佐藤審議委員記者会見(2016年6月2日)要旨
全文
§1Question
2 点質問させて頂きます。まず 1 点目は、本日の懇談会において地元経済界および行政からどのような意見および要望が出たのかという点です。もう 1 点は、道東経済の現状や今後の見通しについて教えてください。
§2Takehiro Sato
本日の懇談会では道東地域の行政や財界、金融界を代表する方々から地域の金融経済の現状や課題、あるいは日本銀行の金融政策運営に関する貴重なお話やご意見を頂戴し、極めて有意義な意見交換ができたものと認識しております。まずは、ご出席いただきました方々や関係者の皆様に深く御礼を申し上げます。本日の懇談会では、ご意見が多岐にわたったため、全てを網羅してご紹介することはできませんが、私なりに席上で聞かれた話題を整理して申し上げます。まず当地では、主力産業の一つである農業生産が好調であるなど、地域が元気さを増しているとのお話を伺いました。こうした中、人口の減少や高齢化が続いており、地域の購買力の低下が進んでいるとの課題が聞かれましたほか、中小企業などにおきまして人材や後継者不足の課題に直面しているとの話も聞かれました。また、成長に対する中長期的な見通しが立てづらいなかで、新たな設備投資に躊躇する企業も多いといった話が聞かれました。一方で、こうした課題を克服すべく、地域外との取引の活発化などを通じた当地経済活性化の観点からの様々な取り組みをご紹介頂きました。例えば、当地物流網の整備や観光資源活用の観点からの取り組みやUターン、Iターン促進など域外人材の活用の観点からの取り組みについてご紹介頂きました。
§3Takehiro Sato
このほか、地域金融機関からは、本行のマイナス金利政策に関し、その効果に対する疑問や長期間続いた場合の収益面への懸念などが聞かれました。私どもとしては、釧路支店を通じて、当地の金融経済情勢について肌理細かく把握していくとともに、中央銀行の立場から、経済の持続的な成長の実現や金融システムの安定性を確保することを通じて、当地関係者のご努力がより大きな成果に繋がっていくようサポートして参りたいと考えています。次に、道東経済の現状と今後の見通しについてですが、道東地域の景気は、根室地域で漁業・水産関係の環境悪化が続くなど地域によって異なった状況にありますが、全体としては 3月短観の業況判断が+5 の改善となったことにも窺われます通り、着実に持ち直していると判断しています。すなわち、当地でウェイトの高い公共投資は新年度の発注増などを受けて、これまでの減少ペースが緩やかなものになってきています。また、設備投資や住宅投資は収益・雇用環境が改善するもとで、全体としては緩やかに増加していますほか、個人消費は底堅く推移しています。この間、原油価格の安定や円高も企業・家計のコスト低下に繋がるものとして、これらの前向きな動きを支えているとみられます。
§4Takehiro Sato
先行きについては、こうした動きが続いていくことが期待されるほか、やや長い目でみても道東道の延伸、地元港湾の整備、観光資源の開発など、地元の成長力強化に繋がる動きがいくつもみられています。道東地域が、今後益々発展していくことを期待しています。
§5Question
2 点お伺いします。まず、本日の講演でマネタリーベースの拡大とマイナス金利政策を並存させる現在の政策の枠組みについて持続性に欠けると指摘され、買入れ目標やマネタリーベースの柔軟化に着手すべきと指摘されています。ただ、現在のマーケットは、日銀による大規模な買入れを前提として非常に低い金利水準にあり、マグマが溜まっているような状況です。やり方次第では市場に混乱を招きかねないとも思いますが、どの程度の目標の未達であれば市場の混乱を避けられるとお考えでしょうか。具体的なイメージがあれば伺いたいと思います。もう 1 点は、昨日、安倍首相が増税延期を正式に表明されました。二度の増税延期で政権の財政健全化への姿勢には疑問を持たざるを得ない状況となっています。日銀が金利を低く抑えているために財政懸念を反映した悪い金利上昇は起こっていないですが、今後市場にどのような影響が出ると懸念されていますか。また、こうした中で、日銀が現状のような緩和を続けることが事実上の財政ファイナンスであると市場から見做されてもおかしくない状況にあると思います。日銀として市場に今どのようなメッセージを発するべきとお考えかお伺いしたいと思います。
§6Takehiro Sato
