総裁記者会見(2022年10月13日)要旨
全文
§1Haruhiko Kuroda
議論の内容については、ただいま鈴木大臣から説明があった通りです。なお、G7財務大臣・中央銀行総裁会議では、ロシアによるウクライナ侵攻等を背景とするインフレ圧力の高まりと、そのもとでの財政・金融政策の方向性について議論がされまして、気候変動対応を巡っても意見交換がされました。私からは、日本の物価動向や日本銀行の政策対応について説明いたしました。また、G20財務大臣・中央銀行総裁会議でも、ロシアによるウクライナ侵攻等を背景とするインフレ圧力の高まりや、各国における政策対応等についても議論が行われまして、私からは、G7の方と同様に、日本の物価動向あるいは日本銀行の政策対応について説明いたしました。
§2Question
黒田総裁への質問なんですけれども、 IMFの専務理事の会見やWEOではインフレの抑制というのを当局者が優先課題であると指摘するなど、インフレが大きな世界経済のリスクであるという議論が中心だったと思います。インフレに対応するための利上げで世界が景気後退に陥るリスクについてもIMFは指摘していますが、こうしたリスクおよびインフレについての議論、総裁としてお話を聞いていて、これが日銀の日本経済の先行き見通しにどう影響を与えるのか、会議に参加されてご感想および今後の10月の展望レポートに向けた議論にどのような影響を及ぼし得るのか、お願いします。
§3Haruhiko Kuroda
世界経済の見通しについては、ご指摘のようにインフレがかなり高進したということもあって、多くの国で利上げが進められているわけであります。ただ、これは私からも説明いたしましたが、日本の消費者物価は、コスト高を背景にして、生鮮食品を除くベースで2.8%の上昇となっておりますけれども、来年度以降は2%を下回る水準まで低下していくとみられるということを申し上げました。そのうえで、欧米各国あるいは多くの途上国と違いまして、日本の物価上昇率はこの水準であり、しかも来年度以降は 2%を下回る水準まで低下していくとみているということで──これはIMFもそうみているわけですけれども──物価安定の目標の持続的・安定的な実現を目指して、金融緩和を継続するということを説明いたしました。
§4Question
黒田総裁にお伺いします。今回、G20の方でも、現在、緩和的な政策を採っているのはロシアと中国と日本ということになると思うんですけれども、ロシアも中国も経済制裁だったりとかゼロコロナとかで国内の経済に明白な下押し要因がある中で、日本は現在もなかなか力強い回復が無いというところで、総裁は今回、G20以外の会合とかでも、各国に対して日本の状況等を説明されてきたと思うんですけれども、この辺りの日本がいまだ利上げをできないような環境にあるということについて、その要因、なぜそのような要因になっているかということを、どのようにご説明されていますでしょうか。
§5Haruhiko Kuroda
欧米が8%から10%という非常に高いインフレのもとで金利を引き上げているということは、当然、適切であり、正しいと思いますけれども、日本が金利を引き上げられないという見方はちょっといかがかと思います。金利は、経済・物価に応じて適切な水準にするということが正しいと思いますので、その面で言いますと、日本経済は、コロナ禍を脱して、消費・設備投資を中心に回復してきていますけれども、まだ、例えば米国などと比べると回復のテンポが遅いということも事実でありますので、当然その回復を支援していくということが必要だということは、まずあります。もう一つは、そもそも金融政策は物価の安定を目的として行われるわけですけれども、先ほど申し上げたように、消費者物価は足元で 2.8%になっているとはいえ、来年度以降 2%を割っていくという見通しであり、そういう中で、今、金利を上げることは適切でないということは当然出てくる話です。上げられないとかそういう意味ではなくて、経済・物価に対して最も適切な金融政策、金利を考えると、今引き上げる必要はないし、適切でないということであります。以上