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日本銀行報告書2026年4月28日

経済・物価情勢の展望(2026年4月(基本的見解))基本的見解

全文

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12026年4月28日日本銀行 経済・物価情勢の展望(2026年4月)【基本的見解】 1<概要>

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1 本基本的見解は、4月27、28日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものである。⚫ 先行きのわが国経済を展望すると、2026年度については、中東情勢の影響を受けた原油価格上昇が、交易条件の悪化などを通じて企業収益や家計の実質所得に対する下押し要因となることから、成長ペースは減速すると考えられる。もっとも、企業部門で高水準の収益が続いてきたことなどに加え、政府による各種施策や緩和的な金融環境などが経済を下支えするため、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けるとみられる。2027年度以降は、原油高のマイナスの影響が減衰し、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まっていくことから、わが国経済は成長率を緩やかに高めていくと考えられる。⚫ 物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格上昇が、エネルギー価格や財価格を中心に押し上げ方向に作用することから、2026年度は2%台後半になると予想される。その後は、原油高の影響が減衰していくもとでプラス幅を縮小していき、2027年度は2%台前半、2028年度は2%程度になると予想される。

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この間、人手不足感の強い状況が続くなかで、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくと見込まれる。こうしたもとで、消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まっていくと予想され、2026年度後半から2027年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となり、その後も同程度で推移すると考えられる。⚫ 2027年度までの見通しを前回の見通しと比べると、原油価格上昇を受けて、成長率の2026年度が下振れているほか、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比の 2026年度が大幅に上振れている。⚫ リスク要因としては様々なものがあるが、当面は、今後の中東情勢の展開が、金融・為替市場やわが国の経済・物価に及ぼす影響をとくに注視する必要がある。⚫ リスクバランスをみると、2026年度を中心に、経済の見通しについては下振れリスク、物価の見通しについては上振れリスクの方が大きい。これらのリスクがともに高まることも考えられるが、基調的な物価上昇率が2%に近づいているなか、企業の賃金・価格設定行動が積極化していることなどを踏まえると、とくに、物価上昇率が大きく上振れていくリスクが顕在化し、それがその後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、十分に留意する必要がある。

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21.わが国の経済・物価の現状わが国の景気は、中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。海外経済は、一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。輸出や鉱工業生産は、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益は、製造業において米国の関税政策による下押しの影響がみられるが、全体としては高水準を維持している。業況感も、中東情勢の影響を受けつつも良好な水準で推移している。こうしたもとで、設備投資は緩やかな増加傾向にある。個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。一方、住宅投資は減少傾向にある。公共投資は横ばい圏内の動きを続けている。この間、労働需給は、引き締まった状態が続いている。わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響もあって2%を上回って推移してきたが、足もとでは、政府によるエネルギー負担緩和策の効果などから、1%台後半となっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。

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2.わが国の経済・物価の中心的な見通し2, 3(1)経済の中心的な見通し先行きのわが国経済を展望すると、2026年度については、原油価格上昇に伴う交易条件の悪化などが、企業収益や家計の実質所得に対する下押し要因となることから、成長ペースは減速すると考えられる。すなわち、中東情勢の影響を受けて、原油価格は大幅に上昇しており、とりわけドバイ原油が高騰している。このことは、中東産の原油への依存度が高い

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2 今回の展望レポートの中心的な見通しは、足もと不透明な状況となっている中東情勢について、今後、その影響が和らぐもとで、原油価格が下落し、サプライチェーンの大規模な混乱は生じないことを前提に作成している。こうした前提のもとで、原油価格(ドバイ原油)については、先物市場の動向などを参考に、1バレル 105 ドル程度を出発点に、見通し期間の終盤にかけて、70 ドル台程度まで下落していくと想定している。なお、今後の中東情勢の帰趨次第では、経済・物価の見通しが大きく変化し得る点には注意が必要である。3 各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また、先行きの政策運営については、市場の織り込みを参考にして、見通しを作成している。

