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日本銀行記者会見2025年7月3日高田創, 審議委員

高田審議委員記者会見(2025年7月3日)

全文

§1Question

二問ございます。本日の懇談会では、どのような議論が行われたのでしょうか。二問目が三重県経済の現状についてどのように認識されていますでしょうか。

§2Hajime Takata

今日の金融経済懇談会での議論というご質問ですけれども、懇談会の方では、こちらの経済界、それから金融界を代表する方々から、地域経済が直面する貴重なお話、それから日本銀行の金融政策運営に関する貴重なご意見を承った次第であります。大変有益かつ示唆に富む意見交換ができたかなと思っておりまして、ご出席頂いた方々に改めて感謝の意を申し上げたいと思っています。なかなか網羅することはできないですけれども、席上で聞かれた話をちょっと整理して申し上げたいと思います。まず県内の企業が抱える課題として、やはりこれいろんなところで聞こえるんですけれども、仕入価格上昇や、それから人手不足への対応を迫られているということでありまして、特に中小企業においては、価格転嫁、それから賃上げの難しさを指摘する声が多く聞かれております。また賃上げにおいても、賃上げはしているんだけれども、やっぱり防衛的な賃上げなんだというようなご指摘も頂いた次第です。こうした経営課題の対応に対して、生産性向上に向けた投資ですとか、事業計画の見直しといったことも必要になるということで、同時に事業承継なども含めた対応というものも必要になるんじゃないかと。

§3Hajime Takata

それから、金融機関の方では、伴走支援強化といった取り組みについても、この重要性というものが聞かれまして、特にやっぱり一緒にですね、経営支援を行っていくんだということ、それから、地域社会の課題の解決をしていくと、そのためにもやっぱり投資を促進していきたいというような声が聞かれたということであります。それから、アメリカの関税政策を含めて、やはりこの不透明感が強いと。この不透明感が強いというのは、やはり随分大きなキーワードかなというふうに認識しました。また、金利上昇による調達コストの上昇を指摘する声も聞かれましたし、日本銀行に対しては、地域経済の実情などに目配りをして、予見可能性を確保しつつ、適切な運営を行ってほしい、また急な対応を避けてほしいというようなお声を頂いたということであります。私どもと致しましては、こうした中で、中央銀行の立場から、物価安定のもとでの経済の持続的成長を実現していくこと、それから金融システムの安定を確保することを通じて、こちらの地域の方々のご努力が、より大きな実りとなるようにサポートしていきたいと思いますし、またお声の中で、より分かりやすくというようなお声も聞こえましたので、そういうようなメッセージを出していくことも重要なんだなというふうに感じた次第であります。

§4Hajime Takata

それから二番目に頂いたご質問の中で、三重県経済の現状についてどういうふうに考えるのかということなんですけれども、私も今週こちらの三重県に入らせて頂きまして、いろいろ三重県の方々と意見交換をさせて頂いたということなんですけれども、現状について言いますと、やはり人口が減少していると、特に全国を上回るペースで減少しているというようなことが、やはり大きな問題意識として語られていたということでありました。成長率自体は、これまで均してみれば全国を上回る傾向にあるということではあるんですけれども、やはり人口減少といったところについては、これからどうしていったらいいかといったことは、いろんな方々の声からも聞こえたということであります。実際の製造業につきましては、出荷ベースで全国 9 位というようなことで、特に輸送用機械ですとか電子部品・デバイスなど、こうした製造業が非常にその成長を牽引しているということで、これは非常に特筆されることなんだろうと思います。それから非製造業につきましても、百貨店・スーパー・ドラッグストアにおける販売量が足元増加を続けているほか、自動車の販売も、これまでの生産停止の影響が剥落したという、持ち直しが続いていることもありまして、緩やかな回復がみられております。

§5Hajime Takata

ただ、先行きについては、先ほど申し上げました通り、各国の通商政策の今後の展開、それからそれを受けた海外の動向等を巡る意味での不確実性が強い、不透明感が強いというようなこともありますので、そういう点も踏まえたうえでこちらの経済・物価への影響について注視する必要があるのかなというふうに感じた次第でございます。

