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日本銀行記者会見2023年9月6日高田創, 審議委員

高田審議委員記者会見(2023年9月6日)

全文

§1Question

今日の懇談会ではどんな意見が出されたのかと、それについての感想をお聞かせください。二点目が山口県の金融経済情勢をどうみていらっしゃるのか。現状と見通しについてお聞かせください。以上二点、よろしくお願いします。

§2Hajime Takata

今日の金融経済懇談会でどんな話題が出たかということなんですけれども、行政や経済、金融の各界を代表する方々から、山口県経済の現状、課題、それから産業振興に向けた取り組みなど、いろんなご意見を頂きまして、私にとっても、非常に有益かつ示唆に富むお話だったと思っています。また、日本銀行の政策運営についてもご意見を頂きまして、有意義だったと思っております。そういう意味では、ご指摘頂きました多くの方々に改めて御礼を申し上げたいと思いますし、その辺についていくつか整理して申し上げたいと思います。まず、山口県の景気についてなんですけれども、全体としては持ち直しているという主旨の話が多く聞かれております。やはり新型コロナウイルスに対する警戒感が後退しておりますので、特に飲食や観光などのサービスっていうんでしょうか、この需要が回復しているという点は、一様にあったということだと思います。ただ、原材料や光熱費といったコスト高の影響を懸念する声は、やはり根強くて、価格転嫁に対する手応えは多少出てきてはいるんですけれども、やはりなかなか価格転嫁の状況、特に中堅中小になるほど、厳しいという感じ、ばらつきが大きいなというところかと思います。企業収益を転嫁によってそれなりに下支えしてきているというものがあるにしても、やはりまだまだその辺のところは、実情は厳しいという感じを、私も改めて受けたというふうに思っています。

§3Hajime Takata

その中で、一番大きな議論としては、労働需給が非常にタイトだ、人手不足だっていう点ですね。山口県の場合、全国と比較しても、例えば有効求人倍率も、労働需給がタイトであるんですけれども、やはり現地の企業の方々が、成長を続けるうえでも人手不足がボトルネックとなるということを懸念しているという声が多く聞かれました。そんな背景もありまして、この春、春闘での賃金引き上げについても伺ったわけでもありますけども、やはり人材を確保するための様々な取り組みというところに課題があるなと、非常に多くの方々が様々なかたちでの取り組みのご苦労をしていらっしゃるというのを改めて感じました。それから、懇談会のところでも申し上げた部分でもあるんですけれども、地域経済に大きな影響を及ぼしたものとして、国内における設備投資、それからコスト削減に向けた、バブル崩壊以降の企業行動の消極化というんでしょうか、それから、人口減少を指摘する声っていうのはやはり大きかったなというふうに思います。

§4Hajime Takata

この点は、今回私の方でも金融政策関連で多角的レビューに関してのご意見を頂いたわけなんですけれども、こういう中でも、その辺のところがやはり大きな議論としてあったというふうに思いますし、中でもこの多角的レビューという中では、過去 25年間に実施してきた様々な政策というのが、景気を下支えするうえで一定の効果があったという、全体として評価できるということでのご意見を頂いたわけであります。一方で、この 10年間、大規模な金融緩和の中での、特に金融機関収益のところに対する下押しというんでしょうか、それからそういう環境もありましたから、非常に多様化をしていくというようなことでのご意見を頂いたということであります。一方で、企業の方としてみると、やはり金融緩和の中での企業センチメントの改善や国内回帰の動きが出てきたということ、その辺は、一つプラスの面が大きいのかなというふうに思います。いずれにしても、こうしたご意見を伺いながら、引き続き多角的レビューの作業をわれわれとしても進めていきたいなというふうに思った次第です。それから、山口県の経済についての現状認識、それから今後の動向ということでもあるんですけれども、先ほどの繰り返しになってしまいますけれども、持ち直しているのは間違いないと思います。

§5Hajime Takata

特に、個人消費については、物価の上昇を受けつつも、サービス関連を中心にやはりそれなりにマインドの改善、それからペントアップ需要の顕現化というようなものも出てきておりますので、底堅さが出ているということだと思います。それから、設備投資については、企業収益が高水準であるということもありますので、そういう中で脱炭素化ですとか、成長分野に関する投資などを中心に緩やかながらも増加しているということ、また、労働需給、これは人手不足という厳しい部分はあるんですけれども、そんな部分もあるもんですから、やはり賃金も改善している部分があります。そうした状況の中で、先行きも山口県の景気は持ち直しを続けると私もみておるんですけれども、山口県の場合、製造業の占めるウエイトが結構高いということでもありますので、主力の化学は、特に海外経済の回復ペースの鈍化が一部のところで現実にみられているということもございますので、こうしたところに対しての懸念があります。それから、物価上昇による消費者の生活防衛的な意識もあるものですから、そういう意味では、リスク要因というところに注意が必要なのかなと、そんなふうにみているということでございます。

