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日本銀行記者会見2015年7月1日布野幸利, 審議委員

布野審議委員就任記者会見(2015年7月1日)要旨

全文

§1Question

今回、日銀の審議委員にご就任されるにあたっての抱負について、お聞かせ頂けますでしょうか。

§2Yukitoshi Funo

抱負につきましては、皆さんもご承知と思いますが、私は、40 数年間、実体経済と言われるところに身を置いて参りました。その中の感想ですが、日本の実体経済には色々な良いところがあるということです。例えば、お客様本位の商品やサービス、モノづくりや改善を進める伝統、人材を大事にする経営、またイノベーションを進めていく人材の層の厚さです。日本は、そういう実体経済を通して、自らを豊かにもできるし、世界にも貢献していけると思っています。そういったことを実現するためには、やはり実体経済の持続的成長が必要であり、また、そのためには、物価の安定や生産性の向上など、色々なことが条件として満たされないといけないと感じています。今回、審議委員に就任させて頂くということで、私の過去の経験等を踏まえ、現場からのフィードバックなど鋭意収集し、実体経済と金融政策の相互作用に注目し、私の特色を出しながら、役目を果たしていきたいと思っています。私は、実業、産業界の出身ということで、金融界や、他の方々と比べますと、経歴が多少違いますから、総裁、副総裁はもちろん、審議委員の方々、また、理事の方々の考えに耳を傾けながら、勉強しつつ役目を果たしていきたいと考えています。

§3Question

ギリシャでは、IMFへの債務を延滞して、5日には国民投票も予定されています。ギリシャの債務問題の行方と、日本経済に及ぼす影響についてどうお考えなのかお聞かせ下さい。

§4Yukitoshi Funo

ギリシャの今の状況は、非常に憂慮しているといいますか、心配をしているところです。今後、今お話に出た投票等も目前に迫っている中で、事態は非常に流動的でもありますので、私としては、鋭意、注目しつつ、事態をウォッチしていきたいと覚悟しているところです。

§5Question

為替についてお尋ねします。今、日本企業は大企業を中心として、円安で利益が押し上げられて好業績が続いていますが、その一方で、中小企業等では、これ以上の円安への懸念を示しているところも多いと思います。先程、実体経済と金融の相互作用というお言葉でしたけれども、特にトヨタご出身ということで、昨今の為替の水準と、これ以上の円安についてどうお考えなのか、お聞かせ下さい。

§6Yukitoshi Funo

為替について、あまり深入りするコメントは避けたいと思います。私としては、為替は、やはり市場が決めていくものと考えています。そういう意味で、企業ないし経済としては、為替の変動に抵抗力のある実力といいますか、耐性をつけていかなければならないと考えています。

§7Question

2 点お伺いします。1 点目は、昨年10月に日本銀行は追加の金融緩和をしました。その時には、票数も割れて、色々意見が分かれました。当時、布野さんは外にいらっしゃって直接関わられていないわけですが、前回、追加緩和をした日銀の決定について、どのように今──当時もそうですが──、お考えになっているのか、端的に言うと良いことなのか、問題があるとお考えなのか、ということをまずお伺いしたいと思います。もう1 点は、先程も金融界と産業界の相互作用というところで貢献したいとおっしゃっていたと思いますが、布野さんのご経験の中で、こういうところが非常に得意である、こういうところでより議論に貢献できるのではないか、というのがあればもう少しお伺いできないかと思います。特に、米国等々国際的にご活躍だったと伺っていますので、例えば、国際的な産業の視点とか、もう少しブレイクダウンして頂ければと思います。

§8Yukitoshi Funo

まず、昨年の10月も然ることながら、日本経済は、リーマン・ショックの後、大震災もあり、非常に苦しい時代が続いたと思います。それが、この2年程で何とか未来が見えるかな、というところに来たのは厳然たる事実ではないかとみています。そういう意味では、今後に期待できるなということで、今までのところ、何とか上手くいっているという感じで受け止めているところです。それから、私の貢献については、私は、45年程トヨタにいました。そのうち 2年間は相談役の立場でしたけれども、45年のうち、外国暮らしも 20年くらいありますし、その他の年数においても海外の仕事をやってきており、いわば肌感覚で海外の動きを感じることができると思っています。そういう意味では、色々な統計や指数に出てくる経済状態の背景がどのようになっているか、国際的な視野で感じることができるのではないかと思っています。そういう部分からのフィードバックというものを会合の中にインプットさせて頂きたいと思っています。

