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Bank of JapanPress conferenceApr 10, 2023Kazuo Ueda, Governor

総裁・副総裁就任記者会見(2023年4月10日)

Original in Japanese

Full text

§1Question

幹事社からの質問は二問です。一点目は、植田総裁、氷見野副総裁、内田副総裁のお三方に伺います。就任に当たっての抱負をそれぞれお聞かせください。今後取り組むべき課題をどのように認識し、これまでの経験をどう生かしていきたいかについてを踏まえて、それぞれお話し頂ければと思います。二点目は植田総裁に伺います。2月の国会での所信聴取後の経済の大きな動きとして、欧米での金融不安があります。アメリカの中堅銀行の破綻やスイス大手銀行の救済などが相次ぎましたが、日本経済への影響をどうみているか、金融環境は不安定さが残っていますが、日銀として取るべき対応をどのように考えているか、ご見解を教えて頂けたらと思います。(植田総裁)この度、日本銀行総裁を拝命しました植田でございます。日本銀行の 5 千人の役職員と力を合わせて、日本銀行の使命である物価の安定と金融システムの安定の実現に向け、力を尽くしてまいりたいと考えております。よろしくお願いします。国会での所信でも申し上げましたが、日本銀行にとって、また私自身にとっても、1998年の新日本銀行法の施行以来 25年間、物価の安定の達成は積年の課題です。これまで日本銀行は、私が過去に審議委員として在籍した時期を含めて、ゼロ金利政策、時間軸政策、量的緩和政策、そして、現在の量的・質的金融緩和政策に至るまで、世界に先駆けて様々な非伝統的金融政策を実施してきました。

§2Question

私自身、長年、金融政策を研究対象にしてきましたし、過去、審議委員として政策運営や中央銀行実務にも携わりました。こうした経験を生かして、物価の安定の達成というミッションの総仕上げに向けて、理論・実務の両面で、尽力してまいりたいと思っております。また、金融システムの安定についても、日本銀行の重要な責務です。人口や企業数の減少など、金融機関および金融システムを巡る状況は厳しさを増している中にあって、金融仲介機能が円滑に発揮されることは、わが国経済にとってきわめて重要です。更に、日本銀行は、銀行券の発行と流通、日銀ネットという基幹的な決済システムの運営、国庫金に関する業務など、わが国の重要な社会インフラを運営しています。このような国民経済にとって必要不可欠な重要な役割を果たしていくために、日本銀行の役職員それぞれが、それぞれの能力を発揮してしっかりと貢献できるようにすることも、私の総裁としての重要な役割です。組織の先頭に立って仕事に当たってまいりたいと考えています。(氷見野副総裁)副総裁を拝命致しました氷見野です。私はこれまで金融行政や国際関係の仕事が長かったので、そうした経験を生かしていければと思っております。

§3Question

金融政策につきましては、賃金上昇を伴うかたちで物価安定の目標を持続的・安定的に実現すること、金融緩和が政府や経済界の取り組みとも相まって、経済の好循環につながっていくこと、そうしたことを目指したいと考えております。金融市場や金融システムは金融政策の波及経路でもありますので、金融行政の経験も生かして政策運営に貢献していければと、そういうふうに考えております。また、金融システムの安定につきましては、現在のわが国の金融システムは全体として安定しておりますし、ショックに対する一定の頑健性も有していると思いますが、海外では隠れていた脆弱性が思いがけないかたちで表に出る事例が続きました。金融機関との対話、モニタリングに努めるとともに、海外当局との連携にも努めていきたいと思っております。また、先日、金融安定理事会の基準実施常設委員会の議長にも就任致しましたので、国際的な議論にも貢献していければというふうに思っております。更に、国民経済に不可欠な、発券業務、銀行の銀行としての業務、国庫業務につきましても、職員とともに、その的確な遂行に努めてまいりたいと思います。今後 5年間、内田副総裁とともに全力で植田総裁をお支えし、日銀の使命の達成に努めてまいりたいと思います。よろしくお願い致します。(内田副総裁)内田でございます。

§4Question

氷見野副総裁とともに、植田総裁をお支えし、日本銀行の使命の達成に全力を尽くしてまいります。どうぞよろしくお願いします。私はこれまで様々な立場で金融政策の立案に携わってまいりましたが、今、日本銀行が直面している課題は、いかに工夫を凝らして、効果的に金融緩和を継続していくかということだと思います。この点でよく金融緩和の枠組みが複雑化していると言われることがありますが、技術的な部分については、これまで日本銀行が蓄積してきた経験と知識によって十分対応できると考えています。より大事なことは、正確な情勢判断を行い、それに応じて慎重にタイミングを選びながら、的確な政策を行っていくことだと思っています。今後、経済・物価・金融面の状況変化に応じて最もふさわしい政策を考え、実施できるよう、スタッフの力を結集し、他のボードメンバーの方々と議論を尽くしてまいりたいというふうに思います。そして 5年間の任期の中で、2%の物価安定の目標を実現したいと思います。また、それに至る過程において、金融市場で不連続な変化が生じることがないよう、常に市場の安定ということを意識していきたいと考えています。併せて、金融システムの安定維持、銀行券の発行や各種の業務など、日本銀行の役割を一日も欠かすことなく全うできるよう運営していくことも、私の重要な任務であると思っています。

