若田部副総裁記者会見(2019年6月27日)要旨
全文
§1Question
本日の懇談会でどのような意見交換がされたのかを教えてください。また、それらを踏まえて、懇談会の挨拶でも触れられていましたが、青森県の景気や経済の動向について、現状の見解と今後の見通しを教えてください。
§2Masazumi Wakatabe
本日の懇談会では、行政や経済、金融面で青森県を代表する方々から青森県経済の現状に関する貴重なお話を伺うとともに、金融政策運営についてのご意見も頂きました。大変多岐に渡るお話を頂きましたので、全てを紹介することは難しいですが、席上で聞かれた話題も踏まえて、青森県経済の現状や先行きについてお話しさせて頂きたいと思います。まず、青森県の景気については、一頃に比べるとペースを落としながらも、緩やかな回復基調にあるとみています。海外需要が弱含む中で、生産の増加ペースが鈍化しています。業況感は製造業中心に慎重化しており、設備投資は横ばい圏内で推移しています。ただ、労働需給の方は依然として引き締まっており、雇用者所得が改善するもとで、個人消費は回復基調を維持しています。本日の懇談会では、労働需給の引き締まりには人手不足の側面があり、当地の、特に中小企業では、大きな経営課題となっているとのお話も聞かれました。先行きについては、挨拶でも触れましたが、米中間の貿易摩擦の問題の帰趨がやはり大きなリスク要因として働いていると認識しています。ただ、日本経済が緩やかな拡大を続けるもとで、青森県経済も回復基調を続けていくとみています。長期的な課題という意味で申し上げると、青森県経済は、全国に 20年以上も先がけて人口減少が始まっており、県内需要の縮小という課題に直面してきました。
§3Masazumi Wakatabe
全国的にも人口減少に転じる中で、引き続きこの問題を克服していく必要があると認識しています。もっとも、本日の懇談会で様々なお話を伺いまして、当地の皆様がそうした課題を正面から捉え、対応を図ろうとされていることを心強く感じた次第です。私は、今回の訪問を通じて、青森県には課題を克服するための「強み」も少なくないとみています。第一に、全国有数の農林水産業があり、第二に、世界にも通用するモノ作りのできる企業があり、第三に、世界から注目が集まっている自然や文化といった豊富な資源がございます。懇談会では、これらを活かして地域の活性化につなげていく取組みとして、農産物については、ブランド化や新たな輸送技術の活用等を通じて、県外・海外への販路の拡大に努力されているとのお話をご紹介頂きました。観光面では、クルーズ船の寄港や青森空港への国際線増便も活かして、一段と取組みを強化していきたいとのお話も聞かれました。本日の私の挨拶では、人口減少は、マイナスの側面ばかりではないと申し上げましたが、懇談会では、地域商社を設立し、IoTやAI(人工知能)、ドローンを活用したスマート農業ソリューションの促進に取り組まれたり、それによって減農薬化を可能にし、首都圏や海外での販売力向上を目指されているとのお話も伺いました。これは、実際に人口減少が促進したイノベーションの例といえると思います。
§4Masazumi Wakatabe
既存企業による積極的な取組みはもとより、新たな成長を目指すスタートアップの動きを産官学金が連携して支援することで、青森県が掲げている「経済を回す」状況の実現に向け、更なる発展をされることを期待しています。
§5Question
懇談会の方でも地域金融についてお話がありましたけれども、改めて地方銀行のあり方についてお聞かせ頂ければと思います。地銀の経営統合などが進む地域もございますけれども、地域金融の今後のあり方や役割についてのお考えをお聞かせ頂ければと思います。
§6Masazumi Wakatabe
