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Bank of JapanPress conferenceSep 5, 2024Hajime Takata, Board Member

高田審議委員記者会見(2024年9月5日)

Original in Japanese

Full text

§1Question

二点お伺いします。午前中の懇談会では、石川県の経済団体の方々から様々な意見があったかと思いますが、その議論の中身を教えてください。二点目なのですけれども、石川県は、年初に能登半島地震という大きな地震がありましたが、現時点での経済状況について、どう考えているか教えてください。

§2Hajime Takata

今頂きました午前中の金融経済懇談会での議論と、それから石川県の経済の現状ということなのですけれど、ちょっとまとめてお話させて頂きたいと思います。まず、金融経済懇談会の挨拶のところでも申し上げたのですが、この度の能登半島地震でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈り致しますとともに、被災された方々、まだまだ非常に多いわけですけれども心からお見舞いを申し上げたいと思います。今日の懇談会ですけれども、石川県の行政、経済界、金融界を代表する方々から、地域経済の現状、課題、それから日本銀行の金融政策運営に関して、様々な議論、意見を頂いたということであります。また、きわめて有意義な意見交換であったと私は思います。この場を借りてご出席された方々に御礼を申し上げたいと思います。今日の懇談会では、意見が多岐にわたったため、全部を網羅してご紹介することはできないのですけれども、私なりに話題をちょっと整理して申し上げたいと思います。まず、石川県の足元の景気については、全体としてみれば地震による影響が残存する中でも、回復に向けた動きが広がっているというのが基本的なことかと思います。具体的には、生産については被災した設備の復旧が進んでおりますし、現時点では電子部品、化学、繊維とこれまで主だった工場の生産が概ね震災前のレベルに持ち直してきております。

§3Hajime Takata

また、個人消費についても、当初、飲食・娯楽等の消費を手控える動きも確かにあったのですけれども、その後、政府による北陸支援等の効果もありましたので、被災前のレベルに大体持ち直してきているのではないかと思います。また、インバウンドの増加もありますし、北陸新幹線敦賀延伸に伴う人流の活性化も背景にありますので、消費 [増加 ]に向けた動きが多少みられてきていると思います。また、今年度、国・県・市によって多額の復旧それから復興関連の予算も組まれておりますので、公共投資による景気の下支えが効いてくる可能性は結構あるのではないかと思っています。ただ、実は私自身も今週、実際に輪島、和倉、それから能登を訪問してきたのですけれども、被災地を始めとして非常に地域間のばらつきが大きいなと感じています。一言で現状を表現するのも難しいというのが、率直な私のコメントです。実際問題として被災した能登地域においては、今なお生活再建の途上にある方も非常に多いわけですし、それから実際に私も目にしましたけれども、倒壊した家屋の解体、整理、それから道路や港湾の復旧を非常に頑張って進めて頂いているのですけれども、やはり道半ばだと思います。こうした状況ですから、どの地域からも人口流出のスピードが早まっています。

§4Hajime Takata

輪島塗、それから珠洲焼といった伝統産業、農業・水産・観光において担い手不足による復旧・復興の遅れが課題になっているのも事実かと思います。また、社会経済活動の制約が大きいものですから、復旧には時間がかかるとの印象も持ちました。そういう中で、原材料価格の上昇を販売価格になかなか十分転嫁ができないというお話が特に中小企業を中心に聞かれました。同時に人手不足が深刻な経営問題という声も聞かれたということであります。金融面については、金融機関の方々から能登半島の本格的な復旧・復興に向けて、取引先の資金ニーズの把握だけではなくて、被災された事業者の状況に応じたサポートに取り組んでいるというお話も伺った次第であります。いろんな金融機関から被害に遭われた方々の取引先、それから住宅ローンの債務者に対して職員による往訪でありますとか、相談受付、様々なチャネルを活用して、資金繰り等の対応をしているということでありますし、また、こういう復旧に向けまして、取引先の資金ニーズはもちろんなのですけれども、補助金申請とか、各種のコンサルティングなんかも行われていまして、そういう意味でのサポート、事業継続に対する様々なことの大事さというのでしょうか、これが金融機能と同時に求められているということではないかと思っているところであります。

