金融政策決定会合議事要旨(1月22、23日開催分)
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2026.3.25日本銀行 政策委員会金融政策決定会合議事要旨(2026年1月22、23日開催分) 本議事要旨は、日本銀行法第 20 条第 1 項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2026年3月18、19日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。 公表時間3月25日(水) 8 時50分 本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合(引用は含まれません)は、予め日本銀行政策委員会室までご相談ください。引用・転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。 1
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(開催要領)1 .開催日時:2026年1月22日(14:00~15:50)1月23日( 9:00 ~12:00)2.場所:日本銀行本店3 .出席委員:議長植田和男(総裁)氷見野良三(副総裁)内田眞一(〃)(注)野口旭(審議委員)中川順子(〃)高田創(〃)田村直樹(〃)小枝淳子(〃)増一行(〃)(注)内田委員は、電話会議により出席。4 .政府からの出席者:財務省前田努大臣官房総括審議官(22日)中谷真一財務副大臣(23日)内閣府林幸宏内閣府審議官(22日)岩田和親内閣府副大臣(23日)(執行部からの報告者)理事清水誠一理事神山一成理事諏訪園健司理事中村康治(22日 14:00 ~15:40 、23日)企画局長奥野聡雄企画局政策企画課長井出穣治金融機構局長鈴木公一郎金融市場局長峯岸誠調査統計局長川本卓司調査統計局経済調査課長須合智広国際局長近田健(事務局)政策委員会室長福田英司政策委員会室企画役三浦幸大政策委員会室企画役補佐梶谷勉企画局企画役八木智之企画局企画役北原潤企画局企画役伊藤雄一郎 2
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Ⅰ .金融経済情勢に関する執行部からの報告の概要1 .最近の金融市場調節の運営実績金融市場調節については、前回会合(12月18 、19日)で決定された金融市場調節方針(注)に従って運営し、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.727 ~0.729% のレンジで推移した。この間、長期国債の買入れについては、2025年12月は月間3.3 兆円程度の買入れを行った。2026年1月は、 2025年6月の会合で決定された減額計画に沿って、月間の買入れ額を4,000 億円程度減額し、月間 2.9 兆円程度の買入れを行った。2 .金融・為替市場動向短期金融市場では、翌日物金利のうち、無担保コールレートは0.75% 程度で推移した。G C レポレートは、無担保コールレート並みの水準で推移した。ターム物金利をみると、短国レート( 3 か月物)は、小幅な上昇となった。わが国の株価( T O P I X )は、半導体を中心に米国の株価の動きに連れつつ、先行きの政権運営への期待もあり、大幅に上昇した。長期金利(10年物国債金利)は、先行きの経済・物価情勢や金融政策・財政政策に対する市場の見方などを反映して、大幅に上昇した。国債市場の流動性指標をみると、総じて改善方向の動きが継続している。為替相場をみると、円の対ドル相場、円の対ユーロ相場は、期間を通じてみれば円安方向の動きとなった。
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3 .海外金融経済情勢海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。米国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば堅調な成長を維持している。欧州経済は、駆け込み輸出の反動もみられる中、総じてみれば弱めの動きが続いている。中国経済は、不動産市場などで調整圧力が続く中、関税引き上げの影響や政策効果の逓減などを受けて、減速している。中国以外の新興国・資源国経済は、総じてみれば緩やかに改善している。先行きの海外経済は、当面、各国の通商政策等の影響が下押し圧力
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(注)「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、 0.75%程度で推移するよう促す。」 3
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として残るものの、グローバルな A I 関連需要にも支えられて成長経路に復していくと考えられる。先行きの見通しを巡っては、各国の通商政策の影響のほか、A I 関連のグローバルな需要動向、中国経済の動向などについて、不確実性が高い。海外の金融市場をみると、世界経済の先行きを巡る不確実性の低下を受けて、市場センチメントは改善した状態が続いている。米国や欧州の長期金利は、期間を通じてみれば、概ね横ばいとなった。米国の株価は、A I 関連を中心としたバリュエーションの調整懸念がいったん和らぐもと、資源価格上昇の影響もあって、上昇した。欧州の株価は、米国の株価の動きに連れつつ、上昇した。この間、新興国通貨は、市場予想比堅調な経済指標や銅価格の上昇を背景に、一部通貨が増価する中、全体でも上昇した。原油価格は、ロシア産原油やベネズエラ産原油の供給を巡る思惑による変動がみられたあと、イラン情勢の不安定化を背景に、足もとにかけて上昇した。4 .国内金融経済情勢( 1 )実体経済わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。先行きについては、当面は、各国の通商政策等の影響を受けて輸出面を中心に景気回復の足取りは緩やかなものにとどまるものの、その後は、政府の経済対策や緩和的な金融環境などにも支えられて、改善基調が明確になっていくとみられる。
