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日本銀行議事要旨2026年6月19日

金融政策決定会合議事要旨(4月27、28日開催分)

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2026.6.19日本銀行 政策委員会金融政策決定会合議事要旨(2026年4月27、28日開催分) 本議事要旨は、日本銀行法第 20 条第 1 項に定める「議事の概要を記載した書類」として、2026年6月15、16日開催の政策委員会・金融政策決定会合で承認されたものである。 公表時間6月19日(金) 8 時50分 本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合(引用は含まれません)は、予め日本銀行政策委員会室までご相談ください。引用・転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。 1

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(開催要領)1 .開催日時:2026年4月27日(14:00~15:59)4月28日( 9:00 ~11:57)2.場所:日本銀行本店3 .出席委員:議長植田和男(総裁)氷見野良三(副総裁)内田眞一(〃)(注)中川順子(審議委員)高田創(〃)田村直樹(〃)小枝淳子(〃)増一行(〃)浅田統一郎(〃)(注)内田委員は、電話会議により出席。4 .政府からの出席者:財務省前田努大臣官房総括審議官(27日)中谷真一財務副大臣(28日)内閣府林幸宏内閣府審議官(27日)水田豊大臣官房審議官(経済財政運営担当)(28日 9:00~9:13 )城内実経済財政政策担当大臣(28日 9:14~11:57)(執行部からの報告者)理事清水誠一理事神山一成理事諏訪園健司理事中村康治企画局長奥野聡雄企画局政策企画課長井出穣治金融機構局長鈴木公一郎金融市場局長峯岸誠調査統計局長川本卓司調査統計局経済調査課長須合智広国際局長近田健(事務局)政策委員会室長福田英司政策委員会室企画役三浦幸大政策委員会室企画役補佐梶谷勉企画局企画役八木智之企画局企画役北原潤企画局企画役伊藤雄一郎 2

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Ⅰ .金融経済情勢に関する執行部からの報告の概要1 .最近の金融市場調節の運営実績金融市場調節については、前回会合(3月18 、19日)で決定された金融市場調節方針(注)に従って運営し、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.726~0.728% のレンジで推移した。この間、長期国債の買入れについては、2026年3月は月間2.9 兆円程度の買入れを行った。2026年4月は、2025年6月の会合で決定された減額計画に沿って、月間の買入れ額を2,000 億円程度減額し、月間 2.7 兆円程度の買入れを行った。2 .金融・為替市場動向短期金融市場では、翌日物金利のうち、無担保コールレートは0.75% 程度で推移した。G C レポレートは、無担保コールレート並みの水準で推移した。ターム物金利をみると、短国レート( 3 か月物)は、概ね横ばいとなった。わが国の株価( T O P I X )は、米欧の株価に連れて上昇したが、原油価格上昇に伴う交易条件の悪化などが意識されるもとで、上昇幅は米欧の株価対比小幅となった。長期金利(10年物国債金利)は、緊迫した中東情勢によるインフレ圧力の高まりや、不確実性を意識した投資家の様子見姿勢の強まりなどから、上昇した。国債市場の流動性指標をみると、総じて改善方向の動きが継続している。

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為替相場をみると、円の対ドル相場は概ね横ばいとなった一方、円の対ユーロ相場では、円安方向の動きとなった。3 .海外金融経済情勢海外経済は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。米国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば堅調な成長を維持している。欧州経済は、一部に弱めの動きもみられるが、内需を中心に底堅さを維持している。中国経済は、消費に力強さを欠きつつも、輸出の増加などに支えられて、このところ持ち直している。中国以外の新興国・資源国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに改善している。

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(注)「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、 0.75%程度で推移するよう促す。」 3

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先行きの海外経済は、当面、中東情勢等の影響が下押し圧力となるものの、その後は、中東情勢の影響が和らぐとの前提のもとで、グローバルな A I 関連需要にも支えられて、緩やかな成長を続けると考えられる。先行きの見通しを巡っては、当面、中東情勢の今後の展開と、それが国際金融市場や世界経済に与える影響について注意が必要なほか、引き続き各国の通商政策の影響や A I 関連のグローバルな需要動向などについて、不確実性が高い。海外の金融市場をみると、米国とイランの停戦交渉の進展期待などを受けて、市場センチメントは幾分改善しているものの、先行きの不透明感が意識された状況が続いている。米国や欧州の長期金利は、緊迫した中東情勢によるインフレ圧力の高まりと景気後退の双方が意識されるもと、概ね横ばいとなった。米国や欧州の株価は、中東情勢の緊迫化を受けて下落する場面もみられたが、A I 関連の好調さや米国とイランの停戦交渉の進展期待などから、期間を通じてみれば、上昇した。この間、新興国通貨は、米国・イラン間の一時停戦合意を受けた市場センチメントの改善を背景に、上昇した。原油価格は、事実上のホルムズ海峡封鎖が続く中で、引き続き高値圏で推移した。4 .国内金融経済情勢( 1 )実体経済わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。

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先行きについては、当面は、グローバルなAI関連需要の堅調さや政府による各種施策が下支えとなるものの、物流の停滞による生産調整の動きや、エネルギー・原材料価格の高騰による交易条件悪化が下押しに作用することから、景気はいったん減速すると見込まれる。輸出は、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。先行きは、グローバルなAI関連需要の堅調さは情報関連や資本財を中心に押し上げ要因となる一方、中東情勢の不安定化を受けて、中東向けの自動車輸出が減少するほか、素材産業の稼働率低下も関連財輸出の下押しに作用することから、当面は、横ばい圏内の動きを続けると考えられる。鉱工業生産は、やや長い目でみれば、横ばい圏内の動きを続けている。先行きは、グローバルな A I 関連需要の堅調さや経済対策にも支えられた設備投資需要の底堅さは下支え要因となるものの、中東情勢の不安定化に伴う素材産業や輸送機械の生産調整が下押し要因として作用することから、全体としては横ばい圏内の動きを続けると見込

