【挨拶】「最近の金融経済情勢について」(三重県金融経済懇談会)
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日本銀行政策委員会審議委員亀崎英敏最近の金融経済情勢について─ 三重県金融経済懇談会における挨拶要旨─日本銀行 2 0 11年7月27日
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1.はじめに日本銀行の亀崎でございます。本日はお忙しい中、三重県の経済界を代表される方々にお集まり頂きありがとうございます。また、私どもの名古屋支店の業務運営に対し、日頃よりご理解とご協力を賜っていることについて、この場を借りてお礼申し上げます。本題に先立ちまして、この度の東日本大震災で犠牲となられた方々にお悔やみを、そして被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。震災の発生から4か月以上経った今なお、被災地では不自由な生活を余儀なくされており、また原発事故の影響などから、全国的な電力供給への不安も続いています。こうした苦境を乗り越えるべく各現場の方々が頑張っておられる姿には、頭の下がる思いがしますとともに、日本の底力をみる思いもいたします。過去の日本が被った戦争の災禍やエネルギー危機などへの対応をみても、日本人は一度目標を定めれば、経営者、従業員を問わず全員の創意工夫の下、極めて大きな力を発揮してそれを達成してきています。この度も、日本は必ずやこの国難を乗り越えるものと確信しています。さて、日本銀行では、総裁・副総裁と審議委員からなる政策委員の9名が、各地の経済界の方々と金融経済情勢等についての意見交換の目的で懇談会を開催しています。本日はまず私から、内外の金融経済情勢や日本銀行の金融政策等についてお話しさせて頂きたいと思います。
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しかし、金融経済情勢は、地域ごと、あるいは業種ごとに異なる部分もあります。その点につきましては、後ほど皆様から、当地の実情や日本銀行に対するご意見を頂戴しながら勉強させて頂きたいと考えておりますので、宜しくお願いいたします。
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2.東日本大震災を受けた日本銀行の取り組みそれでは本題に入ります。最初に、未曾有の大震災を受けて、日本銀行がこれまで講じてきた取り組みについてお話しします(図表1)。まず、3月11日
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14 時 46 分の地震発生直後の 15 時、日本銀行は白川総裁を本部長とする災害対策本部を設置し、以下の対策を実施しました。第1に、日本銀行は震災直後から、金融機能の維持と円滑な資金決済を確保するよう努めました。すなわち、被災地での現金需要に最大限応えるため、平日、休日を問わず、必要な現金供給を行いました。また、地震発生の当日中に、金融担当大臣と日本銀行総裁との連名で「平成 23年東北地方太平洋沖地震にかかる災害に対する金融上の措置について」を発出し、金融機関等に対して、預金通帳や印鑑等を紛失した場合における預金等の払い戻しなどについて、状況に応じて適切な措置を講ずるよう要請しました。さらに、震災の発生後も関係機関と連携を図りつつ、日銀ネットをはじめ、わが国の主要な決済システムの安定的な稼働を維持しました。このほか、盛岡市に損傷通貨の臨時引換窓口を設置するなど、被災した方々が傷んだおカネを円滑に引き換えられるように努めました。東北地方に所在する日本銀行支店および盛岡市内の臨時窓口での引き換え実績は、震災発生後7月22日までの間に 30.6 億円に達しています。この金額は、阪神・淡路大震災後6か月間における日本銀行神戸支店の引き換え実績(約8億円)を大きく上回るものとなっています。第2に、金融市場をはじめ様々な金融・経済活動における極端なリスク回避を防止するよう努めました。
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まず、震災発生直後から、連日に亘って金融市場の需要を十分に満たす潤沢な資金供給を行って資金調達における安心感を維持し、市場の安定確保に努めました。日本銀行当座預金残高は、一時はリーマン・ショック後やかつての量的緩和時をはるかに超え、42.6 兆円にも上る既往最高額となりました(図表2)。また、3月14~15日の2日間の予定だった金融政策決定会合を 14日だけに短縮した上で、企業マインドの悪化や金融市場におけるリスク回避姿勢の高まりが実体経済に悪影響を与えることを未然に防止する観点から、包括的な金融緩和政策の枠組み ──これにつきましては、後ほど詳しくお話しします──の下で、リスク性資産を中心に資産買入等の基金を5兆円程度増額し、金融緩和を一段と強化することを決定しました。
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第3に、内外に向けて正確な情報発信を行い、不安心理の鎮静化に努めました。震災直後より、日本銀行ホームページにおいて、業務運営状況を継続的に公表したほか、日本語、英語双方による震災関連の専用エリアを設けるなど、情報発信体制の一層の拡充を図りました。また、国際会議や内外の講演、記者会見など様々な場で、わが国の金融市場や決済・金融システムが高い頑健性を維持していることを説明しました。第4に、被災地の金融機関を対象に、今後予想される復旧・復興に向けた資金需要への初期対応を支援するため、「被災地金融機関を支援するための資金供給オペ」を開始しました(図表3)。これは、被災地に貸出業務を行う営業所等を有する金融機関や、そうした金融機関を会員とする系統金融機関に対し、0.1%の低金利で1年間、資金を供給する措置です。 1先当りの貸付限度額は1,500 億円、総額は1兆円で、本年10月末まで貸付を受付けます。合わせて、今後の被災地金融機関の資金調達余力確保の観点から、日本銀行から資金を調達する際の担保の基準を引き下げ、BBB 格の社債や、金融機関の自己査定において正常先と区分された企業の手形や証書貸付債権も認めることとしました。これまでに本オペは3回実施しており、貸付総額は合計 3,320 億円となっています。
