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日本銀行記者会見2014年6月5日佐藤健裕, 審議委員

佐藤審議委員記者会見(2014年6月5日)要旨

全文

§1Question

質問を 2 つさせて頂きます。1 つは、本日の懇談会で大分県の政財界の関係者とお話しされた中で、大分県経済の現状や先行きについて、どのような意見が出されたのかということです。もう 1 つは、大分県経済が活性化する上でどのようなアドバイスがあるのかということです。大分県の景気は全国に比べると若干回復の足取りが鈍く、製造業のウェイトの高さがその背景にあるとのことですが、その点はどのように捉えられていますか。

§2Takehiro Sato

最初のご質問についてですが、本日の懇談会では、大分県の各界を代表する方々から、地域の金融経済の現状や課題、あるいは日本銀行の金融政策運営に関する貴重なお話やご意見等を数多くお聞かせ頂き、非常に有意義な意見交換ができたものと認識しています。まずは、ご出席頂いた方々や、関係者の皆様に深くお礼を申し上げたいと思います。本日の懇談会では、ご意見が多岐に亘りましたため、全てを網羅してご紹介することはできませんが、私なりに席上で聞かれた話題等を整理して申し上げたいと思います。大分県の景気は、消費税増税に伴う振れを伴いつつも、労働需給面において改善の動きがみられるもとで個人消費に明るい動きがみられているほか、政府の経済対策に伴う公共投資の増加から関連業種の繁忙感が高まってきているということで、総じてみれば、持ち直しの動きに拡がりがみられているとのお話がありました。その一方で、日本経済が緩やかに回復している中にあっても、当地経済や中小企業への波及が十分に進んでいないとの話も聞かれました。また、当地経済においてウェイトの大きい製造業では、弱めの生産が続いており、そうした状況のもとで、中小・零細企業の受注・収益状況は依然として厳しいという話も聞かれました。このほか、全国的に建設需要が高まる中、地元の建設業者では深刻な人手不足に陥っているとの話も聞かれました。

§3Takehiro Sato

こうした中で、2014年度中に予定されている東九州自動車道の大分・宮崎間の全線開通や、来年の、JR と一体となったキャンペーンなどに対して期待する声が聞かれましたほか、産業、金融、行政が一体となり、当地の強みである観光分野のほかに、医療・福祉や再生可能エネルギーなどの分野を強化する取組みが行われているという非常に心強い話も伺いました。私どもとしては、大分県内の金融経済情勢について、大分支店を通じて今後もきめ細かくモニタリングを続けていき、中央銀行の立場から経済の持続的成長の実現や金融システムの安定性の確保を図りながら、大分県経済を支える関係者のご努力がより大きな成果へと繋がっていくようサポートしていきたいと考えています。2 点目のご質問の、大分県経済の活性化のために何かアドバイスがあればとの点に関して申し上げたいと思います。大分県は、行政による大手製造業の積極誘致などの産業政策の奏功により、ここ 10年間の製造品出荷額の伸びが全国一になるなど、産業のベースがしっかりとしていることが強みです。また、別府や湯布院といった全国有数の温泉地を有しているほか、世界農業遺産認定を受けた国東半島、宇佐地域や日本ジオパーク認定を受けた豊後大野市を始め、自然や食、歴史、文化などの魅力的な観光資源を豊富に有しています。

§4Takehiro Sato

このため、大分県では、人口1万人当たりの延べ宿泊者数が 513 人で、全国平均の 358人を大きく上回っているなど、観光産業のプレゼンスが大きくなっています。大分県経済を活性化するためには、全国と比べてプレゼンスの高い地元中小企業が自分の強みをしっかりと把握したうえで、新しい需要を捉え、付加価値創出力を高めていくことが期待されます。また、現在、日本全体でも注目されている観光産業については、観光客のニーズにさらに寄り添う形で当地の恵まれた観光資源を最大限に活用していくことが重要だと思います。この点、大分県では、2012年に「ツーリズム戦略」を策定して、「日本一のおんせん県おおいた」をキャッチフレーズに、国内外への観光PRを積極的に行っているなど、こうした資源を活かしたビジター産業に力を入れています。また、2014年度中には東九州自動車道の大分・宮崎間の全線開通が予定されているほか、来春には県立美術館ならびに新大分駅ビルがオープンします。更に来年7~9月には、JR グループによるディスティネーションキャンペーンが実施される予定であるなど、以上申し上げたような観光施策との相乗効果によって、大分県の観光産業の更なる発展に繋がっていくものと期待しています。

