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Bank of JapanSpeechFeb 28, 2013Masaaki Shirakawa, Governor

【講演】「日本経済の競争力と成長力の強化に向けて」(日本経済団体連合会常任幹事会)

Original in Japanese

Full text

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あああ2013年2月28日 日本銀行 日本銀行総裁白川方明日本経済の競争力と成長力の強化に向けて ── 日本経済団体連合会常任幹事会における講演 ──

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11. はじめに本日は、日本経済団体連合会常任幹事会でお話しする機会を頂き、誠に光栄に存じます。話を始める前に、本連合会の会員企業の皆様には常日頃より経済・金融の現状や政策運営に関し、様々な情報やご意見を頂いていることに対し、心よりお礼を申し上げます。本日は、私にとって、日本銀行総裁としての最後の講演となりますが、テーマは、迷うことなく、「日本経済の競争力と成長力の強化に向けて」とすることに決めました。と言うのも、競争力と成長力の強化こそが現在の日本経済にとって最も重要な課題だと考えるからです。このテーマは日本銀行にとっても極めて重要です。ご承知のように、日本銀行は先月の金融政策決定会合において、金融政策の目的である物価安定について、その具体的な数値目標を2%とすることを決定しました1。この「物価安定の目標」は、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取り組みが進展するという認識に立った上で、導入したものです(図表1)。それだけに、そうした取り組みが現実に進展するかどうかは、金融政策運営上、極めて重要です。以下では、マクロ経済的な視点、企業行動の視点、そして、経済政策の視点を意識しながら、このテーマについて考えていることをお話ししたいと思います。

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2. 経済政策の目的現在、わが国の経済運営を巡って活発な議論が行われていますが、最初に、経済政策の目的は一体何であるのか、我々は日本経済についてどのような状態を実現したいのか、ということについて考えてみたいと思います。経済政策の目的は、最終的には国民一人ひとりの生活水準の向上を図ることにあることは言うまでもありません。国民の生活の豊かさを測る単一の尺度は存在 1 「物価安定の目標」の導入を含め、2013年1月22日の金融政策決定会合における決定内容については、白川方明「中央銀行の役割、使命、挑戦」、日本記者クラブにおける講演、2013年1月25日を参照。http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130125a.pdf

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2しませんが、近似的に言うと、国民一人当たりの消費水準、あるいはこれと密接な関係がある実質GDPの水準を持続可能なかたちで高めることがマクロ経済政策の重要な目標です(図表2)。そう申し上げた上で、日本経済の置かれた状況に則して経済政策のあり方を考える際には、もう尐しきめ細かな議論が必要です。第1に、急速な高齢化による労働人口減尐の影響を考慮する必要があります。日本の実質GDPは、今もリーマン・ショック前の水準を下回っていますが、人口一人当たりの実質GDPをみると、欧州諸国と比べ、落ち込み幅は相対的に小さくなっています(図表3)。さらに、生産年齢人口一人当たりの実質GDPをみると、日本はリーマン・ショック前の水準を上回っており、米国よりもパフォーマンスは良好です。「人口の減尐」は日本経済を語る時の常套句であるにもかかわらず、景気論議においてはこの重要な事実は意外に忘れられがちです。もちろん、四半期とか1年という期間ではどの数字でみても大勢に違いはありませんが、日本経済の中長期的な経済政策のあり方を考える時には、「一人当たり」という視点も重要です。第2に、経済のグローバル化の進行という事実を踏まえる必要があります。具体的に申し上げると、実質GDP(国内総生産)だけでなく、実質GNI(国民総所得)もみていく必要があるということです。

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実質GNIは実質GDPに以下の2つの調整を加えた所得概念です。ひとつは、わが国の居住者が海外で稼ぐ所得です。2012年の数字でみると、海外で稼ぐ所得は、14.3兆円と、名目GDPの3.0%であり、近年は対外証券投資に伴う収益に加え、対外直接投資に伴う収益も増加しています(図表4)。もうひとつの調整は、対外的な交易条件の変化に伴う実質的な購買力の変化です。近年は新興国経済の高い成長を背景に資源価格が上昇していることなどから、日本の交易条件は悪化方向にあり、交易利得、すなわち、交易条件の変化に伴う実質購買力は減尐傾向にあります(図表5)。交易条件は資源価格だけでなく、日本企業の輸出品の非価格競争力を通じた価格支配力によっても変化します。為替

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3レートの変化、例えば、円安は輸出増加を通じて実質GDPを増やすとともに、交易利得には逆方向に作用する場合があります。実質GNIへの影響は、こうしたふたつの調整を加味したネットの効果に依存します(図表6)。2000年を基準とすると、実質の海外所得の水準は、2012年に約 2.5 倍にまで増加し、2012年の実質GDPを2000年対比で 1.9%押し上げました。一方、交易利得は、5.8%押し下げ方向に作用しました。第3に、名目GDPと実質GDPをどのように位置付けるべきかということも議論されます。この点、経済が持続的に成長する時には、両方とも増加するため、中長期的に目指す政策の方向は異なりません。ここで申し上げたいことは、両者の因果関係です。まず実質GDPが増加することによって需給ギャップが逼迫し、これに伴う物価上昇の結果として、名目GDPは増加するというのが基本的な因果関係です(図表7)。もちろん、石油ショックの時のように、物価が先に変動するというケースもありますが、この場合は景気が悪化し、我々が望んでいる姿とは違います。我々が経済政策で実現しようとしているのは、実質GDPを高め、その結果として名目GDPが高まるという状況です。この点に関し、興味深いのは日本銀行が個人を対象に四半期毎に実施している「生活意識に関するアンケート調査」です。

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この調査結果をみると、性別・年齢別・職業別のいずれでみても、過去から一貫して、物価の上昇について8割程度の方が「どちらかと言えば困ったことだ」と答えています(図表8)。この調査結果の背後には、物価が上昇しても賃金は増加しないかもしれないという不安があります。多くの国民は単に物価が上がることを望んでいる訳ではありません。給料が増加し、雇用も確保され、収益も増加するという状態、つまり、経済がバランスよく改善し、その結果として物価の上昇が実現する状態、これが国民が「デフレ脱却」という言葉で望んでいる姿の実相です。第4は、成長の果実をどう分配していくかという問題です。経済が成長す

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4る上で市場メカニズムの果たす役割は大きいものがありますが、そうしたメカニズムを基本的には受け入れる社会としての価値観がその前提となります。この点では所得分配の状況も重要な要素のひとつです。米国では、リーマン・ショック前の景気拡大期、すなわち 2002年から 2007年にかけて、所得上位1%の家計の実質所得が 86%、家計の平均所得も20%伸びたのに対し、中位所得、すなわち、所得の高低で並べて丁度中間に位置する家計の所得の伸びは平均所得の伸びの半分である 10%にとどまっています(図表9)。所得分配の状況は所得を稼ぐことのない高齢者の割合にも依存するため、単一の指標で捉えることは困難ですし、また、わが国はここまで極端ではないでしょうが、中間所得層を中心に、バランスのとれた経済成長を実現していくべきとの問題意識は、世界的に高まっています。

