申し上げた通り、足もとについて言えば、短期的には、下方リスクの方を重くみておくべきだろうというのが今の日本銀行の判断です。ただし、それを除いて来年にかけて、あるいは来年、再来年を展望すると、本日も申し上げた通り、ワクチン接種の進捗度合いによっては予想以上に強まる可能性もあるわけで、政策委員会のほぼ合意した見方でも、リスク評価としては、ごく短期的、足もとは下方リスクが強いですが、それ以降は上下バランスしており、その上下バランスの中には今申し上げたような要因も入っているとご理解頂ければと思います。
§23Question
まず、やや漠然としていますが、新潟県経済がこれから成長・活性化していく上での課題、特に地域として力を入れていくべきことについて、副総裁から何かご意見があればお願いします。また、金融機関の再編について、新潟県内では1月に第四銀行と北越銀行が合併して新しい銀行が誕生したばかりです。人口減少が進む中で、新潟県の金融機関は更なる合併・再編といった必要性があるのかという点について、ご意見をお願いします。
§24Masayoshi Amamiya
まず、新潟県経済の中長期的な課題については、先ほど申し上げた通り、実は本日の懇談でも、短期的なコロナ対応以外に、そうした中長期的な課題は随分議論になりまして、私自身も非常に勉強になりました。この間、新潟支店から私が聞いたところも含めて申し上げると、新潟県経済が持っている課題は当然いくつかありますが、日本経済全体の課題と結構被っているのではという気がします。一つは人口減少で、二つ目は、一つ目の裏返しですが、生産性を上げるためにデジタル化や高付加価値化をどう進めていくべきか、その際、新潟県の場合には、県外需要もあるのだろうということですが、県外需要や輸出も含めた外需をどのように取り込むかが非常に重要な課題であるということです。それと三つ目は、これも先ほどから話題になっていますが、気候変動やサステナビリティへの対応が重要というのは、新潟の場合にはこれまで自然災害に対する対応ということでずっと経験を積まれてきたわけで、これも一つの重要な課題です。これも今の日本全体と共有するところがあります。人口減少への対応や、あるいはDX化、高付加価値化、サステナビリティ対応といった点を含めても、日本全体と共通する課題が多いように思いました。
§25Masayoshi Amamiya
もちろん、それぞれについては、本日も先ほどからご紹介しているような官民挙げての対応、これも私が聞いたところだと本年3月、新潟県で「県内産業デジタル化構想」が作られ、デジタル化の推進や付加価値の高い製品の対外発信の強化ということに努められるということです。先ほども新潟らしいと思ったこととしてご紹介しましたが、やはり食と農のスマート化を進めるといったことも大事な課題だと思います。是非こうした取り組みを進めて、新潟県以外にも横展開をしていってほしいと願っています。もう一つ、これは本日は話題には出ていませんが、新潟は「新潟ブランド」、農業とお米のブランド力が強過ぎるのですが、実は新潟にはもっと非常に多様で優秀な製造業の基盤等もあります。例えば、最近のコロナに関連する話題で言いますとコロナワクチンの冷凍庫は、新潟の企業が作っています。そういう格好で、それこそ日本のワクチン接種を進めるうえで新潟の技術力は大いに貢献しているぐらいの宣伝をして、「新潟」というブランド力を高めるという取り組みがあっても良いのではないかとの印象を持ちました。それから、金融の統合・再編ですが、これも当然やや長い目でみると、他の地域と同様、低金利の長期化や人口減少といった構造要因を背景に、様々な問題、特に収益性の低下ということで地域金融機関の経営環境は厳しさを増していると考えています。
§26Masayoshi Amamiya
地域経済を支えていくうえでは、地域金融機関の金融仲介力と経営基盤の強化が非常に重要な課題です。そうした経営強化のための具体的な方法として、もちろん経営統合や合併も一つの選択肢だとは思いますが、単独で、あるいは他の業態とのアライアンスを組むといった色々な方法もあります。どういう方法を取るかはそれぞれの金融機関のご判断だろうと思います。ただ、当地でいえば、色々な金融機関が例えば店舗の統廃合等に取り組んでおられることに加えて、本年1月には地銀二行が合併して、新銀行が業務を開始したわけです。こうした取り組みにより、金融仲介力が強化されて将来にわたって地域経済をしっかりと支えていかれることを強く期待しています。以上