§6Question

まず今日講演の中でお話しされていました、利上げいったん休止局面で、一定期間の様子見の後、再びギアシフトという点について、少し詳しく聞かせて頂きたいと思っています。関税措置の中でも堅調な企業の賃上げですとか、価格設定行動について述べられていまして、 90年前後と比較しても賃金抑制のような縮小均衡につながりにくいとも話されていました。この一定期間の様子見とは、この一時停止している米国の相互関税の再延長ですとか、日米交渉の妥結などが達すれば、この様子見の期間というのは達成するというふうな見方なのか、それともそうではないのか、まず教えて頂けたらと思います。

§7Hajime Takata

様子見というふうなことで申し上げたんですけれども、これまでを考えてまいりますと、 1970年代以降の変動相場制への移行後ですね、これまで過去 5 回の利上げ局面があるんですけれども、これまでアメリカの利下げの後に、日本も利下げに転ずるという状況でありました。ただし今回の状況というのは、私自身は従来のようなアメリカの深刻な景気の後退が想定されるという状況ではないというふうに思っておりますので、そういう意味では、 2000年のITバブル崩壊や、 2000年代後半の世界の金融危機とは異なって、足元はあくまでも利上げのいったんの休止局面であって、一定の様子見期間の後、再びギアシフトを行える状況だと私は思っています。アメリカでは相互関税賦課に伴って、インフレ率が反転する観測なんかも一部にはあるということもありますし、そういう意味ではちょうどこれからの夏場の状況というんでしょうか、この辺についてはよくわれわれもみていきたいなというふうに思います。それから、一時停止というような状況ではございますけれども、これなかなかどのくらいの期間かというところを予断を持って申し上げられるような状況でもないというふうに思ってます。

§8Hajime Takata

ただ今回、私どもも 4月の展望レポートも含めて、見通しを下方修正させてきたわけなんですけれども、私どもだけじゃなくて、この春からみると、IMFなどいろんな各市場参加者、各研究機関というんでしょうか、足元の見通しを下げているわけなんでありますけれども、いずれも現在の経済状況は大きく悪化はしてなくてもですね、これから経済の下押しがあるんじゃないかというような観測のもとで対応するというんでしょうか。ですから、私は懇談会でも申し上げたんですけれども、ある面でいうと、公共交通機関における「計画運休」のようにですね、いわば「相互関税台風」が到来するんだというような見込みに対して、事前に見通しの引き下げを行ったというような状況でもあるので、そういう意味からしますと、この事前の想定なり、ある面ではその「相互関税台風」の天気予報が変わるということであれば、おのずと経済の見通しも変わってくるということになりますので、そういう意味では今後のその辺の動向をよく見守っていきたいなというふうに思います。

§9Hajime Takata

これも日々変わる状況でもありますし、またこの7月というのは、非常にそういう意味では非常にそういうところが押し迫っているといいましょうか、いろんなメニューが揃ってるというところでもありますので、この辺をみていきたいとは思っておりますけれども、ただ目先のそういうアナウンスメントだけに引きずられることなく、いろんな意味で、実際の海外の経済状況とか、こうしたものなんかを見極めていきたいなというふうに思っているところであります。特に米国なんかにつきましては、先ほども申し上げたところと重なる部分もあるんですけれども、経済の状況の見込みが、最初の関税のところから、場合によっては、これまで、これからあり得るというんでしょうか、減税でありますとか、こうしたものも含めたところにも、最近も関心も移ってきておりますので、そうしたものなど両面を踏まえたうえで、みていきたいなというふうに思っているところであります。

§10Question

もう一問なんですけれども、ギアシフトする必要性を述べられつつ、緩和的な金融環境の継続が大事だということもおっしゃっていました。その意味するところなんですけれども、政策金利を 0.75%まで引き上げても、この緩和的な環境というのは続くというふうな考え方なのか、はたまたこの今日の講演でもその物価安定目標の実現まで目前に迫っているという話もありました。これはこの 0.75%というのを中立金利というようなお考えということもあるんでしょうか。お考えについてお聞かせください。