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3.競争力と成長力強化の必要性以上の経済政策の目的に関する議論を踏まえた上で、次に、わが国の競争力と成長力強化の必要性に話を移します2。一国の経済成長率の動向はやや長い目でみると、資本ストックや労働力、技術革新といった実体的要因、ないし供給サイドの要因に規定されます。このことをいわゆる成長会計の枠組みで説明すると、成長率は就業者数の伸びと就業者一人ひとりが生み出す付加価値、すなわち付加価値生産性の伸びに分解できます(図表 10)。現在の男女別、年齢別の労働参加率を前提に、先行きの就業者数の伸びを機械的に計算しますと、年平均で 2010年代は-0.6%、2020年代は-0.8%と減尐していきます。一方、付加価値生産性の伸び率ですが、比較的良好な時期である2000年から 2008年の伸び率は、年平

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2 成長力強化やサプライサイドの重要性は多くの中央銀行が強調している点であるが、例えば、イングランド銀行のキング総裁によるスピーチ("Speech given by Mervyn King,Governor of the Bank of England, The CBI Northern Ireland Mid-Winter Dinner,Belfast," Bank of England, 22 January 2013)を参照。http://www.bankofengland.co.uk/publications/Documents/speeches/2013/speech631.pdf

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5均で+1.4%でした。この数字を、先程の就業者数の伸びの数字にそのまま加えたとしても、2010年代の成長率は平均で+0.8%、2020年代は+0.6%にとどまります。この先20年間、何とかプラス成長を維持できる程度にしかなりません。労働力人口の減尐は、日本経済にとって実に強い「逆風」であり、我々は、この「逆風」の意味をもっと深刻に受け止める必要があります。もちろん、付加価値生産性の伸びをさらに高められると、問題の程度は緩和します。しかし、日本は過去 10年間のG7諸国の平均を若干上回る伸び率は実現しており、これを一挙に1%以上も高めることができると考えることは現実的ではありません(図表 11)。いずれにせよ、日本の成長力を将来に亘って引き上げていくためには、就業者数と付加価値生産性の両方に働きかけていく必要があり、相当に思い切った努力が必要です。その際、幅広い主体の取り組みが不可欠ですが、何と言っても主役は民間企業です。現在、企業は家計と並んで貯蓄超過部門であり、そうした状態が1998年以降続いています(図表12)。もっとも、企業が大幅な貯蓄超過の状態にあるというのは、今や日本だけの現象ではなく、2000年代に入って、主要先進国に共通してみられる現象です。因みに、企業の貯蓄超過幅の対GDP比をみると、英国は6.1%、日本は4.6%、米国は4.1%となっています。

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こうした貯蓄超過の最大の要因は、新興国における投資機会が拡大する中で、国内における魅力的な投資機会が不足していることですが、最近は金利低下などによる企業年金の積立不足とこれに伴う追加拠出に備えた資金確保といった要因も指摘されています。手元に豊富な資金があるにもかかわらず、国内投資に積極的になれないという状況は本席におられる経営者の皆様が日々実感されていることだと思います(図表 13)。因みに、東証1部・2部上場企業のうち、有利子負債以上の現預金を手元に抱えている企業、すなわち、実質無借金企業の割合は、最近時では 43%にも上っており、手元現預金は増加の一途を辿っています。もちろん、企業が手元流動性を潤沢に保有すること自体は、バブル崩壊後

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6の金融危機、あるいはリーマン破綻後のドル資金不足やCP市場の機能低下といった経験を踏まえると、ある程度までは合理的な行動です。しかし、現在の手元流動性の水準はそうした予備的需要を遥かに上回っているように思えます。余剰資金の使い道は、国内外の実物投資や金融投資、賃金支払いという従業員への還元、配当や自社株の買入れといった株主への還元の3つの選択肢しかありません。いずれにせよ、このルートのいずれかを通じて、増加した流動性に何らかの変化をもたらさない限り、経済への好影響は生まれません。その意味で、企業経営を取り巻く環境を変え、インセンティブを変えていくことが非常に重要です。物価安定のもとでの持続的成長の実現のためには、金融政策が重要であると同時に、競争力と成長力の強化に向けた取り組みが求められる所以です。 4.今後の取り組みの基本的な方向性そこで、次に、競争力と成長力の強化に向けた基本的な方向性を述べてみたいと思います。

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増大する海外需要の取り込み第1の方向性は、増大する海外需要を海外進出というかたちで取り込んでいくことです。こうした取り組みは、新興国を中心に海外経済がわが国に比べ格段に高い成長を遂げている以上、「空洞化」としてネガティブに捉えることは、適当ではありません。国際分業体制のもと、海外において加工・組立の量産拠点を拡張する一方、国内からの中間品輸出を増やしたり、より収益力の高い研究開発分野を強化していくことは、わが国の実質GDPの底上げに繋がります。また、企業部門に蓄積した余剰資金が、より高いリターンを生む国への投資に向かい、これが利子や配当というかたちで国内に還元されれば、実質GDPの伸びには直接貢献しませんが、実質GNIを伸ばすことはできます。経済のグローバル化が進展する中、国内生産と輸出の組み合わ

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7せだけでなく、対外直接投資や現地生産との組み合わせにも、国全体としてバランスよく取り組んでいくことは不可欠です。実際、日本企業の海外投資は、アジアを中心に増加してきています。また、海外進出の動きは、製造業大企業だけでなく、非製造業や中堅・中小企業にまで広がっています(図表 14)。しかし、それでも、日本の対外直接投資の残高は、他の先進国に比べ低い水準にとどまっています(図表 15)。証券投資と直接投資を合わせた対外投資の収益率という点でも、日本は、収益率の高い直接投資のウェイトが小さいこともあって、米国などに今一歩及ばない状況となっています(図表 16)。この点、新興国、中でもアジアには、交通輸送やエネルギー供給、通信手段といった基幹インフラに対する巨額の潜在的需要が存在しており、アジア開発銀行の調査によれば、その規模は 2010年から 2020年にかけて約8兆ドルにも達すると推計されています(図表 17)。都市の高度化や環境・省エネ対策はもちろん、人手不足や賃金上昇に対応したファクトリー・オートメーション化などを含め、日本が長年培ってきた世界最高峰の技術とノウハウを活かせるビジネス・チャンスが溢れています。

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中間所得層の拡大とともに消費需要が爆発的に増加する中、これまでもっぱら国内市場をターゲットにしていた小売やヘルスケア、教育などの分野でも、広大なアジア市場を相手により大きなビジネス戦略を立てることが可能となってきています。

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高齢化への対応第2の方向性は、急速に進む高齢化への対応です。平均寿命が長いということは、健康という人間の幸福にとって最も重要な条件が高い水準で満たされているということですが、高齢化の進行に合わせて経済や社会の仕組みを見直していかなければ、現在の高い生活水準を維持すること自体が難しくなります。時折誤解されますが、高齢化という人口動態の変化自体が問題を引き起こしているのではありません。真の問題は、そうした変化にわが国の経

