田村審議委員記者会見(2024年3月27日)
全文
§1Question
二問質問させて頂きます。本日の金融経済懇談会では、地元経済界の方々とどのような意見交換が行われたのかを教えてください。二問目は青森県経済に対する認識をお願い致します。
§2Naoki Tamura
まず一つ目のご質問についてですが、本日の懇談会では、青森県の行政や金融経済界を代表する方々から、地域の現状や課題あるいは日本銀行の金融政策運営に関する貴重なお話やご意見等を多数頂きました。大変有意義な意見交換ができたものと認識しております。まずはこの場をお借りしてご出席頂いた方々、関係者の皆さま方に深く御礼を申し上げます。本日の懇談会では話題が多岐にわたるものでございましたので全てを紹介することができませんが、懇談会で伺ったお話やご意見、ご要望について、私なりに整理しながら印象や感想を申し上げます。まず、青森県の足元の景気ですが、全体としては回復を続けているとの声が聞かれました。業種によってばらつきもあり、インバウンド需要の増加もあり宿泊などでは改善している一方、例えば、農業、漁業などでは、気温や水温の上昇などによる漁獲高の減少や作物の品質への影響を懸念する声もありました。また、県内企業の間では、人手不足が事業活動を営むうえでの制約になっているという話が多く聞かれました。賃上げについては、原資がなく賃上げは難しいという声もあった一方、人手不足の中で背に腹は代えられず賃上げをせざるを得ないといった声も多く聞かれました。中小企業の多い当地で賃上げが持続的なものとなるためには、価格転嫁の進展が必要であるとの声も聞かれました。
§3Naoki Tamura
現状を「あずましい(注 1)」と感じる県民性はあるが、作るの一流、売るの二流を脱し、したたかにならなければならない、こういうご発言もありました。こうした中、全国と比べて速いペースで進む人口減少問題について、行政や金融界、経済界では、地元定着に向けた施策に取り組んでいるとのお話を伺い、また金融面でも地域金融機関が企業の声に寄り添い、事業承継などを含めた支援を強化しているとのお話が聞かれ、心強く感じました。更に、本日の金融経済懇談会では、多角的レビューの観点でもいくつかのご意見を頂戴しました。1990年代後半以降の金融緩和は、景気浮揚効果がそれなりにあった、あるいは県内経済を下支えし、足元では企業業績も改善傾向にあるとするご意見がありました一方、新規投資を躊躇する空気があり、個人も将来への備えを重視する傾向があったとのご意見もありました。こうした中、金融機関においては、効率化を図り、中小企業の経営を支えるということをメインに取り組んでいくビジネスモデルに転換しているというお話がありました。また、事業活動において、好ましい物価と賃金の状況はどのようなものかをお伺いすると、価格転嫁が進まない現状ではほとんど変動しない状況が望ましいとの意見もありましたが、緩やかに上昇する状況を大いに期待する、あるいは緩やかに上昇する状況であれば経済活動が活発化し好影響、こういうご意見も多く聞かれました。
§4Naoki Tamura
本日の金融経済懇談会では、このようにたくさんのご意見を頂き大変ありがたく思っております。日本銀行と致しましては、本日頂いたご意見を多角的レビューなどに活かすとともに、引き続き適切な金融政策運営に努めてまいりたいと思います。次に二つ目のご質問についてです。まず、青森[県]経済の現状については、青森支店が公表しております通り、緩やかに回復していると判断しております。個人消費をみますと、物価高による消費者の節約志向は引き続きみられておりますが、このところ海外からのインバウンド需要がコロナ前を上回って増加しているほか、国内他地域からの観光客も堅調であり、宿泊や飲食などのサービス消費は着実に回復しています。一方、製造業の生産については、一部に持ち直しの動きがみられるものの、海外需要の鈍さなどを背景として、全体として弱めの動きが続いています。先行きについては、インバウンド需要は今後も増加傾向を辿るとみられ、観光需要を含むサービス消費の改善を背景として、緩やかな回復を続けるとみられます。もっとも、コロナ禍からの回復というフェーズを越えて県内景気の改善が続くためには、先行き、所得の増加により個人消費が増加するような所得と支出の好循環が生じる必要があると考えられます。この点では、今春の春闘において高めの賃上げが実現することが非常に重要であると思います。
§5Naoki Tamura
中長期的な観点からみますと、青森県は全国の中でも人口減少ペースが速いことや全国との所得格差が大きいことなど、構造的な課題があると認識しています。こうした課題はすぐに解消できるものではありませんが、重要なことは県全体として労働生産性を高め、一人当たりが生み出す付加価値を増加させるということです。デジタル技術の活用も重要な施策になると思います。日本銀行としましては、青森支店を中心に、中央銀行の立場から青森県経済の成長と発展につながる様々な取り組みをサポートしてまいりたいと考えております。