地域金融機関は、貸出をはじめ各種金融サービスの提供を通じて、地域経済を金融面から支えるという非常に重要な役割を担っていると認識しています。他方、先行きを展望しますと、地域における人口や企業数の減少などから、地域の借入需要が減少していくとみられています。地域金融機関においては、そうした新しい経営環境に適応しながら、持続可能な経営を行い、将来にわたって地域経済をサポートしていくことが期待されています。具体的には、第一に、地域には事業承継や人材確保、販路拡大といった地元企業の問題解決──これは人手不足や人口減少、高齢化に対応するものですが──あるいは家計の資産形成支援など、金融サービスへの潜在的な需要が存在しています。地域金融機関においては、金融サービスの提供力強化を通じて、そうしたニーズに的確に対応していくことが重要と考えます。第二に、業務プロセスの見直しなどを通じた経営効率化やITの活用により、地域において金融サービスを安定的かつ効率的に提供していくことが期待されます。こうした取組みを通じて、地域の企業や個人の活動が活性化すれば、同時に、地域金融機関の経営基盤も強化されていくものと考えます。日本銀行としては、引き続き、考査・モニタリング、あるいはセミナー等を通じて、地域金融機関のこうした取組みをサポートしていきたいと考えています。
§7Question
講演の中でのお話から伺いたいのですが、海外で金融政策の枠組みを巡る議論があるというご指摘をされ、日銀も研究が必要だという言及をされました。この研究というのは、通常の金融政策決定会合とは別に切り分けて議論をするべきというお考えでしょうか。背景にあるお考えと併せて教えてください。
§8Masazumi Wakatabe
まず、背景から申し上げますと、世界的に低金利・低インフレが進んでいる中で、例えば 2%のインフレ目標を掲げた現在の金融政策の枠組みについて、物価上昇率が 2%に達するだけで十分かという問題意識があります。そうしたもとで、中長期的な予想物価上昇率の安定を確保する観点から、金融政策の枠組みについて様々な提案がなされているというのが現状だと思います。こうした現状に関しては、当然のことながら2%の「物価安定の目標」を目指している日本銀行にとっても、非常に重要な問題であると考えています。問題意識としてはそのように整理できると思いますが、それを具体的に、例えば金融政策決定会合といったところで議論するべきかということについては、私は現時点ではそうではないと考えています。ただ、問題意識が非常に共通しているところがありますので、日本銀行としてもこうしたことを十分に研究し、私どもの金融政策をより良いものにしていくことを不断に心掛けなければならないと考えています。
§9Question
追加緩和についてお伺いします。これまで、2%の物価目標に向けたモメンタムが揺らぐような局面では追加緩和を行うという姿勢をとられてきたと思いますが、その 2%の物価目標を目指すにあたって、モメンタムが揺らぎそうであれば追加緩和に踏み切るんだということを、フォワードガイダンスやコミットメントのような形で明確にする必要性はあるとお考えでしょうか。
§10Masazumi Wakatabe
現状では総裁や他の政策委員も、折に触れて、物価上昇のモメンタムが失われた場合には躊躇なく追加緩和を検討するということを発言していると思います。それを超えて更に、例えばフォワードガイダンスに盛り込むとか、新たな形でのコミットメントにするべきかについてですが、金融政策の決定の度に出しているステートメントは、日本銀行は 2%の「物価安定の目標」を掲げており、それを実現するために適切な政策を行っていくと言っていますので、これが、既にそうしたコミットメントを示しているという理解もできると思います。それ以上に何かコミットすべきかについては、今後の方針に関わることなのでコメントは差し控えますが、ステートメントで既に、「物価安定の目標」に向けたモメンタムが失われるようであれば躊躇なく緩和するという姿勢を示しているので、それ以上のことは必要ないのではないか、という意見もあると思います。
§11Question
一つ目は、金融政策に絡んで、イールドカーブ・コントロールについて伺います。先週、-0.2%近くまで長期金利が下がったり、イールドカーブが全般的に寝ていると言われています。足元ちょっと落ち着いてはいますけれども、再び下がってきたときに、いわゆる副作用が強まるという意見も出てくるかと思うのですけれども、YCCの持続可能性、あるいは今後の枠組みの見直しの必要性がどの程度あるかについて、副総裁のご見解を伺えればと思います。二つ目は、Libra というデジタル通貨についてなんですけれども、こちらが従来よりも価格変動が安定しているとか、利便性が高いのではないかということで、これまでのビットコイン等と違ってかなり普及するのではないかと言われている一方で、各国の当局も非常にそれに対して警戒を強めているという報道も出ているかと思います。なかなか情報も少ないので難しいかもしれませんが、現時点で副総裁として、Libra の普及について、Libra が普及していくと日本の金融政策であったり、あるいは金融システムの安定にどのような影響が起こり得ると見ていらっしゃるのか、ご見解を伺えればと思います。