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8済や社会の仕組みが十分に追いついていないことです。高齢化の進行は、経済に様々な変化をもたらします。まず、労働力の減尐という経済の供給サイドのルートを通じて、成長率の下押し要因となります。これを跳ね返すためには労働参加率、特に、高齢者と女性の労働参加率を引き上げることが不可欠です3。この点、60 歳から 69 歳までの労働参加率はここ数年で着実に上昇してきました(図表 18)。女性の労働参加率も上昇していますが、まだ他の先進国と比べて低い水準にとどまっています(図表 19)。高齢化の進行は、需要面でも大きな変化をもたらします。その典型例は医療・介護分野です。実際、米国では、2000年以降の 10年間で、65 歳以上の高齢者人口が13%増加し、医療・介護関連の支出は 82%も増加しました。一方、日本の場合、同じ期間に高齢者人口が 29%も増加したにもかかわらず、医療・介護関連の支出の伸びは 17%にとどまっています(図表 20)。この点、日本では、各種の規制や現場の人手不足などから、需要に見合うサービスが十分提供できていないとの指摘が多く聞かれます。財政負担とのバランスを踏まえる必要はありますが、適切な制度設計や規制改革が図られれば、医療・介護サービスや医療機器・設備への潜在需要が開花する可能性が高いと思います。

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同時に、医療・介護分野は、日本企業の海外進出が進む中、国内雇用の有力な受け皿のひとつとなると考えられます(図表21)4。高齢化は住宅市場における需要拡大ももたらします。子育て世代においては、広い住宅に対する潜在需要が強いと考えられますが、都市部を中心に、現状、そうしたニーズは十分に満たされていません。一方で、高齢者は、現役時代に購入した広い住宅に居住しています。実際、日本では、新築住宅と合わせた全流通量に占める中古住宅の割合は 12%に過ぎず、米国の 79%、英国の 86%に比べて遥かに低い水準となっています(図表 22)。今後、住宅市

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3 女性の労働参加率の引上げの重要性については、Chad Steinberg and Masato Nakane(2012) "Can Women Save Japan?", IMF Working Paper 12/248を参照。http://www.imf.org/external/pubs/ft/wp/2012/wp12248.pdf4 米国では、海外生産シフトの加速などにより、1990年以降、製造業の雇用者は約600 万人減尐したが、同時に、ヘルスケア産業の雇用者が600 万人増加した。 9場の整備が進められていけば、ライフ・ステージの変化に応じた潜在的な需要が掘り起こされ、それに伴い家電や生活用品、リフォームといった周辺市場も活発に動き出すはずです。金融面でも変化が期待されます。日本の場合、個人の金融資産は現預金に集中していると指摘されますが、これには個人の資産全体のうち、住宅という価格変動が大きく流動性の低い実物資産の占める割合が高いことを反映している面もあります(図表 23)。個人の資産が現預金以外の金融資産に向かえば、長期的なリスクマネーの供給が増加するというメリットも期待できます。

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資源の円滑な移動促進第3の方向性は、資源の円滑な移動を促進することです。今述べた医療や住宅分野では、需給ギャップというよりも、潜在的な需要と現実の供給がうまく対応していないという点で、需給のミスマッチがより本質的な問題となっています。ここ数年、高齢者向けのパック旅行や健康ビジネスの売上げが急増していますが、これは、企業が人材や資金をそうした事業に振り向け、新たな売れ筊商品の開発に努めたことで、潜在していた需要の掘り起こしに成功したからです。変化は必ず新しいニーズを生み出し、新しい商品やサービスの誕生を促します。需要構造の変化に合わせ、企業内、企業間、産業間、地域間で、労働や資本といった資源を移動させ、最適な配分を実現していくことが不可欠です。一言で言うと、経済成長を実現するためには新陳代謝も重要であるということです。因みに、株式時価総額上位 300 社の設立時期をみると、日本の場合、米国よりも伝統的企業が多いことがわかります(図表 24)。これは、企業自身が自己変革に取り組み、度重なる環境変化をうまく乗り越えてきたことの証左とも言えますし、新しい企業がダイナミックに誕生していないとも言えます。ただし、変化も確実に生じています。例えば、リーマン・ショック以降の株価の動向をみると、最近は相対的に小規模な企業が健闘してい

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10ます(図表25)。ここ数年、大きく落ち込んでいた新規株式公開件数も、徐々に回復傾向にあり、その動きは地方にも拡大しています。このような新しい芽にも大いに期待したいと思います。 5.規制・制度改革、コーポレート・ガバナンス改革、社会の価値観以上、競争力と成長力強化の基本的方向性について述べてきましたが、本来、個々の企業の合理的な行動の結果、そうした方向に経済は向かう筈です。現実にそうなっていないのは、そこに経済的、制度的ないし社会的理由があるからです。そのように考えると、そうした障害を取り除く環境の整備が必要となります。 規制・制度改革第1に必要なことは、変化を目指す企業の取り組みを可能にする政府による環境整備です。特に、企業のチャレンジ可能な領域を広げるための思い切った規制改革や、成長力の高い事業や産業への人材移動をより円滑にする、労働市場の制度整備が不可欠です。同時に、環境変化への対応を過度な社会的ストレスを伴わずに進めていくため、転職サポートやセーフティー・ネットの充実も求められます。

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コーポレート・ガバナンス改革第2に必要なことは、株主や投資家によるコーポレート・ガバナンスが適切に機能することです5。この点でドイツの事例は参考になります。ドイツは2000年代初頭まで構造改革の遅れが指摘され、事実、2000年代前半は低成長を余儀なくされていましたが、そうした中で、柔軟な雇用調整を可能とする 5 コーポレート・ガバナンスの態様を含む各種法制度が企業収益に及ぼす影響等については、木下信行「わが国企業の低収益性等の制度的背景について」IMES ディスカッション・ペーパー・シリーズ2012-J-12、日本銀行金融研究所、2012年を参照。http://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/12-J-12.pdf 11制度整備や投資家に対する情報開示の強化など、企業活動を巡る様々な改革に取り組みました。ドイツとの比較で言えば、日本の場合、特に事業再生や企業買収といった企業法分野の改革が遅れており、これがダイナミックな企業再編を妨げ、産業全体の国際競争力の低下をもたらす可能性が指摘されています。また、こうした状況が、法的整理への脅威や他者からの買収圧力の欠如に繋がり、企業内に過剰な現預金が蓄積される一因になっているとも言われています。

