総裁記者会見(2016年10月7日)要旨
Full text
§1Question
金融政策については、限界がどうこうというよりもむしろ、過度に金融政策に負担がかかっている状態が続いている国が多いという指摘があったと思います。そういう金融政策、金融緩和を長く続けたことによるコストについて、今回、IMFやG20などで懸念の声がより高まっているという印象でしょうか。
§2Haruhiko Kuroda
G20やIMFCなども含めて、金融政策は各国の中央銀行のマンデートと整合的な形で、引き続き経済活動をサポートし、物価の安定を確保すべきだという考え方が基本的に共有されたと思います。もちろん、金融政策だけでバランスのとれた成長につながるというのは難しいわけであり、金融政策、財政政策、構造政策といったあらゆる政策手段を、個別または総合的に用いて、バランスのとれた成長を実現していく必要があるという、従来からの考え方が共有されていたと思います。ご指摘の、金融政策にかなり負担がかかっているのではないかという議論は、IMFのペーパーなどにも若干触れられていますが、これは金融政策が限界に来ているという話ではありません。今回の一連の会議で、特に限界が来ているとか、あるいは限界ではないとしても金融政策にあまり依存していると色々問題が出てくるという話が、それほど強く出たという感じはしませんでした。
§3Question
ルー米財務長官とのバイ会談をされて、世界経済について幅広い議論をされたということですけれども、もう少し詳しく教えて頂ければ。例えばリスクや不確実性について議論をされたということはないでしょうか。
§4Haruhiko Kuroda
基本的にG20とかIMFCで議論が行われたわけですが、ご承知のようにIMFが今回出したWEOをご覧になって頂きますと、世界経済全体については、今年は 3.1%、来年は 3.4%ということで、従来の見通しをそのまま維持しているわけです。過去、数年にわたってWEOを出す度に下方修正してきたわけですが、今回は下方修正がなく、むしろ新興国はいくつかの国でかなり上方修正になっています。世界経済全体として、メインシナリオとしては、回復が続いており、特に、来年にかけて成長率が加速していくということですが、他方でいくつかのリスクがあるということは指摘しているわけです。そういうリスクについてもIMFは説明しましたが、基本的には今回の世界経済の見通し、あるいはその状況というのは、比較的しっかりしてきたという感じではないかと思いました。
§5Question
今回、9月に導入した新たな枠組みについて、各所でご説明をされる機会があったかと思います。昨日のG20では特に枠組みについての議論はなかったというお話を伺いましたけれども、各所でどういう評価と、また、どういう指摘があったのか、可能な範囲で教えて下さい。
§6Haruhiko Kuroda
IMFCはまだ明日にかけて議論が行われますが、その前のG20等で私からは、いわゆる「総括的な検証」のポイントについてお話をし、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の内容についてもご説明しました。そのうえで、日本銀行は、この新しい政策枠組みのもとで、2%の「物価安定の目標」実現に向けて、従来よりも一段と強力な金融緩和を推進していくこと、また今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するために、必要な調整を行う方針であることを説明しました。日本銀行の金融政策については従来から十分な理解が得られており、この新たな政策枠組みに関しても、特段のコメントや意見は聞かれませんでした。以上