§5Question

2 点お伺いします。まず、午前中の懇談会で、委員は、「いわゆるポートフォリオ・リバランスの進展や中長期的な予想物価上昇率の上昇といった『量的・質的金融緩和』の波及メカニズムが実施当初に期待されたほどには今のところ明瞭に観察されているわけではない」とお話されています。そうであるならば、政策の調整や追加的な金融緩和が必要という考え方もあるかと思いますが、その辺りをどのようにお考えなのか、それが必要でないということであれば、どうしてなのか教えて下さい。2 点目は、同じく午前中の懇談会で「『安定的に持続するために必要な時点』の部分は、私の理解では、見通しベースで判断するということである」とお話しされている点についてです。先般、委員は、「見通し期間の中盤頃に 2%程度を見通せるようになる」というふうに日銀の見通しを変更することを求められたと思います。懇談会での挨拶要旨をみると、見通し期間の中盤である 2015年度に必ずしも 2%程度に達しなくても、そうなる見通しであるならば、「必要な時点」の要件を満たして、出口、あるいは終了に向かうことも考えられるというように読めますが、その点はどのようにお考えですか。すなわち、2015年度に 2%程度に達していなくても、出口に向かう、終了に向かうということがあるべきなのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

§6Takehiro Sato

第 1 点の、ポートフォリオ・リバランス効果が当初期待されたほど明瞭に観察されないということについて、若干敷衍します。「量的・質的金融緩和」の波及メカニズムとしては、主に 3 点を想定していまして、1 点目は「期待の抜本的な転換」、2 点目は「実質金利の低下」、3 点目は「ポートフォリオ・リバランス」ということです。「期待の抜本的な転換」、あるいは、「実質金利の低下」ということに関しては、概ね当初に目指していたことが実現しているのかなと思います。その一方で、ポートフォリオ・リバランスに関しては、これは業態によって色々違いはありますが、例えば、生損保あるいは年金、投資信託といったところが、対外資産、リスク資産を大幅に増やすような動きに出ているかというと、現状では、諸般の金融規制等もあって、なかなか当初期待したほどには進んでいないということは事実かと思います。しかしながら、私は、このポートフォリオ・リバランスの動きを、全面的に否定している訳ではありません。例えば、限界的な動きではありますが、金融機関、特に銀行では、貸出は着実に増えつつありますし、その伸び率も着実に拡大していると思います。若干なりともリスクを取る動き、よりリスクの高い分野に資産を振り向けるという動きも出つつあると理解しています。

§7Takehiro Sato

そういう意味では、期待水準未満ではありますが、ポートフォリオ・リバランスはゆっくりと着実に進展していると思います。そういう中で、政策の調整が必要かどうかという点ですが、本日の懇談会挨拶の中でも触れましたように、「量的・質的金融緩和」は、当初描いていたパスをこれまでのところ順調に辿ってきており、所期の効果を発揮しつつあると思います。そういう点では、これまでも声明文で、政策の調整に関しては、「上下双方向のリスク要因を点検し」と申し上げていますが、その上下双方向のリスク要因が顕在化したという状況ではないと思いますので、現時点では政策の調整が特に必要な状況には至っていないのではないかと判断しています。2 点目のご質問の、消費者物価の前年比 2%が安定的に持続するかということを見通しベースで判断するという点ですが、この「見通しベースで判断する」というのは、フォーキャスト・ターゲッティングということで、要は「見通し期間の中盤に見通せるようになる」という修文議案を提案したのは、私自身の物価の見通しがそういう状況であることを示している訳です。2%に達しなくても出口に向かうかどうかというところは、基本的には、見通しベースで判断するというところが全てだと思います。

