当面の金融政策運営および成長基盤強化支援の拡充等について(14時07分公表)
Full text
§1
2012年3月13日日本銀行当面の金融政策運営(注1)および成長基盤強化支援の拡充等について1.わが国経済は、現在、急速な高齢化のもとで、趨勢的な成長率の低下という長期的・構造的な課題に直面している。この課題への取り組みは、わが国経済の新たな経済成長の基礎を築いていくうえで不可欠である。デフレからの脱却は、こうした成長力強化の努力と金融面からの後押しを通じて実現されていくものである。以上を念頭に、民間企業、金融機関、そして政府、日本銀行がそれぞれの役割に即して取り組みを続けていくことが、重要である。2.こうした認識のもとで、日本銀行は、 2月に政策姿勢をより明確化するとともに、金融緩和を一段と強化した。これに続き、本日の政策委員会・金融政策決定会合においては、以下の通り、成長基盤強化を支援するための資金供給(以下、成長支援資金供給)を拡充することを決定した。円貨、外貨両面での拡充により、貸付額の総額は、3兆5千億円から5兆5千億円に2兆円増加する。(1)成長支援資金供給(本則)では対象としていない小口の投融資を対象に、新たに5千億円の貸付枠(小口特則)を導入する(別紙1)。(2)成長に資する外貨建て投融資を対象に、日本銀行が保有する米ドル資金を用いて、新たに1兆円の貸付枠(米ドル特則)を導入する(骨子素案、別紙2)。
§2
本特則については、議長は、執行部に対し、次回の金融政策決定会合までに具体的な検討を行い、報告するよう指示した。(3)2010年6月に導入した成長支援資金供給(本則)について、新規貸付の受付期限を 2014年3月末まで2年延長するとともに、貸付枠を3兆円から3兆5千億円に5千億円増額する。(4)2011年6月に導入した出資や動産・債権担保融資(いわゆる「ABL」)などを対象とした成長支援資金供給(ABL特則)について、現行5千億円の貸付枠のもとで、新規貸付の受付期限を 2014年3月末まで2年延長する。3.被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーションについては、現行1兆
§3
(注1)本日の金融政策決定会合では、宮尾委員より、資産買入等の基金を5兆円程度増額し、70 兆円程度とする議案が提出され、反対多数で否決された(賛成:宮尾委員、反対:白川委員、山口委員、西村委員、中村委員、亀崎委員、森本委員、白井委員、石田委員)。
§4
円の貸付枠のもとで、貸付の受付期限を 2013年4月末まで1年延長することとした。被災地企業等にかかる担保要件の緩和措置についても、その適用期限を 2014年4月末まで1年延長した。4.次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針については、以下のとおりとすることを決定した(全員一致(注2))。無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0~0.1%程度で推移するよう促す。5.海外経済をみると、全体としてなお減速した状態から脱していないが、米国経済にこのところ改善の動きがみられているほか、欧州経済も停滞感の強まりに歯止めがかかっている。国際金融資本市場も幾分落ち着きを取り戻してきている。わが国の経済は、持ち直しに向けた動きもみられているが、なお横ばい圏内にある。国内需要をみると、設備投資は、被災した設備の修復などから、緩やかな増加基調にあるほか、個人消費についても、自動車に対する需要刺激策の効果もあって、底堅さを増している。一方、輸出や生産は、海外経済の減速や円高の影響などから、引き続き横ばい圏内の動きとなっている。この間、わが国の金融環境は、緩和の動きが続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっている。
§5
6.先行きのわが国経済については、新興国・資源国に牽引されるかたちで海外経済の成長率が再び高まり、また、震災復興関連の需要が徐々に強まっていくにつれて、次第に横ばい圏内の動きを脱し、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。実際、このところ、生産や公共投資などにも先行きの持ち直しをうかがわせる動きがみられ始めている。消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられる。景気のリスク要因をみると、欧州債務問題の今後の展開や国際商品市況の動向、新興国・資源国の物価安定と成長の両立の可能性など、世界経済を巡る不確実性が引き続き大きい。物価面では、国際商品市況や中長期的な予想物価上昇率の動向などを、注視する必要がある。7.日本銀行は、中長期的に持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇率は、消費者物価の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断している。そのうえで、