§6Question

講演の中で、物価目標の達成に向けた芽が出てきたりと、対してまだそこには距離があるというお話でした。そこの部分の距離についてお伺いしたいんですけれども、物価目標を達成したと判断できる時期ですね、判断し得る時期というんですかね、それについて、どれくらいの時期をみていらっしゃるのかと。例えば、春闘がみえてくる来年の 1月から 3月という声もありますけども、その辺り、おっしゃる距離っていうのがどの程度あるのかというのをお伺いしたいのが一つ。もう一つは為替についてなんですけども、足元ではちょっとまた円安が進んでいてですね、水準について言及されることはないとは思いますけども、それがちゃんとファンダメンタルズを反映したものであるというふうに考えていらっしゃるのか、その辺りの評価も併せてお伺いできればと思います。

§7Hajime Takata

物価目標のところの芽ということに関しては、いろんな見方があると思うんですけれども、私自身は、今日の講演の中において、三つのステージみたいなかたちで申し上げました。一つは、ビッグ・プッシュという言い方を申し上げたんですけれども、一つは去年から、原材料、海外を主因にという状況の中で、こちらが上がってきたというコストプッシュという部分があるということ。それから、今年、特に今年度、この春以降といった方が良いと思うんですけれども、賃金上昇、特にこの春の春闘から、ある程度、サービス価格のところに少し変動が出てきたというところが、第二段階なのかなと。ただ、問題はやはり、持続性っていう点だと思うんです。そういう意味からすると、ちょうど三段階、三つのステージと申し上げているんですけれども、やはり予想物価上昇率が持続的に上がっていくかどうかというところ、この段階については、やはりまだ課題が残るなということなんだと思います。そういう意味からすると、やはりまだ距離があるというふうに私は判断しているという、そういうかたちでこちらの懇談会でも申し上げています。今のご指摘の中で、どういう時期なのかと、どういう判断なのかということになるんですけれども、なかなかこの予想物価上昇率のところの持続性っていうのは、これは結構難しい議論だと私は思っています。

§8Hajime Takata

ただ、予想物価上昇に影響を与えるというところは、やはり賃金上昇っていう部分が大きいというふうに私はみてます。そういう意味からすると、先ほどの二段階目のところも賃金上昇ということがきっかけだったわけですけれども、やはり相応の持続性っていうようなこと、また、逆に戻らないというようなことも含めた持続性ということを考えると、やはりその賃金環境のところ、もしくは場合によってはそれを巡る企業環境というか、そういうところ辺りがやはり重要になってくるということなんだと思います。そうすると、時期はどうかっていうことになるんですけれども、私は特定の、例えば、何月から何月っていう時期にという議論ではないと思います。ただ、一つ言えるのは、これからこの 1年間でしょうか、そういう意味では、よくみておかなければいけない時期なのかなと。すなわち、先ほど申し上げました三つの段階の中での、ある程度、第一段階、第二段階のところは変化が出てきたけれども、本当に第三段階のところの持続性ができるかどうかというのを見極めるにはこれからの 1年間というのがやはり重要になってくるだろうし、とりわけ、来年の春闘のところ辺りをベースに、どうでしょう、この半年間というところはよくみておかなければいけない時期なんじゃないかなというふうには思っています。

§9Hajime Takata

そこには、まだまだ今日の先ほどの懇談会での議論でも、不確実性は大きいかなというふうには認識しています。それから為替についてですけども、ご承知の通り、水準についてはわれわれ全く申し上げることはないということかと思います。それから、ファンダメンタルズが何かっていうこと自体も、為替においての理論的にも何が影響を与えているのかっていうところに関しては、これがっていうのもなかなかない、様々な要因が絡んでいるということになると思います。そういう意味からすると、今の状況というところは、やはり私は海外から、特にアメリカでの景気が非常に強いなと、思ったよりも強いなというようなところが、影響を及ぼしている部分が大きいのかなとは思います。ファンダメンタルズというところで申し上げると、どれがというところに関しては、為替の場合なかなか難しいなっていうのをかねがね感じているというふうに私は思っています。