§12Masazumi Wakatabe
一つ目のイールドカーブ・コントロールについては、ご承知の通り、10年物の国債金利がゼロ%程度となるよう運営していくとしています。「ゼロ%程度」の幅については、昨年7月の総裁の記者会見において、0.1%の倍程度とお伝えしています。現状、先日の金融政策決定会合後の総裁記者会見でも示された通り、必ずしも厳密にプラス・マイナス 0.2%にぶつかったら直ちに何か行動を起こすものではないと明言されていますので、それなりに幅を持って機能している状況だと思います。イールドカーブ・コントロールの枠組みそのものは、10年物長期金利の幅の許容ということも含めて機能していると考えることもできるので、現状において、それを大きく変更すべきということは、取りあえずはないのではないかと思っています。二番目の Libra については、新しく出たばかりの話であり、私もまだ詳細について十分に理解しているわけではないので、この特定の暗号資産についてコメントすることは差し控えたいと思います。ただ、一般的に申し上げると、支払決済の手段を提供するということは、ある種の金融機関になりますので、それが金融システムにどのような影響を及ぼすか、また、暗号資産的なものが金融政策にどのような影響を及ぼすかといったことについては、これから先、色々と議論が進んでいくであろうし、進んでいくべきであると考えます。
§13Masazumi Wakatabe
例えば、既にBISが年次レポートの中で一章を割いて議論していますし、G20でもそうしたことを内外の当局者が議論するという報道があったことも承知しています。内外の金融当局、中央銀行において、これから先、Libraに限らず、暗号資産のあり方としていったいどういうものが望ましいのかについて、活発に議論が行われていくでしょうし、行われるべきだと考えます。もう一点加えるならば、単純に金融機関だけではなくビッグ・テック企業も関わる場合、その規制のあり方はどういうものであるべきか、そしてその背後には、個人データ保護の問題など様々な論点があると思いますので、これについてはかなり広範な議論がなされていくのではないかと考えます。
§14Question
経済の見通しについて、挨拶では、下振れリスクは一段の注意が必要だと発言されていらっしゃいました。金融政策の考え方との関係でお伺いしたいのですが、先行きに備えて、保険的な観点から何かしら金融政策で手を先に打つというロジックについて、どうお考えでしょうか。
§15Masazumi Wakatabe
一般的に言って今の金融政策の考え方は、様々なツールを用いて、最終的には物価上昇率を 2%の目標に近づけていく、それを持続的・安定的に実現していくということです。それを支えるのは、先行きの物価上昇率に関する予想であったり、現実の経済の動向、つまり、景気が良いとか悪いとか、あるいは私どもが需給ギャップのようなもので表している経済全体の需給の引き締まり具合ということになると思います。そうした観点からすると、やはり政策運営においては、足元の色々な動きを見ていくことも非常に重要ですが、それが将来的に中長期的な予想物価上昇率にどういう影響を及ぼしていくのかをきちんと見ていかなければならないということです。例えば、このままでいくと 2%の達成がなかなか難しいという合意ができるのであれば、中央銀行としては先んじて政策手段をとるということはあり得ると思います。金融政策の標準的な理解から言っても、今起きていることだけを見るのでなく、仮に将来の「物価安定の目標」を達成できないという確信が持てると思ったならば、やはりそこで行動する、先を見て行動するということが必要なのではないかと思います。
§16Question
最近、マネタリーベースの伸びが鈍化していますが、このこと自体が、緩和効果を弱めてしまうということがあり得るのか、副総裁のご見解をお願いします。
§17Masazumi Wakatabe
