総裁記者会見(2013年4月19日)要旨
Full text
§1Haruhiko Kuroda
私からは、消費者物価の前年比上昇率 2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、「量的・質的金融緩和」を導入したことを説明しました。また、この「量的・質的金融緩和」は、あくまで「デフレからの脱却」という国内目的を達成するためのものであることを、合わせて説明しました。
§2Question
今回の日銀の金融緩和に対しては、日銀のみならず先進国の金融緩和のスピルオーバーについて新興国などから懸念が高まっている中で、とはいうものの、日銀の政策措置について、国内向けであり、為替を目的としたものではないことが、こうした声明にちゃんと盛り込まれて確認されたことに対する意義を改めてお聞きします。それから、そのことが今後の金融政策にどのような影響を与えるか、政策の信認も高まるということもあると思いますので、その点についてお聞きします。
§3Haruhiko Kuroda
先程、大臣もおっしゃったように、こういう点について国際社会の理解が得られたということは、日本銀行としても大変良かったと思っています。「量的・質的金融緩和」は、今後2年間に亘って、2%の物価安定目標の実現に向けて粛々と進めていくわけですが、それに対して国際社会の理解が得られたということは、一層自信を持って、適切に政策を運営していけると評価しています。
§4Question
このG20の期間中、他の中央銀行の総裁には、先進国・主要国含めてどういった方にお会いし、例えば先進国からは歓迎の意を表明されたのか、また新興国からはスピルオーバーの懸念について多少議論があったのかを教えて頂きたい。
§5Haruhiko Kuroda
かなり多くの中央銀行の総裁の方と、バイでの面談もありますし、昨日本日とG20の中で、いわゆる英語で言うcorridor talk のような形で、お話しました。今、ご質問にあったように、今回決めた金融緩和がデフレ脱却のために必要なのだという理解は広く得られたと思います。ただ、ご指摘のように、確かに一部の新興国の方は、スピルオーバー・エフェクトに留意すべきだということは、おっしゃっておられました。そういうことも踏まえて、コミュニケでは、金融政策は「各々のマンデートに従って、国内の物価安定に向けられるとともに、経済の回復を引き続き支援するべきである」ことが確認されるとともに、「長期間の金融緩和から生じる意図せざる負の副作用に留意」する、と書かれています。
§6Question
今回初めて総裁としての出席ということで、 G20で相手に理解してもらったり、納得させたりするために必要だったのは、英語で流暢に説明することなのか、金融政策の理論に長けていることが大事なのか、それとも誠実さであるとか約束を必ず守りますといった相手に信頼されることが大事なのか、どういう点であるとお感じですか。
§7Haruhiko Kuroda
今おっしゃった点はいずれも必要と思いますが、私自身がそれを全て備えているというつもりはありません。ただ、昨日と本日のG20の会議を経験し、各国ともそれぞれが抱えている課題に挑戦しているわけですが、日本の課題に対して、金融政策の面では、先日決定したことを今後着実に実施していくことについて、広く理解を得られたと思いました。
§8Question
中央銀行というのは、あくまで政府から独立した立場であって、財政再建や構造改革という点については、厳しく政府に注文していかなければいけないという立場でもあると思うのですが、G20でそういった姿勢は表明されたのでしょうか。
§9Haruhiko Kuroda
G20の場は、ご承知のように、各国の財務大臣と中央銀行総裁が出席しており、それぞれ適切なチームワークで行われております。財務大臣は当然ながら財政の問題であるとか、もちろん経済全体の問題、さらには金融規制の問題等々について積極的に発言され、中央銀行総裁は、基本的には、金融政策、それから、いわゆるマクロプルーデンスという観点から金融規制に関する問題などについて発言するのが通例です。そういう形で私も発言いたしました。
§10Question
声明では「長期間の金融緩和から生じる意図せざる負の副作用に留意」とあります。これは基本的に日銀の今度の緩和が長期的に及ぶという懸念を前提しているのか。また、具体的にどういった副作用を念頭に置いてこういう議論があったのか、について教えてください。
§11Haruhiko Kuroda
まず第一に、日銀の今回の金融政策を念頭に置いた議論ではありませんでした。むしろ、主要先進国は皆いわば量的緩和あるいは大幅な金融緩和を続けているわけですが、そういったことが長期に亘って続くと、何らかの副作用のようなものが出てこないだろうか、という話が出たということです。具体的に副作用の中身について詳しく議論したということはありませんでした。むしろ、長く続くけれども主要先進国は大幅な量的金融緩和から、経済が回復する、あるいは日本の場合は物価安定目標が達成されるということになると、いずれ出口に行くことになります。そうすると、その時に新興国に対して影響があるということを言っておられる方がいました。日銀について何か言ったということではまったくありませんでしたし、今の問題というよりも、将来の問題を言っておられたように思いました。以上