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社会の価値観第3に必要なことは、安定と変化のいずれを優先するのかという社会の選択の問題です。わが国ではこれまで、どちらかと言えば安定重視の価値観が支配的でした。既存の国内市場の中で、消費者ニーズに合わせて、自社の商品を段階的に「改良」していく手法も、安定重視の経営スタイルといえます。しかし、人口が減尐する中で、国内市場に焦点を当てた「改良」だけでは、経済は縮小均衡に陥る惧れがあります。雇用確保の要請に応えながら、同時に熾烈な価格競争を続けていけば、長期的に企業の収益環境はますます厳しくなっていきます。やや大胆に言えば、企業は、過去からの連続である「改良」か、非連続的な「イノベーション」かの選択を迫られています。経済に対するショックが一時的なケースでは、「改良」によって当座の苦境を凌ぎ、長い目でみた安定を優先する意味はあります。しかし、グローバル化や高齢化のような永続的なショックに対し、従来同様の「改良」だけで立ち向かっていては、大きな変化への対応が遅れる可能性があります。改革は、国民の納得や合意なしに進めることはできません。イノベーションを実現していくためには、企業のチャレンジ精神と、それに必要な経営資源の移動や再配分が不可欠です。その過程では摩擦的現象も起きます。

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一概に答えの出る話ではありませんが、環境変化が永続的なものであるとすれば、そうした変化を受け入れ、新しいことへのチャレンジを応援する価値観を社

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12会全体で共有することも、成長力強化に向けた改革を実現する上で非常に重要なポイントです。

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6.物価との関係ここまで競争力と成長力強化に向けた取り組みについてご説明してきました。次に、やや脇道に逸れますが、成長と物価の関係についてお話ししたいと思います。消費者物価の前年比上昇率は、現在はゼロ%近傍となっていますが、2014年度には 0.9%に高まっていくというのが日本銀行の現在の見通しです。これは海外経済の緩やかな回復を前提に、わが国経済も潜在成長率を上回る成長を続け、需給ギャップが解消していくとの見通しに基づくものです。しかし、需給ギャップはピークに比べかなり縮小しており、また需給ギャップに対する物価上昇率の感応度を前提とすると、この先、需給ギャップの解消だけで直ちに2%の物価目標が達成できる訳ではありません。物価上昇率が2%となる経済とは、どのようなイメージの経済で、そこに至る過程では、どのようなメカニズムが作動するのでしょうか。論理的には幾つかのケースが考えられます。第1は、円安や国際商品市況の上昇により、輸入物価が先行的に上昇するケースです。第2は、賃金が上昇するケースです。中長期的には、賃金と物価は密接に関連しています。第3は、予想物価上昇率が高まるケースです。第4は、企業や家計の成長期待が高まるケースです。我々はどのケースを望んでいるのでしょうか。輸入物価が先行的に上昇するケースでは、家計の実質所得は圧迫されます。

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望ましいのは、賃金の上昇、予想物価上昇率の高まり、企業や家計の成長期待の高まりが同時進行的に進んでいくという姿だと思います。ここでのポイントは、賃金と物価の関係です。わが国の物価上昇率が海外に比べて低いひとつの大きな理由は、日本の雇用慣行にも求められます。すなわち、1990年代後半以降、日本の社会は、

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13雇用確保を優先し、主として賃金の引き下げによってコスト削減を図ってきましたが、物価は、その反射効果として下落しました(図表 26)。因みに、景気回復期における企業収益や賃金、物価のパターンをみると、高度成長期には、3者が同じ方向に動きました(図表 27)。現在は、労働分配率は景気後退期には高まり、回復期には低下するかたちで、企業収益がバッファーとなっており、回復期において、賃金も物価もあまり変化していません。この根本的な原因は、企業の収益力が低下していることであり、さらに遡れば潜在成長率が低下していることです。この点、中長期的な予想物価上昇率と潜在成長率の関係を見ますと、わが国の場合、明確なプラスの相関関係が観察されます(図表 28)。今後、企業や家計の成長期待が回復していけば、賃金や物価にも持続的な好影響が及んでいきます。こうしたことを通じて、長年に亘って定着した「デフレ期待」が払拭されていくと考えられます。

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7.改革に必要な意識ところで、競争力と成長力強化に向けた取り組みの必要性にしても、また、それがデフレ克服と物価安定のもとでの持続的成長という課題の達成に不可欠であることも、一般論としては認識されていると思います。それにもかかわらず、そうした取り組みがなかなか進まないのは何故でしょうか。この点で鍵を握るのは、改革の必要性に対する切迫した意識だと思います。現在日本経済が直面している急速な高齢化やそれに伴う問題は決して一時的なものではありません。その影響は慢性症状のようなかたちで着実に日本経済に及んでいます。財政悪化はそうした問題の典型例です。財政の持続可能性を維持するためには、成長力を高めるとともに、歳出・歳入構造を見直していく必要があります。成長率が高まらない限り、物価上昇率だけが多尐高まったとしても、財政バランスはほとんど改善しません。しかし、わが国では、このような慢性症状はあっても、急性症状は発生していません。その大きな理由は、長年続いた経常黒字を反映し、巨額の対外純資産を有していることで

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14す。このため、世界的な経済ショックが起きた場合でも、安全資産を求める海外からの資金流入により、長期金利は安定し、為替相場も円高が進行するなど、危機によって円が急激に売られるという事態は経験していません。この点に関連して、最近の金融市場の動きにも一言触れたいと思います。過去数年間のグローバル金融市場の動きを表すキーワードは、リスク・オン、リスク・オフでした。先行きに対する不確実性が非常に大きい時にはリスクを外す、つまりリスク・オフとなり、不確実性が小さくなったと判断する時にはリスクをとる、つまりリスク・オンとなります(図表 29)。昨年夏までの円高の基本的な背景は、欧州債務問題が深刻化するもとでの投資家の安全資産選好でした。実際、円の名目実効為替レートが最近において最も円高の水準となったのも、スペインやイタリアの国債金利が最も上昇したのも、いずれも昨年7月下旬のことでした。その後、欧州で欧州債務問題に対する様々な「安全弁」が整備されたことや、米国において「財政の崖」が回避されたことを背景に、グローバル投資家のリスク回避姿勢は大きく後退しています。わが国における最近の円安や株高も、大きく捉えると、こうしたグローバル投資家のリスク回避姿勢の変化の中で生じています。逆に言うと、投資家のリスク回避姿勢が変化すれば市場の状況も変化します。

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このことは、10年近くにわたって、ユーロ加盟国の国債金利がほぼ同じ状況が続いたという事実を思い起こすことで容易に理解頂けると思います。最終的に市場の状況を決めるのはファンダメンタルズです。わが国でも過去 15年近くの間にも何度かの円安局面があり、その局面では輸出や生産は増加しましたが、残念ながら、潜在成長率の引き上げに成功した訳ではありませんでした(図表 30、31)。重要なことは、現在の好環境を活かして、競争力と成長力強化に向けてしっかりと取り組むことです。

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8. 日本銀行の金融政策運営最後に、日本銀行による最近の金融政策運営についてお話しします。冒頭

