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Bank of JapanPress conferenceApr 17, 2015Haruhiko Kuroda, Governor

総裁記者会見(2015年4月17日)要旨

Original in Japanese

Full text

§1Question

1 点目は、コミュニケの中で、長期化している低インフレについてリスクとして挙げられていますが、世界的にそういうリスクがあることと、日銀の物価の基調との関係について教えて下さい。つまり世界的にインフレ率が加速しづらい環境であるとすれば、日本でも2%のインフレ目標達成の時期というのも少し遅れる可能性があるのか、かつ少し余裕をもって考えることができるのかという点です。2 点目は、為替の変動についても、コミュニケの中で、世界経済のリスクとして挙げられています。日本にとって為替の変動リスクは、今ドル高が全般進んでいますが、その反動で過度の円高に振れてしまうということになるのでしょうか。そういうリスクについてどれくらい高いものとして認識されていますか。

§2Haruhiko Kuroda

第1 点目については、特に日本の物価上昇率などについて具体的な議論があったわけではありませんが、コミュニケにも示されている通り、多くの先進国では、インフレ予想、予想物価上昇率をアンカーし、景気回復をサポートするためには、緩和的な金融政策が必要であるとか、あるいは、主要先進国の金融政策の方向性に差が生じ、金融市場のボラティリティが高まる環境下においては、負の波及効果を最小化するために、政策のあり方について、注意深く測定され、明確にコミュニケーションが行われるべき、といったようなことが、議論になりました。なお、こういった金融政策についてのG20の基本的な考え方は、従来から変わっていないと思います。日本の金融政策については、特に議論はありませんでしたが、日本銀行が長年にわたるデフレのもとで低下した予想物価上昇率を引き上げて、2%程度にアンカーすることを目指して、「量的・質的金融緩和」を推進しているという政策運営は、今申し上げたコミュニケの内容とも整合的であると思っております。第2 点目の為替については、コミュニケに書いてあるとおりであり、従来のG20の考え方をそのまま踏襲しています。具体的にG20で為替についての議論というものは、今回はほとんどありませんでした。

§3Question

コミュニケの中で為替の変動に言及しているところがありますが、ちょっと驚きました。具体的にそれが何を意味しているのかについて、お伺いしたいと思います。特にchallenges(課題)は何を指しているのでしょうか。最近、やはり為替が変動していると理解されているのでしょうか。

§4Haruhiko Kuroda

最初に申し上げた通り、為替について、幅広いというか、掘り下げた議論があったわけではありませんが、為替のボラティリティが若干高まっているということ、そして、それがどういう影響を及ぼすかということについて、G20としては世界経済全体に関する議論のなかで、若干言及があったわけです。このところの為替相場の動きについては、基本的には、各国経済のファンダメンタルズ等を反映したものであるという見方が中心であり、特にボラティリティが高まったことについて、強い懸念が表明されたとは感じませんでした。ただ、先進国の金融政策運営が、資本フローの影響などを通じて新興国に与える効果というものについては、コミュニケにおいて、これまでと同様に、金融政策の方向性に差が生じ、金融市場のボラティリティが高まる状況において、負の波及効果を最小化するために、政策のあり方について、注意深くcalibrate(測定)され、明確にコミュニケーションが行われるべきであるということが、先程も触れましたが、その認識が共有されているということです。

§5Question

確認ですが、特にG20での議論の中で円安に対する懸念はなかったということでしょうか。

§6Haruhiko Kuroda

全くありませんでした。

§7Question

いささか古い話ですが、1997年秋のIMF世銀総会において、日本はアジア通貨基金構想というものを調整したと記憶しています。その時は外交的な理由もあって、組織という形では実現しませんでした。今回、目的や形態は違いますが、ほぼ同じ金額である1,000 億ドルを集める新機関が動き始めています。1997年の日本の構想と今回の中国にある構想とでは何が違いを生み出したのか、世界的な環境の変化があるのかといった点について、ご所見をお伺いします。

§8Haruhiko Kuroda

両者は全く違うものです。アジア通貨基金構想というものは、1997年の東アジアの通貨危機に対してどのような支援を行うのかということについて、 IMFの支援を補完するような仕組みとして出てきたものです。それは、それ自体の形では実現しませんでしたが、現在チェンマイ・イニシアチブといった形で、 ASEAN10か国プラス日中韓で2,000 億ドル規模の融資システムができています。これはあくまでも国際収支危機、金融危機に対応するIMF支援を補完するものです。今回議論されているAIIBは、長期の開発投資に関する話なので、世銀やアジア開銀などとの関係が議論されており、全く違ったものですし、全く関係ないものだと思います。以上