§10Question

高田審議委員は講演の中で、経済・物価情勢に応じて、不確実性に対応した機動的な対応をとることも考えられるというようなお話をされてました。先ほど、1~3月というお話がありましたけれども、例えば年末の段階でも、例えば海外経済が想定より強いですとか、あるいは企業経営者の方から持続的な賃金上昇に向けた前向きなメッセージが目立つようになるとか、そういったことがあれば、年内でも政策修正の可能性があるっていうふうにお考えでしょうかというのが一点目です。二つ目は中国経済なんですけれども、足元で減速感が強まっていたり、不動産大手の債務危機など問題が出ているんですけども、この一連の問題の日本経済への影響ですとか、日銀の金融政策運営への影響についてどうお考えかをお聞かせください。とりわけ、海外経済の帰趨というのは、企業マインドとか賃上げの動向にも影響するかなと思いますので、この点も含めてよろしくお願い致します。

§11Hajime Takata

不確実性で機動的というようなご指摘で、私もこちらの今回の挨拶要旨の中にもそういうことも申し上げているんですけれども、基本的に私自身、念頭に置いていますのは、金融政策におけるリスクマネジメントっていう観点だと思うんです。そういう意味からすると、当然のことながら、様々なリスクに対応したやり方をこれから考えていくということが、やはり必要になってくると思いますので、そういう意味から常に、様々な選択肢の中での対応というのはあると思います。例えば、7月の時にYCCの弾力化を行ったわけでありますけども、これもある面で言えばリスク管理ということだと思います。そういう意味では、これから場合によっては、物価の上振れみたいなことがあるリスクがあって、例えば予想物価上昇率が上がりやすいというような状況の中で、備えをしておくというようなかたちで今回 7月の対応を行ったということだと思います。それは場合によっては逆に下振れの場合もあり得るわけなんですけれども、そういう意味での選択の幅を広げるために今回の対応を行ったということでもあるんですけれども。当然のことながら、そういうことというのは、今後についても常に考えておかなければいけない論点であるというふうには思ってます。ですから、そういう中で言えば、時期をいつに限定するというようなことにはなかなか、一般的に申し上げにくいということだと思うんです。

§12Hajime Takata

ですから、常にこの金融政策ということからすれば、上振れも下振れも当然起こり得るということなわけでありますから、そういう状況に応じて毎回毎回の決定会合の段階で対応していくというかたちをとっていきたいなというふうに思っている次第であります。それに関連するということになりますと、例えば、二番目のご質問のところで、中国経済にといったことがあったんですけれども、海外経済の状況ということですと、なかなかわれわれも、データ、もしくは情報というものがどのくらいあるのかといった点はあろうかと思いますけれども、ただ、いろんなハードデータをみる限り、中国経済で最近やや下振れている、特に不動産関係のところ辺りで、市場の関係者もやはり不安視している部分というのもあるというところは確かなのかなというふうに思っています。一方で、日本銀行の金融政策に対する影響ということを考えた場合には、常に世界経済は動いているわけでありますから、過去をみても、大きな変動があってそれが日本経済に影響があったということもこの10年、20年を振り返りますと当然あったわけであります。そういう中の一環として、それだけの世界的な規模での影響を及ぼすのかどうかというところの広がりがどうかというところを見極めるということなんだろうと思うんです。そういう意味からすると、まだそこまでの状況というふうに私は感じておりません。

§13Hajime Takata

ただし、常に過去あった教訓からも海外経済のところですから、今回もこの懇談会の中でもですね、やはり一つのリスクケースとすると、海外経済のところの変調が日本経済にも及ぼすことにはかなり注目しておかなければいけないなと思っております。一方で、それが今回ご指摘頂いた中国の経済なのかどうかというところに関しては、世界全体の中での波及度合い、それから金融システム全体であったりとかそういうものをよく見極めながら判断していかないといけないところなのかなというふうに思っています。

§14Question

一点目が、先ほど春闘をベースに今後の半年間というのをよくみていかなければならないというお話があったと思うんですけれども、金融政策決定会合後のステートメントでも、2%の物価目標が見通せる状況に至っていないので緩和を続けるっていうご説明をされていらっしゃると思いますが、この物価目標の達成が見通せるタイミングになったら、これはもう、かなりすぐに引き締め的な対応に動くべきだというふうにお考えでしょうか。オーバーシュート型コミットメントなどの関係もあると思いますけれども、このタイミングについてまず一点目教えてください。二点目が、債券市場の機能度の話なんですけれども、8月の債券市場サーベイでも機能度のDIは少し改善していると思うんですけれども、依然低水準での推移が続いていると思います。委員ご自身、足元の市場の機能度をどのようにご判断されていらっしゃるのか、7月の政策修正で、どの程度機能度が改善されたというふうにお考えなのか、この点を教えてください。

