【挨拶】「わが国の経済・物価情勢と金融政策」(山口県金融経済懇談会)
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日本銀行政策委員会審議委員石田浩二わが国の経済・物価情勢と金融政策 ── 山口県金融経済懇談会における挨拶要旨 ──日本銀行 2014年7月29日
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1Ⅰ.はじめに日本銀行の石田でございます。本日は、山口県の行政および経済界を代表される皆様に、ご多忙のところお集まりいただきありがとうございます。また、皆様には、日頃より、日本銀行下関支店の業務運営に多大なご協力をいただき、この場をお借りして御礼申し上げます。この金融経済懇談会は、日本銀行の政策委員が各地を訪問し、金融経済情勢や金融政策についてご説明申し上げるとともに、各地の経済・金融の現状や日本銀行の政策に対するご意見などを拝聴させていただく機会として開催しております。本日は、まず私の方から、経済・物価情勢と日本銀行の金融政策についてお話させていただき、その後、皆様から当地の実情に即したお話やご意見などを拝聴させていただきたいと思っております。Ⅱ.経済・物価情勢1.海外経済の動向最初に、経済・物価情勢についてお話します。まず、海外経済については、「一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している」とみています。わが国の通関輸出ウエイトで加重平均した主要国・地域合計の実質成長率をみると、昨年後半まで4%を上回る成長を続けていましたが、今年の1~3月には1%台まで大幅に減速しました(図表1)。
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4~6月の成長率については、明日夜に米国が発表されるほか、今後順次明らかになっていくと思いますが、4月以降の経済指標は米国など先進国を中心に改善しているものが多く、また、その好影響が新興国の一部にも輸出チャネルなどを通じて波及している様子も窺われることから、全体としてみれば成長率は緩やかに高まっているとみています。以下、国・地域ごとに尐し詳しくみていきたいと思います。
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2まず、米国ですが、1~3月は寒波の影響などにより3年振りのマイナス成長となりましたが、その後は雇用情勢が着実に改善するなど、多くの指標でリバウンドがみられます(図表2)。米国経済については、労働市場に残されたスラックの大きさなど不確実性もありますが、先行きは民間需要を中心に回復のペースは徐々に高まっていくとみています。欧州については、これまで4四半期連続のプラス成長を続けており、緩やかに回復しているとみています。欧州債務問題に根差した混乱が収束に向かうもとで、金融資本市場は安定的に推移しており、個人消費や企業の生産活動は緩やかに回復しています(図表3)。当面は、 ECBが先月打ち出したマイナス金利の導入を含む追加金融緩和策の効果や、ウクライナ・ロシア情勢に注目していきたいと考えています。中国については、今月発表された4~6月の成長率は前年比 7.5%となり、安定した成長を続けています(図表4)。当局が構造改革を進める過程で、不動産市場の減速など経済に下押し圧力がかかっていますが、その一方で、今春以降続く当局による景気下支え策の効果が及んできていることなどから、年初以降みられていた成長モメンタムの鈍化には、歯止めがかかっています。先行きも、僅かに成長ペースを鈍化させながらも、安定した成長を続けるとみています。
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新興国・資源国については、わが国の主要な輸出先でもあるASEANを中心に、成長の勢いを欠いた状態が続いています。もっとも、先進国における景気回復の好影響がいくつかの新興国経済にも及んできているほか、金融資本市場が全体として落ち着くもとで、アジア諸国の一部では内需にも持ち直しの動きがみられています。引き続き不確実性が高い状態が続いていますが、こうした動きが続けば、徐々に改善の方向性がみえてくるものと思われます。今月発表されたIMFの世界経済見通しをみると、今年の世界経済全体の成長率は1~3月減速の影響で幾分下方修正されていますが、2015年にかけて成長率が高まっていく姿は変わっていません(図表5)。日本銀行としても、先行きの世界経済については、中国が成長率を僅かに切り下げながら
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3も安定成長を続けるなかで、先進国の堅調な景気回復が新興国にも徐々に波及していくことなどから、緩やかに成長率を高めていくとみています。2.わが国の経済・物価情勢(1)現状(実体経済)次に、わが国の経済・物価情勢についてお話します。景気の現状については、「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている」と判断しています。4月以降の個人消費の動向をみると、駆け込み需要の反動がみられていますが、企業などでは概ね事前の想定内との受け止め方が多く、マインド面でも、このところ弱めの動きとなっていた消費者態度指数は2か月連続で改善しています。もっとも、住宅着工や自動車販売の一部で調整がやや長引く懸念があることや、実質賃金の減尐が消費全体にじわじわと影響してくる可能性もあることから、これからも各種指標を引き続き注視していく必要があると考えています(図表6)。設備投資については、機械投資の一部指標に1~3月の大幅増の反動がみられていますが、今月初に発表された短観の設備投資計画はしっかりとしており、企業の前向きな姿勢は維持されています。基調としては緩やかな増加を続けているとみています。この間、輸出については、引き続き横ばい圏内の動きとなっており、依然として勢いに欠ける状態が続いています(図表7)。