§6
(注2)賛成:白川委員、山口委員、西村委員、中村委員、亀崎委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員。反対:なし。 当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していく。ただし、金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、経済の持続的な成長を確保する観点から、問題が生じていないことを条件とする。併せて、本日拡充を決定した成長支援資金供給を通じて、わが国経済の成長支援にも取り組んでいく。以上 成長支援資金供給における小口投融資を対象とした新たな貸付枠の概要
§7
1.対象とする投融資わが国経済の成長に資すると認められる、1件当たり 100 万円以上 1,000 万円未満の投融資。金額以外の要件は本則(注1)と同じ。2.対象先金融機関成長支援資金供給の対象先金融機関。3.資金供給方式有担保貸し付け(注2)。4.貸付期間1年とし、3回の借り換えを可能とする(最長4年)。5.貸付利率貸付実行日における誘導目標金利(注3)。現行は年0.1%。6.貸付総額5,000 億円。7.対象先金融機関毎の貸付限度額(1)対象先金融機関毎の貸付残高の上限は、本則と合算で、1,500 億円。(2)各対象先金融機関は、2010年4月以降に行った、期間1年以上の個別投融資の残高の範囲内で、借り入れを行うことができる。8.貸付受付期限2014年3月末(新規貸付の最終実行期限は同年6月末)。以上 (注1)「成長基盤強化を支援するための資金供給基本要領」(2010年6月15日決定)に基づく資金供給。1件当たりの金額が 1,000 万円以上の投融資が対象。(注2)金融機関が日本銀行との間の各種取引のために差入れる担保を使用。(注3)日本銀行が金融市場調節方針において誘導目標として定める無担保コールレート(オーバーナイト物)の水準をいう。現行、0~0.1%。(別紙1) 成長を支援するための米ドル資金供給の骨子素案
§8
1.対象とする投融資わが国経済の成長に資すると認められる、1年以上の外貨建て投融資。各対象先金融機関は、成長に向けた取り組みと対象とする投融資の関係が明確になるよう、取り組み方針を策定し、日本銀行の確認を受ける。2.対象先金融機関成長支援資金供給の対象先金融機関のうち、ニューヨーク連邦準備銀行に米ドル口座を保有する先および同行に口座を保有する先へ米ドル決済を委託している先。3.資金供給方式米ドル資金の有担保貸し付け(注)。4.貸付期間1年とし、3回の借り換えを可能とする(最長4年)。5.貸付利率市場金利。6.貸付総額日本銀行が保有する米ドル資金のうち、1兆円相当。7.貸付受付期限2014年3月末(新規貸付の最終実行期限は同年6月末)。8.対象先金融機関毎の貸付限度額等対象先金融機関毎の貸付限度額や具体的な貸付利率等については、成長に資すると認められる外貨建て投融資への金融機関の取り組み状況等を踏まえて、さらに検討を進める。以上 (注)金融機関が日本銀行との間の各種取引のために差入れる担保を使用。(別紙2) 成長支援資金供給の全体像
§9
本則 ABL特則小口特則米ドル特則導入時期 2010年6月2011年6月2012年3月2012年3月(骨子素案)貸付枠 3兆円→3兆5千億円 5千億円 5千億円 1兆円相当の米ドル資金対象投融資1,000 万円以上の投融資100 万円以上のABL、出資100 万円以上1,000 万円未満の投融資外貨建て投融資貸付期間借り換えを含め最長4年借り換えを含め最長4年借り換えを含め最長4年借り換えを含め最長4年適用金利年0.1% 年0.1% 年0.1% 市場金利新規貸付受付期限2012年3月末→2014年3月末2012年3月末→2014年3月末 2014年3月末 2014年3月末2012年3月13日時点の貸付総額2 兆 9,998 億円 891 億円 ―― ――(注)今回決定されたのは、シャドー部分 (参考) (参考) ・開催時間――3月12日(月) 14:00~16:523月13日(火) 9:00~14:02 ・出席委員――議長白川方明(総裁) 山口 秀(副総裁) 西村淸彦(副総裁) 中村清次(審議委員) 亀崎英敏(〃) 宮尾龍蔵(〃) 森本宜久(〃) 白井さゆり(〃) 石田浩二(〃) 上記のほか、3月12日佐藤慎一財務省大臣官房総括審議官(14:00~16:52)松山健士内閣府審議官(14:00~16:52)
§10
3月13日藤田幸久財務副大臣(9:00~13:28、13:48~14:02)大串博志内閣府大臣政務官(9:00~13:28、13:48~14:02)が出席。 ・金融経済月報の公表日時――3月14日(水)14:00 ・議事要旨の公表日時――4月13日(金)8:50以上