§11Hajime Takata

中立金利というようなことについては、もちろん概念として私は非常に重要だと思ってるんですけれども、よく申し上げているのは、中立金利っていう概念は重要だけども、虹みたいなもので、だんだん近づいていくと、よく分かんなくなっちゃうというような言い方をさせて頂いているんですけれども、これまでのように非常に長い、日本みたいな状況で、いわゆるシクリカルなものもなかなか描けていないというような状況が何十年も続いたという中でのところから申し上げますと、この中立金利というようなものを一定水準のもので考えながら、そこに近づけていくというようなことでもなかなかないのかなと。そういう意味では一定の対応をしながら、その段階をもって、今が緩和的状況なのか、そうしたものを 1 回 1 回検証しながら対応していくという感じになっていくんじゃないかなというふうに思ってます。ですから、必ずしも例えば利上げをした場合に、その水準が中立金利かどうかというのは、繰り返しになりますけれども、そのときの状況というんでしょうか、というところをもう 1 回精査しながらというかたちにならざるを得ないかというふうに思ってます。

§12Hajime Takata

そういう面から言いますと、私も今回申し上げたところというのは物価の目標への動きというものが、ようやく目の前に迫ってきたというような状況と考えておりますけれども、ただ一方で足元の状況は、いろんな意味での不確実性というものもあるわけでありますので、また一方で目の前に迫っているといっても、完全にそれが達成されたという状況でもまだないということからすれば、当面そこまでのところについては、ある程度緩和のところで、そこにより近づくためにもですね、緩和的な状況を続けながら対応していく。また今どうしても、世の中的に、グローバルにもということだと思うんですけれども、やや悲観の方に振れやすい部分というものもあるわけでありますから、そうした面で過度に悲観に振れないようなためにも、目先のところはある程度緩和的なところで、今の状況をサポートしながら、ようやくここまできた状況というものが遠ざかってしまうようなことがないように、心掛けていきたいなと、そんな感じでみているところであります。

§13Question

二点お伺いさせてください。一点目は、アメリカの動向を注視するというお話がありまして、そのFRBの金融政策に加えて、減税ですとか規制緩和といったもの、こちらは需要を支える方に働くものと思いますが、こういったものを総合的に判断したときに、日銀としては年内に利上げが可能になる、そういう状況になる可能性はあるのかどうかというのが一点目です。二点目は、国債買入れについて、年限別の扱いの考え方を伺いたいんですけれども、7月の日銀の金融市場局が発表した、年限別の国債の買入額をみますと、買入れ比率が、 10 から 25年というところが発行額に対して 50%買い入れるというかたちになっています。これは超長期債の需給悪化に配慮したものと思うんですけれども、これまで予見可能性の観点から、金融市場局としては、この買入れ比率を重視して、比率の高いものから買入れ額を減らすということをやってきました。市場では、次回 10~ 12月の買入計画では、この 10年から 25年っていうゾーンが、今度減額の対象になるのではないかという見方がありますが、この辺について高田委員はどういうふうにお考えでしょうか。

§14Hajime Takata

アメリカの動向なんですけれども、これも日々変化する状況でもありますので、なかなかわれわれも予断を持って何か申し上げられる状況でもないとは思っております。今日の懇談会で申し上げた点でもあるんですけれども、どうしてもわれわれも見通しを行うときも、多分IMFにしても他の研究機関にしてもそうだと思うんですけれども、取りあえずこの関税の影響が主になってきましたので、そこのところをまずベースに対応するということになっていたと思います。ただ一方で足元なんかもそうでありますけれども、もちろん関税もまだ引き続き現在進行形ではあるわけでありますけれども、減税であったりとかまた規制緩和であったりといったようなところのメニューというんでしょうか、こうしたこともあるわけでありますから、そうしたものも踏まえたうえで、当然のことながら、この今不透明というか、そういう環境というものがどうなるのかということをやっぱり考えていくということになろうかと思います。ただ、そこのところが踏まえたから、先ほどのご指摘の中で、年内に利上げがどうかというご議論があったんですけれども、そこのところはなかなか予断を持って語るべきというようなことではないのかなというふうに思います。

