野口審議委員記者会見(2024年10月3日)
Full text
§1Question
二点お伺いさせて頂こうと思います。まず一点目ですが、本日の金融経済懇談会では、地元経済界の方々とどのような意見交換が行われたのでしょうか。
§2Asahi Noguchi
本日の懇談会では、長崎県の行政や金融経済界を代表する方々から、当地の金融経済情勢や地域経済に直面する課題などについて、貴重なお話を伺いました。また、日本銀行の金融政策運営に対するご意見も頂戴し、大変有意義な意見交換ができたと考えています。この場をお借りして、ご多忙の中で本日ご出席頂いた皆様に改めて御礼を申し上げます。懇談会での話題は多岐にわたり、その全てを網羅的にご紹介することはできませんが、席上で聞かれたお話をいくつか整理して申し上げたいと思います。まず、長崎県の景気について、参加者の皆様からは、長崎駅周辺における市街地再開発への期待、海洋エネルギー関連産業の振興など、今後の成長に繋がる明るい話題が聞かれました。一方で、「全国よりも早いペースで人口減少や高齢化が進むもとで、人手不足が深刻化している」、「中小企業を中心に価格転嫁が十分に進んでおらず、企業収益が圧迫されている」といった懸念も聞かれたところです。金融機関からは「物価高や人手不足、収益力強化に向けた生産性の向上など、取引先企業が抱える各種の課題について、企業の成長支援や業務プロセスのデジタル化など、課題解決に向けたサポートに取り組みつつ、金利上昇を受けた預金の受入れと貸出に対応している」といった話がありました。
§3Asahi Noguchi
日本銀行の金融政策運営に関しては「2%の物価安定目標に向けて金利調整局面にあると認識しているが、急激な金利上昇は企業経営に大きな影響を及ぼすため、引き続き調整の時期や大きさは地域経済や金融環境の状況にも配慮しながら、慎重に対応してもらいたい」といったご要望がありました。また、為替の安定についてのご意見も頂きました。日本銀行としては本日伺ったお話を踏まえ、中央銀行の立場から金融システムの安定を確保するとともに、 2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現するために適切な金融政策を運営し、当地経済の持続的な成長を引き続きサポートしていきたいと考えております。
§4Question
二点目の質問です。九州で最も早いペースで人口減少が進んでいる長崎県ですが、域内総生産を高めていくためには、どのような取り組みが必要と考えていらっしゃるのか。また長崎県は地理的条件から、洋上風力発電や潮流発電をはじめ、海洋エネルギー開発への期待が高い地域でありますけれども、脱炭素の推進の観点も踏まえて、長崎県の海洋開発関連産業の可能性をどう見ていらっしゃるのか教えてください。
§5Asahi Noguchi
まず、人口減少については、日本の総人口が縮小している中で、長崎県に限らない現象であると認識しています。こうした状況のもとで持続的な経済成長を実現するためには、企業における DXをはじめとした業務プロセスの効率化や省力化投資はもとより、商品やサービスの高付加価値化による収益力・競争力の向上のほか、成長分野への経営資源の再配分、これを通じた産業構造の転換が必要であると考えられます。この点、長崎県においては、成長分野への産業構造の転換を目指す動きの一つとして、海洋エネルギー開発が進められているものと認識しています。当地は、風の吹く強さや日数、水深、地盤等の自然的条件に恵まれ、さらに、既に西海市江島沖と五島市沖の 2 か所が海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域に指定されるなど、海洋エネルギー開発に向けた動きが進んでいます。これに加えて当地では、海上風力発電事業に活用可能な産業技術基盤が、造船業を中心に長期にわたり培われてきていることを踏まえて、本年7月には、県内の経済、行政、教育の各界代表者が一堂に会し、長崎ベイエリアにおけるカーボンニュートラル推進をテーマに、長崎サミットを開催し、産学官金が密接に連携しながら事業化およびこれを支える人材育成に取り組んでいくことが合意されたと聞いています。
§6Asahi Noguchi
長崎県が有する豊富な海洋資源を活用し、脱炭素化社会の実現といった、時代に即した適切な産業構造を構築していくことは、長崎県経済の更なる発展にとって重要であると考えられます。
§7Question
