中村審議委員記者会見(2024年12月5日)
全文
§1Question
質問二点です。一点目は、今日の懇談会で、地場の財界や自治体トップとどのような意見交換がなされ、財界や自治体トップからの発言で印象に残ったことがあればお願いします。特に委員が重視されている地場中小の賃上げやコロナ禍以上の稼ぐ力という観点から印象に残った発言があればよろしくお願いします。二点目は今日の懇談会を踏まえて広島県の経済情勢の見通し、あと 18・19日と金融政策決定会合がありますが、金融政策を検討する上で踏まえたいと思ったことをお願いします。
§2Toyoaki Nakamura
ありがとうございます。今日のミーティングの内容ですけれども、広島県の金融経済界を代表する方々がお越しになりまして、いろいろな話を頂戴することができました。皆さま方には、お忙しい中、お越し頂きましたので、御礼を申し上げたところでありますが、[ご意見は]非常に多岐にわたる内容でした。全部というわけにはいきませんので、印象に残ったところをご紹介しますと、まず広島県の景気は、全国の評価と同様に「緩やかな回復基調にある」ということでございました。皆さまからは、企業の景況感や収益が改善しているということ、G7広島サミットの開催効果も相まってインバウンド需要はかなり回復しているということ、それから次世代半導体や電池といった企業の投資も拡大しているということがございました。一方で、やはり物価高騰や人手不足により、依然として厳しい経営環境にあるということもございまして、やはり資金繰り [の厳しさ]に直面しているというような企業も少なくないということでございました。来年度の賃上げですけども、相応の企業がアンケート結果によりますと、今年度と同等以上の賃上げを行うという考えを持っているということでございましたが、中小企業の今年度の設備投資は、前年から減少する見込みであるということなので、企業体力に劣る中小企業にとって、防衛的賃上げと設備投資の両立は容易ではないというようなお話もございました。
§3Toyoaki Nakamura
日本銀行に対しては、為替動向や、地域の景気動向、それから地域が抱えている人口流出などの課題、こういったものに十分注視して金融政策を実施してほしいというご意見や、地域の賃金動向、価格転嫁の状況等に資する情報を提供してほしいというご要望も頂戴致しました。本日お伺いした話を踏まえて、中央銀行の立場から金融システムの安定を確保するとともに、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現するために、適切な金融政策を運営し、当地経済の持続的な成長を引き続きサポートしていきたいということを申し上げました。それから、広島の[経済]見通しにつきましては、先ほど申し上げたように、一方で、自動車、それから造船、鉄鋼といった製造業の生産拠点が集積する工業県でありまして、世界経済が少しスローだということで、やはりそういう点については懸念もあるということでありましたが、二つの世界遺産とか豊富な観光資源を有していますので、それに国際平和拠点として世界的に高い知名度を有するという利点もありますので、そういった非常に高いポテンシャルを有している地域であるという印象を持ちました。いろいろなスポーツ施設だとか、都市開発といったところもどんどん進んでいますので、相乗効果は高まっていくのではないかなというふうに思います。
§4Toyoaki Nakamura
「緩やかな回復基調にある」とはいえ、やはり自動車は弱めの動きだという点もございますので、設備投資計画は今のところ増加しているという計画ではありますが、それがそのままいくかどうかは注意してみていかないといけないなと思います。それから先行きにつきましては、海外経済の動向、それが輸出産業に与える影響については注意が必要だということでございました。それから、今度の金融政策決定会合に何を活かすのかというようなご質問でございますが、今日の懇談会でいいますと、やはり日本銀行に対しては、為替の動向、それから地域の景気動向、地域が抱えている人口流出の課題、これをよくみて、そして金融政策を実施してほしいというようなご意見を頂戴致しました。私の立場と致しましては、今日、直接お伺いした話ですとか、支店を通じて寄せられた企業や金融機関の声も踏まえながら、引き続き、実態に即して適切な金融政策運営をしていきたいと考えております。今後出てくるいろいろなデータがありますので、それをみながら判断していきたいと思います。
§5Question