§6Question
為替に関連して二点お伺いさせてください。足元で円安続いております。円安の経済・物価に与える影響、ひいてはですね、今後の政策対応へ与える影響についてご認識をお伺いさせてください。これがまず一点目です。もう一点、日銀が当面、緩和的な環境が続くとしていることが円安を招いているという指摘があります。これについて、受止め、ご認識をよろしくお願い致します。
§7Naoki Tamura
まず円安が経済・物価に与える影響とそれの政策対応に関してのご質問です。この円安、為替相場が経済・物価に与える影響、特に経済に与える影響については経済主体によって様々で、一言でこれは経済にプラスとか経済にマイナスというふうに言えるような状況ではないと考えております。為替相場の水準や評価について具体的にコメントすることは差し控えさせて頂きますが、基本的に経済・金融のファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要であると考えております。金融政策は為替相場を直接コントロールの対象としてはおりませんが、一方で為替は経済・物価に影響を及ぼす重要な要因の一つです。従いまして日本銀行としては、経済・物価情勢、しっかりと踏まえて適切な金融政策運営に努めていきたいというふうに考えております。それから次に、この緩和的な金融環境が円安につながっているのではないかというご意見についてです。為替相場については、二か国の話ですので、お互いの国の経済のファンダメンタルズ、そこには金利も含まれるということで、それらを総合的に反映したものが現在の為替相場、更にお互いの国の経済・物価の見通しや金融政策の見通しなども反映して現在の為替相場が形成されているというふうに認識をしております。
§8Question
二点お願いします。一つは円安に絡んでなんですけども、ちょっと円安の進行したきっかけとしてですね、田村委員の講演の中の「ゆっくりと、しかし着実に金融政策の正常化を進め」ていくというところが材料視されたという見方があります。この「ゆっくりと」の部分の意味について、例えば年内はないとかですね、そういった意味が込められているのか、もう少し詳しくお聞かせ願えればと思います。もう一点が副作用の部分で、講演の中で大規模緩和による副作用に言及されてます。それで、3月の決定会合でYCC、マイナス金利の解除ということになったんですけども、今後、再び緩和的な局面が来たときにですね、マイナス金利とかYCCといった政策を採る必要があるのか、それとももう使わない方がいいのか、その辺りのお考えも併せてお願いします。
§9Naoki Tamura
短期金利については経済・物価・金融情勢について点検して、物価安定の目標の持続的・安定的な実現という観点から、適切な水準に設定していくということに尽きると考えております。午前中の講演原稿の中にある「ゆっくりと、しかし着実に」の、「ゆっくり」ということについては、現在の経済・物価見通しを前提にすれば、米国のように1年で5%利上げといったようなことになるとは考えてはおりません。ただ一方で、長きにわたって低金利環境が各種経済主体に組み込まれたわが国において、急激な、あるいは不連続な変化というのは避けたいですし、現在の見通しを前提とすれば避けることができるんじゃないかというふうに考えております。どこまで金利を上げていくのかというのは、確たることは現時点では言えないと思っています。あくまでその時点、その時点の経済・物価・金融情勢に応じて判断していくということに尽きます。そのうえで、私としては金利機能が発揮できるような水準まで戻して、金融[政策]の正常化が実現できるようになることを期待しています。二つ目のご質問については、将来、金融緩和が必要になったときに、YCC、マイナス金利というものを再び導入するかどうかに関しての考えでございます。
§10Naoki Tamura
今おっしゃられたような、YCCあるいはマイナス金利政策については、現在多角的レビューの中で将来の政策運営にとって有益な知見を得るために様々な分析が行われているところです。経済・物価情勢が悪化した場合には、そうした結果も踏まえて、必要があれば、これらの手段、これらの手段というのはマイナス金利やYCCも含めて適切な金融政策運営を検討していくことになると思います。ただし、私としては、政策の効果と副作用のバランスというものを慎重に見極めていくことが重要であるというふうに現時点では考えております。
§11Question