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3.経済・物価情勢(1)世界経済次に、実体経済の現状についてお話しします。まずは世界経済です。世界経済は 2000年代半ば、グローバル化の進展に伴う世界各地での生産性の向上や、エマージング諸国の世界市場への組み込みの進展などにより高い成長を遂げました(図表4(1))。もっとも、その背後では、米国の住宅バブル、欧州通貨統合に伴う為替安定・金利低下による欧州周縁国の投資バブルなど、様々な国で経済の不均衡も蓄積していきました。こうした問題は、米国住宅価格の下落に伴う欧米金融市場の動揺というかたちで次第に顕現化し始め、2008年秋のリーマン・ショックで全世界に影響が広がりました。金融市場の混乱と実体経済の悪
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化が相互に悪影響を与えながら、世界中の経済が大きく落ち込む危機の発生です。これに対し、各国が大規模な金融・財政政策を採るなどした結果、翌 2009年の春頃より世界経済は持ち直しに転じました。その後は、回復の遅い先進国経済と、高成長を続ける新興国・資源国経済という2極化がみられるものの、全体として回復基調にあります。足許では、回復ペースが鈍化しています。すなわち、米国は、家計を中心に住宅バブルの崩壊で毀損したバランスシートを抱えており、回復になかなか弾みがつきにくい中、日本の震災や既往の原油高の影響から減速しています。欧州は、ドイツは好調ですが、財政状況の悪いギリシャなどの周縁国は落ち込んでおり、全体として緩やかな回復に止まっています。一方、中国、ブラジルなどの新興国・資源国は、高成長が続いています。もっとも、インフレ圧力を抑えるための金融引き締めの影響から減速感が出始めた国や、日本の震災による部品不足から生産が鈍化している国もみられます。先行きも、世界経済の回復基調は続くものとみていますが、欧州周縁国の財政悪化、新興国・資源国の景気過熱、国際商品市況の高騰などリスク要因も多く、その不確実性は高いものと考えています。
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(2)日本経済日本経済も、2000年代半ばに戦後最長の景気拡大(図表4(2))を経験した後、リーマン・ショックを受けて大きく落ち込みました。その後は、海外経済の持ち直しと、エコカー補助金や家電エコポイント制などの施策を受け、2009年春頃をボトムに持ち直し、回復に向けた動きが続いてきました。しかし、そうした中で東日本大震災が発生し、再び大きく落ち込みました。リーマン・ショックによる落ち込みは、急激な金融収縮に伴い内外の需要が一気に失われたことによるものでした。リーマン・ブラザーズの破綻を契機に、米欧中心に、CP ・社債の発行困難化や銀行の貸出態度の慎重化などによって経済活動が停滞し、それが金融市場や金融機関の不安に繋がる、金融と実体経
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済のスパイラル的な悪化が発生しました。米欧の金融危機の影響は、世界中の金融市場に波及し、日本の金融市場にも波及しました。こうした中、世界的な規模での大幅な生産・在庫調整が発生した訳ですが、日本は、世界需要の落ち込みの影響が特に大きかった自動車、電気機械、一般機械などの先端的な製造業のウエイトが大きかったため、他国と比べても生産水準が大きく低下しました。一方、今回の震災による落ち込みは、被災による直接被害、部品不足等による間接被害、あるいは電力不足などにより生産・販売が困難となった供給制約に、先行き不安や自粛ムードによる家計や企業のマインド悪化が加わったことによるものです。リーマン・ショック時とは違って外需に大きな変化はなかったため、その後の設備復旧の進行や節電の取り組みなどにより供給制約が和らぐとともに、速やかに持ち直しに転じました。足許では、輸出が増加に転じているほか、家計や企業のマインドが幾分改善する下で、国内民間需要も持ち直しつつあります。先行きについては、供給制約がさらに和らぎ、生産活動が回復していくに連れ、海外経済の回復による輸出の増加や、復興需要の顕現化などから、今年度後半以降、緩やかな回復経路へと復していくものとみています。もっとも、こうした見方に関しては、やや長い目でみた場合、下振れリスクを意識する必要があると思っています。
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短期的には、サプライチェーンは着実に復旧する方向にあるほか、夏場の電力供給に対する多尐の不安はなお残るものの、当初の懸念ほどには経済活動の大きな障害とはならない可能性が強まっています。一方、海外経済については、不確実性が幾分増しており、日本経済にとっての当面のリスクも、供給面から需要面にシフトしつつあります。また、やや長い目でみれば、定期点検後の原発の再稼働問題などを背景に、電力供給に関する不確実性が幾分増しています。為替円高や高い法人税率、FTA/EPA交渉の遅延といった、製造業の立地に不利な条件が多い中、さらに電力供給懸念が加われば、企業の海外シフトが加速しかねないため、大いに懸念しています。
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(3)物価情勢次は、物価情勢です。国際商品市況は、新興国の経済成長などを背景に上昇してきました。国際金融情勢の不安定化に伴い、最近では弱含む動きもみられていますが、引き続き高値圏で推移しています(図表5(1))。これを反映し、日本の輸入物価や、国内における財の企業間取引価格の変動を示す国内企業物価指数も、高水準となっています(図表5(2)、(3)、6)。こうした中、家計の財・サービスの購入価格の変動を示す、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)は、今年の4月、2009年3月以降約2年間続いた前年比マイナスから脱し、プラスに転じました(図表6(2))。このように、日本経済はデフレから脱却する方向での動きを続けています。こうした背景には、既往の国際商品市況の上昇のほか、需給ギャップの縮小があります(図表7)。先行きも、国際商品市況の上昇や需給ギャップの縮小を背景に、生鮮食品を除くCPIの前年比は、小幅のプラスで推移するものと考えています。ただ、こうした見方にも様々な不確実性があります。例えば、国際商品市況の大幅上昇や、日本経済の下振れによる需給ギャップ縮小の遅れ、経済への悲観的な見方による人々の中長期的な物価見通しの下振れ、などの可能性が考えられます。ところで、来月にはCPIの基準改定が予定されています。この基準改定に伴って、CPIの前年比は下方修正される可能性が高いと思われます。
