総裁定例記者会見(2026年3月19日)
全文
§1Question
本日の金融政策決定会合の内容についてご説明をお願いします。
§2Kazuo Ueda
今日の決定会合では、無担保コールレート・オーバーナイト物を 0.75%程度で推移するよう促すという金融市場調節方針を維持することを賛成多数で決定しました。なお、高田委員は、物価安定の目標は概ね達成されており、海外発の物価上昇の二次的波及から国内物価の上振れリスクが高いとして政策金利を 1.0%程度に引き上げる議案を提出しましたが、反対多数で否決されました。まず、経済・物価情勢についてご説明します。わが国の景気の現状ですが、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復していると判断しました。先行きですが、各国の通商政策等の影響を受けつつも、海外経済が成長経路に復していくもとで、政府の経済対策や緩和的な金融環境などにも支えられて、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まることから、緩やかな成長を続けると考えられます。ただし、中東情勢の緊迫化を受けて、国際金融資本市場では不安定な動きがみられるほか、原油価格も大幅に上昇しており、今後の動向には注意が必要です。物価については、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響もあって、2%を上回って推移してきましたが、足元では、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから 2%程度にまで低下しています。
§3Kazuo Ueda
先行きについては、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、生鮮食品を除く消費者物価の前年比はいったん 2%を下回る水準までプラス幅を縮小した後、足元の原油価格上昇の影響がプラス幅を拡大する方向に作用すると考えられます。この間、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、その後は景気の改善が続くもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくと見込まれます。こうしたもとで消費者物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想され、展望レポートの見通し期間後半には、物価安定の目標と概ね整合的な水準で推移すると考えられます。なお、原油価格上昇が基調的な物価上昇率の見通しに及ぼす影響についても留意が必要です。見通しを巡るリスク要因としては、今後の中東情勢の展開や原油価格の動向、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向、企業の賃金・価格設定行動、金融・為替市場の動向などがあり、それらのわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要があります。続いて、今後の金融政策運営についてです。
§4Kazuo Ueda
金融政策運営は、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえますと、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。日本銀行は 2%の物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく方針です。最後になりますが、やや技術的ではありますが、私どもの情報発信について一言付け加えさせて頂きます。今後の物価動向を展望しますと、政府による物価高対策の効果や、原油価格上昇の影響などにより、消費者物価は短期的に振れやすくなり、物価の基調を把握しにくくなると考えられます。こうした点を踏まえ、今後は基調的なインフレ率を捕捉する観点から、消費者物価指数のコア指標を拡充して公表するなど、より丁寧な説明を行っていきたいと考えています。また、先般の GDP統計の基準改定を踏まえ、日本銀行のスタッフにおいて、わが国の潜在成長率や需給ギャップを改めて推計しているほか、最新のデータを用いて、自然利子率の再推計も行っています。これらについても準備が整い次第、公表することを検討しています。
§5Question
一つ目は、緊迫するイラン情勢が日本経済・物価に与える影響について伺います。アメリカなどとイランの攻撃の応酬が続き、こうした状況で、交易条件の悪化によって経済を下押しする恐れがある一方で、原油の高騰が続けば物価が押し上げられ、上振れする可能性があります。金融政策を考えるうえでは、いわばトレードオフの関係にもなるわけですけれども、経済の下支え、物価上昇、どちらに重きを置いて判断していくのでしょうか。また、中東情勢の不確実性が金融政策の判断にどう影響を与えるか、ご見解を教えてください。二つ目です。今回、金融政策を維持されましたが、次の利上げに向けた考え方を伺います。前回 1月の会見では、チェックポイントを絞るのではなく、物価・賃金の上昇がどういうペースで続くか様々な指標から判断していくと述べられました。現在の状況を考えますと、当時とは状況が異なり、イラン情勢で不確実性が高まり、リスク要因ともなる中で、今後どういった点に注目して判断していくのか、次の利上げに向けた考え方を詳しく教えてください。