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3わが国の交易条件の悪化につながり、エネルギーや原材料の価格上昇を通じて、企業収益や家計の実質所得に対する下押し要因として作用する。もっとも、企業部門で高水準の収益が続いてきたことや、本年の春季労使交渉において、これまでのところしっかりとした賃上げが実現していることに加え、政府による各種施策(燃料油補助金などのエネルギー負担緩和策や教育無償化政策等)や緩和的な金融環境などが経済を下支えするため、わが国経済は、伸び率を縮小しつつも、緩やかな成長を続けるとみられる。企業部門をみると、輸出や生産は、グローバルなAI関連需要の強さが続くものの、中東情勢の影響により、中東向け自動車輸出等に下押し圧力がかかることから、当面は横ばい圏内の動きになると見込まれる。企業収益は、高水準を維持しつつも、交易条件悪化の影響から減少するとみられる。そうしたもとで、設備投資の増勢は鈍化すると見込まれるが、既往案件の受注残の存在に加え、政府の経済対策や緩和的な金融環境が下支え要因として作用すると考えられる。家計部門をみると、雇用面では、景気減速の影響を受けつつも、労働需給は引き締まった状態が続くと考えられる。こうしたなか、名目賃金は、企業収益の減少の影響を受けるものの、本年の春季労使交渉の結果などを反映して現状程度の伸びが続くと見込まれる。

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個人消費は、賃金の増加に加えて、政府による各種施策を通じた家計への所得移転が下支え要因となるものの、エネルギーを中心とした物価上昇の影響から、横ばい圏内の動きになるとみられる。住宅投資は、住宅価格の上昇や人口動態等を反映して、緩やかな減少傾向をたどるとみられる。この間、公共投資は横ばい圏内で推移し、政府消費は、医療・介護費の趨勢的な増加や防衛関連支出の増加などを反映し、緩やかに増加していくと想定している。2027年度以降は、原油高のマイナスの影響が減衰し、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まっていくことから、わが国経済は成長率を緩やかに高めていくと考えられる。輸出や生産は、中東情勢の影響が和らぎ、海外経済の緩やかな成長が続くなか、緩やかに増加していくと考えられる。企業収益は、原油価格の下落に伴う交易条件の改善や内外需要の増加に支えられて、改善していくとみられ、そうしたもとで、設備投資は、人手不足対応の省力化投資や能力増強投資に加え、貿易構造やサプライチェーンの変容に適合す

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4るための投資案件なども押し上げ要因となり、増加傾向を維持すると考えられる。雇用・所得環境をみると、労働需給は引き締まった状況が続き、名目賃金は着実な増加が続くとみられる。これに加え、物価の上昇ペースが徐々に落ち着いていくと見込まれるなか、個人消費は、緩やかな増加基調に復していくとみられる。2027年度までの見通しを前回の展望レポートにおける見通しと比較すると、2026年度は、原油価格の大幅な上昇を受けて下振れているが、2025年度と2027年度は概ね不変となっている。この間、潜在成長率は、政府による各種の施策の後押しなどもあって、デジタル化や人的資本投資の進展による生産性の上昇、資本ストックの着実な増加などを背景に、小幅のプラスが続くとみられる4。(2)物価の中心的な見通し消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格上昇が、エネルギー価格や財価格を中心に押し上げ方向に作用することから、2026年度は2%台後半になると予想される。その後は、原油高の影響が減衰していくもとでプラス幅を縮小していき、2027年度は2%台前半、2028年度は2%程度になると予想される。この間、人手不足感の強い状況が続くなかで、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくと見込まれる。

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こうしたもとで、消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まっていくと予想され、2026年度後半から 2027年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となり、その後も同程度で推移すると考えられる。「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現という観点からは、基調的な物価上昇率が2%程度の水準で定着するかどうかも確認していく必要がある。2027年度までの見通しを前回の展望レポートにおける見通しと比較すると、原油価格上昇の影響から、2026年度が大幅に上振れているほか、2027年度

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4 わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、足もとでは「0%台半ばから後半」と計算される。ただし、潜在成長率は、推計手法や今後蓄積されていくデータに左右されるうえ、デジタル化の進展などに伴い生産性や労働供給のトレンドがどのように変化するかといった点を巡る不確実性も高いため、相当の幅をもってみる必要がある。