まず 1 点目のご質問ですけれども、片やマネタリーベースの拡大を図る一方で、その限界的な増分にマイナス金利、すなわち一定のペナルティを課すということですので、これは当座預金を持つ側の金融機関からするとなかなか持続性に欠けるというか、矛盾しているようにみえるのではないかと思っています。そういう中で先行きに関して、今の政策の持続性を担保するために、ある程度の柔軟性を認めていく必要があるのではないかということが私の持論でありまして、これは午前中の挨拶要旨の中で詳しく述べた通りです。その上で、どの程度の柔軟性を認めるかということに関して具体的なイメージがあるかということですけれども、80 兆円のマネタリーベース目標あるいは 80 兆円の国債の買入れ目標に対して何兆円の上下のアローアンスを認めるかということに関して具体的な数字を申し上げることは適切ではないと思います。
§7Takehiro Sato
重要なことは、これだけ絶大な金利低下効果が発揮されている以上、若干の目標額の未達、買入れ額の未達が起こったところで、金利が大幅に低下していることに変わりはない訳でして、そういう状況のもとでは、個人的には、仮に未達が起こったとしてもそれをことさら大きな問題として取り上げる必要は全くないでしょうし、マーケット関係者などからテーパリングと誤解されることがないように丁寧に説明していけば良いのであって、それで市場の理解は十分得られるのではないかと思います。それから、消費税の質問に関してですが、基本的には消費税の扱いも含めて具体的な財政運営に関しては、政府・国会において行われるものと認識しておりますので、私の立場からこれについて具体的に意見を述べるということは差し控えたいと思います。その上で、一般論として申し上げますと、持続可能な財政構造を確立するということは、日本経済が持続的な成長を達成していく上で必須の前提であり、日本が国全体として取り組まなければいけない課題であると思っています。その意味で政府による財政健全化に向けた取り組みが引き続き着実に進められていくことを期待しています。なお、付け加えますと、2013年1月に政府と日本銀行は「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」という共同声明を出しています。
§8Takehiro Sato
この中では、「政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」と書いてあります。私としては、こういった政府の取り組みを強く期待したいと思っています。ご質問の消費税率10%への引き上げが延期されるということについては、基本的には、今申し上げたような政府・日銀との連携との観点から、政府におかれましては、財政運営に対する信認確保という観点から、引き続き慎重な財政運営を行っていただきたいということをお願いするということ、それに尽きると思います。
§9Question
金融政策の柔軟化について、ご趣旨はよく分かるのですが、本日の挨拶要旨をみるかぎり、バロメータは量ではなく金利の方が望ましいというご意見なのでしょうか。それから、昨日から海外を中心に為替市場では、消費税増税延期によって日本銀行としては約束が守られていないということで追加緩和に動きにくくなるという憶測から、円高が進んでおります。この点について、ご所見をお願い致します。
§10Takehiro Sato
第一のご質問ですけれども、マネタリーベース目標、あるいは資産買入れの柔軟化ということに関してですが、1月末の金融政策決定会合以降、マイナス金利に関し、私は反対票を投じてきています。反対の理由というのは午前中の挨拶要旨の中に詳しくご説明していますので、この場で繰り返すことは避けたいと思いますけれども、要はこれ以上マイナス金利を深堀りすることが望ましいかどうかというご質問であれば、私は明確に反対ということです。それから消費税増税の延期が金融政策とどういう関連を持つかというご質問ですが、私どもとしては、デフレ脱却、あるいは 2%の「物価安定の目標」の達成を念頭に置いて金融政策を運営しています。これは政府の財政政策のスタンスに関わらず、こうした政策運営スタンスで一貫しているということです。そういう点で消費税増税の延期が私どもの金融緩和のスタンスに何らかの影響を与えるものではないと思っています。
§11Question
今月、来月と日銀の決定会合の直前にアメリカのFOMCがありますけれども、今後アメリカがどういうペースでいつ利上げをするのか、非常に市場は関心を持っているようですけれども、これが世界経済や資本のフロー、ひいては日本の経済、日本の金融政策に与える影響について、お考えをお願いします。
§12Takehiro Sato