§6Kazuo Ueda
まず一点目ですけれども、今日の決定会合では、もちろん中東情勢の帰趨に注意が必要であるものの、わが国経済は緩やかな成長が続き、基調的な物価上昇率も見通し期間後半には物価安定の目標を実現するというこれまでの中心的な見通しを維持することとしました。ただ、ご指摘の通り、原油価格の高騰が続けば、交易条件の悪化を通じて景気を下押しする可能性が高まります。また一方で、原油価格の上昇は、短期的にはエネルギー価格を押し上げるほか、企業や家計の予想物価上昇率の上昇を通じて、基調的な物価上昇率を押し上げる可能性もあります。仮にそうした状況になった場合に、インフレの抑制と景気の下支えどちらに重点を置いて金融政策を運営するかというご質問でしたが、これは一概にお答えすることは難しいと考えています。一般論として申し上げれば、物価上昇や景気悪化の影響の大きさなどを踏まえたうえで、最終的には 2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現という観点から、最も適切な対応を選択していくことになると考えています。いずれにせよ、私どもは中東情勢の影響を含め、その時点で利用可能な各種のデータや情報から経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度をアップデートしながら、適切に政策を判断していきたいと考えています。
§7Kazuo Ueda
次に二点目のご質問ですが、今後の利上げの是非やタイミングについては、これまでと同様、経済・物価情勢や基調的な物価上昇率に関する見通しの確度やリスクを確認しながら、毎回の決定会合において適切に判断していきます。そのうえで、当面は、ご指摘の通り、中東情勢が、わが国経済にどのような影響を及ぼすかが重要なポイントになります。その前提として、ここ数か月のデータ、つまり、中東情勢勃発・変化の前のデータは、企業、家計ともに、所得、支出の両面で堅調さを示すものであったと考えています。更に、政府による様々な経済対策も経済成長にプラスに寄与すると考えられます。こうした中、原油価格の上昇に伴う交易条件の悪化などが景気をどの程度下押しする可能性があるかを今後点検していきます。基調的な物価上昇率については、先行き上下双方向に変動し得ると思っています。すなわち、景気に下押し圧力がかかり、需給ギャップが悪化すれば、基調的な物価上昇率を下押しする要因となります。一方で、原油価格の上昇や為替円安が人々の中長期的な予想物価上昇率の上昇につながれば、基調的な物価上昇率の押し上げに作用すると考えられます。こうした動きが、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去に比べ、例えばロシアによるウクライナ侵攻後の輸入物価上昇時に比べ強まっている可能性があるということにも留意が必要と考えています。
§8Kazuo Ueda
なお、こうした基調的な物価上昇率の今後の展開を見通すうえでも、当面は春闘における賃上げの状況や企業による値上げの動きなどを点検し、賃金と物価が持続的に上昇するメカニズムが作動しているかどうか確認していきたいと思っています。また、その際にはいつものことですが、様々なデータに加えて、随時蓄積されます本支店によるヒアリング情報も丁寧に分析していきたいと思っています。
§9Question
私から二点ございます。まず一つがですね、原油高への政策対応について改めて伺います。過去にもですね、有事の原油急騰という局面があって、例えば第二次オイルショックなどではですね、日銀が早めの金融引き締めをしたということで、比較的軽微な影響にとどめたということが言われているかと思います。一方で 2022年のロシア・ウクライナの戦争ではですね、日銀は金融緩和を維持しましたけれども、欧米の中央銀行などは最初ちょっと慎重な対応に出て、その後いわゆるビハインド・ザ・カーブ、急速な利上げを迫られたというところが記憶に新しいことかと思います。当然今回ですね、今後の展開次第で日銀の対応変わるとは思いますが、こういった過去の教訓などからですね、今後どのような姿勢で臨まれるのが正しいかとお考えなっているかということを教えてください。二点目です。政府との対話について伺います。政府はですね、国会にいわゆるリフレ派とされる二人の審議委員の方の人事案を提示して、本日ですかね、衆議院で可決されたということかと思います。これを高市政権による日銀へのけん制とみる声もあるわけですけれども、総裁、改めて政府、政権との対話は現状うまくいっているとお考えでしょうか。今後、景気の悪化と物価の上振れの両面のリスクがあると言われている難しい局面で利上げをしていこうというときに、政府の理解はこの状況で得られるとお考えでしょうか。
§10Kazuo Ueda
一点目ですけれども、過去のサプライショック的な局面での金融政策の対応と比べて、今回どういうふうにやっていくのかというご質問だと思いますけれども、私もここ 1 週間くらい、ご指摘頂いた日本の、例えば 1970年代の対応、それから直近では 2021年から 22年にかけて、そしてその後の欧米、日本を含めてですが、中央銀行の対応をもう一度復習したりしておりました。こういうことも参考にしながら、しかし基本線としては先ほど二番目の幹事社さんの問いでお答えしましたように、最終的には、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現という観点から最も適切な対応を選択していきたいと考えております。それから後半のご質問ですが、まず、新しい審議委員の人事そのものについては、任命の手続きが進行中ですので、コメントは差し控えさせて頂きたいと思います。そのうえで政府との対話については、密な意見交換をするということで一生懸命努力してまいりましたし、それはうまく実行されていると思います。今後も緊密な意見交換を続けていきたいというふうに思っております。