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背景としては、第1四半期の米国の成長率がマイナスとなったことや、わが国経済と結び付きが強いASEANなどの新興国経済のもたつきが大きく影響していますが、現地調達の拡大を伴う海外生産移管の進展などの構造的な要因も効いている可能性が高いとみています。来月に発表予定の4~6月の成長率は、駆け込み需要の反動の影響などから相応のマイナスになるとみていますが、景気の前向きな循環メカニズムは
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4雇用・所得環境の明確な改善を伴いながらしっかりと作用し続けており、わが国の経済は、基調的には緩やかな回復を続けているとみています。(物価動向)物価面では、生鮮食品を除く消費者物価、いわゆるコア指数の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、直近6月は+1.3%となりました(図表8)。このところ、エネルギー関連の押し上げ効果の減衰と、それ以外の品目の改善効果が概ね相殺されるかたちで、1%台前半で推移しています。(2)先行きの見通しわが国経済の先行きについては、国内需要が堅調さを維持するなかで、輸出も緩やかに増加していくと見込まれ、生産・所得・支出の好循環は持続すると考えられます。このため、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響も次第に和らいでいくとみられます。また、消費者物価の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移したあと、本年度後半から再び上昇傾向をたどるとみています。日本銀行では、四半期に一度、経済・物価情勢に関する政策委員の見通しを作成・公表しています。今月に公表した見通しの中央値をみると(図表9)、実質GDP成長率は 14年度+1.0%、15年度+1.5%、16年度+1.3%となっており、ゼロ%台半ばとみられる潜在成長率を上回る成長を続ける見通しとなっています。
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また、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、14年度+1.3%、15年度+1.9%、16年度+2.1%となっています。日本銀行としては、2016年度までの見通し期間の中盤頃に「物価安定の目標」である2%程度に達する可能性が高いとみています。(3)当面の注目点当面の経済・物価情勢をみていくうえで、私自身としては、次のような点
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5に注目しています。まず1点目は、個人消費の動向です。これまで景気を牽引してきた個人消費が、駆け込み需要の反動の影響を乗り越えて、 7~9月以降に想定どおり再び持ち直し軌道に乗っていくか、当面の大きな注目点になると考えています。家計の実際の消費支出に対応し、賃金などの実質化に使用される物価指標である「持家の帰属家賃 1を除く総合」指数の動きをみると、足もと6月の伸び率は+4.4%とコア指数よりも 1%以上高い水準にあり、それが最近の実質賃金の大幅減尐につながっています。また、このところの推移をみると、昨年11月の時点で 1.9%に達したあと、直近6月までの間、消費税率引き上げの直接的な影響を除くベースでみて、2%近傍の水準で推移しています(図表10)。このような状況下で、個人消費が底堅く推移していくためには、先行きの所得に対する改善期待が高まることが何よりも重要と考えられます。足もとでは夏季賞与の増加などが下支えすることを期待していますが、先行きは、労働需給の動向がポイントになると思います。労働需給関連指標をみると、完全失業率は3%台半ばまで低下しているほか、有効求人倍率も1倍を超えて改善傾向が続いています(図表 11)。
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このまま労働需給の引き締まり傾向が続けば、ジョブ・セキュリティ面での安心感と賃金への上昇期待を通じて消費の下支えにつながっていくと考えられるほか、中長期的には、省力化投資など人手不足のもとでの生産性向上に向けた取り組みを通じ、成長力の強化につながっていくと考えられます。今後、生産性の向上を伴う賃金上昇が実現していくことが期待されるところです。また、労働需給の指標は、企業の先行きに対するコンフィデンスを表す有力な指標でもあり、そうした点からも求人の動向など毎月の変化を注視してい