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とはいえ、統計の改定で経済実態が変わる訳ではなく、日本経済がデフレから脱却する方向にあることは確かだと思います。
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(4)展望レポートについて以上は私の見通しですが、日本銀行では毎年4月と 10月に、全政策委員の見通しを統合した「経済・物価情勢の展望」を作成し、見通しの計数と合わせて公表しています。また、7月と1月にはその修正見通しも公表しています。最新の見通しは、今月半ばに公表したものです(図表8)。実質GDPの前年比をみると、2011年度は震災の影響で+ゼロ%台前半の伸び率に止まりますが、 2012年度は復興需要の増加なども見込まれることから+3%近い伸びとなっています。生鮮食品を除く消費者物価の前年比をみると、原材料価格の上昇や需給ギャップの縮小などから、2011年度、2012年度とも+ゼロ%台後半の上昇率となっています。なお、これには統計の基準改定の影響を織り込んでいません。また、各政策委員は、先行き見通しについて幅をもってみており、各予想値の実現可能性を確率で示しています。それを全員分まとめてグラフで示したものが図表9です。棒グラフの山の高さ、裾野の広さはメインシナリオの実現性の高さを表しますが、より将来の見通しほど山は低く、裾野が広くなっており、先行きの不確実性が高いことがわかります。また、棒グラフの山の左右への偏りは上下方向へのリスクの高さを表しますが、実質 GDP の前年比は下振れリスクが大きく、消費者物価の前年比は概ねバランスしていることがわかります。
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4.金融政策運営次に、日本銀行の金融政策運営についてお話しします。 (1)リーマン・ショックへの対応2008年秋のリーマン・ショックは、日本を含む各国の金融市場に急激な金融収縮をもたらしました。これを受けて日本銀行は、危機発生直後から連日大量の即日資金供給オペを実施したほか、ドル資金供給オペを導入して対応しました。その後、次第に市場環境の悪化が深刻さを増し、企業金融の逼迫に伴って金融と実体経済の負の連鎖も顕現化したため、政策金利の引き下げに加え、補完当座預金制度、 CPや社債の買い入れ、適格担保の格付け要件の緩和、企業金融支援特別オペ、外国債の適格担保化などの措置を次々と導入しました。また、金融システムの安定確保に向け、金融機関による株式保有リスク削減努力を支援するための株式買入れや、金融機関が十分な自己資本基盤を維持することを支援するための务後特約付貸付の供与も行いました。これらの施策のうち、時限的に導入した措置については、金融市場が落ち着きを取り戻すにつれ、徐々 に完了してきています。 (2)物価安定の下での持続的成長に向けた政策運営こうして金融市場は落ち着いたものの、日本経済がデフレから脱却し、物価安定の下での持続的成長経路へと復帰するため、日本銀行は現在に至るまで、様々な施策を展開しています(図表 10)。
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イ.強力な金融緩和の推進第一に、強力な金融緩和です。これは、昨年10月に決定した「包括的な金融緩和政策」の実施を通じて行っています。この政策では、まず①無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標水準を「0~0.1%程度」として、現在の政策金利は実質的にゼロであると明確に打ち出しました。次に、②この実質ゼロ金利を、金融面での不均衡の蓄積といった問題が生じていないことを条件に、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで継続するとして、実質ゼロ金利政策の時間軸を明確化し、長めの金利の安定に努めています。ここで物価の安定とは、日本銀行の政策委員が考える「中長期的な物価安定の理解」、すなわち「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、中心は1%程度」のことを意味します。さらに、③国債、CP、社債、ETF、J-REITといった多様な金融資産の買入れと、3か月ないし6か月の資金を 0.1%で供給するという固定金利オペを行うための基金を設けました。これは、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促すことで、通常の金融政策の操作対象である短期金利の低下余地が乏しい中でも、一段の金融緩和効果を得るための施策です。
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特に、相対的にリスクの高いETFやJ-REIT を日本銀行が買い入れることが呼び水となって、市場参加者の投資姿勢が積極化すれば、リスク・マネーの仲介が円滑化し、企業の資金調達環境は改善するものと考えられます。なお、当基金は創設当初は 35 兆円でしたが、先程述べましたように震災直後に増額して、現在では 40 兆円としています。
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ロ.金融市場の安定確保また、日本銀行は、金融市場の安定に万全を期すため、多様な資金供給オペレーションを活用しています。先程述べたとおり、震災直後に金融市場に不安感が広がった際には、既往最大の資金供給を行うなどしています。また、金融機関が、いつでも資金を調達できるという安心感を醸成するための措置も採っています。例えば、金融危機に対応するために導入した時限措置のうち、補完当座預金制度や外国債の適格担保化、ドル資金供給オペは現在も続けており、市場が不安定化することを未然に防ぐべく機能しています。
