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日本銀行記者会見2013年6月13日白井さゆり, 審議委員

白井審議委員記者会見(2013年6月13日)要旨

全文

§1Question

2 点質問します。まず 1 点目ですが、本日の金融経済懇談会で地元行政や経済界の方とどのような議論があったのでしょうか。また、挨拶要旨にも触れていますが、道北地域の経済に対してどのような認識を持たれているのでしょうか。2 点目は、北海道、特に道北は輸出型の企業が少ないという特徴がありますし、少子高齢化や人口減少が日本の中でも先行して進んでいる地域ですが、そうした地域が今後活性化していくには、どのようなことが期待されるのか、アドバイスやお考えがあればお願いします。

§2Sayuri Shirai

1 点目ですが、本日は、各界を代表する非常に重要な方々から貴重なご意見を頂きました。旭川の景気の現状については、企業の設備投資は依然慎重であるなど、アベノミクスや量的・質的金融緩和政策の波及にはまだ時間がかかる、との声が聞かれました。その一方で、企業経営者のマインドは確実に改善しているほか、国際便の就航効果による外国人観光客の増加もあって、当地を訪れる観光客は東日本大震災前の水準まで回復し、建設関連も公共工事の増加によって持ち直している、と伺いました。有効求人倍率は1992年頃の水準に達しているなど、景気回復の兆しも窺われるとの声も聞かれました。そうした意見も踏まえて当地の金融経済情勢について申し上げると、足許では、円安方向の影響に伴うインバウンド観光の好調さや生産水準の緩やかな回復など、持ち直しの動きがみられています。先行きについては、国内需要が底堅く推移する中で、観光の好調さが続くとみられることから、持ち直しの動きが徐々に拡がっていくとみています。また、懇談会では、当地の良質な農産物等の国内外への販路拡大や、当地の森林資源を活用したバイオマス発電などの地域活性化に向けた施策を、官民が協力して取り組んでいるとお聞きしました。特に海外向けの販路拡大では、アジアに加え地の利を活かしロシア向けを積極的に取り組んでいることも伺いました。

§3Sayuri Shirai

こうした前向きな取り組みが実を結び、旭川・道北地域の経済活性化が図られることを心から願っています。次いで 2 点目の、当地の強み等や活性化のためのアドバイスという質問ですが、当地の強みは、世界に通用する「食」と「観光資源」ではないかと思います。北海道の食の人気は内外で高まっていますが、中でも「ゆめぴりか」や「ななつぼし」に代表される当地の米は全国トップクラスです。また、観光面においては、「旭山動物園」をはじめ、「富良野」、「美瑛」、「大雪山」という集客力の高い観光地が集積し、最近では台湾や韓国等アジアからの観光客が順調に増加していると伺いました。逆に弱みとしては、製造業のウェイトが低く、アジアの成長などの恩恵を受けにくかったことや、建設業のウェイトが高く、中長期的には公共投資削減の影響を強く受けてきたことが挙げられます。これに対して、旭川市をはじめとする官民の関係者の皆様によって、食をはじめとする地場産業の販路拡大、食と観光を一体的にPRする観光振興の取り組みなど、当地の強みをさらに発揮する方向での取り組みが強化されていると伺っています。こうした関係者の取り組みが実を結び、旭川・道北地域の経済活性化が図られることを心より祈念しています。

§4Question

本日の金融経済懇談会の出席者の中から、前向きな明るい材料の話もあったということですが、全国と比較すると、道北地域の景気回復は遅れていると思います。委員が発言された通り、当地は輸出産業があまりないということで円安の恩恵はなかなか回ってきませんし、製造業も弱いわけです。他方で、今、金利が急速な勢いで上昇していますので、これから事業会社に対する貸出金利が上昇していくと思われます。これまでも景気回復局面ではみられたことかと思いますが、景気回復の全国に比べての遅れと、全国一律に上がっていく金利を踏まえて、当地の中小企業の経営についてどのようにご覧になっているか、どういった点に留意すべきか、ご指摘頂ければと思います。