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1 「持家の帰属家賃」とは、実際には家賃の受払いを伴わない自己所有住宅(持ち家住宅)についても、通常の借家や借間と同様のサービスが生産され、消費されるものと仮定して、それを一般市場価格で評価した概念的なもの。国際比較を行う際などで、持ち家率の違いにより住居費が異なる点を補うために大変有効な考え方ですが、実際に家賃の支払いを行うものではなく、家計にとって現実の支出ではありません。
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6きたいと考えています。2点目は、企業の価格設定行動です。6月短観では、販売価格判断DIの改善が確認され、特に中小・非製造業では1991年以来の「上昇」超となるなど、既往のコスト高を転嫁する動きは着実に拡がってきています。また、仕入価格判断DIをみても、引き続き大幅な「上昇」超水準にあり、まだまだパイプラインの中には相応の値上げ圧力が存在しているとみられます(図表 12)。今後、それが販売価格の引き上げとして顕現化してくるかどうかは、景気動向次第の面があります。駆け込み需要の反動の影響を乗り越えて、企業の価格設定行動が一段と積極化していくのか、注目してみていきたいと考えています。3点目は、輸出の動向です(前掲図表7)。世界経済が先進国を中心に回復していくなかで、輸出を取り巻く環境は先行き次第に改善していきますが、その一方で、海外生産移管などの構造的要因は引き続き抑制方向に作用していくと考えられます。また、既往の為替相場の下落の効果が輸出数量の拡大にどこまで及ぶのか、不確実な面もあります。中長期的には、国内で新たな高付加価値品の開発・供給が進み、それらが輸出を牽引していくことを期待していますが、当面は海外経済の回復等に伴い緩やかな増加に転じていくか、注目しているところです。
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Ⅲ.日本銀行の金融政策1.「量的・質的金融緩和」とその効果以上、経済・物価情勢についてみてきましたが、ここからは、日本銀行の金融政策について紹介したいと思います。日本銀行は、 2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、昨年4月に「量的・質的金融緩和」を導入し、それ以降、マネタリーベースを年間約60~70 兆円に相当するペースで増加させる大規模な金融緩和を継続してきています(図表13)。現状、長期国債の保有残高が年間約50 兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行っているほか、ETF(指数連動型上場
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7投資信託)やJ-REIT (不動産投資信託)、社債、 CPの買入れを行っています。先行きの金融政策運営の方針としては、 2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで「量的・質的金融緩和」を継続することとしています。また、その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行うこととしています。「量的・質的金融緩和」の導入からまもなく1年4か月が経過しますが、この間、景気は前向きな循環メカニズムがしっかりと働き続けるもとで緩やかに回復し、物価も輸入物価の上昇や需給バランスの改善等を背景に上昇傾向をたどってきています。このほか、金融環境や金融市場にも、十分な金融緩和効果が発揮されています。まず、金融環境については、極めて緩和した状態にあります。企業の資金調達コストは、貸出約定平均金利が既往ボトム圏で推移しているほか(図表 14)、CP・社債の発行スプレッドも低い水準で推移しています。今月初に公表された 6月短観では、企業からみた金融機関の貸出態度や資金繰り判断は、中小企業を含めて改善するなど、企業の資金調達環境は極めて良好な状態にあります。
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また、金融市場についても、わが国の10年物国債利回りは引き続き 0.5%台の極めて低い水準で推移しており、足もとの物価上昇率が1%台前半にあることから、実質長期金利はマイナスの領域にあるとみられます(図表 15)。為替は100 円を超える水準で、株価もこのところは1万 5,000 円を上回る水準で、それぞれ推移しています。2.貸出支援基金2このほか、日本銀行は、強力な金融緩和により供給している大量のマネタリーベースが貸出増加や成長力強化の取り組みに利用されることを促すための政策として、「貸出支援基金」を運営しています(図表16)。貸出支援基金は、これまで金融機関が貸出を総額として増やしていく動き
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2 貸出支援基金には、「貸出増加を支援するための資金供給」と「成長基盤強化を支援するための資金供給」の2つがあります。
