中村審議委員記者会見(2022年12月7日)
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§1Question
私からは二点お伺いしたく思っております。一点目が、本日の金融経済懇談会ではどのような議論が行われたのかということ、そして二点目が、長野県の経済情勢についてどのように認識されているか、今年の 9月に八十二銀行と長野銀行の経営統合方針が発表されましたが、そのことへの認識も含めてお伺いしたいと思っております。
§2Toyoaki Nakamura
今日の懇談会では、非常にウィズコロナの中で和やかな、非常に活発な意見交換をさせて頂くことができました。当地の経済界ですとか金融界を代表する方々から、地域経済が直面する課題ですとか、日本銀行の金融政策運営に対する貴重なご意見を賜りました。非常に大変に有益で、示唆に富む意見交換ができたというふうに思います。全てを網羅できませんが、席上聞かれた話をいくつか整理して申し上げますと、一つは当地の景気でありますけれども、足元の感染再拡大の動きは懸念されるということではありますが、総じてみれば持ち直しているというご意見が多かったように思います。国内外での需要や受注残を受けて、生産が高水準にあるということ、それから感染症による下押し圧力が緩和をする中で、県内観光需要などに持ち直しの動きが一定程度みられるという明るい話が聞かれました。一方で、深刻な人手不足、それから設備・部材の調達難、原材料価格の高騰といったことが、生産のボトルネックや収益の下押し要因になっているといった話が聞かれました。また、円安の影響は業種や規模によって異なるといったお話、それから原材料価格の上昇や円安の影響によって、中小企業を中心に価格転嫁や賃上げが難しいというお話も伺いました。
§3Toyoaki Nakamura
こうした中、これらの影響に対して、行政や産業界、金融界、それぞれのお立場から、構造改革や事業承継、資金繰りに対する支援といったことを通じて、地元企業を積極的にサポートしているという前向きなお話を伺いました。また、日本銀行に対しましては、政策の副作用、それから地域経済の実情といったものに目配りをしながら、適切な政策運営を行ってほしいといったことなどのご意見を頂きました。私どもと致しましては、中央銀行の立場から物価安定のもとでの経済の持続的成長を実現していくということや、金融システムの安定性を確保するということを通じて、当地関係者のご努力がより大きな実りへとつながっていくようにサポートをしてまいりたいと考えております。また、もう一つのお話でありましたが、当地の金融経済情勢についての認識ですとか、統合の話というのを伺いましたが、長野県の経済は、一部に弱い動きがみられる、しかし持ち直しの動きが続いているということであります。生産は、全体としてみれば高い水準で推移しているということ、それから供給制約の影響も引き続きみられるものの、デジタル関連需要が旺盛であったという背景に、半導体関連・電子部品などの生産が高水準となっているというほかに、企業の設備投資需要に支えられるかたちで、工作機械など機械関連の生産が堅調に推移しているということもございました。
§4Toyoaki Nakamura
需要面についてみますと、製造業の設備投資がIT関連を中心に増加をしているというほか、個人消費は、新型コロナ感染症や、物価の上昇による影響を受けつつも、サービス消費を中心に持ち直していると思います。特に、観光需要ですが、全国旅行支援の導入や、インバウンド客の増加にも支えられて、回復傾向を辿っているというふうに思います。長野県経済の先行きについては、感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、デジタル投資や環境対応などの中長期的な需要や、緩和的な金融環境、政府の経済対策などの効果に支えられて、緩やかに回復していくとみられます。ただし、国内外における感染症拡大ですとか、海外経済の減速が県内経済に与える影響、物価の上昇といったものが企業の投資意欲や個人の消費マインドに与える影響などには、引き続き留意が必要だというふうに認識をしているところであります。それと併せて経営統合についてのご質問も頂戴しました。個別の案件がどうのこうのということは差し控えさせて頂きたいと思いますけれども、一般的な話として申し上げれば、地域金融機関の金融仲介力と経営基盤の強化は、地域経済を支えていくうえで、重要な課題となっていると思います。この点、経営統合や合併は、経営基盤強化のための一つの選択肢であると。しかし、具体的な方法は、各金融機関の経営判断であるというふうに思います。
§5Toyoaki Nakamura