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5も幾分上振れている。消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比は、原油価格上昇が財を中心に価格を押し上げる方向に作用することから、2%を超える水準で推移したあと、原油高の影響が減衰していくもとで、プラス幅を縮小すると見込まれる。物価の基調を規定する主たる要因について点検すると、労働や設備の稼働状況を表すマクロ的な需給ギャップは、振れを伴いつつも、改善傾向をたどっており、足もとでは小幅のプラスとなっている。先行きの需給ギャップは、上記の経済の見通しのもとで、2026年度にいったんプラス幅を縮小したあと、2027年度以降は、再び緩やかに改善していくと予想される。この間、女性や高齢者による労働参加の増加ペースの鈍化もあって、労働需給はマクロ的な需給ギャップ以上に引き締まっている。こうしたもと、労働集約的な業種を中心に企業が労働の供給制約に直面しつつある状況を踏まえると、マクロ的な需給ギャップが示唆する以上に、賃金や物価には上昇圧力がかかりやすくなっているとみられる。次に、中長期的な予想物価上昇率をみると、緩やかに上昇している。先行きについては、労働需給の引き締まりなどを背景に、企業の積極的な賃金・価格設定行動が続き、予想物価上昇率は緩やかな上昇が続くと予想される。その水準は、2026年度後半から 2027年度にかけて2%程度となり、その後も同程度で推移すると考えられる。

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3.経済・物価のリスク要因前述したとおり、上記の経済・物価の中心的な見通しは、今後、中東情勢の影響が和らぐもとで、原油価格が下落し、サプライチェーンの大規模な混乱は生じないことなどを前提としている。もっとも、今後の中東情勢の帰趨次第でこうした見通しが大きく変化し得ることを踏まえ、以下では、まず、中東情勢を巡るリスクとその経済・物価の見通しに及ぼす影響を整理する。その後、中東情勢以外のリスク要因を確認する。

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6(1)中東情勢を巡るリスク第1に、中東情勢を巡る混乱が長期化し、原油価格が高止まりすることで、交易条件の悪化などのマイナスの影響が想定以上に大きくなるリスクがある。中心的な見通しでは、わが国経済は、原油高による下押し圧力を受けつつも、大きな調整局面には至らないと考えているが、原油価格が想定以上に高止まりした場合には、企業収益や家計の実質所得が大きく下振れることで、経済が一段と減速する可能性がある。こうした経済の下振れは、需給ギャップの悪化や企業におけるコスト削減の動きの強まりなどを通じて、基調的な物価上昇率を下押す方向に作用し、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムを弱める可能性がある。もっとも、物価面については、以下のとおり、上振れリスクの方が大きいと考えられる。原油は、様々な産業の上流から下流にかけて広く原材料として使われているため、原油価格の高止まりは、エネルギー価格だけではなく、幅広い財を中心に、価格を押し上げる方向に作用する。加えて、現在のわが国では、例えばロシアによるウクライナ侵攻後の資源価格上昇時と比べ、企業の賃金・価格設定行動が積極化していることなどを踏まえると、原油価格の上昇は、これまで以上に様々な財・サービスの値上げに波及しやすくなっている可能性がある。

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また、そうした動きが、予想物価上昇率の上昇を通じて、基調的な物価上昇率の押し上げにつながりやすくなっている可能性があることにも留意が必要である。このほか、農作物の生産に不可欠な肥料の原料が相当程度中東で生産されていることを踏まえると、中東情勢を巡る混乱が続き、物流が長期にわたって滞った場合には、原料の市況高を通じて、食料品価格が想定以上に上昇する可能性にも注意が必要である。第2に、サプライチェーンの大規模な混乱が生じ、わが国企業の生産活動に大きな影響をもたらすリスクがある。物流への影響が長期化した場合には、原油だけでなく、中東からの輸入ウエイトの大きい素原料・中間財等の供給が滞る可能性がある。この点、一部の素材メーカーではプラントの稼働率を引き下げる動きが既にみられており、こうした動きが一段と広がる可能性には留意が必要である。このように、サプライチェーンの大規模な混乱が発生すると、企業の生産活動を低下させ、経済の大幅な下振れにつながる可能性がある。また、

