岩田副総裁記者会見(2015年5月27日)要旨
全文
§1Question
2 点伺います。午前中の懇談会でもお話がありましたが、北海道の景気の現状と先行きについて、それぞれどのようにみておられるのかについてお聞かせください。
§2Kikuo Iwata
北海道経済は、一部に確かに弱めの動きがみられますが、緩やかに回復していると認識しています。最終需要面をみますと、公共投資の減少という弱めの動きがみられますが、一方で、外国人観光客の増加が需要を下支えしています。また、消費税率の引き上げから1年以上が経過する中で、住宅投資もようやく下げ止まっているという状況です。この間、雇用・所得環境は着実に改善しており、全体としては、所得から支出へという前向きな景気循環メカニズムが全国と同様にみられています。先行きにつきましては、公共投資の減少という不安材料がありますが、基本的には、前向きな景気循環メカニズムのもとで、緩やかに回復を続けていくとみています。
§3Question
先程の懇談会には、道内の経済界代表や知事などもいらっしゃったと思いますが、どのようなご意見が出たかということと、それに対する感想や印象などをお伺いできますでしょうか。
§4Kikuo Iwata
本日は当地の行政、経済界、金融界を代表する方々から、地域経済の現状に関する貴重なお話や金融政策運営に関するご質問なども伺い、極めて有意義な意見交換だったと思います。この場を借りて、改めてお礼を申し上げたいと思います。懇談会での議論を私なりに整理して申し上げたいと思いますが、まず、足許の道内の景気につきましては、日本銀行札幌支店の判断と同様に、緩やかに回復しているという話をお聞きしました。しかし、個人消費につきましては、やはり一部に節約志向が高まっているというお話も聞かれました。この要因としては、全国に先駆けて2 度の電気料金の値上げがなされたこと、これが心理面に影響を与えているとの指摘がございました。また、景気が回復しているにもかかわらず、北海道ではどうも浮揚感に欠けるという感じがあるということでしたが、その背景としては、地方における中小企業がおかれている厳しい環境を指摘する声が聞かれるとともに、人口減少などの構造的な問題がやはり大きいというご意見も聞かれました。こうした中で、北海道では、アジアの経済成長を取り込むための取り組みなど、前向きな動きが進んでいるという印象も持ちました。
§5Kikuo Iwata
例えば、食料品の輸出増加を目指す動きや外国人観光客の取り込みをさらに進めるというような話もお聞きしましたし、北海道でもデフレ経済から脱却して、よりイノベーティブな企業変革を目指そうとする動きがみられるとのことで、こういったことが、地域経済の底上げに向けた前向きなお話として、大変心強く感じられました。かなりポジティブな、前向きな姿勢のお話を伺うことができたと思います。
§6Question
2 点あります。1つは、期待インフレ率について、朝の講演でも、物価が上がれば、期待インフレ率も上がっていくというお話をされていらっしゃいます。例えば、電力料金は、7月以降、全国的に下がっていくと思うのですが、それによって期待インフレ率が下がるということはないのかどうか、ご見解をお願いいたします。2 つ目は、足許の為替について、レンジが少し円安方向に切り上がってきているという見方がありますが、 123 円から 125 円程度のレンジで今後推移するとしても、例えば、物価の基調に問題があるという時には、すぐにやるべき時にはやるということなのかご所見を教えてください。
§7Kikuo Iwata
期待インフレ率あるいは予想インフレ率の形成には、 2 つの形成の仕方があります。まず、いわば足許の物価を見て将来を予想するというアダプティブとか適応型と言われる予想インフレ率の形成の仕方があります。それから、必ずしも足許の物価だけではなく、金融政策の動向も含めて経済政策や他の企業の行動等色々な要因について、将来を予想するという合理的期待形成あるいはフォワードルッキングな予想形成ともいうものがあります。そういう予想形成にはいくつか、あるいはミックス型もあるわけです。日本の場合には、割合、適応型で予想する人が多いという傾向がありますので、物価が下がり続けると、予想インフレ率もだんだん下がるというリスクといいますか、その可能性があるということです。そういうことにも注意して金融政策を運営しているわけです。電気料金に関しても、ずっと下がった場合には、予想インフレ率が下がるということが絶対ないとは言えないですが、現在の状況では、あまりその可能性はないとみています。そういうことが絶対ないとも言えないので、やはり予想インフレ率がどのようになっていくかというのは、金融政策の運営上は気をつけてみています。為替相場の水準に関して、日々の動向については、私の立場から具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。