§8Takehiro Sato

2%という物価の概念も、本日の懇談会での挨拶で触れましたように、基本的に「物価安定の目標」というのは、消費者物価の総合であってコアではない訳ですが、それによって私は総合だけで判断すると申し上げている訳ではありません。基本的には消費者物価の総合、除く生鮮食品、除く食料・エネルギーのいわゆるコアコアと言われているもの、あるいはより広い包括的な概念、例えば賃金といったものを含めて、幅広い物価指標を丹念に点検していくことが必要です。そういう中で、2%を安定的に達成することが見通せるかどうかが重要だということです。

§9Question

2 点お願いします。前の質問と関連しますが、本日の懇談会挨拶の中の「幅広い指標を丹念にみていく」というところで、帰属家賃を除く指数も取り上げられています。そのベースだと、4月は 4%を超えていますが、ここから先、物価目標の達成が思いのほか早まる可能性はないのでしょうか。また、その時には、どういう順番でどう対応することが委員としてはベストとお考えなのか、今の時点でお話しできる範囲でお願いします。2 つ目は、展望レポートにおける 2016年度の成長率見通しについてです。日本銀行の政策委員の見通しの中央値は+1.3%で、大勢見通しのレンジでみると+1.0%から+1.5%ですから、もっと低い見通しの方もいらっしゃると思いますが、政府の見通しは+1.8%となっています。政府の中期見通しとの乖離をどのように理解すれば良いのか、説明をお願いします。

§10Takehiro Sato

1 点目のご質問ですが、幅広い指標をみていくということについて、帰属家賃を除く消費者物価総合指数の上昇率が、4月は 4%を超えているという指摘がありました。4月は、ご案内のとおり消費税率引き上げの影響を含んでいますので、これを除くと 2%に達しているかどうか、微妙な状況だと思います。また、物価上昇が思いのほか加速する可能性がないかという点ですが、私どもの展望レポートでは、本年1月の中間評価の時点と比べると、GDP は政策委員の中心的な見通しから下方修正となる一方、物価に関しては、2013年度の実績が、わずか 3 か月前の見通しと比べても上方修正になっています。そういう意味では、やや思いのほか、物価が上昇しているということが言えるかと思います。物価上昇の背景については、私以外のボードメンバーからも、これまで幾つか説明があったかと思います。私も、本日の懇談会挨拶の中で触れていますが、人手不足ということで、労働力の供給が限られてくる中で、日本経済が思いのほか早く供給の天井にぶつかりつつある、そういう可能性があるかと思います。

§11Takehiro Sato

供給制約に直面した経済がどういう経路を辿るかというと、供給制約の結果として賃金が上昇し、これは企業にとってみると減益要因になるため、やや長い目でみれば設備投資、あるいは株価に影響が及んでくるということですから、基本的には、そうした人手不足による賃金上昇を背景とした物価上昇は、持続的ではない訳です。私どもが当初思い描いていた望ましい物価上昇の姿ともやや異なると思います。そういう点では、より望ましいのは、生産性の向上に見合った賃金の上昇であり、それとバランス良く物価が上がっていく姿です。生産性の向上の鍵を握るのは、やはり設備投資だと思いますので、企業が設備投資を行い、このところ低下気味と思われる潜在成長率を引き上げていくことで、生産性を引き上げ、そういった努力の上に賃金が上がっていくことで、それとバランス良く物価が上がっていく、そういう姿が望ましいのではないかと思います。2 点目の、政府見通しとの乖離についてのご質問ですが、政府の見通しについて、私としては特にコメントする立場にはありませんので、言及は控えたいと思います。

§12Question

今ご発言のあった、日本の潜在成長率がこのところ低下気味であるという点についてです。政府は、それを引き上げようということで、今月にも成長戦略を策定する訳ですが、委員の懇談会挨拶にある、「供給面の制約から先行き経済が伸び悩むか、あるいは制約を梃子に一段の生産性向上を成し遂げ、新たな成長ステージに向かうか、その岐路にあるように思われる」の、その岐路から 2 つの道に行く可能性として、供給面の制約から先行き経済が伸び悩むということになった場合、つまり供給制約がそのまま引き続きあって、潜在成長率が高まらないという場合には、2%の物価目標の安定的な持続という意味ではかなり困難を伴うというか、より長い時間がかかるのではないかと思いますが、その点をどのようにお考えでしょうか。