私どもの展望レポートの中では、内外経済のリスク要因の一つに米国経済の動向と金融政策のもたらす影響を潜在的なリスク要因として挙げています。そういう点で、米国経済の動向、それからそのもとで米国の金融政策運営については、その動向を丹念にウォッチしています。直近では、FEDのコミュニケーションはやや前傾化してきており、6月のFOMCに向けて、市場の利上げ期待は若干高まってきているようにも見受けられます。その一方で、イエレン議長のご発言にもありますけれども、基本的には今後の金融政策運営はデータ次第、あるいは今後の経済動向や物価次第ということで、引き続きフリーハンドを手にしているということです。ただし、一般論で言えば米国の経済、これは午前中の挨拶要旨で触れましたように 4-6月期は若干成長率を高めているよう見受けられます。それから雇用は、直近4月の統計では幾分鈍化したとはいえ、均してみれば依然堅調なペースを保っていますので、こういう中では引き続き金融政策運営の基本的なスタンスとしては、金利の正常化に向けて逐次引き締めていくことになるだろうと思います。こうした米国の金融政策運営は、国際金融市場における資本取引に、やはり幾ばくかの影響を及ぼすと思います。特に足もとの状況は、米国の金融緩和が長く続いたもとで、新興国・資源国がドル建ての債務を積み上げてきました。
§13Takehiro Sato
実際に金利が上がることによって、新興国・資源国の経済、あるいは金融市場に不測の影響を及ぼす可能性もなきにしもあらずということで、その動向に関しても丹念にウォッチしていきたいと思います。合わせて、足もと様々な金融規制の強化の影響により、市場の流動性が低下しているように思われます。こういう中での利上げが、国際金融資本市場における資金フローに予想外に大きな影響を及ぼすことがないかも丹念にウォッチして参りたいと思います。
§14Question
今日の講演でかなり包括的に日銀がやっている金融政策──QQEとかマイナス金利──に対する反対、批判というものをされています。先程の質問にもありましたけれども、消費増税の延期ということが決められて、6月に日銀がどうするのか、足もとですごく関心が高まっています。政府に歩調を合わせて追加緩和をやるという見方もあれば、却って財政の規律が損なわれつつある中で緩和しにくくなったんじゃないかという見方もあります。こういった増税の後に追加緩和をする、それがマイナス金利の拡大、あるいは長期国債の拡大、あるいはETFの買取の拡大、いずれもこういった三次元の金融緩和が行われた場合、どのようなリスクがあるか、あるいは既にあるリスクが更に大きくなるとした場合に、特にどのような点にご懸念をお持ちなのか、ご意見をお聞かせ下さい。
§15Takehiro Sato
ご質問の内容が、もし金融緩和が行われたらという仮定に基づくご質問でございますので、直接のお答えは控えさせていただきたいと思います。その上で改めて消費税率の引き上げの延期と、それから金融政策運営との関係ということに関して申し上げますと、日本銀行の金融政策運営はあくまでも中期的な「物価安定の目標」の達成の観点から行われるものであって、その限りにおいては財政政策に従属している訳ではないということです。仮に、財政政策が拡張的であるから、あるいは引き締め的であるからということで、それに応じて金融を緩和したり引き締めしたりということであれば、これは言わば財政従属になってしまう訳でありまして、必ずしも、財政と金融の望ましい連携の在り方ではなくなってくる可能性があります。そういう点で、繰り返しになりますけれども、あくまでも消費税率の引き上げの有無ということに関わりなく、物価安定の観点から、さらに付け加えますと、金融システム安定の観点から、金融政策を行うということに尽きると思います。
§16Question
消費増税の延期の件で、国債の格付けが下がるのではないかという懸念があります。この点の金融機関への影響と、それを通じて金融政策へどういう影響があるかをどう考えていらっしゃるか教えてください。
§17Takehiro Sato
国債の格付けについては、格付け会社が決めるものですので、何とも言い難い面がありますけれども、一般論として言えば、仮に格付けが下がることになった場合、様々な影響が金融市場において生じる可能性があるので、その影響については丹念にウォッチしていく必要があると思います。では、国債が格下げになって金利が急上昇するかと言われれば、ご覧のとおりこれだけ大規模な買入れを行っているなかで、ないしはプラスの金利がついている資産に対しての需要が非常に強い中では、格下げによって国債金利が急騰するといった事態は、蓋然性としてはかなり低いのではないかと個人的には思います。ただその一方で格付けが下がるということは、例えばこれは国債の担保としての利便性が低下するということになりますので、その影響については、よく見ておく必要があると思っています。合わせて、これは直接国債の利回りとは関係ありませんけれども、国内の金融機関の外貨調達コストに影響してくる可能性があります。外貨調達コストについては、すでに恒常的な外貨需要の強さを受け、高止まりしている訳ですけれども、こういった調達コストが格下げによって更に上昇する可能性があり、それが本邦の金融機関の経営に及ぼす影響として、やはり相応なものが見込まれると思われますので、その影響についても十分注意深くみていく必要があると思います。