石破首相が昨日、植田総裁と面会して、日銀の追加利上げについて、そのような環境にあるとは思っていないというふうに述べていらっしゃいましたけれども、こういった声ですとか、あとは政府との意思疎通、どういうふうに考えていらっしゃるか、ご見解をお願いします。
§8Asahi Noguchi
総理のご発言、それ自体に対してはコメントすることは差し控えさせて頂きたいというふうに思いますが、その上で申し上げますと、今後日本銀行としては当然、経済・物価情勢、この見通しがですね、想定通り実現していけば、仮に極めてゆったりとした形ではあれ、金融緩和のですね、度合いを調整していくということにはなると思います。ただ、これはやはり日本経済、ようやくこの物価・賃金のゼロノルムが克服できるかどうかの非常に重要なポイントに差し掛かっているということからすれば極めて慎重に行うべきであると私個人は考えておりますし、総裁もおっしゃっていたように、その見極めの時間的な余裕はあるというふうに考えております。
§9Question
今の発言にも関連して、野口委員も今朝の講演の中で、2%物価安定目標と整合的なマインドセットが社会全体で確立されるには相応の時間が必要だというお話をされたかと思います。この意識が変わった、特に消費者側だと思いますけれども、例えば年内に利上げをするというような判断がまだ早いというようなお考えをお持ちでしょうか。
§10Asahi Noguchi
具体的に政策調整の時期については、今後のデータ次第、経済情勢次第としか申し上げられませんので、いつやるとかやらないというお話は、現状ではお答えできないということだと思いますけれども、このマインドセットという、私、午前中お話しした内容の繰り返しになってしまいますけれども、これまで 30年間、デフレあるいは低インフレというような状況の中で、ほとんど物価の上昇というのを経験してこなかった、消費者の立場からみればそういうものであったわけであります。今コロナ禍が明けて、最初はコストプッシュ、輸入原材料価格の上昇というものを起点として起きたインフレでありますけれども、それが徐々に、賃金の上昇を伴うインフレに置き換わりつつある、まだ途上でありますけれども、ただそこにまだ消費者の意識が完全について来れているかどうかというと、これはやはり、まだ道半ばであるというふうに言わざるを得ません。いろいろな例がありますけれども、例えば、企業経営者の立場から、いろいろな方の、特に中小企業の経営者のお話を伺うと、やはり値上げすると、てきめんに売り上げが落ちてしまうといった声や、あるいは例えばプライベートブランドといった安いものへのシフトが起きてしまうというような声が聞かれているわけであります。
§11Asahi Noguchi
そういう意味で言えば、ようやく賃金が上がりつつある中で、その消費者のマインドが多少の値上げというものに十分耐えられるような形に気持ちがなっていけるかどうかというところは、まだやはり見極めが必要であるというふうに思いますので、そのためにも時間的な余裕がありますので、十分に見極めていきたいということであります。
§12Question
もう一点だけ、十分な見極めに対して十分時間があるということなんですけれども、見極める中で、特に重要視したい、確認したい指標がありましたら教えてください。
§13Asahi Noguchi
これは、ここ半年ぐらい、常にいろいろ、例えば金懇などの場で各地の経営者の方々の声を聞くと、やはり特に中小企業の場合で言えば、価格転嫁がなかなか難しいということですね。BtoB の場合であれば、大企業とか親会社がなかなか価格転嫁を認めてくれなかったということがこれまであった。この面に関して言えば、最近「パートナーシップ構築宣言」などの取り組みもありまして、少しずつ改善が進んでいるというふうに思います。けれども、もう一つの BtoC のところは、これは相手が消費者でありますので、この消費者が、値上げにそれなりに耐えられるようなマインドセットになっていかないと、なかなか値上げすると、やはり先ほどお話ししましたように、てきめんに売り上げが落ちてしまうというようなことになりがちなわけであります。ですから、そういう意味で言えば、特に BtoC の辺りできちっと価格転嫁ができるのか、価格転嫁ができるのかというのは、要するに相応の値上げというのが、コストの上昇を反映した分ぐらいの値上げというのがきちっとできていけるのかどうかという、そこは一番大きな今のボトルネックかなというふうに考えておりますので、その点辺りを、よく注意してみていきたいなというふうに思っております。