§5Question

日本銀行の役割を一言で言えば、国民の皆さまに安心して日本銀行券というお金を使って頂けるようにすることだと、様々な場面で説明してきました。この点でも、将来を見据えますと、経済・社会のデジタル化に合わせて、中央銀行サービスは変化していかなければならないと思っております。5 千人の職員と力を合わせて、日本銀行に付託された役割をしっかりと果たしていきたいと思います。これから 5年間、どうぞよろしくお願いします。(植田総裁)続きまして私から二番目のご質問にお答えしたいと思いますが、欧米の金融不安の日本経済への影響いかんというご質問だったと思います。これについては、3月中旬以降ですか、アメリカ・ヨーロッパで、一部の金融機関の経営問題を背景に、不安感が広がる動きがみられたわけですけれども、各国当局が迅速な対応をしたこと、それもあって個別先の問題であるという認識が広がったということで、市場は落ち着きを取り戻しつつあるというふうにみております。日本の経済、日本の金融システムへの影響ですけれども、日本の金融環境、依然として非常に緩和的な状態が続いているということ、それから日本の金融機関が、充実した資本それから十分な流動性を備えているということを考えますと、金融仲介機能は今後も円滑に発揮されていくというふうに評価しております。

§6Question

従って、現時点でこの問題がわが国経済に大きな影響を与えるというふうにはみておりません。この間、日本銀行と米欧の中銀が協調して、米ドルの資金供給オペの実施頻度を引き上げるような対応も行っております。ただ、市場における不透明感・不安感が完全に払拭されたという状態ではないと考えておりますので、今後の状況についてしっかりと注意してまいりたいというふうに思っております。

§7Question

植田総裁にお伺いします。先ほど、25年間、積年の課題だった物価安定達成のミッション、総仕上げを行う 5年間としたいということをご発言されましたけれども、そのために一番大事なことは何だとお考えでしょうか。それで、この黒田前総裁がですね、10年間続けてきた大規模金融緩和、この包括的な点検ですとか検証ですとか、毎回の会合とは別に、こうしたことを行う必要があるとお考えでしょうか、お聞かせください。もう一点ですね、氷見野副総裁にお伺いしたいんですけれども、先ほど、海外で隠れていた脆弱性が表に出る事態が出てきたというふうにおっしゃいましたけれども、先月のアメリカの銀行の破綻などにもありましたけれども、ご覧になっていて、リーマンショック以降、強化されてきた国際金融規制ですとか監督ですとか、それがここまで適切に機能してきたというふうにお考えでしょうか。何か見直す必要性があるとお考えかどうか、その辺をお聞かせ頂ければと思います。

§8Question

(植田総裁)それでは私から、まず、物価安定実現のための総仕上げを行うために大事なことは何かというご質問ですが、現在の金融緩和が非常に強力なものであるということは間違いないと思いますので、経済・物価・金融情勢を丹念に、そして的確に把握し、これまでもそうだったと思いますが、今後一段と努力して把握し、基調的な物価の動き、インフレ率とわれわれよく言ったりしますが、これが本当に安定的・持続的に 2%に達する情勢かどうかというのを見極めて、適切なタイミングで正常化に行くのであれば行かないといけないですし、それはなかなか難しいということであれば、副作用に配慮しつつ、より持続的な金融緩和の枠組みが何かということを探っていく、その辺の判断をきちんと行うということだと考えております。それも含めまして、点検のような作業についてどういうふうに考えているのかというのが後半のご質問だったと思いますけれども、点検は、ある意味では毎回の決定会合で、決定会合と決定会合の間で行ったうえで決定会合での判断が下されるということでありますけれども、もう少し力の入った、あるいは長い目でみた点検を行うべきかどうかという論点はあるかと思います。

§9Question

そういうことが必要という場合には、あるいは行うという場合には、少し長い目でみて、私も先ほど申し上げましたように、強力な緩和、ある意味では 20 何年続いておりますので、それ全体を総合的に評価して、今後どういうふうに歩むべきかというような観点からの点検や検証があってもいいのかなとは思っておりますが、この点は政策委員会で議論して決めていきたいというふうに考えております。(氷見野副総裁)最近、アメリカやヨーロッパで起きていることにかんがみ、リーマン以降の規制改革が十分だったかというご質問だったと思います。最近起きたことについてはいろいろ報道されてはおるわけですが、現在それぞれの国の当局において、内部情報も含めた検証、何が起きて何が課題だったかということを今やっておられるところだと思います。米国については 5月1日までにその結果を出すということですので、あまり現時点で結論に飛びつくというよりは、まず、その起きたこと、何が問題だったか、よくみていくことが大事ではないかと思っております。

§10Question

そのうえで、今まだ予断を持ってるわけではありませんけれども、基準実施常設委員会議長としては、国際的に大変な規制改革を合意したわけですけれども、それがそもそもちゃんと実施されていたのかどうかといった点もみてみないと、改革の問題なのか、実施の問題なのかというところが分からないんじゃないかということと、あと日本当局がずっと言ってまいりましたのは、規制は監督の代わりにはならないということでありまして、規制さえどんどん厳しくしていけば、それで問題は全部起こらなくなるということではない、ということをずっと主張してまいりました。そのことと、今回起きていることがどう関係するかということについても、予断を持つわけではありませんけれども、そうした視点も大事にして議論に参加していきたいと、そういうふうに考えております。

