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日本銀行報告書2020年4月27日

経済・物価情勢の展望(2020年4月(基本的見解))基本的見解

全文

§1

12020年4月27日日本銀行 経済・物価情勢の展望(2020年4月)【基本的見解】 1<概要>

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1 本基本的見解は、4月27日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものである。 わが国の経済・物価情勢を展望すると、経済は、当面、内外における新型コロナウイルス感染症の拡大の影響から厳しい状態が続くとみられる。また、物価についても、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、当面、感染症の拡大や原油価格の下落などの影響を受けて弱含むとみられる。 その後、内外で感染症拡大の影響が和らいでいけば、ペントアップ需要(抑制されていた需要)の顕在化や挽回生産が予想されることに加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策にも支えられて、わが国経済は改善していくと考えられる。物価も、徐々に上昇率を高めていくとみられる。今回の見通しにおいては、感染症拡大の影響が、世界的にみて、本年後半にかけて和らいでいくことを想定している。 もっとも、先行きについては、感染症の拡大が収束する時期や内外経済に与える影響の大きさによって変わり得るため、不透明感がきわめて強い。また、上記の見通しは、感染症拡大の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下しないことや、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されることなどを前提としているが、そうした前提には大きな不確実性がある。

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 リスクバランスは、経済・物価のいずれの見通しについても、新型コロナウイルス感染症の影響を中心に、下振れリスクの方が大きい。

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21.わが国の経済・物価の現状わが国の景気は、内外における新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、厳しさを増している。海外経済は、感染症の世界的な大流行の影響により、急速に落ち込んでいる。そうしたもとで、輸出や鉱工業生産は減少している。企業の業況感は悪化しており、設備投資はこのところ増勢の鈍化が明確となっている。感染症拡大の影響が強まるなかで、雇用・所得環境には弱めの動きがみられ始めており、個人消費は飲食・宿泊等のサービスを中心に大幅に減少している。この間、住宅投資は横ばい圏内で推移しており、公共投資は緩やかに増加している。わが国の金融環境は、全体として緩和した状態にあるが、企業の資金繰りが悪化するなど企業金融面で緩和度合いが低下している。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、0%台半ばとなっている。予想物価上昇率は、弱めの指標がみられている。2.わが国の経済・物価の見通し(1)当面の経済・物価の見通し当面のわが国経済は、内外における新型コロナウイルス感染症の拡大の影響から、厳しい状態が続くとみられる。新型コロナウイルス感染症は、中国で流行したあと、アジアや欧州、米国など、世界中で急速に拡大し、パンデミック(世界的な大流行)の状態にある。

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各国・地域で、外出・出入国制限や営業・生産活動の停止措置などの感染拡大防止策がとられている結果、経済活動が大きく制約されている。感染症拡大が収束に向かうまで、経済活動の抑制が続くと予想され、その間、海外経済は落ち込んだ状態が続くと考えられる。そうしたもとで、インバウンド消費を含めたわが国の輸出は、低迷した状態を続けるとみられる。また、国内需要は、政府の経済対策が下支えとなるものの、感染症拡大の影響を受けて経済活動が抑制されるなか、個人消費を中心に落ち込んだ状態が続くとみられる。消費者物価の前年比は、プラスで推移しているものの、先行きは、当面、感染症の拡大や原油価格の下落などの影響を受けて弱含むとみられる。

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3(2)やや長い目でみた経済・物価の見通しやや長い目でみた経済の見通しについては、後述するように、きわめて不確実性が大きいが、今回の見通しにおいては、感染症拡大の経済への影響が、世界的にみて、本年後半にかけて和らいでいくことを想定している2。こうした想定のもとで、海外経済は、本年後半頃から、ペントアップ需要や挽回生産が押し上げに作用し、各国・地域の積極的なマクロ経済政策の効果も発現すると予想されることから、成長ペースは高まっていくとみられる。わが国経済も、内外で感染症拡大の影響が和らいでいけば、改善していくと考えられる。輸出は、海外経済の成長ペースが高まっていくもとで、再び増加に向かっていくと予想される。また、国内需要は、ペントアップ需要の顕在化が予想されることに加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策にも支えられて持ち直しに転じ、先行き、増加していくと考えられる。物価については、このように景気が改善していくもとで、消費者物価の前年比は、先行き、徐々に上昇率を高めていくとみられる。(3)金融環境こうした見通しの背景となる金融環境についてみると、感染症拡大を受けて、内外の金融資本市場で不安定な動きがみられているほか、世界的にみて企業金融に影響が生じている。もっとも、各国・地域の政府・中央銀行は、金融市場の安定を維持し、企業金融の円滑を確保するために、積極的な対応を行っている。

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わが国についても、政府は、企業の資金繰りを支援するための各種の施策を講じている。日本銀行は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を推進するもとで、3月以降は、企業等の資金調達の円滑確保と金融市場の安定維持に向けて、各種の強力な金融緩和措置を実施している3。そうしたもとで、緩和的な金融環境が維持され、金融面から実体経済への下押し圧力が強まることは回避されると想定している4。

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2 IMF の世界経済見通し(2020年4月)の標準シナリオでは、感染症の世界的な流行が2020年後半には収束に向かい、各国・地域で実施されている感染拡大防止策も徐々に解除に向かうことを前提としている。本経済・物価見通しでも、概ね同様の考え方である。3 「新型感染症拡大の影響を踏まえた金融緩和の強化について」(2020年3月16日)、「金融緩和の強化について」(2020年4月27日)。4 各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また先行きの政策運営については市場の織り込みを参考にして、見通しを作成している。