§15Hajime Takata

もちろんその可能性もあるのかもしれませんし、ないのかもしれないということではあるわけでありますけれども、今の段階で先ほど申し上げた、事前の天気予報というかですね、「計画運休」というか、そういったような環境がすぐ解けるというような状況でもなかなかないということでもありますので、その辺は予断を持ってみることなく、その時々の状況に応じて、対応していかざるを得ないのかなというふうに思っているところであります。それから長期国債の減額のご議論を頂いたわけなんでありますけれども、ここのところについては、ある面で各ゾーンの国債の市場の動向ですとか、また場合によっては、その背後にある需給状況であったりとか、こうしたものを判断しながら対応していくということであります。

§16Hajime Takata

もちろん、こうした国債の対応の動向ということについては、あくまでも市場で形成をするのが基本でもありますし、また予見可能性をということでもあるわけでありますけれども、しかしながら一方で、同時にですね、この安定というものに配慮して、柔軟性を確保していくというようなことも重要なんで、この柔軟性とそれから予見可能性というんでしょうか、こうしたことのバランスの中から対応していきたいというふうに思っておりますので、やはりこれまでも、市場の安定に不測の状況が起きるようなことがあった場合には、やはりいろんな意味で考えて [いかないと]いけない論点もありますので、そうした点を踏まえたうえであくまでも考えていきたいなというふうに思っておりますので、あまりに硬直的にというよりは、今申し上げた柔軟性というものも踏まえながら対応していきたい。ただし原則としては予見可能性であり、市場でというようなことが中心になろうかと思っております。

§17Question

超長期債を考えるうえでは、その予見可能性っていう硬直さよりも、今は柔軟性という方を重視すべきだという感じでしょうか。

§18Hajime Takata

いや、これはもう全てのところで一般論として申し上げられるところだろうと思います。もちろん超長期のところも、その枠内に入るということだとは思いますけれども、どちらかをより重視するというよりは、こうしたバランスというんでしょうか、そういうようなものに配慮しながら対応していくということは、多分これからも変わらないんじゃないかなというふうに思います。また一方で、かなり大きな変動があったという場合、去年から申し上げておるわけでありますけれども、それなりの対応をとっていくというようなことでもございますので、そうした点も踏まえたうえで対応していきたいというふうに思っております。

§19Question

二点ございまして、一つ目が関税の影響なんですけれども、その 4月に、 5月ですかね、皆さんが展望レポートを作られたときから、 2 か月ほど経ってますけれども、そのときと比べて、不透明感というのが多少緩和されたり、あるいは米国経済に明るい兆しがやっぱり残ってるよねということで、あまり関税を不安視しなくてもいいんじゃないかっていうような方向でお考えになられてるのかどうかっていうことが一点目です。二つ目が、日本国内の経済動向なんですけれども、午前中の講演でも設備投資とか賃上げであるとか価格転嫁の状況の持続性っていうのがチェックポイントなんだろうなというふうに私は受けとめたんですけれども、先日の短観でもですね、設備投資の意欲は高い水準だというふうに解釈できると思いますし、国内の動向だけみればですね、次の利上げができる環境っていうのが整いつつあるのではないかと思うのですけれども、その辺りのご見解をお願いできればと思います。

§20Hajime Takata

最初に頂いたご質問で、 5月の展望レポートと比べた変化っていうんでしょうか、この関税の動向というんでしょうか、というところに関しては、ちょうど 7月にはまた新たな展望ということになりますので、今ちょうど、われわれも今の状況をみながら考えたいなっていう、そういうことでもあるので、今の段階であまり明確なものを申し上げられる段階ではないということではございます。ただ、先ほども申し上げたように、ちょうど 4月2日の相互関税なんかを受けまして、世界的にもというんでしょうか、先ほど申し上げたようにわれわれも見直しをした、それは先ほど申し上げた例えで申し上げれば、「計画運休的」な対応をとったという、台風が来るというような状況でもあったわけなんで、その状況のところで考えてまいりますと、差し迫ったものが、何かすごい影響が起きてるということではないと思います。そういう意味では、そこまで悲観的な状況ではないという部分はあろうかとは思いますけれども、ただそこにまだかなりの不確実性が残っているということでもありますので、その台風が過ぎ去っているというような判断までできる状況ではないということかと思います。そういう意味からすると、依然として、その中での不確実性警戒モードっていうんでしょうか、それは少なくとも今の段階ではまだ残ってるというふうに言わざるを得ないと思います。