§11Question

異次元緩和を支えている長短金利操作、YCCについて伺います。国会でもご答弁されていますけれども、その効能、必要性、副作用について、どのようにお考えでしょうか。もう一点ですね、市場ではこの YCCについて、早い段階で修正することもあり得るのではといった観測もあります。どのような状況になれば修正といったことが選択肢に上がるのか、お話できる範囲でこのお考えについて伺えますでしょうか。お三方に伺います。(植田総裁)まず私から、長短金利操作についてということだと思いますが、市場機能への影響という意味では、日本銀行は昨年来、国債の補完供給の制度を柔軟に運用しているということ、あるいは昨年12月に長期金利の変動幅を拡大したような措置、更にここのところ一か月くらいですかね、先ほどお話に出ましたような金融システムに対するストレスの問題の結果もあって、海外金利が低下したという中で、イールドカーブの形状は総じて前よりもスムーズになってきているという認識でおります。こうしたこれまでの措置の効果とか、市場の動向については、今後も見極めていく必要があるというふうに考えています。ただそのうえでイールドカーブ・コントロールは、市場機能に配慮しつつ、現状では経済にとって最も適切と考えられるイールドカーブの形成を実現するための仕組みです。

§12Question

現状の経済・物価・金融情勢にかんがみると、現行の YCCを継続するということが適当であるというふうに考えております。(氷見野副総裁)私からは特に付け加える点はございません。(内田副総裁)16年にYCCを導入したんですけれども、そのときの議論も思い出して頂くと、YCCは金融緩和によって、経済・物価を刺激する効果と、一方で金融仲介機能への影響、この両者のバランスを取って最も適切な金利水準にしていく、そこにコントロールしていくという趣旨で導入したものです。このことが良好な金融環境を通じて、経済・物価を押し上げる効果があったというふうに思っています。一方でデメリットとしては当然ですが、コントロールをしているわけですから、そのことに伴って市場機能が低下をするということがあるわけであり、これが特に目立ったのが昨年後半からであったということだろうというふうに思います。特に副作用につきましては、SLF等々これまで何度か対応してきましたし、[昨年]12月に対応したところですので、今はその状況を見極めていくというフェーズにあるというふうに思っておりますし、YCCという仕組みは今申し上げたような趣旨で導入したものですので、総裁からも申し上げた通り、現状においてはこの枠組みの中で緩和を続けていくということが適切なのではないかというふうに思っています。

§13Question

植田新総裁にお尋ねします。まず確認なんですけれども、総裁、先ほど前任の黒田さんの大規模金融緩和を強力とおっしゃっていましたけれども、当面の間は現行の大規模緩和路線を維持されるというお考えなんでしょうか、というのをまず確認させてください。それともう一点なんですけれども、2%目標なんですけれども、黒田さんは就任当初は 2年で達成するということを述べたと思うんですけれども、植田さんは特定の時期なり、あるいは任期中の達成というものをコミットされるのでしょうか。あるいはあまりそういう時期とかにはこだわらず、目標としては維持しつつも、最優先で目指すというよりは足元の経済とか金融の状況もみながら、もうちょっと柔軟に運営をしたいというお考えなんでしょうか。(植田総裁)前半のところについては、前体制からの大規模緩和を現状では継続するというお答えになるかと思います。それから 2%の目標についてどういうふうに考えるのか、対応するのかということですが、現状は共同声明にもありますように、できるだけ早くに持続的・安定的な2%の達成を目指すということですので、これはそういうふうに考えております。

§14Question

ただし、どんな状況でもすぐに短い時間で 2%を達成されるかというと、過去の経験をみてもそうでない、それに対してアゲンストの外的ショックがあった場合にはなかなか難しくなると思いますし、そもそも金融緩和の効果というのが大まかには金利のゼロ制約というのでかなり制限されているという中では、そう簡単な目標ではないということは認識しております。従って、何らかの有限の時間内にこれを達成するという強い見通しは現時点で申し上げられないかなというふうに思っております。

§15Question

総裁に伺います。2%の物価目標を 10年で達成できなかった要因をどうみていらっしゃるのでしょうか。また、今後達成するに当たっての最大のハードルと、目標達成は金融政策だけでできるのか、そうでないとすればどういったことが必要なのかも教えてください。(植田総裁)10年で達成できなかった理由でございますけれども、それについては一つ前のご質問に対する答えで二つくらい申し上げたかと思いますけれども、達成を難しくするような外的なショックの存在というのが大きかったというのが一つでございます。詳しく申し上げれば、90年代の不良債権問題から始まって、それは10年の話より前になってしまいますが、足を引っ張るような外的ショックは大きなものがいくつかあったということが一つでございます。それから通常であれば金利の引き下げ余地がかなりあるというはずなのに、ゼロに近いところから始めたということで、引き下げ余地があまりない中での金融緩和政策であった過去 10年、この二つは大きかったと思います。

§16Question

それから、これは黒田前総裁もよく言われていたことですが、デフレあるいはゼロインフレに近い状況は長く続けば続くという中で、物価や賃金が上がらないということを前提にした物価や賃金の設定行動あるいは企業行動が広まってしまって、それ自体が次に物価や賃金が上がりにくくするという結果に残念ながらなってしまったということも大きかったかなというふうに思っております。でも、金融政策は全然効かないというわけではないわけでして、実際、過去 10年でデフレでない状況に辿り着いているということもあるかと思います。そのうえで、もう少し金融緩和が効くような外の要因として何か指摘できることがあるかというのが後半のご質問だったと思いますけれども、私ども学者の世界では自然利子率とかよく言ったりしておりますが、例えば政府からの施策で、生産性を引き上げるような何かインセンティブが付与されるような中で設備投資等が活発になり、生産性も上がっていくというようなことがございますと、均衡利子率が上昇する、単純には設備投資意欲が向上する、そういう中では金融緩和の効果が強まるというような話はいくつかあるかなというふうには思っております。