§11Question
二問お伺いします。原油高の影響についてお伺いします。これまで日銀としては、供給ショックとか一時的な要因に対して金融政策では対応しにくいという姿勢だったと思います。今回については、要は基調的な物価を押し上げそうだと判断すれば、利上げを検討する材料になるという理解でよいのでしょうか。ただ、基調まで影響するかどうかの判断には一定の時間かかると思うんですけども、それまでは様子をみるというお考えなのでしょうか。もう一問が、原油高と一緒にですね、円安圧力が強まっているというふうに思います。今回の中東情勢の緊迫化が為替相場に与える影響についてどのようにお考えかという点をお願いします。原油高だけじゃなくてですね、今回の円安が物価あるいは基調物価に与えるインパクトも利上げの判断に影響してくるのか、この点もお伺いできればと思います。
§12Kazuo Ueda
まず前段ですけれども、基本的には一時的なサプライショックはルックスルーするというのが一つの原則なんだと思いますけれども、おっしゃいましたように、一時的かどうか、なかなか判断が難しい中で、基調的物価にどういう影響があるかということをいつまでみれば分かるということを前もって言うことは、非常に難しいわけですので、毎回の決定会合において、そこまでに得られた情報をもとに最大限判断していきたいと思っています。ただ、そのうえでもう一つ忘れてはいけないのは、この中東情勢の話を横に置いておいたとしますと、私どもの持っている見通しは、基調的物価が少しずつ上昇して見通し期間後半には 2%に達するという見通しであったわけで、それが前提にあります。そこから上振れるのか、下振れるのかということを含めて、判断していくということでございます。それから、中東情勢は為替にどういう影響を及ぼすかということについて、具体的にコメントするのは差し控えさせて頂きますけれども、当然、いつも申し上げておりますように、為替の変動が物価あるいは基調物価に与える影響については注意してみていきたいというふうに思っています。
§13Kazuo Ueda
その際、これもいつも申し上げているかと思いますが、昔に比べまして、最近は為替レート変動の国内価格への転嫁、あるいはその先、基調物価への影響、こういうところが強くなっている可能性があるという点には注意しながらみていきたい、分析していきたいというふうに考えております。
§14Question
二点お願いします。一点目は、まだちょっと経済の下押しと物価への上押しのバランスを判断するのは難しいということではありますけれども、これまでのご発言を聞いておりますと、やはり既に物価が基調でも 2%に近づいている中でこういう供給ショックが起きたということであれば、やはり物価の上振れリスクを当面より意識しなければいけないのか、その点についてもう少し敷衍して頂ければと思います。二点目は、この中東情勢、日本経済だけでなく世界経済にも大きな影響を及ぼすと思います。世界経済への影響っていうのを現時点でどうみていらっしゃるのか。供給ショックという意味ではいろんな物の価格が上がるということは世界経済マイナスにも働く可能性があると思いますが、この点についてどうお考えでしょうか。
§15Kazuo Ueda
今回の中東情勢の諸物価への影響において、まず上方リスク、下方リスク、どちらをというご質問だったと思いますけれども、今日の決定会合でそういう点はかなり議論になりまして、結局メンバーによって上方リスクを重視したいというふうにおっしゃる人と、下方リスクをという方に分かれたという感じでございます。ただ、微妙に前者の方が人数としては多かったという印象も持ったところでございます。それから世界経済への影響ということですけれども、これは常識的な話になって恐縮ですけれども、日本と同じように、原油価格の上昇が各国でインフレ圧力になるという点が一点ですし、それから原燃料輸入国中心に、やはり交易条件の悪化を通じて経済活動の下押し圧力になるということであります。当然、これも日本と同じですけれども、先行きは中東情勢の問題がどれくらい長期化するかという度合いに左右されるでしょうし、また考えなくてはいけないのは、海運とか物流が停滞するということが様々な財のサプライチェーン上の制約の問題につながっていく。あるいは、そういうことも含めて、企業、消費者のマインドの悪化にどの程度波及するか。この辺、日本も同じですけれども、含めて考えていく必要があるというふうに思っております。
§16Question
二点お伺いします。一点目は、直前の質問の関連なんですけれども、基調物価の上方それから下方のリスクについて直前で質問がありましたが、ボードメンバーの中では意見が割れたということですけれども、植田総裁ご自身としては、どちらがより大きいとお考えなのか伺いたいと思います。また、どちらかというと前者の方が多かったとご説明頂きましたが、ということは物価の上振れリスクに対してより利上げで対応する重要性というのは高まっているといった認識はあるのか、教えてください。それから二点目は、来月公表される日銀の短観についてです。今後利上げのタイミングを判断するに当たって材料の一つとなるのではと思っていますけれども、一方でその回答の回収基準日を考えると、現在の中東情勢の影響が十分に織り込まれたものとはいえない可能性も高いと思います。植田総裁としては具体的に短観で、例えばこれまでの利上げの影響を確認したいのか、あるいは足元の中東情勢の影響を確認したいのか、どこに注目されていくのかそこのお考えをお聞かせください。
