総裁記者会見(2014年5月3日)要旨
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§1Question
今回の共同声明では、「先進国経済の金融緩和政策がそれぞれの経済の物価安定や経済成長の見通し次第でしかるべき時期に正常化することを認識。金融政策の遂行は、明確に伝達されるとともに注意深く調節され、世界や地域の経済に与える影響に留意するべき」という記述があります。これについて、アメリカが去年の 12月から量的緩和を段階的に縮小していますけれども、そのことを念頭に置いたものということで良いのか、テーパリングの影響がこのASEAN+3の国々の経済にどのような影響を与えるとお考えか、あるいは、その影響にそういったリスクにどう対応していくべきとお考えか、を教えて下さい。
§2Haruhiko Kuroda
この共同ステートメントの第 5 パラグラフに示されている考え方は、G20の考え方と基本的に同じであり、金融政策を運営する上でどうあるべきか、ということが示されています。このステートメントをご覧になって頂くと分かりますように、全て先進国経済と言う際には、複数形で述べていますので、特定の国を指しているのではないと思いますが、ご指摘の通り、緩和的な金融政策から離れつつあるのは米国だけであり、日本やヨーロッパ等は依然として非常に緩和的な金融政策を採っています。そういう意味では、確かにアコモデイティブな金融政策から離れつつあるのは米国だけですが、ここにあるように、それらの国を含めて、いずれ正常化していくだろうと言った後に、金融政策の運営については、さらに対象を広くして、G20の時もそうでしたが、先進国だけに限ることはなく、全ての国が金融政策を運営するときには、ここにあるようなことを、留意する必要がある、と述べていると理解しています。
§3Question
貿易決済では、現地通貨が広く使われるようになってきておりますし、投資でも使われるようになってきています。今後、特に人民元の役割が重要になってくるのではないかと思います。インフラ整備に資金をつけるにあたって、円の相対的な役割、そして人民元の相対的な役割はどうなっていくでしょうか。2 つの主要通貨である人民元と円は、今後どのように役割分担をしていくのでしょうか。
§4Haruhiko Kuroda
とても良いご質問です。難しい質問でもありますので、お答えしにくいのですが、おっしゃられたように、ASEAN+3の域内では、円がかなり広範に使われており、中国の人民元が、ますます貿易や投資で使われるようになってきています。こうした現地通貨の利用を域内で推進すべき、と関係者の間で議論されています。ご質問は、長期的な視点に立った、日本円、または人民元の見通し及びその役割ということだと思います。なかなか簡単にはお答えできない質問ですが、どちらかというと自然的な流れと言いますか、様々な通貨がより域内で使われ、世界でも使われていくだろうということです。そして域内にとっても、世界にとっても、様々な通貨が使われる方が、国際的に有用なことだろうということです。今までに至るまでは一つの通貨が本当に広範に使われているわけですが、こういった状況が長期的に最適ではないということであれば、長期的に考えれば、複数の通貨が、一部アジアから、一部ヨーロッパから、そして一部は西半球からといったように、同時により広範に使われるということの方が良いかもしれないので、これは自然の流れと言えると思いますし、ASEAN+3諸国におきましても、現地通貨利用の推進が行われることと思います。それをどのように具体的にやるのかということが課題です。
§5Haruhiko Kuroda
日本の円についての国際化という経験を申し上げれば、なかなか簡単なことではないのですが、可能ということです。現にASEAN+3の域内の多くの国々も準備をして移行したいと思っていると思います。そのために資本取引の規制緩和を行うということであり、金融セクター全体の規制緩和を進めていくということであり、同時に様々なインセンティブメカニズムを駆使して推進していくということだと思います。以上