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輸出は、米国の関税引き上げの影響を受けつつも、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。先行きは、世界的な A I 関連需要の堅調さは一定の下支えとなるものの、米国の関税引き上げに伴う駆け込みの反動や関税の価格転嫁の進捗に伴う最終需要へのマイナスの影響が下押し要因となることから、当面は幾分減速した状態が続く可能性が高い。鉱工業生産は、横ばい圏内の動きを続けている。先行きは、米国の関税引き上げに伴う駆け込みの反動や関税の価格転嫁の進捗に伴う最終需要の減退が下押し圧力となるものの、国内需要は経済対策の効果もあって底堅く推移するとみられることから、基調としては横ばい圏内の動きを続けると見込まれる。企業収益は、製造業において関税による下押しの影響がみられるが、全体としては高水準を維持しており、業況感も良好な水準で推移している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。先行き
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の設備投資は、受注残高解消の動きや人手不足対応の省力化投資に支えられて増加傾向を維持するものの、当面は製造業における企業収益の減速や建設コストの上昇が下押し圧力として働くと見込まれる。個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。消費活動指数(実質・旅行収支調整済)をみると、7 ~ 9月に小幅に増加したあと、10 ~11月の 7 ~ 9月対比も、自動車や家電等の耐久財を中心に引き続き増加している。企業からの聞き取り調査や業界統計、高頻度データに基づくと、12月以降の個人消費は、前月からは若干減少しているとみられる。消費者マインドは、食料品価格の上昇率低下や株価の上昇等を背景に、このところはっきりと改善しているが、足もとでは、中国の渡航自粛要請に伴うインバウンド需要減少への懸念の影響もみられる。先行きの個人消費は、食料品価格の高止まりによる下押し圧力を受けつつも、雇用者所得の増加に加え、政府によるエネルギー負担緩和策も下支えとなり、底堅い動きを続けると予想される。雇用・所得環境は、緩やかに改善している。就業者数は、正規雇用を中心に着実な増加を続けている。一人当たり名目賃金は、振れを伴いつつも、着実な上昇を続けている。先行きの雇用者所得は、振れを伴いつつも、当面、現状程度のペースで着実な増加を続けると見込まれる。
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物価面について、商品市況をみると、原油価格は振れを伴いつつも低下基調にある一方、銅価格ははっきりと上昇している。この間、食料の市況価格は緩やかに低下している。国内企業物価の前年比は、原油価格下落を主因に低下傾向にあり、足もとでは2% 台半ばとなっている。企業向けサービス価格(除く国際運輸)の前年比は、人件費上昇等を背景に高めの伸びを続けているが、2024年にみられた値上げの一巡などから上昇率が低下傾向にあり、足もとでは 2% 台後半となっている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは2% 台半ばとなっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。先行きの消費者物価の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府によるエネルギー負担緩和策を受けたエネルギー価格の下落が下押し要因となることから、本年前半には、 2% を下回る水準までプラス幅を縮小するとみられる。( 2 )金融環境わが国の金融環境は、緩和した状態にある。
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実質金利は、マイナスで推移している。企業の資金調達コストは、上昇している。資金需要面をみると、経済活動の回復や企業買収の動きなどを背景に、緩やかに増加している。資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は、緩和した状態にある。C P ・社債市場では、良好な発行環境となっている。こうした中、銀行貸出残高の前年比は、4% 台後半となっている。C P ・社債計の発行残高の前年比は、6% 台後半となっている。企業の資金繰りは、良好である。企業倒産は、横ばい圏内で推移している。この間、マネーストックの前年比は、 1%台後半となっている。( 3 )金融システムわが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。大手行の収益は、国内貸出金利息を中心とする資金利益の増加などを背景に、増加している。この間、信用コストは、低水準となっている。自己資本比率は、引き続き規制水準を十分に上回っている。地域銀行の収益は、資金利益の増加などを背景に、増加している。この間、信用コストは、低水準となっている。自己資本比率は、引き続き規制水準を十分に上回っている。金融循環面では、金融システムレポートで示しているヒートマップを構成する全14 指標のうち13 指標がトレンドから大きな乖離のない状態となっている。
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金融ギャップは、ひと頃と比べてプラス幅が縮小した状態が続いており、現在の金融活動に大きな不均衡はみられていない。ただし、不動産価格や株価といった資産価格の動向には引き続き留意が必要であり、今後も、金融活動が実体経済活動から大きく乖離することがないか、注視する必要がある。また、各国の通商政策や地政学的リスク、海外ノンバンク部門の動向等が、様々な経路を通じて金融システムに及ぼす影響については丁寧にみていく必要がある。Ⅱ .金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要1 .経済・物価情勢の現状国際金融資本市場について、委員は、世界経済の先行きを巡る不確実性の低下を受けて、市場センチメントは改善した状態が続いているとの見方を共有した。ある委員は、多くの国の株価が本年入り後に史上最高値を更新していることの背景として、各国における金融・財政両面のサポートと世界的な I T ブームに伴う投資拡大により、景気回復期待が急速に高まっていることを挙げた。