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ハ.成長基盤強化の支援さらに日本銀行は、日本経済の成長基盤強化に向けた民間金融機関による融資や投資の取り組みに対し、長期かつ低利の資金を供給する施策を行っています(図表 11)。現在、金融市場には資金が潤沢に行き渡っていますが、企業や家計といった経済主体は先行きの成長に懐疑的で、将来を見越した前向きの支出には消極的であるため、足許の成長は弱くデフレ圧力は強いままです。そこで日本銀行はこうした問題に対応するべく、先行きの成長が望める分野への金融機関の資金供給を促し、各経済主体の成長期待を高めるため支援を行っています。本施策は、昨年6月の決定以降、全国の金融機関から高い関心を呼び、本年6月実施分の対象先は 153 先、実際の貸付先は 126 先に上ります。対象となった個別投融資は、分野別にみると、環境・エネルギー、医療・介護、社会インフラ整備、地域再生、アジア事業など多くの分野に広がっています。また、本施策の資金供給期間は最大4年にもかかわらず、実際に金融機関が行っている個別の投融資は4年を超えるものが7割以上となっているほか、本施策を機に金融機関が専用のファンドや投融資制度を創設し、中には借入限度額である 15百億円を超える投融資枠を設定する例もみられるなど、狙いとした呼び水効果
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が発揮されていることが窺われます。そして、現在までの4回の資金供給実施により、貸付金額は受付期間の終了まで1年を残して上限の3兆円にほぼ達しました。今後については、金融機関が金融面の手法を一段と広げ、わが国経済の成長基盤の強化に向けて、さらに活発に取り組むことを後押しする方向で、本施策を強化することとしました(図表 12)。具体的には、新興企業や中小企業が直面しているリスク・マネーや不動産担保の不足といった問題の解決を側面支援すべく、金融機関が成長企業に対して投資や動産・債権担保融資を行った場合に、日本銀行が資金供給を行うというものです。これを機に、現時点ではあまり一般的でないこうした手法が広がり、成長企業の育成に繋がっていくことを期待しています。そうすれば、日本経済の成長力向上に繋がるとともに、金融機関が成長企業を見分ける能力の向上にも繋がるものと思います。 5.日本経済の復興に向けてここからは、やや長い目でみた日本経済についてお話しします。バブル崩壊以降の日本経済は、幾度かの景気循環はありましたが、均してみれば低成長を余儀なくされ、デフレにも陥った「失われた 20年」となりました。そこに襲った今回の震災は、さらなる大きな痛手となっています。日本経済が低成長から脱して再び輝きを取り戻すためには、東日本のみならず、日本経済全体の復興に向けた抜本的な対策が必要です。
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(1)日本経済が低成長に陥った理由日本経済の復興について考える前に、戦後日本の高度成長と、その後の低成長の理由について述べたいと思います(図表13)。まず、日本の高度成長の背景には、①欧米先進国の成長過程を参考にすることができた── 後発者利益が得られた──こと、②生産年齢人口が増加したこと、特に生産年齢人口が全人口に占める割合が高まる人口ボーナスが進行したこと(図表 14)、③工業製品が高
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い競争力を持ち、欧米先進国以外にライバルが不在だったこと、といった好環境があったものと考えられます。右肩上がりの成長の中で、政府の産業政策やメインバンク制、年功序列や終身雇用制など、いわゆる日本型経済システムもうまく機能しました。しかし 1970年前後には、日本経済は欧米先進国にほぼ追い付き、人口ボーナスの進行も止まります。また、石油ショックや急速な円高もあって高度成長は終了しました。その後も生産年齢人口の増加や、工業製品のライバル不在の状態も続いたため安定成長は続きますが、日本の国際的プレゼンス向上を背景とする貿易摩擦の深刻化や、プラザ合意による円高などから景気下押し圧力が強まります。これを回避するため内需拡大策が採られる中、1980年代後半にバブルが発生しました。1990年代に入るとバブルは崩壊します。その後は現在に至るまで、度重なる経済対策や金融緩和でも流れを変えることはできず、長い低成長とデフレの時代が続いています。バブル崩壊後は、企業の「債務、設備、雇用」の3つの過剰、家計の重い住宅ローン、金融機関の不良債権といったバランスシート上の重石が景気回復を妨げていると言われましたが、それがかなり解消された 2000年代以降も状況はあまり変わっていません。そのため、低成長が継続している理由は別に求める必要があります。
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私は、この間に起こった重要な変化、すなわち 1995年をピークとした生産年齢人口の減尐への転換(前掲図表 14)と、新興工業国が日本の工業製品のライバルとして台頭してきたことがその理由と考えています。
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(2)低成長とデフレからの脱却に向けてこのように、高度成長終了から現在に至るまで、日本経済の成長力が低下していった理由は、これまで申し上げた通り、①後発者利益の得やすさ、②生産年齢人口の増加、③工業製品のライバル不在、といった好環境が徐々に失われていったことにあると思います。そうであれば、元の高成長に戻るにはその環
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境を取り戻せばよいのでしょうが、世界が大きく変化した現在、容易ではありません。そこで、時代の変化に合わせて観点をやや変えた、新たな成長モデルの構築が求められます。まず、後発者利益の面では、モノづくり・輸出立国という観点だけではなく、いかに豊かになるかという観点を加えればどうでしょう。例えば、様々な改革で長期低迷から脱した英国やドイツ、豪州など、高負担・高福祉で国民の満足度が高い北欧諸国、競争原理を活かして高成長を遂げ豊かさを実現しているアジア NIEs など、観点を変えれば日本が学ぶべき先達はいくらでもあります。生産年齢人口の面では、出生率を高めて人口減尐に歯止めをかけるための様々な制度見直しが必須であり、正攻法ではありますが、如何せん時間がかかります。短期間で就業者を増やして成長力を高めるには、女性や高齢者の労働参加を促すための職業教育やインセンティブの強化、あるいは秩序だった外国人労働者の導入などを進めるしかないでしょう。なお、当面は高齢化の進行が止められない中、医療、介護分野の規制緩和ならびに改革を進め、大きな内需型産業として育成していくべきです。世界市場でのライバルとの戦いに勝利するには、得意分野の高付加価値化を一段と進めることが重要ですが、既存の技術を活かしながら新分野へ挑戦することも欠かせません。