§13Takehiro Sato

供給制約に直面した経済が伸び悩むかどうか、あるいは実際に伸び悩んだ場合にどうなるかというご質問だったかと思います。実際に伸び悩むかどうかというところは仮定の話ですので、仮定の話に対してなかなかこうだとお答えするのは難しいですが、基本的にはそうならないようにするために、企業は生産性を上げていき、賃金が上がっていく中でも必要な利幅をとっていくことが必要な訳ですから、基本的にはそうした生産性の向上努力というのが今後なされていくと考えるのがむしろ自然ではないかと思います。

§14Question

本日の懇談会で、ユーロ圏のディスインフレについて言及されています。本日 ECB の理事会がありますが、仮に欧州がディスインフレあるいはデフレに陥った場合、日本に与える影響は、貿易面、金融市場面の両方ともにあると思いますが、どのようにみていらっしゃいますか。あと、今後の政策運営に注目しているということですが、デフレに陥らないためにどういう対応が望ましいのか、プリエンプティブにやるべきなのか、あるいは暫く様子をみながらやっていくべきなのか、その辺りについて教えて下さい。

§15Takehiro Sato

ユーロ圏のこのところのディスインフレ傾向については、これが日本型のデフレに陥らないかどうか、非常に注意深く観察しているところです。これも仮定のご質問ですので、直接的にお答えすることは難しいですが、一般論として申し上げれば、ユーロ圏は世界経済で 2 割弱位のウェイトがある訳ですから、ここが伸び悩むということは、足許の先進国主導の回復、あるいはその回復力のモメンタムを若干弱めるという影響があると思います。世界経済は、IMF の本年4月時点の見通しをみても、先進国は昨年より状況はかなり良くなるということですが、新興国は、昨年との比較でいくと、改善の程度はかなり鈍い訳です。そういう意味では、目先の世界経済の回復というのは、主に先進国、なかんずくアメリカによって牽引されていくことが想定されている訳ですが、そういう中にあっても、ユーロ圏が伸び悩むということは世界経済の下押し要因になりかねないと思いますので、そこは注視して参りたいと思います。それに対する政策対応として、どういうものが望ましいのかということについては、他国の金融政策に関わることですので、今晩結果が判明することでもありますし、私の立場からは、直接的な言及は差し控えさせて頂きたいと思います。

§16Question

長期金利に関して、懇談会の中で、「今後、物価情勢と名目長期金利が整合的に形成されていくかどうかという点に注目している」と言及されています。足許まで日銀による国債の買入れで本来の名目金利の上昇が抑えられ、実質金利を下げるという初期の目標を達成されていますが、今後、債券相場で、2%の物価目標が達成されるという見通しのもとで、長期金利が上がる場合はあると思います。その時に、政府云々ということではなくて、長期金利が上がって日本経済の下押し要因になるとか、長期金利の上昇ペースも急になるかどうか分かりませんが、その辺りの日銀として容認できる長期金利の上昇に関してお伺いしたいと思います。

§17Takehiro Sato

本日の懇談会でも触れましたように、債券市場というのは、基本的に経済・物価情勢を先読みしながら動いている訳です。そういう中で、先行きの経済・物価の見通しが改善していけば、人々はおそらく将来の名目短期金利の予測値を引き上げていくでしょうし、おそらくプレミアムも幾ばくか上昇していくと思います。そういう意味では、経済・物価情勢が先行き改善の兆しをみせていく、あるいはそういった見通しが共有されていく中で、長期金利の水準が変化するということは、ある意味自然なことだと思います。そこで、長期金利の上昇が経済の下押し要因になるかどうかについてですが、基本的に、経済・物価の改善に応じて金利が上昇していくということであれば、それ自体は自然なことであって、それが経済のパフォーマンスに対して著しい阻害要因になるということではないと思います。ただし、重要なことは、経済・物価の改善とかけ離れてプレミアムだけが上昇していくといったケース、例えば、政府の財政規律に対する信頼感が後退するといったようなケースで、いわゆる悪い金利上昇といったケースですが、そうした場合には、経済・物価情勢とは整合的でない金利形成が行われる可能性があるということです。