二点お願いしたいんですが、一点目は中小の稼ぐ力がなかなかまだ強まらない中、金融緩和の度合いを調整することは慎重に行うべきだという講演でのご発言なんですけれども、そう考えると、市場の一部でみられている年内の追加利上げは拙速なことなのかというのが一点目です。二点目は、最近出た法人季報では、設備投資意欲は旺盛なんですが、大企業を含めて、製造業の収益にちょっと頭打ち感が出ているように思われます。トランプ新大統領が 1月に誕生しますが、そういう不確実性とか、海外経済の減速で大企業の賃上げが今後落ちてしまうのではという見方もあると思うのですが、世界経済のそうした不確実性が企業に及ぼす影響、大企業も含めて、更には日本経済への影響について、先ほどの法人季報からみえる視点からお願いします。
§6Toyoaki Nakamura
中小の稼ぐ力が弱いっていうことで、 [金融]政策は慎重にということではありますが、私は以前から申し上げているんですけど、利上げに反対しているわけではないので、経済の回復の状況に応じて変えていくべきだと。それはデータに基づいて、公表されたデータやヒアリング情報がありますので、それに応じて判断をしていくべきであるという考えで、期待、こうなってほしい、こうなるはずだというところに基づいての判断よりも、それを確認するデータをみて判断をしたいということであります。年内の利上げという点については、これから結構たくさんのデータがまだまだ出てきますし、短観もこれから出てきますので、そういった点でいうと、そこをよくみて判断をしたいというふうに考えています。それは、その後言われた法人季報の話でもあるんですけれども、今、私はコロナ禍からの回復軌道にある、それは成長軌道に再び乗ったのかっていうと、まだ乗っていないと判断しています。例えば、今ご質問頂いた法人季報でみると、4月から 9月の上期をみると、1 人当たりの営業利益は全体でみると+3 割、90年[度]の上期と 24年[度]の上期は+3 割でして、大手企業というのはものすごく伸びています。118%ぐらいプラスになっていたかと思うんですけども。90年[度]上期に比べると 2.2 倍(注)になっていまして、そのうちの中小企業は実は 4 割減っています。
§7Toyoaki Nakamura
大手と中堅は 90年[度]上期の 1 人当たり営業利益をみますと成長しています。過去最高を超えたということになるんですが、中小企業は残念ながら 4 割減です。これは、前年比でみれば▲4%ぐらいなのでまあまあではあるが、やはり中小企業が減っている。しかしながら、給与と賞与の人件費でみると、みんな増えている。それは大手も中堅も中小企業も。従って、中小のところはまだ防衛的な賃上げというのが、全体でいうと窺える状況です。1人当たりの設備投資はどうかと、ソフトウェアも含めていますけども、これは全体でみると、90年[度]上期に対して 3 割減っており、これは大企業も 1 割減っていて、中小企業は 5 割減っています。大企業の場合はサプライチェーンを海外にシフト、過去の円高局面のときにずっと移してきましたので、グローバルでみると、おそらく増加していると思います。ただ、中小の場合はグローバル展開をあまりしていませんので、そうすると、この 5 割の減少は、中小の全体でみてもちょっと弱いっていうことがあって、この点、私としては少し懸念を持っていまして、生産性を向上させる力がまだ中小企業の場合には、全体でみると、平均するとちょっとまだ低下しているのかなと。
§8Toyoaki Nakamura
ただその中に、成長志向の中小企業も当然ありますので、私としては、3 割ぐらいは中小企業の中で成長志向の企業があると認識をしているんですけども、そういったところは前向きな賃上げをやれる状況になっていて、日商のアンケート調査でもそういう結果が出ていますから、改善方向にはあると。従って、まだこれからいろいろなデータが出てくるので、年内の利上げがどうかと言われても、もうちょっとデータをみないとさすがに。とにかくデータ・ディペンデントで判断をしたいというふうに考えています。大幅な賃上げが大企業もちょっと難しくなるのではないかっていうようなご意見もございましたけれども、企業によって違うのかなというふうに思います。今、大手の企業は、ここ 10年以上にわたって通年採用という、俗にいうキャリア採用をやっていまして、それは自分達のいた企業のグリッドの中に収まっていると満足がいかないと。従って、もうちょっと年収の高いところへ移ろうということで移っている人が多いと思うんですけど、そういう人達が大手企業の中に、若年層だと思いますけども、かなり入ってきて、新規採用と通年採用が 5 分 5 分ぐらいになっていますから、そうするとその企業の中の賃金のグリッドに収まらない人達が結構増えて、企業としてもそこは埋めなければいけない。
§9Toyoaki Nakamura