§17Question

総裁に二問お尋ねします。どうぞよろしくお願いします。一問目は日本経済の展望についてです。先ほど来おっしゃられている通り、大規模な金融緩和を始めて 10年が経ちました。総裁が国会での所信聴取や今先ほどもおっしゃられている通り、緩和導入後、企業収益が改善し、デフレではない状況になったと思いますが、日本経済の成長に依然、力強さはなく、最近では物価の高騰に不安を感じている人も少なくありません。もちろん金融政策だけでは難しいと思いますが、今の緩和を更に続けることで日本経済は力強さを取り戻すことができるんでしょうか。総裁のご見解をお聞かせください。もう一つは長期金利操作とETFの買入れについてです。総裁、所信表明でイールドカーブ・コントロールについて様々な副作用を生じさせているという面は否定できない、ETFについては大量に買ったものを今後どういうふうにしていくのかは大問題とおっしゃっています。現在導入している以上、すぐに出口を探すのは難しいと思うのですが、いずれの政策も導入したこと自体適切だったのでしょうか。総裁のご見解をお聞かせください。(植田総裁)前半でございますけれども、おっしゃいますように金融政策だけで経済の中長期的な成長率を上げていく、持続的に上げていくというのはなかなか難しいかと思います。

§18Question

教科書的な話になりますが、金融政策は経済の需要サイドに働きかけるものですから、需要サイドが落ち込んでいるときにそれを下支えしたり、供給に合ったところまで引き上げていくというところには力を発揮するわけですが、そこまでいってしまいますと経済の成長率は供給サイドの方の要因によって主に規定されるということですので、ここに働きかける力、手段を金融政策は通常あまり持っていないという答えにならざるを得ないかと思います。そこまでの期間で需要サイドを中心に働きかけて、その間の成長率を高めるという効果はもちろん持つかと思います。それから後半ですけれども、金利操作、ETFの購入ですか、これについておっしゃるように副作用、私はある、あるいはあったかというふうに考えてございます。そのうえで、そういう副作用のあるような政策をそもそも導入したことは良かったのかどうかというご質問だったと思いますけれども、その点については、おそらく、それぞれ導入した時点で私はボードメンバーではなかったのであれですけれども、効果と副作用について十分考慮し、議論されたうえで導入されたのだと思います。ですので、たまたま副作用が目立っているからというだけで、それの導入がまずかったという結論にはならないのかなと思います。

§19Question

やはりネットで経済にどういう効果があったのか、それから副作用のコストが仮に測れたとして、引き算してお釣りが残るかどうかというのが、評価の基準になるかなと思います。インフレ率という面で言えば、時間はかかったけれども、デフレの状態から若干プラスのインフレ率、足元ヘッドラインは非常に高いわけですが、そこまで来たという、そういうプラスはやはりあったかなというふうに考えております。そのうえで、副作用をどう考えるのかというような重い問題でありますが、繰り返しですが、だから直ちにまずい判断だったということにはならないかなと思っております。

§20Question

新総裁・副総裁の三名に伺います。金融政策の判断や運営における金融システムの位置づけについてなんですけれども、欧米で信用不安が顕在化したりですとか、あと国内の金融機関も保有債券ですとかの含み損が目立って膨らんできています。民間金融機関の利上げ耐性を踏まえ、政策判断の考え方を教えて頂ければと思います。あともう一問は新総裁に伺いたいんですけれども、政策手段の一つ、マイナス金利政策なんですけれども、これは結構長期化してると思うんですが、現状も適切で、引き続き有用とみていらっしゃるのか、この二点について伺えればと思います。(植田総裁)前半は、金融システムの様々な問題を、金利その他の操作の、金融政策を考える際にどういうふうに、どの程度考慮すべきかというご質問でしょうか。これは、非常に昔からある難しい問題であると思っております。軽々にはお答えできないわけですけれども、取りあえず現状では、現在の日本ではということになりますが、金利を大幅に上げるというような状況ではありませんので、一方で金融システムは一応先ほどもお話ししましたように、落ち着いているということですので、ここから多少、金融政策の修正とかを考えていく際にも、それほどの大きなイシューでは、取りあえずはないかなというふうに私は思っております。

§21Question

(氷見野副総裁)仮に出口を迎えられる状態になったときに、金融システムへの影響をどう考えるかというご趣旨かと思いますが、そのときの状況も様々考えられますので、一概には言えないわけでありますけれども、基本的には、低金利がずっと続いていくということは、金融機関にとっては利鞘を守ることが難しくなるという面があります。他方、金利が上がっていく局面では、債券ポートフォリオに含み損が出るといったようなことも考えられるわけですけれども、では、両方でプラスとマイナスがあったうえで、最終的には出口を迎えられるということは、経済にとっても、国民にとっても、金融機関にとっても、総体的にはプラスだというふうに思いますけれども、移行過程をどうマネージするかということになると思います。そこにつきましては、金融機関、地銀含め、一定の頑健性を有しておりますし、また日銀の側でも、例えば金融政策決定会合では、金融機構局が金融システムの状態をきちんと報告することにしておりますし、また金融庁とも連携してリスク管理の向上については促してきておるわけでありますので、十分、金融システムの健全性と両立するかたちで適切な出口を辿っていくということは可能だというふうに考えております。

