← Back
Bank of JapanPress conferenceOct 24, 2024Kazuo Ueda, Governor

総裁記者会見(2024年10月24日)

Original in Japanese

Full text

§1Kazuo Ueda

私から若干付け加えますと、世界経済等に関するセッションですが、G20発足以来の世界経済の長期的な構造変化を振り返り、今後の課題等を議論致しました。そのうえで、従来と同様、世界経済の見通しやリスクについて、率直な意見交換を行ったところです。私からは、中央銀行の立場から、近年の世界的な貿易活動や直接投資の構造変化が、経済・物価情勢にどのような影響を与えるかを議論するフォーラムとしてG20は引き続き重要な役割を果たしていくというふうに発言致しました。それから、金融セクター等に関するセッションですが、ここではクロスボーダー決済や資産のトークン化等について議論致しました。私からは、引き続きFSBや基準設定主体における作業をしっかり進めていくことが重要というふうに申し上げました。

§2Question

植田総裁に伺いたいんですけれども、総裁は最近の講演や会見で、今後の利上げの判断に当たって、米国をはじめとする海外経済を注視するという姿勢を繰り返し述べられています。特に、米国経済の先行きについては依然不透明だという認識も示されてきましたが、今回G20などの会議に参加されてですね、この辺の認識がどのように変わったか、それから特に、直前に迫っているアメリカの大統領選のですね、不確実性についてどういうふうにお考えになっているかというのを伺えますか。

§3Kazuo Ueda

まず、大統領選については、皆さん、選ばれた大統領はどういう政策をするか、そしてどちらが選ばれるか分からないということで不確実性が高いなということは気にされていたところですが、どっちに転ぶかは分かりませんし、私も特別な情報を持っていないので、それ以上のことはちょっと申し上げられないというふうに思います。それから、米国経済を中心として、何か今回の会合で追加的な情報ないし認識が得られたかという点ですけれども、素直に申し上げまして、ごく最近のデータがそこそこいい、ということから、雇用統計等ですね、多少アメリカ経済の先行きについて楽観論も少し広がりつつあるかな、という気も致しました。ただ冷静に考えてみますと、その前は少し暗いデータが出ていたわけで、その後はちょっといいデータが出ているということですので、もう少しこのいいデータが長く続くのか、あるいは一時的な振れに過ぎないのかということについて分析を深めないといけないな、というふうに思ったところです。

§4Question

足元で為替の円安が進行しています。物価の上振れリスクに対するご認識と政策判断の時間的余裕があると言えるのかどうかについてお願い致します。

§5Kazuo Ueda

足元の円安傾向の日本のインフレ率への影響というご質問だと思うんですけれども、これは先ほど申し上げましたような米国経済に関する見方の振れ、それが特に足元はちょっと楽観的な方に振れてる可能性があるというような背景のもとで起こってる現象、他の要因もありますが、というふうに思いますので、円安だけではなくて、その背後にあるアメリカ経済動向に対する見方、その他大統領選も関係しているかもしれませんが、この全体をみたうえで、それが日本の物価にどういう影響をするかということを、丹念に分析して見極めていくということかなと思っております。

§6Question

時間的余裕は。

§7Kazuo Ueda

一応、時間的な余裕はあるというふうに考えております。

§8Question

マーケットは最近、8月初旬の大きな混乱からは安定してきたように思いますが、マーケットの不安定な状態というのは解消されたのか、まだいろいろリスクが残っているのかという点をお願いしたいです。マーケットやアメリカ経済の動向全体を踏まえて、世界経済について、総裁ご自身は以前に比べて若干リスクは後退したというご認識なのか、改めての確認をお願いします。

§9Kazuo Ueda

マーケット動向ですけれども、一応、引き続き不安定な状況にある、あるいは例えばインプライド・ボラティリティ等をみても、一部のマーケットではかなり高い状態が続いているというふうに考えております。今後については、先ほど申し上げましたように、これを生み出している背後にある経済に関する認識がどういうふうにいくかということも含めて考えたいと思います。それも含めて、世界経済全体ということですけれども、全体としてはソフトランディングが実現していくという認識は引き続き皆さんの中にあると思いますけれども、国毎にある程度のばらつき、かなりのばらつきがあるというところに皆さん注意を払っているという点はあったかな、というふうに今回の会合を通じてみておりました。

§10Question

植田総裁にお聞きしたいんですけれども、コミュニケの中でもですね、今回の世界経済のソフトランディングについていい見通しを持っている一方で、複数の課題が残っているというかたちで書かれています。前回はソフトランディングに向けて可能性が高まっているということがありましたけれども、ここについてはいくぶん前回のときよりも下方リスクが高まってきているという認識なのか、この辺りの微妙な議論の内容ですね、もう少し具体的に伺いたいなという点があります。

§11Kazuo Ueda

世界経済のリスクの方ですけれども、下方リスクとしては、やはり多くの方が指摘していたのは地政学的リスクですね。具体的には中東情勢であったり、引き続いているロシア、ウクライナの戦争の話、それからインフレはだいぶ収まってきたんですけれども、ひょっとしてインフレ予想が高止まりするっていうリスクはあるかないかという点も多少議論されたかと思います。それから、今ここまで出ましたような金融市場のボラティリティの高さ等が指摘されました。一方で、上方リスクとして、AI等の技術進歩が思った以上にうまく生産性を向上させていくという点もあり得るかな、ということだったかと思います。以上