§5Hajime Takata

また、地方公共団体の方々を始め各種業界の方々が、被災された事業者の状況把握、補助金の申請、それからいろんな求職者のマッチングというのでしょうか、やはり復旧においては人の問題が非常に重要になってまいりますので、こうした取り組みを一段と強めているというようなところ、この大事さを感じました。ただ、課題としては、やはり復興に向けて時間軸を早めた取り組みがどうしても大事なんじゃないかと思います。また、こういう状況になって地域におけるコミュニティの連携という課題も伺ったところであります。私ども日本銀行の金融政策運営についても、能登半島地震からの復旧に向け、非常に留意していかなければいけないということでもあります。また、 [懇談会での ]お声としても今後の政策運営については、こうした地域経済への影響を踏まえた上で行ってほしいというようなご意見も頂いた次第であります。われわれとしても中央銀行の立場から、物価安定のもと、経済の持続的成長を実現していくこと、また、こうした自然災害等があった中で、金融システムの安定性を確保するということを通じまして、当地の関係者のご尽力、ご努力につなげていき、サポートしていきたいなと思っている次第であります。今のところ私の思ったところは以上ですが、実際問題として、現地に赴かせて頂いて改めてその思いを強くしたというのが実感でございました。

§6Question

高田委員にお伺いしたいんですけれども、今回の講演の中でも株式市場などの大幅な変動についてのお話があったと思いますが、現在、金融資本市場は不安定だという認識でいらっしゃるのかご見解を教えてください。また、政策金利の引き上げについてもお伺いしたいです。十分な時間をかけるというご発言もありましたが、具体的なイメージはありますでしょうか。そして、政策金利の引き上げについて、経済・物価や金融の情勢を検証しながら対応するのが現実的だというお話がありました。 7月に利上げしたとき、検証が不足していたという意味、そういった認識はあるのでしょうか。こちらも併せて教えてください。

§7Hajime Takata

不安定ということについてみると、特に 8月以降ということになりますか、海外なかんずくアメリカ経済のところに対する見通しというんでしょうか、これがグローバルにも随分と意見が分かれたということじゃないかと思うんです。そうしたところが世界的な市場のボラティリティを高めたわけで、そういう意味からすると月毎に、経済指標が大体出てくるのが主でありますので、今二巡目が始まっているような状況だと思うんです。もちろん 8月の頭ほどではありませんけれども、ややボラティリティが高まりやすい動きが生じています。同じようなモノの見方というか、アメリカ経済の減速に関していうと、やや 8月ほど高まっているわけではありませんけれども、それに類する動きが足元も生じているということは確かなんだろうと思っています。そういう意味では多少収まってきているとは言いながらも、少しずつ変動がという動きはあるかと思っています。それから政策金利の引き上げのところについては、十分な時間ということで申し上げましたけれども、この十分というところに関しては、別に特定の時間を指しているわけではございません。

§8Hajime Takata

私が今日の金融経済懇談会のところで申し上げたのは、政策金利、特に中立金利と言われているところに例えば目標みたいなものがあってそこにポンというようなことではなくて、やはり毎回毎回の経済の状況をみながら対応していくということに尽きるということだと思っておりますので、そういう意味で十分な時間をと申し上げたということです。検証をしながらというような状況であるとすれば、 7月にも私どもは調整したわけでありますけれども、そこの段階でも当然のことながら様々な検証をしながら調整を行ったということであります。決して検証が不足していたということではありません。当然のことながら今後に関しても毎回毎回、検証活動をしながら、最善を尽くして対応していきたいと思っているところであります。

§9Question

先ほどの質問にも関連するのですが、 8月前半に大きなマーケットの変動が生じた影響を当面は見極める必要があるということですが、確認なんですけれども、やっぱり市場が不安定な間は再利上げっていうのは更なるボラティリティを生じてしまうので難しい、っていうことなのかという点が一点目です。二点目は、こうした市場変動はやはり経済には下振れリスクになると思われますが、一方で、ご講演では値上げの波がまた再燃して、今年度の下期には、そちらが到来するのではと、どちらかというと、物価の上振れリスクになり得る点についても述べられています。政策運営上、どちらが、より今大きいリスクというふうに認識されているのか、ご見解をお願いします。

