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Bank of JapanPress conferenceFeb 23, 2020Haruhiko Kuroda, Governor

総裁記者会見(2020年2月23日)要旨

Original in Japanese

Full text

§1Question

今回の新型肺炎の影響を受けてIMFも中国及び世界経済の見通しを更に下方修正しています。そういった懸念が各国で拡がる中、現在の日本経済についての日銀の見通しにどう影響を及ぼし得るのか、まだ4月の展望レポートまでは時間があるとはいえ、民間の予測をみても、今年度、来年度、0%台及び 0%台半ばぐらいの成長見通しを置いているところが多いので、日銀の見通しとかなり既に乖離していると思うのですが、その辺りをお願いします。

§2Haruhiko Kuroda

昨日、IMFが、新型コロナウイルスが中国及び世界経済に与える影響の見込みについて公表しています。すなわち、中国において、現在予定されている各種の政策対応が実施され、本年第2四半期に、中国の経済活動が通常の状態に復するというベースラインシナリオのもとで、2020年の成長率見通しについて、中国については1月時点の6.0%という見通しから 0.4%ポイント低い 5.6%、そして、世界経済全体としては1月時点の3.3%から 0.1%ポイント低い 3.2%になるという見通しを示しています。もちろんIMF自身も言っていますように、今後、中国及び世界経済の見通しについては、当然この新型コロナウイルスの感染がどの程度の期間で終息するかなどにも依存しますので、不確実性が大きいと思います。日本経済につきましては、昨年の 10-12月のマイナス成長というのは、消費税増税の影響もありましたが、 2つの大きな台風や暖冬の影響などがあって、消費が伸びなかったということもあります。こういった一時的な要因は、剥げ落ちていきます。他方、省力化投資や研究開発投資など短期的な景気の変動にあまり影響されにくい設備投資が根強く趨勢的に続いていますし、消費の根本に雇用者所得が実質でもずっと伸び続けているということもありますので、基本的に日本経済が緩やかな成長を続けるという見通しに大きな変化があるとは思っていません。

§3Haruhiko Kuroda

IMFの見通しでも世界経済が 2020年全体でマイナス 0.1%ポイント下がるというぐらいの見通しになっていますので、日本経済についても大きな影響があるとは今のところはみていません。ただ、新型コロナウイルスを巡るこういった状況が長く続きますと、どうしてもサプライチェーンへの影響から日本のみならず世界経済全体に大きな影響が出てくるおそれもありますので、やはり世界経済に与える影響、今後の金融市場の動向は注意深くみていく必要があると思っています。

§4Question

そうした日本経済の緩やかな回復という見通しに変化がない限りは、更なる金融緩和というのは必要ないということでよろしいのでしょうか。

§5Haruhiko Kuroda

新型コロナウイルスの問題がわが国の経済・物価、あるいは今後の金融市場に与える影響等については、やはり最大限の注意を払っていく必要があると思いますし、今回のG20をはじめ様々な国際会議の場なども活用しながらしっかり情報収集を行い、必要なときには必要な措置がとれるように、万全を期して参る所存です。現時点で金融政策面からの対応について具体的に議論する段階にはないと考えていますが、これまでも申し上げている通り、必要があれば、躊躇なく、追加的な措置を講じる考えです。

§6Question

先程、世界経済の先行きについてご説明して頂きました。中国の経済が 0.4%ポイント下がるというのは、日本経済にも、世界経済にも大きな影響があると思います。総裁は、従来、大体年央ぐらいに世界経済は持ち直してくるだろうという見通しをおっしゃっていたことがあると思いますが、その見通しについて今どのようにお考えになっていらっしゃるのですか。

§7Haruhiko Kuroda

世界経済については、特にIMFがどのように考えているかに非常に関心があるところですが、今回IMFが公表したように、一定の前提を置いて今の時点の見通しをとれば、世界経済に通年で、2020年全体としては 0.1%ポイントぐらい引き下げる影響があるということです。その結果、1月時点の世界経済見通しで 3.3%と見ていたのが 3.2%ぐらいになるということです。去年が 2.9%ぐらいとちょっと低く、そこから回復していくということです。基本的にIMFの見通しは、第2四半期には中国の経済活動は通常の状態に復するとみており、第1四半期だけ低くなるということですので、世界経済にとっても 0.1%ポイントぐらいの引き下げで、おそらく世界経済全体が年央に上方に転じていくという考え方はあまり変わっていないのではないかと思います。私自身も、 IMFのそういう考え方を踏まえれば、日本経済も含めてこれまでのベースラインの考え方が大きく転換して、まだどんどん下がっていくとか、回復の時期がどんどん先送りになるということは今の時点ではないと考えていいと思いますが、ただ、そこは不確実性があるということだと思います。

§8Question

デジタル通貨の議論を今回どのように受け止めていらっしゃったのか、また、総裁として何か発言されたことがあれば教えてください。

§9Haruhiko Kuroda

日本銀行としては、中銀デジタル通貨についてしっかり調査研究を行っていくという考えに変わりがありません。現時点で中銀デジタル通貨を発行する計画はありませんが、技術革新のスピードが速いし、決済を巡る環境の変化などから、中銀デジタル通貨に対する社会のニーズが急速に高まる可能性も考えられるわけですので、そうした事態が仮に発生しても的確に対応できるよう中央銀行としてしっかりした備えをしていくことが必要だと思っています。以上