§8Kikuo Iwata
為替相場というのは、経済や金融のファンダメンタルズを反映して、安定して推移することが望ましいわけですが、そういう意味で為替相場の動きを含めて、その他の金融資本市場の動向については、それが実体経済にどういう影響を及ぼすのかを含めて、引き続き注意深くみていきたいと思います。
§9Question
2 つお聞きします。1つは、講演録の 5 ページ、2%物価目標の早期実現へのコミットメントというところで、「現時点においては、物価安定目標の早期実現に向けたコミットメントを変更する考えは全くない」とおっしゃっています。あえて「現時点で」という言葉を入れているということは、将来については分からないとおっしゃっていると理解していいのでしょうか。つまり、2016年度前半頃に 2%に達するという日銀の大勢の見通しについて、それが実現せずに、また何度もやってきたように見通しを先送りする時には、今度は、2年の目標というのはやはり無理だからあきらめるということもあり得るということをおっしゃっているのでしょうか。「現時点で」とあえて入れてあるので、あえてお聞きします。もう1つは、インフレ率が 2%に達していない理由について、消費増税による影響を挙げておられます。既に起こったことについて、どうこうはないですが、2017年4月に消費税の再増税が確定しております。2014年4月の消費増税の影響が予想より大きく長引いたということですが、また、これと同じようなことが起こる可能性が十分あり得るわけです。
§10Question
そうなると、今は、2016年度前半頃に消費者物価が 2%に達するという予想ですが、もし仮に、万一これが実現したとしても、消費増税が予定されているということを考えると、消費増税の前に出口はかなり難しいでしょうし、消費増税をしてから1年くらいはやっぱり出口は難しいと思います。つまり、展望レポートで 2017年度末までの経済・物価の見通しをお出しになっているわけですが、この見通し期間内には、出口はかなり難しいというふうに思わざるを得ないのですが、如何でしょうか。
§11Kikuo Iwata
最初の「現時点では」と申し上げたことについては、別に他意があったわけではなく、基本的に、2年程度を念頭において、できるだけ早期に、というコミットメントは、この「量的・質的金融緩和」の一つの起点といいますか、効果を発揮する一つの重要な要素ですので、それは全く変えることはないということです。「現時点で」というのは、その意味では、別に必要のなかったフレーズですので、そういうふうにご理解頂きたいと思います。次に、2017年4月の増税の影響ということですが、現時点では、昨年の消費増税の影響が、予想よりも少し大きかったということを踏まえて、2017年度の経済を展望しているということですので、その時に出口を出られないかどうかというようなことは、今この段階では、何らコメントするという状況ではありません。
§12Question
日本銀行としては、「量的・質的金融緩和」が全体として上手くいっているという認識をお持ちだと思います。そこで、金融緩和の効果と副作用について、できましたら、北海道経済に引きつけて、コメントいただければと思います。
§13Kikuo Iwata
北海道経済に関して一番はっきりと効果が表れているのは、インバウンドの需要が増えているということです。金融政策の効果としては、大きいというふうに感じております。それ以外は、今日の懇談会で、例えば、飼料が円安で高くなっているというようなデメリットがあるということをおっしゃっていましたが、そういう面もあるかもしれません。中長期的に考えると、日本の食糧生産というのは、輸入代替産業であって、非常に円高の時には輸出は全く考えられませんでした。ただ、ある程度円高が修正されると、コストは上がるけれども輸出産業への道も開けてくる、あるいは食糧の輸入というのが少し抑えられることによって、国内での販売を促進できるという面もあります。中長期的にはそのように食糧生産も変わってくるとか、あるいは、農業の第 6 次産業化などによって、農業の全部が全部とは言いませんが、輸出産業になり得る機会もあるので、そういうようなプラスの面もあるということだと思います。その他の副作用では、資産価格、資産市場の不均衡が生じるとよく言われますが、日本銀行としては、そういうことを注意深くみています。金融面での不均衡というようなリスクは、今のところ現れていませんが、今後も絶対に現れないということもありませんので、それも注意深くみているという状況です。