§9Question

先程の質問とも重なるのですが、これまで「量的・質的金融緩和」が日本経済、物価に与えた効果について、もう少し具体的に、どういう経路でどういう部分に効果を発揮したと考えておられるのか、また、今の緩和は相当大規模なものですが、今後この緩和を進めていく上で副作用についてどういった点に特に委員は注目されているか、教えて下さい。

§10Yukitoshi Funo

先程申し上げた通り、今までのところ、色々な形で、国民一般も、企業人も、経済に少し明るいところが見えてきたと感じていると思います。副作用については、薬品業界にいる私の友人の話によると、副作用のない薬はないそうです。「良薬口に苦し」という言い方もありますが、やはり、副作用は常にウォッチしていかなければいけないと思っています。色々な政策を展開していく中で、副作用がどういう状況にあるかについて、今後、他の委員との意見交換や、理事や様々な方々と協力しながら、鋭意ウォッチしていきたいと考えています。

§11Question

今の日銀としては、「2016年度前半頃」に2%に達するというのが中心的な見方になっていますが、この見方に対して布野委員の物価の見通しは如何でしょうか。もう 1 点ですが、本日、安倍総理から任命を受けられたと存じていますが、任命の際に総理からコメントみたいなものがあれば教えて頂きたいのと、その際の率直なお気持ちも伺えればと思います。

§12Yukitoshi Funo

「2016年度前半頃」に2%に達することですが、実体経済に身を置いてきた経験からすると、経済は生き物なので、これまでもそうですし、今後も、例えば、原油価格や米国の金融政策など、様々な要因が影響を与える、作用してくるということです。重要なことは、常にきっちりとウォッチしながら、2%についても、どういう実態にあるかをウォッチしていかなければいけないと思っています。ただ、2%を瞬間風速で達成することも然ることながら、2%というものを安定的に考えていく場合に、実体経済としての生産性がどうであるか、各産業分野で成長を支えるような実体経済の競争力のアップなどができているかをよくウォッチしていく必要があると考えています。それから、任命を頂いたとき、総理との間でどういう話があったかについては、差し控えさせて頂きたいと思います。よろしくご理解をお願い致します。

§13Question

先程、為替は市場が決めるものである、企業は抵抗力を作っていかなければいけないということをおっしゃったと思います。市場が為替を決めた結果として、円安方向に動いていると思うのですが、先程、抵抗力とおっしゃいましたので、企業にとって必ずしも望ましくないというお考えをお持ちなのでしょうか。

§14Yukitoshi Funo

為替変動というのは、やはり 1 つのリスクです。変動ということ自体がはらんでいる要素はリスクです。従って、企業が持続的に成長していくためには、そういうファクターに依存しないこと、きちんとした原価の作り込みや生産性の向上をきっちりと経済および個々の企業においても身につけていくことが重要と感じている、ということを先程は申し上げました。

§15Question

今、日銀が 2%の物価目標を実現するうえで、2年程度を念頭にできるだけ早期にということで、かなりスピード感を意識しているところですが、一部の委員の方には実体経済の成長や失業率の低下に伴って、ゆっくりでも良いから物価を安定的に実現を達成すれば良いという見方があると思います。実体経済をウォッチしていきたいというお考えであるということは、それほど物価目標を達成することにスピードや時間的な期限というものは考えなくて良いのではないかと思っていらっしゃるということでしょうか。

§16Yukitoshi Funo

ガイダンスという意味合いで、2%をきっちりと達成していくことは、重要な観点であるという認識は持っていますが、私が申し上げたかったのは、その次に来るのは何かということです。 2%の背景には、例えば、デフレ脱却であるとか、持続的成長があって、その中での2%と考えています。従って、2%を達成することの重要性に加えて、生産性のアップをきちんとやっていくことが、むしろ大きな命題であると申し上げたかったわけです。