私の民間企業での経験から致しますと、こういうことは非常に随分多くやってまいりましたけれども、一般の企業経営の立場で申し上げると、経営リソースの強化によって、収益のポートフォリオの強化に活用して成長を続けるということは、企業にとって非常に重要な経営戦略だろうというふうに思います。これは過去の今までの私の経験からのお話でございます。
§6Question
一点目ですが、他の審議委員の話で大変恐縮ですが、先般、弊社のインタビューで田村審議委員が「しかるべきタイミングで金融政策の枠組みや物価目標の在り方を含めて点検・検証を行うことが適当」という見解を示されました。大規模緩和を 10年続けても物価目標の実現も展望できていない中で、金融政策と物価目標の点検・検証を行う必要性について、中村委員はどのようにお考えでしょうか。二点目なんですけれども、午前の講演で、日本の経済・賃金構造のままでは、生産性が高い分野に適材適所が進まず、賃金水準が停滞すると発言されました。日本では持続的な賃上げを実現するには相当の時間を要するのではないかという印象を持ったのですが、この金融政策運営でも重要な持続的な賃上げにつきまして、実現の時間軸について委員はどのようにお考えでしょうか。この二点をお願いします。
§7Toyoaki Nakamura
田村さんが言われたのは私も新聞情報で伺いまして、そのようなご発言をされているのは承知をしております。ただ、政策委員(注)は総裁・副総裁を含めて9 人おりますので、それぞれの知見に基づいて意見を構成するということですので、色々な方々が発言されるというのは、その知見のもとに、見識のもとにされていますので、ひとつずつこれはどうだというコメントはするべきものではないなというふうに思いますので、その発言についてどうかというのは言えませんけれども、点検・検証の必要性ということについて言えば、今のタイミングはどうかなと。私の今日の挨拶要旨の中でも申し上げておりますけれども、今のタイミングは残念ながら、サービス分野の物価上昇率というのが、日本のCPIを評価するうえで、生鮮とそれからエネルギーを除いた部分で考えれば、 5 割を超えるウエイトになっていて、人件費がコストのかなりの部分を占めるという分野でありますが、ここの消費者物価の上昇率が 1%にまだいっていないと。ここがやはり日本の労働生産性が低いと言われている原因かなとも思うのですが、ここがちょっとまだ低いので、このタイミングで金融政策の変更をするというのは、さすがにちょっと時期尚早であろうというふうに私は思っております。
§8Toyoaki Nakamura
ただ、色々と変化が今起きておりますので、そういった面でそういう事態が来れば、非常に将来に期待が持てるようになってくれば、当然ながら、正常化に向けての議論が行えるということになりますので、そのときには、色々な点検作業ですとか議論が[金融]政策決定会合の場でされるだろうというふうに思いますが、今はまだそのデータが出てきてないので、まだ残念ながらその状況には至っていないというふうに判断しております。それから、経済と賃金構造が今のままでは、物価は持続的には上がらないというようなお話を私はさせて頂きましたが、確かにこれは時間軸でいうと、かなり時間がかかるのかもしれません。ただ、今は経営者の世代が交代を始めていて、今までできなかったことをやはり変えないとだめだという、世界の経済の中での日本の立ち位置を考えると、構造改革をしなければいけないという経営者の判断が変わりつつあるということ。それから、同様に政府も「新しい資本主義」のもとで、「人への投資」を増やす、それで構造的な賃上げにつなぐのだと。これは中長期的な流れでありますけれども、そういったところに力を入れているということから致しますと、事態が変わっていくということは、当然ながら大きく期待をしていいのではないかというふうに思っております。持続的な賃上げを行うためには、当然ながら企業の立場からすると、業績の向上が必要であります。
§9Toyoaki Nakamura
それは従業員の立場からしても、自社の業況については十分に理解をしているわけですので、業績があまり強くない中で、強い賃上げ率を実現、もしそういうことが起きれば、きっと業績に悪影響が出るのではないかなという心配が当然ながら従業員には出てきますので、これは結局、賃上げがあった中でも貯蓄に回ってしまうと。これはボーナスだったら貯蓄に回る、基本給が上がれば消費に回るという問題ではなくて、将来どうなるのかということを考えているので、賃上げというのも業績の向上とともに実現しないと、なかなか経済全体には回っていかないだろうというのが、私の意見であります。ですから、企業としては、賃上げができなければ、人材が流出してしまうのではないかという懸念があったり、優秀人材を取れないのではないかという懸念が強まりますので、従って、何とかして賃金を相応に上げたいと思っているのは、経営者の立場だと思います。それは昭和の時代、ではなくて平成の時代ですかね、ずっとコストカットで成功体験を持った人達が経営者であったわけですけど、今はそれは変わりつつありますので、賃上げそのものが昔は経営課題だと認識をしていましたけれども、今は賃金を抑制することで人材を獲得できないということの方が経営課題であるというふうな認識に変わってきていますから。