埋めなければいけないときに、他社、G7の大企業、それからアジアの大企業、上場企業を比較すると私のこのグラフの何ページかちょっと忘れちゃいましたが、日本の場合は少しずつは賃金カーブが上がっているんですけど、主要国と比べると寝過ぎていて、特にマネージャー以上になるとギャップが大きい。従って、ここは埋めなきゃいけないということで、大企業は、おそらく高めの賃上げをするのではないかなというふうに思います。それは労働分配率も低いので、賃上げ余力があるということからやるのではないかと思いますが、その点で中小企業が、前向きな賃上げをやれるところは持続的にできますけども、防衛的な賃上げのところはちょっと難しくなる局面がいずれ出てくるかもしれない。ということで、それを続けるのであれば、成長志向の中小企業が中心となって、もう一回り大きくなる改革を進めて、今のうちに戦える企業としての経営リソースを増やすということをやっていけば、持続的な賃上げは期待ができるし、その方向感はかなり出てきているかなと思います。M&Aとか第三者事業承継が増えてきていますから、その方向感としては良いと。大きな芽が出ているかなと言っているんですけど、そういう方向感で思っています。私は超ハト派と言われているようですが、決してそういうつもりはない。経済のデータに沿って改革をしていけば良い。
§10Toyoaki Nakamura
ただ今、中小企業がまだちょっと弱い感じだなっていう印象を持っていますけど、今後いろいろ出てくるデータで判断をしたいと思っています。
§11Question
年内の利上げについては、データ次第というお話を今伺いましたけども、講演では経済の回復度合いに応じて緩和度合いを調節していくべきだというお話をされまして、今の回復状況というものをみた場合、足元までのデータ等からですね、やはり年内利上げというもの、もしくは市場が織り込んでいる 1月の利上げですね、時間軸でみた場合、いわゆる利上げは否定されるものではないというお考えでよろしいのか。データ次第ということですけども、ちょっとそこのお考えをお聞きしたいというのが一点。もう一点は、講演で産業構造と経済構造の変化の重要性を指摘されていましたけれど、金融緩和の長期化によって、今の産業構造の変化が遅れるような懸念はないのか、その点について何かお考えがあるのか、この二点です。
§12Toyoaki Nakamura
データ次第っていうことですが、私の場合、平均の中央値の見通しよりちょっと弱気と言いますか、ちょっと低めですので、考え方としては先ほど申し上げたように、経済は、いま成長軌道に乗っているというよりも、回復軌道に乗っている、回復局面であるという認識です。それは、先ほど申し上げた中小企業が、まだコロナ前よりも、1 人当たりの利益は超えてないし、90年[度]上期のバブル期の絶頂期の頃に比べてもかなり低いということなので、そこのところが大企業、中堅企業とおかれている環境が中小企業はちょっと違うなというふうに思います。ただ、全ての中小企業が駄目ということではない。従って、その変化度合いがどう出てくるのかは、データでみたい。
§13Toyoaki Nakamura
だからそのデータで私がみたいっていうのは、まだ回復過程だという認識でいるもんですから、回復状況次第っていう私は文言を使っているんですけども、それによっていつ利上げかっていうのはなかなか予断をもって申し上げるにはさすがにまだデータが少な過ぎて、法人季報とGDPの 1 次速報は出ましたけども、まだ毎勤統計ですとか、GDPの 2 次速報だとか、それからその他のいろいろなデータがたくさんありますし、私がみたいというのは[挨拶要旨の]5 ページ目の中段ぐらい、多くのデータやヒアリング情報によっていろいろみたいのは、具体的には六つほど書きましたけども、それ以外でもいろんなデータで確認をしながら、成長軌道に近づいていけるのかなということをみたいというふうに考えていますので、いつ利上げかとそう急がずに、もうちょっと様子をみさせて頂きたい。それから産業構造の変化っていうのが利上げによって影響があったっていうことで良かったですかね。
§14Question
緩和の長期化が逆に構造変化を遅らせてしまったのではないか。
§15Toyoaki Nakamura
金融緩和によって、産業構造の変化が遅れているのかっていうと、それをデータで確認するようなものは、この前の多角的レビュー[のワークショップ]でも確か出てこなかったと思うんですけど、やはり産業構造を変えるには、私はね、成長を続けている企業が、憧れの存在であり、そこでは賃金も上がり、どんどん成長して自分のやりたいことが、そこで実現できるっていうような、夢のあるような企業が各地域に生まれ、それが成長していくことによって企業は大きく成長するんだと思うんです。それが昭和の時代には起きて、高度経済成長の時代があったわけですけれども、その後、経済環境が変わってしまって、生産性の高かった大手の企業がサプライチェーンを海外に移したことによって、以前は国内にあった産業クラスターがグローバル化してしまい、その結果、中小企業の中で海外には行けず、結局海外でできたサプライチェーンに攻撃を受けるといいますかね、輸入品によって、低成長・低収益化してしまったっていう産業構造の変化があった。それは、金融政策によって出たものではないんではないかなというふうに思います。やはり、経済の構造自体が、企業の行動が変わってしまったので、それに対応して、本来変わっていかなければいけなかった。
