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Bank of JapanPress conferenceMay 2, 2019Haruhiko Kuroda, Governor

総裁記者会見(2019年5月2日)要旨

Original in Japanese

Full text

§1Question

今回こうやってADBの毎年の議論をやる中で、黒田総裁もかつてADB総裁を務められて、これまで 9 代連続でずっと日本人が 1966年から務めていますが、黒田総裁は著書の中で、アジア金融危機が起こった時のIMFの対応がやはりまずかったと指摘されていらっしゃいます。一方で、現在、AIIBとの協働というものが出てきていますが、IMFに更に改革を求めて、例えばデリンクポーションを更に増やしていくといったようなことがASEAN+3で必要になっていくのか、あるいはもっとAIIBであったり、中国の財務当局とのやりとりの方が今後の課題になっていくのか、そういった観点でお考えをお聞きしたいのですが。

§2Haruhiko Kuroda

いくつかの論点が重なって出てきています。まずは、1997年、1998年のアジア通貨危機の時のIMFの対応が、必ずしもアジア諸国の財政・金融・経済情勢を十分反映していなかったのではないか。これは実はIMFの独立評価局自身も、その後、そういう評価をしています。ですから、それ自体が私の個人的な意見というよりも、やはり振り返ってみても、1997年、1998年のIMFの対応の中には十分でないものがあったということは、 IMF自身も認めていることですし、私もそうだったと思います。それと別な話としては、そういうことを通じて、チェンマイ・イニシアティブという、地域の中で相互扶助的に、通貨危機のようなことが起こった場合に支援をすると、それはIMFの支援と矛盾するものではなく、IMFの支援と相互補完的にやろうということを 20年前から議論して、規模も今や2,400 億ドルになり、バイのスワップではなく、マルチの仕組みにしました。それから、チェンマイ・イニシアティブの改善についての今回の文書を見て頂くと分かるように、IMFと協調して融資するときに、その融資の期間などをIMFの支援と合わせて、より効果的にやっていこうということをしています。

§3Haruhiko Kuroda

3 つ目の論点は、いわゆるIMFプログラムでの融資と協調してやるものとは離れて、ごく短期の流動性の問題のときに、IMFの支援無しに、その国が引き出せる額の30%まではチェンマイ・イニシアティブで支援できることになっています。IMFの支援は、あくまでも国際収支の不均衡や、あるいは金融システムが正常に機能していないなど、マクロ経済が不均衡に陥っているときのもので、その代わりにマクロ経済の不均衡を是正することを条件に支援します。IMFは、無条件あるいはごく軽い条件で貸すということはしていません。チェンマイ・イニシアティブの方は、マクロ経済は問題ないけれども、短期の流動性不足に陥った国がある場合に、要請に応じて引出可能額の30%まではIMFのコンディショナリティ無しに出せるというのが、非常にユニークな点です。IMFとチェンマイ・イニシアティブの協調は進んでいますが、短期の流動性の支援では、 IMFの厳しいコンディショナリティとは別に、短期に融資する独自のシステムがあるということです。ADBがAIIBと協力する、協力しないというのは、これは通貨危機とは全く関係なく、開発金融や開発融資についてどう協調していくかという話です。AIIBの発足以来、ADBはAIIBと協調しています。AIIBの多くの融資は、実際はADBとの協調融資です。

§4Haruhiko Kuroda

そういう形で協調して、アジアにおけるインフラ整備を進めているということです。ADBとAIIBとの間に、何か対立とか矛盾といったものがあるとは全く思っていません。以上