§15Hajime Takata

先ほど頂いたご質問ともちょっと、前半部分は重なるところがあると思うんですけれども、物価目標のところに関しては先ほど申し上げたように、三つの段階というふうに申し上げました。非常に重要な段階としての物価予想の期待がやはりまだ、確実にというか、自信を持ってというようなところになってないので、まだ達してないっていうような言い方を、われわれもしているし、実際そういうふうに思っています。そういう中で、それが達成した場合にはどうかっていうような状況については、私はその場合の中でまたもう一回判断が必要になってくるんじゃないかなというふうに思います。達成したかどうかっていうこと自体の判断もなかなか不確実性があるといいましょうか、先ほど申し上げたように、また元に戻らない持続性がどこまであるのかっていうようなところの、特に三段階目のところというのは、その判断が非常に難しい状況でもあると思うんです。ですから、その判断っていうのは、あまり機械的にどうできるかっていうところにはなりづらいし、それから、加えて、先ほど、前のご質問の中にあったような、海外経済とも関係ありますから、その方向性が、やはり非常に不確実性がそこでも強いということになった場合には、そう機械的に対応できるっていうわけではないと思っています。

§16Hajime Takata

それも含めて、毎回毎回の決定会合毎での判断が必要になってくるのかなというふうには私自身は思っているところであります。まだ、そんなにすぐに切迫化した状況っていうところでもないですから、そこまでの判断に至るところまでにはステップがいくつかあるかなという、そんな意識を私自身持っております。それから、二番目のご指摘のところで、機能度というところなんですけれども、今月に発表された機能度[判断DI]っていうところでみると、確かに若干改善はしています。ただ、改善はしたけれども、やはり機能度に関してはまだ低いなっていうのが多分普通の見方ではないかなと私は思います。その背景にあったところを考えてみますと、私はもうちょっと改善するかなという意識もあったんですけれども、多分、市場の関係者の方々も、ちょうどアンケートが行われた時期というのが、今回の修正の直後だったものですから、非常にまだボラティリティ自体が高まっていたっていう部分があると思います。そういう意味からすると、まだその辺のところでの売買の動向等も含めた、安定性っていうものがなかなかできていなかったという部分もあったりして、そういう意味からすると見極めに時間がかかっている部分はあるんじゃないかなと思います。ただ、このYCCっていうものの一つの副作用として、どうしても機能度のところっていうのは、制約があるというのは実際の状況だと私は思っています。

§17Hajime Takata

そういう意味では、今後についても、この機能度のところをよく見極めていくということは必要だろうと思っていますし、また、次回も常にモニタリングをいろんなかたちで行っているんですけれども、そうした中での、機能度の評価っていうんでしょうか、こういうものは必要なんじゃないかなというふうには思っているところであります。

§18Question

先ほどあった機能度のところなんですが、今回の講演でも、講演内容の中で副作用に留意して政策運営を行うっていうかたちでご指摘されています。機能度を引き続き十分注意深くみていかなきゃいけないとあったんですけれども、ちょっと抽象的で恐縮なんですが、副作用、これ 10年続いてですね、だんだんだんだん蓄積していると思うんですが、副作用っていうのを現時点、今どういうふうに評価されているのか、これが一つ目です。物価の動向について、7月の展望レポートで、中央値、だいぶ引き上がりましたけれども、7月の段階から今に至るまでに、また先ほど上振れ下振れっていうお話がありましたが、今後その物価の動向、変化、上振れしそうなのか、それとも今のところ今の見立てで特に変わりがないのか、その物価動向の先行きをどういうふうにみていらっしゃるのか、お願いします。