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15で述べたように、日本銀行は先月の金融政策決定会合において、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取り組みの進展に伴い、持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていくという認識に立った上で、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率で2%とすることを決定し、発表しました。日本銀行の金融政策の運営理念は、日本銀行法に規定されているとおり、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」ことです。言い換えると、日本銀行は経済が持続的にバランス良く成長するようなかたちでの物価安定を目指しており、こうした金融政策の運営理念のもと、物価目標をできるだけ早期に実現するよう、強力な金融緩和を推進することとしています。本年中も、「資産買入等の基金」を通じて、国債を中心に新たに 36 兆円程度の金融資産を買い入れます。さらに、来年以降も、期限を定めず、長期国債2兆円を含め、毎月13 兆円程度の資産の買入れを続けていくことを決めています。これは、「物価安定の目標」の実現を目指し、手綱を緩めることなく、強力な金融緩和を推進していくことを約束するものです。デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的成長の実現のため、適切な金融緩和政策と並んで、以下の理由から、政府の取り組みも重要です。

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第1の理由は、政府の競争力、成長力強化の取り組みが進展すれば、緩和的な金融環境がより広範に活用されることになり、金融緩和の効果はさらに大きくなるからです。現状では、日本銀行の供給する通貨、流動性は著しく増加していますが、それに見合うかたちで物価が反応している訳ではありません(図表 32)6。民間金融機関も貸出というより、国債保有を増加させている状況です(図表 33)。この点、政府は大胆な規制・制度改革を始めとする思い切った政策を総動員し、経済構造の変革を図ることを明らかにしてい

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6 この点について、FRBのバーナンキ議長は、2012年12月12日の記者会見において"There's no effect on inflation expectations from the size of our balance sheet."と述べている。詳しくは FRB, "Transcript of Chairman Bernanke's Press ConferenceDecember 12, 2012"を参照。http://www.federalreserve.gov/mediacenter/files/FOMCpresconf20121212.pdf

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16ます。日本銀行としては、そうした取り組みが強力に進められることを期待しています。この間、日本銀行自身も、企業や金融機関の前向きな活動を金融面から後押しするため、「貸出支援基金」を設けています7。先程の「資産買入等の基金」と合わせ、この2年間で新たに 60 兆円超の資金供給を行う予定であり、その残高は、名目GDPの約3割に相当する 130 兆円を上回る見込みです(図表 34)。中央銀行の金融緩和は、言わば明日の需要を今日に前倒しすることによって現在の景気を刺激する効果を持ちますが、その明日になると、明後日の需要をさらに前倒ししない限り、効果が減衰します。いずれにせよ、前倒しする需要の大きさ自体は、先行きの潜在成長力に規定されます。それだけに、潜在成長率自体を引き上げる努力が不可欠です。こうした日本銀行の金融面での取り組みと、政府による成長力強化に向けた取り組みがプラスの好循環、相乗作用をもたらすことになれば、その政策効果は大きくなると考えています。第2の理由は、強力な金融緩和を推進していくためには、財政運営に対する信認確保が欠かせないことです。日本銀行は、強力な金融緩和の一環として多額の国債買入れを行っていますが、財政が厳しい状況にあるだけに、国債の買入れが内外の市場で、「財政ファイナンス」と受け取られると、それが原因となって長期金利が上昇するおそれがあります。

§38

特に、成長力強化の取り組みが進展せず、日本銀行の国債保有だけが増加する場合、そうしたリスクは高まります。そうなれば、金融緩和効果が低下するだけでなく、多額の国債を保有する金融機関の経営を通じて実体経済に悪影響を与えます8。その意味で、政府にも日本銀行にも規律、ディシプリンが求められます。日本銀

§39

7日本銀行は、2010年6月に導入した「成長基盤強化を支援するための資金供給」と2012年10月に導入した「貸出増加を支援するための資金供給」を統合し、「貸出支援基金」を設置した。8 財政の持続可能性と金融システムや物価の安定との関係については、白川方明「財政の持続可能性の重要性」、フランス銀行「Financial Stability Review」公表イベントにおける講演の邦訳、2012年4月21日を参照。http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/data/ko120422b.pdf 17行の規律を規定するのは、物価の安定と金融システムの安定を通じて持続的な成長に貢献するという中央銀行に課せられた目的です。政府に求められるのは財政規律です。この点、政府は「財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に推進する」方針を明確にしています。一旦信認が低下し経済が混乱してしまうと、その時点では、中央銀行の採り得る政策の余地は限られてきます。エコノミストはそのような状態をフィスカル・ドミナンスという言葉で表現していますが、そうした事態を未然に防ぐためには、財政改革に取り組み、中長期的な財政規律を維持することが重要です。

§40

9. おわりに現在、わが国の経済運営を巡って活発な議論が行われていますが、私としては、「デフレ克服」というしばしば用いられる言葉で我々が本当に実現したいことは何であるのか、そのために我々は何をなすべきかという問題を真剣に議論する必要があると思います。現在は、そのための格好のチャンスだと思っています。その上で、行動が必要です。日本銀行は、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的成長の実現に向けて全力を挙げていきます。中央銀行の仕事は経済の持続的な成長を支える安定的な経済・金融環境をしっかりと整えることです9。その際、先行きの経済・物価見通しと持続的成長を脅かすリスク要因を丹念に点検していくことは言うまでもありません。やや長い目でみた場合の政策の効果やコストを説明していくことも独立した中央銀行には当然求められることです。それがアカウンタビリティーの意味することだと思います。2000年代半ばの世界的な信用バブルの経験が示すように、ひとつの問題への対応に全力を挙げている時に、新たな問題や予想外の危機の種が蒔かれて 9 この点については、白川方明「中央銀行の役割、使命、挑戦」、日本記者クラブにおける講演、2013年1月25日を参照。http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko130125a.pdf

§41

18いたという例には事欠きません。改めて、歴史に学ぶ謙虚さや中長期的な視野に立った安定の重要性を意識させられます。日本銀行としては様々なご意見に耳を傾けた上で、デフレからの早期脱却と物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現のために、自らの責任と判断において適切な政策運営に努めて参りますので、ご協力をお願いします。 本日はご清聴ありがとうございました。 以上 日本経済の競争力と成長力の強化に向けて日本経済の競争力と成長力の強化に向けて―日本経済団体連合会常任幹事会における講演―2013年2月28日2013年2月28日日本銀行総裁白川方明構成構成1.はじめに2.経済政策の目的3 競争力と成長力強化の必要性3.競争力と成長力強化の必要性4.今後の取り組みの基本的な方向性規制制度改革ポガバ改革社会値観5.規制・制度改革、コーポレート・ガバナンス改革、社会の価値観6.物価との関係7.改革に必要な意識8日本銀行の金融政策運営8.日本銀行の金融政策運営9.おわりに

§42

図表1競争力と成長力の強化に向けた取組みが進展するとの認識に立った上で、日本銀行は2%の「物価安定の目標を導入日本銀行は2%の「物価安定の目標」を導入「物価安定の目標」の導入(2013年1月)● 日本銀行は、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取組の進展に伴い持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率が高まっていくと認識しているこの認識に立って日本銀行は物価安定のまっていくと認識している。この認識に立って、日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする。● 日本銀行は、上記の物価安定の目標の下、金融緩和を推進し、これをできるだけ早期に実現することを目指す。その際、日本銀行は、金融政策の効果波及には相応の時間を要することを踏まえ、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないかどうかを確認していく問題が生じていないかどうかを確認していく。1実質GDPの水準を持続可能なかたちで高めることがマクロ経済政策の重要な目標図表2日本の実質GDP135(1990年=100)13012012511011510511095100 実質GDP 人口一人当たり実質GDP 生産年齢人口一人当たり実質GDP2(注)1. 生産年齢人口は15~64歳の人口。