§17Kazuo Ueda
物価の、あるいは基調物価の、今後の上振れ、下振れリスクを私はどっちに重点を置いてみているかというご質問だったと思いますが、それは何とも現状、差し障りのある言い方かもしれませんが、 3月入ってから起こった事態で、日に日に情勢が変わるというところでもありますので、もう少し情勢をみたうえで、どちらが重要かということを判断していきたいと考えております。それから途中にあったご質問が、例えば基調物価の上方リスクが高いと判断されれば政策変更になるのかというご質問だったように伺いましたけれども、それはもう少し情報が蓄積されていった場合に、当然私どもは見通しをもう一回再点検する、 4月の会合は展望レポートがありますし、そういうことを致しますが、その場合にまず中心見通しがどうなるかということが最大のポイントになりますし、それを前提にしたうえでそこからのズレとしてリスクをどういうふうにみるのかということをまとめるということになります。中心見通しが維持されるのか変わるのか、あるいは維持されるにしても確度が上がるのか下がるのかということが最大のポイントですが、当然リスクについても上方リスク、下方リスクをみて、それが無視し得ない大事なリスクであると判断した場合には、ある種リスクマネジメント的なアプローチからリスクの方に重点を置いて政策を考えるという可能性もゼロではないというふうに思っています。
§18Kazuo Ueda
それから短観については、まず、得たい情報としては当然ここまでの経済の強さとそれに中東情勢が加わった部分の追加的な影響はどうなのかという両方ですけれども、その後者の部分が回答の回収のタイミングとの関係でどれくらいうまく取れているのかという点については、ちょっと回答の回収の分布をみてみないと分からないような気が致しますので、改めて短観の発表の後、適切なタイミングで私あるいは担当の局からご説明差し上げたいと思います。
§19Question
過去のご発言から二問伺います。まず、金融政策の正常化に踏み出して 2年が経ったことについて、その正常化を決めた後の会見で、政策金利の経路に関してテイラールールは常に金融政策を決める者の頭にあるとおっしゃっていました。ただ同時にそのルール、式に入れるべき変数の水準やパラメーターの値の置き方によって出てくる適正な金利水準は非常に幅があるともおっしゃっていました。まだ 4 回しか利上げはしていませんし、利上げが引き締めに効いている感じもあまりありませんが、多少はその辺りの論点が整理されているのか伺えればと思います。あともう一点がですね、一昨年の夏の 0.25%の利上げに関してなんですけれども、その追加利上げの後、ちょっといろいろマーケットがガタついたりとか、総裁も国会に呼ばれたりとかもありましたが、その直後の 9月の会見で、その年のジャクソンホールで発表された論文を引用された、インフレに対する市場の織り込みのラグを説明されていました。具体的にアメリカの金融市場について、 FRBが利上げに踏み切る前からインフレ率がかなり高かったんだけれども、利上げを市場が本格的に織り込んだのが、 FRBが実際に利上げした後だったという考察で、市場の期待を変えていくっていうのは普段以上の努力が必要とおっしゃっていました。
§20Question
日本でもようやく 2%物価目標の実現を織り込み始めた感がありますけれども、織り込むスピードっていうのはこんなものなのか、もしくは市場の特有なバイアスですとかポジションみたいなものがあって、実態よりも鈍いのか、節目ですので、その辺りのご認識、総裁のご見解を伺えればと思います。
§21Kazuo Ueda
どちらのご質問も、結局はある意味、基調的なインフレ率という話と関係してくるように思いました。前半はテイラールールについて、今回、あるいは今進行中のこととの関係でどう考えるかというご質問だったと思うんですけれども、普通に単純なテイラールールにインフレ率とかを入れて計算しますと、おそらくかなり高い金利が出てくるということに、現実の政策金利よりもかなり高い金利が出てくるということになるかと思います。普通はテイラールール的なことを考える際にも、足元のインフレ率を入れるのではなくて、金融政策にラグがあるとか、効果の発現にラグがあるとかいうことを考えると、先行きのインフレ率の予想とか、そういうものを入れてくるっていうふうになっていくんだと思うんですが、それを突き詰めていくと、基調的なインフレ率を入れるという姿になっていくということで、そうなっていくと、私どものやっていることとそんなに違いはないのかなというふうに思っております。それから、インフレ率の動向を市場が織り込んでいくのに時間がかかったり、うまく織り込ませるのが難しいというポイントですけれども、これもインフレ率が急激に上がったりした場合に、どれくらい長期間上がり続けるのかとか、それに対して中央銀行はどう反応するのか、そういうところの予想がすごい難しいということに起因しているというふうに思います。
§22Kazuo Ueda