§14Question
一点目は、ご講演の中でもおっしゃっていた、今の粘り強く緩和的な環境を維持するべきだ、ということなんですが、実質金利が今、非常に低い中、短期金利を数回引き上げても、緩和的な環境を維持できていると言えなくはないんですけれども、野口委員の考えでは、利上げそのものがやはり今は拙速であるということ、そういう理解でよろしいでしょうか、というのが一点目です。二点目は最近円安が若干修正されて円高になってますが、これが経済・物価に与える影響についてどうみていらっしゃるかお願いします。
§15Asahi Noguchi
まず最初の問題でありますけれども、私も基本的には、現在の金融環境というのは、まだまだ十分緩和的であるというふうに考えますけれども、緩和的だからもう少し調整していけばいいという考え方ももちろん理解はできます。ですから、もう少し調整の余地はあるというのも可能性としては否定できないというふうに考えますが、ただ、なかなか難しいのは、そうしますと、要するに緩和的かどうかというのはあくまでも中立金利とですね、つまり、長期的に適正な金利とはどこなのか、ということの対比で考えなければいけないわけであります。けれども、その中立金利、あるいは、それを実質化して言えば自然利子率というもの、これはですね、あくまでも仮想的な概念でありますので、実際にこれを確認するということはできないわけですね。いろいろなシミュレーションを日銀でも行っておりますけれども、結局のところは、それである程度の範囲でこのぐらいだろうということしか言えないというのが現状であります。そういう意味では、実際に中立金利というのは、事前に決め打ちすることはできないと。
§16Asahi Noguchi
ということであれば、一段階利上げしたら様子をみて、その影響というのを確認しながら、これなら大丈夫だという段階でまたやっていくというような、非常にほふく前進的と言うんでしょうかね、そういうやり方で利上げをせざるを得ないというのが現実ですので、そういうことになるんではないかというふうに思います。二番目に関して言えば、確かに 7月ぐらいの時点までは、非常に急激かつ一方的な円安というのが続いていて、それが実際に輸入物価の方にも徐々に反映されつつあったと。それまで少し収まっていた輸入物価がまた上振れするような気配もあって、それが消費者物価指数の方にも反映するような、そういう状況もあったというふうに言えると思います。要するに上方リスクというのは、確かに 7月の時点では、為替というものを背景として起きていたということが言える。私自身は 7月の利上げ反対をしましたけれども、そういう意味で言えば、利上げが必要な局面にあったというふうに考えた他の委員の方々の見解というのも、一理はあったというふうに思います。
§17Asahi Noguchi
けれども、現状で考えますと、幸いなことに、円安・ドル高の背景にあった、意外なまでのアメリカ経済の強さというものがですね、今でもかなり底堅い感じはしますけれども、しかし、粘着的なインフレというのもなかなか収束しにくいんではないかというところで、「利下げ利下げ」言われていながらなかなかできなかった局面は明らかに変わってきて、今アメリカの方もですね、利下げ局面に入っているわけであります。そういうことを考えますと、一方的な円安というリスクというものは減っていった。であれば、円高方向に少しずつ動くくらいであれば、日本経済の現状から言えば十分耐えられるという中で、一方では、輸入物価を通じた物価の上振れのリスクは減りますので、そういう意味で物価全体はですね、徐々に下がっていって、そして今、実質賃金(注)もようやくプラスに転化した。これがより、実質賃金(注)のプラス化というのが確実になるということが期待できるのではないかというふうに思っています。
§18Question
二点お願いします。一つ目が先ほど今後の利上げ、緩和度合いの調整に関しては極めて慎重に行うべきというご発言がありましたが、前回の 7月のときの利上げを考えると、その為替リスクのところの上振れリスクというところから、先手打つような形で行われたと思うのですが、極めて慎重にというこの背景には、今後、追加利上げを行う場合はデータであったり、また消費であったり、さらにはこの講演にあるようなマインドの面の改善というのが揃わないと、なかなか難しいという認識で良いかどうかが一つです。あともう一つが、今後の先行きのリスクの観点で、先ほど米国経済の話もありましたが、今後は米国経済の不確実性がまだある中で、一番大きい影響が、11月の大統領選があると思います。今後アメリカの経済を見極めていく上では、やはり大統領選の行方というのを重視したいというふうにお考えでしょうか。