§5Sayuri Shirai

本日は、金融経済懇談会にご参加頂いた方々から、マインドの方は改善していると伺いました。それから、雇用についても、有効求人倍率をみるとよくなっているということで、一部に政策効果がみられるとの声を聞きました。一方で、貸出が減っている、なかなか資金需要がない、という声もありました。また、昨年の秋くらいまでは過度な円高という状況で、その後に円安方向にシフトした、ただ、そのことによる恩恵があまりない――製造業が少ないのでプラスの効果がない――のではないかということですが、実は今回、世界に、特にアジアに輸出しているメーカーの経営者の方と何人かお会いしました。野菜を洗浄する機械を作っているところとか、医療関連のマスクを作っている方々は、アジア、世界をみて事業を行っています。こうした方々にはプラスの効果があるということですので、効果が全くないというわけではないと思います。確かに地域経済は中央から比べて景気回復のペースが遅いところがありますが、私どもは金融緩和をこれから着実にやっていきますので、そういった効果は政府の努力とともに、出てくるのではないかと思っています。金利に関しては、旭川だけでなく日本全体で関心があるテーマだと思いますので、全体的な方向感で話をしたいと思います。金利が4月以降、変動が高まるような状態になりました。私なりに状況を整理すると、2 つ環境の変化があったと思っています。

§6Sayuri Shirai

1 つは、今までは、私どもは包括緩和のもとで金融緩和をやってきましたが、なかなかデフレを脱却できなかった。1月に 2%のインフレ目標を示しましたが、それでも 2%が果たして可能だろうかという声が殆どでした。インフレ期待が上がるような状況ではありませんでした。そういう中で、私どもが大胆な金融緩和を 4月4日に打ち出したことで、全員ではありませんが、一部の方々――金融機関の方々――が、インフレが起こるかもしれないと思うようになったということです。デフレ脱却が全く難しいという状況に比べれば、4月4日の金融政策は、以前に比べれば確実に信認を高めているのは事実だと思います。それは事実ですが、やはり今まで、デフレに慣れた運用の仕方、デフレに慣れた企業の価格設定が約 15年ほど続きましたから、なかなかすぐに調整ができず様子見の方もいますし、インフレを意識した行動をする人もいる、そういう過渡期にあると思います。投資家の中には、率先してインフレ期待を取り込んでいく方々もいれば、様子見の方々もいる。そういう中で、市場が今までと違う動きをしている。それが金利の変動を起こしている背景の 1 つにあると思います。これ自体は、今までの状況とは違い、いわゆる先進国並みの2%を目指しませんかという方向で政策が動いていく中での動きではないかと思っています。

§7Sayuri Shirai

もう1 つは、米国が今年は財政引き締めをしていますが、それにもかかわらず比較的緩やかな成長を続けており、ファンダメンタルが強くなってきています。そういう中で、中央銀行の幹部を中心に資産買入額の縮小を匂わすような表現が出てきている。そうすると、米国の長く続いた金融緩和が、そろそろ出口に向かう方向に動き出すかもしれない、そういう色々な投資家の考えがあって市場が動いている。本来であれば、金融緩和を縮小していくということはその前提として景気が良くなっている、あるいはその見通しがあるはずなので、米国の景気が良くなっている中で金融緩和が解除される方向であれば、米国の金利が上がり、ドル高になり、米国の株が上がっていくことが考えられると思います。とはいえ財政引き締めの影響もありますし、発表される経済指標も区々で、良いものもあれば、悪いものもある。そういう中で、いつ頃資産買入れの金額が減っていくのかについて、投資家の中では様々な見方、違いがでてくるわけです。そのために米国の金利が上がり、ドル高になり、米国の株が上がるということでなく、むしろ米国の金利が変動し、その中でドル安になったり、米国の株安になるという状況があって、それが日本に波及している面もある。その中でファンドを中心にリスク量が高まってポジションを解消するとか、利益確定売りというものもあったのではないかと思っています。

§8Sayuri Shirai

これらが 2 つの環境変化ということではないかと思います。今、米国の金利状況と、インフレに移行していく過程での日本の投資家の動きの違いを説明しました。この間、国債市場の取引高に関しては決して減ってはいません。取引は活発に行われている。ビッド・アスク・スプレッドも、過去の歴史的なデータからみて非常に高いわけではないですが、いわゆる「板が薄い状況」にはあると思います。板が薄い状況とは、国債の価格に対して買い手と売り手がいて、それぞれに枚数というものがあるわけですが、それが今までよりすごく薄くなっているという状況です。ですから、ある金融機関が大量に国債を買う、あるいは売りたいという時に、今までのような価格では希望する金額全てを取れなくなるようなことが起こっていて、そのために取引コストが高くなっている状態にあるのは事実です。また、市場流動性――流動性を日中の値幅(最高の値と最低の値の差)を出来高で割った比率と定義するのであれば――も、高めの水準で推移しているという意味では、影響を受けています。これに関しては、私自身は、今は投資家によって様子見の方もいますし、リスク量が大きくなって少し待ちたいという人もいますし、積極的な行動をしている人もいる中で、徐々に落ち着いてくるのではないかとみています。