結局それは無理に突き詰めていえば、基調的なインフレ率がどれくらいかということは、そもそも判断するのはそう容易ではないですし、それもあるので私どもも苦労はしてきました。今日、先ほども技術的な公表指標の拡充の話をちょっと差し上げましたが、コミュニケーションにおいて、一層の努力を重ね、私どもも市場も基調インフレ率に関して、共通の見方、見解を持てるように努力していきたいと思っております。
§23Question
二点お願いします。春闘に関しまして、昨日の集中回答日では満額回答が相次ぎましたけども、ここまでの春闘の結果に対する評価、利上げ判断への影響も含めていかがでしょうか。足元、中東情勢の悪化で原油価格も上がってますけれども、これから本格化する中小企業への賃上げに与える影響をどうお考えかということをお聞かせください。二点目がですね、先ほどの質問でもありましたけれども、中東情勢の先行きが見通せない中で、ヘッドラインのインフレ率も下がっていく中で、今後の利上げ方針について政権とどういった部分に力点を置いてコミュニケーションを図っていく、説明されていくお考えかお聞かせ頂ければと思います。
§24Kazuo Ueda
まず春闘ですけれども、これまで出てきた情報で判断する限りしっかりとした姿になりつつあるということだと思います。ただ、今後、大きなポイントはおっしゃったように、中小企業の賃上げがどの程度のものになりそうかということが一つの大きなポイントであるというふうに私どももみています。事前の情報では、例年よりも中小企業への広がりもかなりありそうだという情報が多かったように思っていますけれども、もうすぐ連合の中小企業の一部をカバーする集計も出てきますので、それを参考にしたり、あるいは私どものヒアリングも参考にしながら、この辺についてしっかりと点検していきたいと思っています。それから、ヘッドラインや除く生鮮のインフレ率と基調的なインフレ率は、特に当面違った動きをしそうですけれども、この辺について政権との意思疎通はどうかというご質問だったと思います。これは私の印象では、政権サイドも政府サイドも、基調的物価上昇率というふうには必ずしも呼ばないことも多いわけですけれども、それに類するものの重要性、それからそれとヘッドラインの違いというのは、しっかりと理解されていて、その辺について私どもと齟齬があるというふうには感じておりません。
§25Question
先ほどですね、会合では、基調物価の上振れリスクを指摘する委員が多かったということなんですけども、ちょっと直接的で恐縮なんですが、OISで 4月会合でですね、日銀が追加利上げを行うんではないかという確率が 60%と比較的高い状況にありまして、そもそも原油高を受けた基調的な物価上昇率の方向性を見極めるというのは、そうした 1、2 か月とかいうタームで可能なのかどうかということをちょっと総裁に伺いたいというのが一点です。もう一点目はですね、原油上昇によるですね、景気下振れリスクがある中でも利上げが必要になるケースについてお伺いしたいんですが、インフレ期待が上振れてですね、賃金と物価が高水準で循環的に上昇するいわゆる二次的な波及が起きてるときにそれは想定されることなのか、それとも幅広い原油価格の上昇が幅広い品目にですね、波及している段階でそういった見極めが可能なのか、そういう場合でも利上げということが必要になるのかどうか、総裁のお考えをお願いします。
§26Kazuo Ueda
基調物価の判断が短期間で可能になるのかというのが前半のご質問だったと思いますけれども、もちろん何か起こったときにその影響を、特に基調物価に対する影響を短期間で判断するのは割と難しい作業であるわけですが、基調物価そのものは過去からの様々なデータの積分みたいな感じで判断しているわけで、そこに新たなショックが追加的に起こって、これまで持っていた見方がどれくらい動くかというところを判断するわけですので、厳密な判断は難しいと思いますけれども、どちら方向にいきそうかとか、変動するとしてもどれくらいの程度かとか、そういうことについて短期間でも分かる可能性はあるというふうに考えています。それから、サプライショックへの反応に関連して、二次的な影響があるかどうかという点をどういうふうにして判断していくのかということだと思いますが、これも二次的な波及効果が強く起こるというケースでは、おっしゃったような幅広い品目で強い値上げの動きが起こるということが続いて、それが賃金に波及し、また物価に波及し、となっていくと、二次的波及がしっかりと起こってるということだと思うんですけれども、それをどの段階でかなりの二次的波及になりそうかというのを捕まえるのかというのは、その時々の状況によって、早めに分かるときもありますし、かなり待ってみないと分からないときもあるということで、一概には言えないと思っております。
§27Question
私の方からは二点質問させてください。まず、中東情勢の悪化を受けまして株価が下落をしております。先行きの見通しが立ちにくい中で、金融市場が不安定化してる状況が続くという可能性もあるかと思いますけれども、こうした環境であっても物価情勢次第では利上げを行うということになるのかどうか、あるいはですね、市場環境が安定するまでは利上げに慎重にならざるを得ないのか、この辺りについて、ご見解をお聞かせください。二点目ですけれども、日銀は今後の利上げにつきまして、経済・物価情勢に加えて金融情勢も勘案して判断されるということになっているかと思います。今回の中東情勢の悪化や原油高によりまして、金融情勢に今後どのような影響が及んでくるというふうに考えておられますか、この部分についてもお考えをお聞かせください。
§28Kazuo Ueda