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海外経済について、委員は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長しているとの認識を共有した。多くの委員は、通商政策の影響を巡る不確実性の低下や A I 関連需要の拡大等を踏まえると、世界経済は堅調な動きを続ける可能性が高いと指摘した。このうちの一人の委員は、世界中が金融・財政両面で緩和策を採用していることも合わせて考えると、本年の世界経済は、回復に向けたモメンタムが始動する転換局面にあるとの認識を示した。米国経済について、委員は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば堅調な成長を維持しているとの認識で一致した。何人かの委員は、関税政策の影響が総じて限定的なものにとどまる中、A I 関連投資の増加や株高を背景とした富裕層の消費拡大を背景に、堅調に推移しているとの見方を示した。このうちのある委員は、直近 2 か月の自動車販売台数が市場予想を上回り、電気自動車購入に対する補助金の支給終了後の落ち込みから回復していることは、消費の堅調さを示す証左であると指摘した。また、複数の委員は、今後も、所得税減税などの財政措置や各種の規制緩和により経済活動が底上げされることが期待されると述べた。
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この間、一人の委員は、A I を中心とするI T 関連の設備投資が米国経済の堅調さにつながっているものの、雇用を巡るリスクとそれに伴う金融政策の方向性などには、引き続き不確実性が存在しているとの見方を示した。別のある委員は、今後、米国の消費者物価に関税の価格転嫁の影響が本格的に出始める可能性もあり、物価関連のデータを丁寧にみていく必要があると述べた。欧州経済について、委員は、駆け込み輸出の反動もみられる中、総じてみれば弱めの動きが続いているとの見方を共有した。ある委員は、域内全体としては、E C B の利下げに支えられ、緩やかな持ち直しが続いているものの、個別にみれば、停滞気味のドイツ経済、堅調な南欧経済といった格差が生じているとの認識を示した。中国経済について、委員は、不動産市場などで調整圧力が続く中、関税引き上げの影響や政策効果の逓減などを受けて、減速しているとの見方を共有した。そのうえで、一人の委員は、不動産不況によるデフレ圧力は続いているものの、政府の政策対応が下支えとなっており、経済の急激な悪化が生じる可能性は低いとの認識を示した。中国以外の新興国・資源国経済について、委員は、総じてみれば緩やかに改善しているとの認識を共有した。わが国の金融環境について、委員は、緩和した状態にあるとの認識
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で一致した。何人かの委員は、金融政策の影響が大きい短中期ゾーンの実質金利は依然としてきわめて低く、緩和的な金融環境が続いていると述べた。また、何人かの委員は、昨年12月の利上げからさほど日数は経過していないが、企業等の資金需要、金融機関の貸出態度、C P ・社債の発行環境などを踏まえると、政策金利引き上げ後も、わが国の金融環境は緩和した状態が続いているとの認識を示した。銀行貸出について、一人の委員は、市場金利連動型の貸出金利が上昇しているほか、多くの金融機関は、2月以降、短期プライムレートや普通預金金利を引き上げることを表明しているが、そうしたもとでも、今のところ金融機関の貸出態度は積極的であり、企業の資金繰りは良好な状況が続いているとの見解を示した。ある委員は、企業がより高い成長を求め、投資意欲を高めていることが、最近の銀行貸出の高い伸びにつながっていると指摘した。この点に関し、別の一人の委員は、最近の貸出動向をみる限り、短中期の設備資金や運転資金の借入れに伴う利払いは、良好な企業収益や生産や売上の伸長で回収可能な範囲ではないか、との見方を示した。以上のような海外の金融経済情勢とわが国の金融環境を踏まえて、わが国の経済・物価情勢に関する議論が行われた。わが国の景気について、委員は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復しているとの認識を共有した。
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多くの委員は、輸出面では関税引き上げの影響が引き続きみられるものの、設備投資や個人消費等の国内需要は底堅く推移しているとの認識を示した。ある委員は、関税政策のわが国経済への影響については、昨年秋頃から足もとにかけて、当初の想定よりも軽微なものにとどまることが徐々にはっきりしてきたと述べた。また、この委員は、わが国のA I 関連需要について、先般の支店長会議の報告を踏まえると、データセンターの空調設備や半導体製造装置など多様であり、地域的な広がりを含め、その裾野は予想以上に広いと指摘し、需要拡大の恩恵は、直接の輸出企業だけでなく、その協力企業にも及んでいるとの見解を示した。輸出や鉱工業生産について、委員は、米国の関税引き上げの影響を受けつつも、基調としては横ばい圏内の動きを続けているとの認識で一致した。ある委員は、サービス輸出の4 分の 1 程度を占めるインバウンド需要について、中国からの訪日客数は渡航自粛要請の影響から減少しているものの、他のアジア諸国・地域からの訪日客数が増加していることから、現時点では、インバウンド需要全体への影響は限定的との認識を示した。設備投資について、委員は、企業収益が関税政策の影響を受けつつ
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も全体としては高水準を維持し、業況感も良好な水準で推移しているもとで、緩やかな増加傾向にあるとの認識を共有した。複数の委員は、世界的な A I ブームにも支えられ、設備投資は堅調に推移しており、企業の資金需要も拡大していると述べた。個人消費について、委員は、物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移しているとの認識で一致した。何人かの委員は、食料品価格の上昇を背景に、非耐久財消費は引き続き弱めの動きとなっているものの、消費全体としてみれば底堅いと評価できるとの認識を示した。ある委員は、非耐久財消費の弱さには、人口動態や消費嗜好の変化といった要因もあり、家計支出の一部が財消費からサービス消費に振り替えられている面もあると付け加えた。別の一人の委員は、これまで消費の下押し要因となってきた食料品価格の伸び率が徐々に落ち着いてきていることが、個人消費の緩やかな持ち直しにつながっていると指摘した。この間、ある委員は、近年の不動産価格の上昇は、持ち家を持たない消費者層の将来不安を高め、個人消費を下押ししている可能性があると述べた。雇用・所得環境について、委員は、緩やかに改善しているとの見方を共有した。