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必要は発明の母と言いますが、例えば、電力不足を受けてエネルギーの需要と供給の一段の効率化が求められる中、日本が優位性を持つ省エネ技術をさらに伸ばすチャンスと言えます。また、原発事故処理の教訓を受けて、得意なロボット技術等を実用的なものへと進化させる良い機会かもしれません。こうした企業の取り組みを促すには、時代に合わなくなった規制の緩和も必要です。また、世界のライバルと渡り合っていくための前提として、FTA/EPAの締結国を増やすなど競争条件の改善も求められます。そのためには、第一次産業の生産性を高め競争力を強化して、経済成長と第一次産業が両立する道筋をつけることも必要ですが、今回の大震災は、地域の実情に応じて、経営の大規模化や効率化を進める機会ともなるのではないでしょうか。
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これらとは別に、社会保障制度の改革や財政健全化に向けた取り組みも重要です。なぜなら、年金や財政に対する将来不安は、支出よりも貯蓄を選好する強いインセンティブとなっており、日本の成長力を殺ぐ一因だからです。低成長下では、企業も個人も政府も、リスクを伴う新たな挑戦や痛みを伴う改革には及び腰で、経済の下支え役を財政支出に頼る状態を長らく続けてきました。その結果、政府債務は膨れ上がり、欧州周縁国のことを他人事だとは言い切れない状況となっています(図表 15、16)。政府財政への信認は、これまで何も起こらなかったとしても、突然非連続的に不安定化することも考えられます。従って、そのような事態に陥らないよう、財政再建に向けた道筋を示し、それを実行に移していくことにより、内外からの信認維持に努めることが喫緊の課題と言えます。 (3)日本銀行の取り組み日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定の下での持続的成長経路へと復帰するため、中央銀行としての貢献を粘り強く続けています。こうした金融政策面からの取り組みも、日本経済の復興を支援するはずです。今後も日本銀行は、その目的の達成のために必要な施策を、プロアクティブに──すなわち主体的に、能動的に──実施していくべきだと考えています。
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6.終わりに──三重県について結びに当たって、当地三重県について述べたいと思います。三重県は、自然や地形、歴史や文化が非常に多様であり、それが産業の多様性にも結びついているものと思います。例えば、農林水産業は、豊富な山海の資源、温暖な気候、大消費地に近い立地条件を活かして、多彩に展開しています。製造業は、輸送用機械や電気機械、一般機械、化学といった幅広い業種の大工場が数多く立地し、それを中心とした企業群が構成されています。また、観光資源も、古来の伝統を体験できるもの、最新のテクノロジーを見聞できるもの、家族で楽しく
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過ごせるものなど、バラエティに富んでいます。一方、個別の産業をみても、大変魅力のある素材がたくさんあります。例えば、伊勢神宮や松阪牛、電子部品、自動車などは、世界的にも超一流のブランド力を持つ素材です。他にも、お茶やカツオ、伊勢エビや真珠などといった全国トップクラスの素材がたくさん揃っています。三重県では、こうした多様性、および個々の素材の強さを活かすべく、県民を挙げて様々な努力をしておられ、実際に企業や観光客の誘致に成功し、県の発展に結びついています。さらに、各素材間で横の繋がりを強めることで、各素材の販売力向上が期待できるだけでなく、コラボレーションから新しい付加価値が生まれるかもしれません。今後とも、三重ブランドの向上が期待されるところです。こうした取り組みを含め、県民の皆さまの様々な努力が実を結び、三重県経済が今後一段と飛躍していくことを願っています。ご清聴頂き、誠にありがとうございました。 以上
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(図表1)東日本大震災発生後の日本銀行の主な対応日付主な施策3月11日(金) 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生(14:46) 災害対策本部を設置(本部長:日本銀行総裁)(15:00) 本行本支店で営業を継続し、日銀ネットは通常どおり稼働 金融市場および金融機関・集中決済機関の業務遂行に及ぼす影響等を把握するとともに、所要の対応を講ずる体制を構築 金融市場の安定および資金決済の円滑を確保するため、流動性の供給を含め、万全を期していく方針を表明 「平成 23年東北地方太平洋沖地震にかかる災害に対する金融上の措置について」を発出 貨幣博物館を当分の間、臨時休館(4月12日から再開)3月12日(土) 被災地域の金融機関における休日営業等の取り組みを支援するため必要な体制を確保している旨、東北地域の金融機関に連絡 青森支店、仙台支店、福島支店、盛岡事務所(盛岡市保管店)および本店で金融機関に対して現金供給を実施 東北以外の地域においても、金融機関と緊密な連絡をとり、柔軟に対応できる体制を構築3月13日(日) 仙台支店、福島支店、盛岡事務所(盛岡市保管店)で金融機関に対して現金供給を実施 「長野県北部の地震にかかる災害に対する金融上の措置について(長野県)」、「同(新潟県)」を公表3月14日(月) 金融緩和の一段の強化 金融政策決定会合(2日間の日程を 1日に短縮)において、リスク性資産を中心に資産買入等の基金を 5兆円程度増額することを決定 金融市場の安定確保の観点からきわめて潤沢な資金供給を実施 1日当たりのオファー額として過去最大の 21.8兆円の資金供給オペレーションを実施(リーマン・ショック後の最大額の約 3倍に相当)。