§16Toyoaki Nakamura
そのときに、日本の大手企業も、これは私の個人的な感想ですけれども、日本が先進国になったということをつい忘れてしまって、足元の業績をいかに改善するか、そして成長のために海外に出て行ったということは良いんですけれども、そのときに日本は先進国であるので、世界のイノベーションをリードする活動、事業展開をすべきだったと思うんですけれども、コストカットを中心としたコスト構造の改革をかなり注力してしまったので、そこが遅れてしまった。そういうことから起きていることだというふうに理解をしていますので、金融政策の問題とはちょっと私は違う意見を持っております。ただ、これからは変わる芽が出てきましたんで、私としては、将来に対する見通しは少し明るさを持っているんですけども、なかなかそれが皆さまに伝わってないということで、今ちょっと追加で申し上げました。
§17Question
度々利上げの話で恐縮なんですが、中村委員、データ次第で慎重に検討していくというお話をされましたけども、一方で、今日の講演では、賃上げと投資が牽引する成長型経済への大きな変化の芽が出ているというふうにおっしゃいました。これまでのご発言より、やや前向きな利上げに対しての印象を受けたのですが、やはりこれまでよりも利上げに向けた環境としては整ってきているというふうに考えられますでしょうか。
§18Toyoaki Nakamura
私自身は昔から変わってないんですけど、皆さまが私の発言をとらえて超ハト派と言われるもんだから、そういうレッテルが貼られたのかなという気がしておりますが、前から芽は出ているということは申し上げています。非常にそういう面で、私は、日本経済の将来においては明るい希望を持っている。ただ、中小企業の状態が、全体としてはまだコロナ前もちょっと超えてないので、そこのところをリードする成長志向の中小企業のところがもうちょっと拡大しないかというところを期待して待っているというところであります。
§19Question
これまでの質問と被りますが、多くのデータに関心があるとおっしゃっていて、講演の中でもいくつか指標について挙げられていますけれども、再来週のMPMまでに出てくるもので特に確認したいもの、データ次第では 12月にでも利上げできるのか、教えてください。
§20Toyoaki Nakamura
先ほどの 5 ページのところに書いてあるようなことを確認したいとなると、毎勤統計ですとか、それから消費動向指数、GDPの 2 次速報、建設工事受注動態統計とか、もうちょっとしたら出てくる私どもの短観、それから鉱工業指数とか、機械受注統計、貿易統計、資金循環統計とか、こういうデータがこれから MPMまでに出てきますので、そういった中からどう変化がみえるかを私としては注視していくということです。
§21Question
市場では 12月の利上げを含む観測というところが後退して来ていますが、こういった市場の見方と中村委員の考えに開きはありますでしょうか。
§22Toyoaki Nakamura
別に何というか、まだ 12月とか 1月とかもっと先かとかいうことを決めているわけではないので、データ次第と先ほどから申し上げているんですけど、どちらかというと市場がボラタイルになっていて、上がったり下がったりしているんですけど、それはアメリカでも同じようなことが起きているので、決して私と大きな変化が出ているのかどうかはちょっと分かりませんけど、もう少しきちんとデータをみてファクトに基づいて意思決定をしたいと考えているので、今の状況は別に 12月でなくなったというわけではないし、12月でやるということでもないし、もうちょっと時間が経って、経済データのファクトを確認しながら、いろいろ市場も動いて来るのではないかなと思いますので、私としてはまだニュートラルにいるということです。
§23Question
細かいところなんですけど、一番最後の図表 16、家計のダイナミズムのページで勤労所得と金融収入から矢印が出ている消費拡大が前回 6月の講演資料から新たに加わったような気がしてるんですけど、実際そういう動きがみえているのか、何かその辺りについてご見解をお願いします。
§24Toyoaki Nakamura