§43

(注)2. 2012年の人口、生産年齢人口は2011年の同じ伸び率として試算。(資料)内閣府、World Bank9091929394959697989900010203040506070809101112年

§44

人口減少の影響を調整すると、リーマン・ショック後の日本の実質GDPのイメージは異なってくる図表3実質GDP 人口一人当たり実質GDP生産年齢人口一人当たり実質GDP106(2007年=100)106(2007年=100)106(2007年=100)1041061041061041061001021001021001029698969896989294929492949092日本米国ユー英国9092日本米国ユー英国9092日本米国ユー英国3(注) 2007年を100とした場合の2012年4Qの値。2012年の人口、生産年齢人口は2011年と同じ伸びとして試算。生産年齢人口は15~64歳の人口。

§45

(資料)内閣府、BEA、ONS、Eurostat、World Bank本国ーロ圏国本国ーロ圏国本国ーロ圏国日本の対外投資収益は増加している図表4対外投資残高と所得収支所得収支の内訳(兆円)(兆円)(兆円)25600700外貨準備高その他投資残高証券投資残高直接投資残高(兆円)(兆円)所得収支グロス受取(右目盛)25その他証券投資収益(兆円)20500直接投資残高所得収支(右目盛)1520 直接投資収益所得収支所得収支グ10153004001015 グロス受取510200510050100054(資料)日本銀行0000010203040506070809101112年000010203040506070809101112年

§46

日本の交易条件は悪化傾向にある図表5交易条件の変化170(2000年=100)150160170輸出物価輸入物価130140 交易条件(輸出物価/輸入物価)10011012080901006070805(注)輸出入物価は、GDPデフレータベース。(資料)内閣府00010203040506070809101112年実質GNIは対外投資収益と交易利得の動向に依存図表6115450500(実質、2000年=100)(実質、2000年=100)2012/4Q(2000年=100)①GDP 109110300350400①GDP:109②GDP+海外純所得:111③GDP+海外純所得+交易利得:105 ①② 海外純所得交易105200250300③交易利得100501001509505000010203040506070809101112年海外からの所得受取-海外への所得支払(海外純所得、左目盛)①GDP(右目盛)②GDP+海外からの所得受取-海外への所得支払(右目盛)③GDP+海外からの所得受取-海外への所得支払+交易利得(GNI、右目盛)6(注)交易利得とは「交易条件(輸出価格/輸入価格)の変化に伴う実質所得(購買力)の変化」を捉えたもの。例えば、資源価格上昇によって輸入価格が輸出価格対比上昇した時には、交易条件は悪化し、交易利得は減少する。

§47

具体的には「交易利得=名目純輸出/輸出・輸入デフレーターの加重平均-実質純輸出」と定義される。(資料)内閣府

§48

図表7景気が改善し需給が逼迫することによって、物価は上昇し、その逆ではない消費者物価と需給ギャップの時差相関104 (前年比、%)(%) 1.0(時差相関係数)68230.80.9024012050.60.7-4-20-10030.40.5需給ギャップ先行消費者物価先行-8-64-3-2消費者物価(総合除く生鮮食品、左目盛)需給ギャップ(右目盛) 0.10.20.3-10-48587899193959799010305070911需給ギャッ(目盛)年0.0- 10 - 8- 6- 4- 20246四半期7(注)1. 消費者物価は、消費税の導入(1989年、3%)とその引き上げ(1997年、3%→5%)の影響を調整している。(注)2. 需給ギャップは日本銀行調査統計局の試算値。(注)3. シャドー部分は景気後退局面。(注)4. 時差相関係数は、1990年1Q以降のデータを基準に試算。

§49

(資料)総務省、内閣府等多くの国民は単に物価だけが上がることを望んでいる訳ではない図表8物価対する家計受め方80%100%物価上昇に対する家計の受け止め方40%60%0%20%04/6月050607080910111204/6月0506070809101112どちらかと言えば、好ましいことだどちらとも言えないどちらかと言えば、困ったことだ男女別年齢階層別職業別84.0 男性85.587.140・50歳代20・30歳代86386.279.2臨時日雇常雇農林漁・自営・自由業85.80% 20% 40% 60% 80% 100%女性83.30% 20% 40% 60% 80% 100%60歳以上歳代85.086.30% 20% 40% 60% 80% 100%その他臨時・日雇0% 20% 40% 60% 80% 100% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0% 20% 40% 60% 80% 100%8(注)1. 3月、6月、9月、12月調査(2005年の6月は調査なし)。2006年6月調査までは訪問留置法、2006年9月調査からは郵送調査法。(注)2. 男女別、年齢階層別、職業別は2012年12月調査の個別データを用いて新たに集計したもの。(注)3. 職業別のその他は、主婦、学生、無職など。(資料)日本銀行

§50

所得分配の状況に対する問題意識も高まっている図表9米国家計の平均所得と中位所得125(2002年=100)120115120平均所得中位所得110105110中位所得951008590758085868788899091929394959697989900010203040506079(注)1. 中位所得(Median Income)とは、所得の高低で並べて丁度中間に位置する家計の所得。2. 所得は、物価の変動や政府からの移転所得、税金を調整している。

§51

(資料)米国議会予算局「Trends in the Distribution of Household Income Between 1979 and 2007」8586878889909192939495969798990001020304050607年労働力人口の減少は日本経済にとって強い「逆風」となっている図表106(年平均変化率、寄与度、%)45 付加価値生産性(就業者1人当たりの実質GDP)変化率就業者数変化率23実質GDP成長率試算値+0.9%+0.8%12+0.5% -0.2%-0.6% -08%-10-0.8%-1.2%-21970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代 2030年代10(注)2013年以降の就業者数変化率は、将来人口の推計値(出生中位、死亡中位のケース)と労働力率の見通し(各年齢層・各性別の労働力率が2012年の値で横ばいで推移と仮定したもの)から試算した労働力人口の年平均変化率。(資料)内閣府、総務省、国立社会保障・人口問題研究所

§52

日本の付加価値生産性の伸びは他の先進国と遜色ない図表11生産性の伸び率(2000年以降の平均)2.0(前年比、%)1.5 G7の2000年以降の平均:0.9%1.00.50.0-0.5日本米国ドイツ英国ランスイタリアカナダ G(注)1. 就業者1人当たり付加価値生産性=GDP/就業者。2. G7の生産性変化率は、7か国の伸び率の単純平均値。(資料)OECD 11日本米国ドイツ英国フランスイタリアカナダ G7企業部門の貯蓄超過は今や先進国に共通する現象図表12企業部門の貯蓄超過12 (対名目GDP比率、%)810日:4.6%米:41%英:6.1%46米:4.1%独:1.1%02-4-2-8-6日本米国英国ドイツ12(注)企業部門は、国内部門から一般政府と家計の2部門を控除することにより算出。(資料)内閣府、BEA、Eurostat、ONS89596979899000102030405060708091011年

