中村審議委員記者会見(2023年11月30日)
全文
§1Question
二点伺いたいと思います。まず今回の懇談会で関係者のお声をお聞きになって印象的なやり取りでありますとか、特にそこから兵庫経済をどのようにご覧になったかというところが一点目でございます。二点目については、中村審議委員は 7月と 10月の金融政策の変更の時に、企業の稼ぐ力が高まっていないということを理由に反対をされましたけれども、今回、製造業の比率が兵庫経済は比較的高いとされています、こういったところをいろいろお聞きになって、次回会合に向けてご自身の判断をお変えになるような要素というのがあったのかどうか、その二点について伺えますでしょうか。
§2Toyoaki Nakamura
本日聞かれた話で印象的な話というと、結構皆さんたくさん喋られたのですが、今日は経済界とそれから金融界を代表される方々にお越し頂いて、地域経済が直面する貴重なお話、良いところもあるけど悪いところもあると、これはどこの地域でも同じような話が聞けたと思います。それから金融政策運営に対するご意見も頂戴しました。その中で整理を致しますと、一部に弱めの動きがみられるけれども、総じてみると緩やかに回復しているというふうに評価ができますと言っておられました。経済活動の正常化などによって、観光業やその関連の業種で業況は持ち直してるとか、それから大手企業の業績の改善が中小企業の方にも波及し始めているというようなお話もございました。当地企業の設備投資意欲も高まっているといった明るい話題も聞かれましたので、そういった面で良いところもあるし悪いところもあると、こういう状況だったと思います。それから為替円安の影響も含めて原材料の価格、燃料の価格といったものの上昇が、企業や家計に影響を及ぼしているといった声も多く聞かれました。それから、とりわけ多かったのは、多くの産業で人手不足が事業のボトルネックになっているというお話が非常に多く聞かれました。屋根瓦などの地場の産業の話もいくつかありましたし、それからそういった地場産業における事業の伸び悩みについてもお伺いしたところです。
§3Toyoaki Nakamura
こうした中で、中小企業、とりわけ小規模の事業者さんでは業況感が厳しい先も多くて、規模の小さな企業ほど賃上げが進んでいないというお話もございましたし、賃上げ継続への不安の声というのも聞かれました。一方で、販路の開拓やロボット化・自動化などによって収益力や生産性を高めたり、海外人財の活用などの改革努力を重ねているという当地の中小企業も少なくはないというお話もございました。金融機関からは事業承継それから事業支援に取り組んでいるというお話も聞かれました。日本の経済成長に非常に参考となる話が多く、今後の活動に活かしてまいりたいと考えております。また、日本銀行に対しては、地域経済の実情などに目配りをしながら適切な政策運営を行ってほしい、それから経済環境の不透明感が高まる中で、当地の金融機関のリスク管理の高度化への取り組みのサポートについてもお願いしたいというようなお話もございました。私どもと致しましては、本日伺った話を踏まえて、中央銀行の立場から物価安定のもとでの経済の持続的成長を実現していくということですとか、金融システムの安定性を確保することを通じて、当地関係者のご努力がより大きな成果につながっていくように引き続きサポートしてまいりたいというふうに考えております。
§4Toyoaki Nakamura
それから、兵庫県は製造業の比率が平均よりもちょっと高いという話もございまして、次回は私が反対をした点について、どうするんでしょうかというようなお話でしたかね。経済の状況からいくと、少しずつ良くなっているようなデータが過去データでは出てきておりますので、そういった面で考えますと、私が前回反対したのは、別にYCCの柔軟化について反対をしたわけではなくて、金融緩和がまだ必要ですので、そのためにはまだ YCCの枠組みとそれからマイナス金利という仕掛けがまだ必要な状況ですので、これを維持する方法としては良いけれども、ちょっとタイミングが、あのタイミングはちょっと早いですねと。もうちょっとデータを確認すべきではないかというふうに申し上げて、反対をしたということですので、経済、企業、それから家計の状況が改善をどこまでしてるのかというのをみながらやった方が良いんではないかなと思ったので、これについてはまたデータをみながら、よくみていきたい、判断していきたいというふうに考えています。別にあれを変えたいということで申し上げたわけではなくて、タイミングだけですので、是非ご理解を頂きたいと思います。