§21Hajime Takata

ただ、もちろんその後に先ほどもご議論にありましたけれども、また新たな動きというんでしょうか、減税にしたりとか、規制緩和というような動きもありますので、そうしたものなんかも踏まえたうえで、次のところのあれをわれわれなりに考えていきたいなというふうに思っているところであります。それから二番目のところで、国内の動向について短観も踏まえたうえでというようなご質問もあったと思うんですけれども、今週発表された短観について申し上げれば、やはり企業の業況感、価格転嫁の進捗を主因として、企業業績も結構高めでもありましたし、全体として良好な水準を維持してたんじゃないかなというふうに思います。製造業を中心に懸念されたアメリカの通商政策というんでしょうか、これも現段階ではそんなに大きな影響はみられてないのかなという、そういう意味では底堅い動きだったかなというふうに思ってますし、それから先行きの判断にしても、価格転嫁ですとか、それから人件費への動向ですとか、それから販売価格による状況とか、それについてはもちろん懸念の声は依然としてもちろんあるんですけれども、ただ大きな下押しになっているというような状況でもないのかなというふうには思っているところであります。

§22Hajime Takata

また設備投資なんかについても、比較的どうでしょうかね、製造業、今年度の計画なんですけれども、製造業・非製造業ともに、 3月からやや上方修正されているということもありますので、そういう意味では緩やかな増加傾向にあるという動きはやっぱり不変なのかなというふうに思います。やっぱりそういう意味からしますと、DX関連でありますとか、AIだとか、人手不足対応とか、こういうものの需要が引き続き強いということがやっぱり背景にあるんじゃないかというふうには思います。ただそうは言っても、やはりまだこの不確実性というんでしょうか、それから不透明感というか、なかなか特にこれまでの計画ということについては見極めきらないというような見方も結構出てきてはおりますので、そういう意味からすると、その辺の不透明感はまだ残した状況であるということは言えるんじゃないかと思います。ですから、そういう中からしますと、先ほども申し上げた物価安定の目標が目の前にというふうには申し上げておりますけれども、そういうようなところの達成ということについては、やはりこうした投資計画ですとか、企業行動というんでしょうか、こうしたものも踏まえたうえで、われわれ判断をしなきゃいけないというふうに思ってますので、そういう意味からすれば、もうちょっと今暫く見極めるということが必要なのかなというふうに思っている次第であります。

§23Question

私も大きく二問ほど伺いたいと思います。一つは、先ほど出ましたけれども、午前中の講演で物価目標の実現が目の前に迫っているというご発言なんですけれども、これ 2月に講演されたときは、物価安定の目標に近づいているとおっしゃってて、それからすると前進したような印象も受けるんですけれども、一方で 5月の展望レポートでは関税の影響も踏まえてですね、全体として、中心的な見通しとしては、物価目標の達成時期を 27年度までの見通し期間の後半、 1年程度後ずれさせたということがあったわけですけども、高田さんとしては、目標実現はそれよりも早まるとみていらっしゃるのか、だとすればいつ頃を念頭に置いてらっしゃるのかっていうのを伺えますでしょうか。もう一つなんですけど、先ほども出ました一定の様子見期間なんですけれども、講演の中で、夏場にかけてのFRBの動向に注目っていうふうにおっしゃってますけれども、もう少し具体的にどの辺のことに注目されているのかを伺いたいんですが、例えば仮にアメリカ、米国が今月末の会合で利下げを見送るというようなことがあればですね、日銀としても 9月とか 10月の会合で利上げが俎上に載ってくるということもあり得るという見方でしょうか。