§10Hajime Takata

こういう変動が 8月以降生じたという中で言えば、今日の文言の中でも申し上げたんですけれども、きわめて高い緊張感を持って注視していくということに尽きると思うんです。ですから、当然のことながら、基本的な考え方としては、物価それから経済の見通しが実現していくということであれば、金融緩和の度合いをその時々に応じて調節していくというのが基本姿勢であることは間違いないです。ただ一方で、金融とか資本市場の動向というものが、当然その前提である大目的である物価それから経済の見通しのリスク等に及ぼす影響が生じるということであるとすれば、当然、そこのところを考えざるを得ないということになるわけです。あくまでも、基本的な姿勢としてわれわれは考えているわけでありますが、条件付きであるということはもう間違いないというふうに思っていますので、そういう意味で毎回毎回検証していくということになると思っています。それから当然のことながら、いろんなリスクがあるわけでありまして、例えば、物価においても、 4月とか 10月のタイミングにおいて値上げがあるということは、当然のことながらリスクであります。

§11Hajime Takata

また、われわれもいろいろヒアリング等をしておりますと、 10月のところにいろんな品目の値上げがもう既に予定されているとか、これも完全に決まったわけではないんでしょうけれども、ある程度こうしたものがあるというのはリストとして上がっているのは確かであります。ただ、こういう動きというのは、われわれもずっと考えておりましたけれども、為替のところが円安に振れている中で、上振れしやすい部分もあったと思いますから、そういう面でコストプッシュの要因で、下期に向けてもというところもあったと思います。為替のところもこの 1 か月間で変動もしておりますから、そういう面も受けた中で、どういう方向になるのかというところに関しては、また新たな目で見る必要も出てくるんだろうなと思っています。ですから、物価ですとか、リスク要因とか、その辺のところについては、必ずしも上か下かという、白か黒かというものではないと思うんですけれども、多少この 1 か月間で変動があった部分、もしくは環境の変化があった部分もあるので、その部分をもう一回見極めながら考えていきたいと思っているところです。

§12Question

二つ伺いたいと思います。一つは、 7月会合時点と比べた賃金と物価の好循環の強まり度合いは、今、いかがでしょうか。そして、今後それを確認するために、どういう指標をご覧になるのか伺えたらと思います。二点目は、今朝の講演で、まだ緩和的な金融環境はなお継続しているとおっしゃったんですけれども、高田さんがお考えの中立金利の水準は、数値として、今どれくらいでしょうか。

§13Hajime Takata

7月会合の時の物価と賃金の好循環というところに関しては、今日私の金融経済懇談会の中での議論というんでしょうか、そこのところも企業のバランスシートですとか、それから損益計算書、こうしたところの好循環、もしくは前向きな動きというふうに言ってもいいかもしれませんね、そうしたところを中心に申し上げましたので、そういう点で、私はあまり変化があるとも思っていません。そういう意味では、着実にそういう前向きな動きになってきているんじゃないかなと思っているところであります。ただ、先ほど頂いた質問の中の議論の繰り返しにはなってしまうんですけれども、こういう中で物価、それから経済の見通しというところに関して、当然、様々なリスク要因が与える影響も出てまいります。先ほど申し上げた損益計算書、バランスシートというところにも出てまいりますので、その辺のところについては予断なくというか、丹念にみていきたい。特に、こういう変化の時期においては、高い緊張感を持って注視していきたいなと思うところであります。二番目のご質問ですけれども、緩和的な状況ということで今日の懇談会の中でも、実質金利が相当低いというような話をさせて頂きましたし、また一方で、中立金利という概念を考えた場合に低いのではないかということを申し上げました。