§22Question

(内田副総裁)金融政策の枠組みのことから申し上げると、2006年だったと思いますが、二つの柱による点検というのを行うと、今の展望レポートの一番最後の章にそのように書いてあるわけで、その中身というのはメイン・シナリオとそれからリスク・シナリオ両方をみていく、そのリスク・シナリオの中で金融面の不均衡も含めて判断していくという枠組みになっています。そういう中で、氷見野副総裁からもありましたように、今では年4 回展望レポートを議論するときには、MPMに金融機構局から報告をさせるということも始めたわけです。そういう意味で、その点も含めて金融政策を判断していくというのが枠組みになっています。そのうえで、YCCについて、先ほど申し上げた通りで、これは金融仲介機能にも配慮しながら持続的に緩和をやっていくために導入した仕組みですので、そういう意味ではここで毎回議論されているということですし、その点については、金融仲介機能はしっかりと発揮されていて、例えば、この間の貸出は 2~3%でずっと伸びてきているわけです。そういったことも考えながら政策は行われているということですし、今後もこういうことを考えながら、先ほども一番冒頭で申し上げましたが、金融市場で不連続なことが起きないように、政策は考えていく必要があるというふうに考えています。(植田総裁)一つ、マイナス金利についてもご質問があったと思いますので。

§23Question

マイナス金利政策ですけれども、一つには現在の強力な金融緩和のベースになっている政策であるということがあるかと思います。一方で副作用もあるわけですが、金融機関収益への影響というところが大きいと思います。ただ、金融機関が総体としては充実した資本基盤を備えているということで、金融仲介機能は十分に発揮されているかなと思いますし、収益のマイナスの影響も小さくするような工夫が、この政策の中ではなされているというふうに思います。従いまして、現在の基調的なインフレ率がまだ2[%]に達していないという判断のもとでは継続するのが適当であるというふうに考えてございます。

§24Question

総裁にお尋ねします。先ほどYCC政策には副作用があるという話をされましたけれども、副作用対応として YCCを修正する場合なんですが、いずれの措置も金融緩和の度合いを弱めることになると思います。副作用対応とはいえ、現在のような海外発の金融不安がくすぶっている中では、YCCの修正というのは慎重であるべきなのか。また一方で、副作用対応ということならば、経済・金融・物価情勢と切り離して考えることは可能なのか、その辺について総裁のお考えをお願いします。(植田総裁)ご質問の趣旨を完全に理解したかどうかなんですが、基本的にはYCCを大幅に修正するかどうかというのは、経済・物価・金融に関する情勢が基調的にどういうことかということで決めていくのが正しいかなと思います。そのもとで、YCCのメリットとそれから副作用を比較衡量して決めていくということであるべきなのかなというふうに思っております。

§25Question

二点あります。最初は、今年の春闘は非常に強い、良い結果が出ていて、物価も企業が価格転嫁を進める中、基調部分も少しずつ上がってるように思います。環境として、金融政策の正常化を議論できる環境がより整ってきたとみるのか、それとも、やはり海外経済の不確実性を考えるとまだ先なのか、総裁ご自身の経済・物価のリスク等を考慮に入れたうえで、今のこの物価、春闘の動きをどうみてらっしゃるのかが一点目です。二点目は、フォワードガイダンスについてなんですけれども、現在、日銀のフォワードガイダンスには量に関するものと金利に関するものと複数あると思うんですが、これをより整理して、分かりやすいものにする余地っていうのは、あるいは、する必要性についてはどうお考えでしょうか。お願いします。(植田総裁)一番目の春闘でございますけれども、先ほど来申し上げていますように、基調的なインフレ率がまだもう少し上がってほしいという中では、今年の春闘の結果はまだ完全には出ておりませんが、ここまでの動きは喜ばしい動きになっているというふうには判断しております。ただ、これが今後も続いて定着するかどうかというのを見極める必要があるかなというふうに、持続的・安定的な 2%の達成という目標からは考えてございます。

§26Question

それから、フォワードガイダンスについて、いろいろあるけれども、もう少し整理する余地はないのか、あると考えているのかどうかというご質問だったと思います。そういうことを含めて、全てのオプションについて、毎回の決定会合で今後議論していくということになると思いますので、その点については毎回の決定会合の結果をお待ち頂きたい、また、変えた場合は、きちんと説明させて頂くということになるかと思います。

§27Question

二点、植田総裁にお伺いしたいんですが、総裁になられるまでの経緯について、まずはお伺いします。最初に打診されたのはいつ頃のことで、それを聞いたときにどう受け止められたのでしょうか。すぐにお受けになったのか、それともちょっと考えてからだったのかなど詳しく教えてください。またもう一点なんですが、明日IMFの世界経済見通しが発表されます。そこでゲオルギエバ専務理事がですね、事前の会見のときに今年の経済成長率が先進国の 9割で鈍化するということを話しています。そうした状況の中で、一方で日本では金融政策の出口戦略がどうなるかというところへの注目が高まっているわけなんですが、マクロ経済学者としてもですね、植田総裁がこの現状をどう受け止めていらっしゃるのか教えてください。(植田総裁)前半のご質問ですけれども、この総裁人事の経緯について詳しいことはお話しできないということに、残念ながら申し訳ありません、なっています。ただ私自身、よく考えてお引き受けするということを決めたということは申し上げられると思います。