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計画停電に対応するため、本店見学を当分の間中止(4月25日から再開)、アーカイブを当分の間臨時休館(4月1日から再開)3月16日(水) 計画停電に対応するため、発券センター(戸田)での銀行券の鑑査業務および受払業務を一時停止(3月23日に鑑査業務を、3月24日に受払業務を再開)3月18日(金) G7 財務大臣・中央銀行総裁の声明 日本当局からの要請に基づき、米国、英国、カナダ当局および欧州中央銀行は、2011年3月18日に、日本とともに為替市場における協調介入に参加することを表明3月22日(火) 本行ホームページに「東日本大震災関連情報」を新設3月24日(木) 「損傷したお金の引換えについて」を公表 本行本支店において、法令に定める基準に基づき、新しい通貨への引換えを行うことを周知3月25日(金) 被災した国庫・国債事務の代理店の窓口事務を本行本支店(仙台支店、福島支店)等で取扱っていることを公表 仙台支店へ本店から業務応援要員の派遣を開始3月29日(火) 福島支店へ本店から業務応援要員の派遣を開始4月1日(金) 23年3月短観調査の業況判断 DIの参考計数として、震災発生前後の回収分に分けて再集計することを公表(4月4日に再集計結果を公表)4月7日(木) 金融政策決定会合において、議長より執行部に対し、「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」および担保適格要件緩和の 2つの措置について検討指示4月8日(金) 当面、震災等の影響が見込まれる金融機関に対する考査を中止し、被災地域等以外の先を基本に実施する方針を表明4月15日(金) G20財務大臣・中央銀行総裁会議において、震災後のわが国の金融・経済情勢および金融政策面の措置等について説明4月20日(水) 支店を設けていない岩手県盛岡市における損傷通貨の引換えを開始(7月20日に終了)4月28日(木) 金融政策決定会合において、「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション基本要領」および「被災地企業等債務にかかる担保の適格性判定等に関する特則」等を制定5月17日(木) 被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション(第 1回)の実施(741億円)6月21日(木) 被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション(第 2回)の実施(1,293億円)7月20日(木) 被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション(第 3回)の実施(1,286億円)
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1 2 3 4 7 8 9 10 11 14 15 16 17 18 22 23 24 25(兆円)地震発生日(11/3/11)2011年3月(兆円)量的緩和政策下の最高額:36.4兆円(2004年3月末)42.6兆円(過去最高額)1 2 3 4 7 8 9 10 11 14 15 16 17 18 22 23 24 252011年3月(兆円)地震発生日(11/3/11)金融危機時の最大額:8.1兆円(2008年10月10日)21.8兆円(過去最大額)(兆円)(図表2)東日本大震災直後の日本銀行による資金供給 (1)資金供給オペレーションの推移 (2)日銀当座預金残高の推移 (図表3)日本銀行による被災地金融機関の支援措置
§34
被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション 趣旨:今後予想される復旧・復興に向けた資金需要への初期対応を支援 対象先:被災地に営業所を有する金融機関── 日本銀行と直接の取引関係がない系統金融機関(信用金庫、信用組合、農協、漁協、労働金庫)に対しても、取引先金融機関を通じて資金供給を実施。 貸付期間:1年間 貸付利率:0.1% 貸付総額:1兆円⇒ 現在までに3回の資金供給を実施(計 3,320 億円)。都市銀行、信託銀行等 : 235 億円地方銀行、第二地方銀行、系統金融機関等:3,085 億円今後も概ね月1回の頻度で実施予定。日本銀行から資金調達する際の担保の適格要件の緩和 趣旨:今後の被災地金融機関の資金調達余力を確保 被災地企業向け債権について①金融機関の自己査定で「正常先」区分となっているもの、②BBB格相当以上のもの(通常はA格相当以上)を適格担保化する等の要件緩和を実施⇒ 5月23日から要件緩和を開始。 (図表4)世界経済と日本経済 (1)世界の実質GDP成長率-3-2-180 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12その他新興国インド中国その他先進国日本ユーロエリア米国世界(前年比、%)(予測)年
§35
(2)日本の実質GDP成長率-6-4-280 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10純輸出政府支出民間在庫設備投資住宅投資個人消費実質GDP(前年度比、%)年度 -12-8-4Q2 Q4 Q2 Q409/(前期比年率、%)10/ 11/Q1 (注)(1)の予測はIMF(「World Economic Outlook」2011年6月より算出)。(資料)IMF、内閣府 (図表5)国際商品市況と輸入物価(1)国際商品市況03 04 05 06 07 08 09 10 11日本銀行国際商品指数(2005年=100)年(2)輸入物価03 04 05 06 07 08 09 10 11輸入物価(円ベース)輸入物価(契約通貨ベース)(2005年=100)年(3)輸入物価(円ベース:前年比)-40-30-20-1003 04 05 06 07 08 09 10その他食料品・飼料化学製品石油・石炭・天然ガス金属・同製品機械器具総平均 2000年基準(前年比、寄与度、%)2005年基準年-510/6 8 10 12 11/2 4 6(前年比、寄与度、%)月<四半期><月次>
§36