§19Hajime Takata

機能度というところについては、先ほど頂いたご質問とも重なっていますけれども、それなりに改善があったと思っているんです。ただ、思ったよりもという部分はもちろんありましたし、それから本源的な副作用っていいましょうか、どうしても、イールドカーブ・コントロールを行っている中では、副作用が生じてしまう。それは、今回の中のいろんな議論でも行われましたけれども、一つについては、いろんな市場の中での売買のところが、もしくは、ビット・アスク[・スプレッド]であったりとか、市場の板という部分もあります。それから金融機関のところの収益の問題等もあるでしょう。あとは、例えば、急な上昇の時にはなかなか売買が行われにくい、もしくは社債市場のところに影響があることもありました。ただある程度、その辺については戻ってきたところも出てきてはいるんですけれども、常にやはり目配りをしていかなければいけないところであるのは間違いないというふうに思っています。今後も、当然こういうオペレーションを行っていく中では、そうした副作用というんでしょうか、目配りをしていくということは、みておかなければいけないというところだと私は思っています。

§20Hajime Takata

それから、物価の動向ですけれども、これは、それぞれの[政策委員の]見方があるので、実際どうなっているのかというところは、なかなか、今の段階で先行きをどう判断するのか、ある面でいえば、この先行きの判断っていうのは、展望レポートでも示されておりますので、私自身もそれをどのように置きながら対応していこうかなというふうには思っているところです。これは委員の中でも様々な議論があるとは思っていますけれども、私の実感といいましょうか、見方とすると、若干、まだ上振れのリスクっていうのはあるのかなというのは思っていますので、そんな観点からみていきたいと思います。また、そういう中で、今後も、展望レポート等で、数字を私なりに置きながら示していきたいなというふうには思っています。先ほどの見方というところでいえば、先ほどその前の何人かの方々とも重なってしまうんですけれども、三つの段階でというふうに申し上げました。その中で、一つ目二つ目のところの影響が出てきてはいるけれども、三番目のところの、期待を伴った持続的なというところがやはり問題なので、そこのところは、ある程度上昇というふうには思っている部分はありますけれども、まだまだ不確実性が大きいというのが、実際のところなんじゃないかと思っています。

§21Hajime Takata

そういう意味では、単なる方向性もしくは予測っていうことに加えて、幅というんでしょうか、確度というんでしょうか、その辺のところを本当は併せてみておかないといけないし、われわれもそういう意識で対応していかなければいけないなというふうに感じています。

§22Question

今日、午前中も 1 ドル 147 円後半ということで、円安が進み続けているということについて率直な受け止めと、金融政策を変更したのにも関わらず円安が止まらないというこの現実についてどう受け止めていらっしゃるか、これを受けて今後対応とか考えていらっしゃるか、その点をお伺いします。

§23Hajime Takata

為替については、特定の水準のところでわれわれ評価をどうするということは全く考えていないので、その辺についてはそういうご理解をして頂ければというふうに思います。それから、金融政策を変更したから為替のところがというご意見だったんですけれども、為替のところっていうのは私も長年みていますけれども、非常に大きな要因が、というか様々な要因が大きいと思っていますし、それから日本のというよりは、海外のところの要因が、これまでもそうだったし、今もやはり大きいのかなというふうに思っています。そういう観点からすると、今、金融政策をというふうにおっしゃられたけれども、そこのところだけでというような状況ではもちろんないし、様々な影響がある、特に海外からの影響というものは大きいなというのを私も過去からの感じで持っているという次第であります。

§24Question

為替のボラティリティのところについてなんですが、7月の柔軟化した時に、金融市場のボラティリティに前もって対応するというのが一つの要素であったと思うんですけれども、日銀としてはもうそのボラティリティについてはある程度もう対応した、為替のボラティリティも含めてある程度もう対応したというご理解でしょうか。あともう一つ、マイナス金利を解除できる条件についてお聞かせください。というのも安定的・持続的な物価が見通せる段階で解除できるものなのか、それとももっとその後の景気・物価を抑制的にするという段階で解除できるものなのか、高田さんのご意見をお願いします。

§25Hajime Takata

ボラティリティという観点で申し上げると、特にこのYCCの関係の中で言いますと、いろんな市場にボラティリティを高めてしまうリスクがあるということもありまして、7月の段階で弾力化を行ったということでもあります。そういう意味では、様々な市場のところに対応してきており、もちろん為替のところも市場の中の一つということだと思っています。それから、マイナス金利というところになりますと、政策金利ということでもありますから、そういう観点からしますと、単なるリスク管理上のところということで言いますと、ある程度物価を抑制的にというか、物価が上振れするということの可能性が高いというような状況の中で対応するということだと思っています。そういう意味からすると、それなりにまだ距離があるのかなという認識は持っていますけれども、今申し上げたような段階のところでいうと、ちょっとYCCの議論とは違うのかなとそんなふうには思ってます。

