総裁記者会見(2023年5月13日)
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§1Kazuo Ueda
私からは今回の会合の開催に当たりまして、地元の関係者の皆さまの多大な協力のもとでスムーズな会合運営ができた、また信濃川が日本海に注ぐという雄大な景色を眺めつつ、落ち着いた雰囲気の中で議論に集中することができたというふうに感じておりますので、関係者の皆さまのご尽力、ご協力に改めて御礼申し上げたいと思います。特にお食事等すごい好評でして、次のG7の議長国はイタリアなんですが、イタリアの代表の人にすごいみんながプレッシャーをかけるというような局面もあったり致しました。そのうえで、私からは日本銀行に関係するところにつきまして、どういう議論があったか、財務大臣のお話と重複しない限りで簡単にご紹介したいと思います。金融面のところは私どもにも関係あるわけですが、財務大臣がご紹介されたことに尽きていますので、そこは省略させて頂きます。世界経済につきましては、最近の経済指標を踏まえますと底堅く推移しているという見方が示されました。ただし、世界的なインフレ圧力や各国中銀の利上げが続く中で回復ペースが鈍化しているほか、最近の一部の金融機関を巡る動きも重なって、先行きの不確実性には注意が必要であるという指摘がございました。また、気候変動につきましてはG7の中央銀行はそれぞれのマンデートの範囲内で気候変動に引き続き取り組んでいくという認識を共有致しました。
§2Kazuo Ueda
また、私からは、日本経済について、これまでの資源高の影響を受けつつも持ち直しているというふうに説明致しました。消費者物価はコスト高を背景に生鮮食品を除くベースで3%強というふうになってございますが、今年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくという見通しをご説明し、そのうえで日本銀行は物価安定の目標の持続的・安定的な実現を目指して金融緩和を継続するというふうに説明させて頂きました。以上でございます。
§3Question
金融システム強化で規制と監督のギャップに対応すると声明にはありました。 4月のワシントン声明でも強靱というふうに書かれていたんですけれども、5月に入ってファースト・リパブリックが破綻するなど信用不安が払拭されたとはいえない中、こうした信用不安、ギャップへの対応についてどのように考えているのか、お二方のお言葉でお伺いしたいです。お願いします。
§4Kazuo Ueda
鈴木大臣のお話とかなり重なりますが、一つには3月以降の事態に対して欧米の当局が迅速かつ適切に対応して頂いたということで、金融システムの安定性は維持されているというふうに考えてございます。そのもとで、今後に向けて、今回の事例の検証を引き続き行いつつ、FSB等の場を使いつつ、適切な規制・監督への含意を得ていきたいということでございます。それとともに、2008年の金融危機以降合意された金融規制改革、これをきちんと実行していかないといけないという認識もほぼ共有されたというふうに考えてございます。
§5Question
もう一点、植田総裁に伺いたいんですが、今回コミュニケでデータ、監督・規制のギャップに対応すると書かれましたが、今回の一連の問題を受けて今どのようなギャップというものがあるとお考えなのかということを教えてください。
§6Kazuo Ueda
金融規制に関するギャップという表現についてのご質問だったと思うんですけれども、先ほど話したこととちょっと重なりますけれども、一つには金融危機以降に合意された金融制度改革、バーゼルⅢ等を含みますが、これが必ずしも十分徹底されて実行されていない部分について、それを実行していこうということですし、もう少し広げて一般的な話になりますと、例えば日本ではないですが、今回のアメリカのような場合に、中堅銀行、シリコンバレー銀行等、例えば資金繰りについて場合によってはFedのディスカウント・ウィンドウから借りることができるわけですけれども、それをどういう手順でどういうふうに実行していくのかということに関する、必ずしも知識が十分でなかったりという、普通の監督の世界での監督当局と銀行との対話が十分でないというようなことがあったという反省もあり、そういうことも広い意味でのギャップとしてとらえて、そこを埋めていくという努力も含まれるように思います。
§7Question
植田総裁にお伺いします。パラグラフの6 でインフレについて書かれているところなんですけれども、インフレ率は引き続き高く、中央銀行は物価の安定を達成することに引き続き強くコミットしていくというのは、4月の声明にもこの通り書かれていたんですが、今回それに「それぞれのマンデートに沿って」という言葉が付け加えられています。これは一見当たり前のことが書かれているんですけれども、相次ぐ利上げが世界経済の下押し圧力になるとか、あるいは債券価格の下落が金融機関にもマイナスの影響を与えているという認識のもとで、これまでのインフレを抑えるということと、もう一つ景気に配慮するというバランスの意味で、ちょっと変化があったのか、その辺どういう議論が行われていたのか聞かせて頂ければと思います。それから同じパラグラフの中で、「中央銀行は、各国間の負の波及効果の抑制に資するよう、政策スタンスについて明確に意思疎通を行う」というふうに書かれているんですけれども、これはどういうインプリケーションでこういうことが書かれているのか、どういう意味合いで書かれているのか、聞かせて頂ければと思います。
§8Kazuo Ueda
まず前段でございますけれども、一般的な、どこの国がということではなくて、割と平均的な中央銀行総裁方の認識として、いわゆるヘッドラインのインフレ率はだんだん下がり始めているけれども、少なくとも一部の国ではいわゆるコアのインフレ率ですか、これがまだまだ粘着的である、あるいは下がり方がゆっくりであるという認識が一つあるように思いました。その中でやはり一部の国ですけれども、もう少し利上げが続くという国もあるような感じでございます。ただ、その中で多くの国で、日本を除いてですけれども、かなりの利上げが既に行われていますので、その一方でコアのインフレ率は、まだちょっと下がり方がゆっくりであるという認識があるわけですが、その中でこれまでの利上げの経済あるいはインフレ率への影響が完全に十分出尽くしたのかというと必ずしもそうではない、まだこれから出てくる部分もあるであろうという問題意識を皆さん持っていらっしゃいまして、その部分に十分配慮しつつ、今後の政策運営を考えていきたいという認識が多かったように感じました。
§9Kazuo Ueda
それから後段の政策の海外への波及効果等に注意しつつというところですけれども、それは非常に一般論になってしまいますが、自分の国の政策の変化が様々なルートを通じてほかの国にどういうふうに波及しているのか、そしてそれがまた自分の国にどういうふうにフィードバックしてくるのかということについて情報を得るということは非常に大事ですので、その情報を得るための情報交換の場として今回のような会議が非常に重要であるということかと思います。以上