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Bank of JapanPress conferenceNov 5, 2012Masaaki Shirakawa, Governor

総裁記者会見(2012年11月5日)要旨

Original in Japanese

Full text

§1Masaaki Shirakawa

私からは、日本経済について、海外経済の減速した状態が強まっているもとで、輸出や鉱工業生産は減少し、内需にもその影響が一部及び始めており、わが国の景気は弱含みとなっていることを説明しました。こうした状況のもとで、日本銀行の金融政策運営については、金融緩和を一段と強力に推進するため、10月30日の決定会合において、①資産買入等の基金を 91 兆円程度へ 11 兆円程度増額するとともに、②金融機関の一段と積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の増加を促す観点から、新たな措置として「貸出増加を支援するための資金供給」の枠組みを創設したこと、を説明しました。また、政府と日本銀行が、デフレからの脱却と物価安定のもとでの持続的な成長経路へ早期に復帰するという課題の達成に向けて、これまでも共有していた認識を改めて明確に示すため、文書を公表し、それぞれが果たすべき役割について明確にしたこともあわせて説明しました。金融規制改革については、3 点指摘しました。

§2Masaaki Shirakawa

第1 に、G20やFSB(金融安定理事会)に対する信認を維持していく上でも、バーゼルⅢ等の金融規制改革を適時適切に実施していく必要があること、第2 に、いわゆる「シャドーバンキング」に対する規制の導入に関しては、新しい分野でもあるので、定量的影響度調査等を通じて、市場機能に与える影響を慎重に把握しながら検討していく必要があること、第3 に、新しい規制の導入に当たっては、自国だけでなく、他国の金融システムの安定に対しても、思わぬ形で影響を及ぼす可能性があるため、前広に各国当局間で対話をしていく必要があること、を説明しました。

§3Question

金融緩和の施策を説明したということですが、日銀もしくは先進国の金融緩和について、新興国側から意見または質問はあったのでしょうか。

§4Masaaki Shirakawa

先進国の金融緩和に対する新興国からの声ということですが、これは今回の会議に限らず、新興国に対して資本の流入をもたらし、それが当該国における景気の過熱あるいは自国通貨の為替高という問題を引き起こすという意味での問題意識の表明がありました。そうした議論に対しては、今回の会議に限りませんが、資本流入を規定する要因として、もちろん先進国との金利差もあるわけですが、基本的な経済の成長率の差が大きな要因として存在するという有力な反論もあります。いずれにしても、この問題を考えていく上では――別の席で申し上げましたが――、自らが行う政策が他国へどのように影響し、それがまた自国にどのように影響してくるのかを再度考えた上で政策をしていくという一般的な政策運営姿勢が、先進国についても新興国についても、ともに要ると思います。そういう意味で、 G20のような場で、世界的な金融経済の相互依存関係を確認していくことは、大変に意義の大きいことだと思っています。

§5Question

総裁が中国人民銀行・周総裁とお言葉を交わされているのであれば、どのようなやり取りがあったかを教えて頂けますか。

§6Masaaki Shirakawa

中国人民銀行の周総裁との意見交換は、二人だけの率直な意見交換ですので、その内容についてお話することは遠慮させて頂きます。いずれにせよ、率直な意見交換ができる関係を有するというのは、相互にとって非常に意味が大きいと感じました。

§7Question

先進国の金融緩和に対する新興国の声について、今おっしゃった議論は、コミュニケにもあるスピルオーバーに関係するところだと思いますが、今回のG20でこの議論はどこまで深まったと言えるのかという点について、噛み砕いて教えて頂けますか。

§8Masaaki Shirakawa

スピルオーバーについて、今回、どの程度議論が深まったのかについてですが、これはG20の場で何か具体的なものを決めていくということではありません。あくまでも、お互いの状況認識を深めていくということです。その点では、先程申し上げた通り、意義が大きかったとも思いますし、先進国・新興国が意見交換で自己の状況を説明するときに、相手がどのようにこの問題を考えているのかをお互いに意識しながら発言していく傾向が深まっているように感じられました。直ちに答えが出てくる問題ではありませんが、こうしたことの積み重ねの意味は大きいと思いました。

§9Question

今回週末にBISの会合があり、そちらで、日米英中銀の外貨融通協定の延長について、何か方向性が出されたという報道を拝見したのですが、その事実関係について、そういう方向なのかどうかも含め、教えて下さい。

§10Masaaki Shirakawa

ご指摘の報道ですが、そうした事実はありません。昨年11月に公表した「国際短期金融市場の緊張への中央銀行の協調対応策」において、カナダ銀行、イングランド銀行、日本銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備制度、スイス国民銀行の6 中央銀行が、不測の事態への対応措置として締結した為替スワップの取極は、来年2月1日を期限としています。現時点において、この為替スワップ取極の期限を延長する方針を決定したという事実はありません。いずれにせよ、日本銀行としては、今後とも、各国中央銀行と緊密に協力しつつ、金融市場の安定確保に努めていく方針です。

§11Question

現在の金融経済情勢をみた場合、為替スワップ取極の延長について――まだ早いと思いますが――、総裁はその必要性について、どのようにお考えなのか、お聞かせ下さい。

§12Masaaki Shirakawa

この措置は、リーマンショック後に導入され、一旦この制度を止めた後、欧州債務危機が深刻化しそうな中で再稼働したわけです。これは、あくまでも一時的、時限的な措置として行ったわけですが、国際的な短期資金市場がどの程度緊張状態にあるのかをみて、いざという場合の安全装置(バックストップ)として、設けているわけです。従って、この制度の背後にある国際的な短期資金市場の安定性に関する評価がポイントになるということです。いずれにせよ、この短期資金市場の状況については、日本銀行も含め、6 つの中央銀行で注意深くみていくということです。

§13Question

財政健全化と経済成長の両立ということを、この数回のG20で言ってきて、今回の声明では、トロント・サミットでの合意はあるが、経済成長への目配りも必要だということが一層強調されているようにもみえます。やはり現下の世界経済をみるに、財政再建よりも、特に経済の立て直しに力点を置くべきではないか、という議論がやや優勢になっているのではないかと思うのですが、この点について、どのような印象をお持ちになったかをお聞きします。

§14Masaaki Shirakawa

私の回答も、大臣の回答と基本的に同じです。財政の健全化は、物価の安定と金融システム安定の基礎となるものです。そういう意味で、財政の健全化に向けた努力は非常に大事です。その上で、各国の置かれた状況、経済の状況に即して、財政健全化のスピードを考えていくというアプローチ自体は、基本的に変わっていないと思います。以上