§10Toyoaki Nakamura
そうすると経営課題としては、どうしたら賃上げができるのかと、どうしたら業績を改善できるのかと、こういうことが経営課題になってくるわけですので、事業のポートフォリオの見直しというのが、当然ながらあがってきます。昔は雇用を確保するために、低収益事業も維持するということでやってきたわけですけれども、それが 30年間の低迷につながってきたように私は考えておりますが、今はその改革をしなければいけないということで、イノベーション力の不足なのかとか、低収益事業を抱えているからなのかとか、経営リソースが不足しているのか、今は技術開発の途上なのかといったことを常に分析・把握しながら、経営改革を行っていかなければいけないと。従って、時間のかかる問題もあるわけですね。けれども、もう既にやっているところもあるわけですので、日本全体で賃上げ率がどのくらいになるかっていうことは、その平均になりますから、ちょっと私の立場ではいくらかというのは非常に難しいのでどのくらいかは申し上げられませんが、経営者はとにかく最善の努力をして、その結果で多分回答されるはずですから、それなりに努力をした結果というふうにみるしかないのではないかなと。
§11Toyoaki Nakamura
その結果がどうなのかというのは、その企業の置かれている収益力の問題だということで、それを時間がかかるかもしれないけれども、経営改革をしていくというふうにつながっていくと思いますので、将来にとっては明るい部分がいずれ出てくるはずだというふうに私は信じております。
§12Question
二点お伺いします。一点目は、先ほどの地域経済の金融緩和政策の副作用という言い方でお話されたかと思うんですけども、この部分、今日懇談会の中ないしこれまで 10年を振り返って、緩和政策の地域経済への副作用というところをあらためてどういうものがあるのかというところをお伺いしたいです。二点目は、先ほどの点検・検証の話があったかと思うんですけども、来春に総裁人事を控えていて、その総裁人事の交代のタイミングが一つの検証・点検の契機になるんじゃないかってみる向きってなかなか強いかと思うんですけども、この部分っていうのは点検・検証のタイミングの一つとしてならないのか。また、先ほどまだ点検・検証の時期にはないっていうお考えだったと思うんですけども、その辺の部分、もう少し詳しく具体的にどのようなデータが出てくればというふうに考えられているのかみたいなところをできる限りでお願いします。
§13Toyoaki Nakamura
非常に難しいお話ではありますけれども、やはりまず副作用ですね、緩和自体が非常に長引いておりますので、そういった面で言うと、金融機関の収益力というのがやはり下押しされているということは当然ながらありますし、それが累積しているという点で言うと、副作用として出てきているのだろうなというふうに思います。その他には、国債市場の流動性の低下というものもありますけれども、色々と手は打ってきておりますので、その対策面は進められていると思います。効果の方と副作用というのを比較衡量しなければいけないわけですから、一つの効果としては、リーマンショック以後の過度な円高を是正できて、デフレではない経済環境にできたという点は大きな効果であろうと思います。金融システムの安定と金融機関の構造改革という点も推進できているというふうに思います。地域金融機関の基盤強化のための施策ですとか、ああいったことで着実に金融機関の財務体質や収益力が改善しているということも、今この 2年間で出てきております。それから信用コストの低下ですとか、金融機関の地域創生への貢献という体制も整いつつあると。コロナ禍での資金繰り支援もできたなというふうに思います。
§14Toyoaki Nakamura