§14Hajime Takata

ただ、この議論は、いろんな方からご質問を頂くことになるんですが、中立金利という概念にはなかなか幅があって、ピンポイントでということでもないんです。今日の私の資料の中にも、これだけの幅みたいなところでの議論はありますけれども、逆に言えば、相当幅があるんだよということを皆さんに申し上げたかったというところが趣旨でありまして、あまり明確に水準といいましょうか、それから私もこの半世紀ぐらい市場をみておりますが、正直申し上げて、この中立金利という概念をこれまで議論してきて、理論的にはある概念ではあるんですが、実務的にはなかなか難しい概念だなというのも実感しているところであります。ですから特に日本のように、今日の私の懇談会の中でのテーマでもあるのですが、過去という中でこの 30年間ぐらいの [金利が ]もうほとんどゼロもしくはマイナスのような状況の中で、いろんな試算をしてもですね、パッとした議論というのになかなかなりにくいというのが現実の問題です。

§15Hajime Takata

海外のように比較的アップダウンというか、シクリカルに変動がある状況であれば、一定の水準というところにある程度、この 10年、 20年の中で線を引くことも、一つの対応としてはあり得るということかもしれませんが、残念ながら日本の場合は、今申し上げたような 30年間、こうした状況の中での対応ということからしますと、その水準というのは相当慎重に、もしくは幅を持って考えていかないといけない概念であるし、実務的にこれということにはなかなかなりづらいというのが一つの考え方なんではないかと思っております。今のお答えのところもそれが趣旨だということで申し上げればというふうに思っています。

§16Question

今ご質問にありました賃上げのところに少し関連してお伺いをしたいんですけれども、前向きな企業行動という高田さんのご講演の中でも賃上げの部分に触れられていらっしゃったと思うんですが、足元 24年の春闘の結果っていうのは徐々に反映されてきているところと思いますけれども、この次の 25年の春闘でしたりとか、こういったところを利上げ判断に関して、どの程度重視されていくのか、それを例えば中間決算の結果だったりですとか、業界団体の要望だったりですとか、そういった具体的な指標になるものはどういうものを念頭におかれているのか教えて頂けますでしょうか。

§17Hajime Takata

賃上げについてということになるんですけれども、私も今日の午前の懇談会の中ではそこのところを重視させてもらいました。それはバランスシートの運営、それから損益計算書のところの前向きさというところの、一つの重要なバロメーターとしてこの賃上げというところがあるというふうに考えたからであります。これはもう今回だけではなくて、これまでずっと私が申し上げてきた点ということでもあるわけです。もちろん、賃金の動向がどうかということで、春闘というものもありますし、日本の場合は比較的年に 1 回、 1 回だけではないんですけれども、そういうサイクルというところがありますから、その動きを見極めながら、各種の指標をみるということでもあります。ただ、この問題は、単にハードデータのところだけで全てが決まるということだけではなくて、われわれはその動きを理解する上で、バランスシート、それから損益計算書の中での企業の動きをみていたわけですけれども、そういうもの全体の動きの中で企業が例えば価格を上げ得るもしくは賃金を上げ得るというようなことも含めた全体の中で、企業の動きをみていきたいということであります。私はあくまでもその関連の中でこの賃上げの動きをみていきたいということになります。ですからご指摘頂きましたように、当然のことながら企業収益みたいなものも重要になってくると思います。

§18Hajime Takata

それから場合によっては、その年々の経済の動き、これは外部環境というか、日本だけではなくて海外のところの動きということも当然あるでしょうし、また一方で物価の動きとかそういうものを総合的にみていかないといけないですから、単にこの数字をということだけで判断できるものではないと申し上げたいと思います。

§19Question

国債買入れの減額計画でちょっとお伺いしたいのですけども、午前の講演でバブル崩壊後の国債発行増は企業のバランスシート調整の「身代わり地蔵」だと、そういうお話をされましたけれども、バランスシート調整の局面が終わっても高水準の国債発行が続いています。日銀の国債買入れ減額は、事実上の市中への国債発行増とも指摘されました。現在のような財政状況の中では、やっぱり国債減額というのは進みづらい、今後も慎重に進めざるを得ない、そういうふうに高田委員はお考えなのか、その辺をちょっとご所見をお願いします。