国内も含めて国際金融資本市場への中東情勢の影響については、当然毎日注視しております。若干リスクセンチメントが低下しているというような部分もあるかと思いますので、注意深く政策判断に当たってはみていきたいというふうに思っています。金融情勢一般を政策判断にどういうふうに影響させるかという、より一般的な観点からは、もちろん資産価格の変動が経済そして物価にどういう影響を及ぼすかという王道の分析がポイントになりますけれども、同時に、時々あることですが、大きなショックが発生したときに、金融システムが不安定になると、そういうことがないかどうかという点のチェックも必要になるんだと思います。現状、そういうふうなシステミックな金融の問題に至っているというふうには全く考えておりません。
§29Question
二点お願いします。今回のディレクティブの中で経済の見通しは基本的に据え置かれてるかと思うんですけれども、市場などではスタグフレーションへの懸念という声もささやかれています。総裁の基本的な見通しとは別としてですね、どの程度スタグフレーションの可能性について考えていらっしゃるか、ご懸念はどの程度あるのかというのを一点教えてください。もう一点は冒頭におっしゃって頂いた情報発信について伺います。先ほどの説明だけだとちょっと理解が追い付かなかったんですけれども、日本銀行として、どういう点で情報発信に課題があって、 CPIとか、需給ギャップ、潜在成長率についてどういう拡充をして、どのようにコミュニケーション、改善なのかアップグレードなのか、していこうと思われてるのか、もう少しだけご説明ください。
§30Kazuo Ueda
まず、今回は中心的な見通しを据え置いたわけですけれども、今後ある程度追加的情報が入ってきた際に見直したらどっちの方向に動きそうかというご質問だったと思うのですけれども、それは何とも申し上げにくいということかと思います。まず先ほどもちょっと申し上げましたけれども、中東情勢が変化する前までの時点のデータをみていますと、それまでの見通しを正当化するような、よく言われるオントラックと評価していいような情報、データが多かったようにみています。人によってはやや強めくらいだという見方が一方にある。これに対して中東情勢の変化は、当然それだけをとれば成長率に下押しの影響、それからインフレ率に上振れの影響をもたらすわけです。ただ、基調的物価、つまり長期のインフレ率にどういう影響を及ぼすかというのは難しいところですが、こういうのを総合してどういう姿になるのかというのは、今後入ってくるデータを丹念に検討したうえで、取りあえずは4月の展望レポートでご覧に入れたいというふうに思っています。それから二番目の基調物価に関連した新しいデータ指標の公表とはどういうものなのかというご質問だと思いますけれども、私ども基調物価を判断する際に、非常に短期的に変動しやすい生鮮食品とかエネルギーの部分をよく除いた指標をみるということをしております。それは既に公表されているわけです。
§31Kazuo Ueda
それ以外に基調の動きをみえにくくしている要因として、政府の施策の一部、制度要因と呼んだりしていますが、例えば授業料無償化の影響、こういうものはそういう政策が発表、実行されたところから一年間インフレ率に影響を与えて、一年間経つと消えてしまうような意味で一時的な影響を及ぼします。いくつかの既に公表されてる物価指数からそういうものを除いてみたらどういう姿になるか、ということを例えば公表してみたいということを検討しております。こういう作業は私どもが基調をみる際にずっともうやってきたことではあるわけですけれども、これを皆さんと共有することによって、先ほども出てきましたような基調の判断を私どもと皆さんの間でなるべく共通化していくという目的に資するかなと思っている次第でございます。
§32Question
先ほどからずっと基調物価上昇率、基調インフレ率ってお話をされてて、日銀はその基調インフレ率をみて政策運営されてるってのは承知してるんですけれども、基調物価を探るうえで、その品目を除けば除くほど、国民生活からかけ離れたような数字になっちゃうと思うんですけど、そのひずみが今ずっと生じている中で、日銀が言う政策を決めている基調インフレ率、国民が感じる物価観の違いをどのように感じてらっしゃるかをお伺いしたいんですけど、よろしくお願いします。
§33Kazuo Ueda
おっしゃるように、一時的と思われる変動を除いてくと、玉ねぎの皮をむくように除いていけば除いていくほど何も芯が残らなくなってしまうというリスクは常にあるわけですけれども、私どもとしてはなるべく中長期的なインフレ率の動向をみたいという観点から、様々な指標を試して総合的に判断しているというところでございます。ただそのうえで申し上げれば、おっしゃったように、基調をみる際に除かれるものの多くはエネルギーであったり、食料であったり、国民生活に大きな影響を及ぼす品目が多いわけで、一つにはその中にも長く続くものがあるかどうかという点は虚心坦懐にみていきたいということと、基調では除かれてしまうかもしれないけれども、国民生活には例えば消費者物価総合が大きな影響を与える、そしてそれが 2%をかなりの期間超えてきたという点については常に注意を払いつつ、物事を考えていきたいと思っております。
§34Question
一点お願いします。原油価格の高騰を受けて、物価上昇と景気鈍化が同時に進行するスタグフレーションに陥るリスクについて、総裁は現時点でどう考えていらっしゃいますでしょうか。先ほど別の記者の方が同じ質問されてましたけど、ちょっと明快なお答えがなかったかのように思えたのでお願いします。