量については、「量的・質的金融緩和」を始めた際、国債の年間買入れ額をまず 50~60 兆円の目標、それから 80 兆円の目標としました。イールドカーブ・コントロールになってからは、既に国債をかなり保有しているということもあって、80 兆円の買入れが目標というよりはめどという形になりました。同時に、オーバーシュート型コミットメントという形で、物価上昇率が 2%を安定的に超えるまでマネタリーベースを増やしていくことも示しています。その意味で言うと、マネタリーベースの伸びが重要な金融政策のパーツの一つであるということは、その通りだと思います。ただ、マネタリーベースの伸びが、短期的にみて鈍化している、していない、ということだけを問題にするのは、あまり望ましくありません。やはり、それが最終的に、予想物価上昇率であるとか、需給ギャップにどのような影響を及ぼしているのかを見ていくということだと思います。もちろん、そうはいっても、オーバーシュート型コミットメントがあるので、マネタリーベースが長期的に全然増えていかないということはやはり考えていないと思います。一時的にマネタリーベースの伸びが鈍化していくということは、その時々の状況において起こり得ますが、だからといって、オーバーシュート型コミットメントがなくなったということは全く意味していません。
§18Masazumi Wakatabe
むしろ、そのコミットメントはまだ生きているし、きちんとそれを維持していきたいというように考えています。
§19Question
先程の回答の中でも、米中摩擦が日本経済への大きな要因となるであろうということがありましたが、明日からG 20のサミットも始まりますし、来月は、今度は日本の中での参院選ということで、世界的なもの、あと日本的なもので、そういった事柄や会議があるのですけれども、このことが日本経済にどのような影響を与えるか、ひいてはそれが青森の経済にどのような影響を与えるというようにみられているのでしょうか。
§20Masazumi Wakatabe
米中摩擦については、現時点でみて、下方リスクの大きな部分を占めていると考えています。挨拶でも申し上げましたが、現状まさに交渉が継続中ですので、それについてコメントはしませんが、米中貿易摩擦の帰趨が世界経済に対する大きな下振れリスク要因であることは、間違いのないところだと思います。それが日本経済に与える影響については、様々な国際機関による試算があります。一つは貿易を通じるチャンネル、つまり、実際に関税が米中両国で引き上げられたことによって、米中の輸出に関連した分野が影響を受け、日本経済に波及してくるという経路が様々あり得ます。日本経済にとって、短期的にはプラスかもしれないという研究がIMFからも出されてはいますが、米中の貿易摩擦が激化するようなことがあれば、日本経済に対しても下押し圧力が強くなるのではないかという考え方はあると思います。もう一つは、これも国際機関でも分析されていますが、貿易のみならず、国際金融市場を通じてショックが波及してくるということになると、景況感が著しく悪化する――市場の様々な指標が乱高下するような不確実性が高まってくると、影響は更に大きくなっていく――というシナリオは描き得ると思います。
§21Masazumi Wakatabe
それが青森県経済にどのような影響を及ぼすかについては、青森県経済の構造という観点から言うと、第一次産業、農林水産業が比較的大きいという意味においては、米中貿易摩擦がもたらすインパクトは、あまり大きくないかもしれません。ただ一方で、青森県には優れた製造業や企業がありますので、日本経済全体と同様に下押しの圧力がみられるのも事実です。その限りにおいては、青森県経済も、日本経済全体の中で多少程度は違うと思いますが、似たような動きが起きることは十分考えられると思います。
§22Question
ブルネルマイヤーさんのリバーサル・レートの議論についてどのようにお考えかということと、その議論が今の日本経済にどのように当てはまるのかということについてお願いします。
§23Masazumi Wakatabe