§5Question
講演の内容で二点お伺いしたいんですけれども、一つが金融緩和の政策修正には、もう少し時間がかかると、このことなんですけれども、この政策修正というのが、いわゆるマイナス金利の解除であったり、長期金利、 YCCの枠組みの撤廃、この修正っていうのはどういったことを指しているのかってのが一つ。後もう少し時間がかかるというその時間のスパンっていうのをもう少しご説明頂ければと思います。
§6Toyoaki Nakamura
もう少し時間がかかると申し上げたのは、やはりデータが、まだ日本の場合にはデータが出てくるのがちょっと遅いっていう部分もありますので、もっとみるべきであろうというふうに考えております。マイナス金利と YCCの撤廃は政策修正ですから、それはマイナス金利をやめるとか、YCCの枠組みをやめるとかということについてはまだ時間がかかりますねというふうに申し上げております。時間のスパンについては、いつだっていうのはなかなかですね、30年間賃金と物価と金利が動かなかった日本の経済構造とか賃金構造ですので、よく構造が変わっているかというのを僕はみるべきだなと思っていまして、そういう面でいいますと、法人の季報ですとか、毎勤統計っていうのが、ちょっと時間がかかって出てきますけれども、あれについてこの前の 4-6月の時のデータがようやくこの前出まして、9月の頭に出たと思いますが、そのデータをみると私が期待していたぐらいの成長はしていたというふうに思います。
§7Toyoaki Nakamura
ただ、それは 4-6月ですので、今度 7-9月が出てくるということが、ちょうど 12月の初旬に、1日ぐらいだったと思いますけども、出てくるということで、その内容を分析するとか企業の稼ぐ力がどれほど持続可能性を持つのかっていう分析評価も必要ですので、それについては過去のデータ、それから企業の取り組む姿勢、意欲っていうものも必要ですので、今後出てまいります日本企業に合った職務給の類型への取り組みの仕方だとか、それから構造改革にどれほど前向きに取り組んでいくのかとか、ということについては、今度は企業のヒアリングの問題でございますので、これも把握しながら、どれほど変わっていくのか、変わっているかということについて評価をしたいということですから、いつという決め打ちはなかなかできないかなと。それはもう過去 30年間をこれで変えようっていう千載一遇のチャンスが今来てますので、私としては慎重にみていかないと、取り返しのつかないことになる可能性もあるということですので、良くなるはずだという予想に基づいて先に変えてしまうと、ちょっと危険だなというふうに思います。だから時期についてはですね、決め打ちはできないなというふうに私は思っておりますので、データを見ながら総合的に決めていきたいというふうに思います。
§8Question
一つは来年の春闘の見通しについてお伺いします。大企業と中小企業それぞれ現状どのようにみていらっしゃるかというところと、中小も含めてですね、春闘の趨勢の判断ができてくる時期というのはいつ頃かというふうに思っていらっしゃるかというところが一点目です。もう一つは、先ほどのお話にもちょっとかかりますけども、政策転換することのリスクについてどのようにお考えかというところですね。拙速に動くことによって、2%が遠のいてしまうリスクと、物価が上がり過ぎてしまうリスクですね。そのリスク、要はどちらを今ですね重きを置いて取り組むべきかというところを、中村さんのお考えをお聞かせ頂ければと思います。
§9Toyoaki Nakamura