§53

企業の手元資金は増加。国内投資には慎重。図表13総資産利益率設備投資/キャシフロ比率総資産利益率(ROA)現預金保有額設備投資/キャッシュフロー比率企業貯蓄/純営業余剰1001.5設備投資(倍)(%) 45210企業の現預金保有額(兆円)(%)12日本米国(%)708090121.31.4 設備投資/キャッシュフロー比率企業貯蓄/純営業余剰(右目盛)40200企業の現預金保有額東証上場企業における実質無借金企業の割合(右目盛)10日本米国ドイツフランス5060701.01.11.230351801906830400.80.925170401020050.60.7152015016002(注)1. 各国のROAは、日本はTOPIX、米国はS&P500、ドイツはDAX、フランスはCAC40の構成銘柄(金融を除く)のROAを、時価総額で加重平均して算出。2. 中央図および右図は、金融・保険業を除く全産業ベース。00.59095000510年度1515095000510年末02000年20052010133. 企業貯蓄/純営業余剰について、2000年以前は2000年基準の計数。4. キャッシュフロー=減価償却費+経常利益/2。5. 右図の東証上場企業とは、東証1部・2部上場かつ3月期決算企業のうち、1995年度から連続してデータ取得可能な1,260社(除く金融機関)。

§54

実質無借金企業とは、保有する現預金及び現金同等物が有利子負債を上回る企業。現金同等物とは、CP、CD、公社債投信などの短期資産を指す。(資料)Bloomberg、財務省、内閣府海外進出の動きは中堅・中小企業にも拡大図表14海外現地法人数海外従業員数6000400 (千人)(千人)303.0中小企業中堅企業(千社)(千社)5250350252.5大企業(右目盛)4500300202.03750250 中小企業中堅企業151.5300020006年度 07080910大企業(右目盛)101.006年度 0708091014(資料)経済産業省

§55

日本の対外直接投資残高は他の先進国に比べ小さい図表15対外直接投資・証券投資残高地域別にみた日本の対外直接投資収益率12(兆ドル、2011年末)(%)81012証券投資直接投資 1518()中国アジア(除く中国)全世界北米46812北米EU0249(対名目GDP比率、%)0 米国英国日本ドイツフランスイタリアカナダ6証券投資 421335767855918直接投資 36701746513631合計 782037411313695490315(注)対外直接投資収益率は、直接投資収益の受取を前年末の直接投資残高で除して算出。(資料)OECD、IMF、日本銀行060708091011年日本の対外投資収益率は米国よりも幾分低い図表16対外投資収益率(直接投資+証券投資)うち直接投資収益率うち証券投資収益率(直接投資+証券投資)12 (%) 12(%)12(%)8108108106662424240 米国カナ日本英国ドイフライタ0 英国米国カナ日本ドイイタフラ0日本カナフラドイ米国イタ英国16(注)2011年の値。投資収益の受取を前年末の投資残高で除して算出。(資料)IMF国ナダ本国イツランスタリア国国ナダ本イツタリアランス本ナダランスイツ国タリア国

§56

アジアには基幹インフラに対する巨額の潜在的需要が存在図表17受注実績シェア(2011年)アジアのインフラ投資需要5 (兆ドル)日本企業9%韓国企業そ他45総額:約8.0兆ドル4%その他9%米国・カナダ企業3更新需要新規需要運輸の内訳中国企業20%カナタ企業13%2欧州企業145%0 エネル(電運輸通信水道道路港湾鉄道空港17(注)投資需要は、2010~2020年の合計額(推計値)。集計対象は、アジア太平洋地域の30の国・地域。(資料)経済産業省、Asian Development Bankルギー電力)・衛生高齢者の労働参加率は近年上昇図表18高齢者の労働力率60歳の平均余命6065(%)2830(年)5560242628女性男性455060~64歳65~69歳20222435401820303520052006200720082009201020112012年141619606570758085909520000510年18(資料)総務省、厚生労働省年年

§57

図表19女性の労働参加率は他の先進国よりも依然低い水準女性の労働力率カーブ(2010年)(%)90100(%)70805060スウェーデンドイツ3040 英国米国日本102019(資料)総務省、OECD015~歳 20~ 25~ 30~ 35~ 40~ 45~ 50~ 55~ 60~ 65~図表20高齢化のスピードに比べて日本の医療・介護関連支出の伸びは低い高齢化と医療・介護関連支出の伸び日本ドイツ米国フランス英国日本ドイツ米国フランス英国65歳以上人口(2000年→09年の伸び率) 29% 24% 13% 9% 9%医療・介護支出等(2000年→09年の伸び率) 17% 31% 82% 98% 49%20(資料)United Nations、OECD

§58

医療・福祉分野を含めサービス業による雇用が増加している図表2145506500(万人)(万人) 8504550(万人)(万人)サービス業の就業者数医療・福祉産業の就業者数4500455064506500800850450045504400445063506400700750440044504300435062506300600650430043504250430062006250全産業サービス業55060042504300サービス業4150420061006150サービス業(右目盛)45050041504200 うち医療・福祉(右目盛)0203040506070809101112年0203040506070809101112年21(注)「サービス業」は、全ての産業から製造業、農林水産業、鉱業関連、建設業を除いたもの。(資料)総務省日本の中古住宅市場は他国に比べて小規模図表22700 (万戸)600中古住宅流通戸数502.2(78.8%)400500 中古住宅流通戸数新築住宅着工戸数502.2(78.8%)30015.1(12.4%)1379(855%)100200106.1(87.6%) 135.5(21.2%)23.4(14.5%)137.9(85.5%)0100本米国英国22(注)1. 2007年の値。()は構成比。

§59

2. イギリスは住宅流通戸数から新築住宅戸数を引いたものを中古住宅流通戸数とした。(資料)国土交通省、米センサス局、英コミュニティ・地方政府省日本米国英国

§60

日本では個人資産のうち住宅の占める割合が高い図表23個人資産の構成比73.5日本27.2米国66.6欧州0102030405060708090100現金・預金債券投資信託株式・出資金保険・年金準備金その他の金融資産(%)(注) 2010年末における家計の保有する資産の構成比率。(資料)総務省、FRB、Eurostat 23株式出資金保険年金準備金その他の金融資産不動産米国に比べ、日本の時価総額上位企業は伝統的企業が多い図表24時価総額上位300社の設立年70(社)604050 米国日本30402001024(注)集計対象は、2012年末時点の時価総額上位300社。ただし、日本の2000年以降は持株会社の設立を除く。(出所)トムソン・ロイター~ 1880901900102030405060708090200010年代