ブルネルマイヤー教授は、先日、日本銀行が主催した金融研究所の国際コンファランスにお越し頂きまして、そこで論文を発表されました。その論文についての言及かと思いますが、論文の詳細については、個別の論文ですので、コメントは差し控えます。ただ、よく読むと、非常に色々なことが書いてあって、リバーサル・レートと言っても色々な理解があるのだな、ということがよく分かると思います。一般的に言ってリバーサル・レートというのは、金融緩和があるところまで行くと、金融機関の金融仲介機能が機能不全に陥り、緩和効果よりも引き締めてしまう、むしろ逆の効果になってくる、効果がリバーサルする点があるのではないか、そういう研究のことだと思います。現状、日本経済全体は、少なくとも基調としては改善しています。最近、多少景況感やリスクの下振れ要因があることは事実ですが、基調として改善している中で、貸出も伸びています。地域金融機関も含め、金融機関のコア業務純益には下押し圧力が掛かっていながらも、自己資本は十分に積まれているほか、全体の業務利益も潤沢にあり、基本的には今の低金利環境のもとで貸出が伸びているということです。したがって、仮にリバーサル・レートのようなものが理論的に考えられるとしても、現状でそこに至っているという判断は、私としてはしていないということです。
§24Masazumi Wakatabe
個別の論文にはコメントしませんが、リバーサル・レートの論文というのは、理論的には非常に難しい論文が多いので、その論文だけをもって、政策が変わるとか、政策が変更されるということは、全然ないと考えています。
§25Question
10月に予定されている消費税率の引き上げに関連してですが、挨拶の中で、依然として内需や経済・物価の下押し圧力をもたらすと、この依然としてというのは、対策を行っても、という意味かな、と認識しているのですが、影響についてお考えをお聞かせください。
§26Masazumi Wakatabe
日本銀行の展望レポート、あるいは総裁の記者会見では、世界経済のリスクとして、例えば最近ですと、米中貿易摩擦の激化や保護主義の高まり、英国のEU離脱交渉の帰趨や地政学的リスク、といった様々な要因を挙げています。このような中で、国内にもやはりリスク要因があり、その一つとして消費税率の引き上げは常々指摘してきたことですので、そのことを含めて「依然として」と述べました。消費税率引き上げの影響については、展望レポートなどでも各種試算をしてはいますが、その試算でも明らかにしているように、額としては前回の消費税率引き上げより少ないとしても、やはり消費者のマインドであるとか、期待を通じて様々な下押し圧力をもたらす可能性があるだろう、ということです。その意味では、これまで言ってきたことを踏まえて、依然として、と申し上げたということです。
§27Question
消費増税の影響と世界経済の不確実性を考えると、今年後半から来年にかけて、日本経済の今の緩やかな拡大基調という判断やシナリオが、やはりちょっと違うということで、下方修正ではないですけど変更を迫られる蓋然性をどうみていらっしゃるのか、また、FRBの利下げ期待が非常に高まっていることは日銀の金融政策にどう影響を及ぼすのか、お願いします。
§28Masazumi Wakatabe
メインシナリオ自体は維持されていると考えていますが、当然ご指摘のあったような点というのは、十分に考慮しなければならない、と考えています。まさに米中貿易摩擦の帰趨もそうですし、中国経済がどのように持ち直していくのかということ、あるいは世界的にみると、ITサイクルと言われる半導体需要の持ち直しを年内後半と考えていましたが、これが後ずれするリスクは相応にあるということです。仮に消費税率の引き上げの影響を含めて非常に大きな下押し圧力が顕現化し、それが 2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを毀損することが分かれば、直ちに躊躇なく追加緩和をする、というのが基本的な立場だと思います。二番目のFRBの利下げですが、他国の金融政策については基本的にはコメントしません。ただ、重要なことは、FRBが利下げすること自体ではなくて、FRBが利下げをするような局面ということは、世界経済ないしは米国経済に、米中貿易摩擦の帰趨を含めて不確実性あるいは下押し圧力がそれなりにあり、そのもとで、FRBが 2%の目標に対してそれなりに距離があると考えているようであるということになりますが、そうした考え方の妥当性がどのくらいあるのか、ということです。
§29Masazumi Wakatabe
わが国は、やはり米中貿易摩擦の影響に晒されていますし、2%の「物価安定の目標」からは依然として距離がありますので、先程言われた下方リスクの大きさを適切にみながら、FRBがやっているから、ということではなくて、FRBがやろうとしている理由をきちんと考えたうえで、日本銀行として行動しなければならない、と考えます。以上