§28Question

それから二番目でございますけれども、世界の各国について、まだ私、見ておりませんけれども、 IMFの近い将来出てくる見通しが下方修正であるということだったかと思いますけれども、それがその通りになるかどうかは別としまして、世界経済がややスローダウンの方向に入っている、更に下振れのリスクもあるということは十分に認識しておりますので、日本経済の今後の情勢の判断において、その点は十分考慮して毎回の政策決定に当たってまいりたいと、もちろん考えております。

§29Question

植田総裁に二点伺わせてください。最初に出ていた積年の課題である物価安定の達成のミッションということについての二点です。2月に国会答弁で、少し出ましたけど、就任の決断に至る経緯で、非常に誰がやっても難しい、厳しい状況にあると。それが却って私にはチャレンジングな仕事であると思ったと、挑んでみたいという一点だったというふうにおっしゃったと記憶しています。現状のこの認識として、外的ショックという話も出ていますけれども、外的ショックがなければ、任期の中で総仕上げをしたいとおっしゃっていましたが、 5年間で仕上げられる状態に今の日本の経済というのはあるんでしょうか。それが一点目です。二点目は、目標達成に近づけば、緩和の正常化を考えるとおっしゃいました。逆に難しければ、緩和を継続しながら副作用を改善しなければならないと、今の状況が続くのだと理解していますが、その見極めであったり、判断、その実行力について総裁はどのぐらいご自分に対する自信といいますか、その見極める目というものは、どのぐらいご自身にはお持ちでしょうか。

§30Question

(植田総裁)二点関連しているとは思いますけれども、前半のマイナスの外的ショックがなければ今の状態が続いていって、物価安定の目標は達成される、 5年以内に達成されると思っているのか、あるいは可能性が高いと思っているのかというご質問だと思いますけれども、国会の審議で申し上げましたように、物価に関して良い動き、良い芽が出てきているということは確かかなと思います。別の表現で言えば、基調的なインフレ率が少し上がってきているという動きが出ている。更にそれについて、先ほどのご質問にもありましたように、賃金周りで更に少し良い動きが出ているということですので、これが持続してより高い基調的インフレ率、2%の安定的・持続的なインフレの達成ということにつながる可能性は十分あるというふうに思っております。後半の、そういうことに関する判断をお前はきちんとできるという自信があるのかどうかというご質問だと思いますが、こういうことに長年研究者あるいは日本銀行の審議委員として携わってきたという経験があって、それは力になるとは思いますが、いろんな中央銀行が、将来の物価見通しでは、過去にあるいは近い過去でも失敗しているということがありますし。とんでもない人たちがやってきたわけではなくて、かなりの場合に非常に優秀な人が経済をみた結果、そうであるという面もあると思いますので、難しいことであるということは十分認識しております。

§31Question

全力を挙げて頑張りたいと思います。

§32Question

二点ほどご質問させてください。柔らかい質問で大変恐縮なのですが、植田総裁が大切にされている自分の信念を示すような格言であったり、お言葉みたいなものがあれば是非教えてください。二点目なんですが、その自分の信念を作り出した象徴的なこれまでのご経歴のエピソードなど、もし教えて頂くことがあればお願い致します。(植田総裁)こういうご質問が出るかなと思って考えていたんですけれども、残念ながら実は無趣味・無教養な人間でございまして、何か格言を一つ大事に持って、それを厳しいときに頼りに生きていく、打開していくというようなことはしてこなかったなというふうに、せいぜい辛いことがあっても明るく粘り強くやっていこうという程度でございます。申し訳ありません。

§33Question

植田新総裁にお聞き致します。緩和継続ということをお話しなさっていましたけれども、改めて黒田総裁のこの 10年についてお伺いします。黒田総裁、2%の物価目標を掲げて、この間、大規模緩和を打ち出し、それを 10年続けていきました。植田新総裁からみて、この 10年というのをどのように評価しているのか、お聞かせください。また、この 10年でETFですとか国債というのが、日銀の保有、かなり増えてきています。この辺りの課題認識ですとか、また今後どのような対応をしていくのか、よろしくお願い致します。(植田総裁)ひょっとしたら私が黒田総裁が就任された時期に仮に、やや危険なことを申し上げますが、総裁であったら決断できなかったかもしれないような思い切ったことをされた、決断をされて実行されたというふうに評価しております。それは、その時期、10年前の総裁として、一つの判断だったと思います。その結果は、これはもう今日、話がいくつか出ましたように、一方で残念ながらいくつかの外的なマイナスのショックがあったりしたこと、あるいはそれまでそこに至るまでの過程でのデフレやゼロインフレの経験が足を引っ張ったことなどがありまして、完全に 2%の目標を達成する、しかも当初の 2年でということは無理で、10年経ってもという結果ではあるわけですが。

§34Question

それでも、デフレでない状況を作り出して、私どもにバトンタッチして頂いたということは、非常にありがたいことだというふうに思っております。従いまして、そのバトンを受け取って、先ほどどなたかのご質問にありましたように、この 5年間にできれば目標に到達するというようなことに全力を挙げたいと思いますし、その際に、思い切ったことをやったことに伴う副作用についても、配慮しながら様々な政策措置を取っていきたいというふうに考えてございます。