ここは前回よりも新NISAによる投資のところが積み上がってきたということで、資金循環統計でも一気に増えましたので、そういうことをみると、 1年間かけて可処分所得に占める利子配当収入が 3.3[%]ポイントも増えたというところがあって、そういうことからすると、日本経済が成長する、そのリーダー役である上場企業の業績が家計に直接反映するパスも出てきたということで、期待としては消費拡大という節約志向が少し軽減されるのではないか、そうなってほしいということで、今回は消費拡大というのを入れました。やはり、ここがないと賃金が増えても消費が拡大しないと実はGDPは増えない。GDPの中の 55%は個人消費ですから、そこが増えないと、やはりGDPの成長は難しい。それは賃上げとともに、国のリーダー役である上場企業が成長すると、今まではあまり家計の可処分所得に反映されなかったけれども、株式投資、投資信託投資が増えて、米国型になったとは言いませんが、少し近い方向に動き出したということは、家計の稼ぐ力の多様化が進みつつあるなということで、この項目を入れました。
§25Question
一点、7月の金融政策決定会合では、利上げについて反対票を投じていましたけれども、そこから現在にかけては心境の変化があるのかどうか。6月の札幌市での講演の際には、当面は現状維持が妥当というふうに伝えていましたけれども、今回は慎重に金融政策度合いを調節する局面と示されていましたけども、その辺り少し心境の変化があったのか、教えてください。
§26Toyoaki Nakamura
心境の変化という点でというと、もともと 3月のときも、それから 7月のときも確かに反対とは申し上げたんだけれども、利上げをすることに反対とは言っていません。利上げの仕方に対して反対をしたということです。データをきちんと確認して、あと一月待てば実績が出ましたねという、その確認をしてから上げるので十分良いのではないかと。その方がマーケットプレーヤーも含めて、日本銀行の政策変更に対する憶測ばかりが先行してしまって、実態を示す経済データ、ファクトに対する関心が衰えてしまうのは良くないということで申し上げたので、反対を申し上げたというときとの心境の変化はない。その後、1 か月経ったら、経済は想定通りになりましたので、その段階だったら最初から反対しなかったということであります。だから、心境の変化をしているわけではない。私の見通しに対して、オントラックかといえば、自分としてはオントラックなので、ただ、そのオントラックが政策委員平均見通しより低い。だから、レベルがちょっと違うっていうことではありますが、心境の変化はないということであります。
§27Question
広島県の経済についてお伺いをしたいんですけれども、今後、広島の経済が成長していく上で、ポイントになることを具体的な業種などにも触れながら、どういったご意見をお持ちなのか、お聞きしたいなと思います。
§28Toyoaki Nakamura
私としては、経済が成長をするということについては、憧れるような存在の中小企業の成長であったり、スタートアップの成長であったりというようなことで、若い人達が広島で働きたいというような企業がどんどん増えていく、そういうことが必要だと思います。それは、今、県や市で進めておられる政策でもありますし、それがきちっとつながるように、経済につながるように成果が早く出てくると良いなというように思いますけども、そういうことが必要であろうと。今そのほかに、新しいビジネスを創出する面では、都市開発プロジェクトですかね、ああいうことで人がどんどん流入をしてくるっていうようなことも期待が増えていますし、そういう人が来る、そうするとお金も落ちる、すると経済が活性化する、活性化すると思えば若い人は大学を卒業したときに戻って来るかもしれない。というようなことで、補助金によって、何とか事業を継続するというようなことではなくて、むしろ、経済が魅力のある企業によってリードされ、それによって魅力度が高まり、そこで働きたいというような人達が増える、こういうようなことを続けていくことが大事ではないかと。金融経済懇談会で他の都市に伺ったときに、当時参加された自治体の方も、やはり補助金だけで人口流出は止められないというようなご意見もありました。
§29Toyoaki Nakamura
それを、内作化をすることによって、一つの企業が、少しずつ大きくなるということで成功を収めたという市もございましたので、地域創生の一つのモデルとして、そういう方向もあるのではないかなということを期待しています。痛みがあるかもしれませんけども、やはり小さい企業のままで、幾ら努力をしても、なかなか賃金を上げ続けるというのは難しいので、少しずつでも大きくなることによって、その余力を作るということが必要ではないかなと思います。(注)会見では「1.2 倍」と発言しましたが、正しくは「2.2 倍」です。以上