§20Hajime Takata

この話は非常にもう長くなるというか、過去・現在・未来という中で、このバランスシート調整が 90年代以降始まって、 30年かけて大きな調整を経てきたというのが今の実情だと思うんです。その局面の中で国債の残高もどんどん膨らんできたという状況の中で、このバランスシート調整、先ほどバランスシートとそれから損益計算書の動きと申し上げましたけれども、企業活動の前向きさというような状況の中で、この国債というものを使いながら、ある程度その金利を引き下げ、バランスシート全体を、もしくはイールドカーブ全体のところを引き下げながら対応してきた。その結果、ようやく少し経済の中での動きが出てきたということなのだろうと思うんです。ですから、もちろんその中でいろんな意味での課題が残った一つとして国債残高が非常に大きいという部分もあるでしょう。それからサポートしてきた過程の中で日本銀行のバランスシートの問題も当然課題としてはあると思うんです。ただ、その目的は何かと言えば企業セクターのところの前向きさというものをいろんな意味で円滑に対応していくためのものだったということなのだと思うんです。

§21Hajime Takata

そうしますと、もちろん正常化ということの中で国債残高そのもの、それからその中で日本銀行が保有しているものという部分もあるのだろうと思うんですが、一方でその動きの中で、これだけ長い間かけて対応してきたわけですから、それを一気にというのもなかなか現実的には難しい部分があると思います。また、それを一気にやるということが、他の課題が生じてしまうリスクも当然出てくるわけであります。先ほどご指摘もありましたが、私も今回の懇談会の中で申し上げたのですけれども、減額していくということはある面で新たに国債を発行して民間のところに保有してもらう、受け入れてもらうものにならなければいけないわけでありますから、そういうものとの関係の中で慎重に対応していく必要があるのだろうなと思っています。そういう意味である程度時間をかけながら一歩一歩進めていくということになる。ですから、これは単に国債だけ、もしくは財政、日本銀行だけの問題ではなく、日本経済全体のバランスシート調整というところを円滑に進めるのだという発想が必要なのだということをちょっと申し上げたかったということであります。

§22Question

為替が物価に与える影響について一点お聞きします。 7月の追加利上げの理由には円安の上振れ、物価の上振れリスクに言及されていたと思うんですけども、足元ではアメリカの利下げ幅の拡大観測で円高に進んでいます。今後の為替の方向性が物価に与える影響をどのようにみられているのか、お考えを教えてください。

§23Hajime Takata

為替そのものについてわれわれがどう対応しようとか、どういう方向であるとか、もしくはそれに対してどう反応するかということ自体はあまり意識していないということなんですけど、ただ、当然のことながらそれが様々なルートを通じて経済や物価に影響していくというのは確かです。これも繰り返しになるんですけれども、私どもの政策反応関数として、物価、それから経済の見通しが実現していくとすれば、それに応じてというふうに申し上げているわけですけど、ただ、それは当然のことながら、金融、それから資本市場の動向に影響する、もしくはリスク要因として生じるかどうかというところになりますから、そういう意味で為替のところが影響し得る部分というのはあると思います。また、 7月のときの私どもの対応というのは、物価見通しのところはこれまでオントラックであったということと、同時に上振れリスクがあるということは申し上げてきたわけです。ですから、今後につきましても、同じようなかたちでそこのリスクがどうであるのかということは、当然、毎回毎回、今後も考えていきたいと思っています。その流れの中で、今の時点でどうかということではございませんけれども、当然、変動し得るものでありますから、その時々で対応していかなきゃいけないと思っているところです。

§24Question

今後の利上げについて伺いたいんですけれども、午前中の講演の中でも物価動向が見通し通りに推移するという前提の中で、その都度もう一段ギアシフトを進める必要性に言及されておられます。一方で中立金利の具体的水準というのをなかなか示すのは難しいという話もありましたけど、おっしゃったのは 26年までの見通し期間中に 1 回ではなくてやはり段階的に複数回の利上げが必要だというふうにお考えになっているかどうかっていうのを確認させてください。毎回の経済・物価情勢をみながら判断するということではあるんですけれども、そうするとなかなか複数回できないということもあり得るのか、今後 0.5%が壁になるんじゃないかという見方もありますけれども、やはりそれ以上上げていかないと駄目だというふうに思っていらっしゃるのか、その辺の水準のイメージがあれば教えてください。

