総裁記者会見(2013年10月11日)要旨
Full text
§1Haruhiko Kuroda
私からは、日本銀行の「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本経済は 2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋を順調に辿っていることを説明しました。そのうえで、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、プラスに転じたとはいえ、直近では、まだ+0.8%であり、日本銀行としては、「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する方針であることを説明しました。
§2Question
黒田総裁に確認をお願いしたいのですが、総裁から、米国の債務の問題であるとか、tapering の話について、何か発言はされなかったのでしょうか。
§3Haruhiko Kuroda
私からは、特に申し上げていません。
§4Question
おそらく、米国側から、今回の 9月の FOMC で tapering を見送った経緯について説明があったと思いますが、それについて、改めて話を聞いて、会場の雰囲気として、新興国を含めて納得されていたかどうかの感触について、コミュニケの文言上は、明確なコミュニケーションが必要だというように書いていますが、それが達成されたかどうかという点についての評価をお願いします。
§5Haruhiko Kuroda
米国側の説明あるいは新興国側の反応については、それぞれ、米国あるいは新興国の方にお聞き頂いた方がいいと思います。一般的に、先進国の金融緩和の縮小観測については、新興国の側から、金融市場あるいは資本フローのボラティリティ上昇に繋がっているのではないかという意見が聞かれたことは事実です。この点に関しては、G20のコミュニケにある通り、「強固で持続的な成長は、いずれは金融政策の正常化に向けた移行を伴うものであること、資本フローの変動は引き続き重要な課題であること」という認識は共有されたわけです。さらに、具体的に、前回の会合と同様――これも麻生副総理が指摘されたように――、「金融政策の在り方の将来的な変更については、引き続き注意深く測定され、明確にコミュニケーションが行われる」という記述が盛り込まれているわけです。
§6Question
IMFが、日本の第三の矢のことを、日本のアベノミクスを「ブライトスポット」と言って評価していますが、世界から見るときに、このアベノミクスの第三の矢――構造改革ですが――、どういうふうに具体的になさっていくのか、そういうことを、世界の方に分かりやすく教えて頂けたら大変嬉しいです。
§7Haruhiko Kuroda
私から特に具体的に申し上げることはありません。これは、政府の方で、成長戦略として既に包括的なプランを示されていますし、今後、臨時国会等で様々な規制緩和を含む新しい法制度が議論されていくことだと思っています。個人的には、基本的に、日本の中長期的な潜在成長率を引き上げることには、麻生副総理も言われたように、規制緩和を含む様々な構造改革が一番重要だと思います。今後、具体的に、政府がそれを推進して行かれることを期待しているということです。
§8Question
黒田総裁に質問です。1つは、アメリカの債務上限の問題で、万が一という場合の危機対応について議論はあったのか、もしあったとしたら、それは既にある通貨スワップ等の各国が持っているドル資金供給の枠組みの再確認のようなことなのか、それとも、何か新たに、こんなことやろうというような話になるのか。2 点目として、外交問題評議会(Council on Foreign Relations)で講演した際、質疑応答の中で「米国債を担保に取る方針には変更はない」というようなご発言があったと伺っていますが、その部分を若干ご説明ください。最後に、今回、就任されてから米国で初の講演と理解していますが、主に話された内容は、インフレ期待がテーマの中心だったと思うのですが、なぜ、インフレ期待というテーマについて、特に米国で話したいと思われたのか。
§9Haruhiko Kuroda
第 1 点目の米国がデフォルトしたときの危機対応のようなことが、G20等で議論されたかというご質問ですが、私の記憶では、そういった議論はありません。第 2 点目の担保云々ですが、これは、各国の中央銀行は、それぞれの担保政策を持っていますが、日本銀行の担保受け入れについては、一定の格付以上のものとなっており、米国債を含め、一定格付以上の外貨建ての国債を担保で受け入れた実績は――額は極めて少ないですが――あります。そういった担保政策が、今、変わるということはありません。最後のインフレ期待云々ですが、これは、今回、ワシントンでの国際会議で申し上げたわけではなく、ニューヨークで講演した際、「量的・質的金融緩和」の詳細について議論した中で申し上げたことです。名目金利が、長期金利も含め、既にかなり低いところにある状況の下で、金融政策を通じて、どのように経済に働きかけ、物価上昇率を2%の「物価安定の目標」に近付けていくかということです。
§10Haruhiko Kuroda
大量の国債の買い入れによって名目金利の上昇を抑えつつ、インフレ期待を高めていくことによって実質金利を下げていく――実質金利は今の時点ではおそらくマイナスになっていると思いますが――、そういう形で実質金利を下げることによって、経済に、投資あるいは消費にプラスの影響を与えていくことを通じて「物価安定の目標」を達成していくということを申し上げたわけで、特に新しいことを申し上げたわけではありません。「量的・質的金融緩和」の発表以来、常に、長期金利全体に働きかけていくこと、ポートフォリオ・リバランス、物価上昇期待などの期待に働きかけること、という3つのチャネルを申し上げてきています。そのうち、特に、物価上昇期待に働きかける一方で、名目金利を抑制していく形で実質金利の低下を図っていることをご説明したということです。これはニューヨークで行った講演の話であり、ワシントンでの国際会議では、先程申し上げたように、簡単に「量的・質的金融緩和」が所期の効果を上げているということを説明しました。以上