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8をサポートしてきたほか、企業や金融機関が成長基盤を強化する取り組みを進めるうえで「呼び水」としての効果を発揮してきました。本年2月の金融政策決定会合では、規模の拡充や期限の延長等を決めましたが、これにより、金融機関の一段と積極的な行動や企業・家計の前向きな資金需要の増加を促すことを期待しているところです。3.「物価安定の目標」についてこうした政策のもと、日本銀行としては、 2%の「物価安定の目標」の実現に向けた道筋をたどっているとみていますが、最近、 “ 「物価安定の目標」の実現” や、 “安定的に持続する” と判断する際の基準や考え方について聞かれることがあります。折角の機会ですので、これらの点に関して、私自身がどのように考えているかについて、若干の説明をさせていただきます。「物価安定の目標」において対象としている物価は、昨年1月の目標導入時の発表にもあるように、「消費者物価の前年比上昇率」としています。この消費者物価については、国民の実感に即した、家計が消費する財・サービスを包括的にカバーした指標として、総合指数がまず重要であることは言うまでもありません。一方で、総合指数には、生鮮食品など一時的に大きく振れる品目が含まれているため、それだけをみていたのでは、本来捉えるべき基調的な動きを見誤る可能性があります。
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この点、生鮮食品を除く総合指数、いわゆるコア指数は、総合指数のトレンドを捉えるうえで最も有用な指数とされています。日本銀行としても、先行きの金融政策運営の考え方などを整理した展望レポートにおいて、物価見通しとしてコア指数の前年比上昇率の見通しを使用しているところです。消費者物価の基調的な変動を表す指標としては、このほかにも「食料およびエネルギーを除く総合」や「10%刈込平均値3」などがあります。これらの指数は、いずれも一部品目を除外することにより、消費者物価全体の基調的
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310%刈込平均値は、個別品目の前年同月比を値の小さな順に並び替え、値の大きい品目と小さい品目をウエイトベースでそれぞれ10%控除して、残った品目の前年同月比を加重平均して算出します。
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9な変動を捉えようとしたものですが、その一方で、家計が一定割合消費している品目を除外するため、家計の消費構造を包括的に反映した物価指標という位置付けから乖離してしまうという側面があります。例えば、わが国は家計の消費支出に占める食料費の割合は他国と比べて大きいため、「食料およびエネルギーを除く総合」指数のカバレッジは、米国の77%に対し、わが国はそれより10 ポイント弱低い 68%まで低下します。また、実体経済への影響という観点からは、先ほど紹介したように、家計の消費支出に対応し、賃金などの実質化に使用される「持家の帰属家賃を除く総合」指数の動きをみていくことも必要と言えます。このように、一つ一つの物価指数は、消費者物価全体の基調的な動きや実体経済への影響を捉えるうえで必ずしも完全なものとは言えません。このため、例えばコア指数のみをもって、 “ 「物価安定の目標」の実現”を判断することは適当ではないことをご理解いただけると思います。「物価安定の目標」の実現について、私は、あくまで消費者物価全体の基調的な変化を、総合指数やコア指数をはじめとする様々な物価関連指標で捉え、総合的に判断されるべきものであると考えています。“安定的に持続”しているかどうかの判断に当たっても、基本的には同じです。そうした状態を判断する何らかの定量的基準や特定の指標がある訳ではありません。
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様々な物価関連指標の動きを精査し、経済・物価情勢の現状および先行きを十分検討・吟味して、総合的に判断していくべきものであると考えています。Ⅳ.日本経済の持続的な成長に向けて以上、日本銀行の金融政策についてお話してきましたが、日本経済は、デフレ脱却への道を歩んでいるもとで、労働需給の引き締まり傾向にみられるように、マクロ的な需給バランスは、消費税率引き上げによる振れを伴いつつも、需要超過基調が定着しつつあります(図表 17)。このように経済のス
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10ラックが縮小している状況のもとで、日本経済が中長期的に成長力を高めていくためには、今まで以上に供給力の強化が必要になっていることは、巷間指摘されているとおりだと思います。経済の成長力は、やや長い目でみれば、資本ストックや労働投入の伸びのほか、イノベーションなどを通じた生産性の向上によって決まってきます。成長力の強化、成長戦略の主体は、あくまで民間部門ということだと思います。一方で、成長力強化のためには、女性・高齢者などの労働参加が高まる環境を整備し、参入規制の撤廃や各種規制・制度改革を進めていくことで、民間部門の創意工夫やアニマルスピリットを発揮しやすい仕組みを構築していくことが何より必要です。そうしたマクロ的な環境整備には、政府の役割が大変重要になってきます。先月、政府は、日本経済の再生に向けて新しい成長戦略と「骨太の方針」を閣議決定しましたが、これらに基づく取り組みが着実に進むことを強く期待しているところです。Ⅴ.おわりに ―― 山口県経済について ――最後に、山口県経済について、お話させていただきます。山口県は、瀬戸内海沿岸を中心に、鉱工業生産の4割を占める化学をはじめ、自動車、造船、機械、金属等の工場が進出するなど、全国有数の工業県です。