§19Asahi Noguchi
まず一番目のご質問でありますけれども、 7月の時点でも私自身は、できればもう少し慎重にやるべきだということで、利上げ自体には反対したわけでありますけれども、それは今も同じであります。同じでありますけれども、ただ状況は、先ほどのご質問にもありましたけども、 7月時点では、かなり一方的な円安というのは確かにあったという、上方リスクというのは否定できない状況でありましたけれども、それは今はそれほど大きくは心配する必要がない状況になりつつあると。そうしますとですね、結局何に注目するかというと、これはごく基本的な話になりますけれども、要するに、基調的な物価、それから基調的な物価というのは賃金の動向に非常に密接に結びついておりますので、その賃金の基調的な動向、これがいわゆる政策反応関数ということになるとすれば、その基調的な物価と賃金ということになります。そういう意味で言えば、来年以降の春闘が、今年の春闘は幸いなことに 30年ぶりの賃上げというのは実現されたわけであります、このモメンタムというのが来年以降も、ちゃんと維持できるかどうかというところは、私は非常に重要だというふうに考えています。それから米国経済の先行きに関して、大統領選挙の影響ということは、これはなかなかいろいろな情報でみても、まだ接戦であると。
§20Asahi Noguchi
どちらになるかというのははっきり言ってわからないということでありますけれども、ただもし何か政策の大きな変更があるとしても、それが急激に行われるということはおそらくないとすれば、当面は、特にマクロ経済に関しては、FRBの方針が急激に、大統領選の結果を受けて変わるということもないとすれば、われわれの見通し、基本的には米国はソフトランディングしていく中で、若干今までは非常に強めであった金融引き締めの度合いというのは、徐々に和らいでいくと。要するに利下げが徐々に行われていくというふうに考えて、当面は差し支えないのではないかというふうに個人的には思っております。
§21Question
一点目、石破氏の発言の後ですね、円安が進行したことについてどのように分析されているのか、お伺いさせてください。
§22Asahi Noguchi
その点はちょっとコメントは差し控えさせて頂きますとしか言いようがないんですが、ただやはり政治家の方は政治家の方でそれぞれの観点からですね、何が望ましいということをお考えなので、それはそれで表明された意見というのは、しっかりと受け止めなければいけないというふうに考えております。
§23Question
石破氏の他にもですね、政治家の方から日銀の独立性が法的に規定されているにもかかわらず、政策に関しての意見というのが相次いでいると思うのですが、そのことについてはどのようにお考えですか。
§24Asahi Noguchi
これも今言ったことの繰り返しですけれども、もちろん最終的には政府は民意を反映して成立しているので、例えば 2%の目標というのもそういう形で、政府と日銀が合意してですね、作り出された枠組みでありますので、それを尊重して今まで金融政策をわれわれとしてはやってきたわけで、そういう意味で言えば常に意思疎通をしてですね、合意したものは守るということは変わりません。その中で政治家の方々が個々の立場からいろいろな発言をされるというのはそれは当然そういう有権者の見解を背後に受けてですね、背後にあって発言されていることなので、それをとやかく言うということはわれわれないわけでありまして、それを受け止めつつ、われわれの観点から目標の実現のために最善を尽くすということしかないかなというふうに思います。
§25Question
今の政治家のですね、意見をしっかり受け止めるというお話をされたわけですけども、最近様々な政治家の発言を受けまして、金融市場がですね、混乱したり、政策の織り込みも変化していると、そういうのが重要だと思うのですけども、その観点でいわゆる日銀のコミュニケーション上、そういったですね、市場、政治家の介入みたいな発言が影響されているという面があると思うので、そこについてご見解があれば、ということが一点ですね。その関連でもう一点、午前の講演でも市場の不安定化を踏まえまして、市場とのコミュニケーションの必要性に言及しておられまして、具体的に改善策として、野口委員が考えられることが何かあればお願いします。