§24Hajime Takata

目の前に迫ってるというような言い方をさせて頂きまして、 2月の段階では、何でしょうか近づいてるという言い方をしましたんで、どうですかね、ちょっと少し前に進んだかなっていう思いはございます。それはやはり 3月のところにおいての、賃上げ、ベア等の動き等を考えておりますと、今回この懇談会の中でも申し上げたんですけれども、やはりもちろん輸入物価等の動きもあるわけでありますけれども、国内のところの、懇談会の中では、デフレーターのところを挙げながら議論させて頂きましたけれども、いわゆる国内要因になってきた、ホームメイド化してきたというような兆しもあるということでもありますので、そういう観点からすれば、目の前にと申し上げたところは、もう一歩というところはあろうかと私自身は思っているということであります。ただ一方で、これがその完全にどの段階で達成できるのかどうかというところについては、当然のことながらいろんな見方もございますし、それからなかなかわれわれも予断を持って語ることは難しいなというふうに私自身も思ってます。

§25Hajime Takata

それはやはり国内要因としてはそういう動きにはなっておりますけれども、海外を巡る環境のところというのが、特に今回の場合は大きなストレスがかかる状況でもあると、先ほど「計画運休」ということも申し上げましたけれども、というような状況でもあるわけでありますから、そこのところがやはり見極めがつきませんと、なかなかこの段階で達成ができるというようなところまで明確に申し上げられるというような状況では、私自身もないのかなと、そんなふうに思っているところであります。ですから、まとめて申し上げれば、先ほど申し上げた2月のところよりも、もうちょっと判断を進めているのは確かなんですけれども、しかしながら、その後にまたもう一段の不透明感というものが外部要因として出てきてるという中での総合判断をしなきゃいけないなと、そんなふうに考えているということであります。もう一つ、二番目のところがありましたよね。様子見の期間でということがあったわけなんでありますけれども、夏場にかけてというふうに申し上げたのは、当然のことながら、今非常に関税交渉においても、それから場合によっては、減税でありますとか、そういう金融財政的な部分のところで大きな変化があるということでもあります。

§26Hajime Takata

またそういう中での判断というんでしょうか、実体経済のところ辺りも、今週も雇用統計みたいなものもあるわけでありますけれども、ある程度減速をしてる兆しみたいなものもあるわけで、そこのところがかなり明確にといった場合にはずいぶん変わった判断というものも出てくる可能性もあるということでもあります。ちょうど 1年前なんかを振り返りましても、夏の時期にいろんな見方に大きな変化があったというようなことを振り返りますと、今年においてもですね、その辺のところの動向はよく注目してみていきたいなというふうに思っているところでありまして、特に上の方にも下の方にも不確実性が残ってるというのが、特に今年にかけては強い動向だと思いますので、そういう面でみています。ただそれが日本銀行の動きについて直接的にどうかということについては、あまりそこを一つ一つに明確にひも付けをするようなことは、なかなか難しいかなというふうには思っておりますけれども、ただ重要な判断事項としてはみていきたいなというふうに思ってます。

§27Question

前向きな企業行動が続いていけば、利上げ、ギアシフトっていうことをおっしゃっていらっしゃるんですけれども、このいったん休止と、あとそのギアシフトっていうところ、割と強調されていらっしゃるかなっていう印象を受けました。そういうところからすると、高田さん以前もおっしゃったように、不確実性ってのはいくらでもあるんだっていうことをいつもおっしゃってたと思うんですけど、そういうことを考えると、今の時点では、少なくとも前向きな企業行動が何か腰折れるとかそういったことは想定されてないっていう理解でよろしいのかどうか。あともう一つなんですけど、どこまで見極めるべきかっていうところなんですが、例えば関税のところが、ディールができてですね、その後やっぱりその後もまだハードデータをしっかり見てから判断するべきなのか、その点についてですね、というのも高田審議委員、以前、調整しないでいるリスク、要するに過度な緩和期待というのが高まってしまうリスクについても言及されているので、その点ちょっと教えて頂ければと思います。