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まれる。企業収益は、製造業において米国の関税政策による下押しの影響がみられるが、全体としては高水準を維持している。業況感は、中東情勢の影響を受けつつも良好な水準で推移している。こうしたもとで、設備投資は、緩やかな増加傾向にある。先行きの設備投資は、既往の投資案件の受注残を解消する動きが下支えに作用するものの、エネルギー価格上昇を受けた企業収益の悪化や建設コストの上昇による下押し圧力が強まってくることから、増勢は徐々に鈍化していく可能性が高い。個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。消費活動指数(実質・旅行収支調整済)をみると、10 ~12月に小幅に増加したあと、1 ~ 2月の 10 ~12月対比も、若干の増加となるなど、このところ緩やかな増加傾向にある。企業からの聞き取り調査や業界統計、高頻度データに基づくと、3月以降の個人消費は、前月から増加しているとみられ、中東情勢による悪影響が本格的に顕在化している様子は、これまでのところ窺われないが、先行きの物価上昇を予想する消費者による前倒し需要が一部に影響している可能性には留意する必要がある。消費者マインドは、食料品価格の上昇率低下や政府によるエネルギー負担緩和策を背景に改善してきたが、足もとでは、不安定な中東情勢やガソリン価格上昇を受けて急激に悪化している。

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先行きの個人消費は、当面は、既往の経済対策や燃料油補助金の再開といった施策は下支えとなるものの、エネルギー価格を中心とした物価上昇による実質購買力の低下を主因に、減速した状態が続く可能性が高い。労働需給は、引き締まった状態が続いている。そうしたもとで、雇用・所得環境は、緩やかに改善している。就業者数は、伸び率が低下している。一人当たり名目賃金は、振れを伴いつつも、着実な上昇を続けている。先行きの雇用者所得は、振れを伴いつつも、当面、現状程度のペースで着実な増加を続けると見込まれる。物価面について、商品市況をみると、原油価格は中東情勢の不安定化を背景に急激かつ大幅に上昇したあと、足もとでは幾分値を戻しているが、きわめて大きな振れを伴いつつ高値圏での推移が続いている。銅価格も、大幅に上昇したあと、高値で揉み合いとなっている。この間、食料の市況価格は横ばい圏内で推移している。国内企業物価の前年比は、既往の原油価格下落や米などの食料品価格上昇ペースの鈍化を主因に低下傾向にあったが、足もとでは中東情勢を受けた石油・石炭製品や化学製品の値上がりを主因に、上昇率がはっきりと高まって

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いる。企業向けサービス価格(除く国際運輸)の前年比は、人件費上昇等を背景に高めの伸びを続けているが、前年度にみられた値上げの一巡などから上昇率が低下傾向にあり、足もとでは 2% 台後半となっている。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響もあって 2% を上回って推移してきたが、足もとでは、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、1%台後半まで低下している。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。先行きの消費者物価の前年比は、目先は米などの食料品価格の上昇率低下や政府によるエネルギー負担緩和策は下押し要因となるものの、中東情勢を受けた原油価格等の上昇の影響が強まっていくのに伴い、再びプラス幅を拡大していくとみられる。( 2 )金融環境わが国の金融環境は、緩和した状態にある。実質金利は、マイナスで推移している。企業の資金調達コストは、上昇している。資金需要面をみると、経済活動の回復や企業買収の動きなどを背景に、増加している。資金供給面では、企業からみた金融機関の貸出態度は、緩和した状態にある。C P ・社債市場では、良好な発行環境となっている。こうした中、銀行貸出残高の前年比は、5%台前半となっている。C P ・社債計の発行残高の前年比は、6% 台半ばとなっている。企業の資金繰りは、良好である。

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企業倒産は、横ばい圏内で推移している。この間、マネーストックの前年比は、2% 程度となっている。( 3 )金融システムわが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。大手行の収益は、国内貸出金利息を中心とする資金利益の増加などを背景に、増加している。この間、信用コストは、低水準となっている。そうしたもとで、自己資本比率は、引き続き規制水準を十分に上回っている。地域銀行の収益は、資金利益の増加などを背景に、増加している。この間、信用コストは、低水準となっている。そうしたもとで、自己資本比率は、引き続き規制水準を十分に上回っている。金融循環面では、金融システムレポートで示しているヒートマップを構成する全14 指標のうち12 指標がトレンドから大きな乖離のない状態となっている。金融ギャップは、ひと頃と比べてプラス幅が縮小

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した状態が続いており、現在の金融活動に大きな不均衡はみられていない。ただし、不動産価格や株価といった資産価格の動向には引き続き留意が必要であり、今後も、金融活動が実体経済活動から大きく乖離することがないか、注視する必要がある。また、今後の中東情勢の展開や、 A I 関連投資の収益性、海外ノンバンク部門の動向等が、様々な経路を通じて金融システムに及ぼす影響については丁寧にみていく必要がある。Ⅱ .金融経済情勢と展望レポートに関する委員会の検討の概要1 .経済・物価情勢の現状国際金融資本市場について、委員は、中東情勢の緊張緩和への期待感から株価が反発するなど、市場のセンチメントは幾分改善しているものの、先行きの不透明感が意識された状況が続いているとの見方で一致した。一人の委員は、3月の段階では中東情勢の先行きが全く見通せなかったが、最近では停戦に向けた動きもあり、ある程度予測できるリスクに転化したと受け止められるようになったことが、多くの国々の株価上昇につながっていると指摘した。海外経済について、委員は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長しているとの認識を共有した。何人かの委員は、世界経済は、A I 関連需要の拡大や拡張的な財政政策等により、堅調に推移していると指摘した。