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ある委員は、本年の春季労使交渉(春闘)の見通しに加え、大手企業における堅調な冬季賞与や、賃金が上昇する転職者の割合の増加などを踏まえると、賃上げが着実に進んでいることが多面的に確認できると述べた。一人の委員は、円安は、大企業の収益や賃金を押し上げる一方、中小企業の収益や賃金を下押しするため、物価の上押し効果と相まって、格差の拡大に働く可能性があることに留意する必要があるとの認識を示した。物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは2% 台半ばとなっているとの認識で一致した。ある委員は、コストプッシュ型のインフレは落ち着く兆しがみられると指摘し、その背景として、特に食料品にみられていた既往の輸入物価上昇分のキャッチアップを目的とした「埋め合わせ型」の値上げがほぼ一巡しつつあることなどを挙げた。一人の委員は、米価格の値上がりは、供給不足が発端ではあったが、昨秋の新米買付け時の需要要因も加わり、複合的な現象であった可能性があると指摘した。そのうえで、この委員は、単純にコストプッシュと割り切れない物価上昇が他の財でも生じていないか、今後も注視していく必要があると述べた。別のある委員は、食料品やエネルギーなど中間段階での吸収余地が小さく、輸入物価の上昇も大きかった分野では、ここ数年
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のコスト増が消費者物価に転嫁されたものの、家計の余裕が乏しい中にあっては、こうした動きは他の品目の節約につながってしまうため、外食・宿泊を除くサービス価格などについては、これまでのところ、人件費を価格転嫁する動きは緩やかであると指摘した。別の一人の委員は、公共サービスと家賃を除けば、サービス価格も2% 台後半の伸びが続いていると指摘したうえで、最近は、サービスの質を落とす形での実質値上げの動きがみられているが、今後は、そうした品質調整の余地も小さくなり、価格引き上げの動きが広がるのではないかとの見方を示した。こうした動きを念頭に、この委員は、物価上昇の主因が原材料価格の上昇から人件費の上昇にシフトし、インフレがより粘着的なものに変化してきているとの認識を示した。このほか、ある委員は、都市部を中心に家賃が上昇していることを指摘し、こうした動きについては、海外のインフレや円安による資材価格の上昇と人件費の上昇が住宅価格を押し上げ、それによって購入を見送る層の動きが賃貸需要の増加につながっていることも影響しているとの見方を示した。この間、予想物価上昇率について、委員は、緩やかに上昇しているとの見方で一致した。
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複数の委員は、デフレノルムの転換が進む中、市場参加者のインフレ期待を示すブレーク・イーブン・インフレ率を含め、予想物価上昇率に関する多くの指標は 2% に向けて上昇してきていると指摘した。このうちの一人の委員は、最近の円安進行や財政政策の影響も、予想物価上昇率を押し上げる方向に作用していると付け加えた。別のある委員は、予想物価上昇率を評価する際には、経済主体である企業や家計の見方を重視すべきであるとしたうえで、これらの予想物価上昇率は、概ね 2% に達しているとの見解を示した。2 .経済・物価情勢の展望2026年1月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)の作成にあたり、委員は、経済情勢の先行きの中心的な見通しについて議論を行った。委員は、わが国経済について、各国の通商政策等の影響を受けつつも、海外経済が成長経路に復していくもとで、政府の経済対策や緩和的な金融環境などにも支えられて、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まることから、緩やかな成長を続けると考えられるとの認識を共有した。多くの委員は、米国経済や関税政策の影響を巡る不確実性の低下に加えて、先行き、政府の経済対策が景気の上押し要因として作用するとの認識を示した。
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これに関連し、ある委員は、財政支出の効果を検討する際には、当該支出の輸入誘発度合いや家計・企業の支出性向等を考慮する必要があるほか、景気拡大期と景気後退期では、理論的に
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その効果の大きさに違いがあるとの見解を示した。一人の委員は、先行きのわが国経済を見通すうえでは、人手不足感が高止まりする中でAI 関連投資の裾野がどの程度広がっていくのか、事業承継や M & A等の企業行動を通じて、マクロの生産性がどの程度押し上げられるのか、といった視点も重要と指摘した。わが国の輸出や鉱工業生産について、委員は、当面、関税引き上げの影響が下押し圧力として残るものの、グローバルな A I 関連需要にも支えられて海外経済が成長経路に復していくもとで、緩やかに回復していくと見込まれるとの認識を共有した。設備投資について、委員は、政府の経済対策や緩和的な金融環境にも支えられて、人手不足対応の省力化・デジタル関連投資や研究開発投資を含め、増加傾向を続けると考えられるとの認識を共有した。個人消費について、委員は、物価上昇の影響が残るもとで、当面は横ばい圏内の動きとなるものの、雇用者所得の増加が続くもとで、次第に緩やかな増加基調に復していくとみられるとの見方で一致した。ある委員は、既往の食料品価格の上昇に加え、最近では都市部を中心に家賃が上昇していると指摘したうえで、これらについては、政府や自治体による施策はあるが、家計の生活実感や消費行動に与える影響が大きい項目であるだけに、その動向を丁寧にみていく必要があると述べた。