§9Sayuri Shirai

加えてもう 1 点、国債市場の関連で影響を与えているのが、投資家の日本銀行の金融政策に関する見方だと思います。日本銀行の金融政策の結果、長期金利がどう動いていくかについて、市場参加者の中には、非常に早く上がっていくという見方やゆっくり上がっていく見方など、意見が色々あり、それが市場に反映されているのではないかとみています。これに関して私の個人的な意見を申し上げると、4月4日に金融緩和政策を打ち出した時に公表文でも明記したように、2年を念頭に早急に 2%物価目標を実現するように努めるという点に関しては、その思いはあります。ただ、4月26日の展望レポートで 2015年度に中央値として1.9%のインフレ率を見込んでいるように、若干の幅を持って合意に達しているということです。繰り返しになりますが、2年を念頭に早急に 2%実現したいという思いはあります。しかし、より私自身が重要だと思っていることは、同時に公表文で2%の物価目標を安定的に持続するために必要な時点まで金融緩和を継続するとコミットしている点です。こちらの方を私自身は重視しており、ここを敢えて本日は強調したいと思います。つまり、これが意味するところは、例えば2年経てばすぐに出口に向かう、といったことではありません。

§10Sayuri Shirai

むしろ重要なのは、先進国並みの 2%にインフレ率をもっていき、それが持続的に実現するように金融緩和を続けるということなので、何か急いで止めるということはないということをご理解頂きたいと思います。違う言い方をすれば、ここで意味していることは、私自身は、長期金利は緩やかに上昇していくとみております。もう少し私の考えを申し上げると、本日の講演原稿でも書いてあるように、日本銀行は毎月7 兆円という大変な金額の国債を、これから少なくとも来年末まで着々と買っていくわけで、これは金利を下押しする効果があるわけです。これは、今まだ開始して 2 か月が過ぎたところですが、その金利押し下げ効果は、今後むしろ累積的に高まっていく可能性が高いわけです。そういう中で、長期金利は 2~3年の期間をかけて緩やかに上がっていくのではないか、と現時点では私は考えています。インフレ期待との関係ですが、インフレ期待は、本日の講演原稿にもあるように長期金利の一部を構成していますが、一方で国債を買い続けることによってリスク・プレミアムを下げる圧力があります。ですから、しばらくの間は、インフレ期待が緩やかに 2~3年かけて上がっていく中で、長期金利はそれを下回るスピードで上がっていく、つまり、実質金利が下落していくと考えています。

§11Question

2 つお聞きします。1点目ですが、本日の講演原稿の 20 ページに、日銀の中心的な見通し――15年度にコア CPI が2%に達する可能性が高いという見通し――に対して、下方リスクを少し意識する必要がある、とあります。この下方リスクが顕在化した場合には、異次元緩和第2 弾というようなものが採られるのかどうか。日銀は、現在既に月7 兆円を超える長期国債を買い入れているわけですが、講演原稿の 17 ページの中ほどに、買入れが国債の新規発行額(月間 10 兆円)に近づくと財政ファイナンスと誤解される懸念がある、とお書きになっています。ということは、異次元緩和第 2 弾と呼ぶかどうかはともかく、下方リスクが顕在化した時にとられる措置は、国債ではなく、例えば ETF のようなリスク資産になるのでしょうか。2 点目の質問は、今、白井委員ご自身がまさに長期金利は緩やかに上昇していくとおっしゃった点と関連しますが、講演原稿の 7 ページに、長期金利は最終的に 2%の物価安定目標と整合的な水準で安定していく、とあります。

§12Question

普通、理論的に考えると、潜在的な成長率が――日銀はゼロ%半ばから徐々に上っていくと言っているので――0.5%~1.0%とした場合に、2%の物価上昇率が達成された暁には、長期金利は 3%に近い状況に上っているのではないかと思えるのですが、具体的な水準はともかく、目標が達成された時に、長期金利は1%を下回る今のような状態を遥かに上回る水準に上昇しているかどうか、教えて下さい。