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このうちの一人の委員は、原油高による経済の下押し圧力はあるものの、多くの国で拡張的なマクロ経済政策が採用されていることを踏まえると、本年の世界経済は回復に向けた転換局面にあると述べた。ある委員は、中東へのエネルギー依存度が高いアジア経済の動向をとくに注視する必要があるが、 P M Iサプライヤー納期指数等の指標からは、グローバルサプライチェーンは、今のところ大きな影響を受けていないようにみえるとの認識を示した。米国経済について、委員は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば堅調な成長を維持しているとの認識で一致した。ある委員は、AI 関連需要の拡大や企業・家計における関税負担の緩やかな転嫁といった要因に加え、最近では潜在成長率も上昇しているとみられ、経済成長が底上げされているとの見方を示した。欧州経済について、委員は、一部に弱めの動きもみられるが、内需を中心に底堅さを維持しているとの見方を共有した。

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中国経済について、委員は、消費に力強さを欠きつつも、輸出の増加などに支えられて、このところ持ち直しているとの見方を共有した。中国以外の新興国・資源国経済について、委員は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに改善しているとの認識を共有した。わが国の金融環境について、委員は、緩和した状態にあるとの認識で一致した。複数の委員は、長期金利は大きく上昇しているが、経済活動に及ぼす影響が大きい短中期ゾーンの金利は、実質ベースでみて引き続きはっきりとしたマイナスで推移しており、金融環境は緩和的な状況が続いているとの認識を示した。このうちの一人の委員は、企業等の資金需要は増加を続けており、3月短観でみても、金融機関の貸出態度は引き続き積極的であると指摘した。別の一人の委員は、マイナスの実質金利が続いていることに伴い貸出に動意がみられていることや、不動産を中心に資産価格が上昇していることに注意が必要であると述べた。ある委員は、前回の利上げから 4 か月が経過したが、企業ヒアリングや短観、貸出動向アンケート調査等をみると、金融緩和の度合いが縮小し、景気刺激効果が弱まった気配は、現時点でほとんどみられていないとの認識を示した。この間、一人の委員は、中東情勢の金融環境への影響はこれまでのところ限定的で、わが国の金融システムは、総じて安定性を維持しているとの見解を示した。

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以上のような海外の金融経済情勢とわが国の金融環境を踏まえて、わが国の経済・物価情勢に関する議論が行われた。わが国の景気について、委員は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復しているとの認識を共有した。複数の委員は、石油備蓄の存在に加えて、原材料の代替調達に向けた各種取り組みが進められていることもあり、中東情勢の影響は、これまでのところ、輸出や設備投資、個人消費などのハードデータには大きく表れていないとの認識を示した。このうちの一人の委員は、企業や家計のマインド指標は、原油価格上昇の影響で慎重化しているものの、政府の呼びかけなどもあり、国内の過剰な反応や支出活動の大幅な変動は抑制されていると指摘した。輸出や鉱工業生産について、委員は、基調としては横ばい圏内の動きを続けているとの認識で一致した。設備投資について、委員は、企業収益が全体としては高水準を維持し、業況感も中東情勢の影響を受けつつも良好な水準で推移しているもとで、緩やかな増加傾向にあるとの認識を共有した。ある委員は、

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3月短観の結果等をみると、企業収益の好調さが続くもと、今年度の設備投資計画も堅調であり、企業部門は、これまでのところ 1月の展望レポートの見通しに沿った動きであると指摘した。個人消費について、委員は、物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移しているとの認識で一致した。一人の委員は、家計のセンチメントは、原油価格上昇の影響で慎重化しているものの、これまでの賃金上昇と今後の上昇継続期待に加え、先行きの物価上昇を見込んだ支出前倒しの動きもあり、足もとの消費には強さがみられるとの見方を示した。雇用・所得環境について、委員は、緩やかに改善しているとの見方を共有した。多くの委員は、春季労使交渉(春闘)における連合の集計結果をみると、大企業だけでなく、相対的に規模が小さい企業においても、3% 台半ばのベースアップ率となっており、これまでのところ、幅広い企業でしっかりとした賃上げが実現していると指摘した。このうちのある委員は、4月の支店長会議では、今後の中東情勢次第では中小・零細企業の賃上げスタンスが慎重化する可能性があるとの声も一部に聞かれたが、多くの先は、人材確保の必要性や最低賃金上昇の影響から、昨年並みの上昇を見込んでいるとみられると付け加えた。

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物価面について、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響もあって2% を上回って推移してきたが、足もとでは、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、1%台後半となっているとの認識で一致した。ある委員は、期初の値上げについて、報道等によれば、食料品は比較的落ち着いているものの、人件費や物流費の上昇を販売価格に転嫁する動きが続いているほか、外食や公共交通などでも値上げの動きが広がってきており、企業の積極的な価格設定行動が続いていることが窺われると述べた。複数の委員は、3月の輸入物価の前年比プラス幅が拡大しているだけでなく、エネルギー関連を主因に国内企業物価の伸び率が拡大しているほか、企業向けサービス価格も外航貨物輸送の伸びが目立つなど、中東情勢の影響は、既に国内の物価面に表れ始めているとの見方を示した。一人の委員は、米を使わない加工食品の価格上昇率は、足もと若干落ち着いたとはいえ、依然 5% 程度の高い伸びを示していると述べたうえで、この先、輸入原材料の高騰に伴い、再び上昇に向かう可能性が高いとの認識を示した。この間、予想物価上昇率について、委員は、緩やかに上昇しているとの見方で一致した。ある委員は、中東情勢の緊迫化以降、3