まず来年度の春闘の見通しというのは、私自身なかなか決めるのは難しいんですけど、大手企業と中小[企業]に分けた場合で考えますと、比較的大手の企業の場合は、リーマンショックを経て、事業構造の改革をしなければいけないということを経営陣がよく理解をして、やはり変えなきゃいけないということで、過去デフレの時代ですとか、それからプラザ合意以降の円高局面ですとか、ああいう時に行われたコスト構造の改革ではやはり世界では戦えないということを理解したっていうのが、大企業の経営陣の認識だと思います。ですので、リーマン [ショック]の後、意思決定をしながら事業構造を変えていく、それはポートフォリオを変えていくっていうことで、そういうような方向が徐々に進み始めたと思います。それが結構な大手の企業の中で、 M&Aですとか、事業の売却だとかいうものが進み、不景気が来てもすぐにはもう赤字には戻らないという自信を持つ経営者が増えてきたと、全てではないと思いますけども、増えてきたという点でいいますと、大手の企業の方は人財を何とか優秀な人財を取りたいということがあるので、そういう方向感があると。ですから、大手の企業の方が、早めに賃上げに対する意思表明をしているところも結構出てきているというふうに思います。
§10Toyoaki Nakamura
これは逆に、今までの不景気のときに、日本の大手の企業は、早期退職募集だとかいうことで、自分の人財を労働市場に放出、提供していたという面もあって、中小企業の方にとってみると、その人を受け入れられるっていうメリットもあったと思うんですね。ですから、1995年に生産年齢人口が減り始めたけれども、なかなかそれがタイト感が強まるということよりも、何とか経営が維持できていたということだと思いますが、それが大手も人財を供給する方ではなくて、人財を採用する、強化するっていう方向に今変わってますから、日本の中で生産年齢人口の減少とともに、ニーズは全ての企業の大・中・小の中で増えてますから、人財獲得競争というのは強まっていると思うんですね。ですので、中小企業としても、やはり賃上げをしなきゃいけないっていう気持ちはお持ちだと思います。ただ、中にはない袖は振れないというふうにおっしゃる方は、今日はございませんでしたけど、そういうふうに言われているところも、新聞記事ですとかには出てきていますので、中小企業でも稼ぐ力が強いところは上げると思います。
§11Toyoaki Nakamura
それがどこまでかっていうのを平均値でみますと、ちょっとなかなか今の状況ではよく分かりませんが、今日も規模が小さいところほど、賃上げがやりにくいと、それは価格転嫁が難しいんだというような話もございましたので、その状況についても、今後のヒアリングですとか、マスメディアさんの情報ですとか、それから法人季報ですとかの状況をみながら評価をしていきたいと思っておりますので、来年よりも良いか悪いかっていうのは(注 1)、ちょっと私の方ではまだ情報を持ち合わせていないと。大企業さんはかなり頑張られるんではないかなというふうに期待はしておりますけども、それはまだ期待で確信ではありませんので、状況を判断させて頂きたいと思います。それから、政策転換のリスク、拙速にやることとやらないことのどっちのリスクを重く考えているかということだと思いますけど。拙速に、ちょっと早めに政策修正を過去した時もありましたけども、やはり今回 30年ぶりぐらいのチャンスがやってきてますんで、これを逃すと次はまたずっと先になるかもしれませんから、このチャンスはしっかりと離さないように慎重に対応すべきだなと思っておりますので、拙速に対応するよりも慎重にやった方が私は良いというふうに思います。
§12Toyoaki Nakamura
アメリカやヨーロッパは、ピークの物価の上昇率っていうのは 9.6%とか 10.1%(注 2)にまで行ったわけですが、あちらは賃金の上昇率も 5%とか 6%に自然になる経済構造であったり、社会の構造であったり、賃金の構造になってるわけですね。ところが日本の場合には、そういう構造になってませんので、やはり企業が、最近は海外の経済環境も少しスローになっていますので、ちょっと慎重な面も持っておられるところもありますから、やはり今、政策修正に対する意思決定をするっていうタイミングではないなというふうに思います。従いまして、慎重にやったほうがまだ良いと。