§61

リーマン・ショック以降の株価をみると相対的に小規模な企業が健闘図表25株式時価総額の規模別パフォーマンス時価総額減少企業時価総額増加企業29.470.6500億円以上(762社)50億円以上(762社)44.955.150億円以上500億円未満(1,440社)58.741.350億円未満(1153社)0102030405060708090100(1,153社)(%)(注)1. 2008年8月末の日本国内全株式市場上場銘柄のうち、2013年1月末まで上場を継続している企業を対象に、当該期間中の時価総額の変化を比較。(注)2. 企業の規模は2008年8月末の時価総額を基に区分。 25日本では雇用確保を優先し、賃金引下げによってコストを削減図表26時間当たり賃金失業率8 (前年比、%)12 (%)6日本米国1012日本米国482604-4-20226(資料)内閣府、総務省、BLS48587899193959799010305070911年08587899193959799010305070911年

§62

前回景気拡大期の山からの収益賃金物価動向図表27最近は企業の収益力が低下する中、賃金、物価は余り変化していない前回景気拡大期の山からの収益・賃金・物価動向1986/4Q~90/4Q1971/4Q~73/3Q200 (前回景気拡大期の山=100) 200賃金(前回景気拡大期の山=100)140160180 賃金物価企業収益 140160180 賃金物価企業収益80100120-15 -12 -9 -6 -30369121580100120-12 -9 -6 -303691215182002/1Q~07/4Q 2009/1Q~151296303691215四半期谷:71/4Q山:70/3Q129630369121518四半期谷:86/4Q山:85/2Q180(前回景気拡大期の山=100)140(前回景気拡大期の山=100)120140160 賃金物価企業収益80100120賃金608010050510152025204060賃金物価企業収益27(注)賃金は、毎勤・全産業30人以上の時間当たり現金給与。物価は、CPI総合。企業収益は、法人季報・全産業全規模の営業利益。

§63

(資料)厚生労働省、総務省、財務省、内閣府-50510152025四半期四半期四半期山:00/4Q 谷:02/1Q- 12 - 9- 6- 30369121518四半期谷:09/1Q山:08/1Q日本の予想物価上昇率と潜在成長率には明確な正の相関関係図表28日本米国534 (前年比、%)(前年比、%)334人口一人当たり潜在成長率(左目盛)(前年比、%)(前年比、%)341232123 中長期的な予想物価上昇率(6~10年先、右目盛)12-1001-10154 (前年比、%)(前年比、%)54 (前年比、%)(前年比、%)英国ユーロ圏90年929496980002040608101290年9294969800020406081012423423230123011-190年92949698000204060810121-190年9294969800020406081012(資料)内閣府、コンセンサス・フォーキャスト、CBO、OECD等 28

§64

グローバルな投資家のリスク回避姿勢の動向が金融市場の動きを大きく左右図表29株価長期国債金利対独プド株価(%)2011年初 2012/7/24 直近1.85.43.4イタリア2011年初 2012/7/24 直近10,398.18,488.111,254.0日本(日経平均) 184% +326%長期国債金利の対独スプレッド1.85.43.42.56.43.9イタリアスペイン+3.6 -1.9+3.9 -2.511,670.812,617.313,900.12,839.42,151.52,570.5日本(日経平均)米国(ダウ)ユロ (EuroSTOXX)-18.4% +32.6%+8.1% +10.2%9.626.89.7ギリシャ +17.2 -17.1100.085.395.4ユーロ(EuroSTOXX)新興国-24.2% +19.5%-14.7% +11.9%ファンド資金フロー0.8 (%)名目実効為替レート(%、プラスが通貨高、マイナスが通貨安)2011/1月→2012/7月2012/7月→2013/1月0.00.4 円+ 6.3 - 13.9ドル+ 3.2 - 2.612-0.8-0.4新興国株式先進国株式ユーロ- 4.8 + 5.4英国ポンド+ 4.4 - 2.3韓国ウォン 12 +6529(注)1. 新興国の株価は、MSCI新興国株価指数。2011年初を100としている。

§65

2. ファンド資金フローは、新興国株式・先進国株式ファンドへのネットフローを、それぞれのファンドの総資産で除した値。(資料)Bloomberg、EPFR Global、BIS-1.2111213年韓国ウォン- 1.2 + 6.52000年代半ばの円安局面において輸出や生産は増加図表30110120120140実質輸出(左目盛)鉱工業生産(右目盛)(季調済、2005年=100)(季調済、2005年=100)809010080100607040609091929394959697989900010203040506070809101112年年60 (2005年=100、逆目盛)円安80100円安円高120140160名目実効為替レート実質実効為替レート30(資料)経済産業省、日本銀行、BIS160909192939495969798990001020304050607080910111213年

§66

中長期的な成長率は上昇していない図表31為替レート・輸出・実質GDP成長率606(前年比、%)(2000年=100、逆目盛)円安70804円安円高 80902円高10011020120-4-2 実質GDP(うち純輸出)実質GDP(うち国内需要)名目実効為替レート(右目盛)実質実効為替レト(右目盛) 130140-600010203040506070809101112実質実効為替レート(右目盛)31(注)名目実効為替レートとは、複数の名目為替レートを貿易ウエイトで加重平均することにより、各国通貨の総合的な価値を計測したもの。実質実効為替レートとは、各々の名目為替レートについて二国間の物価上昇率の違いを調整したうえで(実質為替レートを算出)、複数の実質為替レートを貿易ウエイトで加重平均することにより、一国の総合的な対外競争力を計測したもの。

§67

(資料)内閣府、BIS00010203040506070809101112年マネーは増加している図表32200140実質GDP消費者物価(2000年=100)(2000年=100)マネーと物価の関係150175120130 マネーストック貸出残高マネタリーベース(右目盛)12511075100901000001020304050607080910111200010203040506070809101112年12消費者物価指数・総合(除く生鮮食品)(前年比、%)-101 消費者物価指数・総合(除く生鮮食品)32(資料)内閣府、総務省、日本銀行-200010203040506070809101112年

§68

日本銀行は多額の国債買入れにより資金を供給、民間金融機関は貸出よりも国債保有を増加させている図表33預金取扱機関・資産日本銀行資産負債・純資産(兆円)(兆円)(兆円)1,4001,600(兆円)140160(兆円)140160(兆円)1,0001,2001001201001206008006080608040060040604060020098年末 07年末 12/9月末02098年末 07年末 12/9月末02098年末 07年末 12/9月末33(資料)日本銀行98年末 07年末 12/9月末貸出国債日銀当座預金その他98年末 07年末 12/9月末銀行券当座預金その他98年末 07年末 12/9月末国債その他日本銀行は今後2年間に新たに60兆円超の資金供給を行う予定図表34「資産買入等の基金」と「貸出支援基金」の積み上げ状況140 (兆円)110120130貸出支援基金(予定)貸出支援基金(実績)8090100 資産買入等の基金(予定)資産買入等の基金(実績)物価安定の目標の実現を目指し、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置を607080 金融資産の買入れ等の措置を、それぞれ必要と判断される時点まで継続する304050当分の間、毎月、長期国債2兆円程度を含む兆程度01020 含む13兆円程度の買入れを行う3402010年2011年2012年2013年2014年