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月短観における企業の物価見通しや市場参加者のインフレ期待を示すブレーク・イーブン・インフレ率など、中長期の予想物価上昇率は幾分上昇しており、今後の動向を注視する必要があると指摘した。別の一人の委員は、企業や家計の予想物価上昇率は、既に概ね 2% に達しているとの認識を示したうえで、ここ数か月、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比伸び率が縮小してきた中にあっても、予想物価上昇率が低下しなかったことは、デフレマインドからインフレマインドへの転換を端的に示しているとの見方を示した。2 .経済・物価情勢の展望2026年4月の「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)の作成にあたり、最初に、委員は、中心的な見通しの前提について議論した。委員は、中東情勢を巡っては、なお不透明な状況が続いており、今後の帰趨や、それがわが国の経済・物価に及ぼす影響について様々な見方が存在する中にあっては、委員の間である程度議論の前提を揃えることが、日本銀行としての中心的な見通しを検討し、その結果を対外的にわかりやすく伝える観点から望ましいとの認識で一致した。そのうえで、委員は、今回の展望レポートの中心的な見通しは、今後、中東情勢の影響が和らぐもとで、原油価格が、先物市場で想定されているようなかたちで下落し、サプライチェーンの大規模な混乱が生じないことを共通の前提として作成することが適当であるとの認識を共有した。

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また、委員は、今後の中東情勢の帰趨次第では、経済・物価の見通しが大きく変化する可能性があるとの認識も共有した。次に、委員は、これらの前提のもとで、経済情勢の先行きの中心的な見通しについて議論を行った。委員は、わが国経済について、①2026年度は、原油価格上昇に伴う交易条件の悪化などから、成長ペースは減速するものの、企業部門における高水準の収益や政府による各種施策、緩和的な金融環境などが経済を下支えするため、緩やかな成長を続ける、②2027年度以降は、原油高のマイナスの影響が減衰し、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まっていくことから、成長率を緩やかに高めていくとの認識を共有した。中東情勢がわが国経済に及ぼす影響について、委員は、原油価格の大幅な上昇、とりわけドバイ原油の高騰は、中東産の原油への依存度が高いわが国の交易条件の悪化につながり、エネルギーや原材料の価格上昇を通じて、企業収益や家計の実質所得に対する下押し要因として作用するとの見方を共有した。一方で、委員は、企業部門における高水準の収益や、しっかりとした賃上げの実現に加え、政府による各

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種の負担緩和策や緩和的な金融環境などを踏まえると、中東情勢に伴う下押し圧力に対して、わが国経済はある程度の耐性を有しているとの認識を共有した。この点に関し、ある委員は、企業によるコスト増加分の価格転嫁や、ガソリン補助金等を通じた家計への所得移転策などによって、交易条件悪化による負担増は、企業・家計・政府の各部門に分散されていくとの見方を示した。別のある委員は、石油・化学産業では輸入物価が大幅に上昇している一方、IT産業では強いグローバルの需要を背景に円建ての輸出価格が上昇するなど、産業別の違いが生じる中、わが国の交易条件に及ぼす影響については、全体の状況をみていく必要があると述べた。別の一人の委員は、供給制約への不安は根強いが、過去の原油価格高騰時の経験を振り返ると、わが国は、購入価格の引き上げにより量を確保してきたとの見解を示した。わが国の輸出や鉱工業生産について、委員は、グローバルな A I 関連需要の強さが続くものの、中東情勢の影響により、中東向け自動車輸出等に下押し圧力がかかることから、当面は横ばい圏内の動きになるとの見方で一致した。その後は、中東情勢の影響が和らぎ、海外経済の緩やかな成長が続く中、緩やかに増加していくとの認識を共有した。

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設備投資について、委員は、交易条件悪化の影響を受けて増勢は鈍化すると見込まれるが、既往案件の受注残の存在に加え、政府の経済対策や緩和的な金融環境が下支え要因として作用するとの認識を共有した。その後は、人手不足対応の省力化投資や能力増強投資に加え、貿易構造やサプライチェーンの変容に適合するための投資案件なども押し上げ要因となり、増加傾向を維持するとの見方を共有した。ある委員は、交易条件の悪化に対し、高水準の企業収益は設備投資を進めるうえでのバッファーになるとみているが、米国の通商政策や足もとの中東情勢が業種ごとに異なる影響を及ぼし得る中、今後、個別企業の投資活動にどのような変化が生じるかを確認していく必要があると述べた。個人消費について、委員は、賃金の増加に加えて、政府による各種施策を通じた家計への所得移転が下支え要因となるものの、エネルギーを中心とした物価上昇の影響から、横ばい圏内の動きになるとの認識で一致した。その後は、物価の上昇ペースが徐々に落ち着いていくと見込まれる中、緩やかな増加基調に復していくとの見方を共有した。ある委員は、今後、仮にガソリンの節約が呼びかけられるようになった場合には、小口の配送に影響が生じ、E コマースの活動を下押しする可能性がある点には留意を要すると指摘した。

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雇用者所得について、委員は、当面、現状程度のペースで増加を続けたあと、見通し期間中盤には、企業収益の悪化からややタイムラグを伴って、いったん伸びがやや低下するとの認識で一致した。また、見通し期間終盤にかけては、企業収益の回復を反映して、増勢も幾分強まっていくとの見方を共有した。ある委員は、中東情勢の影響を受ける中、企業部門に蓄積された高水準の企業収益が、賃上げを進めるうえでのバッファーとして、どの程度機能し得るかに注目していると述べた。一人の委員は、中東情勢に伴う収益悪化により、とくに中小・零細企業において、従業員の終身雇用を守ることを優先し、賃上げを控える動きが生じないかどうかには留意が必要との認識を示した。こうした議論を経て、委員は、中心的な成長率の見通しは、1月の展望レポート時点と比べると、原油価格の大幅な上昇を受けて、2026年度が下振れているとの認識を共有した。続いて、委員は、物価情勢の先行きの中心的な見通しについて議論を行った。