日本は、この局面で一番高い物価上昇率っていうのは 4.2%ですから、やはりなかなか、その 4.2%が賃金に反映しても、やはりベアですと 2%程度ですので、アメリカやヨーロッパのように高い賃金に跳ね返って、それが物価にまた跳ね返っていくっていうスパイラルにはちょっと日本の場合はまだ構造的になってないと。[米欧と]全部同じようになれば良いかっていうと、なかなか社会慣行が違いますので、そうならなくて良いとは思いますが、やはり物価から賃金、賃金から物価、またそれが賃金へっていうふうに、緩やかに物価と賃金が常に上昇していくという好循環ができるようにすれば、そのときには当然ながら政策修正というのは当然起こり得る、起こるような話だと思います。
§13Toyoaki Nakamura
今はまだ慎重な方が良いと思います。
§14Question
一点目は、タイミングはなかなか政策修正は読みづらいということですが、やっぱり企業の稼ぐ力を見極めるということであれば、場合によっては、来年中も政策修正ができないという可能性もあるのか、市場はもう 4月にもという見方が強いので、その辺もしお話になれる点があればという点と、順序なんですけれども、 YCCそのものの修正はまだ早いということで反対されたので、マイナス金利の解除というのは、その更に先なのかなという気もするんですが、それぞれの景気への影響ですとかどういう順番で政策を修正していくべきか、現時点でお考えがあればお願いします。
§15Toyoaki Nakamura
政策修正が来年もないのではないかとか、確かに世間では 4月じゃないかとかおっしゃっているのは、メディアの情報を読みますと、皆さんが結構おっしゃってるなというのは分かります。それがいつなのかっていうのは、やはり企業がどれほど持続的に賃金を上げられるように、稼ぐ力が強くなってるんだろうかというところが大事なので、そこを確認というか、その持続可能性を見込めるような確認を、私としてはしたいというふうに考えておりますので、いつなのかっていうのはですね、なかなか難しいなと。早く来ると良いなと思いますけど、やはり若い人たちって日本の場合には就職が 4月で始まりますので、その社会に出るタイミングが 4月だから、結構 4月っていうことを皆さんおっしゃるのかもしれないんですけども、期待からすれば、若い人が社会に入るんだからその頃に向かってできると良いなっていう期待は分かりますけども、それと結果はちょっとピッタリと合うとは思いませんので、いつになるかっていうのは、構造の改革が進んで持続可能性が見込めるようになるという時をよく把握したいというふうに思いますんで、今いつかと申し上げるのはちょっと難しいなというふうに思います。
§16Toyoaki Nakamura
それから、YCCとマイナス金利についてどう考えているのかということだと思いますが、物価目標が見通せるまでは、YCCの枠組みとマイナス金利の組み合わせは維持するっていうことになると思います。その時の状況によって、どういうふうに判断するかというのは、その時々で判断をするということになると思います。短期金利は景気への影響はすぐ表れますので、それを考えると今は金融緩和の修正にはもう少し時間がかかるというふうに私は申し上げております。それを進めるうえでYCCの枠組みがいるということですので、どういうふうに判断していくかっていうのは、景気それから企業の稼ぐ力がどれほど進展するかということにかかってますので、今はどちらも大事だというふうに考えております。
§17Question
二点お願いします。政策修正に踏み切るのはちょっともう少し慎重にすべきという意見を出されてますけれども、企業の稼ぐ力への影響、今この現在で政策転換に踏み切ることによる中小企業への稼ぐ力への影響っていうのをどう考えるか、伺えますでしょうか。その影響の懸念をちょっと挙げて頂けるとありがたいです。後もう一点、兵庫県の経済が今後成長していくうえでポイントとなる点、どのようにお考えか伺えますでしょうか。
§18Toyoaki Nakamura