(注)1.(1)の計数は月中平均。2011/7月は 11日までの平均値。2. (3)の機械器具:一般機器、電気・電子機器、輸送用機器、精密機器。2000年基準の 2007/4Qは、10月の値。(資料)日本銀行等 (図表6)国内企業物価と消費者物価 (1)水準02 03 04 05 06 07 08 09 10消費者物価(季調済、全国・総合除く生鮮食品)国内企業物価年(2005年=100) (2)前年比-10-8-6-4-202 03 04 05 06 07 08 09 10消費者物価(全国・総合除く生鮮食品)消費者物価(全国・総合除くエネルギー・食料)国内企業物価年(%) (注)(1)については、消費者物価は X-12-ARIMA による季節調整値、国内企業物価は毎年7~9月にかけて適用される夏季割り増し電力料金の影響を除いて算出したもの。(資料)総務省、日本銀行 (図表7)物価に作用する要因 (1)需給ギャップと消費者物価-10-9-8-7-6-5-4-3-2-1-10-9-8-7-6-5-4-3-2-183年8 48 58 68 78 88 99 09 19 29 39 49 59 69 79 89 90 00 10 20 30 40 50 60 70 80 91 011消費者物価指数(総合<除く食料およびエネルギー>、左目盛)需給ギャップ(右目盛)(前年比、%)(%)
§37
(2)家計の実感する現在の物価上昇率と、先行きの物価上昇率の予想04/3 04/9 05/3 05/9 06/3 06/9 07/3 07/9 08/3 08/9 09/3 09/9 10/3 10/9 11/3(%)月実感する現在の物価上昇率1年後の物価上昇率の予想5年後の物価上昇率(年平均)の予想 (注)1.(1)の消費者物価指数の前年比は、消費税調整済み。2010/2Q 以降は総合除く食料およびエネルギー・高校授業料。11/2Q は 4~5月の平均値を用いて算出。2. 需給ギャップは日本銀行による試算値。3.(2)は日本銀行「生活意識アンケート調査」によるもので、全サンプルの中央値。(資料)内閣府、総務省、日本銀行 (図表8)政策委員の経済・物価見通し(2011年7月) ▽2011~2012年度の政策委員の大勢見通し――対前年度比、%。なお、<>内は政策委員見通しの中央値。
§38
実質GDP 国内企業物価指数消費者物価指数(除く生鮮食品)2011年度+0.2~+0.6<+0.4>+2.2~+2.5<+2.4>+0.6~+0.8<+0.7>4月時点の見通し+0.5~+0.9<+0.6>+1.6~+2.6<+2.2>+0.5~+0.8<+0.7>2012年度+2.5~+3.0<+2.9>+0.5~+0.9<+0.6>+0.6~+0.7<+0.7>4月時点の見通し+2.7~+3.0<+2.9>+0.3~+0.7<+0.6>+0.5~+0.7<+0.7>(注1)「大勢見通し」は、各政策委員が最も蓋然性の高いと考える見通しの数値について、最大値と最小値を1個ずつ除いて、幅で示したものであり、その幅は、予測誤差などを踏まえた見通しの上限・下限を意味しない。(注2)各政策委員は、政策金利について市場金利に織り込まれたとみられる市場参加者の予想を参考にしつつ、上記の見通しを作成している。(注3)今回の消費者物価の見通しは、現行の 2005年基準の指数をベースにしているが、統計作成当局は、同指数について 2011年8月に 2010年基準の指数に切り替えるとともに、前年比計数を 2011年1月分に遡って改定する予定であることを公表している。その際には、前年比上昇率が下方改定される可能性が高い。(注4)政策委員全員の見通しの幅は下表の通りである。――対前年度比、%。
§39
実質GDP 国内企業物価指数消費者物価指数(除く生鮮食品)2011年度+0.2~+0.6 +2.2~+2.6 +0.5~+0.84月時点の見通し+0.5~+1.0 +1.5~+2.7 +0.5~+0.92012年度+2.5~+3.0 +0.3~+1.0 +0.4~+0.84月時点の見通し+2.5~+3.0 +0.1~+1.0 +0.4~+0.7
§40
(資料)日本銀行 (図表9)リスク・バランス・チャート(2011年7月)
§41
(1)実質GDP (2)消費者物価指数(除く生鮮食品)<2011年度><2011年度><2012年度><2012年度>(注1)縦軸は確率(%)を、横軸は各指標の値(前年比、%)を示す。今回の確率分布は棒グラフで示されている。実線は2011年4月時点の確率分布を表す。(注2)縦の太点線は、政策委員の見通しの中央値を表す。また、○で括られた範囲は政策委員の大勢見通しを、△で括られた範囲は全員の見通しを、それぞれ表す。(注3)縦の細点線は、2011年4月時点の政策委員の見通しの中央値を表す。(注4)リスク・バランス・チャートの作成手順については、2008年4月の「経済・物価情勢の展望」BOXを参照。
§42
-6.0未満-6.0~-5.6-5.5~-5.1-5.0~-4.6-4.5~-4.1-4.0~-3.6-3.5~-3.1-3.0~-2.6-2.5~-2.1-2.0~-1.6-1.5~-1.1-1.0~-0.6-0.5~-0.10.0~0.40.5~0.91.0~1.41.5~1.92.0~2.42.5~2.93.0~3.43.5~3.94.0~4.44.5~4.95.0~5.45.5~5.96.0~6.46.5~6.97.0~7.47.5~7.98.0以上-2.0以下-1.8-1.6-1.4-1.2-1.0-0.8-0.6-0.4-0.20.00.20.40.60.81.01.21.41.61.82.02.22.42.62.83.0以上
§43
(資料)日本銀行 (図表10)物価安定の下での持続的成長へ向けた政策運営
§44
1.強力な金融緩和の推進日本銀行は、以下の3つの措置からなる「包括的な金融緩和政策」の実施を決定し、これを通じて強力な金融緩和を推進している。(1)金利誘導目標の変更無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標水準を「0~0.1%程度」とし、実質的にゼロ金利政策を採用していることを明確化(2)「中長期的な物価安定の理解」に基づく時間軸の明確化「中長期的な物価安定の理解」(注)に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質的なゼロ金利政策を継続していく方針を明確化(注)日本銀行は、金融政策運営にあたり、政策委員が中長期的にみて物価が安定していると理解する物価上昇率を「中長期的な物価安定の理解」として公表している。2009年12月に、日本銀行は、「中長期的な物価安定の理解」の明確化を実施した。現在、「中長期的な物価安定の理解」については、「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考えている」としている。
§45
