総裁記者会見(2020年5月22日)要旨
全文
§1Haruhiko Kuroda
会談では、私からは、本日の臨時会合で導入を決定した中小企業等の資金繰りを更に支援するための「新たな資金供給手段」の内容を含め、日本銀行の3月以降の新型コロナウイルス感染症への対応についてご説明しました。そのうえで、日本銀行は、本日決定した措置を含む全体として総枠 75 兆円の「特別プログラム」により、政府とも連携しながら、企業等の資金繰りを積極的に支援していくことを申し上げました。また、日本銀行では、金融市場の安定を維持する観点から、国債買入れやドルオペなどによって、円貨および外貨を上限を設けずに潤沢に供給しているほか、 ETF等の積極的な買入れを実施していることもご説明しました。日本銀行としては、引き続き政府と連携し、企業金融の円滑化と金融市場の安定に努めていく所存です。
§2Question
黒田総裁に一つお尋ねしたいのですが、今日、新しく導入を決めた対象が総額 30 兆円になる資金供給、この狙いについて改めて教えてください。特に金融機関の先にある企業や事業者にどうやって届くことを期待されているのかということを教えてください。
§3Haruhiko Kuroda
本日決めた「新たな資金供給手段」は、政府が決めて実行されている緊急経済対策における無利子・無担保融資などを中心に、日本銀行からみて、そういった制度を利用して無利子・無担保で中小企業等に、あるいは個人事業者に融資した金融機関に対して、その総額を日本銀行がバックファイナンスするというものです。しかもそのバックファイナンスは、金利ゼロ%で貸すだけでなく、その相当額の日本銀行における当座預金に対して+0.1%の金利も付けるという形で行います。もちろん、政府の無利子・無担保融資制度はそれだけでも十分活用されていくと思いますが、それを更に極めて有利な条件でバックファイナンスすることによって、そういった政府の制度が一層活用され、中小企業等の手に資金が行き渡るようにするという意味で、非常に意義が深いと思っています。なお、政府のそういった制度金融をバックファイナンスしてサポートするだけでなく、金融機関自身がプロパーの融資として、そういったものに類似した非常に有利な条件で中小企業等に貸し付けた場合にも、今申し上げたような有利な条件で日本銀行が金融機関にバックファイナンスします。この新しい措置全体で約30 兆円の中小企業等に対する資金繰り支援ができると思っています。
§4Question
黒田総裁にお伺いします。今、政府では第2次補正予算の編成作業も進んでいるわけですが、今後、第2次補正予算が組まれたときに日銀にはどういう役割が求められていると考えていらっしゃるでしょうか。
§5Haruhiko Kuroda
企業等の資金繰り支援のための日本銀行の措置として、CP・社債等の買入れは上限約 20 兆円と積極的に行っていますし、また、既に決定している新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペも拡充して今や約 25 兆円まで利用が可能となっています。更に本日決定した新しい中小企業等に対する金融支援が約30 兆円で、全体を合わせて総枠約 75 兆円の企業金融支援となります。しかも、日本の新型コロナウイルス感染症自体は順調に収束したとしても、世界各国でまだ残っていれば、なかなか輸出やインバウンドの需要も出てきませんし、また様々な事情で必ずしもV字型回復にならない可能性もありますので、企業の資金繰り支援の様々な措置はこれまで9月末までとしていましたが、来年3月末まで延長し、念のために、仮に企業の資金繰り支援の必要性がもう少し先まで延びても、十分対応できるようにしました。また、それ以外に、円およびドルの流動性を上限なく供給しています。円については、イールドカーブ・コントロールのもとで、10年物国債金利がゼロ%程度で安定するよう、上限を設けることなく国債を買い入れることにしています。仮に政府が国債を増発しても長期金利が引き上がることのないように、自動的にいわば財政と金融の「ポリシー・ミックス」といいますか協調が行われ、その結果としていわば財政政策と金融政策の相乗効果が働くようになっています。
§6Haruhiko Kuroda
市場の安定のためのドルや円の上限を設けることのない供給、更にはマーケットのリスク・プレミアムを拡大させないようなETF等の買入れも、これらを全体として引き続き行います。また、新型コロナウイルス感染症の影響次第では、必要に応じて躊躇なく、更に金融緩和を拡大する、追加的な金融緩和も考慮する、という姿勢でいます。以上