§35Kazuo Ueda
どこからスタグフレーションと定義するかということ次第だと思うんですけれども、他の条件を一定にして、原油価格上昇の影響を取り出しますと、やはり物価に対しては上振れ要因になって景気に対しては下振れ圧力になるという点はその通りかと思います。それぞれどの程度の大きさになるか、あるいはどの程度の期間続くのかという点に関しては、非常に不確実性が高いということが今申し上げられるところかなと思います。
§36Question
冒頭お話しされましたその新しいデータの公表について、整い次第っていうふうにおっしゃいましたけども、大体の目安というんでしょうか、夏ぐらいなのかあるいは年内みたいな話なのか、いつ頃イメージされているのか教えてください。
§37Kazuo Ueda
制度要因を除いた消費者物価の話ですか。それはそんなに遠い先ではないタイミングで発表させて頂けると思います。夏までもかからないと思います。
§38Question
今日の会見を伺ってますと、先ほど別の記者の方の質問に対してですね、基調的物価 2%に達しつつあるというようなことをおっしゃっておられますし、春闘についても確認ができてですね、非常に強かったということがみえていると思うんですけれども、会見全体通してですね、経済的な要因からみれば、今回なぜ利上げを見送られたのかがちょっと理解できません。やっぱり市場の中ではですね、政権を説得しきれてないから、タイミングを見計らっているという見方が多いと思うんですけれども、本当に政権との対話はうまくいってるんでしょうか、説得できてないんじゃないですか。同時に、利上げをしなかった理由をもう一度明確に教えてください。
§39Kazuo Ueda
今回現状維持とした理由でございますけれども、基本的にはこれまでの見通しそのものは変えなかったわけですけれども、いつも申し上げておりますように、その見通しが実現する確度をどれくらいとみるかという点について、これまでよりも少し低下して、その分リスクシナリオの可能性が高まった、リスクシナリオの中でも原油価格上昇に伴うリスクシナリオが新たに登場してきた、この点を重視して現状維持としたということでございます。これも申し上げましたように、来月にかけてもう少しデータ・情報は整ってきたところで、もう一度見通しを点検し、リスクシナリオについても点検し、改めて適切な政策を判断する予定でございます。
§40Question
今後物価に対して、物価の基調に対して上方、下方リスク両方みていくということですけれども、世界を見渡すと世界の中銀というのはどちらかというとアップサイドリスクっていうのを気にして、マーケットの中でも利上げの期待というのが高まっています。利上げ、もしくは利下げが減るとかですね。日銀もそういった中で、仮に下振れリスクを重視していくと、円安への圧力というのがかかって、円安からくる物価の基調への影響というのがより大きくなるリスクがあると思うんですけど、そういった点は今後どういうふうに考えてらっしゃるのか、お願いします。
§41Kazuo Ueda
これは先ほどもどなたかの質問であった通りですが、円安、為替のマーケットはどういうふうに動くかということについてのコメントは差し控えさせて頂きます。ただ、繰り返しですけれども、為替レート変動の経済・物価、特におっしゃるように、物価あるいはひいては基調物価への影響については、注意深くみていきたいということですし、更に申し上げれば、為替レート変動が国内物価に与える影響が過去よりも強くなっている、その結果、基調物価に影響する可能性も高まっているという点には留意しつつみていきたいということでございます。
§42Question
先ほど来説明されてる新しい情報発信と金融政策の関係についてお聞きしたいんですが、新たな基調的物価の指標を出すということは、結局、利上げをするときにその理由を説明しやすくする効果、ありていに言えば利上げをしやすくするような効果を狙っているということなのか、それともそういうことではないのか。更に、先ほど需給ギャップとかの言及がありましたが、その延長線で、例の自然利子率とか中立金利に関する推計値も改めて出すというようなお考えも視野に入れておられるのか、その点についてお聞かせください。
§43Kazuo Ueda
基調物価そのものは分かりにくい概念で申し訳ないですし、結局はいろんな指標をみて総合判断ということにならざるを得ないわけですけれども、その中で大事と思われる指標をもう少し公表できるものを追加的に出して皆さんと議論したいということでして、政策をそれでどっちに直ちに持っていこうという意図があるわけではございません。それから、GDPデータの改定に伴って、GDPギャップの推計とかあるいは中立金利の再推計とか、こういうことを進めておりますけれども、結果が整い次第公表することも検討しております。
§44Question
白血病治療を続けてらっしゃる内田副総裁について伺います。今回の会合で三会合連続で変則的な出席となったわけですけれども、非常に副総裁という枢要なお立場にいらっしゃるわけですけれども、日常的な業務に支障が出ていないのか、あるいは今後復帰の見通しはどういうふうにお考えなのか教えて頂けないでしょうか。
§45Kazuo Ueda
日常的な業務という観点では、電話とか電子メール、テレワーク等で十分こなされております。ただし、感染症を避ける観点から、例えば今日の決定会合はリモートで参加されております。物理的にいつ復帰されるかという点については医師の判断を今待っているところでございます。