国債購入についてお伺いしたいと思っています。先ほどの挨拶文で能動的な政策手段ではなく不連続な変化を避けるための位置付けという言い回しをされていましたが、現状と同程度の国債購入は早期に減額方向に見直すべきだとお考えですか、というのが一点です。後もう一つが、現在の金利、短期金利の水準はまだ「ほとんど金利がない世界」と同じだというふうにおっしゃってましたが、先ほどの質問とちょっと重なるんですけれども、具体的に金利機能が発揮できるような水準というのは経済・物価情勢次第だとは思いますが、どの程度を描いていらっしゃいますでしょうか。
§12Naoki Tamura
まず国債の買入れについてですが、国債買入れについてはこれまでと概ね同額程度の金額で継続することとしています。実際の買入れは、従来同様ある程度の幅を持って予定額を示し、市場の動向や国債需給などを踏まえて買入れを実施していく方針です。ただ私としましては、市場の流動性を回復しつつ、できるだけ市場に金利形成を委ねていくことが大切だと考えておりますので、市場の動向をみつつ、いつとは確定的なことは申し上げられませんが、国債の買入れ額を減少させていく方向であるというふうに考えています。それから次の質問が、金利機能が発揮できるような水準ってどんなものなのかというご質問です。質問にもありましたように、基本的にはその時々の経済・物価情勢、金融情勢を踏まえて[金融政策を]行っていくということですし、また、金利機能の回復だけを目的として金利を引き上げるようなことはないと思っています。そのうえで、短期金利の水準は、90年代後半には 0.5%ぐらいに下がり、「ほとんど金利がない世界」に入った後、ゼロ金利政策の開始やマイナス金利の導入により、その水準は 0%、そしてマイナス圏へと切り下がっていきました。
§13Naoki Tamura
ただ、こうした「ほとんど金利がない世界」においては、金利機能は十分に発揮されていなかったととらえておりますので、金利機能が発揮できるような水準、何%ということはできませんけれども、に戻していくことが、日本にとって大事であるというふうに考えています。
§14Question
今後の政策運営で、先ほどゆっくり着実に正常化という話がありましたけれども、その正常化を進めていく際にですね、これまでやっぱり春闘の賃上げっていうのを重視されてマイナス金利解除しましたけれども、今後は委員としてはどういった指標を、当然物価とかもあると思うんですけども、どういった指標により注目して、追加利上げの判断材料として考えていきたいとお考えでしょうか。
§15Naoki Tamura
毎回毎回のMPMでそのときの経済・物価情勢、金融情勢を踏まえて考えていくということに尽きるわけですけれども、目先、私が重視している点、一つ目は当然ですが物価の動き。二つ目が春闘を含めた賃上げの状況がどうなっていくのか。三つ目が少し弱さもみえる個人消費がどうなっていくのか。最後に四つ目に、私はもう変わったと思っていますが、企業の価格設定行動に何か変化があるのか。こういった点をしっかりとみていく必要があるというふうに思っております。
§16Question
ちょっと似たような質問になってしまうかもしれないんですけれども、次の利上げ、追加利上げのところをお伺いしたいと思っています。どのような条件が揃えば利上げが可能になるのか、またその時期、水準については先ほどおっしゃっている通りかと思うんですけれども、時期、ペースについてご見解をお伺いできればと思います。もう一点、お願いしたいんですが、中小のところをお伺いしたいと思っています。先日の決定会合で中小企業の賃上げ余力に対して疑問を持つ声がありました。今日の懇談でもそういった話があったのかなと思うんですけれども、こうした中小の稼ぐ力はどういうふうに評価されていらっしゃいますでしょうか。
§17Naoki Tamura
まず今後追加の利上げの条件、何かこうなったらこうするというようなフォーミュラがあるわけでは全くないですけれども、基本的な考え方として私が思っているのは、一つ目には基調的な物価上昇率が上がっていく場合、それから二つ目に物価の中心見通しは変わらないにしても、上振れリスクが高まる場合、それから三つ目に、物価見通しの修正はなくとも、2%の物価安定目標達成の確度が更に高まってきた場合、こういった場合には金利引き上げを検討することも可能になるんじゃないかというふうに考えております。いつかということについては先ほどの回答と重なりますけれども、基本は毎回毎回のMPMでその時点の経済・物価・金融情勢を踏まえて判断していくということで、私個人としての目先の注目点は先ほど回答した通りです。それから二つ目のご質問で、中小企業に関するお話です。現状そもそもとして人手不足の中、賃上げをしないと人材を確保できない状況です。労働市場の流動性もじわりと高まってきており、転職者数が増加していると。更に転職希望者の数というのを統計でみますと、この増加ペースはここ数年で加速度的に上がってきています。