§17Question

2 点お伺いします。物価の現状なのですが、CPIは目下前年比 0%ぐらいなのですが、東大日次指数に出ているような、スーパーとかで売られている日用品、食料品とか、そういったものは結構堅調に上がっていまして、庶民的物価観としては、もはやデフレは脱却しているような、物価は随分上がっているのではないかという感覚もあるのですが、その辺どうご覧になっているか教えて下さい。2 つ目は、今のボードの状態なのですが、昨年10月の追加緩和で 5 対4 に割れています。今後どうなるか分かりませんが、ボードの意見が割れているという状態、それは政策の発信力に何らかの影響があるというか、望ましくない状態とお考えなのか、色々意見は百花繚乱あった方が自然で望ましいということなのか、ご所見をお願い致します。

§18Yukitoshi Funo

デフレ脱却については、前進しているとは思っていますが、どの程度本格的に──景気も含めて──、どこまで来ているかというと、まだ本格的な状況には来ていないなというのが私の感じです。例えば、私が今までおりました自動車の状況等をみても、色々な税の変更も絡んでいるのは事実ですが、まだ前年比でみても、決して高いレベルではありません。やはり、景気全体が本格的にどうかという意味で、デフレ脱却も本格化したかについては、引き続きウォッチしていかなければいけないという感じで私はみています。会合で票が割れていることについては、私は、むしろ健全ではないかと思っています。本来、色々な意見があるから会合を開いているのであり、最初から1 つの意見であれば、あまり会合も機能していないという感じです。色々な意見があるから、会合を開くのではないかというのが、ごく一般の生活感覚だと思います。家庭の中でも、家族会議をする時に、父親の意見と母親の意見が違うから家族会議をやるのであって、一緒であれば別に会議をする必要も特にないと思います。率直にそう思っていますので、あまり票が割れた、割れないということを取り上げるよりも、やはり議論の中身の方が重要だろうと、ごく率直にそう思っています。

§19Question

先程、実体経済におられた経験を、金融政策に反映させていきたいという話の中で、海外経験も長いという話をされていましたが、そのバックグラウンドを理解するために、トヨタ時代に、海外のどういった国に身を置かれて、そこで主にどういった仕事をされてきたかを、もう少し具体的に教えて頂けますか。

§20Yukitoshi Funo

私は、1970年にトヨタへ入社しましたが、すぐに担当したのはアジアで、具体的な国はフィリピンです。そこで、車のCKD──車を全て部品にしてある国に送って組み立てるもので、現地では部品を調達しない初期的な段階の国に対するものです――の方式で、フィリピンに輸出する仕事をしていました。その後、米国のビジネススクールに行き、帰国してからオーストラリアの仕事に携わるようになり、その流れで1980年代に入って 2 回、計9年間、オーストラリアに駐在しました。1990年代初めに日本に帰り、その後ずっとアジアと中近東の仕事を東京でやっていました。90年代後半から、仕事で初めて米国に行きました。また行ったり来たりですが、日本に帰ってきて取締役になり、最後は 2003年から 2009年まで米国に行きました。ちょうどリーマン・ショックも向こうで経験して大変だったのですが、その時は、米国およびカナダを含む北米の責任者をやっていました。その後、2009年に日本に帰って、それからは副社長となり、主に海外全体の責任者をやっていました。引越しの回数も、40 数年間に 20 回以上ですし、海外出張もつい最近まで毎月しており、ホテルで年に 100日以上過ごすような生活をしてきましたので、新聞やデータを見てもその裏を、フィーリングというか肌感覚で分かるような人間になっているのではないかと思っています。

§21Yukitoshi Funo

私はそういう経歴です。

§22Question

先程から何度か質問が出ていますが、改めてお聞きします。2%の物価目標は先程、きっちりとやっていくことが重要というお考えだったかと思いますが、必ず2%という数字を達成していくのか、あるいは、1.8%なのか 1.9%なのか、2%に近いところまで行ければ良いのではないのかというようなお考えなのか、その辺りの厳密性というか、 2%という数字についての拘りについては如何でしょうか。