§14Question
資産価格の関係で、民間資産の購入のことを少しお伺いします。先日、株式の時価総額がバブル期を超えるという話がありました。株式市場がバブルかどうかというような見方は色々あると思いますが、リスクプレミアムを圧縮するほどのアンダーバリューの状況はもう解消されているのではないかと思います。この前の金融システムレポートで不動産の過熱感について、警戒過熱感を示す指標が1つ出ていますが、こういう状況でETFとかJ-REITを買うことの政策的な必要性とか意義というのは、以前と変わらずまだ残っているということでしょうか。
§15Kikuo Iwata
まず、為替もそうですけれども、株式相場の水準や動きについて、具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。そのうえで、一般論として言えば、株価は、やはり基本的には、将来の企業収益の見通しを反映するものだと思います。現在の株価上昇の背景には、企業収益が最高水準まで改善しているということが挙げられると思います。今おっしゃった資産価格の変動というような問題については、日本銀行は、「量的・質的金融緩和」を進めるうえでは、経済・物価の見通しに加えて、資産価格も含めて上下双方向の様々なリスク要因を点検して、注意深く金融政策を運営しているという状況です。そのようなモニタリングをしておりますが、現時点で、資産市場や金融機関の行動に過度な期待の強気化を示すというような動きは観察されていないと判断しております。
§16Question
先日、QQE2年の検証のペーパーを出されました。そこにはマネタリーベースに関して直接的な言及はなかったわけですが、岩田副総裁はマネタリーベースそのものの増加が緩和効果を引き出しているとみられているのか、それとも強力なコミットメントを伴っているので、量的拡大というのが効果を持っているのかという点について、もう一回教えてください。
§17Kikuo Iwata
こういう記者会見の場では、なかなか、金融政策のメカニズムを説明出来ませんが、日銀のホームページを見ていただくと、私の講演の資料にメカニズムが書いてありますので、是非見ていただきたいと思います。「量的・質的金融緩和」は、まず、言葉で言っているように、「量」と「質」と、もう一つはコミットメントという 2 本の柱になっています。1 本の柱は、「量」だけではなく、「量」と「質」と言っているわけです。「量」だけと言わなかった理由は、マネタリーベースの量も大事ですが、量の増やし方 ─―どういう資産を買うかということが質ですが─―、それが大事なのです。その「質」としては、例えば長期国債は平均残存期間が 7年から 10年ぐらいになるように買っていますが、どうしてそういうことをしているかといえば、日銀当座預金と代替性の低いものを買わないと、金融緩和効果というのは出ないという考え方からやっているわけで、それが「質」です。量的・質的に国債を買っており、これは表裏一体になっているというふうに考えてください。だから、両方大事だということです。それともう1本の柱であるコミットメントは、ちょっと違います。
§18Kikuo Iwata
つまり、そういう「量的・質的金融緩和」を、どういう目的で、どういうふうにして運営していくかということについては、 2%の「物価安定の目標」が安定的に実現するまでは基本的にそういうことをやっていく、基本的な枠組みは変えないということです。それがコミットメントです。この二つが相俟って、金融政策の緩和効果というのが出てくるという考え方ですので、マネタリーベースに触れなかったのではなく、そういう「量的・質的金融緩和」が、実質金利を下げるところからレポートは書かれているわけです。当然、「量的・質的金融緩和」は、「量」と「質」の両方とコミットメントがなければ、予想実質金利が下がらないという考え方があって、その上で予想実質金利がどれだけ下がったのかというところから出発して、実体経済にどれだけ影響があったかというレポートになっているということです。
§19Question
瑣末なことかもしれないのですけれども、今回の講演の図表を見ると、これまでの岩田副総裁の講演資料にあった予想物価上昇率に関するグラフが全部なくなっていますが、何か理由はあるのでしょうか。
§20Kikuo Iwata