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委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格上昇が、エネルギー価格や財価格を中心に押し上げ方向に作用することから、2026年度は 2% 台後半になると予想され、その後は、原油高の影響が減衰していくもとでプラス幅を縮小していき、2027年度は 2% 台前半、2028年度は 2% 程度になるとの認識を共有した。また、委員は、この間、人手不足感の強い状況が続く中で、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくとの見方で一致した。そのうえで、大方の委員は、消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まっていくと予想され、2026年度後半から2027年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となり、その後も同程度で推移するとの認識を共有した。これに対して、一人の委員は、物価が上がらないノルムが解消し、賃金が上昇する中で、基調的な物価上昇率も含め、消費者物価は、既に概ね「物価安定の目標」に達する水準にあるとの認識を示した。

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また、別のある委員は、春闘における 3年連続での高い賃上げ率の実現に加え、特殊要因を除いた消費者物価の前年比が2% 台の伸びを続けていることや、中長期の予想物価上昇率が概ね 2% に達していることを踏まえると、基調的な物価上昇率は、概ね 2% 程度に達したと判断して良い状況にあるとの見解を示した。消費者物価の見通しについて、多くの委員は、原油は、様々な産業の上流から下流にかけて広く原材料として使われているため、原油価格の上昇は、エネルギー価格だけでなく、幅広い財を中心に価格を押

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し上げるとの見方を示したうえで、現在のわが国では、企業の賃金・価格設定行動が積極化していることなどから、原油価格上昇を起点とする価格転嫁のスピードは、これまでよりも速くなっている可能性が高いとの認識を示した。このうちの一人の委員は、 3月短観をみると、製造業、非製造業とも、販売価格判断 D I が上昇しており、仕入価格の上昇を速やかに販売価格に転嫁しようとする姿勢が窺われると付け加えた。別のある委員は、事業者向け電力の価格設定フォーミュラの見直しや化学産業におけるサーチャージ制の導入、中小受託取引適正化法の施行等など、最近の取引実務や法制度の変更も、価格転嫁を速める方向に作用していると指摘した。また、この委員は、原油高による経済下押しがあるとしても、その実現には時間を要するほか、海外のマクロ環境のサポートもあるだけに、時間軸上、まずは物価・インフレ予想の上昇が生じる可能性が高いと述べた。こうした議論を経て、委員は、消費者物価(除く生鮮食品)の中心的な見通しは、前回の展望レポート時点と比べると、原油価格上昇の影響から、2026年度が大幅に上振れているほか、2027年度も幾分上振れているとの認識を共有した。

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基調的な物価上昇率について、何人かの委員は、その水準が 2% に近づいている中、「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点からは、2% 程度の水準で定着するかどうかも確認していく必要があるとの認識を示した。中東情勢が物価の基調に及ぼす影響について、ある委員は、原油価格が迅速に元に戻ればあまり影響はないと考えられるが、原油等の供給回復が緩やかとなる今回の展望レポートの想定を前提にすると、景気減速に伴う物価の下押し圧力と、予想物価上昇率の上昇を通じた上押し圧力の両方が考えられるとの見方を示した。一人の委員は、わが国のインフレ予想は適合的に形成される傾向があることを踏まえると、中東情勢を受けた今年度の物価上昇は、基調的な物価上昇率の上振れにつながり得ると指摘した。別のある委員は、燃料費の高騰で国内物流費が更に上昇することは避けられず、これによって基調的な物価上昇率が 2% に届く時期が早まることが考えられると述べた。次に、委員は、経済・物価の見通しのリスク要因(上振れ・下振れの可能性)について議論を行った。委員は、リスク要因としては様々なものがあるが、当面は、今後の中東情勢の展開が、金融・為替市場やわが国の経済・物価に及ぼす影響をとくに注視する必要があるとの認識で一致した。そのうえで、中東情勢を巡るリスクとして、委員は、①中東情勢を

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巡る混乱が長期化し、原油価格が高止まりするリスク、 ② サプライチェーンの大規模な混乱が生じ、わが国企業の生産活動に大きな影響をもたらすリスク、の 2 点を挙げた。その一方で、委員は、こうしたシナリオとは逆に、中東情勢を巡る緊張が急速に和らぎ、市場の見方以上に原油価格が速いスピードで下落する可能性もあると指摘した。委員は、原油価格が高止まりした場合には、交易条件の悪化などを通じた経済へのマイナスの影響が大きくなるリスクがある一方、物価面については、上振れリスクの方が大きいとの認識を共有した。ある委員は、戦闘が停止したとしても、ホルムズ海峡が商業的に航行可能になるまでには時間を要するため、原油価格がしばらくの間高止まりするシナリオも視野に入れるべきであると指摘した。別のある委員は、こうしたシナリオが実現した場合には、企業収益や家計の実質所得が大きく下振れることで、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムが弱まる可能性があるものの、実際には、原油価格の上昇は、エネルギー価格だけでなく、幅広い価格において物価を押し上げる上振れリスクの方が大きいとの見解を示した。

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この間、一人の委員は、ロシアによるウクライナ侵攻後の資源価格高騰時と比べると、企業・家計のインフレ予想の高まり、企業の価格設定行動の積極化、労働市場のタイト化といった変化が生じていると指摘したうえで、物価の中心的な見通しが大きく上方修正される中、原油価格が高止まりした場合には、物価の更なる上振れリスクにつながるとの認識を示した。この委員を含む何人かの委員は、わが国のインフレ予想は、米欧と異なり物価目標にアンカーされておらず、実際の物価変動の影響を受けやすいことなどを踏まえると、中長期的な予想物価上昇率や基調的な物価上昇率が 2% を超えて上振れるリスクも懸念されると述べた。別の一人の委員は、長年、脱デフレに向け金融財政政策が総動員されてきたもとで、政府の各種施策が制度として定着し、賃上げ・価格転嫁の慣性が働く中で、原油価格上昇により物価が更に上振れるリスクが存在すると指摘した。委員は、サプライチェーンの大規模な混乱が生じた場合には、経済の大幅な下振れにつながる可能性があり、これが基調的な物価上昇率を下押しする方向に作用することも考えられる一方、供給制約が顕在化すると、物価の上振れリスクが一段と高まるとともに、基調的な物価上昇率の押し上げにもつながる可能性があるとの認識を共有した。