§13Sayuri Shirai

まず、第1 点の消費税の影響を下振れリスクとして慎重にみていることに関して、それが顕在化した場合に金融政策をどうするかということですが、今の段階では申し上げるのは差し控えます。ただ、私どもは、2014年末まで約 7 兆円という金額の国債を着々と買っていくことをお示ししています。その一方で、先ほど申し上げたように、2%という物価安定の目標を安定的に持続するのに必要な時期までこの量的・質的緩和を行っていくという約束をしていますから、当然のことながらその間で、整合性の話が出てくるわけです。それに関しては、やはり物価の見通し、あるいは経済の見通しが実際どうなっていくのかを見極めながら、適切な時期にその後の対応をどうしていくのか、レビューしていくと思います。これ以上のことを申し上げるのは難しいですが、必要な対策を含めて考えていきたいと思っています。2 つ目の金利水準に関しては、色々見方があるわけで、直接金利水準そのものについて申し上げるのは難しいのですが、例えば、潜在成長率がそのまま入るかというと必ずしもそうではないかもしれません。1 つの例を上げると、今年の3月にバーナンキFRB議長が講演を行っています。そこで、FRBの見解ではなく、あくまでも市場の見方、あるいはモデルから得られる見方、外部の見方を示しています。

§14Sayuri Shirai

米国は通常、中長期の潜在成長率は 2%~2.5%と言われていますが、記者の方がおっしゃったような実質金利に相当する部分は、市場のデータ等でみると今はゼロ%になっています。ですから、必ずしも潜在成長率がそのまま上乗せされるということではないと思います。これは、市場の見方がそうだということです。米国では今、予想短期金利がゼロ%、インフレ期待が 2%なので、長期金利は 2%という形になっています。先ほど申し上げたように、長期金利は、2017年までにかけて今からゆっくりと上がって 2%くらい上乗せされるような姿を示しています。ですから、実質金利の部分がどうなるかというのは、これは市場がどうみるかということに関わるわけで、そこは人によって見方が違うだろうと思います。私は今、金利のことは申し上げることはできませんが、私が考えている物価の見通し、数字、 ──これもそのものを申し上げることはできませんが──を大雑把にいえば、展望レポートでは、消費税率引上げの影響を除く物価の見通しの中央値は、2014年度が 1.4%、2015年度は 1.9%ですが、私の見通しとしては、だいたい2014年度は 1%前後、2015年度は 1%台半ばより少し超えるかどうかというところか、と思っており、2015年度の末には 2%が見通せるかな、とみています。

§15Sayuri Shirai

そういう見解に立って、先ほど申し上げたように緩やかに長期金利が上がっていくことが望ましいと思っていますし、今のところはそういうふうにみているということです。

§16Question

市場が依然としてボラティリティの高い状態が続いているのですが、総裁は昨日も今日も市場は徐々に落ち着きを取り戻すとの見方を示されています。しかし、依然として今日も円高、株安が進んでいる状況です。先日の決定会合で金利を抑制する追加策が見送られましたが、見送りという判断について問題がなかったのかどうか、ご意見お聞かせ頂ければと思います。

§17Sayuri Shirai

市場では、11日の金融政策決定会合で、2年物の固定金利オペが導入されるのではないかという観測が出ていたと思います。決定会合では、むろん、色々なこと、プラスもマイナスも議論したわけですが、結論しては、私どもは今まで 3 回、市場参加者との懇談会を続けており、その結果として 5月30日に当面の国債買入れのオペの運営方針を出して、弾力化に踏み切ったわけです。また、何故2年物の資金供給という話が出てくるかといえば、恐らく一部の金融機関による資産と負債、アセットとライアビリティの観点からのヘッジ手段ということでみているのかと思います。それに関しては、現在のところは1年物を使って、これは金融緩和という役割ではなく、ヘッジ手段として今までやってきていますし、その上に 5月30日にさらに弾力的なオペの方針を出しているということが第 1 点です。2 点目は、ご存知のように来週から新しく貸出増加支援のための資金供給オペを開始します。これは、現在では 0.1%という大変低い固定金利で、1年、2年、3年から選択ができ、無制限――貸出したという実績に基づきますが――です。最長4年まで使えるという固定金利オペがあるわけです。