§18Naoki Tamura
ということは企業にとって、今、自社がやっているビジネスを前提として賃上げができるできないということではなくて、賃上げができるようなビジネスを構築していくことが求められていると言えるんじゃないかと思っていますし、実際そういうふうな動きというのが今どんどん出てきていると感じております。従って、個々の企業のそういった動きが日本全体の発展につながっていくことを期待しています。
§19Question
先ほどの回答の中で、追加利上げの条件として物価上振れリスクが高まる場合というのを挙げられました。今年のですね、賃上げ状況をみると、やはり物価が上振れるリスクというのはかなり高まっているような感じを個人的には持っているんですけれども、そういったことを踏まえた場合、その物価上振れリスクが高まることによる追加利上げを必要な環境というのは、従来よりも近づいているのかどうか、その辺田村委員のご所見をお願いします。
§20Naoki Tamura
物価上振れリスクが従来より高まっているか、2%の物価安定目標に到達する見通しは、確度は高まったということで今回マイナス金利を解除したわけです。物価が過度に上振れて急激な金融引き締めが必要となるようなリスクというのは引き続き小さいと思っています。ただ、私が注意しなきゃならないと考えているのは、そのリスクが顕在化した場合のコストが、長年低金利が続いてきた日本においては、甚大なものになる可能性があるので、リスクマネジメント上、そこはしっかりと気を配っておく必要があるというふうに考えています。
§21Question
地方の話になってしまって恐縮なんですけれども、二点お伺いしたいと思います。一点目なんですけれども、先般の金融政策の枠組みの見直しのですね、きっかけになったのが賃金と物価の好循環がみられるようになったためというところが理由の一つというふうに理解してございます。片や今日の懇談会でもあったかと思うんですけれども、地方の企業にとっては賃上げの、大企業ほど賃上げをできる環境にないという企業も多数ございます。今回の金融政策の枠組みの見直しが、地方にとっても賃金と物価の好循環というものの実現につながるかどうかというところの見解を一点まずお伺い致します。二点目もちょっと具体的な話になってしまいまして恐縮なんですけれども、こちらの地方銀行の二行の合併がですね、来年1月というタイミングで迫ってきております。地方でですね、大きなシェアを持つ二行の合併という動きについて、田村審議委員どのようにご覧になって、どのように受け止めてらっしゃるのか、見解を伺えればと思います。
§22Naoki Tamura
まず一つ目が先般の日銀のマイナス金利解除が、青森県経済あるいは地方経済に与える影響についてということだと思いますが、まず、賃上げ原資がなくてなかなか賃上げできないという中小企業の苦しい声というのは、これまでも聞いていますし、本日の懇談会でも聞いたところであります。一方で、先ほども申し上げましたけれども、人手不足の中、賃上げをしないことには人を確保できない、賃上げできるようなビジネスをどうやって作っていくのかという動きもたくさんみられてきているところだと思います。それに対して今般の日銀のマイナス金利解除が影響を与えるかというと、基本的に 0.1%の動き、短期金利の動きですし、長期金利についてもこれまでと同額の国債を買うということですので、あまり大きな金利上昇が見込めるわけではないというふうに思っています。従って、現在起こりかけている好循環に水を差すようなものではないというふうに考えているところです。それからもう一つの質問で、青森銀行さんとみちのく銀行さんの合併について、個別の案件についてはあまりコメントできないわけですけれども、一般論として申し上げますと、青森県に限らず人口減少や高齢化など構造要因によって地域経済を取り巻く環境というのは厳しさを増しているということだと思います。
§23Naoki Tamura
そうした中で、地域金融機関が将来にわたって地域を支えられるように十分な資本、収益力を確保するとともに、地域が抱える課題を解決する付加価値の高い金融サービスを提供していくということが重要です。それを実現するためのやり方というのは、いくつかあるわけですけれども、その中で経営統合や合併というのも選択肢の一つで、今般、青森銀行さんとみちのく銀行さんはそれを選ばれるということだと考えています。地域金融機関の収益力は長らく低下が続いてきましたけれども、近年は経営基盤の強化にも一定の進展がみられており、今後もこうした前向きな取り組みが続くことを期待しております。今般の両行の合併によりまして金融仲介力が強化されて、将来にわたって地域経済をしっかりと支えていかれることを期待しております。
§24Question