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雇用者所得について、委員は、振れを伴いつつも、当面、現状程度のペースで着実な増加を続けるとみられるとの認識を共有した。その後は、企業収益の回復に伴い、名目賃金の上昇率が再び高まるもとで、雇用者所得の増勢も幾分強まっていくとの見方を共有した。多くの委員は、労働需給が引き締まった状況が続くもとで、わが国でも賃金と価格が相互に参照しながら緩やかに上昇するメカニズムが定着しつつあり、本年の春闘では、昨年に続き、幅広い企業でしっかりとした賃上げが実施されるとの見方を示した。このうちのある委員は、名目賃金の上昇モメンタムが維持される可能性が高い中、今後は、エネルギーや食料品の価格上昇率が徐々に低下し、消費者物価の伸び率も低下するため、実質賃金の上昇率もようやくプラス圏に浮上して、それが定着していくとの認識を示した。こうした議論を経て、委員は、中心的な成長率の見通しは、昨年10月の展望レポート時点と比べると、2025年度は海外経済の上振れや GDP統計改定の影響から、 2026年度は政府の経済対策の効果などから、それぞれ幾分上振れている一方、2027年度は経済対策の効果の反
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動により、幾分下振れているとの認識を共有した。続いて、委員は、物価情勢の先行きの中心的な見通しについて議論を行った。大方の委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、本年前半には、2% を下回る水準までプラス幅を縮小していくとの認識で一致した。もっとも、委員は、この間も、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、消費者物価の基調的な上昇率は、緩やかな上昇が続くとの見方を共有した。その後について、大方の委員は、景気の改善が続くもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はともに徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移するとの認識を共有した。これに対して、一人の委員は、ここ数年賃上げが定着し、国内要因によるインフレ圧力が生じていることを踏まえると、「物価安定の目標」の実現に概ね至っているとの認識を示した。また、別のある委員は、① 春闘、② 物価の推移、③ 予想物価上昇率が見通し通りであれば、今春にも、物価の基調は 2% に達したと判断できるとの見方を示した。
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消費者物価(除く生鮮食品)の見通しについて、複数の委員は、消費者物価の前年比の伸び率がいったん2% を下回る中で、昨年並みの賃上げが行われ、可処分所得の増加につながれば、サービス分野を含め、人件費転嫁の動きが広がる可能性があるとの見解を示した。そのうえで、このうちのある委員は、政府の経済対策による家計への所得移転の効果を含めて、物価・家計所得・個人消費のバランスがどうなるか、注視していく必要があると指摘した。この間、多くの委員は、企業の価格設定行動が大きく変わりつつある中、ここ数年は、円安による輸入物価上昇のパススルーがより強まっていることから、為替から物価への影響を従来以上に重視する必要があるとの見解を示した。このうちの一人の委員は、円安に伴い、低価格の輸入品も物価を押し下げにくくなっていると述べたうえで、国内需要の輸入依存度も上昇しており、為替要因が先行きの物価を押し上げる蓋然性は、以前より高まっているとの認識を示した。基調的な物価上昇率について、多くの委員は、足もとまでの各種指標の動きを踏まえると、全体として緩やかな上昇傾向をたどっており、2%に近づいてきているとの認識を示した。ある委員は、短観における企業の物価見通しなど、中長期的なインフレ予想に関する一部の指
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標は、最近の消費者物価の伸び率の縮小にもかかわらず、安定的に推移していると指摘した。そのうえで、この委員は、基調的な物価上昇率は 2% 程度にあるものの、過去、大きな負のショックが生じた際にみられたわが国経済の脆弱性などを踏まえると、その定着度は十分に確認されていないと述べ、今後は、前年比でみた食料品価格の減衰ペースに加え、政府の物価高対策が物価の基調に及ぼす影響等を注視する必要があるとの見解を示した。このほか、一人の委員は、消費者物価の伸び率が一時的な要因で低下する中にあっては、実際の物価指数の動きそのものよりも、賃金上昇率、予想物価上昇率、サービス価格の上昇率など、物価の基調を捉える指標により注目すべきであると述べた。別のある委員は、今後、現実の物価上昇率が基調的な物価上昇率を下回る可能性が高いことを踏まえると、補助金等の一時的な制度要因を除いたベースで消費者物価の動きを説明するといったコミュニケーション上の工夫を検討する必要があるのではないか、と指摘した。こうした議論を経て、大方の委員は、物価の中心的な見通しは、前回の展望レポート時点と比べると、概ね不変であるとの認識を共有した。次に、委員は、経済・物価の見通しのリスク要因(上振れ・下振れの可能性)について議論を行った。
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委員は、リスク要因としては、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向、企業の賃金・価格設定行動、金融・為替市場の動向などがあり、それらのわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要があるとの見方を共有した。そのうえで、経済の主なリスク要因として、委員は、 ①海外の経済・物価動向、② 輸入物価の動向、③わが国を巡る様々な環境変化が企業や家計の中長期的な成長期待や潜在成長率に与える影響、の 3 点を挙げた。ある委員は、通商政策を巡る不確実性の低下や堅調なIT 関連需要に加えて、米国や欧州等における財政拡張的な動きも踏まえると、前回展望レポート時点と比べ、海外経済の下振れリスクは低下していると指摘した。一人の委員は、A I 関連投資については、当面は大手ハイテク企業を中心に設備投資が実施され、大きく不安定化することはないとみられるが、投資に見合った形で収益の拡大が実現しない場合には、資産価格の調整なども伴って、調整圧力が生じるリスクには留意が必要と指摘した。物価のリスク要因について、委員は、上記の経済のリスク要因が顕在化した場合には、物価にも影響が及ぶほか、物価固有のリスク要因