政策修正が中小企業の稼ぐ力にどれほどの影響があるかというと、中小企業にも資本金で例えば区分した場合に、本日の私の挨拶文にも入れましたけれども、資本金が1,000 万[円]未満、それから5,000 万[円]未満、1 億[円]未満って、この三つのグループに分けますと、1,000 万[円]未満の一番小規模なところでいくと、一人当たりの経常利益っていうのが大体年間で 50 万円、それから 5,000 万[円]未満が 86 万円、1 億円未満のところが103 万円ということで、規模が大きくなっていけば、経営体力っていいますか、稼ぐ力っていうのは徐々に強まっていっていると。その 1 億円から 10 億円の中堅でみますと、215 万[円]っていうように、1 億[円]未満の中小企業でいうと、大きい区分のところの倍になるわけですね。だから、規模が大きいところへの影響っていうのは、政策修正によって、その影響が少しずつ異なってくると思います。中小企業の中でも、1,000 万[円]未満のところっていうのは、従業者の数でいうと 19%を占めてます。5,000 万[円]未満のところが 34%を占めてますので、ここの二つのところでみて、34[%]と 19[%]だから 53%ですので、結構な従業員がそこで働いてるわけですね。
§19Toyoaki Nakamura
そこは稼ぐ力がまだ 1 人当たりで 100 万円いってませんので、人件費って言いますか給与だけでみても、そこの舞台でいくと 300万[円]、平均しますと 300 万[円]ちょっとあると思いますから、300 万[円]から 350万[円]ぐらいだと思いますので、そこの給与を払う部分が金利に取られるという可能性もありますので、そこは稼ぐ力が増えてればいいんですけれども、影響が出やすいというふうに考えています。それから兵庫県の経済で言いますと、製造業が非常に多いということで、今の環境でいうと良いと思うんですけれど、少しずつ経済環境としては回復基調にあるというふうなお話がございましたけども、やはり企業っていうのは常に成長していかなければいけませんので、そういった面でいうと、新しい分野に進出をするとかいうことが必要で、今ちょうどそれに県としても取り組んでおられますので、そういう対応が今進みつつある。特に水素を中心とした脱炭素への新産業の取り組みですとか、そういうのも日本でいうとここの神戸の辺りでかなり進んでいるということで、先を見据えた新しい産業を興すという、日本にとっても非常に GDPを拡大するための付加価値が高まる施策を今打っておられるということで期待をしております。
§20Toyoaki Nakamura
ただ、中小企業・小規模企業も非常に多いので、その活性化が進むようにいろいろしなければいけない政策課題も随分あるように聞きました。人口流出が兵庫県の場合には長年続いていて、それを改革するような施策を打っていかなきゃいけないというようなお話もございまして、政策も打っておられますし、2025年の大阪・関西万博に向けていろいろな投資やインバウンドの誘客施策を打つとか、それから観光産業の活性化に向けた取り組みも今しておられますし、今後、少しずつ若い方々の転出から転入に切り替わるような方向感が出てくることを、今期待をしているという状況だと思います。
§21Question
二点お伺いしたいんですが、兵庫県・神戸の経済と申しますと、よく経済界と行政が連携が取れているねというふうに評価されることが多いんですが、中村審議委員もそのようにお感じになったでしょうか。また、行政は本来民間の投資を誘発するような支援ができると良いと思うんですが、行政はそのポイントを突いた動きができる、できていると思われたかどうか、そういったところで何かお感じになったことがありましたらお伺いしたい、これが一点目です。後ですね、日本の経営者はもっと株価について発言しても良いのではないかというふうに思うのはどうしてかというと、先ほど構造改革という言葉が出てましたが、構造改革が進む時って、例えばリーマンショックであるとか、アジア通貨危機であるとか、デフレの時代は割とショック的な、そういう時が多かったわけですが、それを望んでませんというのが、金融緩和を続けなくてはいけない理由の一つであるかと思うわけですね。
§22Question