§18Sayuri Shirai

私どもは、何故4月に量的・質的緩和を打ち出したかと言えば、ポートフォリオ・リバランスという言葉に尽きますが、もう少し私の言葉で説明すると、今まで非常にデフレマインド、企業のデフレ的な価格の設定、あるいは金融機関、投資家のデフレ的な運用方針が続いていた。そういうところでは、貨幣を持っていることの機会費用があまりないため、リスクマネーがなかなか生じないわけです。そういうデフレ的状況の中では、リスクをとるような動きはあまり起きません。そうすると、これから新しい若者達が起業していく、あるいは非常にスキルのあるイノベーティブな企業がこれからどんどん発展していって欲しい、それがわが国の強みになっていくのに、そういったところにお金が回らない可能性があるわけです。したがって、4月4日は、まず日本銀行が率先してリスクをとることによって、そういう 15年のデフレのなかで染みついてしまったマインド、あるいは運用方針、価格設定から除々に脱却していきませんかという思いでやってきました。そういう視点に立って、来週から貸出増加支援のための資金供給オペをやります。これは固定金利で最長 4年までという、先進国では非常に珍しい資金供給オペですので、是非これをご活用頂きたいということです。むろん、金利変動リスクが懸念されることは重々承知していますが、これをご活用頂きたいと思います。

§19Sayuri Shirai

3 点目は、金融市場は、確かに変動が高まりました。その一部は先ほど申しあげたように、投資家、金融機関によって動きが区々になったことによって起きているところもあり、なかなか今までのように同じ国債を売買するにしても、価格発見が以前よりも簡単でないのは事実です。それは先ほど申しあげたように板が薄くなる状況になっていますから、コストがかかるようになっている。この辺は、段々落ち着いてくる可能性もあるわけです。そういうところも想定していますし、やはり日銀は粛々と決めました 7 兆円程度を毎月買っていきますので、その下押し効果というのはこれからも出てくると思っております。以上の 3 点の理由、つまり、オペの弾力的な運用方針を出していること、貸出増加支援のための資金供給オペをご活用頂きたいこと、国債を買い続けていくことによる金利を下押しする圧力があるし、高まっていくだろうという考えから、今回は見送りました。

§20Question

今日もまた日経平均が大幅に下落して、円高も急速に進んで、4月4日の緩和前の水準に戻りつつあり、企業や家計の心理に働きかけるという金融政策の効果がそがれる恐れもあると思いますが、それについてご見解をお願いします。

§21Sayuri Shirai

確かに株のボラティリティが高まっている面がありますし、為替も注視しています。やはり個人的には株価が安定してほしいと思っています。最近まで株価が高い時がありましたが、歴史的に高かったかというと、高すぎるということはなかったと思います。株式のリスク・プレミアムは、まだ下げ余地があるかと問われれば、私自身は下げ余地があると思っています。日本銀行としては量的・質的緩和のもとで決めたことを粛々とやっていきたい。そうしたところからの下支え効果はあると思っています。為替に関しては、1 つの原因は、先ほど申しあげたように、米国の金融緩和で国債の買入れ額の減額をめぐって、中央銀行の高官からも、秋頃には国債の買入れ額を減らしていくという趣旨の発言も出てきていますので、そういう中で、アメリカの景気指標が強弱区々だということに関係していると思います。良いものもあるし、悪いものもある。本来ならば、確実に景気が良いことを示すような指標が出ていれば、また状況も違うと思います。そういう中で、投資家の見方が、減額の時期がまだではないかとか、もう少し早いのではないかなど、様々です。米国の金利の変動が高まっていると、むしろそれが米国の株安の原因になったり、ドル安になっている。それがわが国に影響している面はあるように思います。

§22Sayuri Shirai

日々の為替や株価については、言及することは差し控えますが、私自身として言いたいことは、米国は財政引き締めのマイナスの影響があるにしても、少なくとも経済がしっかりとしてきている、住宅市場もしっかりしてきている。緩やかな回復をしている中で、そういう話が出てきていること自体が、やはり徐々に緩和をどうするかという話が出てくるところまできているわけです。一方、わが国は、これから金融緩和をしっかりやっていきたいということで、まさに入口に立ったような状況です。確実に金融緩和はやっていきますので、そういう効果は出てくると思いますし、日々のこれからの為替の動き等をしっかりみていきたいと思っています。先ほど言及するのを忘れましたが、株価の関係ですが、日本の企業は、今まではマインドという面では良くなってきましたが、足もとでは輸出もプラスに転じてきていますし、色々なプラスの効果が徐々に出てくると思います。企業の業績、日本経済の回復への見通しは強まっていく、それは株価にも反映されていくのではないかとみています。以上