先ほどの講演で緩和的な金融環境はまだ続くというお話がありましたけれど、この緩和的な環境というのは、大体どういった程度のことまでを指すのか、例えば、今後、追加利上げをしていってもまだそこは緩和的な環境なのか、金利機能が回復するようなそういった状況になっても緩和的と言えるのか。田村さんが考えられている緩和的な環境というのが、どういった位置付けなのかというのを教えて頂けたらと思います。
§25Naoki Tamura
教科書的に言えば、中立金利よりも低い金利であれば緩和的な金融環境だというふうに考えています。[3月の]MPMの日の植田総裁の記者会見で中立金利について総裁が説明していましたけれども、その数字を出して示すにはあまりに幅が広いもので、中立金利はここだからここまでは緩和的な金融環境ということを一義的には決められないというふうに思っています。先ほど来申し上げております通り、毎回毎回のMPMで経済・物価情勢に応じて、金融[政策]運営を考えていくと。仮に利上げすることがあったら、利上げしてどういうふうな経済・物価の動きにその後なっていくのか、ということをみながら金融政策を運営していくということだと考えています。従って、金融緩和、緩和的な金融環境が続くというのは、利上げ一切しませんということはないと思っています。
§26Question
先ほどの挨拶の中で、金利機能の回復というところまで金融政策の正常化で持っていきたいと、それがその最終的なゴールだとお話になりましたけれども、講演の中では過去四半世紀の金融環境というのを振り返ってこられたわけで、そうすると最終的なゴールとしての金利の水準というのは、少なくとも[20]07年のこの政策金利のピーク 0.5[%]なんですけども、この 0.5%よりは上に持ってくっていうのが望ましいというふうにお考えでしょうか。
§27Naoki Tamura
数字で 0.5%より上とか 1%より上とかということは、今の時点では適当ではないと思っています。先ほど申し上げたように、都度都度のMPMで必要ならば利上げをして、その後経済の状況をみてということで判断をしていくということだと思っていますし、経済構造も大きく変わっていますので、どのぐらい上げたら金利機能が発揮できるのかというのも、2007年当時とはまた変わってきていると思いますので、その辺りは実体経済をしっかり丁寧にみながら運営していくということだと思っています。
§28Question
先ほどの質問ともちょっと重複するんですけれども、追加利上げの可能性についてちょっと改めてお伺いさせてください。講演の中で金利機能を回復させる水準というお言葉がありましたが、この言葉っていうのは、これは将来的には追加利上げが必要になってくるというご認識のもとで、講演の中でご発言されたという趣旨でいいのかどうかっていうところを改めてお伺いしたいのとですね、その場合、追加利上げが生じる際の条件について、先ほども質問ありましたが、改めて少し噛み砕いてお伺いできましたら幸いです。
§29Naoki Tamura
金融[政策]の正常化、金利機能(注 2)が働くような水準への正常化が必要ということは、利上げが必要ということを言っているか、という。
§30Question
将来的な追加利上げが必要だというご認識でいいのかどうかっていう、そういうふうに受け取っていいのかどうかっていうところですね。
§31Naoki Tamura
先ほど答えた内容とも重なるのですけれども、まず金利を上げる上げないについては、その時々の経済・物価・金融情勢に応じて判断をしていきます。金利機能(注 2)の正常化のためだけに利上げするということはないと思っています。経済・物価・金融情勢に応じて金利を決めていくと。日本経済がしっかりと好循環で強くなっていくような場合には、私の申し上げている金利機能の働くような水準まで金融[政策]を正常化できることを期待はしていますが、そのために金利を上げるということを申し上げているわけではありません。
§32Question
ちょっと先ほど質問、一度出てるんですけど、条件について改めて、追加利上げが必要になる条件について改めて少し噛み砕いてお伺いしたいです。
§33Naoki Tamura
噛み砕いてというか、先ほど申し上げたことで全てみたいな感じはするんですけれども、基本的にまず、今回マイナス金利を解除したのは、2%の物価安定目標の持続的・安定的に達成していくことが見通せたということが理由で、かといってまだ100%となっているわけではありませんから、その確度が上がっていく場合、それから物価の見通しが上振れる場合、あるいは物価の見通し自体は上振れないにしても上振れリスクが高まってくる場合、こういったような場合には金利を引き上げる余地というか、金利引き上げを検討しなければならないというふうに考えています。(注 1)津軽弁で「心地よい」の意味。(注 2)会見では「金融機能」と発言しましたが、正しくは「金利機能」です。以上