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ある委員は、サプライチェーンへの影響については、原油などの供給制約の状況とその長さに依存するだけでなく、中東諸国に損害が広がることに伴うその他の資源供給を通じた影響も相当にあると述べた。

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一人の委員は、石油化学製品の量的制約が生じる可能性もあり、これが経済をどこまで下押しするのかを見通すことは難しいが、基幹産業である自動車や、データセンターの設営など A I 関連にも影響が及ぶかどうかについても注意してみていく必要があると指摘した。別の一人の委員は、大規模な数量制約が長期化するシナリオでは、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムが途切れ、物価の基調が物価安定の目標を大きく下回る可能性もあるとの認識を示した。これに対して、ある委員は、中東情勢の影響が価格面だけでなく数量面にも及び、供給制約が顕在化した場合には、非常に強い物価上押し圧力になるとの見解を示した。委員は、原油高を起点とする物価上昇の二次的波及の捉え方とその程度についても議論した。何人かの委員は、二次的波及という言葉は多義的であり、供給ショックに伴う一時的・部分的な物価上昇が、様々な財・サービスの価格に広く波及していくことや、賃上げ率や予想物価上昇率、あるいは基調的な物価上昇率の上昇につながることなど、様々な意味で使われているほか、波及の有無を判断する尺度についても多様な考え方があると指摘した。

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この点に関し、ある委員は、二次的波及の有無を判断する際には、原材料コストの上昇に直面する企業の収益マージンが改善したり、物価上昇の波及効果から労働生産性を上回るかたちで賃金が上昇するケース、すなわち、物価上昇がユニット・プロフィットやユニット・レーバー・コストの上昇につながるか否かがひとつのポイントになるのではないか、との見方を示した。そのうえで、この委員は、現状、企業収益が高水準にあることを踏まえると、企業がコスト上昇分以上に価格転嫁を進める可能性はさほど高くないと考えられると述べた。これに対し、何人かの委員は、ここ数年、企業の価格設定行動が積極化する中、足もとの原油高に伴うコスト上昇分だけでなく、過去の人件費上昇分も価格転嫁する動きが出てくる可能性は高いと指摘したうえで、こうした動きが広がれば、人々のインフレ期待が上昇し、基調的な物価上昇率も上振れる可能性が高いとの見方を示した。次に、物価上昇の賃金への波及について、何人かの委員は、ここ数年、現実の物価上昇率が 2% を大きく上回る中にあっても、実際の賃上げ率は物価安定目標の2% と概ね整合的な水準で決着していることなどを踏まえると、わが国において、賃金と物価がスパイラル的に上昇していく可能性は高くないとの認識を示した。

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これに対して、何人かの委員は、近年、デフレノルムの解消とともに、物価上昇が賃金に波及する動きが強まっていることを踏まえると、程度問題ではあるが、物価と賃金の上昇率がともに上振れるリスクには留意が必要であるとの認識を示した。別のある委員は、今次局面の金

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融財政環境や価格転嫁・賃上げの動向をみると、第一次石油危機時ほどではないにせよ、賃金と物価の高騰を抑制した第二次石油危機時と異なり、原油価格上昇を起点とした二次的波及が生じやすくなっていると指摘した。こうした議論を踏まえたうえで、一人の委員は、デフレノルムが解消し、足もと基調的な物価上昇率が 2% に近づいてきているが、今回の供給ショックにより、これが更に上振れることがないかどうかが、二次的波及を議論するうえでの重要なポイントであるとの見解を示した。この間、委員は、中東情勢以外の主なリスク要因として、① A I 関連需要を含む海外の経済・物価動向、② 今後の為替相場の変動がわが国の経済・物価に及ぼす影響、③ わが国を巡る様々な環境変化が企業や家計の中長期的な成長期待や潜在成長率に与える影響、の 3 点を挙げた。ある委員は、米国については、本年秋に中間選挙を控える中、現政権の政策運営とその経済への影響に関する不確実性が高いほか、中東情勢の混乱もあって、中国が外需取り込みを企図して輸出を拡大し、欧州やわが国経済に影響を及ぼす可能性にも注意が必要との認識を示した。

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一人の委員は、 1970年代の石油危機を機に省エネ化が進んだことが、その後のわが国経済の構造変化につながったと指摘したうえで、こうした変化は、生産性の向上を通じて潜在成長率に影響を及ぼし得るため、今回の中東情勢の影響で、わが国経済に構造変化のモメンタムが生じるかどうかについて、今後議論していきたいと述べた。リスクバランスについて、委員は、各委員が示したリスク評価を全体として評価すると、2026年度を中心に、経済の見通しについては下振れリスク、物価の見通しについては上振れリスクの方が大きいとの認識を共有した。Ⅲ .金融政策運営に関する委員会の検討の概要以上のような金融経済情勢に関する認識を踏まえ、委員は、金融政策運営に関する議論を行った。次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、多くの委員は、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0 .75% 程度で推移するよう促す」という方針を維持することが適当であるとの見解を共有した。多くの委員は、中東情勢を巡って不透明な状況が続く中、中心的な見通しが実現する確度は、これまでほどは高くないほか、現時点では、経済の下振れリスクと物価の上振れリスクの持続性や両者の関係などについても評価が難しいと指摘したうえで、中東情勢の帰趨や、そ