(3)資産買入等の基金の創設短期金利の低下余地が限界的となっている状況を踏まえ、金融緩和を一段と強力に推進するために、リスク性資産を含む資産買入等の基金の枠組みを整え、この活用を通じて、長めの市場金利の低下と各種リスク・プレミアムの縮小を促進2.金融市場の安定確保多様な資金供給オペレーションを活用して、引き続き、金融市場の安定確保に万全を期していく方針を示している。3.成長基盤強化の支援日本銀行は、「成長基盤強化を支援するための資金供給」を通じて、金融機関や企業の前向きな取り組みを後押しするとともに、成長基盤強化に資する金融市場の整備などに向けて貢献していく方針を示している。日本経済は、現在、成長力の趨勢的な低下という課題に直面しており、これが長期に亘る需要の低迷やデフレの根本的な原因にもなっている。潜在成長率や生産性の引き上げについては、企業や金融機関などの民間経済主体の果たす役割が大きいほか、環境整備の面で、政策当局の果たす役割も重要であるが、日本銀行も、中央銀行の機能を用いるかたちで貢献を図っている。
§46
(図表11)成長基盤強化支援のための資金供給(1)貸付の概要 成長基盤強化に向けた融資・投資の実績額の範囲内で、金融機関に対し、国債等の担保を裏付けとして、長期(最長4年)かつ低利(現在は 0.1%)の資金を供給(残高上限3兆円)。(2)貸付先となった金融機関数の業態別内訳0 20 40 60 80 100 120 140第4回第3回第2回第1回大手行地域金融機関その他10/9/6日10/12/7日11/3/7日11/6/8日47先4,625億円106先9,983億円122先7,221億円126先8,296億円(先数) (注)「大手行」は、都銀・信託銀行等。「地域銀行」は、地方銀行、第二地方銀行。(3)資金供給の対象となった投資・融資の内容金額別内訳期間別内訳0.1~1億円10,608件69%1~5億円3,635件24%5~50億円1,045件7%50億円~105件1%1件当り平均金額2.1億円1~4年3,761件24%4~10年9,559件62%10~20年1,673件11%20年~400件3%平均期間6.4年
§47
分野別内訳(金額ベース)環境・エネルギー事業9,495億円29%医療・介護・健康関連事業4,628億円14%社会インフラ整備・高度化3,269億円10%アジア等における投資・事業展開2,745億円8%研究開発1,997億円6%地域再生・都市再生事業1,903億円6%その他8,605億円26% 4年超案件の比率76% (図表12)成長基盤強化支援のための資金供給の拡充 これまでの資金供給の実績 日本銀行は、金融機関に対し、成長基盤強化に向けた融資・投資の実績額の範囲内で、国債等の担保を裏付けとして、長期(1年間、最長4年)かつ低利(現在 0.1%)の資金を供給 昨年6月の導入以降、3か月に1回のペースで4回の資金供給を実施 直近の貸付残高:2.9 兆円(残高上限3兆円)新たな貸付枠の設定(6月14日に決定) 趣旨:金融機関が、金融面の手法を一段と広げ、わが国経済の成長基盤の強化に向けて、さらに活発に取り組むことを後押し 貸付期間:2年(1回の借り換えが可能、最長4年) 貸付総額:5千億円(従来の3兆円の貸付総額とは別に設定) 対象とする投融資:① 出資等(資本性を有する投融資)② 動産・債権担保融資(いわゆる「ABL」)等、不動産担保や人的保証に依存しない融資【参考】動産・債権担保融資(ABL)の概念図
§48
事業価値に基づき資産を担保として提供価値を見極め資金を融資適宜経営への助言も提供借り手(企業)貸し手(金融機関)機械在庫売掛金資金 (図表13)日本の実質GDPの推移 (1)水準55575961636567697173757779818385878991939597990103050709年度(兆円) (2)前年比-6-4-255575961636567697173757779818385878991939597990103050709年度(前年比、%)56~59年8.2%60年代10.4%70年代5.0%80年代4.3%90年代1.5%00年代~0.8% (注)1.80年以降は 93SNA ベース、それ以前は 68SNA ベース。(1)は、68SNA を 93SNAに 80年にて水準を合わせるよう調整。2.(2)の青線は、各年代における平均値(実数はグラフ上方に表示)。(資料)内閣府 (図表14)日本の人口
§49
(1)将来推計人口1950 1970 1990 2010 2030 2050 2070 2090老年人口(65歳以上)年少人口(0~14歳)生産年齢人口(15~64歳)総人口(千万人)2105年総人口:4,459万人2055年総人口:8,993万人1995年生産年齢人口:8,717万人2010年生産年齢人口:8,073万人2055年生産年齢人口:4,595万人2105年生産年齢人口:2,263万人見通し年2010年総人口:12,806万人 (2)年齢3区分別の対総人口比率1 9 5 01 9 7 01 9 9 02 0 1 02 0 3 02 0 5 02 0 7 02 0 9 0生産年齢比率老年比率年少比率(比率、%)年見通し (注)2011年以降は「日本の将来推計人口」の推計値における、出生中位・死亡中位のケース。(資料)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成 18年12月推計)、総務省「人口推計」 (図表15)各国の一般政府債務の対名目GDP比率 (1)ネット一般政府債務80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16日本米国英国ドイツフランスイタリアスペインポルトガルアイルランドギリシャ(予測)(対名目GDP比率、%)年
§50
(2)グロス一般政府債務80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16日本米国英国ドイツフランスイタリアスペインポルトガルアイルランドギリシャ(予測)(対名目GDP比率、%)年 (資料)IMF (図表16)国と地方の長期債務 (1)長期債務残高の推移1,00070 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10地方重複分国合計年度(兆円) (2)長期債務残高の対GDP比の推移70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10地方重複分国合計年度(%) (注)1.長期債務残高は、2010年度は実績見込み、2011年度は政府案。2.名目GDPは、2010年度は実績見込み、2011年度は政府見通し。(資料)財務省「財政関係基礎データ(平成 23年4月)」