講演と金融経済懇談会はちょっと違うと思っています。講演の方は、長時間でメカニズムを説明し、そのうえで実績はどうかというような説明をします。金融経済懇談会の方は、もう少し分かりやすくコンパクトにやるということで、色々な図表の中で、どれだけ使えばいいかということを考えています。比較的分かりやすく、短時間で分かっていただくには、あれくらいの図表が適当だということでやっているので、何か意図的に図表を外したということではありません。
§21Question
講演の中で、物価の基調的な動きはしっかりしていくという見通しを持たれています。確かに最近、財の価格は上がっていると思うのですけれども、サービス価格はなかなか上がっていないような気がします。本来、物価の基調が強まるのであれば、原油を除いたところのコアコアの部分が上がると思います。またサービスの価格は、欧米に比べて、日本は上がりづらいと言われていましたが、4月以降、改定の動きで上がるとか、結構期待があったと思いますけれども、足許までのところそれほど上がっていないような気がします。その辺はどういうふうに見ていらっしゃるでしょうか。
§22Kikuo Iwata
今おっしゃったような、確かに、短期的には、サービスの価格が上がらないとか、財の価格が上がっているといったことが生じます。これは相対価格の変化の問題ですが、短期的には、相対価格は確かに物価の動向に影響します。というのは、相対価格が変化するには時間がかかるからです。相対価格の変化は、短期的には物価に影響しますが、やはり、中長期的にインフレ率を2%に安定させるという場合の中長期的というのは基調を見ているということです。基調を規定するのは、そういう個々の物の価格ではなくて、全体の需給ギャップがどうなっているのか、それから、予想インフレ率がどうなっているのか、あるいは企業の価格設定行動に将来のインフレ率の予想や需給関係が影響しているのか、あるいは賃金の交渉でも、現在および将来の企業収益や予想インフレ率といったものが影響して決まっているのかといったことです。そういうことが全体の物価の基調を決めるので、その意味で、今おっしゃったような相対価格に、短期的なものに、引っ張られて物価の基調を判断しているわけではないということです。
§23Question
講演録の 5 ページのところで、コミットメントについてご説明いただいています。2年程度という具体的な期間を踏みこんで提示することでこれまでにない強い形で踏み込んだという効果についてはよくわかるんですけれども、実際は、政策委員の見通しの中央値が、2%に達する時期が 2016年度前半頃になってしまったということで、2年程度というか 3年を超えるような形になって、今後も、コミットメントの中に2年程度という言葉を入れていくというのは、ちょっと聞いた人々は違和感を感じるのではないかなと思っています。2年程度ではなくて、できるだけ早期にというようなかたちでシンプルにするというようなお考えはないのでしょうか、という質問です。よろしくお願いします。
§24Kikuo Iwata
コミットメントをどのようにしてコミュニケーションを行ったり、情報発信していくかというのは、どの国の中央銀行でも非常に迷うと言うか、色々考え抜いてやっていることだと思います。日本銀行の場合は、デフレが非常に長期に続いて、いつになったらデフレが終わるのかというのがよくみえないということですので、やはりある程度の期間というのを示しながら、それを念頭に置いて、できるだけ早くというコミットメントの仕方というのは、やはりこのQQEの政策効果を支えている要因だと私は思っておりますので、それを変える必要はないというふうに思っております。
§25Question
先ほどの消費増税についての件ですが、講演録の 6 ページで、昨年4月の消費増税の影響が予想よりも大きく長引いた理由として、「低調な雇用環境が長く続いたことによる低所得者層の拡大や、高齢化の進展による年金生活者層の増加も一因ではないか」とおっしゃっています。展望レポートによると、2016年度前半頃に 2%に達して、その後は 2%前後で安定してくるという見通しを立てていらっしゃるわけですが、そうなると、2017年4月の次の消費増税の時には、ほぼ物価は 2%だということだと思います。これは、また、1年前に起こったことの二の舞になるのではないでしょうか。高齢化ということは 2年間で変わらないと思いますし、低所得者層の拡大というのも 1年、2年で変わるとは思えません。そうなると、また2017年4月の消費増税の時には、元々、物価が 2%、そして、前回ほどではないにしろ、インパクトが 2%近い消費増税による値上げ、物価の上昇というのがダブルで効いてくるわけです。それは、もともと予想を見誤ったことと─―日銀は前回の消費増税の影響をある種軽視してしまったと思うのですが─―、また同じ二の舞になるんじゃないかというおそれを非常に多くの人が持っているのではないかと思うのですけれども、そこはどのようにお考えでしょうか。