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れがわが国経済・物価に及ぼす影響を、もう少し確認したいとの認識を示した。このうちの一人の委員は、中東情勢はなお不透明であるが、ひと頃より落ち着いてきており、今後何らかの進展も期待できると述べたうえで、現在は、急いで利上げをしなければならないほど切迫した状況ではないとの見解を示した。ある委員は、既往の食料品価格上昇の剥落等もあって、3月の消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比が引き続き 2% を下回っている中、わが国のインフレ予想もある程度は適合的と考えられることから、今回は現状維持で良いとの認識を示した。別のある委員は、足もと、インフレ抑制を優先した利上げは、雇用・生産などへの悪影響をもたらす可能性が高い一方、現在は利下げできる環境にもないとしたうえで、中東情勢の帰結が不透明であることを踏まえると、金融政策は現状維持が最善であるとの見解を示した。一方、何人かの委員は、今回の決定会合で、政策金利を 1.0%程度に引き上げることが望ましいとの見解を示した。このうちの一人の委員は、中東情勢の影響が小さく短期に止まるとはいえない中、原油価格が上昇するもとでも、株価からみたセンチメントは堅調さを保っているほか、物価上昇に対する企業の価格改定行動は積極化しており、物価の上振れリスクは高いと指摘した。

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そのうえで、この委員は、物価の安定という日本銀行の使命と、国民の暮らしを守り、安心を支える観点から、金融緩和度合いを調整することが適当であるとの見解を示した。ある委員は、「物価安定の目標」が概ね達成されている中、わが国の実質政策金利は群を抜いて世界最低水準にあり、海外発の物価上昇の二次的波及に備えて、マイナスの実質金利の調整を続ける必要があるとの意見を述べた。別の一人の委員は、物価上振れリスクが大きく拡大する中、将来的に金融引き締めを余儀なくされる可能性を考えれば、今のうちから政策金利を中立的な水準に少しでも近づけておくべきであるとの見解を示した。先行きの金融政策運営について、委員は、基調的な物価上昇率が2% に近づいている中、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適当であるとの認識を共有した。何人かの委員は、経済の成長ペースがいったん減速したとしても、基調的な物価上昇率の経路にさほど影響を及ぼさないということであれば、引き続き政策金利を引き上げていくことになるほか、物価の上振れリスクが経済の下振れリスクを大きく上回ると判断される場合にも、利上げの是非が議論の対象になり得るとの見解を

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示した。そのうえで、このうちの一人の委員は、緩和度合いの調整を巡る経路がこれまでよりも複雑化していることを踏まえると、金融政策運営の指針に関して、従来の「経済・物価情勢の改善に応じて」という文言は、このタイミングで変更することが望ましいと付け加えた。金融緩和度合いの調整のタイミングやペースについて、委員は、中東情勢の展開がわが国経済・物価に及ぼす影響を注視したうえで、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討していくことが重要であるとの認識で一致した。多くの委員は、基調的な物価上昇率が、2026年度後半から2027年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となるという見通しが実現する確度が高まっていると判断できれば、これまでと同様、適切なペースで金融緩和の度合いを調整していくことが適当であるとの認識を示した。ある委員は、中心的な見通しに沿って原油の供給回復が見通せるようになれば、従来の利上げペースに戻ることが適切であると述べた。一人の委員は、現在の国内産業では、賃金と物価の強いスパイラルが起こることは考えにくく、また、現在の基調的な物価上昇率からすれば今の時点で慌てる必要はないが、中東情勢の影響による景気減速の明らかな兆候がない限り、早期に利上げに進むべきであるとの見解を示した。

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別のある委員は、潜在成長率が底堅く推移し、わが国経済が緩やかに回復するもとでは、先行き物価上昇に伴い実質金利の低下が生じた場合に、利上げを通じて金利の正常化をより進めていくことが適切であるとの認識を示した。ある委員は、今後、中東情勢が国内経済に及ぼす影響がある程度みえてくることを踏まえると、仮に中東情勢の帰趨が不透明な状況が続き、中心的な見通しが実現する確度が高まらない状況であっても、経済・物価を巡るリスクの大きさや方向次第では、次回以降の決定会合での利上げの判断は十分にあり得るとの認識を示した。この点に関し、別の一人の委員は、経済の下振れリスクの主因が物価上昇である場合、まずは物価の安定に努めて経済の下振れを和らげることが、物価の番人としての日本銀行の使命であると指摘した。何人かの委員は、中東情勢の緊迫した状況が長期化し、原油価格が高止まりするリスクがある場合には、基調物価の上振れを防ぐため、中立金利に向けて、より早く政策金利を引き上げることが望ましいとの認識を示した。このうちの一人の委員は、中立金利までまだ距離があり、今後、数か月に一度のペースで利上げを続ける必要があると指摘したうえで、物価の上振れリスクが高まる場合には、利上げペースを躊躇なく加速する必要があるとの見解を示した。

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この間、ある委員は、サプライチェーンの大規模な混乱が生じ、数量面の制約が深刻化した場合には、賃金と物価の相互参照メカニズムが途切れ、物価の基調が物価安定目標を大きく下回るリスクもあるため、利上げは行わずに緩和的な金融環境を維持することが望ましいとの見解を示した。これに対して、別のある委員は、サプライチェーンの大規模な混乱が生じる場合、物価には大きな上押し、景気には大きな下押し圧力がかかることになるが、この場合の中央銀行の対応は、利上げをやめることではなく、必要に応じ、市場に潤沢に流動性を供給して企業の資金繰りを支えることであると指摘した。こうした議論を経て、委員は、経済の下振れリスクや物価の上振れリスクがともに高まることも考えられるが、金融政策運営においては、とくに、物価上昇率が大きく上振れるリスクが顕在化し、それがその後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、十分に留意する必要があるとの認識を共有した。このほか、ある委員は、円安を阻止するために利上げをすべきとの論調も散見されるが、金融政策は為替ターゲットを目的とするものではなく、変動相場制の下では、為替レートの決定はなるべく市場に任せるべきであるとの見解を示した。