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として、①企業の賃金・価格設定行動やそれらが予想物価上昇率に与える影響、②今後の為替相場の変動や国際商品市況を含む輸入物価の動向、およびその国内価格への波及には注意が必要であるとの見方で一致した。何人かの委員は、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることや、そうした動きが、予想物価上昇率の変化を通じて、基調的な物価上昇率に影響する可能性があることにも留意が必要と指摘した。そのうえで、このうちの一人の委員は、今後より一層の円安が進んだ場合には、消費者物価指数の上昇率の低下ペースが遅くなり、反転上昇する可能性もあると付け加えた。食料品価格の動向について、ある委員は、米価格の高止まりが他の食料品の値上げを容易にしている面があると指摘し、今後、米価格が大きく下落していかない場合には、食料品価格全体の上昇も簡単には収まらない可能性があるとの見解を示した。一人の委員は、賃金ノルムの転換に加え、海外経済の回復期待が強まっているだけに、リスクバランス上も、物価の上振れリスクをより意識する必要があると述べた。別のある委員は、わが国経済が労働の供給制約に直面する中、円安のパススルー、財政政策による需要拡大、中国の対日輸出規制等、物価の上振れリスクが膨らんでいると指摘した。
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これらに対し、複数の委員は、今後、政府の物価高対策の効果もあり、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比がプラス幅を縮小することが見込まれる中、予想物価上昇率の下振れにつながることがないかどうか、丁寧に確認する必要があるとの認識を示した。ある委員は、このところ、一部の企業でコスト削減の動きが再びみられ始めていると述べたうえで、これにより生産性が向上すれば、中長期的には賃上げにプラスに働くと考えられるものの、2027年度の賃上げなど、賃金や物価に対するより短期的な影響には、引き続き留意が必要であると指摘した。リスクバランスについて、委員は、各委員が示したリスク評価を全体として評価すると、経済・物価のいずれの見通しについても、概ね上下にバランスしている、との認識を共有した。Ⅲ .金融政策運営に関する委員会の検討の概要以上のような金融経済情勢に関する認識を踏まえ、委員は、金融政策運営に関する議論を行った。次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、大方の委員は、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0 .75% 程度で推移するよう促す」という方針を維持することが適当であるとの見
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解を共有した。何人かの委員は、前回 12月の会合で政策金利を引き上げたことを踏まえると、現在は、政策変更の影響を含め、経済・物価・金融情勢を丁寧にみていく段階であるとの認識を示した。このうちのある委員は、家計への利上げの影響について、金利上昇によって住宅ローンの名目の利払い額は増加するものの、 5年ルールや125% ルールといった措置もある中、足もと、ローン延滞率は低水準で推移しているほか、主な借り手である現役世代については、ローンの実質的な負担は賃金上昇率にも依存することを勘案すべきであると指摘した。そのうえで、この委員は、金利上昇に伴う消費の下押し圧力には留意が必要であるものの、金融システムレポートの分析などを踏まえれば、金融システム全体への影響は限定的と考えているとの見解を示した。また、企業に対する影響について、何人かの委員は、これまでのところ、金融機関の貸出態度や企業の資金繰りは総じて良好な水準を維持しているほか、各種の調査等によれば、足もとの倒産や廃業の増加は、金利の上昇を主因とするものではないとの認識を示した。別の一人の委員は、超長期の投資案件を抱える企業や中小企業の中には、利払い負担が厳しい先もあるとみられるが、産業界全体としては、現在の堅調な経営環境が金利負担増を吸収する面も大きいと付け加えた。
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そのうえで、この委員は、利上げペースが急激でなければ、企業業績に与えるインパクトを過度に心配する必要はないと述べた。この間、ある委員は、米国における関税の消費者物価への転嫁の状況を見極める意味でも、今回は政策金利を維持することが望ましく、こうした判断によってビハインドザカーブの懸念が高まるとは考え難いと述べた。別の一人の委員は、物価の上振れリスクは高まっているとはいえ、毎回の会合で利上げを必要とするほどではなく、次回会合までの政策金利は現状維持とすることが適当との認識を示した。一方、ある委員は、今次会合で、政策金利を 1.0% 程度に引き上げることが望ましいとの見解を示した。この委員は、「物価安定の目標」は概ね達成されており、今年、海外金利環境に変化が生じた場合には、意図せざるビハインドザカーブが生じるリスクがあると指摘したうえで、わが国の実質政策金利は世界最低水準であり、為替市場も実質金利差に着目するだけに、フォワードルッキングな点からも早めに大幅なマイナスの実質政策金利の調整を行う必要があると述べた。先行きの金融政策運営について、委員は、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を
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引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適当との認識で一致した。そのうえで、2% の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していくとの考え方を共有した。今後の金融緩和度合いを調整していくペースについて、大方の委員は、特定のペースを念頭に置かずに、経済・物価・金融情勢を丁寧に点検しながら、毎回の決定会合において、適切に判断していくことが望ましいとの認識を示した。このうちの一人の委員は、自然利子率の水準は、短期金利の変化に対する経済・物価・金融面の反応を探りながら確認していくしかないが、そのことは利上げのペースがゆっくりになることを意味しているわけではなく、そのペースは、今後もこうした作業を続けていく結果として決まってくるとの見解を述べた。ある委員は、現状の金融環境は、足もとの円安の進行を踏まえると、まだ相当に緩和的であると指摘しつつ、物価の基調は着実に 2% に近づいており、今後も金融緩和度合いの調整を適切なタイミングで行う必要があると述べた。一人の委員は、実体経済が過熱し、極端なインフレに陥ることは考え難いことなどを踏まえると、足もと、ビハインドザカーブのリスクが顕著になっているとまでは言えないが、注意深く適時の政策運営を図っていかなければならない度合いは高まっていると述べた。