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7こうした経済の下振れが、基調的な物価上昇率を下押す方向に作用することも考えられる。一方で、供給制約が顕在化すると、関連する製商品の価格が大きく上昇し、物価の上振れリスクが一段と高まるとともに、基調的な物価上昇率の押し上げにもつながる可能性がある。上記の2つのリスクは、中東情勢の影響が長期化することを想定しているが、逆に、中東情勢を巡る緊張が急速に和らぎ、市場の見方以上に原油価格が速いスピードで下落すれば、企業収益や家計の実質所得に対する下押し圧力が弱まるほか、物価の押し上げ圧力も低下すると考えられる。その場合には、中心的な見通しと比べて、成長率は上振れ、消費者物価(除く生鮮食品)は下振れる可能性もある。(2)その他のリスク要因中東情勢以外のリスク要因としては、主に以下の点に注意が必要である。第1に、AI関連需要を含む海外の経済・物価動向である。AI関連については、グローバルに需要拡大が続いており、旺盛な設備投資が世界経済を押し上げる可能性がある一方、投資に見合った形で収益の拡大が実現しない場合には、資産価格の変動なども伴って、調整圧力が生じる可能性もある。

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この間、米国の関税政策の影響を巡る不確実性は低下しているものの、米国経済については、関税による企業収益の悪化を通じた雇用・所得形成への影響や、関税コストの消費者物価への転嫁を通じた個人消費への影響等には、引き続き、注意が必要である。このほか、最近の米国や欧州等における財政拡張的な動きなどが、世界経済・物価に影響を及ぼす可能性にも留意する必要がある。中国経済については、不動産市場や労働市場における調整圧力が続くなか、先行きの成長ペースを巡る不確実性は引き続き高いほか、一部の財における供給能力の過剰が世界経済・物価に及ぼす影響についても注意を払う必要がある。第2に、今後の為替相場の変動がわが国の経済・物価に及ぼす影響である。これについては様々な経路が考えられるが、例えば、原油価格の上昇などが為替円安につながる場合には、グローバル企業の収益などにプラスの影響を及ぼす一方、輸入物価の上昇などを通じて、家計の実質所得を下押しするほか、中小企業などの収益にマイナスに作用する面がある。また、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで、過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼ

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8しやすくなっている面があることや、そうした動きが、予想物価上昇率の変化を通じて基調的な物価上昇率に影響する可能性があることにも留意が必要である。第3に、やや長い目でみたリスク要因として、わが国を巡る様々な環境変化が企業や家計の中長期的な成長期待や潜在成長率に与える影響がある。人口動態の構造的な変化等に伴う人手不足感の強まりは、デジタル化やAIの利活用などによる省力化投資の動きを加速させる可能性があり、政府の取り組みと相俟って、成長期待や潜在成長率を押し上げることも考えられる。一方、そうした資本と労働の代替が十分に進展しない場合には、供給制約によって成長率が下押しされるリスクがある。また、これまで打ち出された各国の通商政策はグローバル化の潮流に変化を及ぼしている面があり、今後の各国の政策の展開次第では、そうした変化が急速に進むことも考えられる。4.金融政策運営以上の経済・物価情勢について、「物価安定の目標」のもとで、 2つの「柱」による点検を行い、先行きの金融政策運営の考え方を整理する5。まず、第1の柱、すなわち中心的な見通しについて点検すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きが続くもとで、原油価格上昇が、エネルギー価格や財価格を中心に押し上げ方向に作用することから、2026年度は2%台後半になると予想される。

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その後は、原油高の影響が減衰していくもとでプラス幅を縮小していき、2027年度は2%台前半、2028年度は2%程度になると予想される。この間、人手不足感の強い状況が続くなかで、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、中長期的な予想物価上昇率は上昇していくと見込まれる。こうしたもとで、消費者物価の基調的な上昇率は、徐々に高まっていくと予想され、2026年度後半から 2027年度にかけて「物価安定の目標」と概ね整合的な水準となり、その後も同程度で推移すると考えられる。次に、第2の柱、すなわち金融政策運営の観点から重視すべきリスクについて点検する。わが国経済・物価を巡るリスク要因としては様々なものがあるが、

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5 「物価安定の目標」のもとでの2つの「柱」による点検については、日本銀行「金融政策運営の枠組みのもとでの「物価安定の目標」について」(2013年1月22日)参照。

