← 戻る
日本銀行記者会見2011年9月9日白川方明, 総裁

総裁記者会見(2011年9月9日)要旨

全文

§1Masaaki Shirakawa

ただいまの安住大臣のご説明に尽きますが、今回のG7でも非常に率直な意見交換ができ、有意義であったと思います。日本経済については大臣から包括的な説明がありましたので、私からは主として円高が日本経済に与える影響について詳しく説明しました。この円高の背景を考えてみると、世界の投資家の安全資産選好があるわけですが、その根源を辿ると、世界経済全体の不確実性の増大ということが指摘できます。なかんずく欧州、米国における債務問題が、不確実性の増加につながっています。私からは、欧州、米国が財政の問題にしっかり取組んでいくことを期待する旨、申し上げました。それ以外にも様々な議論がありましたが、経済政策運営との関係では金融危機の後の経済政策運営を考えるうえで、日本の経験にも言及しながら、どのような教訓をひき出し、政策運営にどのように活かしていくべきかということを説明しました。

§2Question

為替について、日本から協調介入について今後も要請するという話はされたのでしょうか、それに対してどのような反応があったのでしょうか。また、米国高官の説明では、欧州の問題がG7の今回の話し合いの中心だったという説明がありましたが、どのような話し合いになり、どのような認識で一致したのか、一致しなかった部分があるのか、お聞かせ下さい。

§3Masaaki Shirakawa

為替介入については、財務大臣のご説明に尽きていますので、私から特に申し上げることはありません。後ほど財務官からご説明がある発表文書をみても、欧州の債務問題に割いている字数は多いわけであり、様々な議論がなされました。議論のポイントは欧州各国が既に7月のユーログループの会議で決めた合意内容にしっかり取り組んでいくことが大事であること、欧州の金融の安定にしっかりと取り組んでいく必要があるということで意見が一致していたと思います。

§4Question

欧州以外の国の役割についてはどのようにお考えでしょうか。

§5Masaaki Shirakawa

発表文書にもありますが、現在、FRB、欧州中央銀行、イングランド銀行、スイス国民銀行、カナダ銀行、日本銀行はスワップ協定を結び、ドル資金供給を行っています。こうした中央銀行による流動性の供給は今もしっかりと行っていますが、今後もしっかり行っていくということは改めて確認されています。

§6Question

円高と世界経済の関連の話ですが、世界経済の減速や財政再建に対する不安が円高につながっていることもあるかと思いますが、今回の会議を通じて財政の再建や世界経済の安定に向かい、円高が是正されることにつながるような会議だったのか、そのような認識を今の段階でお持ちでしょうか。

§7Masaaki Shirakawa

先進国の財政の悪化は、バブル崩壊後・金融危機後の経済の落ち込みという要因と、高齢化の進行に伴う社会保障の支出の増加の問題、あるいは過去の様々な施策の結果であり、こうした財政の姿が本日のG7で直ちに変わってくることはもちろんありません。ただ、大事なことは、財政健全化の大きな方向に向かって、各国が取り組んでいくということです。そうしたことについて、今回もずいぶん色々な議論が行われました。実際にどのような取り組みがなされていくか、各国それぞれの政府・議会が決めていく話ですから、今回のG7と直結するかたちで今のご質問にお答えすることは難しいですが、いずれにしても、そのような方向が大事であるという認識が共有されていると思います。

§8Question

合意文書の中で、中央銀行に関する段落があると思いますが、この中で、金融システムや金融市場を安定化させるために必要があればアクションをとるとの書きぶりがあると思います。これについては金融政策の追加緩和を意味しているのでしょうか、それとも信用秩序の維持に関しての資金供給などを意味しているのでしょうか。また、日本銀行にとってはこの段落全体がどのような意味合いを持っているのか教えていただけますでしょうか。

§9Masaaki Shirakawa

この第4 段落ですが、(ご指摘の部分の表現の)主語は「我々は」と始まっており、これは中央銀行と政府の両者を含めて「我々は」と表現しています。したがって、もちろん中央銀行による流動性供給も含めて、また、政府の取り組む様々な、例えば資本面での取り組みを含めて、当局として「銀行システムと金融市場の強固さを確保するため、必要な全ての行動を取る」という、文字通りの意味です。金融政策については、前の文章に書いてあり、「物価の安定を維持し、引き続き経済回復を支える」、これはまさに日本銀行も含めて各国中央銀行が現に取り組んでいることを改めて書いているというように思います。それから、その次の文章の、「必要な場合に銀行システムに流動性を供給する準備がある」、これは中央銀行にとって当然のことです。現在のように経済の不確実性が増している、金融市場でも非常に神経質な地合いであるときに、金融市場の安定を確保することは中央銀行の責務であり、改めてそうした責務をここで確認し、日本銀行も含めてこうしたことを現時点で取り組んでいるということだと思います。

§10Question

今日はユーロ安が進んでいますが、こうした中でG7が開かれました。 G7を総括されて、今の金融市場の不安定な状態を安定化させるようなメッセージを打ち出せたと認識されておりますでしょうか、それともまだ足りない部分があると思われているのでしょうか。

§11Masaaki Shirakawa

マーケットの反応に関しては、私の立場でのコメントは差し控えますが、金融市場の安定に向けて、必要な政府・中央銀行の取り組みの基本的な考え方はしっかりと書かれていると思います。そのうえで、当局がしっかりとこうした線に沿って取り組んでいくことが大事だと考えています。以上