§35Question

植田新総裁にお聞きしたいと思います。これまでの長い大規模な金融緩和で、政策自体も複雑化、そして分かりにくくなっていて、様々な副作用についてもご指摘されています。市場では、イールドカーブ・コントロールについて、新体制のもと早期に政策修正するのではないかなどの見方など、いろんな観測が出ているんですが、そんな中、今後、日本の中央銀行の市場との対話という観点で、一番重要なこと、心掛けたいことはありますでしょうか。また、これまでの日本銀行と変えていきたい部分などありましたら、ご教示頂けますでしょうか。(植田総裁)いろいろ難しいことを、いろんな面でやっているというのが現在の政策だと思いますので、必然的に分かりにくいというところはあるかと思います。どこをどう変えたらというのは難しいですけれども、一つ一つ、いっぺんに全部というわけにはいかないかもしれませんが、解きほぐすように分かりやすい説明を、抽象的な言い方で恐縮ですが、心掛けていけたらなというふうに思っております。

§36Question

植田総裁にお聞きしたいんですが、植田総裁は、日本を代表する経済学者として、これまでも数々の論文等を、あるいは著作等をお書きになっておられました。しかもそれは、現在の日銀の金融政策とも関連する内容を含むがゆえに、市場参加者は、そこから今後の日銀の出方を占おうというふうにしているわけですが、一方で、学者としての判断、学者としての情報発信と、政策当局者としての判断・情報発信は、おのずと違いがあるという点も理解できるところです。白川元総裁が、15年前に就任の記者会見で、白川さんも金融政策についての大著を書かれましたが、必ずしもそういう過去の著作物には縛られずに判断していきたいという趣旨のことをおっしゃっていたと記憶しますが、植田総裁は、過去のそうした論文や著作物で書かれたものをどのように位置付けられているのか、市場参加者はそういったものをどのようにとらえ、理解すればいいのか、その点についてのご見解をお聞かせください。(植田総裁)私が書いたものをどういうふうに使って頂けたらいいのかというご質問の部分は難しいですけれども、学者が書くものと政策担当者の判断ということの違いということについては、お話しできるかなと思います。

§37Question

仮に同じ人がやるとしてもですね、学者の場合は、やはり学者として面白いこと、学者として正しいことを書かないといけないということですので、どうしても起こっていることの一部分に焦点を当てて、その部分についてよく考えてみたらこういう結論になるという展開になりがちかなと思います。これに対して、政策担当者としては、現在起こってることの、あるいは何か政策を変えようとか考える場合には、関係する全てのことを、大事なことは全て考えないといけない。それを考慮してまとめると、結論は、金利を上げるのか下げるのか分からない、というようなケースも、論理的には非常に多いということだと思います。ですので、学者としてこういう場合には金利を上げるっていう論文を書いていたとしても、同じ人が似たような状況で政策判断を迫られたときに、学者として前提条件に入っていなかったようなことも考えつつ判断を下さないといけないということですから、結論は全く違った方向になるという可能性もありますし、上げるのがいいのか、下げるのがいいのか、完全には分からない中で、時間に迫られて決断しないといけない、ということも多々あるかと思います。そのうえで、学者との違いは、出した結論・決断に対して責任を取るというところが違うんだと思いますが、そのようなことが両者の違いであるかなというふうに考えております。

§38Question

総裁に一点お願いします。大規模緩和が 10年続き、効果を上げる一方で、国債市場の歪みなど副作用も表面化しています。先ほどYCC についてもご指摘がありましたが、今後 2%の物価目標達成に向けて、大規模緩和を維持するうえで、どういった副作用に対して、より丁寧に目配りをしていくべきか、お考えを伺えますでしょうか。(植田総裁)これは、ここまでもう既に今日議論になりましたYCCの市場機能に与えるマイナスの影響、あるいはマイナス金利政策の金融機関収益に与える影響等を、全て今後も注視していくということかなと思います。もう一つ、ここまでそれほど今日出てこなかったところと致しましては、急に持続的・安定的に 2%になるということに気づいて、急に政策を正常化するということになると、非常に大きな調整をしないといけないですし、それに応じて市場・経済も大きな調整を迫られるということがあるかと思いますので、なるべくそういうことがないように、前もって的確な判断ができるようにしていかないといけないということかなと思います。

§39Question

総裁にお伺いしたいんですけども、物価の基調のことを以前から重要だってお話をされてるかと思うんですけど、足元 10~12月のGDPがマイナス幅が拡大してですね、日銀が予想していたよりもちょっと需給ギャップの改善が弱いかと思うんですけども、数値的に言うのは難しいかと思うんですけど、持続的に物価が上昇していくうえで需給ギャップがプラスになって、どれぐらいの水準に推移するというような見方をすれば、物価が持続的に上がっていくというふうに考えられるのか、その辺をできればお伺いしたいんですけど、よろしくお願いします。(植田総裁)これはマジックナンバーといいますか、レベルについて、私の頭の中に今、適切な数値が入ってございません。ただ、2%のインフレ率が持続的に保たれるというためには、GDPギャップが下がり続けるとか、ある程度以上上がらない、現状から上がらないというところでは苦しいということは申し上げられるかと思います。