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別のある委員は、わが国にとって物価対策が焦眉の急である中、利上げの影響の検証にあまり長い時間を掛け過ぎずに、次の利上げのステップにタイミングを逃さず進むことが必要であると述べた。一人の委員は、利上げの企業・家計行動への影響をヒアリング情報で確認し、中立金利と比べた政策金利の現在地を探りつつ、数か月に一度のペースで利上げを進めることが適切であるとの認識を示した。そのうえで、この委員は、最近の円安進行や長期金利の上昇については、インフレ期待等、ファンダメンタルズが反映されている面も大きいとの見方を示したうえで、これに対する金融政策面の処方箋は、適時適切な利上げに尽きると指摘した。委員は、今後の政策運営に関し、中立金利の考え方についても議論した。多くの委員は、展望レポートの見通し期間後半には、基調的な物価上昇率が「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移することが見込まれており、その頃には政策金利も中立金利に大体近づいていることが望ましいとの見解を示した。そのうえで、多くの委員は、中立金利の水準を事前に特定することは難しく、今後とも、利上げの都度、経済・物価面の影響を丁寧に確認しながら、その水準を探っていく必要があると指摘した。このうちの一人の委員は、中立金利の水準を探っていく際には、統計データだけではなく、企業からのヒアリン
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グ情報を通じて、利上げによる企業や家計の支出行動の変化を確認していくことが重要であると付け加えた。ある委員は、中立金利は理論的には重要な概念であるものの、わが国の場合、長く続いたデフレ期のデータから分析された推計値の有効性には議論の余地があるほか、日本で中立金利を推計する際には、米国のような大国の前提が成立しにくく、米国を中心とした海外の金利環境の影響を受けやすい点にも留意が必要との認識を示した。この間、別のある委員は、中立金利の推計値だけで政策を判断するものではないことは当然としつつも、物価安定目標の実現が近づく中、これが議論の対象になることも増えてくると考えられるため、必要な工夫を加えつつ、中立金利に関する対外的な情報発信を続けることが望ましいと述べた。委員は、最近の長期金利の動向とそれを踏まえた日本銀行の対応についても議論した。多くの委員は、最近の長期金利の上昇は、基調的な物価上昇率の高まりに伴う予想短期金利の上昇と、タームプレミアムの拡大の双方が影響しているとの認識を示した。このうちの何人かの委員は、財政政策に対する市場の見方がタームプレミアムの拡大につながっている可能性を指摘した。ある委員は、過去数年の長期金利の上昇は、国債市場が正常化し、物価安定目標の実現を織り込んでいく過程と捉えられるが、ここ 2 週間程度の動きは一方的なスティープ化であり、注意が必要であると述べた。
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何人かの委員は、市場の流動性が低い超長期債市場では、年度末が近いこともあって金利が大幅に上昇するなど、より大きな影響が出ていると指摘しつつ、こうした動きが国債市場全体に波及することがないかどうか、引き続き注視する必要があるとの認識を示した。この間、ある委員は、本行の国債保有に伴う長期金利の押し下げ効果(ストック効果)が、財政やインフレ等によるリスクプレミアムの押し上げを一部相殺しているとの見方を示した。これに関連し、複数の委員は、国債買入れの減額プロセスにおけるストック効果と、増額プロセスにおけるストック効果では、同じ残高を保有していても、期待を通じた効果の現れ方が異なりうることから、その大きさが同一とは限らず、非対称となる可能性もあると指摘した。長期金利の動向を踏まえた国債買入れのオペレーションの考え方について、複数の委員は、安定的な金利形成を促す観点からは、① 長期金利は金融市場において形成されることが基本であるとしつつ、②通常の市場の動きとは異なるような形で、長期金利が急激に上昇するといった例外的な状況においては、機動的にオペ等を実施する、というこれまでの考え方に沿って対応することが適切との見解を示した。一人の委員は、超長期を中心に国債市場のボラティリティが高まっており、今後も需給の不安があるだけに、例外的な状況におい
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ては、国債買入れ額の増額を含めた柔軟な対応の検討も必要であると付け加えた。こうした点に関連して、この委員を含む何人かの委員は、中長期的な財政健全化について市場の信認が維持されることが重要であるとの認識を示した。別の一人の委員は、最近もあったように、本邦債券市場におけるボラティリティの上昇は、その時期や規模の特定はできないとしても、可能性自体は想定できるものであると指摘した。そのうえで、ボラティリティの上昇時に中央銀行にとって重要なことは、市場機能が働いているかの見極めであり、日本銀行に課された役割と政策の目的に沿って、その範囲で用いるべき手段を理解してもらう努力が、引き続き重要であるとの見解を示した。こうした議論を経て、委員は、国債市場の動向については、政府と緊密に連携しつつ、それぞれの役割を踏まえ、しっかりとみていくことが重要との認識を共有した。Ⅳ .政府からの出席者の発言財務省の出席者から、以下の趣旨の発言があった。⚫ 足もとの世界・日本の市場変動について、高い緊張感をもって注視している。⚫ 令和 8年度予算案では、予算全体の公債への依存度を金融危機収束以降、最も低い水準に抑えた。今後、可能な限り早期の予算成立に向けて取り組んでいく。