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また、一人の委員は、政策運営の考え方に関する市場との対話について、「利上げ前には日本銀行が必ずシグナルを出す」と受け止められているとすれば、それは好ましくなく、コミュニケーションのあり方を工夫していく必要があると指摘した。以上のような議論を受けて、議長は、執行部に対し、「展望レポート」で、先行きの金融政策運営についてどのように記述することが考えられるか、案を示すよう指示した。執行部からは、① 金融政策運営については、基調的な物価上昇率が 2% に近づいている中、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている、② そのうえで、調整のタイミングやペースについては、中東情勢の展開がわが国経済・物価に及ぼす影響を注視したうえで、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討していく方針である、 ③ 日本銀行は、 2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営していく、と記述することが考えられると報告した。執行部の説明に対し、委員は、執行部の示した案は適当であるとの見解を共有した。

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19 Ⅳ .政府からの出席者の発言内閣府の出席者から、以下の趣旨の発言があった。⚫ 日本経済は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある。⚫ 政府は中東情勢を受けて、緊急的激変緩和措置を講じるとともに、原油や重要物資の安定供給の確保や流通の円滑化等に努めており、経済財政運営に万全を期す。⚫ 強い経済成長と安定的な物価上昇の両立に向け、適切な金融政策運営が重要である。日本銀行には、内外の経済情勢等を十分に注視しつつ、日本銀行法、政府・日本銀行の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携し、2% の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向け、適切な金融政策運営を期待する。また、財務省の出席者から、以下の趣旨の発言があった。⚫ 中東情勢について、政府としては、関係閣僚の緊密な連携のもと、経済活動への影響を最小限に抑えるべく、全力で対応している。⚫ 日本銀行には、政府との緊密な連携のもと、中東情勢がわが国経済に与える影響を含め、内外の経済情勢等を十分に注視し、市場とのコミュニケーションを図りつつ、2% の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けた適切な金融政策運営を期待する。Ⅴ .採決1 .金融市場調節方針以上の議論を踏まえ、議長から、委員の多数意見を取りまとめるかたちで、金融市場調節方針について、以下の議案が提出された。金融市場調節方針に関する議案(議長案)

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次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとすること。記無担保コールレート(オーバーナイト物)を、 0.75%程度で推移するよう促す。 20 これに対して、中川委員からは、中東情勢の不透明感はあるが、経済情勢を踏まえると、緩和的な金融環境の下で、物価の上振れリスクが高いとして、高田委員からは、「物価安定の目標」は概ね達成されており、海外発の物価上昇の二次的波及から国内物価の上振れリスクが既に高まっているとして、田村委員からは、物価上振れリスクが大きく拡大する中、中立金利に少しでも近づけるためとして、それぞれ、以下の議案が提出された。金融市場調節方針に関する議案(中川委員・高田委員・田村委員案) 次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を下記のとおりとすること。記無担保コールレート(オーバーナイト物)を、1.0%程度で推移するよう促す。

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金融市場調節方針に関する議案(中川委員・高田委員・田村委員案)は、採決の結果、反対多数で否決された。採決の結果賛成:中川委員、高田委員、田村委員反対:植田委員、氷見野委員、内田委員、小枝委員、増委員、浅田委員金融市場調節方針に関する議案(議長案)は、採決の結果、賛成多数で決定された。採決の結果賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、小枝委員、増委員、浅田委員反対:中川委員、高田委員、田村委員2 .対外公表文(「当面の金融政策運営について」)議長から、対外公表文(「当面の金融政策運営について」<別紙>)が提案され、採決に付された。採決の結果、全員一致で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。 21

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Ⅵ .「経済・物価情勢の展望」の検討続いて、「経済・物価情勢の展望」の「基本的見解」の文案が検討され、多数意見が形成された。これに対し、高田委員からは、① 経済の見通しについて、「グローバルなマクロ環境のサポートや A I 関連需要の高まりに加えて、国内企業部門で高水準の収益が続いてきたことや、政府による各種施策、緩和的な金融環境などが経済を下支えするため、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けるとみられる」とすること、②物価の見通しについて、「基調的な物価上昇率を含め、消費者物価は既に概ね「物価安定の目標」に達する水準にあると考えられる」とすること、などを内容とする議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。採決の結果賛成:高田委員反対:植田委員、氷見野委員、内田委員、中川委員、田村委員、小枝委員、増委員、浅田委員田村委員からは、 ① 消費者物価の基調的な上昇率について、「「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる」とすること、 ② 中長期的な予想物価上昇率について、「概ね 2% 程度の水準で推移すると考えられる」とすること、などを内容とする議案が提出され、採決に付された。採決の結果、反対多数で否決された。

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採決の結果賛成:田村委員反対:植田委員、氷見野委員、内田委員、中川委員、高田委員、小枝委員、増委員、浅田委員議長から、会合における多数意見を取りまとめるかたちで、「基本的見解」の議案が提出された。採決の結果、賛成多数で決定され、会合終了後、直ちに公表することとされた。また、背景説明を含む全文は、4月30日に公表することとされた。採決の結果賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、中川委員、小枝委員、

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22 増委員、浅田委員反対:高田委員、田村委員Ⅶ .議事要旨の承認議事要旨(2026年3月18 、19日開催分)が全員一致で承認され、5月7日に公表することとされた。以上 23 2026年4月28日日本銀行 当面の金融政策運営について 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成6反対3)(注)。 無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0. 75%程度で推移するよう促す。 以上 (注)賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、小枝委員、増委員、浅田委員。反対:中川委員、高田委員、田村委員。中川委員は、中東情勢の不透明感はあるが、経済情勢を踏まえると、緩和的な金融環境の下で、物価の上振れリスクが高いとして、高田委員は、「物価安定の目標」は概ね達成されており、海外発の物価上昇の二次的波及から国内物価の上振れリスクが既に高まっているとして、田村委員は、物価上振れリスクが大きく拡大する中、中立金利に少しでも近づけるためとして、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促すとする議案を提出し、反対多数で否決された。別紙