§28Hajime Takata

前向きな企業行動というのを私も、どうでしょうかね、この 1年2年というか、ずっと繰り返して申し上げてきたという点であります。またその中でも今回の懇談会の中でも使わせて頂いてるんですけれども、企業のバランスシートの前向きな動き、それと損益計算書っていうんでしょうか、そこの中での、要は価格を上げない、賃金を上げないとかですね、そういったところのリストラ的な動きがどう変わってくるか、そういう面での両面の動きが前向きであれば、ギアシフトをしていくというようなことは、常々申し上げておりますし、今回もそこは変わってないということであります。ですからご質問があったところで、そこの中で今の時点でそういう腰折れがあったりとかいうような状況ということは私自身は思っていないということであります。ただそこのリスクが当然あり得るわけでありまして、過去を見ても、なぜ企業のバランスシート運営が収縮し、リストラになったかということを考えると、やはり大きなストレスケースがありました。

§29Hajime Takata

今回の場合も一つのテーマとして過去半世紀ぐらいの通商摩擦のことを挙げたわけでありますけれども、バブル崩壊後の段階と通商摩擦というようなものが一緒になって、先ほど申し上げたような企業の前向きな動きが逆流してしまうような動きが出てきたということからすれば、今回もそこまではいかないというかたちで私はみてはいるんですけれども、一方でそのリスクというものがあるんだということも、やはり今回認めざるを得ない状況にあるということでもあります。ですから、まだ崩れてはいないし、続いているというような見方をしてるんですけれども、そこが本当に崩れないのかどうかということの検証をしていきたいという点で、特に今回はそういう通商摩擦の問題も踏まえたうえで、歴史的な観点から、この金融懇談会の中でもですね、分析というんでしょうか、私なりの見方を示させて頂いたということであります。二番目にご指摘があった、じゃあどこまで見極めるのかというところ、正直言ってこれ、きりないですよね、何があっても毎日何か起こっちゃってるわけですよね。

§30Hajime Takata

だからそれ言い出してたら、もうきりないよっていうことになっちゃうわけなんですけれども、ただやはり一つの動きとすれば、先ほどからもうこれも繰り返しになっちゃうんですけれども、企業の前向きな動きというんでしょうか、それが海外のところのそういう不透明感も踏まえたうえでも、やはりそれが強くなってくるというような、確信がより高まるというんでしょうか、またそれに伴ってそれがまた当然のことながら、企業行動のところで言えば賃金であり、また価格転嫁ということもあるわけでありますから、物価の動きにどう跳ね返ってくるかというところにも影響するわけでありますから、その辺のところの物価の動向も踏まえたうえで、毎回毎回の会合の中で、一つ一つ判断をしていくということでならざるを得ないんじゃないかなというふうに思います。ですから、それがいつの時期かっていうことを、今の段階で申し上げられるような状況でもありませんし、またそれは予断を持って申し上げるようなものではないんですけれども、ただ、今申し上げたようなところを私なりの時間軸、時間軸というか座標軸というか、いうところの中で持ちながら、これからも判断をしていきたいなというふうに思います。

§31Hajime Takata

それから最後にご指摘があった、過度に、ということなんですけれども、当然のことながら、今回の状況なんかもそうなんですけれども、この懇談会の中でも申し上げたんですけれども、今世界的にも、ちょうど、世界中とまでは言いづらいですけれども、米欧にしても中国にしても、それから新興国にしてもですね、比較的揃って金融緩和、それから財政拡大っていう方向に向かってるわけですね。そうしますと、今回、各地域毎に、こういういろんなストレスがある中で下振れした動きを見込むわけなんでありますけれども、全体が合わさっちゃうと思いがけないような上振れみたいなことが起こってしまうリスクというものも当然あるわけであります。

§32Hajime Takata

日本経済につきましても、特に 3、 4年前のときのコロナのときっていうのは、世界的には緩和があってもですね、なかなか日本の場合はそこまで、非常にまだノルムが残っていたりとか、厳しい状況でありましたから、そう変化がでなかったわけですけれども、今回はそれなりに日本の状況というものも変化が出てきてるわけでありますから、そうした状況の中で海外も含めたところが、温度感が上がってくるといった場合には、先ほど私はホームメイド化の兆しがというふうに申し上げましたけれども、そうした点のところもあるということではありますし、また一方で資産価格のところ辺りも含めてよくよくみないといけない部分というものも当然出てきますので、そうしたところ総合判断しながら、これからもみていきたいなというふうに思っている次第であります。以上