§26Kikuo Iwata
2014年の消費増税が、大方の予想といいますか、あるいは日銀も含めて予想より大きかった、かつ長引きましたが、低調な雇用環境が続いて、低所得者が増加し、高齢化が進展していたことを十分に織り込めていなかったのではないかということです。おっしゃる通り、今後も年金生活者は増えるわけですが、そういうことを踏まえて、こういう展望レポートを出しているわけです。それを踏まえて出していると申し上げたのは、2014年というのはどういう時期だったかということをもう少し反省してみると、経済全体がデフレからようやく脱却し始めたという段階だったと思います。したがって、経済がどれほど強かったかという問題があったと思います。強かったかどうかというのは、低所得者の拡大とか高齢化ということがありますが、全体として、企業のマインドとか、消費者のマインドというのも、本当に、安心してデフレは脱却して道筋がみえてきたということを、確信とは言わないけれども、かなり確信に近いほど持っていて、将来の展望ができるというところまでやはり行っていなかったのではないかと思います。まだ1年しか「量的・質的金融緩和」をやっていなかったわけです。今後は、この効果が十分に発揮するように、今の金融政策で運営することによって、人々のマインドは、将来に対する希望といいますか、確信がもっと強まっていくと思います。
§27Kikuo Iwata
物価も上がるだろうけれども、自分の賃金も上がっていく、そして企業モデルも非常にイノベーティブになってくるというような環境を、2014年の時とは違って、前向きな力強いものにしていこうと、あるいはいけるという考え方から、展望レポートというのはでき上がっています。2014年度と 2017年度は、経済環境というのが少し変わって、もっとポジティブにみんなが行動できるように、そういうようにしたいということと、しなければならないと思っているということです。ですから、ご指摘された下振れリスクについては、上下双方向のリスク要因をみていますので、必要があれば、適切な金融政策を運営するというスタンスには変わりないということです。
§28Question
2 点あります。1 点は、挨拶要旨の中にありました2015年度から 2016年度にかけて、潜在的な成長率を上回る成長を続けると予想しているということをおっしゃっていますが、潜在的な成長率というのはどういうことなのかということです。もう1 点は、北海道経済が、今後、上向きの循環を続けるうえで必要なことというのは、どういうことが考えられるのかという点についてお聞かせ下さい。
§29Kikuo Iwata
潜在成長率の基本的な定義というのは、潜在的なGDPの計測には、色々な仕方がありますが、働きたい人が全部働けて、労働者の能力を最大限発揮できるような経済状況であるか、そして、設備などの資本の稼働率もこれ以上上げられないくらいまで上がっているか、全要素生産性という企業の技術革新力がどの程度か、ということで決まります。こういう3 つの要素─―労働能力を全部発揮させて、資本の稼働率も十分に上げ、そして企業の技術行動が革新的になる─―、を総合して考えて、どのくらいまで供給能力を上げられるか、GDPとしてどのくらいの高さになるかを考え、そしてそのGDPが、どのくらい毎年伸びるかというのが潜在成長率です。「量的・質的金融緩和」というのは、北海道経済に限らず、要するに、企業も家計も前向きな行動をとれるようにするという環境を作るということが基本です。何かじっとして、何もしないでいるだけでいいという状況ではなくて、何かポジティブに行動した方がいいと、何かイノベーティブなことがやれる、金利も低く、資金調達コストが低いので、今がチャンスだということで、前向きな生産性を上げる努力というようなことをしやすい環境を作るという金融政策です。
§30Kikuo Iwata
ですから、北海道経済をどうすればいいかというのは、こういうふうな経済環境を、土台を、作っていますから、積極的に色々なことを民間として考えて、活力を発揮してくださいということです。私が、どうしなさい、こうしなさいとは言えないので、民間の活力に任せるというか、最終的には、民間が活力を発揮しやすい金融環境を作り出すということが我々の役目だと思っています。以上