§18Question
午前中の講演では、マイナス金利とかJGBの買入れの副作用を言われていて、この見方に関しては結構行内に賛同者もいらっしゃるかと思います。しかし、なかなか現状だと総裁が 2%の目標ということを言われていて、弊害とかリスクとかその辺に関しては、あまりコメントしていないようです。先日の金融システムレポートでも、株価のところとか不動産向けの融資のところが、上がってきているけれども全体としてみれば平気だという言い方をしています。現状の委員の中の大部分、総裁も含めて、そのような方々が、柔軟な金融政策運営に変更する、または金融の不均衡に関してどういうふうに理解すれば、あるいはどういう状況が現れれば、現状の政策スタンスの柔軟化あるいは変更がなされるのか、現状、佐藤委員はどういうふうにみていらっしゃるかお伺いしたいです。
§19Takehiro Sato
まず、私の主張している柔軟な政策運営あるいは柔軟な「物価安定の目標」の解釈ということに関してですが、これは別にどういう状況があれば、あるいはどういう経済環境なり物価の状況になればという、コンディショナルなものを特に想定している訳ではございません。ただし、これだけ大規模な買入れを行い、日銀の国債保有残高が発行残高の中でやはり相応のウェイトを占めてきているということで、市場参加者の間でそれなりに買入れの限界ということが意識され始めています。そういう中においては、早い段階でこういった資産買入れ運営の柔軟化ひいては物価安定の定義の解釈の柔軟化への態度を明確化しておくことが、今後、不測の混乱を避ける上では重要であろうということです。そういう点では、特定の状況を念頭に置いてそうするべきだ、と申し上げている訳ではありません。それから、金融システムレポートに関してコメントがありましたので、若干付言しますと、直近の金融システムレポートの中では、「わが国の金融システムは、安定性を維持している」という評価となっています。ただし、先行きについては、この中でマイナス金利に関して様々なプロコンを丹念に検証した上で、今後の金融機関の経営動向に関して若干の懸念を表明していることも事実です。
§20Takehiro Sato
その政策についてですが、基本的には、長く続ければ続けるほど、金融機関の収益基盤を歪め、ひいては金融システムの安定性に影響を及ぼす可能性がありますので、基本的には持久戦で長くやるような政策ではないと思っています。そういう点でも早めにこの枠組の柔軟化ということに政策の重点を移し、それによって金融システムへの負荷を減らしていくということは、究極的には「物価安定の目標」を達成する上でも重要であると思います。
§21Question
先程、金融政策は物価の中期的な目標達成のために行うものであって、財政に従属はしていないと仰いました。ただ、つい最近、消費増税の延期という大きな決断がなされました。その直後に、日銀がまた大規模な金融緩和をするとすれば、これは望むか望まないかに関わらず、今流行りの言葉でいえばヘリコプターマネーのような、そういう見方を市場の中で強める可能性もある訳です。そういうことは懸念はされてないのでしょうか、というのが先程の質問だった訳ですが、それについては仮定だからお答えはできないということに尽きるのでしょうか。
§22Takehiro Sato
先程のお答えの繰り返しになってしまうのですが、緩和するとすれば、というご質問でありましたので、ただ近々緩和するかしないかというのは金融政策決定会合の中で決まることであって、私個人の立場として申し上げることではないと思いますので、特に、仮定に対するご質問に関しては、お答えは控えさせて頂きたいと思います。その上で、これまで金融政策の限界が意識される中で、財政政策と金融政策の関連については、様々な議論が盛り上がっていると思います。例えば、今流行りのヘリコプターマネーといった議論がある訳ですけれども、基本的には、金融政策と財政政策はやはり独立している訳でして、仮に金融政策が財政に完全に従属している、あるいは金融政策と財政政策を一体として運営するという趣旨であれば、我が国を含む先進国では歴史的な経験を踏まえて、財政政策は政府、国会の責任において行いますし、金融政策は独立した中央銀行が行うという考え方が確立している訳です。そういう意味では、法制度上も財政政策と金融政策は独立していますし、金融政策もこういった法制度のもとで、基本的には完全に財政に従属した金融政策というのはあり得ない、と感じています。