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43.経済・物価のリスク要因先行きの経済・物価の見通しは、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束する時期や内外経済に与える影響の大きさによって変わり得るため、不透明感がきわめて強い。また、上記の見通しは、感染症拡大の影響が収束するまでの間、企業や家計の中長期的な成長期待が大きく低下しないことや、金融システムの安定性が維持されるもとで金融仲介機能が円滑に発揮されることなどを前提としているが、そうした前提には大きな不確実性がある。以下は、経済・物価見通しの主なリスク要因(上振れないし下振れの可能性)であるが、リスクバランスは、経済・物価のいずれの見通しについても、新型コロナウイルス感染症の影響を中心に、下振れリスクの方が大きい。先行きの経済について、感染症拡大の影響が収束するまでの間は、特に以下の3つのリスク要因に注意が必要である。第1に、新型コロナウイルス感染症拡大による内外経済への影響である。感染症拡大の帰趨やそれが収束する時期、収束までの間の内外経済に与える影響の大きさについては、不確実性が大きい。新型コロナウイルス感染症に有効な治療薬やワクチンの開発が現時点で見通せないことから、感染症拡大の収束にどの程度の期間を要するかは非常に不透明である。また、外出の制限・自粛要請などの感染拡大防止策が経済に与える影響についても、その大きさを予測することは難しい。

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さらに、感染症拡大が収束した後の経済の改善ペースについても不確実性が大きい。第2に、企業や家計の中長期的な成長期待である。感染症拡大の長期化などを契機に、企業や家計の中長期的な成長期待が低下する場合には、感染症拡大の収束後も企業や家計の支出意欲が高まりにくいリスクがある。一方、今回の問題を契機に、外出制限時の様々な情報通信技術の活用が、イノベーションの促進を含め、デジタル分野などにプラスの影響を及ぼせば、中長期的な成長期待を高める可能性もある。第3に、金融システムの状況である。感染症拡大の影響から金融システムは強いストレスを受けているが、日本銀行や政府は、企業等の資金調達の円滑確保と金融市場の安定維持のために、積極的な対応を講じている。また、金融機関は資本・流動性の両面で相応に強いストレス耐性を備えている。こうしたも

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5とで、金融システムは全体として安定性を維持している5。ただし、感染症拡大の影響が想定以上に長引いた場合には、実体経済の悪化が金融システムの安定性に影響を及ぼし、それが実体経済へのさらなる下押し圧力として作用するリスクがある。現時点で、こうしたリスクは大きくないと判断しているが、先行きの動向を注視していく必要がある。以上の経済のリスク要因が顕在化した場合には、物価にも相応の影響が及ぶとみられる。また、原油価格をはじめとする国際商品市況の動向や、今後の為替相場の変動が物価に与える影響についても、注意してみていく必要がある。以上 5 詳しくは日本銀行「金融システムレポート」(2020年4月)を参照。 6(参考)2019~2022年度の政策委員の大勢見通し ――対前年度比、%実質GDP消費者物価指数(除く生鮮食品) (参考)消費税率引き上げ・教育無償化政策の影響を除くケース 2019年度 -0.4 ~ -0.1 +0.6 +0.4 1月時点の見通し+0.8 ~+0.9 +0.6 ~+0.7 +0.4 ~+0.5 2020年度 -5.0 ~ -3.0 -0.7 ~ -0.3 -0.8 ~ -0.4 1月時点の見通し+0.8 ~+1.1 +1.0 ~+1.1 +0.9 ~+1.0 2021年度+2.8 ~+3.90.0 ~+0.7 1月時点の見通し+1.0 ~+1.3 +1.2 ~+1.6

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2022年度+0.8 ~+1.6 +0.4 ~+1.0 (注1)今回、先行きの不確実性が従来以上に大きいことに鑑み、各政策委員は最大1.0%ポイントのレンジの範囲内で見通し(上限値・下限値の2つの値)を作成することとした。「大勢見通し」は、9名の政策委員の見通し値(上限値・下限値)のうち上から2個、下から2個、計4個の値を除いて、幅で示したものである(政策委員が単一の値で見通しを作成した場合には、当該値を2個と数える)。1月時点の大勢見通しは、各政策委員が単一の値で示した見通し値から、最大値・最小値を1個ずつ除いて幅で示したものであり、今回の大勢見通しとは異なることに留意が必要である。(注2)各政策委員は、既に決定した政策を前提として、また先行きの政策運営については市場の織り込みを参考にして、上記の見通しを作成している。(注3)2019年10月に実施された消費税率引き上げの 2019年度と 2020年度の消費者物価への直接的な影響は、それぞれ+0.5%ポイントとなる。また、現時点の情報をもとに、教育無償化政策の2019年度と 2020年度の消費者物価への直接的な影響を一定の仮定に基づき計算すると、それぞれ-0.3%ポイント程度、-0.4%ポイント程度となる。(注4)2019年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)は、実績値。

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7(前年比、%)(前年比、%)(前年比、%)(前年比、%)-6.0-5.0-4.0-3.0-2.0-1.00.01.02.03.04.05.06.0-6.0-5.0-4.0-3.0-2.0-1.00.01.02.03.04.05.06.020152016201720182019202020212022年度-1.5-1.0-0.50.00.51.01.52.02.53.0-1.5-1.0-0.50.00.51.01.52.02.53.020152016201720182019202020212022年度 政策委員の経済・物価見通し (1)実質GDP (2)消費者物価指数(除く生鮮食品) (注1)実線は実績値。シャドーは、当該値(0.1%ポイント刻み)が何人の政策委員の見通し値(レンジ)に含まれているかを、以下の分類で示したもの。縦線は政策委員の「大勢見通し」を表す。 (注2)消費者物価指数(除く生鮮食品)の 2015年度については、2014年4月の消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベース。0人 1人 2人 3人 4人 5人 6人 7人 8人 9人