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⚫ 日本銀行には、政府との緊密な連携のもと、内外の経済情勢等を十分に注視し、市場とのコミュニケーションを図りつつ、2% の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けた適切な金融政策運営を期待する。また、内閣府の出席者から、以下の趣旨の発言があった。⚫ 日本経済は、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられるものの、緩やかに回復している。⚫ 高市内閣は、「責任ある積極財政」の下、総合経済対策に関連する施策の実行など「強い経済」の実現に最大限注力する。⚫ 今後の「強い経済成長」と「安定的な物価上昇」の両立の実現に向け、適切な金融政策運営が行われることが非常に重要である。⚫ 日本銀行には、経済・物価動向の丁寧な点検とともに、日本銀行法、政府・日本銀行の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携し、
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18 2% の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向け、適切な金融政策運営を期待する。Ⅴ .採決1 .金融市場調節方針以上の議論を踏まえ、議長から、委員の多数意見を取りまとめるかたちで、金融市場調節方針について、以下の議案が提出された。金融市場調節方針に関する議案(議長案) 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとすること。記無担保コールレート(オーバーナイト物)を、 0.75%程度で推移するよう促す。 これに対して、高田委員からは、「物価安定の目標」は概ね達成されており、海外経済が回復局面にあるもと、国内物価の上振れリスクが高いとして、以下の議案が提出された。金融市場調節方針に関する議案(高田委員案) 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとすること。記無担保コールレート(オーバーナイト物)を、1.0%程度で推移するよう促す。 金融市場調節方針に関する議案(高田委員案)は、採決の結果、反対多数で否決された。採決の結果賛成:高田委員反対:植田委員、氷見野委員、内田委員、野口委員、中川委員、田村委員、小枝委員、増委員金融市場調節方針に関する議案(議長案)は、採決の結果、賛成多 19
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数で決定された。採決の結果賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、野口委員、中川委員、田村委員、小枝委員、増委員反対:高田委員2 .対外公表文(「当面の金融政策運営について」)議長から、対外公表文(「当面の金融政策運営について」<別紙>)が提案され、採決に付された。採決の結果、全員一致で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。Ⅵ .「経済・物価情勢の展望」の検討続いて、「経済・物価情勢の展望」の「基本的見解」の文案が検討され、多数意見が形成された。これに対し、高田委員からは、① 物価の見通しについて、「基調的な物価上昇率を含め、消費者物価は既に概ね「物価安定の目標」に達する水準にあると考えられる」とすること、② リスク要因について、「各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向、企業の賃金・価格設定行動、金融・為替市場の動向などがあるが、今年は、海外環境が回復に向けた転換局面と位置付けられることから、国内物価への波及に関し上振れリスクを展望する」とすること、などを内容とする議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。
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採決の結果賛成:高田委員反対:植田委員、氷見野委員、内田委員、野口委員、中川委員、田村委員、小枝委員、増委員田村委員からは、① 消費者物価の基調的な上昇率の見通しについて、「2026年度入り後以降、「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる」とすること、② 中長期的な予想物価上昇率について、「緩やかに上昇してきており、 2% 程度で推移している」とすること、を内容とする議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。
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20 採決の結果賛成:田村委員反対:植田委員、氷見野委員、内田委員、野口委員、中川委員、高田委員、小枝委員、増委員議長から、会合における多数意見を取りまとめるかたちで、「基本的見解」の議案が提出された。採決の結果、賛成多数で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。また、背景説明を含む全文は、1月26日に公表することとされた。採決の結果賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、野口委員、中川委員、小枝委員、増委員反対:高田委員、田村委員Ⅶ .議事要旨の承認議事要旨(2025年12月18 、19日開催分)が全員一致で承認され、1月28日に公表することとされた。以上 21 2026年1月23日日本銀行 当面の金融政策運営について 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成8反対1)(注)。 無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0. 75%程度で推移するよう促す。 以上
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(注)賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、野口委員、中川委員、田村委員、小枝委員、増委員。反対:高田委員。高田委員は、「物価安定の目標」は概ね達成されており、海外経済が回復局面にあるもと、国内物価の上振れリスクが高いとして、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促すとする議案を提出し、反対多数で否決された。別紙