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また、主要な2つの高速道路に加え、山口宇部空港や一昨年開港した岩国錦帯橋空港という2つの空港と、下関港、徳山下松港の2つの国際拠点港湾を有する交通インフラに恵まれた県でもあります。さらに、魅力的な自然景観や数多くの歴史的な名所・旧跡など、観光資源も豊富です(図表18)。山口県の景気の現状については、今月初に下関支店から公表していますとおり、「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調としては回復している」とみています。企業の景況感は、6月短観の業況判断DIにも現れているように、改善の動きが一服していますが、個人消費は反動減がみられつつも底堅く推移しているほか、設備投資も、今年度
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11は前年を1割以上上回る計画となっています。こうしたなか、当地では、全国平均を上回るペースで人口減尐や尐子高齢化が進行しているほか、中国・韓国をはじめとする海外企業との競争も一層厳しくなっているなど、直面している課題は尐なくないと伺っております。こうした課題に対しては、より付加価値の高い製品を産み出して域外需要を取り込むことや、高齢者や女性の活用を通じて人材を確保・育成していくことが必要になってきます。既に当地では、知事のもとで「元気創造やまぐち!未来開拓チャレンジプラン」の策定が進められているほか、産業界や金融界におきましても、課題克服と今後の成長に向けた具体的な取り組みを、それぞれの立場で進めていると伺っています。今後、行政と産業界、金融界などがさらに連携を強め、当地経済がますます成長・活性化していくことを期待しまして、私からの話を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。 以上 資料
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わが国が直面する海外経済の成長率(図表1)(前期比年率、%)2014年79月1012月13月2013年2012年2013年わが国が直面する海外経済の成長率7~9月10~12月1~3月米国 2.81.94.12.6 -2.9EU 0401111713EU -0.40.11.11.71.3東アジア 4.94.95.75.52.7中国 7.77.79.57.05.7NIEs 1.92.92.45.12.3ASEAN46.34.45.93.9 -1.7主要国・地域計 3.73.64.84.41.2(注)1.各国の計数は、各国政府または中央銀行による。ただし、中国の四半期の前期比年率は、中国国家統計局公表の前期比を用いて算出。EUの計数は、欧州委員会による公表値。2.以下の計数は、対象となる各国・地域の実質GDP成長率をわが国の通関輸出ウエイトで加重平均したもの。【主要国・地域計】米国、EU、東アジア、【NIEs】韓国、台湾、香港、シンガポール、【ASEAN4】タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン3.ASEAN4の四半期の前期比年率の算出には、一部構成国の実質GDP成長率について、日本銀行による季節調整値(X-11)を用いている。
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米国(図表2)120 (1985年=100)11600(季調済前月差、千人) (季調済、%)米国(2)消費者コンフィデンス(1)雇用関連指標10010400808902006067-400-2004045-800-6002005年06070809101112131434-1,00080005年060708091011121314非農業部門雇用者数前月差失業率(右目盛)(資料)Bloomberg(注)消費者コンフィデンスは、コンファレンス・ボード指数(総合)。 (図表3)欧州0106 (季調済、2010年=100) (DI、%ポイント) 120(季調済、2010年=100)欧州(2)鉱工業生産指数(1)消費関連指標-50104106小売売上高消費者信頼感指数(右目盛)11512015-10100102105110-20-1598100100105-259695-35-30929405年060708091011121314859005年06070809101112131405年06070809101112131405年060708091011121314(資料)Bloomberg
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中国(図表4)16 (前年比、%) 58 (DI、%ポイント)中国(2)製造業PMI(1)実質GDP14165658HSBC/Markitベース国家統計局ベース12541052684850405年0607080910111213144610年11121314(資料)Bloomberg、Markit (© and database right Markit Economics Ltd 2014. All rights reserved.)