§23Yukitoshi Funo

確かに、2%は必要といいますか、やらなければいけないと思っています。ただ、そこに作用してくるファクターが日々刻々変わっているわけで、その意味では、昨日、今日のギリシャでも、これが例えば──今はそこまで見えていませんが──、展開次第では影響が出てくるかも分からないものを含んでいます。そういう意味では、先程申し上げたように、経済は生き物ですから常に変わっており、その中で 2%を念頭に、色々なことをどういう形でやっていくかということだろうと思います。民間企業には色々な会社がありますが、私の知る範囲――トヨタやその他の会社──の言い方では、常にPDCA(Plan、Do、Check、Action)を回しながら前進していくという考え方があり、あくまでも、目標を見ながら、プランを実行し、チェックして、リアリティを持って政策展開をやっていく、戦略展開をやっていくということです。受験勉強でも「傾向と対策」という言葉がありますが、これは普通の常識といいますか、傾向を見ながらリアリティを持って対策を打っていくことが、実体経済を踏まえたある種の取組みの理念、思想であると私は思っています。そういう見方で2%も見ていきたいと思っています。

§24Question

物価と金融政策についてお聞きします。先程 2%の物価目標をきっちり達成するのが重要とおっしゃっていましたが、現在、物価は 0%近傍で目標には程遠いような状況にあると思います。現時点で、布野委員は追加緩和の必要性をどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

§25Yukitoshi Funo

これは、金融政策決定会合で議論することで、今、なかなか言うのは難しいと思います。ただ、先程申しましたように、繰り返しになりますが、きっちり見ていって──そのためにも今 14 回やっているわけで──、その中でPDCAを回していくと私は思っています。そういう有り様が、ミーティングの有り様でなくてはならないのではないかと思っています。ちょっと例え話をしますと、ミサイルが当たるように常に短いピッチで計算してターゲットに向かっていくのが重要なファクターではないのかなと思っています。ちょっと混乱させた表現かもしれませんが、ミサイル以外では、昔、明治の大砲という話があります。明治の大砲というのは、ずっと向こうのターゲットに向かって、計算してボンと打つと、風が吹いてずれるということです。そういうアプローチよりも、状況が変われば、そこで対策を立てて、 Plan、Do、Check、Actionを展開しながらやっていく、その代わり、やはり心に定めたターゲットというのは、きちんとそれを踏まえて前進していく。これは、会社の経営ですと、非常に常識的な話であると私は思っています。そういう経営の考え方というか理念を続けていくことが持続的成長にもなるし、また生産性を高めていく手立てにもなると思っており、これが現場で色々なことをやってきた私の経験からの視点です。

§26Question

やや毛色の違う質問ですが、横顔的なこと、お人柄を教えて頂きたくお伺いします。まず、座右の銘と、その志をどのように審議委員という立場で体現していけると思っているかと、ご趣味と休日の過ごし方を教えて下さい。

§27Yukitoshi Funo

座右の銘と言えるのかどうかわかりませんが、「リスペクト」ということが一番大事だと思っています。実は、座右の銘とするのに少し躊躇があるのは、トヨタウェイというものの中に「チャレンジ」、「改善」、「現地現物」などと共に「リスペクト」が入っているので、私が言うと、そこから拝借したのではないかと言われるからですが、私は「リスペクト」が一番大事だと思っています。それは、お互いに「リスペクト」があることによってチームワークが形成されるということで、これは多分、今の審議委員および総裁、副総裁を入れた 9 人の中であるとか、審議委員と理事との関係、日本銀行の行員の方との関係、日本銀行の支店と本部との関係、そういうところに、お互いに尊敬する気持ちがなければ、経営の第一歩も踏み出せないと私は思っています。座右の銘というかどうかはともかく、「リスペクト」が基本的に全てのことのベースであると思っています。休日の過ごし方は、私はゴルフも下手ですし、色々なことができない人間ですから、基本、妻と散歩するぐらいです。その散歩も、横に並んで歩くという散歩ではなく、私の歩調はゆっくりしているので、私が3 メートルくらい後ろからついて歩いて散歩をするくらいです。その他には、本を読むぐらいです。