§23Question
今日の午前中の講演の中で、2%の物価安定の目標というのは無理に達成する必要はないのではないか、というお話をされていたと思うのですが、これはあくまで期間のことを仰っているということであって、2%自体は意味があるということで仰っているのでしょうか。もう 1 点は、日銀としては 2017年度中にこれを達成するというような言い方をしていると思うのですが、この実現可能性についてどのように考えておられるのか、お聞かせ頂けますか。
§24Takehiro Sato
まず、1 点目のご質問について、2%を無理に達成する必要はないという私の主張に関して少し付言をいたしますと、これは期間と 2%という水準を両方含めて、という意味です。期間に関しては、そもそもある特定の期間や期限を区切るということ自体が、伝統的な金融政策の考え方には馴染まないですし、実際のところ、QQE開始後、既に 3年が経過していまして、2年程度の期間を区切るということが、相当現実とそぐわなくなってきていると思います。それから、2%という水準に関してですが、もともと私は 2013年1月に「物価安定の目標」を定めた時に、反対票を投じています。理由は、単純に日本経済の潜在成長率等から考えて、2%という「物価安定の目標」は高すぎると考えたためです。なおかつ、この 2%の「物価安定の目標」というのは、実績ベースで評価する必要は無く、見通しベースで評価して行けば良い、すなわち、日本経済が究極的に 2%の物価安定のパスにあると判断できるような状況であれば、それはそれで金融政策としては役割を十分に果たしていると評価できるのではないかと考えています。また、あくまでもこの 2%という目標は、上下に幅がある、上下にアローアンスがある柔軟な概念である、ということです。そういう点で、実績ベースで前年比 2%をきっちりとつけるということが、究極の目標である必要は全くない、と考えています。
§25Takehiro Sato
17年度中ということに関してですが、これは午前中の挨拶要旨の中でも触れさせて頂きましたが、私自身は展望レポートの物価見通しの記述には反対票を投じています。すなわち、17年度中には達しない、という見通しです。
§26Question
いつ達成するかというところは、お考えというのはあるのでしょうか。
§27Takehiro Sato
特定の期限は念頭に置いておりませんし、念頭に置く必要もないと思います。
§28Question
今の質問の関連なのですけれども、これまでの日銀の見通しの前提というのは、予定通り消費増税をすることを織り込んだ上で想定している訳で、今回の増税延期判断を踏まえた場合には、現在の成長率や物価見通しにどのような影響があるとか、2%は 17年度中と言っているその達成の蓋然性がそれによって高まるのか、あるいはそうではないのか、その辺りはどのようにみれば良いのでしょうか、お教え下さい。
§29Takehiro Sato
消費増税の延期につきましては、これは既に法律で定まっていることですので、延期するためには、新たに法律の立法手続きが必要になってくると思います。ただ、総理がああいう形で、はっきりと仰っていることなので、この蓋然性は限りなく高いということを前提にして、見通しを新たに作る必要はあるとも思っています。ただ、見通しの前提が大きく変わったということであっても、その見通しの策定作業もやはり要りますので、これまでプラクティスとして展望レポートに関しては、四半期ごとにその見通しを提出するいうことでやっていますので、前提を見直した上で、7月の展望レポートで、新たな、消費増税の延期を前提とした場合の、経済・物価見通しをお出しすることになると思います。
§30Question
実際のその影響と言いますか、どのように振れることになるか、という見通しはございますか。
§31Takehiro Sato
直近 4月の展望レポートの見通しでは、消費増税の影響を織り込んでおりまして、政策委員見通しの中央値は、2017年度に成長率が 0.1%まで下がる、となっています。ただ、増税の延期ということになりますと、当然そこのところは所得効果としては変わってきますので、それは短期的には経済の押し上げに効いてくると思いますけれども、いずれにしても、細かい見通しの策定作業にかかってくることでありますので、それは 7月の展望レポートの中で、詳らかにしたいと思います。以上