§40Question

植田総裁にお伺いします。本日岸田総理にも会われたと思いますけれど、これから政府との関係性についてどのような関係を構築していくべきかとお考えでしょうか。(植田総裁)先ほどの記者会見でもちょっと申し上げたところですけれども、お互いの意思疎通を密にして、経済・金融・物価情勢に応じた機動的な政策をお互いにするということかと、もちろん思っております。

§41Question

植田総裁に伺います。総理との会談の後に、政府との共同声明について直ちに見直す必要はないとご説明されましたけれども、中長期的にみた場合に、この共同声明について見直す必要性があるというふうにお考えなんでしょうか。(植田総裁)これは、現状では特に何も考えてないと申しますか、現在の情勢を前提とする限り、見直す必要はないということですので、何か大きく経済・物価情勢が変わっていったときには、また改めて政府と議論させて頂く余地もあるのかなというふうに、もちろん考えております。

§42Question

副総裁お二人にお伺いします。内田副総裁は日銀の新潟支店長、氷見野副総裁は新潟の三条の税務署長をそれぞれ歴任されていると思います。そうした経験も踏まえて、地域経済の現状認識と、任期中に地域経済に対してどう目を向けて政策運営を担っていかれるのか、お考えをお聞かせください。(氷見野副総裁)日本経済全体としては持ち直しの状況になってきているというふうに思いますし、それは地域経済でもその影響はみられると思いますけれども、他方、人口減少その他様々な課題を抱えていることは事実であります。ただ、私、三条税務署時代にも、地域の経済界の方々が様々な工夫をされておられる様子というのはよくみてまいりましたし、また私の出身地の富山でもそういったことがみられると思います。地域の中で行われている工夫・努力を、日銀の側としては粘り強い金融緩和で後押ししていくといったことが、現時点では一番大切ではないかというふうに考えております。(内田副総裁)日本銀行は、おそらく他の中央銀行と比べても、地域経済あるいはミクロ調査という意味では、大変細かく把握ができているというふうに思います。自分で支店長をやっていた経験で、企業経営者の方々からかなり詳細なお話、本音のお話を聞かせて頂き、その後の政策を考えるうえで今でも役に立っています。大変感謝をしています。

§43Question

地域経済、人口減少、地域企業数の減少、その他いろいろな課題を抱えていますが、逆に地域の方から新しい流れが出てくるということも度々目にしてきましたし、そういう意味で、地方と中央ということではなくて、各地域がそれぞれの特色の中から新しい動きが出てくることを期待したいというふうに思います。

§44Question

植田総裁にお伺いします。疲弊する地域経済の地域の声をですね、どのように受け止めながら政策に生かしていきたいかについて、ご出身、静岡県とお伺いしていますので、出身のこともちょっと思い浮かべながら教えてください。(植田総裁)これは日本経済にとって非常に大きな課題であるというふうに考えております。日本銀行という立場から申し上げますと、各地にある支店、事務所等のネットワークを使いまして、地域の情報を密に吸い上げ、それを政策に生かしていくということだと思います。各地方の方々という点から申し上げますと、ちょっと難しい言い方になるかもしれませんが、その地域を活性化させるために、例えば東京や大阪を通じてということではなく、直接世界とつながるような何かイノベーションの仕組みを考えて頂く、あるいは場合によってはそこに地域の大学も巻き込んでいくというような様々な活動を大規模にやって頂くというようなことが一つ考えられるかなと思ったりしております。

§45Question

植田総裁に一点お尋ねします。今日からちょうど 2 か月前にですね、新総裁として植田総裁の名前が報道されたわけですけれども、この間どういったご心境で、そしてどういったことをお考えになって、 2 か月間お過ごしになられましたでしょうか。(植田総裁)これは先ほどお答えした質問と答えが近くなるかと思いますけれども、それまで直近は学者としてやってきて、学者として面白いこと正しいことを金融政策を中心に分析してきたわけですけれども、政策担当者になるかもしれないということになってまいりましたので、政策担当者として今起こっていること、あるいは自分が考えてきたことをもう一度考え直してみるとどういうふうになるかという観点から、いろいろ考えて時間を送ってまいりました。

§46Question

植田総裁にお伺いします。経済における中央銀行の役割についてですけども、これまで例えば、奴雁ですとか配管工、医師など例えられてきたわけですけれども、植田総裁はどのようにイメージされているか、あるいはどうありたいか、お聞かせください。(植田総裁)時間の関係で簡潔に申し上げますと、やはり国会でも申し上げましたが、金融というのが経済にとって非常に大切なインフラである、その金融の安定性を公共財として提供する、金融活動の安定性を提供すると。その中には物価の安定性も含まれる。物価がゆらゆらしていたんでは経済活動がうまく行い得ないということで、経済の公共財としての金融、あるいは金融の安定性、物価の安定性を担保する組織であるというふうに考えてございます。

§47Question

植田さん、日本経済の成長が遅いのはなぜですか。金融的な現象ですか、それとも実体経済が引き起こしたものですか。よろしくお願いします。(植田総裁)日本経済の中期的な成長率が弱い理由に関するご質問ということでよろしいんでしょうか。部分的には金融面が強く影響して成長率が下がったということがあったかと思いますが、中長期の姿ということで申し上げれば、人口減少とか、生産性が思ったほど伸びていないという、実体経済にまつわる話の影響度の方が大きかったというふうに思ってございます。以上