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(図表5)世界経済見通し世界経済見通し(%、%ポイント)2012年(実績)2013年(実績)2014年(予測)2015年(予測)世界計 3.53.23.4 (▲0.3) 4.0 ( 0.0)先進国 1.41.31.8 (▲0.4) 2.4 (+0.1)米国 2.81.91.7 (▲1.1) 3.0 (+0.1)ユーロ圏 -0.7 -0.41.1 (0 . 0 ) 1.5 (+0.1)圏 0.70.41.1 ( 0.0) 1.5 (+0.1)日本 1.41.51.6 (+0.3) 1.1 (+0.1)新興国 514746 (▲02) 52 (▲01)新興国 5.14.74.6 (▲0.2) 5.2 (▲0.1)中国 7.77.77.4 (▲0.2) 7.1 (▲0.2)(▲ ) (+ )ASEAN 6.25.24.6 (▲0.4) 5.6 (+0.2)ロシア 3.41.30.2 (▲1.1) 1.0 (▲1.3)(資料)IMF(注) ( )内は4月時点の見通しからの変化幅。ASEANは、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムの5か国。
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(図表6)個人消費115(季調済、2005年=100)55(季調済)個人消費(2)マインド(消費者態度指数)(1)消費総合指数11050110451053540100309505年0607080910111213142505年060708091011121314(注)消費者態度指数は、2013/4月に郵送調査方法への変更等が行われたため、2013/3月以前の訪問留置調査ベースの計数(資料)内閣府、経済産業省()消費者度指数、月郵送調方法変更等行わ、月前訪問留置調数と不連続が生じているが、ここではそのまま接続(なお、郵送調査ベースの2013/3月の値は試験調査による参考値)。 (図表7)実質輸出実質輸出120(季調済、2010年=100)110100809070806005年060708091011121314(資料)日本銀行等05年060708091011121314 消費者物価(図表8)2.02.5総合(前年比、%)消費者物価1.01.52.0総合(除く生鮮食品)0.00.5-1.0-0.5-2.0-1.5-3.0-2.505年060708091011121314(資料)総務省(注)2014年4月以降は、消費税率引き上げの直接的な影響を調整した試算値。
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政策委員の大勢見通し(図表9)政策委員の大勢見通し(対前年度比、%。<>内は政策委員見通しの中央値)消費税率引き上げの消費者物価指数実質GDP 消費税率引き上げの影響を除くケース+0.6~+1.3 +3.2~+3.5 +1.2~+1.5<+10><+33><+13>(除く生鮮食品)実質GDP2014年度<+1 .0><+3 .3><+1 .3>+0.8~+1.3 +3.0~+3.5 +1.0~+1.5<+1.1><+3.3><+1.3>4月時点の見通し+1.2~+1.6 +1.9~+2.8 +1.2~+2.1<+1.5><+2.6><+1.9>+12~+15 +19~+28 +12~+212015年度+1.2~+1 .5 +1.9~+2 .8 +1.2~+2 .1<+1.5><+2.6><+1.9>+1.0~+1.5 +2.0~+3.0 +1.3~+2.34月時点の見通し2016年度<+1.3><+2.8><+2.1>+1.0~+1.5 +2.0~+3.0 +1.3~+2.3<+1.3><+2.8><+2.1>4月時点の見通し年度
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家計が直面する物価(図表10)2.53.0 (前年比、%)家計が直面する物価1.52.0000.51.0-1.0-0.50.0-2.0-1.5 総合(除く持家の帰属家賃)総合(除く生鮮食品)-3.0-2.505年060708091011121314持家の帰属家賃線年(資料)総務省(注)2014年4月以降は、消費税率引き上げの直接的な影響を調整した試算値。 労働需給(図表11)1.2(季調済、倍)6.0(%)労働需給(2)有効求人倍率(1)完全失業率1.01.15.5080.91.05.00.70.84.50.50.63.54.00.30.405年0607080910111213143.005年060708091011121314(資料)総務省、厚生労働省(注)データは2014/5月分まで。 販売・仕入価格判断(図表12)5060仕入価格判断DI(全規模・全産業)(%ポイント)販売仕入価格判断4050販売価格判断DI(全規模・全産業)2030010-20-10-40-30000001011111(予測)05060708091011121314(資料)日本銀行
