総裁記者会見(2014年10月10日)要旨
全文
§1Question
ルー米財務長官は、IMFCのステートメントで、G7はコミットメントとして、財政・金融政策については、国内のオブジェクティブのもとに行い、為替レートをターゲットにしないとされています。今回のG20ではマクロ経済や為替について議論がなかったということですが、ルー米財務長官の発言について、所見をお聞かせ下さい。
§2Haruhiko Kuroda
ルー米財務長官の発言は承知していませんので、お答えすることは差し控えます。
§3Question
最近、原油価格や株価の値動きが荒くなりつつ、下落傾向にありますが、どのようなことがこの背景にあるのか、また、経済に与える影響をどのようにみているかをお聞かせ下さい。
§4Haruhiko Kuroda
最近、欧米、アジアを含めて、株価その他金融資本市場の動きがやや目立つことは事実です。ただ、中期的な傾向からみると、ボラティリティは依然としてかなり低い状況にあります。このところの動きについて、個々の原因は、特定しがたいので、具体的にお答えすることは難しいですが、ボラティリティが非常に低いところから若干上がった程度です。こういう状況が今後も続くとみる必要は必ずしもないと思います。 IMFの報告書をみても、ボラティリティが非常に低いということが過度なリスクテイクにならないかと指摘しているぐらいであり、今の時点では、特に市場の動きを大きく問題視する必要はないと思います。石油価格の問題については、需要面と供給面に色々な要素があり、もう少し様子をみていく必要があるのではないかと思います。なお、日本は、巨額の石油輸入国ですので、石油価格が下がること自体は、交易条件を改善し、いわば実質所得を上げてくれるようなものであり、景気にはプラスになると思います。
§5Question
ホッキー豪財務大臣は、先程の会見で、世界経済の現状が厳しい中でも、議場の中には、総じて楽観的な部分があったと発言されていましたが、実際にそうしたことを感じられたか教えて下さい。また、日本に対しても、楽観されている雰囲気はあったのでしょうか。
§6Haruhiko Kuroda
日本では、企業部門は、極めて高い利益水準にあり、そのもとで、設備投資の増加や賃上げなど、次第に、所得から支出へといった好循環が働いています。家計部門も、名目賃金、雇用者所得がこのところ伸びを高めています。消費税率引き上げに伴う駆け込みの反動で 4~6月は、消費がかなり落ち込みましたが、7月から 8月中旬までの天候不順の影響も脱しつつあり、反動減の影響も和らぎつつあります。雇用・所得環境が良好ですので、消費も次第に戻ってくると考えています。
§7Question
最近の円安について、黒田総裁は「特に大きな問題とは感じていない」と発言されている一方、安倍総理は国会等で「家計や中小企業にデメリットが出てきている」と発言されています。市場では、政府と日銀が発信するメッセージが食い違っているのではないかと捉える人がいますが、その点について、ご見解をお聞かせ下さい。
§8Haruhiko Kuroda
為替相場の水準や見通しについて、具体的に申し上げることは差し控えたいと思います。一般論として申し上げれば、円安は、輸出の増加やグローバルに展開している企業の収益の改善のほか、株価の上昇といったプラス効果を持っています。一方、輸入コストの上昇やその価格転嫁を通じて、非製造業の収益や家計の実質所得に対する押し下げ圧力としても作用します。従って、その影響は、経済主体によって異なり得るものですが、経済や金融のファンダメンタルズを反映した円安であれば、全体としてみれば、景気に対してプラス方向に働くと考えられます。こうした見方に関して、政府との間で温度差があるとは思っていません。いずれにしても、為替相場の動きを含めて、金融資本市場の動向については、それが実体経済さらには物価等に与える影響を含めて、引き続き、注意深くみていきたいと思っています。以上