§25Hajime Takata

なかなか難しいご質問というか、われわれは別に複数回をどうだとかもしくは幅をどうだとか、あまり予断を持って考えているような状況ではもちろんないというのが今の状況です。これもこれまで頂いたご質問の中での議論の繰り返しになっちゃうんですけれども、基本的なわれわれのスタンスというか、ここは私の言葉で言えば企業の前向きな行動、特にバランスシートであり、それから損益計算書でありというようなことでもあるし、また、われわれのよく使う言葉であれば、経済・物価の見通しがある程度実現していくと、それに沿ってということになれば、それに応じて段階的に調整をしていくということになるんですが、ただ、同時にこれも繰り返しになっちゃいますけれども、あくまでもそれは条件付きのことでありまして、当然、金融、それから資本市場の動向というものが今申し上げた要因のところ、私の表現で言えば、バランスシートそれから損益計算書のところのリスク等も含めた影響を及ぼすかどうかというところでありますから、その動向というものを毎回毎回チェックせざるを得ないということだと思っています。

§26Hajime Takata

今おっしゃられたように、その結果として複数回になることももちろんあるのかもしれませんけれども、それはあくまでも理屈上の問題でありまして、毎回毎回、丹念にそこの動きのところをみていくということ、また、一方で幅のところを明確にこの辺が壁であるとかっていうような議論も頂くこともありましたけれども、われわれはそこまで考えているわけでもないですし、それも含めて虚心坦懐に今の動向をみていきたいと思っているところであります。先ほどから何回も頂きました中立金利の議論とも似通ったところだろうと思うんですけれども、一定の中立金利を描いているものがあってそこに向かって何かやっていこうというような、機械的なものではないですし、そもそもその水準自体が先ほどから申し上げましたように、なかなか日本のようにこれだけ長い期間、金利がゼロであった状況の中から、そこの水準をつかむというのはそんなに簡単なことではございません。逆にそれをあまり強く抱いてしまうこと自体がややミスリードしてしまうというか、ボラティリティを高めてしまうリスクというものもありますので、そういう意味からすると、毎回毎回、十分に時間をかけながら状況をみながら対応していくといったところが今の実態なんではないかとみております。

§27Question

日本銀行金沢支店の移転前の跡地について、まだ具体的な活用の方向性が決まっていない状況で、金沢市が取得するのではないかというような報道がされているのですけれども、こちらについて委員のご見解をお伺いしたいです。それに関連致しまして、今回の懇談会の出席者の中に金沢市長ですとか、市の関係者が出席されていないのですけれども、何か理由がありますか。

§28Hajime Takata

今頂いたご質問は私というよりは、金沢支店の大川支店長の方が詳しいと思いますので、支店長から回答させて頂ければと思います。(大川支店長)それでは私の方からお答え致します。具体的な跡地の活用、金沢市が買うのではないかというような話ですけれども、ご案内の通り、金沢支店の跡地について、基本的に日本銀行は使用しなくなった所有不動産を処分することとしております。跡地の建物と敷地も所要の手続きを経て売却することになると考えています。公的機関として、その自治体が定める条例などがあればそれに従うとか、手続きの公平性とか、適切性を担保するとか、そういうことが必要ですので、しっかりと対応していきたいと思います。まずは、公的機関に買う意思があるかどうかを聞いて、俗に言う 90日公募ですけれども、それで希望がなければ民間団体等々に入札をかけていくという手続きになります。今、その所要の手続きを進め始めていますので、もう少し時間がかかるかと思います。それから、今回の金懇について金沢市関係者が出席していないということなのですけれども、今回の金懇は石川県経済という少しグローバルにとっておりまして、そういう中でメンバーを挙げていったときに、時間的あるいは人数の制限から今回はこういう結果に落ち着いた、というふうにご理解頂ければと思います。以上