総裁記者会見(2021年7月10日)要旨
Full text
§1Haruhiko Kuroda
今回のG20の成果については、ただ今麻生副総理から説明があった通りですので、私からは二点だけ付け加えたいと思います。まず気候変動を巡っては、グローバルに重要な問題であるという認識のもとでリスクモニタリングを強化していくこと、あるいはシナリオ分析や情報開示など、金融面の対応を進めていくことが確認されました。私からは、先般、日本銀行が金融機関の気候変動対応投融資をバックファイナンスする新しい資金供給制度を導入すると公表したことと、気候変動に対する日本銀行全体の取組み方針を検討していることを説明しました。次に金融セクターについては、新型コロナウイルス感染症に対する金融安定面の教訓などに焦点が当てられましたが、こうした議論を踏まえ、私からは金融安定に向けた取組みを更に進めていくべきだと申し上げました。
§2Question
今日発表された共同声明でも国際課税で歴史的な合意というふうに書かれていますけれども、今回こういう歴史的な合意というのが発表レベルでなされたというのはどういった背景が、どういった視点でこういった歴史的な合意に至ったというふうにお考えなのか、大臣のご見解をお伺いします。
§3Haruhiko Kuroda
(麻生副総理のご説明に)補足的に申し上げますと、国際課税のルールというのは色々な案がありましたが、従来、戦前から戦後にかけて、麻生副総理が言われたようにパーマネント・エスタブリッシュメントという、支店や営業所などが存在するところでの売り上げから出た利益については国内所得として課税できるのですが、そういうものが存在しないところで利益を得た場合は、本国で課税するので、海外所得で課税できないという考え方、これは俗にPEと言いますが、パーマネント・エスタブリッシュメントの「ある・なし」で行うという、これは非常に分かりやすいといいますか、課税権の分担の方法は非常にはっきりしていたわけです。それによって物の売買や対面サービスなども従来から今のルールで行ってきました。ところが、デジタル経済が発展すると、その土地には支店も倉庫も何もないわけです。本国や第三国から直接デジタルサービスを提供し、売り上げ・利益を得ますが、それは従来のPEという、「ある・なし」で課税権を割り振っていたことからいうと課税できないわけです。そこで、100年ほど続いたルールを抜本的に変えて、まさに副総理が言われたように、課税主権の割振りについてのルールが根本的に変わるということです。
§4Haruhiko Kuroda
デジタル経済が進んだことにより、それを行わないと主権国家の間で税金を配分することが不公平になってしまうということで、副総理が国際課税の問題をバッキンガムシャーで問題提起をされ、 BEPSができ、情報交換するようになり、それから本格的にデジタル課税の話になり、トータルすると 10年程度かかりましたでしょうか、それでこういう歴史的にみて画期的な合意ができたわけです。歴史的にみて画期的というのは、今申し上げたように 100年近く続いた課税ルールを変え、それにG20の 20 か国だけでなく百数十か国が合意したと、それをまさにG20ではっきりと示したということで、単に内容が画期的というだけではなく、歴史的にみても非常に画期的な合意だったということだと思います。これは私が言うのも僣越ですが、昔、国際租税課長をしていたので、そういうことを申し上げました。以上