§26Asahi Noguchi
政治家の発言をどう捉えるか、政治家の方々の発言、これはそれぞれ見解というのは当然あるわけで、それをわれわれとして尊重するということは、先ほどお話した通りでありますけれども。その上でコミュニケーションのあり方を改善すべき点はないのかどうかということでありますけれども、これに関しては、例えば 7月[金融政策決定会合]の時点で言えば、ちょうど運が悪かったという面もありますけれども、その前に、例えばこういった金懇のようなわれわれの側の見解が提示される機会というのが、たまたま少なかったということが時々指摘されるわけであります。ですから、そういうことを考えますと、例えばスケジュールをもう少し見直して、なるべくそういう隙間が生まれないようにする、あるいは、コミュニケーションといっても、例えば審議委員6 人いて、その中でそのスタンスというのはそれぞれ違うわけでありますから、なるべく多様な議論、多様な考えがあるということが示されるような形で、そういう場を設定するということも、一つあるのかなというふうに思います。いずれにしても今後、7月に起きたような混乱というのは、できる限り減らすように、少しずつ改善していく方向はないのかなというふうに考えております。
§27Question
今あった市場とのコミュニケーションとの関係なんですけれども、今現状の市場が見込んでいる日銀の追加利上げの見通しは、市場がどういうふうに考えているかっていうふうに認識をされているかっていうことと、それは日銀の考え方と整合的なのかっていうところ、現状のギャップであったり、その辺りをちょっとお伺いしたいっていうことがまず一点。あともう一個は先ほどのご質問にもあったんですけれども、政治家の発言によって、市場の見通しがいろいろ変化している状況かと思うんですけれども、そうするとコミュニケーションするにあたって難しさみたいのが出てくるような気もするんですが、それの難しさみたいなところは何か、どういう認識であったり懸念というのはありますでしょうか。
§28Asahi Noguchi
最初の問題ですが、市場がどういうふうに考えているのかと、われわれがどういうふうに考えているのかということを市場がどう認識しているのかと、この辺のギャップっていうのは、もし大きいと少し問題が起きる可能性は当然あるということであれば、われわれはまず、市場がわれわれの考えをどう把握しているのかということを正確に理解しておく必要もあると。こういうことはよくマーケット・インテリジェンスという言葉で言われますけれども、従来もそれはそれなりにやられてきたというふうに私は思っていますけれども、それは十分でもしかしたらなかったのかもしれないということだと思います。ただなかなか、この市場の認識というのも、各国の中央銀行の例をみても、市場は市場でまた別のパースペクティブでみているので、中央銀行のコンセンサスと違うところにコンセンサスがあったりするというような例というのは決して珍しくはないんですね。あるいは市場でも例えばエコノミストのアンケートで聞いた結果と、あるいはマーケットに実際に現れているような、例えば政策金利の織り込みというようなものとは結構食い違うというケースも、しばしばあるので、この辺はどれが本当の意味の市場なのかということも含めてですね、今後、よく分析していかなければいけない分野かなというふうに思っております。
§29Asahi Noguchi
それからあと、政治家の方々[の発言]に関するご質問は既にもうかなりあって、あまりお答えすることはないんですけれども、政治家の方々もそれぞれスタンスがあって、言っていることは、はっきり言っていろいろなわけであります。例えばもう少し利上げのスピードを上げるべきだという方もいれば、まだ早すぎるという方もいて、千差万別でありますので、いちいちそれにわれわれが反応するということは、それはあまり望ましくないというふうに思います。われわれとしては、そういうものをもちろん尊重はしますけれども、そういった個々の方々が言われている、これはある種、有権者の意識の反映でもありますので、それは尊重しますけれども、最終的にはあくまでもわれわれとしては、最終的な目標、物価安定の目標を実現するためにどうするべきか、という観点から、政策変更あるいはそのコミュニケーションを行うということになると思います。(注)会見では「実質金利」と発言しましたが、正しくは「実質賃金」です。以上