§18Takehiro Sato

そうならないためにも、懇談会挨拶の最後でも触れたように、政府の中長期的な財政規律へのコミットメントが非常に重要で、「量的・質的金融緩和」を最終的に上手く成功裡に収めるための重要な前提条件になってくるのではないかと思います。

§19Question

今の質問の関連でお伺いしますが、本日の挨拶の中で、出口戦略に関して、「現時点では頭の体操程度」として、「財政の持続性への配慮が金融政策を左右することはあってはならない」、「『量的・質的金融緩和』を最終的に成功に導くうえで、政府の中長期的な財政健全化へのコミットメントが重要な役割を果たす」と言われている部分については、逆に言うと、政府が財政健全化をきちんと進めなければ、日銀は出口に出られないということとイコールなのかと思うのですが、そうであるなら、健全化に向けたコミットメントのイメージがどういうものなのかということをもう少し伺いたいと思います。また、それが例えば、消費税率を 10%に上げれば十分なのか、さらにそれ以上に上げる必要があるのか、あるいは歳入だけでなく歳出の改革も必要なのか、その辺りのもう少し具体的なイメージをお聞かせ下さい。

§20Takehiro Sato

政府の中長期的な財政健全化へのコミットメントが非常に重要であるということについてですが、これは政府が現在そうしたコミットメントをしていないということではなく、既に政府としてプライマリーバランスの赤字を2015年度までに半減するということを国際公約として打ち出しています。そういう意味では、政府のコミットメントというのは既に厳然としてある訳ですし、そのコミットメントに沿うかたちでこの 4月に消費税率が引き上げられ、さらに来年10月に消費税率が 10%に引き上げられようとしているということです。そういう点では、コミットメントは既に厳然としてあるということだと思います。それから、財政健全化を進めないと出口に出られないのではないかとのご指摘がありましたが、そういう観点からは、政府の財政健全化の努力というのは、今しっかりとなされているというふうに認識しています。

§21Question

輸出については、今後、緩やかに回復していく、その背景は先進国主導の世界経済の改善であるということを、懇談会挨拶の中でおっしゃっていますが、新興国、とりわけアジアへの輸出依存度が高い日本にとっては、この地域の需要が回復しないとなかなか輸出の先行きも見通しづらいと思います。その辺りについては、どのようにお考えでしょうか。

§22Takehiro Sato

ご指摘のように、確かに新興国の景気回復のペースが今一つもたついていることは、日本の輸出にとって、若干の懸念材料であると思います。ただ、輸出については、特にこの 1~3月期に関しては色々と特殊要因がありました。例えば、海外要因で言うと、北米が寒波であったことから自動車輸出が伸び悩んだということもありますし、国内要因で言うと、消費税率引き上げ前で生産者が国内出荷を優先させる動きがあったということもあります。しかし、米国経済については、この 4~6月期は寒波の影響を脱して 3%内外のかなり高めの成長率になっていくと考えられますし、国内面では、供給制約が徐々に緩和していくと考えています。そういう中で、先進国の緩やかな回復に応じて、日本の輸出も緩やかに持ち直していくと見込んでいます。ご指摘のアジアの回復が今一つではないかという点ですが、ポイントになるのは中国の動向かと思います。中国に関しては、懇談会挨拶の中で触れたとおり、当局としては 7.5%成長ということに強くコミットしている訳です。当局者の中には、7.5%から若干の下振れは許容するような発言がみられる訳ですが、基本線としては、下振れが大きくなってくるようであれば、小刻みに景気対策を打っていくことで下振れを抑えていく、そういった安定成長路線を目指していくと考えています。

§23Takehiro Sato

そういう点で、今後のアジアの景気動向が日本の輸出にとって一段の足枷になるという状況ではないと判断しています。以上