そうすると、平時で円滑にその構造改革が進むようにってなると、やっぱり普段使われているマーケットを通して円滑に業界再編なども行われる必要があるとすれば、もっと本当はものすごい内心ではものすごい気にしてるらしいんですが、日本の株価はもっと対外的にも、日本の経営者はですね、株価についてもっと発言しても良いのではなかろうかと思うのですが、中村審議委員はどのようにお考えですか、というのが二つ目でございます。
§23Toyoaki Nakamura
まず一点目ですが、行政と民間との連携について、バラバラに動いているっていう感覚は本日の中でも感じませんでした。水素に対する取り組みですとか、それからスタートアップを育てるようなファンドの仕組みですとか、それからグローバル拠点都市ですかね、ああいうような指定を受けるとかいうことですとか、それから神戸空港に国際便を通すようにするとかいうことで、いかにして人が神戸ですとか兵庫県に通って入ってくるかという施策もやっておられるし、女性ですとか外国人の就労環境を改善するための取り組みもやっておられますし、非常に努力されてると思います。ですから、いろんな制度について積極的に手を打たれてますので、私は、後は企業と企業の経営者とそれから住民の方々が、それに呼応して改革・改善の行動を取って頂くということかなというふうに思います。民間企業もそれに向けて、水素の設備を、時間がかかりますけども、国の水素の値段をいかに下げるかっていう中で多額のお金も使いながらやっておられますし、非常に今後、今までとは方向感を変えるような形を今打っておられますんで、その成果に期待したいというふうに思っております。それから株価について、経営者が発言すべきというようなお話でしたけど、意識はしておられると思いますね。ですので、最近は自社株買いが相当に積極的にやられてるというのは意識してるからだと思うんで。
§24Toyoaki Nakamura
問題は、今最初にお話がございましたように、企業の稼ぐ力を強める構造改革にいかなきゃいけないと、そこの事業のポートフォリオの入れ替えっていうことについてやらなければならないと。それに対して投資家や東京証券取引所なんかは、もうちょっと早くやれというふうになってますので、時間軸としては早めようというふうに言っておられると思いますが、経営者が自社の株価を幾らだというのは、これはちょっと言い過ぎといいますか、市場をリードするような話になりますので、これはなかなか言えない。ただ、株式市場を活用して企業の中身を変えていこうと、従業員やグループの一緒に働いてる人たちとかと方向感を一緒にする、方向感をまとめていくっていう面でいうと、上場企業にとって株価っていうのはものすごく良い指標だと思います。これをいかに高めるかっていうことが大事ですから、そのためにこういうことをやろうということを、ようやく今、ようやくって言ったら失礼ですね、大手の企業は改革に前向きになっているというふうに思います。
§25Toyoaki Nakamura
ですから、昔はM&Aをやっていったん休止というようなことがありましたけども、続いてM&Aを繰り返すとなりますと、資金を捻出しなきゃいけませんので、従って事業のポートフォリオを変えていくっていう方向に今移ってきているということで、フェーズでいうとちょっと欧米に近づいて一歩進んだかなというふうに思いますので、株式市場がその背中を押しているというふうに私は感じておりますから、そういう面で株価について幾らだというふうに経営者は言いませんけども、相当に意識した経営を進めておられるというふうに感じております。
§26Question
一点目、これまで中村さんのお話ですと、持続的な賃上げ、賃金上昇を確認したいというお話でしたので、来年春の春闘の結果だけではちょっと判断できないのかなという印象を受けましたが、次の賃上げだけですと、1月、3月ぐらいまでにはみえてくると思うんですけれども、年度末までに政策修正に行けるかどうか、判断できる可能性はあるのか、時期の話でまた恐縮なんですけれども、というのが一点目です。二点目が、冒頭で円安ですとか原材料高が企業や家計の懸念になっているというお話を頂いたとおっしゃってたんですけれども、これは金融政策へのインプリケーションとして、例えば引き締めというか利上げをするべきだみたいなことをおっしゃられたのか、もしくは、はっきりおっしゃらなかったとして、どのように受け止めたのかっていうことを教えて頂けますでしょうか。