更には、気候変動対応の推進ということも各地域の企業にも浸透し、やらなければいけないという方向にモメンタムが変わってきているという点も効果だというふうに思っておりまして、そうしますと、今のところ比較衡量すると、効果の方がまだ大きいのであろうというふうに考えております。本日の懇談会の中でも金融政策は正常化してほしいけれども、一気にやるとまだそういう状態にはありませんと。経済環境はですね。ということもありますので、まだ経済界も、本日のこの長野県の経済界も踏まえますと、私どもの認識と合っているなというふうに思います。それからいつ見直しをするのか、私は人事によって見直すタイミングが変わるというふうにはあまり考えたことはありません。過去の私の経験からいっても、そういうものではなくて、市場環境がどう変わるかとか、金融環境がどう変わるかということに応じて政策というものは見直しをするということだと思いますので、来年の4月8日ですかね、任期が来たら急に何か始めるのかということよりも、そのタイミングにもしかしたら環境が大きく変わるかもしれないというようなことがあるので、皆さんがそういうふうにおっしゃるんだろうというふうに私は理解をしておりますけれども、やはり金融と経済の環境の変化に応じて、考えていくものだというふうに考えております。
§15Question
午前の講演の中でも賃上げの勢いが強まっているというお話があったと思うんですけれども、そうすると結構物価安定の目標自体にはかなり近づいているという認識なのかという点と、賃上げが進むと、もちろん物価には上昇圧力がかかると思うんですけれども、そうした中で、来年度 2%を下回ると本当に言えるのか、上振れするリスクが高まっているんじゃないのか、そこの見解をお聞かせください。
§16Toyoaki Nakamura
物価の 2%の目標に近づいているのではないかというお話が一点ですね。物価の数字がどうなるかというのは、持続的に上昇し続けるのかどうかがキーポイントだと思います。この 10月3.6%という生鮮を除いたCPIですけれども、ここのところ見たことない高い数字に見えますが、これをエネルギーの増加を除いてみると2.5%で、先ほど申し上げたように、サービスの分野をみると 1%にいってない、0.8%くらいですかね。少しずつ上がってはきていますけども、まだ輸入物価によるコストプッシュインフレの状況で、むしろ企業にとってみると、賃上げ財源を食われているという状況に今あるような気がします。ただ、企業の経営者もなんとか賃上げにつなげたいという努力をされておられますので、ある程度の賃上げを期待しておりますけれども、まだ物価が安定的に 23年以降、2%を超えるのではないかという期待は、なかなかまだ私は持てていません。それから、上振れするリスクについては、来年の 1Qくらいまでは上振れするのかもしれませんが、今経済対策も打たれていますので、エネルギーのところの影響度合いが、上昇率が抑えられるだろうというふうに思います。
§17Toyoaki Nakamura
これは、ガスのインフレでものすごいドイツでも、今度の政策で 1年くらい前の値段まで戻るという状況になりますので、やはりこのエネルギーのところの影響はヨーロッパでも日本でもちょっと落ちてくるだろうというふうに思います。そうしますと、賃上げに向かう財源がもしかしたら増えるのではないかという期待を持っていますので、そうなりますと需要が増えてきて物価が少し上振れするかもしれない。これは良い方の変化ですので、もしそういうふうな方向が強まれば、上振れするリスクというのが、ポジティブなサイドでの上振れがあるのかもしれないなという期待を今持ってはおりますが、どのくらいかというのはちょっとまだ、もうちょっとデータを把握できないと、何とも把握しづらいなと。1月に展望レポートが出ますので、それに向けて、色々と今情報を把握するように努力をしておりますので、もう少しお待ち頂ければというふうに思います。
§18Question
二問ありまして、来年の春闘を含め、賃金上昇率が具体的にどういった状況になると政策修正の議論というのが可能になるのかというのが一つ目の質問で、二つ目の質問は、午前のご挨拶でもありましたけれども、粘り強く金融緩和を続けていくという場合に、緩和の領域内ですけれども、現在の金融政策の枠組みを微修正する必要性というのはあるのか、それとももうこれは緩和を粘り強く続けるというのは現行の枠組みのまま変更せず、このまま粘り強くやっていくというご趣旨なのか、この二点をお願い致します。
§19Toyoaki Nakamura
春闘の賃上げ率、5%とか 6%の要求が出ているというふうには理解をしておりますが、この賃上げ率がじゃあいくらになったらというのは、賃金が上がれば物価も上がるはずだという方程式のようなものがありますけれども、この賃上げが、普段平均賃金では、だいたい日本でいうと 1%から 1.5%くらいだと思いますけれども、この実力のときに、企業が例えば 5%上げたと。これは平均ではないですよ。どこかが上げて、実力を超えているというふうな場合に、その会社の従業員はどう思うかと、4年分今回上げたなと。そうすると、この先、3年とか 4年はあまり賃上げはないかもしれないというふうに感じてしまうと、賃上げされた分が貯蓄に回るという可能性も結構強いので、やはり企業の構造とか賃金構造がどういうふうに変わっていくかっていうところまでをみないと、政策修正に向かうタイミングというのは、本当はわからないと思うんですね。