§46Question
今日の声明文にもこれまで通りの文言で入ってますけれども、今後の金融政策運営について、経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げるという趣旨のことが書いてあります。この経済・物価情勢の改善に応じてっていう文言がある意味についてちょっと改めて確認したいんですけれども、原油の価格の上昇で一時的に物価が上昇して景気が減速するときに、やはりそれでも利上げができるシチュエーションってのがよく理解できておりませんので、改めてちょっとこの文言との兼ね合いという意味で説明をして頂きたいなと思います。
§47Kazuo Ueda
この文言との関連になるかどうかはあれですけれども、成長率が下がるということがあったとしましても、それがどちらかといえば一時的なものであって、それも含めて基調物価の経路にはそんなに影響しないということであれば、当然利上げは可能であるというふうに考えております。この文言が分かりにくい面もあると思いますので、4月のステートメントでは、見通しをもう一度やるという作業の結果のご説明も含めまして、もう一度検討させて頂けたらと思います。
§48Question
先ほど来から出てるスタグフレーションについてなんですけれども、会見の最初の方で過去のオイルショックの事例などを復習しているとおっしゃられていましたが、そういうスタグフレーション自体を総裁として考慮してるから、そういう復習などをされているというニュアンスがあるのかどうか。また、そのような事態が本当に長引き影響が大きい場合には、日銀が過去に採ったような類似事例と同様に、物価の安定に注力するという金融政策の基本に沿った判断を採るというふうに理解をしてよろしいのでしょうか、という点についてちょっとお伺いできればと思います。
§49Kazuo Ueda
過去のをみてる、あまり他意はないわけですが、一般論として、いわゆるネガティブなサプライショックが起こったときに、金融政策は過去にどういう対応をしてきたかということの復習としてみておりました。そういう際に大事なこととしては、これまでに議論、お答えしたことに付け加えるとしますと、中長期のインフレ期待が目標のインフレ率の水準近辺でアンカーされてるということは大事かなというふうに思う次第でございます。
§50Question
先ほどもちょっと質問があったんですが、今回のイラン情勢の、中東情勢の緊迫化で原油価格が上昇する影響について、世界的な影響があり、各国の中央銀行もいろいろな動きがあると思います。その中で、前回激しく物価が上がったウクライナの戦争のときは、海外は利上げをされる中、日銀はその当時、金融緩和、大規模な緩和を継続されていました。今回判断するのに当たって、他国の中銀の政策についてもある程度共同歩調を合わせるではないですけれど、そういうところを視野に入れられるかというところをお聞かせください。あと、先ほど来おっしゃっている中で、来月の会合までのデータを点検して適切な判断をされたいというふうにおっしゃっていることの中には、金融緩和度合いの調整、いわゆる利上げも判断にあるのかというところを改めて確認させてください。
§51Kazuo Ueda
今回の事態を受けて、海外の中央銀行と共同で何か政策をという動きがあるかどうかですが、それは過去もそうでしたが、それぞれが最適と思うことを決定していくということだと思います。4年前と比べますと、当時日銀については基調物価ということでいえば、それは非常に低いところで安定してしまっているということ、他の国についてはもう少し高いところから始まったということが大きな違いだったと思いますし、現状では他の国は基調物価、大体ターゲット周辺にあるんだと思います。日本銀行はいつも申し上げておりますように、ターゲット、2[%]に近づいてきているけれどもう少し距離があるということかなと思います。後半の質問なんでしたっけ。すみません。
§52Question
来月、データを点検して適切な判断をされるっていうことを先ほどのいろんな質問の中でもお答えされてたと思うんですけど、この判断の中には金融緩和度合いの調整、いわゆる利上げっていうものも含まれている、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
§53Kazuo Ueda
常に毎回の会合でそのときまでの情報を点検しまして、それに応じて適切な政策をしていきたいと考えております。
§54Question
中東情勢の緊迫化なかりせば日銀の経済・物価見通しに沿った動きをしていたというお話されてまして、今回、原油価格高騰してるわけですけれども、これまでの日本経済の質的変化というか、現状で経済なり企業収益なり賃金というものに対して、今回の事態に対するレジリエンスが相応程度あるというふうに総裁はみてらっしゃいますでしょうか。その一方で、これを放置したりすると、もう 1 回日本経済がそのデフレに戻ってしまうリスクがあるので、そういうリスクも踏まえてこれから臨んでいかないといけないと、そのようにお考えでしょうか。
§55Kazuo Ueda
そこは、今回のショックのそれこそ大きさと持続性次第で、なかなか難しいということだと思います。基調物価も 2[%]に近づいてきてるところですけれども、定着したとは言えないですし、多少下かもしれない、 2[%]よりも、という中で、2[%]に本当に定着させることができるかどうか、今度の事態も受けてですね、注意深く点検し、政策運営、間違えないようにしていきたいと思っております。以上