§27Toyoaki Nakamura
まず持続的な賃上げが可能になるタイミングを判断するということについて、春闘だけでは難しいと私が考えているんではないかというのが一点目だと思いますが、確かに大手企業の方はかなり前向きだと思うんですけれども、中小企業がどう変わってきているのかということが、確かにわからないんですね。それをみるには、公的な情報ですと法人季報、これが 2 か月ちょっとですかね、フルに 2 か月とちょっとかかりますし、それから毎勤統計も、これもちょっと時間がかかるんですが、これで過去の変化はみれるんですね。ですので、10-12月の季報になりますと、12月だから 4月の頭になるんですかね(注 3)。
§28Toyoaki Nakamura
だからちょっと言われたようなタイミングには間に合わないというふうにも思いますが、それを評価するうえで、企業のヒアリングですとか、それから賃金構造改革への取り組みについて、どう対処しようとしてるかというようなことについても確認をしていくということですとか、更には中小企業を含めた事業の統合、合併ですとか、それから第三者事業承継だとか、第三者事業承継も企業が承継をすれば、これはM&Aとか合併と効果は同じですので、そういうことでの経営規模とかリソースを強化するという動きが進み始めると、こうなると先ほど申し上げたように、中小企業の規模が大きくなっていけば稼ぐ力ってのは増えてきますので、そういった面で改革が進んでいけば、賃上げの力は上がってくると思いますんで、そういった方向もみながら判断を私はすべきだと思っています。そういう面でいうと、いつかというと誠に申し訳ないですけども、いつも決め打ちできないんで、いつかは時が決めるというふうにご理解頂ければというふうに思います。
§29Toyoaki Nakamura
それから円安と物価高の話があって、私がどう発言したかということかなと思うんですけれども、この円安っていうのと、本来その金融政策っていうのは本当は関係ないんですけれども、今の為替の環境っていうのは、かなり貿易相手国とそれから日本との金利差、それから物価の上昇率の差で表れていますが、かなり今の局面でいうと、この 2年ぐらいの局面でいいますと、かなり相関性が高い状況になっていますので、それに対して、日本の金利はいったん 0.9%ぐらいまで上がりましたですね。0.25[%]から 0.9[%]まで上がったわけですけど、その間にアメリカは 0[%]から 5%、5.25[%]ぐらいですか(注 4)、まで上がって、結局アメリカの上がった方が大きかったので、その相関関係の中からいうと、円安が進んでしまったと。ところが今回、長期金利ですけれども、0.9%だったのが今大体 0.6%ぐらいまで低下をしていますが、アメリカの方は 4.25[%]まで下がりましたので、アメリカは 1%ポイント[近く]下がって、日本は 0.3%ポイント下がった。従って円安が今ちょっと修正を受けて、円高の方向にちょっと来て、動いているということでありまして、なかなか日本の金融政策で為替を操作しろとおっしゃってもなかなかそれは難しいと。
§30Toyoaki Nakamura
そういうものではなくて、物価の上昇率がどれほど高いかによって金利も動きますし、為替も動くということで、[実質]実効為替レートについてもそうやって計算され、そうやって動きますので、やはりそこの経済の力が強まると為替も強くなるということだと今の局面では思いますので、私の方から金融政策を変えて円高にするように頑張りますということは一切申し上げておりません。(注 1)会見では「来年」と発言しましたが、正しくは「今年」です。(注2)会見では「9.6%とか10.1%」と発言しましたが、正しくは「9.1%とか10.6%」です。(注 3)会見では「4月の頭」と発言しましたが、正しくは「3月の頭」です。(注 4)会見では「0[%]から 5%、5.25[%]ぐらい」と発言しましたが、正しくは「2.5[%]から 5%ぐらい」です。以上