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9当面は、今後の中東情勢の展開が、金融・為替市場やわが国の経済・物価に及ぼす影響をとくに注視する必要がある。この点、中東情勢の影響が長期化した場合には、原油価格が高止まりするほか、サプライチェーンの大規模な混乱を通じて企業の生産活動に下押し圧力がかかることも考えられる。こうしたことなどから、リスクバランスは、2026年度を中心に、経済の見通しについては下振れリスク、物価の見通しについては上振れリスクの方が大きい。これらのリスクがともに高まることも考えられるが、前述したとおり、基調的な物価上昇率が2%に近づいているなか、企業の賃金・価格設定行動が積極化していることなどを踏まえると、とくに、物価上昇率が大きく上振れていくリスクが顕在化し、それがその後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう、十分に留意する必要がある。金融面のリスクについてみると、不動産価格や株価といった資産価格の動向には引き続き留意が必要であるものの、貸出などの金融仲介活動は円滑に行われており、現在の金融活動に大きな不均衡はみられていない。わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。内外の実体経済や国際金融市場が調整する状況を想定しても、わが国の金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどを踏まえると、全体として相応の頑健性を有している。

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そのうえで、今後の中東情勢の展開や、AI関連投資の収益性、海外ノンバンク部門の動向等が、様々な経路を通じて金融システムに及ぼす影響については丁寧にみていく必要がある6。金融政策運営については、基調的な物価上昇率が2%に近づいているなか、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている。そのうえで、調整のタイミングやペースについては、中東情勢の展開がわが国経済・物価に及ぼす影響を注視したうえで、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら、検討していく方針である。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、適切に金融政策を運営していく。以上

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6 詳しくは日本銀行「金融システムレポート」(2026年4月)を参照。 10(参考)2025~2028年度の政策委員の大勢見通し ――対前年度比、%。なお、<>内は政策委員見通しの中央値。実質GDP消費者物価指数(除く生鮮食品) (参考)消費者物価指数(除く生鮮食品・エネルギー) 2025年度+1.0 ~+1.0<+1.0>+2.7 +3.0 1月時点の見通し+0.8 ~+0.9<+0.9>+2.7 ~+2.8<+2.7>+2.9 ~+3.1<+3.0> 2026年度+0.4 ~+0.7<+0.5>+2.8 ~+3.0<+2.8>+2.5 ~+2.7<+2.6> 1月時点の見通し+0.8 ~+1.0<+1.0>+1.9 ~+2.0<+1.9>+2.0 ~+2.3<+2.2> 2027年度+0.6 ~+0.8<+0.7>+2.3 ~+2.4<+2.3>+2.6 ~+2.7<+2.6> 1月時点の見通し+0.8 ~+1.0<+0.8>+1.9 ~+2.2<+2.0>+2.0 ~+2.3<+2.1> 2028年度+0.7 ~+0.8<+0.8>+2.0 ~+2.2<+2.0>+2.1 ~+2.4<+2.2>

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(注1)「大勢見通し」は、各政策委員が最も蓋然性の高いと考える見通しの数値について、最大値と最小値を1個ずつ除いて、幅で示したものであり、その幅は、予測誤差などを踏まえた見通しの上限・下限を意味しない。(注2)各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また先行きの政策運営については市場の織り込みを参考にして、上記の見通しを作成している。(注3)2025年度の消費者物価指数は、実績値。 11-1.00.01.02.03.04.05.0-1.00.01.02.03.04.05.02020202120222023202420252026202720282029(前年比、%)(前年比、%)年度-0.50.00.51.01.52.02.53.03.54.0-0.50.00.51.01.52.02.53.03.54.02020202120222023202420252026202720282029(前年比、%)(前年比、%)年度 政策委員の経済・物価見通しとリスク評価 (1)実質GDP (2)消費者物価指数(除く生鮮食品)

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(注1)実線は実績値、点線は政策委員見通しの中央値を示す。(注2)、△、▼は、各政策委員が最も蓋然性が高いと考える見通しの数値を示すとともに、その形状で各政策委員が考えるリスクバランスを示している。は「リスクは概ね上下にバランスしている」、△は「上振れリスクが大きい」、▼は「下振れリスクが大きい」と各政策委員が考えていることを示している。