§26Question

今日は地方懇談会ということで、冒頭、高田委員の方から、人材確保とかそういう意見が出たという話でしたが、最も印象に残った意見交換の中で、今後、金融政策のうえとか、そういう地方の声が最もあったところのお話と、それから今日は要望を聞く場ではないとは思うんですが、地方の方からこうしてもらいたいとか、こうやってやられた方がいいんじゃないかと、そういうご意見がどういったかたちで出たのか、あったらお聞かせください。

§27Hajime Takata

今日は様々なご意見を頂いたということなんですけれども、私が印象に残ったというところで言うと、やはり人手不足というのが結構厳しいなというところです。特に、なかなか人を集めるのに難しいというようなご意見が結構強い。これは様々な業種の中で共通にみられたお話かなというふうに思いました。そういうことをどういうかたちでこれから対応していったらいいのかというところ。要望のところ、これは金融政策でというところではないのかもしれませんけれども、この人手不足に対応して、どういう対応策が起こり得るのか、単に日本だけの問題なのか、海外からのところも含めた動きみたいなものも必要なのか、そういったようなところも含めたお考えととらえています。それから、要望という点について申し上げれば、こちらの地域、素材産業等も多い中で、脱炭素、カーボンニュートラルも多いわけです。そういう点からすると、こうした点に、これも金融政策という意味だけではないと思うんですけれども、どういうふうに取り組んでいくのかというところ辺りは、行政も含めて、要望といいましょうか、課題があるというお声が多かったなと感じました。

§28Question

先ほどもちらっと触れられていましたけど、山口県はCO2の排出量の多い石油化学産業が高いウエイトを占めているんですけど、ここにきて、周南とか宇部のエリアでだいぶそれについての脱炭素に向けた取り組みが動き始めているんですけれど、こうした山口のコンビナート企業のこうした脱炭素に向けての取り組みについてはどうお考えでしょうか。

§29Hajime Takata

この問題というのは別に山口だけに限らず、日本全体というか、世界全体でということなんだと思うんです。特に、山口県の場合には、瀬戸内海沿岸を中心に、生産過程の段階でこのCO2排出量が多い産業が多いというのがあると思うので、当然のことながら、脱炭素化に向けた対応が重要になってきているということだと思います。山口県の場合、今年春公表した「地球温暖化対策実行計画」の中で、30年度までに温室効果ガス削減計画を改定前、確か-17.8%でしたか、それから-35.1%に引き上げているということがあるわけです。特に、周南地域のコンビナート企業群の方は関係諸団体と連携して、この懇談会の中でも議論したんですけど、燃やしてもCO2を排出しないアンモニアを中心とした発電燃料、これを石炭に替えてということもやっていますし、また、石油化学の原料でナフサでなくバイオミクスを利用することも入れていますので、そういう意味での構想が既に公表されているということで、こうした中で、先ほどの要望という点もありましたけれども、こうしたところを行政を挙げて対応していく、また、それを含めて、新しい産業の育成にという期待が強いと感じました。

§30Question

補足の質問なんですけれども、機動的な対応について、どういった具体的なことをおっしゃられるか。上振れの機動的対応なのか、物価の下振れの対応なのか、どちらなのか。

§31Hajime Takata

機動的な対応ということで申し上げたのは、先ほどのリスク管理、リスクマネジメント的な対応ということでも申し上げたところです。今回、7月におけるYCCの弾力化というのも、弾力化することによってある程度、例えば、上振れする場合、期待物価上昇率が急に上がってしまうといった場合、それを止めようとすると、どうしても副作用が大きくなってしまうという点もありますので、それをしないためにも事前にというか、前もって対応する予防的にというような対応、という意味での機動的なということです。それから一方で、下振れに対してもあり得るわけです。それは先ほど、議論の中にもありましたけれども、海外経済も過去をみると、そろそろといった中で、海外経済のところがというので、なかなか道半ばでということも結構あったわけです。そうしますと、そういうものに対応した機動的な[対応]ということができるようにということも含めて、今回の対応を行っているということでもあります。そういう意味からすると、それなりに変化の良い兆しの芽も出てきたというところではありますけれども、やはり、不確実性というものを考えながらの機動的な対応が取れるように、また、それを既に準備した対応というものが、今回の 7月の対応であったというふうに理解しています。

§32Hajime Takata

当然のことながら、毎回毎回の決定会合においては、そういう姿勢で臨む必要があるのかなというふうに考えているということです。以上