§20Toyoaki Nakamura
ただ、それをどうやってみるか、300 万から 400万社ある企業に全部聞いて、どうですかという訳にはいきませんので、それが私は2%の物価安定の目標というものがあって、そこに近づいているのか、近づいていないのかと、それは輸入コストプッシュインフレではない部分でそれをよく判断する、それが私としては経済や賃金の構造が変わっているかどうかというバロメーターだと理解をしていますので、従って、その実態がどう変わっているかということをみて、政策修正に入るということだと思いますので、春闘の賃上げ率だけで政策修正かという、そういう単純な話では私はないのではないかというふうに思っています。それから、金融政策の緩和の枠組みを微修正するのか変更するのかと、それも経済や金融の実態がどう変わっているのかというのを色々なデータを見ながら判断をしていきますので、今は私としては変更する必要はないというか、変更すべきではないのではないかなというふうに考えております。
§21Question
今日のお話の中で、長野県の経営者との懇談の中で、今輸入コストの上昇の圧力によって、なかなか賃上げだったり、そういうところになかなか回っていかないというような意見も企業から出ていたというお話がありました。地域経済というのは、人手不足や少子高齢化という長期的な構造的な問題があると思うんですけれども、そうしたことも踏まえながら、どう地域ではその賃上げに向かって進めていくべきなのか、地方にやや絞って、お考えをお聞かせください。
§22Toyoaki Nakamura
長野県の皆さまから今日お伺いした話でいうと、大手は輸出もしているのでプラス、中小企業の中で国内を相手にしているところ、もしくは大手から円安のメリットを反映されていないというような規模の小さいようなところはかなりコストプッシュの影響を受けているというお話がございました。そうしますと、当然ながら賃上げの原資がなくなるということで、余力は非常に厳しいという企業も多くあるというのが地方の現状だと思います。人手不足も、特に長野県の場合には深刻な人手不足が影響しておりますが、その中でも、かなり製造業においては成果を出されているというふうに思っています。ただ、サービスのところ、あと建築でいくと、注文はある、ニーズはあるのだけども、人手がないので受注をお断りしているということが結構起きているというお話を伺っていまして、これは非常に今の長野県の状況からすると難しい状況にあるなというふうには思いますが、これもデジタル化、ITを活用するとか、その投資をすることによって人材を確保していくという方向にもなりますので、そういった方向に向けて県や市も色々と支援策を打っているというふうに伺いました。この賃上げに向けて、どういうふうにしていくかということについては、やはり企業の収益力というものを強くしていかなければいけないと思います。
§23Toyoaki Nakamura
私としては、今どんどんと件数が増えていると伺っておりますが、事業承継の相談ですとか再編だとかというような方向に進んでいけば、一社ずつの経営リソースが増えていくとか、新しい顧客が入ってくるとか、人材を確保できるとかいうような方向感も出てきますので、プラザ合意以降始まった日本のグローバルサプライチェーン構築ということでの日本の中の産業クラスターが弱体化してきたという影響を、それは円高の方向のときに 30年かけてこういう構造を作ってきたわけですから、それをこれから逆に円安の大体のレベル感が今出てきていますので、その中で、この円安を活用して輸出力を増やすだとかいったことについてもお話はございました。ちょっと長野県だけというのは分からないんですけれども、日本全体でいけば中小企業の輸出比率というのは 3%しかありません。ドイツの場合には、 25%くらいの中小企業が直接輸出をしているという、それをサポートする州だとか国だとかいったところの支援も体制を整えていると。これについては、日本も経済産業省ですとかその他の省庁が色々な施策を今打って、その競争力も高めようという努力をして、それによってスタートアップもユニコーンになったり、そういうふうにもなっていますので、こういった活動を長野県でもやっていこうと。
§24Toyoaki Nakamura
それを県だけでやるというよりも、もっと国全体のリソースを活用するといったことも考えながらやられたらよろしいんではないだろうかというお話を、今日、現地といいますか懇談会の場でさせて頂きました。(注)会見では「審議委員」と発言しましたが、正しくは「政策委員」です。以上