§28Yukitoshi Funo

本を読むことについてちょっと言いますと、私は非常に本を読むのが速いのですが――斜め読みが速いと言いますか――、審議委員の話が出てから、皆が結構、この本を読んだら良い、あの本を読んだら良いと提案してくれるので、それを読み始めたら、意外に私は本を読むのがそんなに速くないなと実感しております。結構、経済学の本は難しいなと感じており、自分が非常に本を読むのが速いと少し自負があったのは、何のことはない、好きな本を読んでいたから速かったのです。新しい分野に1年生で入るわけで、本を読むスピードを上げることも結構しばらくかかるのではないかなと思います。多分、5年を終える時には速く読めるようになっていると思いますが、目下のところ、そういう状況です。あまり要領が良くない不細工な人間なので、趣味もそんなにはありません。

§29Question

本日の短観で、企業の設備投資について、かなり積極的な姿勢がみられたわけですが、実際、どの程度、企業の設備投資が力強いものなのかという点をお伺いします。大企業製造業、非製造業ともに良かったわけですが、今の景気認識と合わせて設備投資の話をお願いします。

§30Yukitoshi Funo

設備投資は、ごく大雑把に言って、企業の経営で決めていると思いますが、企業の決定というのは、米国の経営者が決定するリードタイムと、日本の経営者が決定するリードタイムと、ヨーロッパの経営者が決定するリードタイムは微妙に異なります。日本の中でも異なりますし、社風によっても異なります。従って、これはなかなか一律には出てこないという難しい部分がある──経済学というよりも経営の心理学といいますか、よく表現ができませんが、そういうものだ──と思います。そう申し上げた上で、日本の経営はどういうものかというと、国際的にみて、結構慎重です。すぐに投資が増えなかったことの背景には、そういう面が多分にあると思います。そのように見てみると、慎重なのに投資が増えるように全体が動き始めているということは、意外に底堅いというか、堅調な動きを今後取り得る要素を含んでいると思います。今のようなマクロ経済の状況が続けば、日本の経営者が結構投資をしてくれると期待できるのではないか、いわゆる生産の回帰も期待できるような状況が少し見え始めたかな、その端境期にかかっているのではないかと観察しています。私は長らく米国にいたので、米国人の発想も知っていますし、トヨタの中でも 1 つのことを決めようとしたときに、米国人がどういう形でどういうスピード感で物事を提案してくるかもわかっています。米国の経営者の意思決定は、非常に速いです。

§31Yukitoshi Funo

社会的にも速く動き、進むのも撤退するのも非常にビビッドにやる風土があります。それと比べると、日本の場合は、進むのもスロー、退くのもスローというビヘイビア(行動様式)があります。そういう観点からみると、本日の短観で、そういう兆しがみえたことについては──事実そういう形になってきたわけですが──、将来について期待できるのではないかと思っています。ただ、状況は流動的ですから、常にウォッチする必要があるというのが正直なところです。

§32Question

質問は 2 点です。1 点目は、この仕事を引き受けようと思った理由についてです。2 点目は、審議委員というのは非常に高い専門性を求められるお仕事だと思いますが、ご自身の自己評価として、マクロ経済や金融政策についてどのくらいお詳しいと考えていらっしゃるか、その2 点についてお願いします。

§33Yukitoshi Funo

引き受けた理由は、お話があって、私も結構歳をとったので、お国の為になるのだったら良いかなと思ったのが背景です。ご存じのように、私は相談役でしたので、この2年間は、セミリタイヤメント、フルリタイヤメントになった時のライフスタイルに向かいつつありました。民間でずっとやってきて引退するわけですが、こういうチャンスを頂ければ、お国の為にやるのも1 つのチャレンジかなと思ったのが背景です。専門性等については正直申しまして、委員の方々の中には、一生涯、命を懸けてマクロ経済学に取り組んでいる方がおられるわけですから、私がその方々と競争をしてどうこうということは考えておりません。そういう意味では、先程の「リスペクト」と関係するのですが、そういう専門性を高く持っている方を尊敬しつつ、私としては、私の経歴を踏まえた上で、私が補完的といいますか、貢献をしていけるかを振り返りつつ、前に進んでいきたいと思っている次第です。以上