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量的・質的金融緩和(図表13)量的質的金融緩和マネタリーベース・コントロルの採用● マネタリーベースが、年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行うコントロールの採用よう金融市場調節を行う。● イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。期債れ● 長期国債の買入れ対象を40年債を含む全ゾーンの国債としたうえで、買入れの平均残存期間を、現状の3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長する。長期国債買入れの拡大と年限長期化ETF、J-REITの買入れの拡大● 資産価格のプレミアムに働きかける観点から、ETFおよびJ-REITの保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う※スで増加するよう買入れを行う。「量的・質的金融緩和」継続● 「量的・質的金融緩和」は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する。その際、経済物価情勢に上双方向リク要因を点検し必要な調整をの継続済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。※ CP等、社債等については、2013年末にそれぞれ2.2兆円、3.2兆円の残高まで買入れたあと、その残高を維持する。(資料)日本銀行
§34
企業金融(図表14)1.8 (%) 25 (DI、%ポイント)企業金融(2)資金繰り判断(1)貸出金利1.615201.4510 楽である・余裕↑↓1.2 -50↓苦しい・窮屈1.0貸出金利(短期)-15-10大企業0.805年060708091011121314貸出金利(長期)-25-2005年060708091011121314中小企業(資料)日本銀行(注)貸出金利は後方6か月移動平均。 長期金利・為替・株価(図表15)35 (%)11017 (円)(千円)長期金利為替株価(1)10年物国債利回り(2)為替・株価3.03.5日本米国ドイツ105110151617202.59510014151.52.0859012131.080851011日経平均株価円/ドト(右目盛)0.00.512/1013/113/413/713/1014/114/414/770758912/1013/113/413/713/1014/114/414/7円/ドルレート(右目盛)12/1013/113/413/713/1014/114/414/712/1013/113/413/713/1014/114/414/7(資料)Bloomberg
§35
(図表16)貸出支援基金貸出支援基金わが国経済の成長に資する投融資を行う金融機関金融機関の貸出増加額の2倍相当額について金融(2)成長基盤支援(1)貸出増加支援わが国経済の成長に資する投融資を行う金融機関に対し、投融資の内容を個別に確認したうえで、日本銀行が低利かつ長期の資金を供給する枠組み。金融機関の貸出増加額の2倍相当額について、金融機関が希望するだけ、日本銀行が低利かつ長期の資金を、総額無制限で供給する枠組み。
§36
■新制度の貸出条件■新制度の貸出条件新制度の貸出条件(総枠)本則の総枠を3.5兆円から7兆円に倍増(貸付限度額)1,500億円から1兆円に引き上げ(貸付金利)4年固定0.1% ※新制度の貸出条件(総枠)無制限(貸付限度額)金融機関の貸出増加額の2倍相当額(貸付金利)4年固定0.1%※本則 ABL等特則小口特則米ドル特則直近残高億円億円億円億米㌦貸付残高133,472億円合計貸付枠 5,000億円 5,000億円 120億米㌦70,000億円直近残高 33,189 億円 1,091億円 93億円 106億米㌦94,962億円大手行対象 1,000万円以上の100万円以上の100万円以上1000万円10万米㌦相当以上の38,510億円地域金融機関等対象投融資以上の投融資以上のABL、出資1,000万円未満の投融資相当以上の外貨建て投融資(資料)日本銀行(※)1年ごとに金融機関のオプションによる期限前返済可。成長基盤支援については、米ドル特則を除く。
§37
(図表17)需給ギャップ68 (%)需給ギャップ4602-4-28-6-10-890919293949596979899000102030405060708091011121314年(資料)日本銀行等 (図表18)山口県の姿山口県の姿(資料)山口県